2024年8月11日日曜日

The Tokyo Session

 

 本作はジャズ専門誌 JAZZLIFE のプロデュースによる教則用 CD BOOK の為に録音されたもので、選曲は誰もが知っているスタンダード・ナンバーであること条件でしたが、演奏内容はミュージシャンに一任されていました。東京市ヶ谷にある一口坂音楽スタジオで1991年の録音です。メンバーは、tenor sax : 佐藤達哉、guitar : 布川俊樹、piano : 福田重男、trumpet : 吉田憲司、drums : Peter Erskine、bass : Marc Johnson、bass : 納浩一、drums : 平山恵勇

  
 
 

 それではレビューです。Stanley Turrentine の楽曲の Sugar はファンキー・ジャズ。やはり和ジャズっぽい演奏で日本人としては好感です。佐藤達哉の最初のソロではアルフィーのテーマを引用、吉田憲司も落ち着いたソロ、布川俊樹はコーラスを深めにかけたコンテンポラリーなギター、福田重男ピアノでの曲がびしっと締まります。I Mean You はモンク作品ですが、布川俊樹のギター、福田重男のピアノがメインのフュージョンで、ギター部分は Oz Noy 風になってしまうところが、モンクとギターの親和性を再認識です。ピアノはハンコック風でモンク風ではありませんね。そしてモンク続きの Round Midnight は、布川俊樹のギターと佐藤達哉のテナーのデュオ。これはしっかりとテーマ、ソロ部分もわかりやすく教則の練習曲しても良いとは思いますが採用では無かったようです。次いではコールポーター作品で What Is This Called Love ? 邦題では「恋とはなんでしょう」です。別テイクと書いてあるので教則本に採用された演奏とは別テイクという意味のようです。先の曲よりも初心者には少し高度な演奏だと思いますので、これは納得。やはり全てが名スタンダードStella By Starlight の登場です。これも別テイクとあります。演奏としては非常にオーソドックスな演奏で、モダンジャズの香りがピンプンする演奏です。Koln,January,24,1975 Part 2 キースジャレットのピアノソロ作品、ケルン・コンサートのナンバーです。スタンダードと呼ぶには新しい作品ですが結構演奏されているらしいです。福田重男のピアノはまさに、その影響が感じられます。実に清々しいトリオ演奏です。最後は Things Ain't What They Used To Be ジャム・セッションの定番曲ですね。メンバーが楽しみながら演奏しているのが伝わりますが、決して羽目は外さないのは教則本用の収録だからでしょう。エンディングとしてもぴったりです。
 古くとも色あせないスタンダードが楽しめました。日本の一流ミュージシャンによる演奏は安定度も抜群で楽しめます。

produced and directed by JAZZLIFE
recoerded on September 2,3 1991 at Hitokuchizaka Studio. Tokyo

1. Sugar (Stanley Turrentine)
trumpet : 吉田憲司
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男
bass : 納浩一
drums : 平山恵勇
2. I Mean You (Thelonious Monk)
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男
bass : 納浩一
drums : 平山恵勇
3. Round Midnight (Thelonious Monk)
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
4. What Is This Called Love ? (Cole Porter)
tenor sax : 佐藤達哉
bass : Marc Johnson
drums : Peter Erskine
5. Stella By Starlight (Victor young)
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男
6. Koln,January,24,1975 Part 2 (keith Jarret)
piano : 福田重男
bass : Marc Johnson
drums : Peter Erskine
7. Things Ain't What They Used To Be (Duke Ellington)
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男






  

2024年8月10日土曜日

Cortijo & Y Su Combo Feat. Ismael Rivera / Fiesta Boricua

 


 本作は、Cortijo & Y Su Combo(コルティーホ・イ・ス・コンボ)コルティーホ楽団&イスマエル・リベーラが1950年代から60年代にかけて、ヘマ/ルンバ・レコーズに残した5作のうちの一つ。パーカッション奏者のラファエル・コルティーホ率いる楽団と、その相棒の名歌手イスマエル・リベーラの黄金タッグのクオリティの高さが光るエネルギッシュな演奏です。


 他の盤でも書いていますが、この楽団の最大の武器は Plena、Bomba のプエルトリコ系アフロミュージックの強力なリズムです。Plena は、2/4拍子でソロとコーラスの掛け合いで歌われ歌詞は町の出来事などを歌いこんだものが多く、Bomba は元々ロイーサ・アンデーアの黒人居住区で太鼓を伴奏に歌い踊ったもので、単純なフレーズを反復する素朴な音楽で、どちらも即興性が高くプエルトリコの暮らしの中で永年楽しまれてきた音楽です。


