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2025年2月22日土曜日

Roy Hargrove's Crisol / Grande-Terre

 

 Roy Hargrove は、私よりも若い1969年米テキサス州ウェーコ生まれの若手だったが2018年ニューヨークで49歳の若さで急逝した。私がロイを最初に聴いたのは、アフロキューバン系のラテン寄り1997年の Habana 。ストレートで美しい響きのトランペットとラテンは非常によくマッチしていて、他のアルバムも聴きたくなり、その後にジャズ・ヒップホップに転向するRHファクター Hard Groove も聴いてみた。そこから気になるトランぺッターの一人になり初期 ハード・バップ 作品も聴いてきました。が、最初に聴いた Habana を超える作品には未だ出会っていません。技巧派であることは間違いなく、演奏にパッションも感じるのですが爆発的なところが欲しいのですが、今ひとつ聴いている身としては不燃気味になってしまう印象があります。
 手にしたこの作品は、Roy Hargrove の死去から6年、録音から26年が経った2024年に未発表の作品としてリリースされていたもの。久しぶりに行った DiskUnion の店頭で見かけたの購入となりました。
 ジャケットのデザインも、かなりカッコ良いし購入してから数日で、いつもの行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」へ持ち込みで最初の試聴としました。マスターヘは、肩透かしも多いですが今回は期待かもと前口上を述べてのCDインをしたところ、最初はオッ、カッコ良いかもと聴きながら酒も進みます。マスターはラテン・ジャズも聴きますが好んで聴くタイプではないことは知っていたのですが反応はマズマズでした。


 Roy Hargrove's Crisol の「Crisol 」は、ハーグローヴは1997年頃に結成されたユニットでスペイン語で「るつぼ」を意味しています。アフロ・キューバンのリズム、ネオ・バップ、プログレッシヴ・ジャズを多面的に融合させたサウンドで、主とされているRHQ(ロイハーグローブ・クインテット)RHB(ロイハーグローブ・ビッグバンド)RHF(RHファクター)とは、異なる音楽性です。
 このアルバムは、Crisol の「Habana」に続く第2作としてテナーサックスの Jacques Schwarz-Bart(シュワルツ・バルト)の生まれ故郷であるカリブのグアドループ島1998年4月グアドループのスタジオで吹き込まれたもので、アルバムのタイトル 「Grande-Terre」は、そのスタジオがあった島の一部からとっています。事前にリハーサルはなし、録音は全てライブ、オーバーダブも無しとのこと。またグアドループ島と言えば小沼ようすけ氏の Jam Ka で使われている民族楽器’Ka’ で記憶にある場所でもあり、そこら辺にも親しみを感じます。


 それでは全曲レビューです。Rhumba Roy ピアノの Gabriel Hernández による楽曲で、緻密なリズムのラテン・ジャズで、スリリングなハードバップで劇的な展開です。ソロのトップバッターを切る Roy Hargrove が、かっ飛ばし、おそらく作曲者の Gabriel Hernández の怒涛のフレーズは、かなりの聴きどころです。トップバッターで飛ばし過ぎたので、静かな A Song For Audrey はベースの Gerald Cannon の楽曲。静かではありますが、ベースラインは実は忙しい動きをしています。Audrey に捧げる曲なのは、わかりますが誰なのか? Lake Danse は、Roy Hargrove の楽曲です。リズムを抜かせば王道なジャズのようですが、複雑なリズムがそれをダンサブルに彩ります。Kamala's Dance これも Roy Hargrove の楽曲。ゆったりとしたラテンのリズムはダンサブルであるものの、小さな動きで細かなステップを踏む感じで Kamala は娘の名前とのこと。前曲もそうですが、メリハリは各パートで付けられますが、曲全体の抑揚は少な目です。B And B ギターの Ed Cherry 作曲のとてもダンサブルで軽快なルンバですかね。王道のラテンのピアノ・リフとベースの絡み。それに巧みなホーン部隊のアンサンブルで安定。パーカッション・ソロも王道のラテン・パターン。ある意味新しいものは無いような気はしますが演奏はピカイチです。Another Time 次はドラムの Willie Jones の静かな楽曲。このバンドは全員が曲を作れるようです。Lullaby From Atlantis はテナーの Jacques Schwarz-Bart の作曲でホーンのアンサンブルから始まり、本編はきっかりジャズします。一息つく感じですね。Afreaka は Cedar Walton の楽曲で、かなりの上げているラテン・アレンジが楽しい楽曲です。ここにきて自由に表現しまくるメンバーの個性がたってきて楽しいかもしれません。トロンボーン大活躍です。前曲がアフリカで今度は Ethiopia と地名の楽曲が続きます。今度はピアノの Larry Williams がエチオピアの広大な大地を楽曲で表現する、ハーグローブとのデュオで、しんみりと聴かせてくれます。Priorities 最後は Roy Hargrove の楽曲で締めくくりとなります。ドラムの Julio Barreto の語り?ラップ的なノリですかね。バンドのまとまりを魅せるクロージングで芸術性も高い作品と思えます。
 歯切れよいアフロキューバンなリズムで、ブルース、バップ要素を盛り込んだ展開は気持ちが良い。私としては、総じて良いのですが、やはり Habana を超える作品には惜しくも未だ出会えなかったかと言う印象で、多分それは無いのかな。でも、かなりの好印象作品で「お気に入りの場所行き」は確定です🎶

