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2025年1月16日木曜日

Ella Fitzgerald With Count Basie and His Orchestra / Ella and Basie!

 

 1920年代から活躍しビッグ・バンド・スウィング・ジャズ時代を代表する一人のカウント・ベイシーとエラのスインギーな最高なコラボ・アルバムで、プロデューサーは Norman Granz アレンジには Quincy Jones が名を連ねています。本録音は1963年ですが、1957 年のアルバム One O'Clock Jump で既に一度一緒にレコーディングしています。また1979年のモントルーフェスでの共演は、A Perfect Match として発売されています。 

 

 声も若々しくノリも良いエラの歌声と、絶好調のベイシー楽団と完璧なアンサンブルで、
当然エラのリラックスしたスキャットも楽しく、ジャズ・スタンダードの定番曲で構成されています。喫茶店、TVなどでこのアルバムのバージョンが再生されていることは多かったのでしょう。既に今まで聴いたことがある演奏であることが聴いたとたんにわかるものも多い教科書のようなアルバムです。
 それでは改めてレビューしてまいります。Honeysuckle Rose 最初の印象はとにかくエラの声が若い。晩年の録音の方が聴いている数が多いので特にそう感じるのかもしれません。切れが良くアップテンポのベイシー楽団に合わせて若い感性でスキャットも気持ち良いです。短くても満足な録音です。Deed I Do ブルージーでグルーブよく歌うエラにクインシーのファンキー・アレンジが素敵です。1926年の歌曲でオールドな雰囲気も好きです。Into Each Life Some Rain Must Fall 1944年にAllan RobertsとDoris Fisherが作詞、作曲してエラがインク・スポッツと共演して当時ベスト・セラーとなった曲で、ソウルっぽく熱いエラも珍しいのではないでしょうか。Them There Eyes ビリー・ホリデイも得意としていた曲で得意のスキャットで前半盛、後半は Joe Newman のトランペットとの掛け合いスキャットが印象的です。ミュージカル映画でも見ているかのような熱演です。Dream A Little Dream Of Me  コンボ編成のアレンジでベイシーがオルガンを弾いています。1931年に出版されたシートミュージック歌曲で、エラはデッカ時代にサッチモとのデュオで録音したことがあります。Tea For Two 1924年のミュージカル No, No, Nanette の主題歌で、ドリス・デイのあたり曲ですがエラのスインギーなこの歌もまた魅力的。Satin Doll 大御所のスタンダードが連続してきます。1953年のエリントンの作品でエラもゆったりと艶のある声で歌い上げていますが、いささか迫力がありすぎてドリス・デイの方が魅力的かも。 I'm Beginning To See The Light 続けてエリントンの1944年作品です。ベイシー楽団で続けての演奏とはこれもまた一興。Shiny Stockings ベイシー楽団でよく演奏される曲でビッグバンドの定番曲ですね。ブレイクのドラムがカッコ良いです。歌詞はエラによるものでクインシーのアレンジもいかしてます。My Last Affair 1936年の Haven Johnson のバラード。エラのボーカルもノビノビとしていています。エンディングのしめかたも好きです。 Ain't Misbehavin' 邦題は「浮気はやめた」です。ゆったりと感情をこめて歌うエラの表情がこれもよく出ています。On The Sunny Side Of The Street ジャズ・スタンダードとしてはこれも有名な1930年の歌ですが、とても明るい曲でハッピーな曲です。
 これも以前聴いた時よりも感動的に良いアルバムで、ヘビロテの棚に入れておいても良いですね🎶

【The Count Basie Orchestra】
piano, organ : Count Basie
clarinet, alto saxophone : Marshal Royal
flute, tenor saxophone : Eric Dixon
flute, alto saxophone, tenor saxophone : Frank Foster, Frank Wess
baritone saxophone : Charlie Fowlkes
trumpet : Sonny Cohn, Al Aarons, Joe Newman, Don Rader
trombone : Benny Powell, Urbie Green, Henry Coker, Grover Mitchell
trombone, trumpet : Flip Ricard
guitar : Freddie Green
double bass : Buddy Catlett
drums : Sonny Payne

arranged by : Quincy Jones, Benny Carter
producer, recording supervisor : Norman Granz
recorded in New York City, July 15th & 16th, 1963.

