ラベル CD JAZZ FUSION の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル CD JAZZ FUSION の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年9月1日火曜日

The Bill Evans Trio / I Will Say Goodbye


 Fantasy Record 時代の最後を飾るラストのトリオ作品で、没後にリリースされた You Must Believe In Spring (1977) と同じトリオ・メンバーでの録音です。スタジオも同じですが、録音日は異なっています。このアルバムは1980年の1月にリリースで、Evans は同年の9月に亡くなっていますので、ぎりぎり存命の時に発売されています。ですが、発売が 1980年なので、「当時の最新作」というよりは、あとから世に出た「遺された録音」として受け止められやすい一枚でなので、演奏の静けさに少し切なさが重なるのもわかる気がします。


この時期のエヴァンスは、Eddie Gómez と Eliot Zigmund との呼吸がかなり成熟していて、3人の会話のようなアンサンブルがまとまりやすい時期でした。
 この時期の Evans は、1976年にドラムは1968年から一緒にやっていたドラマー Marty Morell が1976年に Eliot Sigmund に交代しました。先に Lee Konitz, Warne Marsh のカルテットで録音が Crosscurrents (1977)、そしてこのアルバムと  You Must Believe In Spring (1977) をベース、ドラムとのトリオで録音しています。ジャンキーであり、肝炎などの病気を患っていた Evans は、繊細で知的、詩的なリリシズム(抒情性)な面のほかに、破壊的内面や、派手ではあるが孤独な側面を見せるようになってきますが、この盤では。ほの暗く、どこか諦念感にも通じる、透明感のある弾き回しを感じます。

I Will Say Goodbye ベースとドラムが前に出すぎず、Bill Evans のフレーズを支えながら、会話のように流れで、ほの暗い透明感があります。
Dolphin Dance Herbie Hancock が Maiden Voyage (1965) のために書いた曲。モーダルな響きと独特の浮遊感が印象的な曲ですが、原曲のモーダルな開放感を和声の余韻を残す方向に自然に置き換えられています。ドラムとベースの下支えによって内省的で落ち着いた印象に変わっています。
Seascape  メロディが出る前から曲の温度が決まっているように海の情景を感じる。これもベース、ドラムの下支えがあってこそのピアノの輪郭が浮き出る一体感のある演奏。
Peau Douce  フランス語のタイトルで、直訳すると「やわらかな肌」という意味。Evans が好んだ、メロディの美しさや音色の繊細さと相性のいいタイトル。音を詰め込みすぎず、短いフレーズの余白で色を出し繊細さの表現に効いています。
I Will Say Goodbye (Take 2)  もともとの Legrand作品で、美しい旋律をトリオでどう深めるかの製作過程として注目して、1曲目と比較して聴いたのだが、どのように表現したものか迷うほどにこちらも良し。
The Opener このアルバムで唯一のオリジナル曲。上品に場を整える感のある作品で、タイトルからすると、1曲目にするつもりで書いたのがアルバムの構成上真ん中になったのか?
Quiet Light  やわらかい青みのある透明感と、形の整った演奏で、派手さより透明感があり、音数を増やすより、残響や間で魅せるタイプですね。
A House Is Not A Home  Burt Bacharach と Hal David が書いた1964年の楽曲で、もともとは映画 The Cardinal のために作られた曲。歌もののメロディをジャズ・トリオらしい繊細な和声感で再解釈。
Nobody Else But Me  メロディがまっすぐで、Evans の細かな和声づけがよく映えていて、静かに気持ちを押し出すタイプです。
Orson's Theme  やわらかい抒情と静かな推進力が同居する曲で、Orson が誰かはよくわかりませんでした。空気を整えるように始まる感じが魅力的で、メロディが終わったあとに残る響きが心地よい。

優雅で繊細で美しい哀愁漂う音色に聞き入ってしまいます。賛否が分かれるようですが、私には、これぞ Bill Evans 的なものを十分感じるので、良盤であると思います🎶🎹

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gomez
drums : Eliot Sigmund

producer : Helen Keane
recorded (May 11, 12, and 13, 1977), mixed, and mastered at Fantasy Studios, Berkeley.

1. I Will Say Goodbye / Michel Legrand
2. Dolphin Dance / Herbie Hancock
3. Seascape / Johnny Mandel
4. Peau Douce / Steve Swallow
5. I Will Say Goodbye (Take 2) / Michel Legrand
6. The Opener / Bill Evans
7. Quiet Light / Earl Zindars
8. A House Is Not A Home / Bacharach-David

【Bonus】
9. Nobody Else But Me / Oscar Hammerstein II/Jerome Kern
10. Orson's Theme / Michel Legrand








定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月25日火曜日

Miles Davis Quintet With John Coltrane Live In Saint Louis 1956

 

 ジャケット写真の Miles Davis がとても若くてふっくらしています。もともと私的録音によるマイルスの故郷であるミズーリ州セントルイスで行われた2回のラジオ放送テープです。ライナーノーツによると、1956年7月14日および21日と記載されている録音日は、実際の録音は1957年2月16日と23日であったと主張しているディスコグラファーがいるが、本当に1956年だとの説もあり、どちらが正しいかは不明です。
  Miles の実家はセントルイスにあり、1951年あたりから重度の麻薬中毒に陥り、仕事が全く入らなくなったため、セントルイスの父親の家に戻り麻薬依存症の治療に専念し1954年にカムバックし、その数年後に故郷に帰ってきての仕事の音源で、公式では、セントルイス での録音は、治療に入る前の重度ジャンキー時期の1952年春の James Forrest とライブ・セッション Miles Davis, Jimmy Forrest  Our Delight /  Recorded Live At The Barrel, St. Louis と、この録音の二つだけであるとされています。
 この録音のあと同年の1957年に、John Coltraneは、最初の Milesバンド の退団となります。理由は、この Milesバンド参加時期の評判が良くなかったと書かれていますので、薬物中毒で演奏に支障をきたしていたからでしょうか。ちなみに Paul Chambers、Philly Joe Jones もジャンキーであったとのことで、この時代のジャズ・ミュージシャンのジャンキー・エピソードはネタに事欠きません。