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove
trombone : Frank Lacy
alto sax : Sherman Irby
tenor sax : Jacques Schwarz-Bart
guitar : Ed Cherry
piano : Gabriel Hernández, Larry Willis
bass : Gerald Cannon
drum, vocal (10) : Julio Barreto
drums : Willie Jones
percussion : Miguel “Angá” Diaz
percussion : Changuito (José Luis Quintana) 

producer : Larry Clothier
recorded by Henri Debs in April 1998 at La Terreur studio in Pointe-à-Pitre Guadeloupe

photography : Des McHahon
art direction and design : Kyledidthis

1. Rhumba Roy / Gabriel Hernández
2. A Song For Audrey / Gerald Cannon
3. Lake Danse / Roy Hargrove
4. Kamala's Dance / Roy Hargrove
5. B And B / Ed Cherry
6. Another Time / Willie Jones
7. Lullaby From Atlantis / Jacques Schwarz-Bart
8. Afreaka / Cedar Walton
9. Ethiopia / Larry Williams
10. Priorities / Roy Hargrove


▶ Afreaka



  

2025年2月14日金曜日

Miles davis / My Funny Valentine in Concert

 

 先に聴いた「Four & More」は超高速バップに圧倒されました。そこで知ったのが、このアルバムと実は対であること。このアルバムに収録の「My Funny Valentine」はあまりにも有名なので聞いたことがありますが、アルバム一枚を聴いたことは多分ジャズ喫茶とかであったような、無かったような曖昧な記憶です。このアルバムは、1964年ニューヨークのリンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールで行われた2公演の一部で、バラードを「My Funny Valentine」に高速バップは「Four & More」の2枚に収録され「静」と「動」として対をなす傑作とされていると言われています。


 最近トランぺッターのアルバムが好きで好んで聴いていますが、演奏はできないのでテクニックについては詳しくは知りませんでが、トランペットにはビブラートを付ける奏法と付けない奏法があることは最近「小川隆夫著のマイルス・デイビスの真実」のマイルスが高校時代に教わったエルウッド・ブキャナンから教わったくだりで知り、なるほど、そう思って聞くとマイルスの音はまっすぐです。改めて聴く「My Funny Valentine」は緊張感のあるイントロから始まる15分で、マイルスのハーフトーン、ノンビブラートはめちゃくちゃかっこ良い響きで、支えるメンバーの演奏もやはり決まっています。その中でもこのアルバムでもマイルスを除く花形はやはりハンコックに聞こえます。ハンコックのピアノは、エレガントなクラシックっぽい響きは瑞々しくこのアルバムではぴか一目立ってます。そして「All of You」はイントロからマイルスのミュート・トランペットの表現力」の豊かさに耳を奪われます。続くGeorge Colemanのテナーは、ゆっくりとよく考えながら心から染み出すような音がマイルスと対比的で、曲としても演奏に説得力があるこれまた好演。「Stella by Starlight」もマイルスのソロは攻撃的で挑発的です。序盤途中で雄叫びを上げる観客がいますが既に序盤で感極まってのこと、それぐらい深く響く。「All Blues」については、リズムセクションの丁寧さとマイルスのミュートプレイの妙から始まり、ミュートを外し解き放たれたマイルスの力強さの対比が良くて迫力ある。「All of You」では思慮深いソロパターンはテナーのコールマンだったが、この曲ではハンコックに引き継がれてからコールマンへと渡される。「I Thought about You」はマイルスの作曲で自身の考える世界が自由に表現され展開する。単調なようで微妙な抑揚が感じられます。
 このアルバムも最初に聴いた時には、世で言われるほど名アルバムなのか理解できませんでしたが、聴きこむにつれて発見も多く、この構成やパワーは古くささに色あせるようなものではない深いものを感じました。参りました。「Four & More」と対で、愛聴させていただきます🎶
 