1. Honeysuckle Rose (Andy Razaf, Fats Waller)
2. Deed I Do (Walter Hirsch, Fred Rose)
3. Into Each Life Some Rain Must Fall (Doris Fisher, Allan Roberts) 
4. Them There Eyes (Maceo Pinkard, Doris Tauber, William Tracey)
5. Dream A Little Dream Of Me  (Fabian Andre, Gus Kahn, Wilbur Schwandt)
6. Tea For Two (Irving Caesar, Vincent Youmans) 
7. Satin Doll (Duke Ellington, Johnny Mercer, Billy Strayhorn) 
8. I'm Beginning To See The Light (Ellington, Don George, Johnny Hodges, Harry James) 
9. Shiny Stockings (Frank Foster, Ella Fitzgerald) 
10. My Last Affair (Haven Johnson) 
11. Ain't Misbehavin' (Harry Brooks, Razaf, Waller) 
12. On The Sunny Side Of The Street (Dorothy Fields, Jimmy McHugh)





  

2025年1月13日月曜日

Stan Getz & João Gilberto Feat. Antônio Carlos Jobim / Getz / Gilberto

 

 誰もが耳にしたことのあると思われる「イパネマの娘」で、おそらくこのオリジナルもかなりの人が耳にしているはず。もちろん私も知ってはいたのですがアルバムは持っていなかったので、中古屋で見つけての購入です。
 1964年に発表したアルバムで、終始ささやくようなボサノバで刺激的な音楽ばかり聴いていると抑揚がないように感じるかもしれないと感じてしまいながらも、聴き終わると満足していました。この世界感でアルバムを作って聴く人を満足させるのは恐るべしボサノバの名盤です。このようなアルバムが世界的にヒットする1964年って不思議な時代とも感じますが、余計なメディアが無かった分、純粋に音楽を聴いて楽しめる時代だったんですね。
 このアルバムの名義はStan Getz (スタン・ゲッツ) とJoão Gilberto (ジョアン・ジルベルト) ですが、スタン・ゲッツはベニーグッドマンの楽団などで活躍してから1962年にボサ・ノバを取り入れたアルバムを制作し翌年にこのアルバムを制作しています。


 ジョアン・ジルベルトは、ブラジルの歌手でありギタリストでボサノバを創成したと言われる巨匠。1959年にAstrud Gilberto (アストラッド・ジルベルト) と結婚。アストラッド歌う「The Girl From Ipanema (イパネマの娘)」がこのアルバムではポルトガル語で歌っていますが、シングルでは英語で発売されボサノヴァの有名曲となっています。しかしアストラッドとはほどなく離婚してしっているようです。この曲の作曲はピアノで参加の Antonio Carlos Jobim です。ちなみに映画「黒いオルフェ」の音楽を書いたブラジルの作曲家であることは今回のこのレビューで調べていてわかりました。

 

 それにしてもこのアルバム、下手な人が演れば退屈になってしまうような曲調ですがこのクールなボサのサウンドにウィスパーボイス、ゲッツのサックスが見事にはまり、ボサ・ノバを全世界に広めた功績のある素晴らしいアルバム。それほど好んでボサ・ノバはを聴くことは無いのですがこのアルバムは、たまに清涼剤として聴いてみたいと思います。いや名盤🎶🎸🎷

tenor sax : Stan Getz
guitar, vocals : João Gilberto
bass : Tommy Williams
piano : Antonio Carlos Jobim
drums : Milton Banana

producer : Creed Taylor

recorded March 18 & 19, 1963 in New York City.

1. The Girl From Ipanema / vocals : Astrud Gilberto
2. Doralice
3. P'ra Machuchar Meu Coração
4. Desafinado
5. Corcovado / vocals : Astrud Gilberto
6. Só Danço Samba
7. O Grande Amor
8. Vivo Sonhando





  

2025年1月11日土曜日

Tommy Flanagan / Confirmation

 

 こちら気合や思いを込めて作ったわけではないんだろうなってのは、最初に聴いたときの印象です。かといって手を抜いているわけではなく、丁寧な仕事をされているのがトミフラなんですね。不思議な感じがするアルバムです。ほんと気負いがないながら、テンポ、タイミングの良さ、フレーズの端々にはセンスが溢れています。


