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2026年8月12日水曜日

Mike Stern / Odds Or Evens


 キーボードJim Beardをプロデューサーにしてドラムの Dennis Chambers も一部参加の Atlantic からの1991年リリースの4枚目、通算では5枚目のアルバムです。このユニットは1989年~1992年まで活動しています。Milesバンドに参加は、1981年~1983年、1985年。1983年から1984年にかけては Jaco Pastorius のアルバム Word of Mouth に伴うツアーのバンドに参加しています。
 つまり, Milesバンド期を経ての、ソロとして脂が乗りきった頃のスタジオ作といえますが、確かあのMiles に「おまえは薬をやめろ」と説教されて病院送りになったとの記事をどこかで読んだことがあり、おそらく1980年ごろから1984年前後にかけてが、最も依存状態が深刻だった時期、Upside Downside (1986) 以降は、クリーンな状態でリーダー作を出し続けているとされています。
 ロック色の強いギター・フュージョンをベースにしつつ、コード進行やアドリブはかなりジャズ寄り、長めのソロをじっくり展開するためのオリジナル曲中心でテーマは比較的シンプル。その分ソロで攻める構成で激しい曲だけでなく静かな曲でもテンションは高くエネルギー感が持続しています。ギターが前面に出ていてもジャズ的な会話も濃い良作であると思います。関係ないですがマイルスに参加の頃の肥満とは全く別人で瘦せていてカッコいいスターンのジャケ写です。


 アルバムとしては、作曲はほぼスターンで7曲目のみ奥様の Leni Stern の作曲となっています。で、他は全曲マイク・スターンの作曲となっています。

Keys メロディアスな感じが前面に出ている明るめのサウンドですが、マイナーのメロディの中に哀愁漂うトーンのギターです。海を泳ぐようなコーラスのクリーントーンでテーマを泳ぎ、ソロからはいつものディストーションを効かせた王道のパターンが気持ち良い。
D.C. ハイパワーなファンク・ジャズで、タイトルは、この曲でDennis Chambers のイニシャルと Mike Stern 自身が少年時代を過ごした Washington, D.C. へのオマージュから名付けられています。でもデニチェンは細かい技よりも爆発力優先のドラミングのようで、ドラムのフューチャーよりも、Mike Stern 特有の幾何学的音の羅列のようなテーマ、中東的な音使いが印象的です。
Common Ground とにかく素晴らしいバラードで、優雅なテーマと伸びやかなソロなど構成もばっちりです。上手くて大好きな曲の一つです。奇数小節の展開や、半音階で美しく下降・上昇していくクリシェや、分数コードを使用したよく考えられた曲でもあります。
Odds Or Evens 流れは D.C.系ですが、これがタイトル曲で不可思議で幾何学的に聞こえながらもファンクでありロックも感じる、いつものヤツの集大成。「Odds Or Evens」=「奇数か、それとも偶数か」のとおり、奇数拍子による変拍子とファンクが複雑に組み合わさっているトリッキーなリズム構造。アウトフレーズや複雑なテーマの Bob Berg との高速ユニゾンも聴きどころです。
Seven Thirty 今までの流れと変えたストレートなフュージョンで、スタイリッシュで都会的な感じです。
If You Say So メロディアスで明るく温かなテーマを中心に徐々に盛り上がっていきます。タイトルからすると「君がそうやるなら俺はこうやる」って音のインタープレイが背景?なのでしょうか。曲調は違いますが流れは D.C. 、Odds Or Evens と同じ延長線にあるように聞こえます。
Sandbox アコースティック調の清涼感あふれる小作品で、濃厚なジャズ・ファンクの連続からリセットする清涼飲料的な、奥様 Leni Stern の作曲作品です。
Walkie Talkie 「Walkie Talkie」は「携帯型の無線トランシーバー」で、Mike Stern のギターと Bob Berg のサックスが目まぐるしくフレーズを交わし合う様子を、無線機でテンポよく言葉を交わす無線通信に例えています。この超高速インタープレイを支えるのは、超高速のウォーキング・ベース、疾走感あるドラミングでもあります。テクニック全開で終了です。

全編にわたりスターンのクセがちりばめられていますが、何回聴いても飽きはこないです。Mike Stern のクセは、誰とどの曲をやっていてもわかる訛りが強い方言をしゃべっているようなものですよね🎶🎸

guitar, composed by : Mike Stern
bass : Anthony Jackson (2, 4, 6), Lincoln Goines (1, 3, 5, 8)
piano, synthesizer : Jim Beard
drums : Ben Perowsky (1, 5, 8), Dennis Chambers ( 2, 3, 4, 6)
percussion : Don Alias
sax : Bob Berg

executive producer : Christine Martin
producer : Jim Beard

1. Keys
2. D.C.
3. Common Ground
4. Odds Or Evens
5. Seven Thirty
6. If You Say So
7. Sandbox / Leni Stern
8. Walkie Talkie

▶ Keys

D.C.