trumpet : Miles Davis
tenor sax : George Coleman
piano : Herbie Hancock
double bass : Ron Carter
drums : Tony Williams

producer : Teo Macero
recorded at Lincoln Center "Philharmonic Hall", NYC on February 12, 1964.

1. My Funny Valentine
2. All of You
3. Stella by Starlight
4. All Blues
5. I Thought about You





  

2025年2月12日水曜日

New Jersey Kings / Party To The Bus Stop


 マイルスの On The Corner をオマージュしたジャケットで、ブラス・バンドっぽいノリでもあると思いますが、マイルス風エレクトリック・ファンクジャズ作品でもなく、ブオンブオンとホーン部隊だけで編成されている訳でもなく、UKアシッド・ジャズ作品です。リーダーは James Taylor のプロジェクトによる New Jersey Kings の1992年リリースのファースト・アルバムで、The James Taylor Quartet の変名バンドとのこと。James Taylor と言っても、あのシンガーソングライターの方ではなく、こちらはイギリスのハモンド・オルガンのミュージシャンですので、そこら辺を間違えてはいけませんので紛らわしいだらけの作品で、たまにしか聴かないのに、かなりの優秀作ですので棚は移動しときます。


 それでは優秀作を再度聴きながらレビューしていきます。The Monkey Drop ワウの効いたギターとブットいベースがファンクして、オルガンサウンドが効いてます。Get Organized は、Baker Brothers でありそうなリフで、メチャクチャ好みです。フルート・ソロからオルガン・ソロ、サビのギターの、チョーキングしながらカッティングするギターなども美味しい。Solid こちらも、Baker Brothers、Soulive系です。チャクチャクと刻むワウのギター、オルガンで、今度はサックスがソロのメインです。サビの盛り上げかたもワンパターンな気がしますが様式美の範疇です。Sweet Cakes 跳ねるジャズ・ファンク・サウンドです。相変わらず一辺倒なサウンドですが、ここの曲で何となく録音がホールのようなところで録られているようなリバーブがありますが録音場所などの記載は見当たりません。 Sweet Shirley 安定のジャズファンク・サウンド。ここまで来ると、どのリフが好みか?程度の類似性が感じられます。The Latin One 曲名にもあるように、聴いているとラテン系のリズムを使っています。日本語版のライナーノーツに何か情報がないか読んでいると、原盤にもなんも書いてなくて、「ニュージャージー州のレコード会社に埋もれていた過去のバンドの発掘音源」などと冗談で書かれていたようですが「冗談である」とは書いていないようで、嘘か誠かはマニアにしか判別できない紛らわしいヤツのようです。All Wrapped Up は聴いたことあるヤツです。 Melvin Sparks のジャズファンク・チューンをカバーでノーザン・ソウル風に解釈です。Charlie's Groove おそらくライブとかでもラストに使われそうな曲です。

ライナーノーツには何も書いてありませんが、New Jersey Kings のメンバーは下記です(ドラムはどちらでしょう?)

keyboad : James Taylor
guitar : David Taylor
bass : Gary Crockett
drum : Andrew McGuinness
drum : Neil Robinson
sax, flute :  John Willmott

producer : The New Jersey Kings
illustration : Matt Deighton ←発売の AcidJazz レーベルの所属ギタリスト

 オールドジャズファンクの名盤、復刻と帯に冗談を書かれていたら私は信じてしまいます🎶

1. The Monkey Drop
2. Get Organized
3. Solid
4. Sweet Cakes
5. Sweet Shirley
6. The Latin One
7. All Wrapped Up (Melvin Sparks)
8. Charlie's Groove





  