 何故このようなアルバムに聞こえるのでしょう。聴きながらライナー・ノーツを読んでいると、同レーベルからフラナガンのリーダー作として出た 収録曲中4曲が「Eclypso」(1977年2月4日録音)と同じセッションからで、あとの2曲は「Ballads and Blue」(78年11月15日録音)と同じセッションからなので、各録音がアルバムに使われなかったテイクで1982年の発売です。なるほど、二つのセッションからの未発表曲を寄せたからボンヤリなのかも知れません。


 ということで再度アルバムを聴きながらのレビューです。Maybe September 映画 The  Oscar の Percy Faith 作曲の悲しげなメロディーの美しい曲です。ドラマチックな盛り上がりはです。Confirmation 有名な Charles Parker のスタンダードでタイトル曲となっています。やはり一番の盛り上がりを見せています。気負いなく気持ちのままにピアノを弾いている印象です。George Mraz のベースソロはグルーブ感があって音に粘りがあります。Elvin Jones のブラシ・ワークも絶妙です。How High The Moon は、アップテンポで演奏されることが多いと思いますが、なんと出だしはバラード扱い。途中でミドルテンポに変わりますのがおしゃれです。ベースソロではサンタクロースがやってくるも挟み込んでご機嫌です。ん。聴き直していると以前の印象よりつまらなくないかもしれません。It Never Entered My Mind スタンダードで取り上げられる曲が圧倒的に多い Rodgers & Hart の楽曲でテーマのメロディーと展開のバランスが良い曲です。George Mraz はやりすぎなくらいのベースの弾きっぷりで、触発されるようにトミフラも盛り上げてくるマニアックでそそられる演奏です。うん。つまらなくない。Cup Bearers アップテンポで、曲の表情がわかりやすく単純に楽しい曲です。トリオの各人の音の表情が鮮明に前に出てくる録音もかなり良いです。50 - 21 トミフラと所縁のある Thad Jones の曲で、アルバムの最後にふさわしい曲です。寄せ集めにしては考えられてるかもしれません。
 再度、細かいところを聴きながらレビューしていたら楽しくなってしまいました。聴き直しは再発見がありますので良い気分です🎶🎹

piano : Tommy Flanagan
bass : George Mraz
drums : Elvin Jones (1, 2, 5, 6)

producer : Horst Weber, Matthias Winckelmann
recorded Penthouse Studio, NYC,  Nov. 15, 1978 (3, 4) , Sound Ideas Studios, NYC,  Feb. 4, 1977 (1, 2, 5, 6)

1. Maybe September (Percy Faith)
2. Confirmation (Charles Parker)
3. How High The Moon (Morgan Lewis)
4. It Never Entered My Mind (Rodgers & Hart)
5. Cup Bearers (Tom McIntosh)
6. 50 - 21 (Thad Jones)





  

2025年1月10日金曜日

Roy Hargrove / Approaching Standards

 

 Roy Hargrove (ロイ・ハーグローブ) が1990年のデビューから1993年までにNOVUSレーベルで発売した4枚のアルバムから、スタンダード・ナンバーばかりを選んだコンピものの1994年発売です。1995年からはVerve Records に移籍なので移籍前のひと稼ぎですね。
 私がロイを最初に聴いたのは、アフロキューバン系のラテン寄り1997年の Habana 。ストレートで美しい響きのトランペットとラテンは非常によくマッチしていて、他のアルバムも聴いても良かったので、その後にジャズ・ヒップホップに転向するRHファクターも聴いてきて、逆戻りで初期の頃も聴いてみたいと手を広げています。
 時代によって芸風がだいぶ違うのも興味深く、すべての音源を聴いているわけではないですが、初期のロイのトランペットの音は印象が薄めに感じていました。このアルバムも、やはり線が細い印象で、ジャズ特有の黒っぽいものが希薄なようで、それがロイの特徴のようです。他人の評価も気になるところであり検索しましたが、日本人のレビューはあまり見当たらりません。海外レビューでは賛否両論の論戦が見受けられるようで独特のこの線の細さはジャズ・ファンの議論を呼ぶ作品のようで、アルバムの10曲のうち7曲を占めているバラードが多いアルバムなのも、そんな物議をかもす要因なのかもしれません。