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2026年8月11日火曜日

quasimode / Magic Ensemble


 日系クラブジャズもいつのまにか品揃えが多くなってきています。その中でも indigo jam unit、Soil & Pimp Sessions などのハード刺激系のほうが好みです。Acid を聴き始めてからは United Future Organization とか、日本人のコンピだとはずっと知らなかった Jazz Powers なんかも愛聴盤です。
 そんな日本人クラブジャズの中でも、何か気になって若干ポップでクールな感じは私の感性にドンピシャにハマるサウンドでは明らかにないのに、いつのまにか揃えてしまっているのが quasimode です。入り口はどこだったのか思い出せば、クレイジー・ケン・バンドの横山剣さんボーカルの Summer Madness が入っていた Soul Cookin' からでした。もちろん様々な媒体で聴いていたのですが、タワレコの試聴で聴いて買ってみようかなって気になりました。


 クラブジャズのグルーブでに、ポップスやロックの感覚も取り込んだサウンドで、「歌心」とアンサンブルが前に出た音で、日本のジャズ・フュージョンが好きな人、メロディアスで少しポップ寄りのジャズをアルバム通して聴きたい人に向いた作品で、ホーンやゲスト陣を前に出しながら、バンド4人のアンサンブルを前面に出した作りで、ソロとアンサンブルのせめぎ合いです。

Ant Soldier イントロは往年の Spectrum っぽいですが、本編に入ればジャパン・フュージョン風クラブジャズ。疾走感と緊張感がありゲスト無しのレギュラーメンバーのみの演奏は、「4人が1つの蟻のように強固にまとまって突進する」
Whisky's High ウイスキーの「響12年」の世界観からインスパイアされたらしい。ヒューマンビートボックスの AFRA を迎えての演奏は新しめの試みだが、ソロ楽器としてところどころで入ってくるのは若干うっとおしい。もっとリズム楽器として通して入ってたら良いのにと思ってしまった。 
Music Can Change the World R&B/ソウルシンガー HanaH は、結構いろんなところで聴いてるような気がします。高音域の細かな表現や日本語部分の聴きやすさが好感です。「音楽は世界を変えることができる」という、ド・ストレートでベタなメッセージがタイトル。
Lush Life リズミカルで軽快なピアノのフレーズを軸に、松岡“matzz”高廣のパーカッションと新メンバー今泉総之輔のドラムが絡み合う疾走感のあるラテンジャズです。元気がでます。
ワルツが聴こえて 静寂と叙情性のある独特の世界観の畠山 美由紀の歌声が気持ち良い。どこか歌謡曲調のノスタルジーとヨーロッパの映画音楽を漂わせています。ジブリ感もあるかも。
No More Sadness Music Can Change the Worldと地続きの「音楽を通じて少しでも前を向き、悲しみを乗り越えてほしい」というメッセージのあるインスト。枯葉っぽいメロとコード進行が気になっちまいます。
Conglis Strut Strut=気取って歩くで、その名の通り美メロ路線から一転の躍らせる感じのラテンジャズが根底にあるファンキーなアッパー・インスト。トロンボーンは良い感じでソロとってますが、誰だろうか。書いてないな。
Sympathy For The Devil サンバ・ロック調のリズムの原曲がラテン・ジャズになるとこうなるのかってヤツです。悪くはないですが狙い過ぎではないのだろうか。賛否両論ありそうな。
Naghol Jumping Nagholって何と調べると、南太平洋のバヌアツ共和国のペンテコスト島で行われている伝統的な儀式のジャンプらしい。そんな雰囲気は楽曲からは感じられないように思いますが・・・
Rebel Riot アグレッシブでパンキッシュと書かれている記事も見ましたが、私はルパンタイプの日本伝統ジャズ形式かと思います。
Flyin' To The Dark シネマチックでドラマチックで哀愁を帯びたメロディーラインの漆黒の夜空へ飛び立つ飛行機を眺めているようなイメージ。キーボードの深みのある音が良いですし、随所のドラムの工夫が気持ち良いかも。
Cosmic Eyes 煌びやかなピアノがクラブジャズのリズムに乗り、途中から菊地成孔がサックスをねじ込んできます。菊地成孔がいるからか、曲のアレンジは一番凝ってるような気がします。
Seven Colors 多彩な音楽性やゲストプレイヤーで作成したされてアルバムの最後の曲の意味が「Seven Colors」のタイトルになっているようで、最後はレゲエで締めです。余韻を残したフェイドアウトがラストのエンディングの演出。なるほど。

売れる要素が満載のナンパなイメージで少しコマーシャルな感じが強くてスマートすぎるような気もする。1枚目のようなアクの強さもホシイかも🎶

piano, keyboads : 平戸 祐介
percussion : 松岡 “matzz” 高廣key
bass : 須長 和広
drums : 今泉 総之輔

human beatbox : AFRA (Whisky's High)
vocals : HanaH (Music Can Change the World)
vocals : 畠山 美由紀  (ワルツが聴こえて)
trumpet : タブゾンビ(Sympathy For The Devil)
sax : 菊地 成孔 (Cosmic Eyes)
trumpet : こだま 和文  (Seven Colors)

1. Ant Soldier / matzz, Yusuke Hirado
2. Whisky's High feat.AFRA [Album Version] / Kazuhiro Sunaga, matzz
3. Music Can Change the World feat. HanaH[Album Version] / Kazuhiro Sunaga, matzz, Yuki Kawamura
4. Lush Life / Kazuhiro Sunaga, matzz
5. ワルツが聴こえて / Miyuki Hatakeyama, matzz
6. No More Sadness / Yusuke Hirado
7. Conglis Strut / Kazuhiro Sunaga, matzz
8. Sympathy For The Devil feat.タブゾンビ / Mick Jagger / Keith Richards
9. Naghol Jumping / Kazuhiro Sunaga, matzz
10. Rebel Riot / Kazuhiro Sunaga, matzz
11. Flyin' To The Dark [Album Version] / Sohnosuke Imaizumi, Yusuke Hirado
12. Cosmic Eyes feat.菊地成孔 / Kazuhiro Sunaga, Sohnosuke Imaizumi
13. Seven Colors feat.こだま和文 / matzz








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2026年8月10日月曜日

The Brecker Brothers / Brecker Bros.

