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2021年8月7日土曜日

金曜の夜には、土岐英史、ジュニア・マンス、ジャズ・メッセンジャーズ

 



 今日もどれから聞こうか迷ったのですが、土岐英史から聞くことにしました。土岐さんが亡くなったときに YouTube で聴いていたものの中から一枚。ギター2本とサックスのアルバムでまずは一杯。以前に聴いた YouTube とかなり違う印象を受けます。やはりCDということと、マスターんとこのオーディオで聴くでは音の立体立体感が違います。🍺 マスターも前に聴いた時とまるで違う音にビックリしてダビングを開始しています。ギタリストは萩原亮、井上銘でアルバムは持っていませんが雑誌によく出ているので存在は知っていますが三人のバランスが良く聴いていて気持ちよくこのアルバムで、ジンビーム3杯いってしまいました。

 さて次は何にしようかと、とりあえずジャズ・メッセンジャーズのウイントン・マルサリスが吹いているヤツです。1980年の録音なので少し不調な頃でしょうか。若輩者が偉そうですがブレイキーがブレイクしていなくてマルサリスばかりが前面に出ているアルバムで、飲んでいるこちらも少しおとなしくなってしまいました。ここでは、眠くなってきたのでウトウトしながらの1杯ぐらい。
 そして私はあまり馴染みのないジュニア・マンスです。こちらは初のリーダー作とのことで期待ですが、それほどの気負いもなく淡々としている印象でしたが最近よく聞いている音数の多いピアノではなくシンプルで私は好きだったのですが、マスターは不満げでCDが終わるとそそくさと次の作業をゴソゴソしています。眠かったのでよく覚えていませんが多分ここで2杯かな🍺
 と、ここでマスターがギターとピアノの曲をかけて私を見ています。ん~誰だろう? 最初の奴ですよ! ええっビックリ。マスターがハードディスクに落としたもので、音の張りが全く違うので最初にかけたものと同じものとは思えない音質でした。いつもレコード、ハードディスク、CD、YouTube と音の違いに驚くんですが、今回は楽器の数が少なくてシンプルなだけに全く別物に聞こえるのにはびっくりです。結局CDに戻ってもう一回聴いて昨日は終了。発見でした。少しお酒は控えめにしときました。



2021年6月13日日曜日

ビ・バップとハード・バップへの変遷とジャズの分化

 音楽を語ると時にジャンル分けはつきものですが、この「ジャンル」というものは最初から定義されていたものではありません。新しいタイプの音楽が生まれて定着してくると評論家や音楽業界の方がその音楽をリスナーに説明したり、従来のものと差別化して売り込んだりするために造られるものです。したがってその定義は曖昧であり、似たような造語が存在したり、国によって同じ単語でもニュアンスが違ったりするもの。そもそも音なんてものは聴く人によって印象が違うもので、私もレビューをするときにジャンル分けして記述するときにはかなり曖昧であることがよくあり、迷うこともよくあり面倒なもんだとつくづく最近感じております。

 さて、今までに私は正直に言えば、ハード・バップはビバップより新しい時代のテンポ早めのハードなジャズかな?ぐらいの認識しかなかったので(これは大きな間違いであったようです)、誰かがこれはハード・バップと書いてあれば「そうなんだ💡これがハードバップなんだ」ぐらいの感覚で使っていました。

 四谷「いーぐる」の店主、ジャズ評論を続ける後藤雅洋氏が「ジャズ喫茶のオヤジはなぜ威張っているのか」の中でわかりやすく説明してくれていたので、私自身の整理のためにも再度まとめて、味付けしてみようと思います。 

■ジャズの始まり

 20世紀初頭 西洋音楽の影響を受けながらジャズの誕生(ニューオリンズ)した。1940年代は、大型ダンスホールが隆盛でフルサイズのダンスバンド、ビッグバンドが主体だったが、第二次世界大戦間近となり、制約も厳しくなってきてジャズの中心は狭いクラブになり5~6人の少人数コンボに変わっていった。

■ビ・バップ

アドリブ第一主義、リズム革命」を念頭に置いた演奏のビ・バップという枠組みができる。特徴的なのはきままなジャムセッション(個人の力量による一瞬のアドリブのひらめき)あり、必ずしも決まったメンバーのコンボである必要性がなかった。

ビ・バップ? ⇔ ハード・バップ?  
過渡期としては1954年がひとつの目安説があり、ビバップ、ハードバップの明確な違いというほどのものは無い。
MilesDavis / Walkn' / Bags Groove、Clifford Brown & Max Roach Quintet、The Jazz Messengers / At The Cafe Bohemia Volume 1 , 2