 それでは、線が細いと先に書いてしまったアルバムですが再度聴きながらレビューしてみましょう。Easy To Remember いきなりトランペットから始まりますが、ビブラート少なめの直球でやっぱり清々しい。1935年の映画ミシシッピの為に書かれた曲です。Ruby My Dear は、Antonio Hart のアルト・サックスから入ります。テナーっぽいネチっとした音色に続いて、ロイのとトランペットは品行方正そのもの。同じ繰り返しがしつこい気もしますが、この対比はこれで面白いかもしれません。Whisper Not メッセンジャーズっぽいアレンジでカチッとしてて終始冷静な演奏です。ここでアルバムは変わり、少し柔らかくなります。What's New ロイの音も柔らかくなっていますが演奏自体は、こっちの方が面白味があるような気がします。September In The Rain やはりメンツが変わると演奏が変わります。角が取れた音になりスイング感が増しています。惜しくらくは冒険的なアドリブが無いとこですね。You Don't Know What Love Is シリアスな響きの曲は刑事ドラマでかかかりそうです。Antonio Hart のアルトは、ほぼこのアルバムで知ったのが最初かと思いますが、クセが強いですね。End Of A Love Affair ここらへんで、ロイの音にお腹がいっぱいになってくる感じです。テンポも似たような感じなので抑揚がアルバムの中でないんですよね。オムニバスなのでしょうがないですけど。Things We Did Last Summer 少しドラマチックな展開かと思えばスローなスタンダードでした。トロンボーンの Ku-Umba Frank Lacy が参加で少しだけ味を変えていますが本質は同じですが、曲はかなり良いですね。最後2曲はライブアルバムからです。Everything I Have Is Yours / Dedicated To You 本質は同じですけどライブ感あります。でもドライブ感は全くない曲です。管のアンサンブルで雰囲気は変わっているので良し。My Shining Hour やっと最後まで到達です。これもライブで心して聴かないでもくつろげる感じが良いですね。アルバムの真ん中へんに味変で入れてほしいとこだけど、バランス悪いですか。
 最初に聴いたのは酒を飲みながらで、強めのカーティスフラーの古いものを先にかけてから、これを聴いたら物足りなく感じたのですが、単体で聴けば物足りないというよりは清々しいイメージ。休みの日に珈琲を飲みながら朝を迎えるならバッチリ合うのではないでしょうか?(と酎ハイを飲みながら、再度聴きながら割と悪くはないと思いながら今書いています)🎶🎺

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove 
piano : John Hicks (1,2,3), Stephen Scott (4,5,6,7), Marc Anthony Cary (8,9,10)
bass : Scott Colley (1,2,3), Christian McBride (4,5,6,7), Rodney Whitaker (8,9,10)
drums : Al Foster (1,2,3), Billy Higgins (4,5,6,7), Gregory Hutchinson (8,9,10)
alto sax : Antonio Hart (1,2,3,4,5,6,7,8)
trombone : Ku-Umba Frank Lacy (8)
trombone: Andre Hayward (9)
soprano tenor sax : Ron Blake (9,10)

This is a compilation recorded from 1989 to 1993.

Diamond In The Rough 1990 (1,2,3)
Public Eye 1991 (4,5,6,7)
The Vibe 1992 (8)
Of Kindred Souls 1993 (9,10)

1. Easy To Remember (Richard Rodgers, Lorenz Hart)
2. Ruby My Dear (Thelonious Monk)
3. Whisper Not (Benny Golson)
4. What's New (Bob Haggart, Johnny Burke)
5. September In The Rain (Harry Warren, Al Dubin)
6. You Don't Know What Love Is (Don Raye, Gene DePaul)
7. End Of A Love Affair (Edward C. Redding)
8. Things We Did Last Summer (Jule Styne, Sammy Cahn)
9. Everything I Have Is Yours / Dedicated To You (Burton Lane, Sammy Cahn
, Harold Adamson, Saul Chaplin, Hy Zaret)
10. My Shining Hour (Harold Arlen, Johnny Mercer)




  

2025年1月9日木曜日

Esperanza Spalding / Emily’s D+Evolution (Japan)