 演奏に希少性があるのはもちろんですが、ショーの冒頭では、マイルスの本来の声(数ヶ月後に手術を受けてダミ声/囁き声になる前の声)を聞くことができるというのも、貴重な資料であるとライナーノーツでも解説されています。
Intro Miles は Charlie Parker の「Ah-leu-cha」をアナウンスしています。ラジオMCとしてクレジットされている Spider Burks が彼に尋ねる。「Ah-leu-cha、それは外国語ですか?」「それは Charlie Parker の言葉だよ」なるほど。ですがそんなことしゃべってるかな?音がこもっていてよくわかりません。
Ah-Leu-Cha 紹介された Charlie Parker の楽曲で、なにやら激しいくRed Garland が叩きつけるようにピアノを弾き、Philly Joe Jones のドラムもスネアばかりが目立つ。Coltrane が高揚しているのはよくわかります。
A Foggy Day  アップテンポな Gershwin です。Paul Chambers の弓引きのアルコのスピード感と迫力、Red Garland の高揚したピアノが印象的。
All Of You これもアップテンポ気味です。肝心の Miles のトランペットが遠い遠い。サックスはそうでもない。ラジオって感じです。10曲目と2テイク入ってます。
Woody 'n You Miles のレパートリーとしては珍しい?ですが、先の All Of You よりはマイクに近くて Miles のトランペットが聞き取れます。でもベースとかの音とのバランス悪すぎですね。こうゆう時の Coltrane は、ゴリゴリと吹いていても説得力があるのがすごいですね。 
Walkin'  やっと各楽器のバランスが良くきけるようになってきたのはマイクのセッティングが変わったからか、こちらの耳が慣れてきたからなのか。やっとごり押しでない Red Garland のピアノソロですけど粗いことは否めない気がします。 
Two Bass Hit  この録音の前の年 1955年の Circle in the Round が最初の収録らしいです。アップテンポでスリリングな演奏ではあるが、バタバタしてる気がします。
Well You Needn't やっと落ち着いた演奏になってきたような気がします。相変わらず音のバランスは悪いですが聴きなれている曲の分、バックの演奏も頭の中で補えて聴けるので聴きやすくなっているんだろうか。それともこれが Monk 作品のすごさなのか。と思っていたらマイクの位置を変えたのか、バスンという音がして各楽器の音がクリアになります。そうか、ラジオ局の録音ではなくラジオから流れてくる音を自宅で録音しているんだ。マイクか、録音機材の位置を変えたら音が良くなったわけですね。なるほど
Billy Boy 今までの録音状態による各楽器を聞き取れないストレスから解放されます。割と高速で演奏されるのにしっかりと演奏されるところも聞き取れて良いです。
All Of You  先に聴いていた録音状態の悪いバージョンと違って楽しく聴けます。テンポ落としてますかね。Miles の優しいニュアンスが聞き取れます。
Airegin Sonny Rollins の傑作ですね。高揚します。スピード感あふれる素晴らしい演奏で最後の方で満足感。最初の録音状態では楽しめなかったはずでホッとします。
Announcement, The Theme  終わりになったかと思えば最後は7分の大熱演
Sign Off, The Theme  クロージングがこの前であったのかと思えば、さらに最後にクロージングなんですね。
前半、音質に難があるのはしかたないですが、真面目に聴きこむとそればかりが気になってしまいます。ラジオを聴くようにその雰囲気を楽しむのが良いとは思います。録音時の時代背景なんかも含めて聴くと、なかなか面白い録音ではないでしょうか🎶🎺

trumpet : Miles Davis (1, 2, 4 to 8, 10 to 13)
tenor sax : John Coltrane (曲: 1, 2, 4 to 8, 10 to 13)
piano : Red Garland
bass : Paul Chambers
drums : Philly Joe Jones
mc : Spider Burks

live at Peacock Alley, Saint Louis, Missouri, July 14 (#1-6) & 21 (#7-12), 1956. Two Saturday afternoon concerts.

1. Intro
2. Ah-Leu-Cha / Charlie Parker
3. A Foggy Day / George & Ira Gershwin
4. All Of You / Cole Porter
5. Woody 'n You / Dizzy Gillespie
6. Walkin' / Richard Carpenter
7. Two Bass Hit / Dizzy Gillespie, John Lewis
8. Well You Needn't / Thelonious Monk
9. Billy Boy / Traditional
10. All Of You / Cole Porter
11. Airegin / Sonny Rollins
12. Announcement, The Theme / Miles Davis
13. Sign Off, The Theme / Miles Davis

定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月24日月曜日

Cornell Dupree / Teasin'


 初リーダーアルバムとのことで、見かけたら即購入したアルバムです。Cornell Dupree は、おそらく Stuff に参加が日本ではメジャーなギタリストで(と思っています)、フュージョン作品がメインかと思えば、実はソウル、R&B関係のほうが歴としては長いようです。
 1960年代前半に King Curtis の The Kingpins に参加してから Atrantic Records のセッションギタリストとして活動を開始し、Aretha Franklin のバンドにも長らく在籍、名盤 Donny Hathaway Live 1972 にも参加しています。
 ギタースタイルは、ソウル、R&B系の歌うように弾かれる滑らかなシングルノートの独特のタイム感、キレよく入ってくるダブルストップを多用したオブリガート、ピック弾きと混ぜて中指や薬指で弦を引っ張るように鳴らす多彩なタッチニュアンスで強弱が自在のバッキングワーク。でも「強弱」と言っても「強」をあまり聞いたことが無い珍しいタイプのギタリストです。音色は シングルコイルなのに「きらきら」し過ぎず、やや丸い音色で、ピッキングで強弱をつけると、そのままニュアンスが出てくるダイナミクスの広さで、ゲイン控えめ。