 豚の丸焼きを囲んで、楽しそうにメンバーが笑っているジャケットな訳はクリスマス・アルバムとして制作されたそうで、ところ変われば七面鳥でもなくケンタッキー・フライドチキンでもなく豚の丸焼きがご馳走になるのかと、お国柄も伺えます。 アルバム収録曲では、Oriza は、まず打楽器が先陣を切り民族音楽的なグルーブにのせた怪しげなコーラスの曲。1959年にキューバ革命が起きてプエルトリコも波乱の情勢の1960年に制作されたこのアルバム。時代特有のザワザワした雰囲気がこのアルバムにあるとライナーノーツで解説されていますが、私には混乱も音楽とダンスで吹き飛ばしてしまおうと言うラテン気質がすごいなと思います。またジプシー・キングスで有名になった Volare が3曲目。キリンの麒麟淡麗を思いだしてしまいます。また Y Pedro Flores は Bomba のリズムでのアルセニオ・ロドリゲスのカバーで、この当時の流行曲をカバーしているそうです。また Doña Chana はハチロクのリズム。いわゆる6/8拍子のリズムで日本人には複雑怪奇に思えますが一小節に二回アクセントが強調されるこのリズムはクセになります。
 リズムだけでなく、エネルギッシュで楽しいところが魅力です🎶

1. Oriza  (Ritmo Ganga)
2. Si Te Mueres No Me Lleves (Bomba)
3. Volare (Guaracha)
4. Que Le Paso (Bomba)
5. La Hija De La Vecina (Plena)
6. Madame Calalú  (Plena)
7. Y Pedro Flores (Bomba)
8. Mofongo Pelao (Bomba)
9. Sola Vaya (Guaracha)
10. Los Chismosos (Bomba)
11. Doña Chana (Bomba)
12. Me Voy A Marancagaya (Samba)
13. Yayabo (Comparsa) Bonus Track

▶ Oriza

▶ Volaré



  

2024年8月9日金曜日

Rachael & Vilray / I Love A Love Song!

 

 古き良きJazzが聴ける。それも現代の録音で、さらには新曲で。Rachael Price(レイチェル・プライス)とギタリストの Vilray(ヴィルレイ)のグッド・オールド・タイミーなデュオによる、古き良き音楽へのリスペクトを感じさせるサウンドです。前作 Rachael & Vilray (2019) が大当たりだったので、この新作が出て直ぐに購入しましたので、これは中古ではありません。
 Rachael Price の経歴を調べて見ると、1985年オーストラリア生まれテネシー育ちのシンガー。もともとの出発点は Lake Street Dive というボーダーレスでノンジャンルなマルチ・ミュージシャンバンドのボーカル。基本アコースティックな楽器を中心のレイドバックしたロック・サウンドで人気のバンドで、ジャズではありません。
 ギタリストの Vilray は、Lake Street Dive のメンバーの Mike "McDuck" Olson, Mike Calabrese とともにバンドを結成していたギタリストで、ボーカルとギターだけのソロ・アーティストとして活動していて Rachael と知り合いではあったとのことですが共演はせず。そして2015年にブルックリンのBar Below Ryeで1930~1940年代のトラディショナルなジャズを聴いていたRachael とのセッションがきっかけで、このコンビが始まったらしい。
 このアルバムは Vilray によるオリジナル楽曲と、Benny Goodman の Ella Jane Fitzgerald、 Petula Clark、Sarah Vaughan なども取り上げたHarry Revel & Mark Gordon のスタンダード・ナンバー「Goodnight My Love」が収録されています。前作同様に、1930年代~1940年代のテイストでスタジオ・ライブ形式でレコーディングしています。古くて新しい暖かで洗練されたサウンドは素晴らしいの一言。