2025年2月10日月曜日

Chick Corea Elektric Band II / Paint The World


 私の大学時代のバイブル的なチックコリアのアルバムは、「Ⅱ」が付く前の Chick Corea Elektric Band「Light Years」 でした。コマーシャルで革新的と感じた音は、今思えば軽すぎて人間味の少ないデジタルな音だったので、少々心に残りにくい音であったのですが、このアルバムについては、ルージーな感じの複雑なフュージョンに変わり、もう少し親しみやすい感じで、好みと言えば好みに変化してきたのですが、いかんせんテクニックに走るばかりで印象に残りづらいとも感じてしまいます。と進化を遂げたものの、セールス的にもイマイチだったようで、このバンドは活動期間1年で、アルバムは、これたった1枚を残して解散となっています。


 それでは全曲レビューです。Paint The World イントロがドラムが4拍子なのに対し、ピアノがフリーなフレーズで変拍子のような感覚になりますが、途中からかみ合ってくるのでいつの間にか普通の曲になる不思議なトリック、そしてベース、ギターが加わるとフュージョンのサウンドになります。編曲はかなり凝っています。Blue Miles どこかで聞いたことがあると思ったら、Grp All-Star Big Band / All Blues でも聴いていました。Grp All-Star Big Band では、Michael Brecker がソリストでフューチャーされていましたが、こちらは Eric Marienthal でした。好みとしては甲乙つけがたし。Tone Poem ああ チック・コリア だなと思う曲になっています。Mike Miller のガット・ギターのような音色とフワフワと散りばめられる音符が素敵な曲ではあります。CTA 細かなピアノの無機質なパッセージが印象的、とてもスリリングで単体としては好いんですが印象には少ないのが残念。Silhouette スペース感のあるSEから始まります。曲名は和製英語でもよく使われ馴染み深い言葉「シルエット」で1分43秒で、次の曲への序章のような効果で使われ、Space へと続きます。この曲は印象に深い曲で好きな曲です。The Ant & The Elephant 何かの物語の題名のような曲でギターの Mike Miller を上手く起用してサックスの Eric Marienthal との絡みが良いです。Tumba Island これもテーマがチック・コリア 節な曲です。エレクトリック感の無いバンドでの演奏で聴いてみたいですがアコースティック・ピアノでは無理があるかな。Ritual エレクトリック・バンドの良さが出ています。複雑な変拍子は5拍子ですかね。Ished スリリングな感じでインプロとキメが複雑にからんでいるのでしょうか。無機質な音の羅列にも感じますが、実はとても熱いインプロでじっくりと聴くと良いです。Spanish Sketch 静かに絵画を見ているようなイントロからスパニッシュ・スケールを使ったスペイン風のテーマとアドリブで雰囲気がコロコロと変わり演奏している方は大変そうな大曲です。Reprise アルバムをまとめる最後は曲と言うよりは映画の最後のようなスペイシーな小曲です。どこかで聞いたことがあるようなフレーズも出てきながら不思議な世界が何かの穴に少しづつ吸いこまれていくようなラストは面白い。
 久しぶりに聴いてみると結構良いアルバムで印象が変わりましたが、ヘビロテの棚には残念ながら行きそうにはありません🎶

piano, keyboards, programmed by (Synth), mixed by, producer : Chick Corea
technician (equipment) : Eric Seijo
technician (piano & rhodes) : Brian Alexander
bass : Jimmy Earl
drums : Gary Novak
guitar : Mike Miller
sax : Eric Marienthal

executive-producer : Dave Grusin, Larry Rosen
producer [production director Grp : Sonny Mediana
co-producer, executive producer, artwork by (cover concept) : Ron Moss

recorded by (recording manager) : Danny Byrnes
recorded by, mixed by : Bernie Kirsh
recorded at Mad Hatter Studios Los Angeles

1. Paint The World / Chick Corea, Gary Novak
2. Blue Miles / Chick Corea
3. Tone Poem / Chick Corea
4. CTA / Jimmy Heath
5. Silhouette / Chick Corea
6. Space / Chick Corea
7. The Ant & The Elephant / Chick Corea
8. Tumba Island / Chick Corea
9. Ritual / Chick Corea
10. Ished  / Chick Corea, Jimmy Earl
11. Spanish Sketch  / Chick Corea
12. Reprise  / Chick Corea



▶ Ritual


  

2025年2月9日日曜日

Nels Cline & Julian Lage ‎/ Room


 即興とアバンギャルドな世界感がヤバいです。Wilcoのギタリストとして知られる Nels Cline(ネルス・クライン)と現代若手ギタリストと当時言われていた Julian Lage(ジュリアン・レイジ)のギター・デュオ作品です。私的には、この手のジャンルは、余り持ち合わせていないので、タワレコとかで試聴してから興味本位で購入かと思われます。