 「Stuff(スタッフ)」が結成されるのは1975年のこと。このアルバムが録音された1974年は、まさにStuffになる直前のメンバーたちが、お互いのグルーヴを確かめ合っていた時期です。Richard Tee、Chuck Rainey の参加は当然の気心の知れた最高の仲間たちです。

Teasin'  バックを支えるリズム隊の絡み合いが、とにかくカッコいい。Richard Tee の、ファンキーに弾けるクラビ。Chuck Rainey の、うねるような極太ベースライン。Bernard Purdie のブレないドラミング。大人のファンク・グルーブだ。
Blue Nocturne Curtis Ousley=King Curtis の作曲で、自分をテキサスからニューヨークへ呼び寄せ、プロの道を開いてくれた師匠。1971年に自宅前で暴漢に刺され、37歳という若さで亡くなった師匠への思いを込めたスローブルースです。
Jamaican Lady レゲエのリズムを取り入れた、どこか不思議な世界観を持ったフュージョン。ビヨンとした音色の楽器は Cornell Dupree が弾くエレキシタールでシンセではありません。
Feel All Right これも師匠 King Curtis 作品で、50年代のロックンロール風の少しレトロなギターのフレーズからスタートですが、1974年最新型のド派手な極上ファンクへとガラリと表情を変えます。ホーン部隊も入って楽しい。Stuff への進化する過程も少し見えるようなアッパーな曲です。
How Long Will It Last  後に Stuff で合流する Eric Gayle 作曲のご機嫌なファンクで、まさにこの後の Stuff のサウンドはうれしい。 あっちでもやってましたが、こちらでは少しテンポ落として大人な雰囲気。
What Would I Do Without You?  Ray Charles の超ド級ブルース・バラード。ボーカルはありませんが、Cornell Dupree がしっかりと、その心をギターで歌っているのが聴きどころ。
Okie Dokie Stomp 1950年代に大活躍したテキサス出身のギタリスト Clarence "Gatemouth" Brown の楽曲で作曲者にはそこのトロンボーン奏者の Plummer Davis がクレジットされています。イメージ的に Cornell Dupree は静かめにネバっとしたギターのイメージですが、このアルバムではこんな陽気なストンプもありで、激しいピッキングの Cornell Dupree は貴重かもしれない。
Plain Ol' Blues ラストは 8分を超える特大の長尺スロー・ブルース・ナンバー。 タイトル通り、飾り気のない「ただの、いつものブルース」だからこその締めくくりです。

前回に聴いたときよりも今回聴き直してはるかに好印象で、地味だと思っていた印象も変わりました。Stuff 結成前夜のような雰囲気も感じられ、いつもより激しめのプレイも聴けて満足です🎶🎸

guitar, sitar : Cornell Dupree
keyboards : Richard Tee (1 to 3, 5, 7, 8)
piano : George Stubbs (5), Paul Griffin (4)
bass : Chuck Rainey
drums : Bernard Purdie
percussion : Ralph MacDonald

baritone sax : Seldon Powell (4 to 8), Trevor Koehler (1 to 3)
tenor sax : David Newman (1 to 3), Joe Farrell (4 to 8), Seldon Powell (1 to 3)
trombone : Garnett Brown
trumpet : Ernie Royal (4 to 8), Joe Newman, Jon Faddis (1 to 3)

producer : Mark Meyerson, Michael Cuscuna
recorded at Atlantic Recording Studios, New York, N.Y.

1. Teasin' / Curtis Ousley, Delaney Bramlett
2. Blue Nocturne / Curtis Ousley
3. Jamaican Lady / Chuck Rainey, Cornell Dupree
4. Feel All Right / Curtis Ousley
5. How Long Will It Last / Eric Gayle
6. What Would I Do Without You? / Ray Charles
7. Okie Dokie Stomp / Plummer Davis
8. Plain Ol' Blues /  Cornell Dupree

▶ Teasin'







定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月22日土曜日

Zoot Sims / Zoot Sims in Paris


 何か良いテナーのジャズ・サックスのアルバムはないか、いつも聞かない人を発掘してみようと diskUnion でジャケットが気に入ったので購入です。中古なのに値段も確か2,000円近くしたはずで、この値段ならハズレはないだろうと思い切りました。購入後は、いきつけの音楽好きの集う「おでんバー」で、いつものように試聴をしましたが、マスターは、はっきりと好き嫌いを言うひとなので「俺 Zoot Sims ってつまんないと思うんだよね」です。嫌いと言っても最後まで付き合って聴いてもらえますので、まあ、いつものことなのでしょうがない。
 ジャズ・テナー奏者といえば Sonny Rollins、John Coltrane、Dexter Gordon、Hank Mobley、Stanley Turrentine、Benny Golson ・・・星の数ほど巨匠がいらっしゃいますが、まだ傾倒するほど好きになった人はおらず、 もともとロック・フュージョン好きなので管楽器は鋭角的な音のほうが好みで勉強中なので Michael Brecker あたりしか好きな人としてあげられる人はまだいません。今までの実績としては、知らない人、聴きなれないジャンルでも聴き続けていたり時間の経過とタイミングで、いいじゃんと思えるタイミングがくることが多いですので、きっと私にもいつか、ジャズ・テナーを聴いて心と耳に残るものが、出てくるはず。


 好き嫌いは、ともかくとして私が好んで聴く現代の鋭角的な音のテナーとは明らかに違います。フュージョンではない Coltrane も、高域の倍音が強く、アルト寄りに聞こえる鋭く張りつめた音色でエネルギッシュです。しかし Zoot Sims は、低音に持っていくときのビブラート、エロくも感じるしゃくりが、特徴のチョイ悪オヤジ的な音かと思います。他のアルバムも聴いていて思ったのは、息をサックスに入れてから発音されるまでのタイムラグとカスレ具合がチョイ悪オヤジ的な雰囲気を増長させるのなとも思われます。