 

 1975年に Arista Records から出たデビュー作で、70年代クロスオーバー・フュージョンの代表的名盤。当時最前線だったニューヨークのスタジオ・ミュージシャンたちが集結し、超テクニカルなホーン・アレンジとファンキーなグルーヴを前面に押し出した内容になっています。
 Brecker Brothers の Randy は 1945年生まれ、Michael は 1949年生まれで、フィラデルフィアで生まれで地元で育っています。地元のR&Bバンドなどでプレイし、兄の Randy が1966年に、Blood Sweat &Tears に参加で、ニューヨークに進出。その4年後に Michael もニューヨークに出てきて、ふたりはスタジオ・セッションなどをこなしながら、Billy Cobham、John Abercrombie とともに、いわゆるブラス・ロック・グループである「Dreams」を結成し、アルバム2枚をリリース。最近入手して聴いたんですが、初期の Chicago をさらに緻密にしたようなサウンドで最高の音作りですが、あまり話題になることもなく解散したようです。その後1974年に The Brecker Brothers を結成し、Arista Recordsより発表したのがこのアルバムとなります。


 わたくしの大好きな Daid Sanborn (ここでは Dave Sanborn 表記)を含めた3管によるタイトでスピード感あふれるサウンドと驚異的なテクニックでしたが、4作目の Heavy Metal Be Bop (1978)    で、当時のフュージョン少年をすべて点目にしてしまいます。むろん日本の音楽青年であった、私たちも見事に撃ち抜かれ、当時お金が無かったのでラジカセにダビングして楽譜をどこからか手に入れてきて、憧れの「Some Skunk Funk」に挑戦してきてロックギター少年がフュージョンに目覚め、管楽器隊もすっかりブラバンから脱却し、今や60歳を超えてしまっている訳です。当時お金が無かったので、他のアルバムは購入できなかったので、今更 Brecker Brothers のアルバムを購入して楽しんでいるので、デビューアルバムで既に、「Some Skunk Funk」が録音されていたのも、これを聴いて知った次第です。

Some Skunk Funk 歴史的名フュージョン楽曲ですが、ファンクでも無ければジャズでもない、どちかと言えばメカニカルなフレーズ連発のロックだが、ブルース臭さは微塵もない発明品です。Heavy Metal Be Bop 収録バージョン、Billy Cobhamのアルバムバージョン、Mike Stern 参加のライブなど、どれを聴いてもワクワクして爽快な気分になります。4作目 Heavy Metal Be Bop (1978)  にも収録。  
Sponge テーマでは Sanborn の存在があってこそのファンク風味。Will Lee の、ここぞの決めプレイもカッコよく暴れ具合が良い。これも、4作目 Heavy Metal Be Bop (1978)  (ベースは Neil Jason) にも収録です。  
A Creature Of Many Faces 場面ごとの展開に多面性がある知的な展開とブラスロック的なタイトさも持ち合わせて、アレンジも素晴らしい。Michael Brecker のソロも良いが、ブラスアンサンブルに Sanborn のタイトでキレのある音があってこそ引き立つと思える。Bob Mann のロックギターもカッコよし。
Twilight ドラマチックな展開の中には、メカニカルなフレーズのサンバリズムとファンクフュージョンが組みあわさっている。バンド・アンサンブルは最高で、Ralph MacDonald のパーカッションが効果的に複雑なリズムをノリ良くしてくれています。
Sneakin' Up Behind You この曲のみ、Harvey Mason, Ralph MacDonald のツインドラムで、ディスコ・サウンドと Stuf, Gad Gang のソウルファンクの流れを汲みような楽曲。Stuff 自体は1976年がファーストアルバムだから、その影響はあってもおかしくは無さそうです。 
Rocks Some Skunk Funk の土台にこの曲があったのか、この曲があったから Some Skunk Funk が成立したのか?いずれにしろ、このタイプの楽曲構想が Randy Brecker の頭の中にあり、一連で作品化されたのは、このアルバムであるということ。
Levitate 幻想的バラードで、Randy のトランペットは、メカニカルフレーズだけではなくこんな一面もあるんだと見せつけてくれます。Will Lee のベースが、さりげなく Weather Report っぽさを出してます。
Oh My Stars この時期のフュージョンにあるボーカルものが、ここでも登場です。どうせやるなら Heavy Metal Be Bop (1978)  の East River まで振り切ってほしいもんです。
D.B.B.  今回聴き直すまで気づいていませんでしたが、Some Skunk Funk, Rocks の路線上にある楽曲でした。「D.B.B.」という暗号のようなタイトルは、「Dirty Brecker Brothers」の頭文字を取ったものだそうで、当時、ニューヨークの音楽シーンで「売れっ子スタジオセッション・ミュージシャン」として昼夜問わず膨大なレコーディングをこなしていた兄弟が「自分たちの本来やりたい、泥臭くてファンキーでエグい音楽を爆発させる場所」としてこのバンドを結成した原点が由来で、その初期衝動やファンクへの敬意が、この「Dirty」という言葉に内包されているとのこと。つまりはこの曲が土台になって Some Skunk Funk, Rocks が生まれたのかもしれない。なんて思うとワクワクします。

trumpet, electric trumpet, flugel horn, vocal & lyrics (on "Oh My Stars") : Randy Brecker
tenor sax : Michael Brecker
alto sax : Dave Sanborn
keyboads : Don Grolnick
guitar : Bob Mann
electric bass, vocal & lyrics (on "Sneakin' Up Behind You") : Will Lee
drums : Harvey Mason, Ralph MacDonald (5)
percussion : Ralph MacDonald
additional drums (on "Sneakin' Up Behind You") : Christopher Parker

producer : Randy Brecker
executive producer : Steve Backer
recorded at Secret Sound Studios, New York, N.Y., Jan. '75
remixed at Sound Ideas Studios, New York, N.Y., Jan. '75