 30歳離れたデュオですが、世代を超え、左チャンネル Julian Lage、右チャンネル Nels Cline とのこと。オーバー・ダブなしの格闘技のような音の応酬は、内面的な激しさが感じられます。テーマもありますが、通常のインプロビゼーションとは異なるところへ飛んでいくため、興味のない人は何をしているのか全く理解できないものとなります。
 私も何を意図しての、このインプロなのかは全く理解できませんが、フリージャズでも鍛えられてきた、耳に今では全く違和感はありません。ただ、エネルギー丸出しのフリージャズでは無く、音の持つ響きを楽しむ?静観しながら、その秘めたエネルギーを聞き入る作品かと思います。


 ギターと言う楽器は、アルペジオであったり、単音のノートであったり、ストロークでかき鳴らすなどのプレイが出来る楽器ですが、これを2本のギターで行う即興プレイはなかなか無いと思われます。このようなインプロに関わらず、ユニゾンのラインを息もぴったりであることにも驚きです。
 フリー・ジャズ、現代音楽、実験音楽、即興音楽、の境界線は、どこにあるのかマダマダわからないリスナーとしては若輩者ですが、この手の面白見は、最近感じ取ることが出来るようになってきました。このようなアルバムは、今日はいつもの音楽好きの集う「おでんバー」で爆音でかけたいと思います🎶

electric guitar, acoustic guitar : Julian Lage, Nels Cline

producer : Nels Cline & Julian Lage
released November 25, 2014
recorded December 1–3, 2013

1. Abstract 12 / Julian Lage
2. Racy
3. The Scent Of Light
4. Whispers From Eve
5. Blues, Too
6. Odd End
7. Amenette
8. Freesia / The Bond
9. Waxman / Cline, Lage
10. Calde / Lage

絶対に、永遠にまね出来ません。



  

2025年2月5日水曜日

Danny Gatton Joey DeFrancesco / Relentless


 たまに聞き返すアルバムで結構良いんですが、お気に入りの棚には入らないヤツです。このアルバムを手にしたのは、おそらく20年以上前。再度聞き直すとブルース・ロックから始まり、ストレートで力強いジャズ・ブルースまで、Danny Gatton(ダニー・ガットン)は、かなり凄腕のギタリストです。派手なインレイが入ったテレキャス使い、カントリーのロカビリーで知られたギタリストのようで、なるほどリーゼント気味です。ジャズ、ブルース、ブルーグラス、ロックなど、あらゆるジャンルの音楽を演奏できるセッション・ギタリストでもあったとのこと。そして Joey DeFrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)は、ジャズオルガン奏者で、トランペットやピアノ、サックス、シンセサイザーも演奏するマルチ・プレイヤーで、レイ・チャールズやヴァン・モリソン、ベット・ミドラーをはじめとする様々なミュージシャンとスタジオ・セッションを行っている方とのこと。2022年51歳で亡くなられています。Danny Gatton も1994年に49歳で亡くなっています。
 聞いていると、どこかスティービー・レイボーンを思わせるようなリフやギター・ソロもでてきます。まあレイボーンも、ジャズスタイルのブルースなんかも弾くだけにルーツ的なところでフレーズが似てきたとも考えられると思いますが、ダニーガットンのほうがレイボーンより約10歳ほど年上です。つまりはレイボーンがダニーガットンを聞いて取り込んだ可能性もあるということでしょうか。

 