Zoot's Blues それじゃ肩慣らしにブルースでも、やってライブを始めるか、みたいな余裕が感じられます。ドラムの Jean Louis Viale のブラシでのノリの作り方が良くて、リズムに乗りながら曲に入っていけます。
Spring Can Really Hang You Up The Most  Hang You Up なんて物騒な感じもしますが、四月は最も残酷な月 でしょうか。Thomas Stearns Eliot の詩が題材のようで、春の明るいイメージとは裏腹の物悲しさもあるしっとりしたバラードです。
Once In A While 1937年に出版されたポピュラーソングのスタンダード・ナンバー。リラックスして、スラっとしたテナーで安定したスイング。エンディングの手前で荒ぶるフレーズが一瞬出るのはメンバーに終わるよの合図でしょうか。これがスッと出てくるのもカッコ良いかも。
These Foolish Things 1936年に発表されたポピュラーソングのバラード。アルバムではアップテンポな曲とバラードが交互に配置されているようです。Billie Holiday、Frank Sinatra など歌手にもよくカバーされていますが、テナーで歌うようにテーマを歌い上げ軽いピアノソロで軽くテナーソロの重くないバラードになっています。
On The Alamo 1922年に発表されたジャズ・スタンダードの名曲で、流れるようなメロディが美しい曲です。このメンバーでの演奏がそうなのか、選曲がそうなのか、メロディーが美しめの曲がスラっと演奏されてサラっと終わる感じですね。
Too Close For Comfort 1956年ミュージカル Mr. Wonderful のために書き下ろされたポピュラーソングです。Henri Renaud のピアノソロが長めにとられていますが、可もなく不可もなくな感じでもう少し突っ込んで欲しかった。
A Flat Blues ブルースで一服。1曲目と同様に、ドラムの Jean Louis Viale のブラシワークのカッコ良さにが気になります。ちなみにテナーサックスはB♭管なので、実音A♭は譜面ではB♭。つまりテナーは譜面のドを吹くと実際にはB♭が鳴るのでB♭系の感覚で演奏できるので演奏は容易なようです。
You Go Top My Head 1938年に出版されたポピュラーソングでエレガントで物憂げ。やっぱり選曲でこっち系が好きなようです。Henri Renaud の型にはまったようなピアノソロが悪くないけど気になります。Sims はさすが安定感があります。
Savoy 1942年頃にラッキー・ミリンダー楽団によって録音されたダンスナンバー。やはり軽く踊れる感じが好みのようです。最後にピアノ、ドラムにも注意して聴いてたんですが、やはり Henri Renaud は型にはまったようなピアノソロ、Jean Louis Viale のブラシワークは何故かブルース曲の方が良い。

 マスターが言われるほどの「つまらなさ」は感じないですが、切り口がだいたい一緒な感じに退屈さは感じるかもしれません。作業などをするときにかけ流して聴くのに適しているタイプで、酒でも飲みながら Zoot Sims でも聴くかってゆっくり聴きながら飲んだら良いんではないでしょうか。ずっとエロいサックス吹きの印象でしたが、久しぶりに聴くとそうでもない🎶🎷

tenor sax : Zoot Sims
piano : Henri Renaud
bass : Bob Whitlock
drums : Jean Louis Viale

producer : Alan Douglas
recorded at “BLUE NOTE” PARIS, December 1961

1. Zoot's Blues / Zoot Sims
2. Spring Can Really Hang You Up The Most / Tommy Wolf, Fran Landesman
3. Once In A While / Michael Edwards, Bud Green
4. These Foolish Things / Harry Link, Jack Strachey, Eric Maschwitz
5. On The Alamo / Isham Jones, Gilbert Keyes (Gus Kahn), Joe Lyons
6. Too Close For Comfort / Jerry Bock, Larry Holofcener, George David Weiss
7. A Flat Blues / Zoot Sims
8. You Go Top My Head / J. Fred Coots, Haven Gillespie
9. Savoy / Bill Doggett, Lucky Millinder









▶ Savoy

定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月21日金曜日

David Sanborn / Estival Jazz Lugano 2009

 

 Decca Records に移籍しリリースして Here & Gone (2008) はジャズというよりはブルース系4ビートやビッグ・バンド風のサウンドを基調としてリズム&ブルースのエッセンスを採り入れたアルバムでした。そのニュー・アルバムを引っ提げて2009年7月3日に開催されたスイスのルガーノ・ジャズ・フェスティバルに出演したライブ盤です。
 エスティバル・ジャズは、入場無料のオープンエア・フェスティバルで、ジャズを軸にしつつジャズ寄りのロックやファンク、ワールド系も出演する、野外の広場で大勢が集まる「街ぐるみ」のイベントになっているようです。イベントといっても毎年初夏から夏にかけて数日間開催、延べ来場者数は年間およそ25万人規模の大規模なお祭りです。莫大にかかる費用は、地元自治体や観光局などの公的支援、企業スポンサー、メディア・パートナーからの支援、物販・飲食、放送権、録音物リリースなどの収入などによって観客無料になっているようで、素晴らしい催しです。
 ほか、Estival の表記が気になります。タイトル名は日本語では「フェスティバル」表記ですが、原題は「Estival」となっています。開催地スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語 で、調べてみたところ Estival どうやらフランス語のようで、お祭りの名詞よりは、夏のという意味の形容詞で使われるようですが、Estival Jazz Lugano はどう見てもジャズフェスの名前。うーん、よくわからないが、まあ良いか。