 それでは聴く誰をも魅了するであろうこのアルバムのレビューです。 Any Little Time 言葉の話すリズムを考えて作られたとのこと。Little の t とTime の t は発音が異なり、ソフトな Little の t から、強いアクセントの Time の t に移るときに音楽的な躍動が生まれると感じての作曲とのこと。確かに躍動感はがある曲でボーカルがあることで良さが発揮される曲に感じますし、そう思って聴くと Little Time 以外にもリズミカルな歌詞の音の流れがあるようにも感じる。遊び心溢れるハッピーな曲です。Vilray のソフトな味のボーカルです。 Even in the Evenin'  2曲目で Rachael のボーカルのバラードです。昔のミュージカル映画のスタンダードなんじゃないかと思わせる曲で Vilray の作曲、Rachael の表現力に改めて感心します。Is a Good Man Real?  さらに Rachael のボーカルは冴えてくる。力強い毅然とした歌いっぷりです。曲としては上流社会にいて男性の行動はそれがカッコ良いのかといかぶる内容のようで歌詞の世界でも昔の映画を見ているような内容のようです。もっと英語が直ぐに聞き取れればもっとこの曲は楽しく聴けることかと思われます。Just Two 曲自体は単純な作りに思えますがシンプルなメロディに、男性ボーカルのハモリに Rachael の軽いレスポンスで実に聴きやすく耳に残る曲です。Why Do I? ダンサブルな曲調にクラリネットがまた昔の映画風で歌いながら軽く踊っている姿が想像できます。I'm Not Ready これも1950年代でよく聞くタイプのアレンジを効果的に用いている曲です。Rachael の歌での問いに対して、男性陣が She’s not ready と呼応するのが楽しいです。楽団員も皆役者ぞろいのソロ展開も良い。Join Me in a Dream 静かでとても優しい曲です。Larry Goldings の楽器のceleste はこのイントロとエンディングのオルゴールのような音の楽器で実物は小型のアップライト・ピアノのような形態です。Hate is the Basis (of Love)  往年のベテランシンガーが、共演しているような余裕と華やかさがあります。Larry Goldings のピアノもサラリと跳ねるようなソロが良い。A Love Song, Played Slow 2020年のパンデミックの初期に作った曲だそうですが、ビクトリア王朝時代ぐらいの恋人たちの様子を歌ったものとのこと。Vilray のボーカルです。Just Me This Year 幸せな独り者、解放されたもの、自由を謳歌しながら新年に向けて弾みをつけている人たちを祝うホリデイ・ソングとのこと。今度は Rachael のボーカルです。交互に歌われていますが本当に良き古き時代にタイムスリップしたかのように錯覚させてくれる役者です。I've Drawn Your Face イントロはまたオルゴールのような celeste 始まる Rachael のボーカル。ゆっくり四つを刻むギターの音も暖かい。このプロジェクトの初期に作った曲とのこと。ずっと眠れずに寝返りを打ちながら、もう二度と会わないとわかっている恋人のことを思いながら天井を見ていることが歌われているとのこと。最後になります。Goodnight My Love は、Harry Revel & Mark Gordonによる作品で、このアルバムで唯一のスタンダードとのこと。Vilray にとって、この類の曲の最初の入り口となった高校生時代に聴きこんだ曲とのこと。Rachael & Vilray の掛け合いで歌われる曲は勿論素晴らしい、アメリカのラブソングです。
 何回聴いても軽く聴けるポップスのような内容ながらオールド・タイプ。でも新しいという不思議なバンドです。Rachael の表現力も驚くものがありますが、Vilray と言う人はとてつもないオッサンは愛すべきマニアな作曲家でありボーカリストでありギタリストであることにも驚きます。私のヘビロテの棚行きは決定です🎶

vocals : Rachael Price
guitar : Vilray
bass : David Piltch
drums : Joe La Barbera
piano, organ, celeste : Larry Goldings
horn arrangement, alto sax, clarinet : Jacob Zimmerman (1, 4, 6, 7, 10)
tenor sax, clarinet : Nate Ketner (1, 7, 10)
trumpet Jim Ziegler (1 to 9, 11, 12)
trombone : Dan Barrett (1 to 9, 11, 12)
trombone : Joey Sellers (10)

written by : Harry Revel (12), Mack Gordon (12), Vilray (1 to 11)

recorded by, producer : Dan Knobler

recorded April 14-27, 2022 at United Recording in Los Angeles, CA
All songs were written by Vilray except for the 1930’s classic “Goodnight My Love,” which was written by Mack Gordon and Harry Revel.

1. Any Little Time (Vilray)
2. Even in the Evenin'  (Vilray)
3. Is a Good Man Real?  (Vilray)
4. Just Two (Vilray)
5. Why Do I?  (Vilray)
6. I'm Not Ready (Vilray)
7. Join Me in a Dream (Vilray)
8. Hate is the Basis (of Love)  (Vilray)
9. A Love Song, Played Slow (Vilray)
10. Just Me This Year (Vilray)
11. I've Drawn Your Face (Vilray)
12. Goodnight My Love (Harry Revel & Mark Gordon)





  