 アルバムごとに綿密に構築したコンセプトで度肝が抜かれますが、通算5作目となる今作は優しいメロディーラインの、Esperanza(エスペランザ)ではなく、激しい感情の現れている曲が多く収録されています。前作は、グラミー賞で2部門に輝いた2012年の Radio Music Society に続く3年ぶりアルバムです。作風は違いますが、ジャズやラテン、ソウル、ファンク、アフリカンなどの要素もあり、今作でも独自の音の世界観が反映されています。
 アルバム名に入っている Emily は、自身のミドルネームで、誕生日の前の晩に見た夢の中に出てきたというキャラクター(=もうひとりの自分)を主人公として、人間の「進化(Evolution)」と「退化(Devolution)」を表現するミュージカルのようなコンセプトです。やはりこのような大胆な変革にはプロデューサーの力が大きくデヴィッド・ボウイの ★ のサウンドメイキングの Tony Visconti が共同プロデュースです。
 






 そんな大興奮のこのアルバムを、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に持参すると、マスターに関しては、良いとも悪いとも感想は無しでしたが、驚きはあったようです。そしてこの手のアルバムが好きそうな一名の常連は、音もファッションも好みであるので結婚したいと申しておりました。私は素朴な感じがする?アフロヘアの Esperanza が好みでありますが。
 さて、アルバムのレビューをしていきましょう。最初が一番ロックしてます。Good Lava 彼女の独特のボーカル、プログレのようなギターサウンドでグイグイです。Unconditional Love これは、いつものエスペランザに近いですがポップなテーマのメロディは、ぶっ飛んでいませんので聴きやすいかもしれません。Judas プログレっぽいベースで始まるEsperanza の得意とするメロディ・ラインのジャズっぽいニュアンスが混じった曲です。このパターンが大好きです。Earth To Heaven ここではロックっぽいニュアンスが登場します。ボーカルにはラップっぽいものも取り入れてます。やはり凡人には到達できないところに彼女はいます。One エレピの弾き語りで始まりますが、破壊的な和音の歪んだギターでガツンとかまされポップさも入れてきます。広がる世界観が壮大な曲です。Rest In Pleasure 曲名からして少し大人しい曲なのかと思いきや、中東的な音階や不思議感のある曲で妙なリズムが面白い。Ebony And Ivy お経みたいな早口の言葉で始めるアイデアにビックリですが、プログレになっていくのが更にビックリ。Noble Nobles アコースティック・ギターを活用した幻想的な Esperanza 流フォーク・ソングで Joni Mitchell の流れです。これも大好きなヤツです。Farewell Dolly アコースティック・ベースにコーラスをかけて弾き語りとなっています。短いですがこれも良い。Elevate Or Operate 近未来的な響きがします。ポップスのコード進行を入れながら複雑な展開をしていきます。Funk The Fear Oz ファンクと名をつけているので、Esperanza 流ファンク・ミュージックがこれのようです。でもファンカデリックに、これはデキマイ。精神は理解できました。I Want It Now そろそろ甘い曲があっても良いのではないかなと思ってきましたが、今回の Esperanza は S が裏テーマのような作品ですからそうはいきません。とってもホラーな曲で、ニナ・ハーゲンも感じます。ここからは日本版のボーナス・トラックです。Change Us 普通にロックを歌っているのが不思議ですが、普通の曲を歌っても良いです。ファンとしては鳥肌も立ちます。この路線をアルバムに1曲入れても良いのでは? Unconditional Love 2曲目の Altenative Version で、ソフトロック路線のような感じです。2曲目は意識的にポップなアレンジにしたのがよくわかります。Tamblien Detroit ボーナスの最後に、またダークなヤツを持ってきています。
 最初にこれを聴いた時には、疲れたと過去に書いてありました。今はそんなことはありません。不思議な世界観は健在でいながら、ミュージカルのようでオペラ・ロックのような素晴らしいアルバムです。今まで聴いてこなかった人には、天才過ぎてやばい人に思えますので最初の頃の他のアルバムも一緒に購入されることをお勧めします🎶

vocal, bass (1-11, 13, 14)), piano (10, 12), bass synthesaizer (12) : Esperanza Spalding
backing vocals (1, 2, 5-7, 12-14), synthesizer (6), trombone (8), keyboards (12): Corey King (1, 2, 5-7, 12-14), 
backing vocals (1, 6, 11, 12, 14) : Emily Elbert
backing vocals (2, 5, 7, 13) : Nadia Washington
backing vocals (11) : Celeste Butler, Fred Martin, Katriz Trinidad, Kimberly L. Cook-Ratliff
drums : Justin Tyson (1, 6, 11, 12, 14), Karriem Riggins  (2-5, 7, 8, 10, 13)
guitar : Matthew Stevens
percussion : Karriem Riggins (9)

producer : Esperanza Spalding, Tony Visconti
recorded at NRG Studios, North Hollywood, California, Magic Shop, New York City, HUMAN, New York City