1. Some Skunk Funk / Randy Brecker
2. Sponge / Randy Brecker
3. A Creature Of Many Faces / Randy Brecker
4. Twilight / Randy Brecker
5. Sneakin' Up Behind You /  Don Grolnick, Will Lee, Dave Sanborn, Randy Brecker and Michael Brecke
6. Rocks / Randy Brecker
7. Levitate / Randy Brecker
8. Oh My Stars / Randy Brecker
9. D.B.B. / Randy Brecker


▶ Sponge


▶ Rocks


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2026年8月9日日曜日

TKY


 アルバムの存在は知っていたので、中古レコード屋とか、ディスク・ユニオンに寄った際には、棚のチェックをしていていたのですが、中々出くわさなかった代物で、確かディスクユニオンにある時ポツンと置いたあったので、ようやく発見したと喜んで購入したものです。中古ではなかったので、お値段は相応に高かったはずです。
 通販で探して購入すれば直ぐに手に入るのに、面倒なことをしているのですが、やっぱりリアル店舗で現物を見ながら、試聴してから、ジャケット写真に惚れてから、購入するっていう行動が好きな昭和生まれです。


 アルバムの存在は知っていたものの、聴いたこともなく海外ものばかり聴いているので国内ミュージシャンの事情には、かなり疎いので今更ながら、このユニットについて調べて書き留めておこうと思います。
 小沼ようすけ氏は、ヘリテージ・ジャズギター・コンテスト (1995) の日本代表、世界3位、1999年、ギブソン・ジャズ・ギター・コンテスト (1999) で優勝。ジャズ系ジャムバンドAQUAPIT でCLUB、ジャズ系ライブハウスを中心に活動。
 「nu jazz (2001)」でメジャーデビュー。2002年に2nd album「Summer Madness (2002)」、「Jazz 'n' Pop (2003)」をリリース。ベース Richard Bona、ドラム Ari Hoenig とトリオで 「The Three Primary Colors (2004)」をNYレコーディング。これをきっかけに指弾きへと転向。この年に「TKY」を結成してアルバムを2005年にリリースするものの、一年間限定で結成されたユニットだったので、同年11月でラストライブとなり活動休止。
 ベースの日野賢二は、Jaco の日本人ミュージシャンによるトリビュートアルバム Play Jaco / A Tribute To Jaco Pastorius By Japanese Bass Guitarists にて、Soul Intro~Beautiful Spirits~The Chicken の演奏音源持ってました。初耳でしたが2004年・2005年には私の好きな Hiram Bullock のレコーディング・全国ツアーに参加しているようです。Toku 氏は、ボーカル&フリューゲルホルン奏者で著名な日本人アーチストを影で支えるミュージシャン。秋田慎治 氏は、カナダドライのTV-CM「Time of Goldなどで実は聴いていたジャズピアニスト。大槻“KALTA”英宣 氏は、島谷ひとみ「亜麻色の髪の乙女」の編曲を手掛けたドラマーです。


 ライブの本数は多くなかったが各会場はどこも大盛況で、フジロック出演でも話題となったとのことです。おそらく写真は、レコーディングをした軽井沢の Woodstock での写真でしょうか。若い売れっ子ミュージシャンのカッコつけた感じの写真が印象的です。
 演奏自体は、ドライブ感があり、パワフルな演奏のフュージョン。小沼ようすけ氏は、指弾きに転向を決意しているはずですが、ピック弾きのような音に聞こえます🎶🎸

piano : Shinji Akita 秋田慎治
flugeru horn , trumpet , vocal : Toku
bass : Kenji "Jino" Hino 日野賢二
guitar : Yousuke Onuma 小沼ようすけ
drums : Hidenobu "Kalta" Otsuki 大槻“KALTA”英宣

produced by TKY & Kozo Watanabe (Sony Jazz)
recorded at : Woodstock Karuizawa Woodstock on November 10th~15th

1. TKY ~introduction~ / K.Hino / TOKU
2. Actual Proof / H.Hancock
3. Snarl / H.Otsuki
4. Just For Fun! / K.Eubanks
5. Reminiscence~回想~ / Y.Onuma
6. as allure / S.Akita
7. Talking Low / SHANTI-TOKU
8. 0079 / TOKU
9. TKY / K.Hino / TOKU


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2026年8月8日土曜日

Bud Powell / The Blue Note Years


 Bud Powell の Blue Note での録音をまとめたコンピレーション。ピアノは弾く人によって繊細なメロディー楽器にもなるし、メロディーを持ちながら打楽器のようなリズムも刻める楽器にもなりますが、Bud Powell は、リズミカルで歯切れのよいビバップ・スタイルのピアノで打鍵の力強さも感じます。