2024年8月4日日曜日

Lou Donaldson / Gravy Train


 Lou Donaldson は Blue Note時代、1952-1963年で17枚、1967-1974念で11枚と数多くのリーダー作を録音しています。現在の私所有音源では、バップ作品は Quartet Quintet Sextet plus five (1954)、Blues Walk(1958) 、Thelonious Monk 作品では Genius Of Modern Music Vol2、Art Blakey 作品では A Night At Birdland Vol1A Night At Birdland Vol2 など、ファンク路線は Hot Dog(1969) です。
 この作品は、1961年の Blue Note 録音、コンガ入りのワン・ホーン・クインテットのバップ作品です。メンバーは1957-1958年に Lou のコンボのレギュラー・ピアニストを務めた Herman Foster、 Art Pepper, Billy Taylor, Quincy Jones, Grant Green, Dexter Gordon, Hank Crawford, Junior Mance, Herbie Mann などサイドマンとして活躍する Ben Tuckerです。ドラムの Dave Bailey は、Blues Walk(1958) でもドラマーを努めていますが、私の所有音源では Grant Green / Green Street(1961)、Curtis Fuller / South American Cookin'(1961)などに参加のドラマー。コンガの Alec Dorsey は私の所有音源に参加はありませんでした。
 このアルバムは淡々とリーダーが気分良くアルトを吹くために、メンバーも特に難しいことはせずに気持ちよく演奏しているアルバムで、特に特徴があるわけではないのが特徴のようです。Gravy Train とは「あぶく銭をもらえる仕事のこと」


 それでは、レビューしていきましょう。Gravy Train は、Lou のオリジナルで、よくあるブルースです。あぶく銭という割には、明るく生真面目な感じで冒険はありません。ピアノソロの和音のみの部分はセンスが良いとは言えないと思います。そんなに固執する必要性はないと思います。ベースソロも無難なところで、盛り上がらずのフェイドアウト。うーん。こんなんだったか? South Of the Border 1曲目で不安になりましたが、この曲で不安は解消です。明るいピアノのリズムと明るいアルトで国境の南はメキシコを意味するのでしょうか、ラテンのリズムとコンガがトロピカルです。Polka Dots and Moonbeamsは、ムーディナナンバーで1曲目のピアノが嘘のように Herman Foster の繊細なタッチのピアノが印象的です。エンディングのアルトのロングトーンが劇場風ですね。Avalon でやっとコンガが存在を示し始めます。無難に卒なくは相変わらずで、ピアノの Herman Foster は、またソロでコード弾きをやっています。乗ってくるとこれなんでしょうね。1曲目よりは全然良いです。Candy は、あの Lee Morgan で有名なヤツです。テンポは若干晩めで、これも朗々とした印象ですが、ピアノの Herman Foster は今回も似たような弾き方ですがファンキーで良いです。 Lou の後半のソロは乗ってきているのが伝わります。Twist time はモロにブルースで、ブルースの演奏だとタイトル曲と同様のアレンジとソロに戻ってしまいます。息抜きタイムのような感じが良い人もいるんでしょうか。Glory Of Love は、どこで聴いたのか耳覚えありますが、同名の曲は持っていませんでしたので何回か聴き直していると、もしかしたら、モンキーズの Daydream Believer にイメージ重ねているのかも
 アルバム全体は可も無く不可もなくですが、敢えて言えばタイトル曲の Gravy Train が今いちかもしれません🎶

alto sax : Lou Donaldson
piano : Herman Foster
bass : Ben Tucker
drums : Dave Bailey
congas : Alec Dorsey

producer : Alfred Lion
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, April 27, 1961.

1. Gravy Train (Donaldson)
2. South Of the Border (Kennedy, Carr)
3. Polka Dots And Moonbeams (Burke-Van Heusen)
4. Avalon (Jolson, Rose)
5. Candy (Kramer, Whitney, David)
6. Twist Time (Donaldson)
7. Glory Of Love (Hill)
8. Gravy Train (Alt Take)
9. Glory Of Love (Alt Take)


▶ Candy



  

2024年8月3日土曜日

Chris Connor / Chris Connor At the Village Gate

 

 1963年のライブ録音で、邦題は「ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー」私のCDでは Chris Connor At the Village Gate ですが、オリジナルは At the Village Gate : Early Show / Late Show と名前が付けられているようで、ニューヨークの老舗ジャズ・クラブのVillage Gate の2ステージを、収めたライヴ盤となっています。バンドはギターに Mundell Lowe(マンデル・ロー)が参加したカルテット編成で、前半はスイング、後半はブルージーな曲となっています。クリスの歌はフェイクや振り幅の大きいスイングはシャウトはせず抑制美のあるクールなスタイルで、ハスキーな歌声にローボイスで魅せる色気が特徴です。この会場では臨場感が伝わる観客の拍手などもバランスよく録音されていて聴いていて気持ちの良い録音です。
 Chris Connor(クリス・コナー)は1927年のカンサス生まれ。元々はクラリネットを習っていたのですが、1945年にジェファーソンシティにある大学の卒業式で歌った時、自らの歌に対する聴衆の反応が良かったことをきっかけに、本格的に歌手の道を目指し、1948年にニューヨークへ渡り、速記者をしながら楽団のコーラス、歌手で生計をたて、1953年にベツレヘム・レコードと契約し、1954年の Sings Lullabys of Birdland がヒット。2009年8月29日、癌によりニュージャージー州にて死去しています。私はこのアルバムの他 Sings Lullabys of Birdland しか持っていないので、これを聴いてもう少し音源を入手していきたいと思いました。
 