 1. Good Lava
 2. Unconditional Love
 3. Judas
 4. Earth To Heaven
 5. One
 6. Rest In Pleasure
 7. Ebony And Ivy
 8. Noble Nobles (Esperanza Spalding, Corey King)
 9. Farewell Dolly
 10. Elevate Or Operate
 11. Funk The Fear
 12. I Want It Now (Anthony Newley, Leslie Bricusse)
【Bonus Tracks】
13. Change Us
14. Unconditional Love (Altenative Version)
15. Tamblien Detroit 


Judas



  

2025年1月8日水曜日

Coleman Hawkins / The Bean (Compilation)


 Coleman Hawkins(コールマン・ホーキンス)のベスト・アルバムで、イタリアのクラシック・ジャズ専門のコンピ盤のレーベル Giants Of Jazz のリリースです。ペラペラのライナーノーツで細かいとこは書いてありませんが、中々盛りだくさんの22曲入りです。


 1904年生まれのテナー・バス・サックス(バリトンより低いやつがあるんですね)クラリネット奏者で、1922年からNYへ進出しブルース主体の活躍し、アフリカ系アメリカ人の楽団としては異例の人気を博した Fletcher Henderson(フレッチャー・ヘンダーソン)楽団に参加し、1934年からヨーロッパで活躍しています。ジャンゴなどとも活動し、帰国後1940年代にビ・バップが流行、1957年 Thelonious Monk Septet / Monk's Music に、コルトレーン、アート・ブレイキーと共に参加。1958年には代表作でもある The High and Mighty Hawk を、このアルバムの⑨⑩⑪で共演の Hank Jones らと録音。
   1960年前後には、Tommy Flanaganと結成したレギュラー・カルテットで活動、Max Roach, Bud Powell のアルバムへの参加。1962年にはDuke Ellington、1963年には、Sonny Rollinsと共演しましたが、1960年代後半は活動が停滞し、1969年に肺炎で亡くなっています。
 このアルバムは、中期の脂がのっている頃の1944年~1947年の作品で構成されています。この手のアルバムは単なる曲の羅列が多いと思いますが、曲順は1947年の自身のビッグバンドによる演奏から始まり、1944年の演奏に遡るように構成されているのは、今回中身を整理しながら聴いて好感があがりました。


 それではレビューしてこうと、Phantomesque コールマンのオリジナル。1947年の4管編成での録音です。 言葉の意味としては「実際に存在しないものや幻想的なもの」とのことで、優雅な響きのテーマが印象的に繰り返されます。短い曲ですが Coleman Hawkins の艶のあるサックスの響きが心地よい曲です。マイルスも参加ですがソロ無しです。Bean-A-Re-Bop これは、Hawkins と Jones の共作で、軽いノリのスイングで管楽器の力強い演奏でグイグイな演奏です。次は、Half Step Down, Please だと思ったら、パソコンに落とした曲名は Jumping for Jane になっています。??とライナーノーツを再度見ると、やはりHalf Step Down, Please 果たしてどちらが正しいのかと youtube でチェックするとライナーノーツが正しいようです。 次の PCに保存の Woody 'N You も Angel Face が正しいようで、データに登録されている曲が全く違います。
 他のCDでは、ジャケットと中身が違うようなことが起こったこともあります。廉価盤では CD のデータを移す際にチェックなどはしていないでしょうからしょうがないと言えばしょうがない。でもデータの名前の付け替えは22曲もあるとかなり面倒です🎶