 アルバムを聴き進めると、ウェイン・ショーターの「The Chess Players」がブルース色濃く演奏され、セロニアスモンクの「Well You Needn't」なんかは高速になってオルガンのジョーイが弾きまくってます。
 レビューしときましょう。Fine 完全にブルース・ロックから始まりです。リフ自体はレイボーンも多用するオーソドックスなタイプですが、テレキャスのペケペケでギランとした音が良いです。コピーしても勉強になるタイプですね。(最近は私ピック使わないんでこのタイプは弾きませんですが)Broadway ジャズ・ブルースですね。作曲は1940年で Wilbur H. Bird おそらくデフランセスコのリクエスト何でしょうが、ガットンのギターの方が楽しんで弾いている感があります。Kindred Spirits ガットンの作曲で、フュージョンチックなナンバーで、先の2曲とは全く違う面を見せてくれてカッコ良いフレーズ連発です。The Chess Players ウェイン・ショーターのナンバーですが、思いっきりブルースしてます。ジャズ的なギターですが、ブルースのダブル・ストップを使い、キメはレイボーンもよくやるヤツです。センス良しですね。Gearheads 速めのロック・ブルースでオルガンも限界の速さに挑戦みたいな箇所の窮屈さがたまらんですし、ガットンのロカビリー・テクも連発で、ギター弾きにはたまらんです。Blues On The Half Shell ジャズ・ブルースに戻り、この対比もアルバム構成としても素晴らしいです。オルガンのウキーっと鳴るところが良いですし文句なしにカッコ良いヤツです。The Pits テレキャスのレイボーンみたいな感じです。情感たっぷりに弾くギターは若いギター小僧がマネしたがるヤツです。ギュンギュン言わせてください。 Big Mo 古いタイプのブルースとフュージョン的な感覚が混ざった落ち着いたブルース曲です。Well You Needn't 最後はロカビリーテクを取り入れたモンク曲です。ガットンとデフランセスコのセンスの良さはもうわかりました。脱帽の素晴らしい仕上がりです。
 センスの良さが非常に際立ち、お蔵入りしていましたがはもったいない内容ですが、あまり聴かないんです。このアルバム。ジャケ写が悪いんですかね🎶

guitar : Danny Gatton
organ : Joey DeFrancesco
bass : John Previti
drums : Timm Biery

producer, mixed by, engineer : Ed Eastridge
roducer, mixed by, guitar : Danny Gatton

1. Fine / D. Gatton
2. Broadway / Bird, Woode, McRae
3. Kindred Spirits / D. Gatton
4. The Chess Players / W. Shorter
5. Gearheads / D. Gatton
6. Blues On The Half Shell /  C. Battistone, D. Gatton
7. The Pits / D. Gatton
8. Big Mo / D. Gatton
9. Well You Needn't / T. Monk

Fine




  

2025年2月3日月曜日

Erroll Garner / Concert By The Sea

 

 Erroll Garner といえば Plays Misty に収録の「Misty」が有名です。タイトル曲の Misty は、ぼんやりとしてアドリブも無いもので、Plays Misty 自体は非常に力強いタッチの曲が多く Misty のみが浮いている感じはありました。さて本アルバムは、どんなアルバムなのか?
 ということで、会社を午後休にして久しぶりに行くかと、新宿の DiskUnion で物色していて目についた中古を購入することにしました。購入したら直ぐに聴きたいものですので、その日に、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に行くと時間が早いので、マスターと私のみだったので、心置きなくその日の戦利品をかけてみることにします。最初に聴いたのは違うCDでしたが、聴きながら4、5杯目のウイスキーを飲み干して気分が良くなったところでこの作品。私的には輪郭がはっきりとしていて、わかりやすいので結構気に入ったのですがマスター的には好みではないそうです。わかる気がします。人それぞれですから
 さてガーナーは楽譜を書くことはもちろん読むこともできなかった方ですが、両親は音楽好きでピアノを弾き、兄のリントン・ガーナーもジャズ・ピアニストの家庭なのにピアノ教師にはつかずに独学を選んだそうです。私もピアノを最近頑張ってますが習ってはいません。凡人で歳ですので、Boogie Piano を中心に楽しみながら練習しています。仲間内とライブ・ハウスでセッションをするときに華麗にデビューしたいと目論んでいます。ジャズはその後ですね。