 それでは素晴らしい印象の Chris Connor At the Village Gate を再度聴きながらレビューです。演奏曲は全曲スタンダード。ライブではありますが全曲2分から5分程度にまとめられています。Lot Of Livin' To Do スピーディなスイングで1961年ミュージカル「Bye Bye Birdie」の挿入曲で、ライブがこの曲順だったとすれば最初に観客の気分を上げてくる短めのこの短めのナンバーで、つかみはバッチリです。Any Place I Hang My Hat Is Home ミュージカルからの楽曲で、1946年の「St. Louis Woman」 のオープニングです。Judy Garland Barbra Streisand Rosemary Clooney など多くの女性アーチストにカバーされている名曲です。私自身も全部は覚えていなかったけど、出だしの部分は耳に覚えがあります。小さい頃に聴いて覚えている曲は嬉しくなります。 All Or Nothing At All この曲は映画やミュージカルの挿入曲ではなく、1939年の当時ハリー・ジェイムス楽団の専属シンガーとしてデビューしたばかりだったフランク・シナトラが歌ったがヒットしなかった楽曲で、1943年にMCAに移籍後にヒットした楽曲となります。クリスの録音はこれが初めてでこれ以降に得意レパートリーになった楽曲とのこと。ラテンなパート、スイングが交互に歌われる3分の間に表情の変化が楽しめる。Something's Coming 1961年 Leonard Bernstein による West Side Story の楽曲で、これも目まぐるしい場面転換がある曲で緩急が極端で面白い。West Side Story は見たことがありますが、この曲は覚えていませんでしたのであしからず。You Came A Long Way From St. Louis オールド・ロックンロールですね。へえ。 Old Devil Moon この曲で Early Show は終わりです。これもミュージカル曲で1947年「 Finian's Rainbow」のポピュラーソング。この印象的なメロディーは聴いたことがあります。ラテンのリズム部分で言葉でリズムを詰め込むところが良いです。さて後半戦の Late Show です。I Concentrate On You ブルージーで夜の部だからかワザと色っぽく歌っているのでしょうか。そして、さらに色っぽく Black Coffee ペギーリーで有名な曲ですが、曲の途中で観客に何か色っぽいアピールでもしているのでしょうか。客の笑い声があり間奏、そして1分過ぎにkeep going と言って笑っています。何が起きているのか気になります。 Goodbye 1935年に書かれた Benny Goodman orchestra のクロージング・ソングであるとのことを見ましたが、しっとりしすぎていますね。曲名から曲順として早すぎるような気がしましたが、途中のバラードとしては良い選曲です。低音からじっくり攻めてきてサビで少しだけ声量を増して、ひたすらしっとり。客はうっとりでしょう。Only The Lonely 静かなブルース・イントロから、クリスの歌いだしがインパクト充分。低音でブルージーでハスキーで、途中マイクに近づきすぎての吐息が聞こえるのが、また色っぽい。最後は Ten Cents A Dance 語り調の歌で物語を歌い語り大団円となります。
 私クセのあるボーカルが好きなタイプですが、ストレートで、クール。時に色っぽい歌声。この魅力的なボーカルも良いではないかと再認識です🎶

vocals : Chris Connor
piano : Ronnie Ball
guitar : Mundell Lowe
bass : Richard Davis
drums : Ed Shaugnessy

producer : Michael Cuscuna
recorded live in 1963 at the Village Gate, New York City.

【Early Show】
1. Lot Of Livin' To Do (C. Strouse, L. Adams)
2. Any Place I Hang My Hat Is Home (H. Arlen, J. Mercer)
3. All Or Nothing At All (A. Altman, J. Lawrence)
4. Something's Coming (L. Bernstein, S. Sondheim)
5. You Came A Long Way From St. Louis (B. Russell, J. B. Brooks)
6. Old Devil Moon (B. Lane, E.Y. Harburg)
【Late Show】
7. I Concentrate On You (C. Porter)
8. Black Coffee (P. F. Webster, S. Burke)
9. Goodbye (G. Jenkins)
10. Only The Lonely (J. Van Heusen, S. Kahn)
11. Ten Cents A Dance (L. Hart, R. Rodgers)





  