① New York, February 16, 1944
Coleman Hawkins and his Orchestra Dizzy Gillespie, Vic Coulsen, Ed Vandever(tp) Leo Parker, Leonard Lowry(as) Coleman Hawkins, Don Byas, Ray Abrams(ts) Budd Johnson(bar) Clyde Hart(p) Oscar Pettiford(b) Max Roach(d) 
② New York, February 22, 1944 
Coleman Hawkins and his Orchestra Same as February 16 but Budd Johnson switches to (ts) 
③ New York, May 17, 1944 Auld-Hawkins-Webster Saxtet Charlie Shavers(tp) Coleman Hawkins, Ben Webster, Georgie Auld(ts) Bill Rowland(p) Hy White(g) Israel Crosby(b) Specs Powell(d) 
④ New York, January 11, 1945, Coleman Hawkins and his Orchestra Howard McGhee(tp) Coleman Hawkins(ts) Sir Charles Thompson(p) Eddie Robinson(b) Denzil Best(d) 
⑤ Los Angeles, February 23, 1945 Coleman Hawkins and his Orchestra Howard McGhee(tp) Coleman Hawkins(ts) Sir Charles Thompson(p) Allen Reuss(g) Oscar Pettiford(b) Denzil Best(d) 
⑥ Los Angeles, March 9, 1945 Coleman Hawkins and his Orchestra John Simmons(b) replaces Oscar Pettiford. Rest same. 
⑦ New York, February 27, 1946 
Coleman Hawkins and his 52nd Street All Stars Charlie Shavers(tp) Pete Brown(as) Coleman Hawkins, Allen Eager(ts) Jimmy Jones(p) Mary Osborne(g) Al McKibbon(b) Shelly Manne(d) 
⑧ New York, December 4, 1946 Esquire All-American Award Winners 
Charlie Shavers, Buck Clayton(tp) J.J.Johnson(tb) Coleman Hawkins(ts) Harry Carney(bar) Teddy Wilson(p) John Collins(g) Chubby Jackson(b) Shadow Wilson(d) 
⑨ New York, December, 1946 Coleman Hawkins and his Orchestra 
Fats Navarro(tp) J.J.Johnson(tb) Porter Kilbert(as) Coleman Hawkins(ts) Hank Jones(p) Curley Russell(b) Max Roach(d) Milt Jackson(vib) 
⑩ New York, June, 1947 Coleman Hawkins and his All Stars 
Miles Davis(tp) Kai Winding(tb) Howard Johnson(as) Coleman Hawkins(ts) Hank Jones(p) Curley Russell(b) Max Roach(d) 
⑪ New York. December 11, 1947 Coleman Hawkins and his All Stars 
Fats Navarro(tp) J.J.Johnson(tb) Budd Johnson(as) Coleman Hawkins(ts) Marion DeVeta(bar) Hank Jones(p) Chuck Wayne(g) Jack Lesberg(b) Max Roach(d)

1. Phantomesque (C. Hawkins) ⑩
2. Bean-A-Re-Bop (Hawkins, Jones) ⑩
3. Half Step Down, Please (C. Hawkins) ⑪
4. Angel Face (H. Jones, C. Hawkins) ⑪
5. Jumping for Jane (L. Feather) ⑪
6. Woody 'N You (D.Gillespie) ①
7. Bu-Dee-Daht (Jonson, Hart) ①
8. Yesterdays (Kern, Harbach) ①
9. Disorder at the Border (C. Hawkins) ②
10. Rainbow Mist (C. Hawkins) ②
11. Too Much of a Good Thing (C. Hawkins) ⑥
12. Bean Soup (C. Hawkins) ⑥
13. Spotlite (C. Hawkins) ⑦
14. The Night Ramble (C. Hawkins) ④
15. Indiana Winter (Moore, Feather) ⑧
16. Rifftide (C. Hawkins) ⑤
17. Stardust (Carmichael) ⑤
18. Stuffy (C. Hawkins) ⑤
19. Blow Me Down (Moore) ⑧
20. Salt Peanuts (Gillespie, Clarke) ③
21. I Mean You (C. Hawkins) ⑨
22. Bean and the Boys (C. Hawkins) ⑨





  

2025年1月7日火曜日

Yousuke Onuma / Jam Ka


 前作「Beautiful Day」で形作られた小沼ようすけによるサーフ・ジャズの発展型がこのアルバムとなります。’Ka'(グオッカ・パーカッション)という楽器と、Jamという事でアルバムがネーミングされています。’Ka’ はカリブ海の民族楽器で、小沼氏の出会いのきっかけは 2008年に聴いたJacques Schwarz-Bart(ジャック・シュワルツバルト) のDlo Pann という曲で、意味は『湧き出る水』とのこと。Jacques との出会いは2003年にRh foctor のメンバーとしてBNT来日中にライブに飛び入りにきてくれたことから始まったそうです。レコーディングに至るまでのことは、小沼ようすけ氏が note 「フレンチカリブのリズムと出会い、経験してきたこと」に、書かれています。てっきりカリブにサーフィンでもしに行った時に出会ったのかと思ってました。