 コンピなので The Amazing Bud Powell, Vol. 1 (1945) と中身が若干かぶっていますが、あちらは、Un Poco Loco、A Night In Tunisia などの曲を、いかにして完成させていくかをたどっている探求型の盤で、こちらは Charlie Parker, Dizzy Gillespie と並ぶ「ビバップ創始者」としての、スピードと論理性が様々な楽曲によって聴ける一枚になっているかと思います。

 ピアノ・スタイルは右手の高速なシングルトーンと、左手はコードプレーで頻繁なコードチェンジに徹する形です。Powell の最盛期は1940年代後半から50年代初頭にかけてと言われておりこれはその時期の作品で、他をあまり聞いていないのでわかりませんがこのアルバムでは終始「唸りっぱなし」でこの人も「唸るピアニスト」であったようです。音楽にのってくると唸る人は多いですがこの人は常に唸りっぱなしなのが特徴的です。(唸るミュージシャン)50年代中期以降は麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、精神障害となっています。

1924年生まれ1950年中期以降は麻薬、アルコール中毒、統合失調症
1960年代初期はジャズ不況によりフランスへ拠点を移し
1966年アメリカに帰国し結核、栄養失調、アルコール中毒で死去
やはり麻薬とジャズは、この時代の関係は深い🎶🎹

piano : Bud Powell
bass : Curly Russell (2, 8, 10), George Duvivier (3, 7, 14), Paul Chambers (1, 5, 13, 16), Pierre Michelot (4), Sam Jones (9, 11, 15), Tommy Potter ( 6)
drums : Philly Joe Jones (9, 11, 15), Art Taylor (1, 3, 5, 7, 13, 14, 16), Kenny Clarke (4), Max Roach (2, 8, 10), Roy Haynes (6)
tenor sax : Sonny Rollins (6)
trombone : Curtis Fuller (13)
trumpet : Fats Navarro (6)

The Amazing Bud Powell Vol.1 
 (6)recorded August 9, 1949
 (8)  recorded May 1, 1951
The Amazing Bud Powell Vol.2
(2, 10, 12)  recorded May 1, 1951
( 3, 7, 14)  recorded August 14, 1953
 Bud! 
(5, 13)  recorded August 3, 1957
Time Waits
(9, 11, 15)  recorded May 25, 1958
The Scene Changes 
(1, 16)  recorded December 29, 1958
Dexter Gordon - Our Man In Paris + 2
(4)  recorded May 23, 1963

1. Cleopatra's Dream / Bud Powell
2. A Night In Tunisia / Dizzy Gillespie
3. Reets And I / Bennie Harris
4. Like Someone In Love / Burke/Van Heusen
5. Blue Pearl /  Art Taylor
6. 52nd Street Theme / Thelonious Monk
7. Glass Enclosure / Art Taylor
8. Over The Rainbow / Harold Arlen, Edgar Yipsel Harburg
9. John's Abbey / Bud Powell
10. Un Poco Loco / Bud Powell
11. Buster Rides Again / Bud Powell
12. It Could Happen To You / Jimmy Van Heusen, Jhonny Burke 
13. Moose The Mooche / Charlie Parke
14. Autumn In New York / Vernon Duke, Vernon Duke
15. Monopoly / Bud Powell
16. The Scene Changes / Bud Powell



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2026年8月6日木曜日

The Brand New Heavies / Forward


 もはや貫禄十分でクオリティーが高すぎるブランニューの2013年作品。ずいぶんと間が空いた7年ぶりの新作でした。黄金期の女性ボーカル N'Dea Davenport が一時的に復帰、新たに Dawn Joseph をリード・ボーカルに迎えて制作。90年代の全盛期を彷彿とさせるグルーブでファンクなベースラインの伝統的なアシッド・ジャズ。