2024年8月2日金曜日

Faces / Ooh La La


 Faces フェイセズの4作目で最後のスタジオアルバム。ロッドがソロ活動で成功してバンドがロッドのバックバンド化したことで、メンバーとロッドの溝が深まって空中分解するようなゴタゴタとなり、最後のアルバムとなりましたが作品としては名作と思います。ロッドはレコーディングの最初の約2週間不在であったため、ロニー・レーンが主導してアルバムの原型が仕上げられたとのことで、ここら辺も確執の原因なんでしょう。さらにロッドは雑誌インタビューでこの作品を「最悪の作品だ」とけなしたため、更に関係は悪化しロニーはこのアルバムの発売後1か月で脱退しています。
 一方、特徴的なジャケットは1920年代のイタリア人コメディアン、Ettore Petrolini の演じたキャラクター「ガストーネ」の写真で、目の部分に切り込みが入っていて上部を押すと写真の表情が変化するつくりになっていたようです(私の音源はCDなので残念ながら固定です)


 そんな最悪の状態で作ったアルバムとは知らずに、ずっと聴いてきたアルバムを再度聴きながらレビューです。Silicone Grown フェイセズらしいブギーなロックです。最初の曲はやはり攻めてきます。Cindy Incidentally キーボードから入るロックンロールで、懐かしい感じのするメロディーで大好きな曲です。 Flags And Banners カントリー・ロックで作曲者にはロニーレインの名前があります。ここら辺が他のアルバムと違うところですかね。My Fault いつものロックンロール調です。ギターのロン作曲は大体この路線でしょうか。Borstal Boys 緊急ブザーの音とともに始まる。早めの煽り系ロックンロール。これもカッコ良い。ボースタルとは日本で言うところの少年院みたいなところのことです。Fly In The Ointment インスト・ロックでイアン・マクらガンのオルガンが印象的。If I'm On The Late Side フォーク・ロックですね。ロッドが作曲者にも名前が入ってますが、ここら辺がロッドが好まなかったあたりですかね。Glad And Sorry ビートルズ的な素朴なフォーク・ソングでロニーレーンの作曲です。Just Another Honky これもロニー・レーン作曲の素朴なロック。元々フォーク・ソングのような曲だったのをブギーな感じにしたっぽいと思います。Ooh La La 最後にタイトル曲です。カントリー・ロックで、ロン・ウッドのソロ・ボーカルであるところが特徴です。
 爆発的なサウンドが持ち味の フェイセズ に、メンバーの個人の音楽性を盛り込んだ楽曲に溢れていて素晴らしい作品ですが、最後になってしまったのもナルホド🎶

vocal : Rod Stewart
guitar : Ron wood
bass : Ronnie Lane
piano : Ian Maclagan
drums : Kenny Jones

producer : Glyn Johns
recorded at Olympic Studios

1. Silicone Grown (Rod Stewart, Ron Wood)
2. Cindy Incidentally (Ron Wood, Rod Stewart, Ian Maclagan)
3. Flags And Banners (Ronnie Lane, Rod Stewart)
4. My Fault (Ron Wood, Rod Stewart, Ian Maclagan)
5. Borstal Boys (Ian Maclagan, Rod Stewart)
6. Fly In The Ointment (Kenny Jones、Ian Maclagan, Ron Wood, Ronnie Lane)
7. If I'm On The Late Side (Ronnie Lane,  Rod Stewart)
8. Glad And Sorry (Ronnie Lane)
9. Just Another Honky (Ronnie Lane)
10. Ooh La La (Ron Wood, Ronnie Lane)





  

2024年7月28日日曜日

Ronny Jordan / Light To Dark

 

 アシッド・ジャズを代表するイギリスのギタリストの一人、Ronny Jordan の1996年に英国 Island Records からリリースのアルバム。1962年生まれ 2014年1月13日にツアー先の南アフリカで亡くなっています。自らのの音楽をジャズ、ヒップホップ、R&Bのブレンドである「アーバン・ジャズ」と表現したように、このアルバムも例外ではありません。
 音的には、今までの路線は継承して、ビートボックスを用いたジャズ・ファンク、ラップ、ギター・フュージョン、ブラコン系などが収録されていますが、インパクトのある曲が収録されていないので、印象的には地味かもしれません。
 しかしジャケットとライナーノーツに掲載されている写真などは印象的。特にジャケ写のでの指は、日本ではカン●ョー、または忍びポーズです。忍びポーズで有名になったのはラグビーの五郎丸選手ですが、Light to Dark は1996年作品、五郎丸選手のワールドカップでの活躍は2015年ですから全く関係はありません。ライナーノーツにある写真も、暗闇では裸電球を写している写真はアートなんだろうとは思いますが理解に苦しむなあと見ていたら、Kodak の文字が裏返っている写真があります。なるほど Jordan は、暗室でフィルムを現像しているのだ。それで Light To Dark 