 アルバム  Here & Gone (2008) からの楽曲は、 2. Brother Ray, 3. St. Louis Blues, 4. Please Send Me Someone To Love, 6. I've Got News For You で、1. Full House は、Murcus プロデュースの Upfront (1992)、5. Smile >  Soul Serenade の Smile は、Sanborn (1976) が初収録の Sanborn の十八番で、 Soul Serenade は、King Curtis のインスト曲でソウル出身の Sanborn のルーツのような曲で、これも  Upfront (1992)に収録されています。
 ファンとしては、David Sanborn がわかりやすくライブで聴けるので嬉しいライブ・アルバム。この時期になってくると、ライブでもこれから一発当てるぞ的なギラギラしたものは全く感じられない落ち着いた演奏です。かといって、これからは俺が好きな音楽をやるぞ的なアート的な主張もない。つまり良いんだけどワクワク、ドキドキするようなものは無いんですよね。音しかないんですけど、何かロックかポップスの映像を見ているような感覚です🎶

alto sax : David Sanborn
keyboads : Ricky Peterson
guitar : Nicky Moroch
bass : Richard Patterson, Mike Pope
drums : Gene Lake
trumpet : Nicolas Gardel
sax : Martin Jacobsen

1. Full House / David Sanborn, Marcus Miller
2. Brother Ray / Marcus Miller
3. St. Louis Blues / W. C. Handy
4. Please Send Me Someone To Love / Percy Mayfield
5. Smile >  Soul Serenade / Paul Simon, Coleridge-Taylor Perkinson  > Curtis Ousley,  Luther Dixon
6. I've Got News For You / Roy Alfred


定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月20日木曜日

Bill Evans / Some Other Time(The Lost Session From The Black Forest)


 Bill Evans、Eddie Gomt)Jack DeJohnette のトリオのResonance Records から2016年半世紀を経てのリリース発掘音源。ドイツのフィリンゲンMPSスタジオでの1968年のセッションです。このトリオは6カ月しか活動していなかったため、音源はこれを入れて三作しか残っていません。購入は2016年のリリース後即で、ライナーノーツを、しっかりと日本語訳で読みたかったので日本版の高い方を購入しました。
 ・「At The Montreux Jazz Festival」1968年6月15日録音
 ・本作「Some Another Time」1968年6月20日録音
 ・オランダのヒルフェルスムライブ「Another Time」1968年6月22日録音


 1968年6月20日にMPSスタジオで録音された時点で、このセッションは正式な発売作品としてきちんと契約されていませんでしたので、未発表となってたようで、モントルーでのライヴ絶賛を受けたドイツのプロデューサー、ハンス・ゲオルク・ブルナー=シュヴェルが「ぜひスタジオでも録ろう」と急遽録音をセッティング。Evans は当時アメリカでは Verve と契約中で、MPS側との取り決めは「必要な許可が降りない限り発売しない」という暫定的なものだったようです。その後、誰も本格的に契約交渉を進めないまま時間が過ぎ、テープはMPS側のアーカイヴに保管されたまま「存在を知る人もほとんどいない状態」になり、出すに出せないまま忘れられていったとのこと。
 そして2000年代にはMPS創設者ブルナー=シュヴェルも他界し、テープは家族のクローゼットに眠ったままになっていたところ、2013年ごろ、Resonance Recordsのゼヴ・フェルドマンが、見本市の場でブルナー=シュヴェルの息子と出会い、「エヴァンスの未発表スタジオアルバムがある」と知らされ、駐車場の車内でそのテープの一曲を聴かせてもらい、Evans 側の遺産管理、共演者、MPS家族など複数の権利関係者との調整に動く
複雑な権利処理をクリアし、Resonanceが2016年に『Some Other Time: The Lost Session From The Black Forest』として世界初リリースとなったわけです。
 未発表音源は、きちんとした録音機材でとられていないものが多くありますが、道理で高音質なわけです。
 途中で何回か流して聴いていますが、真剣に聴きなおすのは久しぶりです。初めて聞いた時の印象ですが、このトリオでの演奏は先に少し明るめの「Another Time」を聴いていたので、このスタジオセッション版はそれよりもう少し落ち着いた演奏と思っていました。

 2枚組で90分超のボリュームがあります。収録曲も多いので気になった曲だけ書き留めておきます。
You’re Gonna Hear From Me 後の Interplay (1972) にも収録されているレパートリーで、オルタネイト・テイクも2枚目の最後に収録されているがベースソロの前で終わってしまっています。明るいアレンジと軽いピアノのタッチ、高揚感があって出だしとしては最高、締めもこれなのはそのせいか。
Some Other Time Leonard Bernstein が1944年ミュージカル On the Town のために書き下ろした歌曲で Walz For Debby (1961) にも収録されています。淡々と、優しく弾かれ、中盤から後半にかけ、即興パートが進むにつれてじんわりと熱が帯びていきます。リリカルなタッチで聴かせるのではなく、強弱で切なさを表現する本作のタイトル曲となっています。
How About You? 1941年ミュージカル映画 Babes on Broadway の楽曲で、ポップでスイング感が良く出ている曲で、これも後の Interplay (1972) にも収録されています。 他の曲では繊細なブラシワークに徹することが多い Jack DeJohnette がスティックを持ち、弾けるようなスイング・ビートを叩き出していてスリリング。内省的な表情とは180度変わる「陽のEvans」がここにありです。

ライナーノーツには、Eddie Gomtz, Jack DeJohnette のインタビューもあり、そこらへんも中々興味深い内容となっています🎶🎹

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gomtz
drums : Jack DeJohnette

producer : Zev Feldman
recorded by Hans Georg Brunner-Schwer, Joachim-Ernst Berendt
recorded at MPS Studios in Villingen, Germany on June 20, 1968

 【Disc One】
1. You Go To My Head / Haven Gillespie, J. Fred Coots
2. Very Early / Bill Evans
3. What Kind of Fool Am I? / Anthony Newley, Leslie Bricusse
4. I'll Remember April / Don Raye, Gene de Paul, Patricia Johnston
5. My Funny Valentine / Lorenz Hart, Richard Rodgers
6. Baubles, Bangles & Beads [Duo] / George Forrest, Robert Wright
7. Turn Out The Stars / Bill Evans
8. It Could Happen To You / Jimmy Van Heusen, Johnny Burke
9. In A Sentimental Mood / Edward Kennedy Ellington
10. These Foolish Things / Eric Maschwitz, Jack Strachey
11. Some Other Time / Adolph Green, Betty Comden, Leonard Bernstein