Forward アップテンポ、タイトなドラムのインストファンク。そしてアッパーなブラスセクションが炸裂。まさに「ここからバンドは再び前を向いて進んでいくForwardというマニフェストを体現するテーマ曲が先頭。
Sunlight 「これぞHeavies !」という王道ディスコ・ファンク。N'Dea Davenport が復帰した曲ではありますが、MVに本人は出演せず新ボーカリストの Dawn Joseph やバンドメンバーのみが登場。完全復活ではなく一時的なゲスト参加の形だったためか、レコーディングを完了せずにバンドを離れたためなのか少々複雑なものは感じます。でもスッと通る往年の歌声と歌いまわしは健在で、これはうれしい限り。
Do You Remember N'Dea Davenport の2曲目。Do You Remember, We've come so far from where we started で、彼女とこのバンドとの出会いも表現しているのか。もしN'Dea Davenport が、もっとレコーディングに参加していたいと思っていたら、新歌姫へのバトンタッチも心中穏やかではない歌詞かもしれません。切ないメロディラインでありながら、ボトムはタイトで踊れるファンク・トラック。
On The One ドラマーの Jan Kincaid の作詞・作曲、自らがメインボーカルを務めたメロウ・ファンク。女性ボーカルだけじゃないのも、このバンドの魅力の側面ではあります。「On the One」は、James Brown が確立した「小節の1拍目(1=One)に最も強いアクセント(ダウンビート)を置く」というファンクの基本構造・精神を指しているとのこと。強烈でないのが逆に良い。
A Little Funk In Your Pocket Dawn Joseph の歌声が入ってくると、オッと気づき、ボーカルが変わったことによる効果があります。セクシーな N'Dea Davenport と違う、感情を少し抑制した可愛らしさのある歌いかたもあり。「In Your Pocket」は、ブラック・ミュージックの世界で「リズムやグルーヴが完璧に噛み合って心地いい状態」のスラング。ギターソロの入り方とリズムの変え方も良いですな。
Addicted 彼らが最も世界を沸かせた Brother Sister などの時代1991年〜1994年の「アシッド・ジャズの黄金比率」を、そのまま現代に蘇らせたサウンドで、往年のファンには、かなりグッときてしまう作品です。ボーカルは N'Dea Davenport だが抑制気味の歌い方。
Lifestyle アーバンでトレンディ、かつハイソサエティなライフスタイルというコンセプトの、音楽、ファッション、夜の街、大人の洗練された日常がテーマ。パーティーチューンではなく、独り暮らしの部屋や、深夜のドライブのカーステで流れるのが最も似合うような世界観。
Itzine  ベースの Andrew Levy とドラムの Jan Kincaid の確かなコンビネーションを証明するドス黒い鉄壁のリズム・セクションをお披露目するインストファンク。なんてカッコよくてずるいんだ。
The Way It Goes ドラマーの Jan Kincaid の作詞・作曲、メインボーカルは本人。表面的に聴いていた時には、泥クサ系ファンクの進化系かなと思っていましたが、Steely Dan への強いリスペクトとオマージュが含まれているらしい。そう思って聞くとBメロの持ってきかたは Steely Dan っぽい、少しハスキーな声も似ていなくもない。
Lights 少し可愛らしさも感じた Dawn Joseph のボーカルがソウルフルにガチンコで勝負してくる感じで、ライブなんかで演奏しての発展形は想像するだけで楽しそうで、じわじわと耳に残るビートの心地よさ。
Turn The Music Up 「粘着質なベース」「タイトなドラム」「アッパーに鳴り響くホーン・セクションのアンサンブル」が炸裂のバンドの演奏陣のパワーをガツンと見せつけるトラックで、ボーカルはコーラス程度の味付けの「ほぼインスト」
Heaven ドラマーの Jan Kincaid の作詞・作曲、ボーカル。ディスコっぽくありますが、レイドバックした雰囲気も持っています。オリジナルアルバムでは、これがエンディングになります。
Spice Of Life 以降、日本盤に特別に収録された限定のボーナストラックで、例によって商売上手なヤツです。ファンは、いろんなバージョンを購入するんですよ。カッティングギターを軸にした、軽快で少しレトロなファンク・ポップ・チューンで、カラフルで肩の力が抜けたハッピーな曲です。
One More For The Road ドラマーの Jan Kincaid の作詞・作曲メインボーカルのレトロなファンク。メローファンク好きなんですね。「One more for the road」は、バーなどの帰り際に使う、最後にもう一杯だけお酒を飲もう」
Easy Now タイトル通り「Easy」な、肩の力がほどよく抜けたミドル・テンポの心地いいインスト・ファンク。彼らが1980年代後半にデビューした当時の「純粋なジャズ・ファンク・バンド」としての実力と魅力の再現のような楽曲。完全に日本盤のみの曲らしい。
Sunlight (Disco Kingz Remix) Sunlight (Grayedout Remix) 原曲があれば、編集でもっと盤が作れます。無限に売れます。

売れる曲づくりアレンジのツボが、もはや完全にパターン化されている感じで、ボーカルを変えながら、古くからのファンの期待に応え、新しく聞く人にも斬新で、商業主義的な側面も魅力にしてしまう、いつまでもアシッド・ジャズの代名詞ですね🎶

lead vocals : Dawn Joseph (5, 7, 10), Jan Kincaid ( 4, 12, 14)  N'Dea Davenport (2,3,6), Simon Bartholomew (9,13)
backing vocals : Aurora Dawn , Dawn Joseph, Fishmouth, Jan Kincaid , Johan Jones Wetterberg, N'Dea Davenport, Sharlene Hector, Simon Bartholomew
bass : Andrew Levy
drums : Jan Kincaid
guitar : Andrew Levy, Mark 'Club' Ralph, Simon Bartholomew
handclaps : Carsten Bieraeugel, David Ranalli , Julian Fontenell, Kaharine Steger , Peggy Timmermans
keyboards : Andrew Levy, Jan Kincaid, Matt Steele
synthesizer : Darren 'The Partinator!' Black, Marcus J Knight
percussion : Andrew Levy, Jan Kincaid, Simon Bartholomew
sax : Jim Hunt
trombone : Nichol Thompson
trumpet : Dan Carpenter, Dom Glover
viola : Kotono Sato, Thea Spiers
violin : Alex Afia, Alex Stemp, Alice Pratley , Paulette Bayley , Sarah Brandwood-Spencer, Thea Spiers cello : Izzi Dunn, Simon Denton

producer : The Brand New Heavies
recorded by (strings) : George Atkins

1. Forward / Simon Bartholomew, Jan Kincaid, Andrew Levy
2. Sunlight / Rita Campbell, Jan Kincaid, Tim Laws
3. Do You Remember / N'Dea Davenport, Andrew Levy, Johan Jones Wetterberg
4. On The One / Jan Kincaid
5. A Little Funk In Your Pocket / Simon Bartholomew, Marc Jackson Burrows, Dawn Joseph, Jan Kincaid, Andrew Levy
6. Addicted / N'Dea Davenport, Andrew Levy
7. Lifestyle / Simon Bartholomew, Jan Kincaid, Andrew Levy
8. Itzine / Simon Bartholomew, Jan Kincaid, Andrew Levy
9. The Way It Goes / Simon Bartholomew, Jan Kincaid, Andrew Levy
10. Lights / Simon Bartholomew
11. Turn The Music Up / The Players Association, Laurel Dann, Chris Hills
12. Heaven / Jan Kincaid, Andrew Levy
13. Spice Of Life / Simon Bartholomew
14. One More For The Road / Jan Kincaid
15. Easy Now
16. Sunlight (Disco Kingz Remix)
17. Sunlight (Grayedout Remix)