 それではレビューです。Into The Light 2曲目のイントロの効果音で Homage が始まります。相変わらずパキっとした硬質なギターの音で、ミドル・テンポのギター・フュージョンです。Jordan のギターと直ぐにわかるメロディー。It's You ボーカルをとっている B. Bourroughs, C. Brown キーボードの J. Campbell そしてR. Jordan の作曲で、更に作曲者に S. Akingbola の名前がクレジットされています。ナイジェリアのパーカッショニストですが、この曲にパーカッションは入っていないと思いますが7曲目の I See You には参加しています。ほぼブラコンのような曲でこれも Jordan っぽいギターのシングル・ノートのリフからのソロと言うかオブリガードをずっとやっています。このテンポは落ち着きますね。 The Law は Jordan が珍しく歪みのギターを炸裂?ではなく、歪みとサスティンを素人ギタリストが楽しんでいるような曲です。途中でジミヘンっぽいソロもあります。2曲目の Homage のリフを途中でキーボードソロの始まり部分でエレピで入れていますね。その後のギター・ソロも余り変化なく素人っぽいヤツです。アルバムに入っているので何か実験的な感じは受けますが単体で聴くと面白くはないかな。Fooled は、完全にスティービー・ワンダーっぽいというかそれです。作曲は Abi Odun と R. Jordan です。楽しい曲です。Closer Than Close は、Jordan ぽくないしっとり系ムード・ミュージックなフュージョンです。I See You ビージーズかと思うギターリフから始まりますが、直ぐにブラコンに変わります。パーカッションとボーカルが Sólà Akingbola になっています。ボーカルが上手いです。ナルホド2曲目の作曲者に Akingbola が入っている訳がわかりました。Downtime 通して Jordan のギターはワウがかかっています。そしてとってもファンキーです。とても良い曲ではありますが、延々とギターソロなので、曲としての面白みには欠けるかも。Deep In My Heart よく練られたメロディーかと思い、Jordan らしいところが出ているかと思います。これも抑揚は少ない曲ですが、ボーカルを入れながらのギター・フュージョンに寄せているところが好きです。Laidback この曲名でギター・ミュージックと言えば Zachary Breaux の楽曲にもあるのですが全く違う曲です。イントロでオクターブ奏法が入ったので期待したのですが一部だけですね。曲名通り、落ち着いたギター・フュージョンです。Light To Dark いよいよアルバムのテーマ曲です。このアルバムの中で一番心がこもったギターであると思います。とにかく丁寧に弾いているので、このアルバムの他の曲が手を抜いているかと思えてくるほど。Last Goodbye エンディング用に作った曲ですね。OKです。と思ったら曲が続きます。おそらくボーナストラックです。Inside、Fooled の2曲です。Fooled はボーカルパートだけを切り取って違うアレンジのところだけを聴かせてくれただけのようです。
 確かに下馬評通り、インパクトは少な目で地味なアルバムです。それに他作品よりも作りこみが浅い感じを受けてしまいました🎶

guitar, keyboards, guitar synthesizer (GTR Synths) : Ronny Jordan
vocoder, keyboards, synthesizer, piano, organ : Joel Campbell
programmed by : Angelo Laguadia, Arty Syke, Warren 'Slim' Williams

producer : Joel Campbell (1, 2), Ronny Jordan (1 to 12)

recorded at Quad, Skylab, Pye Sound, Morin Heights.

1. Into The Light (J. Campbell, R. Jordan)
2. Homage (J. Campbell, R. Jordan)
3. It's You (B. Bourroughs, C. Brown, J. Campbell, R. Jordan, S. Akingbola)
backing vocals : Bobby Bourroughs, Carl Brown
4. The Law (R. Jordan)
soloist (rhodes) : Joel Campbell
5. Fooled (Abi Odun, R. Jordan)
lead vocals : Carl Brown
backing vocals : Bobby Bourroughs
6. Closer Than Close  (R. Jordan)
7. I See You (Gillian Evans, S. Akingbola)
percussion, vocals : Sólà Akingbola
8. Downtime (R. Jordan)
9. Deep In My Heart (A. Gordon Jnr., B. Bourroughs, C. Brown, R. Jordan)
lead vocals : Carl Brown
backing vocals : Bobby Bourroughs
10. Laidback (R. Jordan)
11. Light To Dark (R. Jordan)
soloist (moog) : Joel Campbell
12. Last Goodbye (R. Jordan)
13. Inside
14. Fooled

▶ Fooled




  