 【Disc Two】
1. You're Gonna Hear From Me / André Previn, Dory Previn
2. Walkin' Up / Bill Evans
3. Baubles, Bangles & Beads / George Forrest, Robert Wright
4. It's Alright With Me [Incomplete] / Cole Porter
5. What Kind Of Fool Am I? / Anthony Newley, Leslie Bricusse
6. How About You? / Burton Lane, Ralph Freed
7. On Green Dolphin Street / Bronislaw Kaper, Ned Washington
8. I Wonder Why / Nicholas Brodszky, Sammy Cahn
9. Lover Man (Oh, Where Can You Be?) / Jimmy Davis, James Sherman, Roger Ramirez
10. You're Gonna Hear From Me [Alternate Take] / André Previn, Dory Previn
 



▶  Very Early



定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月19日水曜日

The JazzTimes Superband / Bob Berg, Randy Brecker, Dennis Chambers, Joey DeFrancesco


 新宿 DiskUnionで、見つけてメンツが好みだったので購入しました。フュージョン系と思っていたら、しっかりオルガン・ジャズしてて60年代ソウルジャズを現代的にアップデートしたような作風は大当たりで、購入したときにテンションが上がったのですが、いつもの行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では、反応が乏しかったので、そこで少しテンション下がったのを覚えてます。あれから10年以上は経っていると思うので、皆さんの耳も私の趣味趣向に慣らされてきているはず。久しぶりに聴いたので再度流しに行ってみます。


 バンド名の通りこのセッションは、アメリカの音楽雑誌「JAZZ TIMES MAGAZINE」の、創刊30周年記念(2000年)で結成されたバンド。私は手にしたことがありませんが「世界有数のジャズ雑誌」とも評され雑誌で、年に10回の発行。レコード店のおまけとして創刊した Radio Free Jazz が始まり1962年であったとのこと。
 ジャケット表紙には、ギターの 「Paul Bollenback」 はありません。聴いたことが無い人であったのですが、このバンドに参加するだけあってさすがの腕前。

Dirty Dogs かなりロックっぽい曲名の付け方です。しかし、しっかりジャズ感しているようで Joey DeFrancesco のハモンド・オルガンで、かなり「押しの強い」サウンドでヒップな曲になっている印象。
Silverado 単独の主役がいるのではなく4人が強い個性をぶつけあいます。Bob Berg のテナー、Randy Brecker のトランペット、Dennis Chambers のドラム、Joey DeFrancesco のオルガンが組み合わさることで、曲そのものよりもバンドの熱量がある ジャズフュージョン。
Jones Street この曲もメロディの気持ちよさより、4人の掛け合いの熱量が抜群の音の勢いと即興の応酬がすごい。Jones って誰?それとも Jones Street って通り?オルガンでジャム感がすごく出てるんかな。色々考えながら聴いてます。ギターソロが抜群にカッコよいです。
Oleo もしかしたら、このライブの目玉かもしれません。この曲は早く演奏されるのが常ですが、それにしても「高速Oleo」です。最速で走る演奏には一発免停になるんでは?とド肝を抜かれます。速さは正義です。ペダルのベースの速さも、こんなの踏めるのか?どうなってるんだって思います。
Friday Night At The Cadillac Club オルガンを皮切りに「週末の夜」っぽい高揚感がテーマで演奏され、Bob Berg のテナーが直線的に曲全体の推進力を作り、Randy Brecker がそれを受け、全開ではなく熱量を少しだけ上げる。Joey DeFrancesco のオルガンが和音の厚みでソウル感も醸し出す。クール。
Soho Sole Paul Bollenback が今までのギターと変えてエフェクターを使ったフュージョンっぽい音になり、各人のソロの受け答えと曲中のうねりが良い。大人なカッコよさ。
The Ada Strut Strut は気取って歩くみたいな感じだっけか。気取りながらも、いきって歩いているようなノリです。Adaって誰だろう?
Blue Goo Paul Bollenback が、またオールドスタイルのいぶし銀のギター。今回は Brecker  がお先にソロをとってからの、 Berg 。Joey DeFrancesco のハモンドが硬派で厚みとノリを出しながらソロでおしゃれにコードを変えるところがにくい。基本的には、真っ向勝負なブルース。
Seven A.M. Special 早朝の空気やスタート感よりは、モヤモヤしている感じがする曲なので、きっと朝方に書きあがった楽曲?うーん、トランペットが入ると朝っぽい感じが出てるような気もする。
Freedom Jazz Dance Eddie Harris の名曲で、Miles Davis が有名にしてから、みんな大好きなヤツです。皆さんの力量もあっての、このカオス感のあるアレンジはヒジョーにクール。そりゃ、これが最後で盛り上がる最高のライブです。

Joey Defrancesco が牽引するオルガン・トリオ+管という構成で、ベースラインがタイトになり、そのぶん現代的なグルーブになってます。素直にわかりやすいスーパーバンドな音、確かなテクニックでテンポ良く攻めてきます。意外と名盤かもしれない🎶

tenor sax : Bob Berg
trumpet : Randy Brecker
drums : Dennis Chambers
flugelhorn : Randy Brecker 
organ : Joey Defrancesco
guitar : Paul Bollenback

1. Dirty Dogs / Randy Brecker
2. Silverado / Bob Berg
3. Jones Street / Randy Brecker
4. Oleo / Sonny Rollins
5. Friday Night At The Cadillac Club / Bob Berg
6. Soho Sole / Bob Berg
7. The Ada Strut / Randy Brecker
8. Blue Goo / Joey DeFrancesco
9. Seven A.M. Special / Paul Bollenback
10. Freedom Jazz Dance / Eddie Harris