 さて、肝心のアルバム、申し遅れましたが、1956年のカリフォルニアの Carmel というところでのライブ録音。最初に書いたように、全体的にアップテンポで押しまくる演奏で、ピアノは、コードは強力に4ビートを刻んで、それに合わせて強いタッチのメロディーが溢れてきます。右手が遅れ気味と評されているようですが私にはよくわかりません。しかし、わかるのは トリオ演奏であるにも関わらずドラムとベースをかき消すかのようなピアノのと他の楽器の録音バランスの悪さ。生で聴いても同じなんでしょうか。そこそこ大きいホールでの演奏のようですので、力いっぱいの打鍵でリーダーの存在感を出すのにも、この力強さが必要だったんでしょう。大音量にも関わらず演奏が佳境に入ると唸り声が聞こえます。この人も唸るピアニストだったようで、そこは発見でした。
 レビューしていきましょう。I'll Remember April は1941年のヒット曲をアップテンポで押しまくりの重量級の曲にしてしまっています。ハッピーな演奏です。Teach Me Tonight はミドルテンポですがハッキリとした拍をつけてコロコロとした旋律にどぎつく叩きつけるコードで凄みが効いてます。ここらへんで少し唸りはじめです。Mambo Carmel は、この地での演奏として考えた曲名ですね。ちっともマンボではありませんが軽快で豪快です。そして、Autumn Leaves もダイナミクスが効いた演奏で甘ったるい曲では無く、凛々しくビートを効かせてキビキビとした社交ダンスでも踊る人がいれば、似合いそうな感じに仕上げてやり過ぎな感じが凄みを感じます。It's All Right With Me では、再びアップテンポにコール・ポーターの書いたホーン向けの曲なのにグイグイと引っ張られます。最後のテーマは少し優しく弾くのですが、今まで力の限りのような演奏なのでホッコリします。 Red Top では、シンプルな音使いでスイングしますが始終ご機嫌の歌っぽい唸りでご機嫌のほどが伺えます。ノリにのってハックルバック、ルイズを入れてご本人もご満悦。そして April In Paris はエレガントな曲でファンタジックな世界観を見せてくれます。このライブは、劇場で演劇を見ているような立体感のある演奏です。観客は弾きこまれるでしょうね。と思っていたらガーシュインの They Can't Take That Away From Me です。ズシズシとビートを刻みながらも、力の入れ方を変えたフレーズで曲全体の雰囲気を作っています。How Could You Do A Thing Like That To Me ミディアム・テンポの小曲です。隙間を開けた緩急のつけ方で、エンターテーナー性のある演奏です。最初にこのアルバムを聴いた時は、ずっと力が入っているアルバムの印象でしたがこの落差が良い。観客のオジサンが演奏後に興奮して叫んでます。Where Or When は Hart - Rodgers の名曲をアップテンポで、落ち着きのない子供のようにじっとしていないコードワークも素晴らしい。最後は即興で Erroll's Theme でお後がよろしいようで。
最後のメンバー紹介の後のジョークは
「You know something? You haven’t heard Erroll say one word, and he’s got a great voice. I want to insist it go on the air. Erroll, say one word.」
「It’s worse than Louis Armstrong.」
演奏ばかりでトークの無いステージだったんでしょうか。アームストロングより声は悪いぜとしゃがれ声で応えています。I want to insist it go on the air. ですから、これはラジオかなんかの公開録音だったんですかね🎶

piano : Erroll Garner
bass : Eddie Calhoun
drums : Denzil Best

recorded live in Carmel, California.

1. I'll Remember April / D. Raye, De Paul, P. Johnson
2. Teach Me Tonight / DePaul, Cahn
3. Mambo Carmel / Garner
4. Autumn Leaves / Johnny Mercer, Kosma
5. It's All Right With Me / Cole Porter
6. Red Top / Kenyard, Hampton
7. April In Paris / Harburg, V. Duke
8. They Can't Take That Away From Me / I. Gershwin - G. Gershwin
9. How Could You Do A Thing Like That To Me / T. Glenn
10. Where Or When / Hart - Rodgers
11. Erroll's Theme / Garner





  

2025年2月2日日曜日

Joni Mitchell / Shadws And Light

 


 ジョニ・ミッチェルが1979年9月にカリフォルニアのサンタバーバラで行なったコンサートの模様を収録したライヴ作で、故ジャコ・パストリアスを初めとするドンアライアス、マイケルブレッカー、パットメセニー、ライルメイズというジャズファンからしたら聞き逃せないメンバーによる作品です。目当てとしてはジャコの作品収集の一環としての購入なのでジョニファンには申し訳ないですがジャコファン目線で記述すると、ジョニとジャコのコラボは1976年の「Hejira」1977年の「Don't Juan's Reckless Daughter」1979年「Mingus」があり、ジャコとのコラボ作としては最終作となります。パット・メセニーとのコラボは1975年にドイツで録音されたパット・メセニーのデビュー作 Bright Size Life から始まっています。
 ジャコ目線で追ってしまいましたが、これだけの凄腕を集めると誰かがジョニよりも目立ってしまったりしまうものですが、メンバーに最高のパフォーマンスをさせつつ従えて自分のパフォーマンスを最高レベルに見せてしまうことができるのは格が違います。ジャコついでに書いてしまうとビル・ミルコスキー作の「ジャコパストリアスの肖像」で大概の人はジャコはユーモアがあって素晴らしい男だったと褒めていますが、ジョニだけは「傲慢で挑戦的」とインタビューに答えています。でも「たいていの人は彼には耐えられなかったけど私は彼と一緒にやっていきたいと思った」とも答えています。ドラッグに溺れた後のジャコとはほぼ付き合いがなく最後に会ったニューヨークのバーでは表情がなくて虚ろな目をしたジャコがいて名前を読んだら抱き合ったと語っています。正直にでも言葉を選んだインタビューで、きっと素晴らしい女性であることをうかがわせる内容でした。