Itzine

Lights


定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月4日火曜日

John Coltrane / Soultrane


 タイトル「Soultrane」は、この曲は ピアニスト Tadd Dameron のアルバム Mating Call (1957) に収録されている、John Coltrane が参加した ピアニスト Tadd Dameron の曲「Soultrane」から取られていますが、収録曲に、この曲は入っていません。このアルバム名は、「Coltrane」と「Soul」を掛け合わせた造語的な「イメージ・タイトル」になるようです。また、このアルバムは 1958年録音され Prestige から発売されていますが、変則的にBlue Note から 発売された Blue Train (1957) と名前が似ているのは気になるところですが、関係があるのであれば、後発のこのアルバム名も Soultrane → Soultrain にしていてもよさそうなものなので考え過ぎかもしれません。
 ちなみに、Coltrane は、ソロデビューする前に、Blue Note の創設者である Alfred Lion と会っていて、Alfred は Coltraneと専属契約しようと考えていたのですが、その後 Coltrane は Prestige と契約してしまったとのことです。しかし Coltrane は Alfred との約束を果たすため、Blue Train のレコーディングを行ったとのこと、誠かどうかはわかりませんが、 Alfred Lion と会ったときに金とレコードをもらって帰ったらしいので、友情というよりは「お金」をもらっていたので Blue Train の録音があったのでは?それにしても、Blue Train (1957) の翌年に別の会社で「Soultrane」の名前でアルバムを出すなんて、何かがあったような感じもします。


Good Bait Tadd Dameron と Count Basie の 1944年の共作のバップのスタンダード・ナンバー。ミディアム・テンポでシンプルな、ほのぼのしたテーマのあと、Coltrane は引き締まったトーンで細かいフレーズのソロ、それからのシングル・トーンを中心にした Garlandのソロ、Chambers のピチカート・ソロなどはオーソドックスでわかりやすい。
I Want To Talk About You エクスタイン楽団のバンド・リーダー兼歌手の Billy Eckstine が作曲した曲です。Coltrane は、甘く流れることなしに朗々とテーマを吹き、Garland の優しいタッチでのコードと優雅なソロ展開、Chambers もそれに続き、もったりとしながらも語りかけるようなソロはおいしい。この曲は以後60年代にもずっと、Coltrane の重要なレパートリーになっているようです。
You Say You Care ここでも Coltrane のテーマの提示に続いて、直ぐに躍動的なサックスのアドリブ・プレイ。ダンサブルで速い曲にのって吹きまくるが山場を作り、言いたいことを簡潔に言い切るソロ構成はさすが。Garland ⇒ Chambers のソロ回しも今までと同じ構成の正攻法だが、安定の攻め方は聴く方にも余裕を持たせてくれる。
Theme For Ernie フィラデルフィア生まれの Fred Lacey が、黒人アルト奏者、Ernie Henry に捧げた曲。Henry は Coltrane と前後して、ガレスピー楽団でアルト・サックスを吹いていたこともありますが、このアルバムの収録前年の57年12月に亡くなっています。
Russian Lullaby Irving Berlin 作曲のマイナーキーのスイング。荘重な Garland のピアノイントロで始まり、フーンと思ったら、高速展開にいきなりスピードアップ、Coltrane の激しい シーツ・オブ・サウンド になり、そのまま押し切りが見事。5分33秒の短すぎず長すぎずが聴きやすいしモンク無し。

Coltrane の良さは未だにつかめていないのですが、久しぶりにこのアルバムを聴いて、時間をおいて聴き直し効果があって、なんか良いかもしれんと思ってます。古臭さが非常に心地よく、暗いジャズ喫茶で煮詰めたコーヒーを飲みながら聴きたい感じです🎶🎷

tenor sax : John Coltrane
piano : Red Garland
bass : Paul Chambers
drums : Art Taylor

Recorded Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey ; February 7, 1958.

1. Good Bait / Count Basie, Tadd Dameron
2. I Want To Talk About You / Billy Eckstine
3. You Say You Care / Jule Styne, Leo Robin
4. Theme For Ernie / Fred Lacey
5. Russian Lullaby / Irving Berlin