■ハード・バップへの発展
ビバップの発展型として「楽曲の構成に力点黒っぽさ」を追求したものをハード・バップと呼ぶようになる。レギュラーメンバーによるコンボ(構成美としてテーマとアドリブの関連などリーダーの考え方が重要)であり、同じメンバーだからこそ超高速な演奏なども生まれやすく、それを私たち素人リスナーは早くて激しいのがハード・バップだと思ってしまうんですね。
MilesDavis / Relaxin'(1956)、George Wallington / Jazz for the Carriage Trad(1956) / The New York Scene (1957)、Modern Jazz Quartet、Charles Mingus

「コード進行に基づくアドリブの限界」により演奏者の音楽的概念の開放により、モードジャズ、フリージャズが生まれる

●モード・ジャズ(モード奏法) コード進行を主体とせず、アドリブを展開する音楽理論的概念「モード」を使用することにより、ソロにおける自由度が増し、メロディの選択肢を増やしたもの
MilesDavis / Kind of Blue (1959)John Coltrane / Giant Steps 1960

●フリー・ジャズ コード進行という束縛からの脱却したジャズで、1950年代末に、クラシック音楽のような白人西洋音楽の理論や様式に従わないという理念と、ビバップ、ハード・バップ、モード・ジャズなどが限界に達したという認識により誕生した
Ornette Coleman、Sun Ra、Albert Ayler、Pharoah Sanders、Archie Shepp、Cecil Taylor、Art Ensemble Of Chicago

「ハードバップの行き詰まりを打開

●ファンキー・ジャズ(ファンキー・ムーブメント) 
レギュラーメンバーによるコンボ(基本フォーマットはハードバップで黒っぽさの追求)

Art Blakey And Jazz Messengers / Moanin'(1958)、Cannonball Adderley Quintet in Chicago

「音楽性(音楽理論)」とは別の買い手の「市場開拓」としてジャンルの融合

ジャズ・ロック 
 ロックとの融合ではなくて、(8ビート)に乗ったジャズのことでリズムが理解できないリスナーには、ただのジャズにしか聞こえないかもしれないところ。
Lee Moragan / The Sidewinder (1963)Herbie Hancock / Watermelon man(1962)The Ramsey Lewis Trio / The In Crowd(1965)

●クロス・オーバー、フュージョン、スムース・ジャズ、コンテンポラリージャズ
 1970年代半ばに発生。ジャズを基調にロックやラテン音楽、電子音楽、クラシック音楽などを融合したムーブメントでソウル・ラテンを取り入れてクロス・オーバーと呼ばれるジャンルが発生し、そのクロスオーバーをさらに商業化したサウンドがフュージョンと呼ばれるようにようになった。1990年代からフュージョンを大衆に聞きやすくしたものをスムース・ジャズと呼ぶようになる。微妙です。
クロスオーバーでは、 Deodato / Prelude(1973) 、Bob James / Two(1975)、フュージョンと呼ばれるイメージは Lee Ritenour/ Captain Fingers(1975)、Larry Carlton / Room 335(1978)、Stuff / Stuff(1976)、Crusaders、Weather Report でしょうか。クロスオーバーはフュージョンと共にコンテンポラリー・ジャズという大きな分類に属しNAC(ニュー・アダルト・コンテンポラリー)というフォーマットで呼ばれていることもあるかなり分類や定義があいまいなところですね。

●アシッド・ジャズ
 1980年代にイギリス のクラブシーンから派生したジャズの文化。ジャズ・ファンクやソウル・ジャズ等の影響を受けた音楽のジャンル。レーベルとしては Acid Jazz Record のレーベルを発祥としてそこから独立した Talkin' Loud などがあります。ブラ・コンとの違いも明白ではないような気がします。
incognito、Jamiroquai、The Brand New Heavies 、US3、日本では United Future Organization

●ジャズ・ファンク
 本来ジャズのアンサンブルで16ビートのリズムを持つ楽曲のこととされているようですが、しばしば初期の incognito、The Brand New Heavies あたりを私ジャズ・ファンクって言ったりしちゃってますね。あらためて、このジャンルを考えると都会的なのがアシッド・ジャズで泥臭さ残る怪しいのがジャズ・ファンクに多いんでしょうか
FUNK. INC / CHIKEN LICKIN' 1971 1972、Donald Byrd / Black Byrd(1973)、Grant Green / Shades of Green (1971)

 ジャズのジャンル分けについて整理してみた訳ですが、教科書があるわけでもなし学問として体系づけられているわけでもなし(音楽学校に行ったら、もしかしてこういった授業とかあるんですかね)
 ジャンル別に代表的アルバムやアーティスト名も書きましたが、違うんじゃねえのか?と思うところあればご指摘いただけると嬉しいところです。
 先日、酒飲みジャズリスナー仲間に「ビ・バップとハード・バップの違い」について知ってますか?とこれを語ったら段々と難しいことを言うようになってきたなと言った顔をされて、少し場がシンとしてしまいました。場と雰囲気を選んでの発言に心がけなければなりませぬ。

 この記事も、改訂、修正しながら精度あげていきます。 初校 2021.06.13