 その Jacques はプロデューサー&サックス奏者として参加、パリから二人の”Ka”奏者を呼んでもらいレコーディングはNYで行われています。二人のパーカッション奏者は、Arnaud Dolmen(アーノウ・ドルメン) とOlivier Juste(オリビエ・ジュスト)で、Jam Ka Deux (2016) Jam Ka 2.5 The Tokyo Session (2019) にも参加し、このプロジェクトのレギュラーメンバーとなっています。


 それでは、レビューしていきましょう。Rain Drops 小沼氏らしい音使いのジャズ・フュージョンですが、いつものギターメインではなく Jacques のサックスが柔らかく曲に色付けしています。Seascape 情景を表す曲タイトルです。穏やかな海と波のうねりを遠目に、眺めながら作ったような曲で、各楽器のバランスが良いと感じます。Friend And Lover 女性ボーカルで、Stephanie McKay が歌っています。透明感があり西洋系の歌いっぷりですが、カリブを若干感じます。小沼氏は淡く優しいフレーズのガット・ギターで色付けしています。A Bird On The Cloudy Sky 曇った空に鳥が飛んでいる、またも情景描写です。Ka の打音が素朴ですが段々と盛り上がてきます。Fun Ka 少しファンク要素を混ぜたジャズです。Milan Mitanovic のローズが活躍し素敵なバンド・サウンドになり、最後はジャム皆さんで好きにジャムっているのが心地よいです。Deep 少しトリッキーで1分23秒の小曲。Jam Ka 先ほどの Fun Ka とは趣替えて、Ka が軽快で明るく複雑なリズムのフュージョン・ジャズです。フルート、サックスがブレッカーブラザース的なフレーズで、小沼氏が珍しく歪ませたギターの音を使ってます。Flyway 小沼氏らしいギターの入れ方です。曲名は小沼氏の作ったレーベル名と同一ですね。設立は2016年なので、この録音から6年後です。Joe Powers のハーモニカも入ったシンプルな曲で、このアルバムの中では覚えやすい曲です。 Esan 民族音楽的なイントロで中近東的な音階を取り入れた楽曲です。Moun Ka Heley こちらも民族音楽的な楽曲で Stephanie McKay が再びボーカルをとっていますが Friend And Lover よりも力強い歌いっぷりです。Ka が複雑にリズムを作っています。Gradation Pt.1、Gradation Pt.2  Jam Ka Deux (2016) に Gradation Pt.3 があったので、1.2はライブででもやっているのかなと、思っていたら、ここにいました。流して聴いていただけでは気づかなかったので改めてじっくり聴くのも、やっぱり大事ですね。Chiaramonti 小沼氏のアコースティックでの、このソロギターでのアプローチは大好きです。
 改めて、じっくり聴いて、じっくりと音楽と向き合う小沼氏の良さを感じられて良かったです。アルバムも大切に作っていることがよくわかります🎶🎸
 小沼氏の書かれた練習本も何冊か持っていますが、基本のメロディーを大切にして自然を大切にして、生きること、ギターとの関わりなんかが書いてあります。楽器の写真も載っていますが弾き込み方が半端ない塗装の剥げ後が見えます。まあ何というか、単純にこの人のファンです。お勧めです。

electric guitars, acoustic guitar : Yosuke Onuma
piano : Milan Milanovic
tenor sax, flute, programming : Jacques Schwarz-Bart
electric bass, acoustic bass : Reggie Washington
piano, fender rhodes, wurlitzer : Milan Mitanovic
ka (boula)ka : Olivier Juste
ka (make) : Arnaud Dolmen
vocal on 3 and 10 : Stephanie McKay
harmonica on 8 : Joe Powers

recoeded at Brooklyn Recordhing, February 23rd to 26th,2010

producer

1. Rain Drops
2. Seascape
3. Friend And Lover (featuring Stephanie McKay)
4. A Bird On The Cloudy Sky
5. Fun Ka
6. Deep
7. Jam Ka
8. Flyway
9. Esan
10. Moun Ka Heley (featuring Stephanie McKay)
11. Gradation Pt.1
12. Gradation Pt.2
13. Chiaramonti