2024年7月27日土曜日

The Baker Brothers ‎/ Ten Paces


 私の所有音源で似たような系列では、やはりUSの Souliveですが、UKでは、The New Mastersounds、Speedometer など。 Baker Brothers との出会いは、ライブ・アルバムの In With The Out-Crowd(2005) を聴いたのが最初で、さすがにジャケ買いはないと思うので、多分タワレコでの試聴だったんだと思います。とにかくジャズ・ファンクってなんだろうと思いながら色々と試し聞きをしながら購い漁っていました。そのライブの素のスタジオバージョンが多数収録されているのが、この Ten Paces で、ライブ盤のお祭り騒ぎを期待していた私にはこのスタジオ盤の落ち着きっぷりには戸惑いました。が、音の迫力はライブ盤には負けるものの、ライブ盤では聞けなかった曲もなかなかの中身の濃い12曲入りの楽しいデビュー・アルバム。
 皆さんマルチな楽器奏者ですが、キーボード、オルガン、ギターの Dan Baker、ドラム、パーカッションの Richard Baker の Baker兄弟と、イギリス・キャンフォード生まれ。初期はドイツのジェームス・ラストのトリビュートバンドの一員として活動ベース、ギター、キーボード、トランペットの Chris Pedley のスリーピースの構成メンバーでのインスト・ファンク。2010年には、Dan が脱退、2011年には、Richard が脱退、現在は Chris Pedley のみ初期メンバー在籍の、兄弟はいないけど「The Baker Brothers」で 活動していましたが、2017年で活動は休止しているようです。


 ライブばかり聴いてきたのでスタジオ盤は久しぶりに聴いてのレビューです。Ready...Aim... 出だしのファイア~の掛け声はライブと一緒。あえてやっていると思われる角張ってスカスカのドラム、ベースにはファズ、ひたすらリフを繰り返すブラスなども入れないメンバーだけの演奏はライブを先に聴いてしまっただけに違和感ですが、何回も聴けばそれも面白い。Givson こちらも、ずっと聴いてきてます。ロックが強めでファンクも少し入れてきています。ライブの勢いが好きですが、この曲はこのスタジオでの録音のドシャドシャ感も良いです。Green Goddess こちらからホーン部隊が参加。アフロ系のビートの心地よさと、ワザと潰れた感じの和音にしたホーン・アンサンブルにオルガンの音が重なると斬新です。 Theme From Laundrettas こちらはライブには収録無しのオールディーズを取り入れた曲です。少し遊んでみましたってことでしょう。Who Killed The Southbarrow Peacock?こちらは完全にファンク曲ですが、ライブ盤の方が圧倒的にカッコよいしセンスも良いかなあ。Paste こちらもファンクナンバー。スタンリークラーク風のベースが特徴的でエキゾチックな響きもある。もう少しB級でダサ目のアレンジにしてくれれば好きかも。ボブマーリーの I Shot The Sheriff の一部が入ってる気もします。Little Suns 私がパソコンで作った曲に同じようなリフで同じようなアレンジのものがあります。そんな感じで作ったんだろうか。Ziggifried ボサノバ系ビートのジャズファンクです。ベースはオルガンのペダルでしょうか。ノペっとした感じが妙に気持ち良い。Barrington's Groove アフロ系リズムを取り入れたファンクです。途中からブラス部隊が入ってきますが、一般的なファンク、ソウルとは違う少々ひねりの効いたアレンジが気持ち悪くてそこが良いです。Chester's Tongue オルガン・ジャズですがサイケな雰囲気を出しているのが、この兄弟のマニア的な音楽趣味なんだろうなと思いました。Maid Of Mars やっとライブでもやっているお馴染み曲に帰ってきました。こちらの曲は今までの曲よりも、ちゃんと現代的な音作りで一般のバンドにもあるようなグルーブになっています。今までは、ワザとヘタウマなグルーブですか? Breathing In うーん今っぽい。ファンクではない。エレクトリック系のスペーシーなジャズ・ファンクですね。
 デビュー・アルバムは、バンドのアイデアを曲と言う形にしてみた感じで、この後のライブ・アルバムを聴く限り、ここからライブを重ねてアレンジなども進化していったことが良くわかります🎶

electric piano, electric organ, guitar, violin : Dan Baker
bass, guitar, electric piano, trumpet : Chris Pedley
drums, percussion : Richard Baker

baritone sax : Diston Dryburgh
tenor sax : Dugald Clark
tenor sax, alto sax : Mark Abel
trumpet : David Price
cello : Michael Mace
flute : Ben Lamb

1. Ready...Aim... 
2. Givson
3. Green Goddess
4. Theme From Laundrettas
5. Who Killed The Southbarrow Peacock?
6. Paste
7. Little Suns
8. Ziggifried
9. Barrington's Groove
10. Chester's Tongue
11. Maid Of Mars
12. Breathing In