定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月18日火曜日

Grant Green / Idle Moments


 改めて聴きなおしたので、ライナーノーツも真剣に読み直すと、なかなか興味深い録音の状況が解説してありました。
Idle Moments - What does a person usually think of during his idle moments? Does he sit in recollection of past pleasures or disappointments? Or does he sit and daydream of an accomplishment, desire, or goal he wishes someday to finally achieve?
 ライナーノーツの書き出しはピアノの Duke Pearson。このアルバムではタイトル曲を書き下ろしています。この日の録音のセッションの最後でこのタイトル曲は録音され、録音前は7分程度に収める予定だったらしい。しかし進行を管理する Duke Pearson が演奏が始まると、自然とテーマや各自のソロが、当初頭の中で想定していた進行の倍になっても気にならず、録り終わった録音は15分となっていた。そこでAlfred Lion のリクエストで再度録音しなおし、7分程度におさめたのだが、長いテイクのほうが自然な録音だったのだが、アルバム全体の収録時間は決まっているため、今まで録音した、どれかを短くしなければならない。そこでメンバー全員で話し合いJean de Fleur が短くすることになったとのこと。本CDには alternate version が収録されております。実際の録音時間を見てみると、Jean de Fleur と Django の2曲が短くなったテイクが収録されています。どうやら Duke Pearson の記憶では Jean de Fleur のみ再録だったのだが、実際は2曲、それも大幅に短縮したのは、Django のようです。
 なるほど再発のリマスターCDには alternate take が収録されていることがよくありますが、単純に曲の構成を変えてみたりして良いほうを採用することもありますが、このように実際のレコードにいかにして収録できるか調整のために、いくつか録音することも必要な場合があったんですね。


 そう思うとロックやポップスではフェイドアウトの曲が良くありますが、ジャズとは違ってエンディングまでが1曲として完成されるよりも、楽曲そのものが良ければエンディングは、さほど需要ではないとの考えであったような気もします。
 昔のレコードの録音時間は LPは最大で片面30分程度、シングル盤は5~8分程度、音楽CDは74分ですから、マスターさえ残っていれば、昔のレコードの未収録バージョンを入れることができます。
 The Brand New Heavies は金儲け商業主義で微妙に内容を変えたバージョンを販売しているのかと思いましたが、レコード盤は本編でCD版は販売国によってボーナストラックが変わったり、リミックスを変えた曲が追加されていたりするのも、この録音時間の違いによる要素が大きいのかもしれません。

Idle Moments 14分59秒の長尺ではありますが、ゆっくりとしたテンポですが、Grant Green は、なでるように弾いてたかと思えばガツンときたり、いつものガシャガシャストロークを混ぜてきたりします。長めのギターソロの後に Duke Pearson が優しく優雅にピアノソロ、Joe Henderson は尺八のような低音で道端でボソボソと吹き始めたようなテナーではじめながら、段々と指もなめらかになります。と思ったらコンと Bobby Hutcherson のビブラホンが、そっとガンガン来ます。長尺が苦にならず最後まであきない出だし。良きかな。
Jean De Fleur ぐっと雰囲気を変えてスリリングにスイングですが、テーマのコードを伸ばすとこが Grant Green ぽいファンクな感じがします。続けて alternate version ですが、少し音圧高めでギター歪み気味で気持ち長めの録音です。スリリングさは前者の方が強いですがギターソロの流れは後者の方が私は気持ち良いかも。ジャズさは後者の方があるので革新的ではないかもしれない。
Django MJQ の楽曲でGrant Greenが長年録音したがっていた曲でその機会が訪れたことを嬉しく思うと Duke Pearson がライナーノーツに書いてます。中盤の Joe Henderson の渋いテナ ーと、力強く叩き出すような Bobby Hutcherson のビブラホンも良い味を出してます。ピアノもバランスのとれた構成のソロを短めにしていて良い。Grant Green は頭と最後にしっかりとしたソロを・・と思って聞いてたらフェイドアウト。ということは尺を考えての取り直しではない可能性があるのでDuke Pearson の記憶間違いではないか」の前述の推測は正しくないかもしれないですが、文章としては修正せずに前述残しときます。そしてDjango (alternate version) ですが、だいぶ長めでこちらのほうが演奏側は最初に本気で取り組んだバージョンです。後者の方がこじんまりしているような気がして、前者の方が演奏的にはワクワクして聴けるような気がします。後者は当然フェイドアウト無しの完結バージョン。
Nomad カチッとしたソロで Joe Henderson のテナーがビシッと決めてくれたら、Bobby Hutcherson のビブラホンも仕事をしなければなりません。タメの間も気持ちよく良い仕事なのかなと思います。真打の Grant Green のソロが、これまたカッコよくジャズしてます。ソロの途中のバッキングに Joe Henderson、Bobby Hutcherson が短く入ってくるとこも良いですなあ。最後に作曲者の Duke Pearson のピアノソロになり、テクニック的に目立つところは少ないものの気持ちはかなり入ってるかと思います。最後のいきなり戻るテーマの迫力も良しです。

やっぱりファンク期の Grant Green より、こっちのほうが好きかも🎶🎸

guitar : Grant Green
piano : Duke Pearson
bass : Bob Cranshaw
drums : Al Harewood
tenor sax : Joe Henderson
vibraphone  : Bobby Hutcherson

producer : Alfred Lion
recorded : RUDY VAN GELDER
recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on November 4, 1963 (#1, 3, 5 & 6) and November 11, 1963 (#2 & 4)

1. Idle Moments / Duke Pearson 14:52
2. Jean De Fleur / Grant Green 6:46
3. Jean De Fleur (alternate version) / Grant Green 8:05
4. Django / John Lewis 8:40
5. Django (alternate version) /  John Lewis 13:12
6. Nomad / Duke Pearson 12:13




