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2026年6月11日木曜日

Weather Report / I Sing The Body Electric


 1972年に発表された Weather Report 2枚目のアルバムです。まずはSFチックなジャケットに目を奪われてしまいます。1855年のウォルト・ホイットマンの詩『ぼくは充電されたからだを歌う』、レイ・ブラッドベリの1969年の短編のタイトル『歌おう、感電するほどの喜びを!』がこのジャケットのイメージということ。私の少年時代、SFばかりがずらりと並ぶハヤカワSF文庫が書店の一角を占有していたりとSFブームでした。スペース・オペラではキャプテン・フューチャーは、ほぼ全部読んでましたし、ブラッドベリもワクワクドキドキしながら読んでいました。アメリカのスペース・オペラのアニメなんかもTVで放送されていましたので、おそらく世界がSFブームだったようです。


「Unknown Soldier」フリーで宇宙に向かってエネルギーを発散するような世界観。モロに Zawinul サウンドって感じです。
「The Moors」12弦ギターでの中東的な音階のフリーソロ、Shorter のソプラノ・サックスが加わって更にエキゾチックな旋律と、複雑でダイナミックなアンサンブルへと展開。Moor て何だろう。
「Crystal」宇宙空間を漂うメンバーが宇宙遊泳のイメージと思ってましたが、題名を考えれば、漂う音の Crystal が集合と分散を繰り返すみたいなイメージとも受け取れる。次第に集まり、ふたたび離れていくような宇宙的気分を味わわせてくれる。こうゆう抽象的な音楽を言葉で表現することも面白い。
「Second Sunday In August」抽象的ではあるけど普通に楽器のアンサンブルを感じる音楽に感じてしまうこと、4分13秒が一瞬のことのように感じるので、既に頭と耳が I Sing The Body Electric に侵されてきてます。
「【Medley】:  Vertical Invader, T.H., Dr. Honoris Causa」Zawinul のリング・モジュレーターを使ったフェンダー・ローズも、Vitouš   のディストーションのかかったウッド・ベース、曲調は Miles っぽいヤツですね。ビートのエネルギーと音のエネルギーのぶつかり合いは基本的に好きです。
「Surucucú」ライブで、このスペーシー感+民族音楽感+混沌を再現できるって、どんな頭の構造をしてるんだか。
「Directions」聴いていると混沌なのだが、何か一つの方向にエネルギーを照射する秩序も感じます。


 1~4曲目のレコードではA面は、混沌としたスタイルですが、Weather Report らしさも感じるフリーフォームでスリリングなエレクトリック・ジャズ。5曲目以降はB面になり、1972年の渋谷公会堂でのライブで、フリーなビートとサウンド、民族色もある Miles 的なサウンドに変身します。
 レコードならひっくり返すという行為があるので、切り替えの間があるわけですが、CDではいきなり始まりますので若干の違和感は感じます。ちなみに原盤のLPなどには日本人のMCが収録されているようで萎えると評されている方も多かったようですが、私の購入したこのCDではMCは入っていませんでした。あまりに評判が悪いのであれば聴いてみたいもんです。
 最初に聞いた自分のレビューでは「非常にクセが強いアルバムですが、きっと5年後、10年後に聴けば、自分の中の感性も変わりまた受ける印象などが変わるそんな予感がします」と書いて、今回で3回目の書き直しをしたのですが、この世界感に違和感をほぼ感じなくなってきました。後期のジャコ加入後は好きだけど、こちらはこちらで味があります🎶

keyboards : Joe Zawinul
reeds : Wayne Shorter
bass : Miroslav Vitouš
drums : Eric Gravátt
english horn : Andrew White
flute : Hubert Laws, Jr.
percussion : Dom Um Romao
trumpet, piccolo trumpet : Wilmer Wise
twelve-string guitar : Ralph Towner
vocals  : Chapman Roberts, Joshie Armstrong , Yolande Bavan

recorded in Columbia studios, New York City : (1, 2) in November 1971; (3, 4) in January 1972.