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2026年8月3日月曜日

Jaco Pastorius & Rashid Ali / Blackbird


 Jaco の没後、1991年に発表の音源で、刺激的なヤツで、Jaco Pastorius と Rashid Ali によるデュオ・ライブ。元々はフランスのラジオ中継から起こされた音源で、1984年12月19日にカリブ海のグアドループで行われたデュオ公演を収めた作品で、日本の Alfa Jazz から発売された“半ブート的”な位置づけの作品で、業界から干されはじめた状態の悪い時期とも言えます。
 1982年にウェザー・リポートを脱退したあと、ドラッグやアルコール依存、そして双極性障害とされる精神面の問題が一気に表面化し、生活が不安定になっていきますが、1984年2月から5月にかけてニューヨークのクラブでレギュラーにライブを行い、6月にプレイボーイ・ジャズ・フェスティバル、7月には「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」で最後の来日をしており、演奏活動自体はまだかなり精力的でした。一方で、1984年のこの時期には既に躁うつ病(双極性障害)と診断されています。
 キャリア的には、すでに大手レーベルとの契約は失い、クラブやフェス、単発ツアーでの出演は続けいて、完全なホームレス状態や暴力事件に巻き込まれるのは1986〜87年のフロリダ移住以降。つまり、1984年末は「まだギリギリ音楽活動でつながっている段階」と見るのが妥当でしょうか。
 Rashid Ali は John Coltrane の晩年期のドラマーで、ポリリズミックで自由度の高いドラミングが特徴。Jaco の状態は良くないのですが、このデュオでは、通常のフレットレス・ベースだけでなく強いディストーションをかけたサウンドを多用し、ハーモニクス、コード、スラップ、ループ的リフを駆使して、ほとんど「二人だけのフリー・ジャズ・バンド」のような世界を作っています。アイディアの鋭さとラフさが同居していて、精神的な揺れをそのまま音にしているような印象。ここでの「Blackbird」は、即興的要素が強く、原曲からかなり遠く離れた解釈で、メロディをそのままなぞるというより、モチーフを断片的に示しつつイメージを膨らませていくようなアプローチです。Jaco の状態が悪いにしては、演奏はチャンとして音が出ているとは言えますが、PAそっちのけで音質無視でアンプの音量をあげてしまったり、サービスな演出なのかもしれませんが怖い感じはします🎶 

bass : Jaco Pastorius
drums : Rashid Ali

recorded at French Radio on the 19th of December, 1984

1. Broadway Blues
2. Slang
3. Purple Haze
4. Fannie Mae
5. Blackbird
6. Donna Lee
7. Continuum
8. Naima


Slang


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2026年7月31日金曜日

Herbie Hancock / Maiden Voyage

 

 1965年5月、5枚目のリーダー作として制作された、60年代の Herbie Hancock の傑作と言われ邦題は処女航海。Herbie といえば、私の学生時代のイメージは1980年代のヒップ・ホップなどを取り入れたエレクトリック・サウンドで、敬遠しがちなジャンルでした。ジャズをやっていたことは知ってはいたのですが、あまり単体で聴くことはありませんでした。しかしおそばせながら Miles を聴き始めてから Herbie のジャズスタイルを聴くことも増えてきて、やっぱり聴いといたほうが良いんだろうなと Speak Like A Child を入門にして、このアルバムなどを購入しています。


 Herbie は、Miles Davis グループに1963年~1965年まで在籍していました。なのでこの1965年の作品のメンバーもトランペットの Freddie Hubbard を除けば、Milesバンドの録音のメンバーで、その影響をモロに受けています。タイトル通りテーマは海の広大さと威厳・処女航海で海をゆく船の壮麗さ・優雅なイルカの美しさ・小さな海生生物の生・嵐などを盛り込んだモチーフを持って作成されたオリジナル作品が収録されています。もともとは1965年3月11日にドラムだけ Stu Martin で Maiden Voyage、Little One、Dolphin Dance の3曲を録音していたそうですが、そのテープは残っていないようで聴き比べができれば更に楽しめるのに残念な限りです。

Maiden Voyage 航海に乗り出す船の美しい姿や、光る水面などのイメージする風景画的な曲で、曲としてはモードジャズ的な構成でコードチェンジは少なめです。
The Eye Of The Hurricane 「Maiden Voyage」が穏やかで広がりのある“船出”の情景なのに対して、緊張感が高く、リズムもハーモニーも鋭い雰囲気になります。透明感があってキラキラのしたピアノのバランス感もあります。
Little One Milesの E.S.P. (1965) のセッションでも録音されています。メンバーは当然この録音と同じです。テンポは遅く、静かな導入から始まります。和音は柔らかいのに、どこか不安定で、子どもの心の揺れのようにも聞こえ、荒れる海の物語の途中に出てくる、静かな回想シーンや、誰か大切な存在を思い出す場面のようにも感じられます。
Survival Of The Fittest ダーウィンの進化論で有名になった「最も適応した者の生存」という考え方を指す言葉がタイトル。ここでは「生き残りをかけた闘い」や「極限状況での緊張感」が前面に出てきて、荒れ狂う自然の中で、生き延びるために必死で抗う瞬間や、試練の場面を象徴しているようなイメージ。
Dolphin Dance 複雑なコード進行と独特のモーダルな動きで、波のように和音が変化していき、どこかに落ち着きつつも完全には止まらない流れが続き、イルカが流れに身を任せながら自由に泳ぎ回るイメージや、海そのものの大きなうねりに感じます。いや名曲。

1965年にしては、現代的な音のセンスの和音とビートのジャズを展開しているのだから、当時のこのアルバムを聴いたジャズ・ファンは新たな時代を感じたに違いありません。この後にエレクトリック・キーボードを取り入れてファンク、ヒップホップ、ジャズ回帰などの活動をする人だけに、アルバム全体を通して聴くとしみじみするものがあります🎶

piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Anthony Williams
tenor sax : George Coleman
trumpet : Freddie Hubbard

producer : Alfred Lion

recorded on March 17, 1965.
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

1. Maiden Voyage / Herbie Hancock
2. The Eye Of The Hurricane / Herbie Hancock
3. Little One / Herbie Hancock
4. Survival Of The Fittest / Herbie Hancock
5. Dolphin Dance / Herbie Hancock



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