▶ Django


▶ Nomad

定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

2026年8月17日月曜日

Thelonious Monk Quartet Plus Two / At The Blackhawk


 Monk 作品の中でも編成が異色の1960年録音。San Francisco のジャズクラブ Blackhawk クでのライブです。メンバーはブラス部隊が、テナーサックス2人+トランペットのセクステット(6人編成)で、テナーサックスの Harold Land, トランペットの Joe Gordon は、現地San Francisco のミュージシャンのセッションです。
 再録版の Orrin Keepnews の書いたライナーノーツにも「実際のところ、これは怪我の功名とも言える録音だった」とヤバい状況だったが結果的に良かったこと、いきさつが書かれています。もともとは Thelonious Monk、Shelly Manne の双頭セクステット・アルバムを Blackhawk で録音する予定が、スタジオ・リハで、相性がいまいちだったとのことで、企画がボツになり、3週間の滞在で New York へ手ぶらで帰るわけにいかないため、もともとセッションに呼ばれていた Harold Land,  Joe Gordon はそのまま起用され、The Ornette Coleman Quartet で注目されていた Billy Higgins との共演が実現されることになったとのこと。(ですが、ライナーノーツには、Joe Gordon appears through the courtesy of VEE-JAY Records. つまりJoe Gordon は VEE-JAY Records の意向により参加とのみ書かれています)
 1950年代にインディーズの Riverside で批評的には活躍はしていましたが、このあと1961年後半に大手メジャーレーベルである Columbia Records と契約を結びます。1960年前後は、Monk のキャリアにおいて「アンダーグラウンドでカルト的な評価を得ていた鬼才から、世界的なジャズ・ジャイアントへと飛翔した決定的なターニングポイント」にあたる時期で、Orrin Keepnews 氏も結構苦労はしていたのだとわかるエピソードです。
 

Let's Call This  ブルース的要素を含みつつコード進行にヒネリがあり、飛び跳ねてスキップしたり階段を下りてくるような楽しさがあります。アドリブではモチーフの反復とリズムのずらしが感じられます。Monk は練りに練って作曲するイメージがありますがこのタイトルは「この曲の名前どうする」って言われて即興でつけたようなネーミング。いつもの MOnk にトランペットが入ってくるとオっと注目してしまいます。
Four In One  1950年代に録音されたレパートリーです。テーマメロディが短いモチーフを細かく四つ組のように連結していって、フレーズ単位で「四拍ごと」にガクガクと切り替わり、クルっと周るダンスが連続しているような感じがモンク特有のリズムにのった不思議な感覚があります。Joe Gordon のトランペットが明るくスイングしてからのアダルトなテナーソロ、ピアノ・ソロに入ると Monk ワールドに引き込まれ、独特のテーマに戻り大団円。
I'm Getting Sentimental Over You  戦前スウィングのジャズ・スタンダード。元の美しさを残しつつ、リハーモナイズやリズムのずらしによって Monk 流に変えています。管楽器のバッキングのピアノのリズム、コードのずらし方がスイングしつつ、非常に主張が強く感じました。この曲はトランペット、ピアノ、テナーサックスの順のソロです。拍手大き目。
Epistrophy (complete) オリジナルには無かった Epistrophy のコンプリートバージョン。ピアノのバッキングとテーマのパズルのようなイントロがクールです。他の曲と比べるとバンド全体が、何故か堂々としていて安定感があります。録音マイクの近くで、しゃべっているオッサンの声が気になりますが、ライブならではのハプニングの味でしょう。
Evidence これもオリジナルに無い追加のボーナストラック。またもや録音マイクの近くで騒ぐオッサンの声が入ってます。CDでの再編集版なので収録時間が伸びたために、もともとあったテイクの追加なんですが、オリジナルに入ってなかったのは、ここら辺のオッサンの声もあるのでしょうか。2曲続けてオッサンの声が気になりましたが、他の曲に入っているのかもチェックですが、ほかの曲では気になるようなレベルではやはり入ってないようです。
San Francisco Holiday (Worry Later)  この盤でデビューの完全な新曲。当初はこの曲に「Classified Information(機密情報)」という仮タイトルを付けていたとのことですが、さらに後にはSan Francisco Holiday というタイトルに改題し、Worry Later は副題になったとのこと。クセのあるテーマですがAABA 形式にうまく収まって自然にスイングしてるように聞こえるメロディが特徴でテーマ自体は分かりやすい感じで、おしゃれな曲の感じの出だしですが最後はぐしゃっとした Monk 流に。
'Round Midnight 定番の名曲。厳かなピアノがイントロでリズムのずらしは無くとも Monk を感じられる名曲です。じっくりと聴いていると静かにワルツを踊っている人が見えるような、整然とした流れが感じられます。最後のテーマのバスドラのドゴンドゴンが謎。
Epistrophy (Closing Theme)  コンプリートバージョンもありましたが、セットのオープニングやクロージング・テーマとして演奏されることも多きライヴ盤に登場するお決まり曲。その場合クロージングのほうが多いと思います。「これでセットは終了を伝える合図のような役割で、テーマだけをコンパクトに演奏です。

最初は音が悪いと思いましたが段々と気にならなくなってきて、Monk がノリノリですっ飛ばしているように感じるのは、ドラムの Billy Higgins 効果があるからでしょうか、相性は悪くないと思います。蛇足ですが、いつも帽子をかぶって若干ふくよかなイメージのある Monk 、本ジャケットは痩せていて精悍なアルバム写真です🎶🎹

piano : Thelonious Monk
bass : John Ore
drums : Billy Higgins
tenor sax : Charlie Rouse, Harold Land
trumpet : Joe Gordon

producer, liner notes : Orrin Keepnews
recorded live on April 29, 1960 at The Blackhawk, San Francisco.

1. Let's Call This / Thelonious Monk
2. Four In One / Thelonious Monk
3. I'm Getting Sentimental Over You / George Bassman, Ned Washington
4. Epistrophy (complete) not on original LP) / Thelonious Monk
5. Evidence not on original LP) / Thelonious Monk
4. San Francisco Holiday (Worry Later) / Thelonious Monk
5. 'Round Midnight / Cootie Williams, Thelonious Monk
6. Epistrophy (Closing Theme) / Thelonious Monk








定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。