 この音源も聞いたことはあったんですが、ジャンルレスに聴く人を惹きつけるボーカルはいつまでも心を打ち新鮮な気持ちで聴くたびに新鮮な気持ちになれます。レビューしていきましょう。In France They Kiss on Main Street ジャコの音が、やけにでかいですが、しっかりとしたグルーブでボーカルの邪魔をしないところや盛り上げ方も良し、カントリー調にもこんなに相性が良いのかと最初から飛ばしてきます。Edith and the Kingpin イントロだけジャコがしゃしゃり出てきます。静と動の対比が素晴らしくジョニの透き通った歌声が素敵です。そして名曲ですな Coyote ジャカジャカのギターはジョニでメセニーのギターがキラキラとしてドン・エイリアスのコンガが効果的です。Goodbye Pork Pie Hat はミンガスとの楽曲でジャズ期の作品です。このメンバーだからこその演奏は、とても聴きやすいし、自由に音階を泳ぐように歌うボーカルもまた良し。ジャコのランニング・ベースからのおかずの入れ方も天才的です。Amelia も良い曲ですよねえ。ジョニの弾き語りでしょうか。ギターも上手し。続いて Pat's Solo でクセのあるギター・ソロです。個人技もお後よろしいようで楽しいコンサートです。そして待ってました Hejira です。ベース、Saxのソロ、も含めエレクトリックなジャズがバンド一体となって展開されます。ジョニは Weather Report をバックバンドにしたかったそうですが、同等の効果が実現されているようです。そしてDreamland は楽しいナンバーです。そして Band Introduction でのメンバー紹介。パットメセニーはパット・マルティーニか。Furry Sings the Blues で、熱くなった観客を少々冷やしながら聴かせます。Why Do Fools Fall in Love? はロックンロールでイントロで少し流れたヤツですね。素晴らしいハーモニーと選曲です。Shadows and Light ここでこのアルバムのタイトル曲です。大きな会場でこのハーモニーを聴くと観客は感激で震えたに違いありません。そして、また楽しいライブですからジャコが少し遊び心でサービスし、ジョニが貫録の歌で God Must Be a Boogie Man。そして最後は Woodstock です。最後は派手にかますことはせずに、歌を聴いてもらう曲にするのも泣けますね。名盤です。
 行きつけの「おでんバー」には、このアルバムのLPが置いてあり、CDと聞き比べたらLPのほうが臨場感が格段にあったので少し悔しい思いをしております🎶

vocals, electric guitar : Joni Mitchell
keyboards : Lyle Mays
lead guitar : Pat Metheny
electric bass : Jaco Pastorius
drums : Don Alias
sax : Michael Brecker
vocals : The Persuasions

Recorded & filmed live at the Santa Barbara Bowl, Santa Barbara, California, USA on September 9, 1979, using the remote facilities of Record Plant Mobile, Los Angeles.

1. Introduction
2. In France They Kiss on Main Street / Joni Mitchell
3. Edith and the Kingpin / Joni Mitchell
4. Coyote / Joni Mitchell
5. Goodbye Pork Pie Hat / Charles Mingus, Joni Mitchell
6. Dry Cleaner from des Moines / Charles Mingus, Joni Mitchell
7. Amelia / Joni Mitchell
8. Pat's Solo /  Pat Metheny
9. Hejira / Joni Mitchell
10. Dreamland / Joni Mitchell
11. Band Introduction 
12. Furry Sings the Blues / Joni Mitchell
13. Why Do Fools Fall in Love? / Frank Lymon, Morris Levy
14. Shadows and Light / Joni Mitchell
15. God Must Be a Boogie Man / Joni Mitchell
16. Woodstock / Joni Mitchell