recorded during a "standing room only" concert performance January 13, 1972 in Shibuya Kokaido Hall, Tokyo, Japan.(5-7) 

1. Unknown Soldier / Josef Zawinul
2. The Moors / Wayne Shorter
3. Crystal / Miroslav Vitouš
4. Second Sunday In August / Josef Zawinul
5. 【Medley】:  Vertical Invader, T.H., Dr. Honoris Causa /  Zawinul, Vitouš
6. Surucucú / Wayne Shorter
7. Directions / Josef Zawinul




定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

2026年6月10日水曜日

Zoot Sims / Zoot Sims in Paris


 何か良いジャズサックスのアルバムはないか、いつも聞かない人を発掘してみようと discUnion の棚を見ていてジャケットが気に入ったので買いました。中古なのに値段も確か2,000円近くしたはずで、この値段ならハズレはないだろうと思い切って購入です。購入後は、いきつけの音楽好きの集う「おでんバー」で、いつものように試聴をしました。マスターは、はっきりと好き嫌いを言うひとなので「俺 Zoot Sims ってつまんないと思うんだよね」の一言。嫌いと言っても、いつも最後まで付き合って聴いてもらえますので、まあ、いつものことなのでしょうがない。
 ジャズ・テナー奏者といえば Sonny Rollins、John Coltrane、Dexter Gordon、Hank Mobley、Stanley Turrentine、Benny Golson ・・・星の数ほど巨匠がいらっしゃいますが、まだ傾倒するほど好きになった人はおらず、 もともとロック・フュージョン好きなので管楽器は鋭角的な音のほうが好みで勉強中なので Michael Brecker あたりしか好きな人としてあげられる人はまだいません。今までの実績としては、知らない人、聴きなれないジャンルでも聴き続けていたり時間の経過とタイミングで、いいじゃんと思えるタイミングがくることが多いですので、きっと私にもいつか、ジャズ・テナーを聴いて心と耳に残るものが、出てくるはず。


 好き嫌いは、ともかくとして私が好んで聴く現代の鋭角的な音のテナーとは明らかに違います。フュージョンではない Coltrane も、高域の倍音が強く、アルト寄りに聞こえる鋭く張りつめた音色でエネルギッシュです。しかし Zoot Sims は、低音に持っていくときのビブラート、エロくも感じるしゃくりが特徴のチョイ悪オヤジ的な音かと思います。他のアルバムも聴いていて思ったのは、息をサックスに入れてから発音されるまでのタイムラグとカスレ具合がチョイ悪オヤジ的な雰囲気を増長させるのなとも思われます。


「Zoot's Blues」それじゃ肩慣らしにブルースでも、やってライブを始めるか、みたいな余裕が感じられます。ドラムの Jean Louis Viale のブラシでのノリの作り方が良くて、リズムに乗りながら曲に入っていけます。
「Spring Can Really Hang You Up The Most」 Hang You Up なんて物騒な感じもしますが、四月は最も残酷な月 でしょうか。Thomas Stearns Eliot の詩が題材のようで、春の明るいイメージとは裏腹の物悲しさもあるしっとりしたバラードです。
「Once In A While」1937年に出版されたポピュラーソングのスタンダード・ナンバー。リラックスして、スラっとしたテナーで安定したスイング。エンディングの手前で荒ぶるフレーズが一瞬出るのはメンバーに終わるよの合図でしょうか。これがスッと出てくるのもカッコ良いかも。
「These Foolish Things」1936年に発表されたポピュラーソングのバラード。アルバムではアップテンポな曲とバラードが交互に配置されているようです。Billie Holiday、Frank Sinatra など歌手にもよくカバーされていますが、テナーで歌うようにテーマを歌い上げ軽いピアノソロで軽くテナーソロの重くないバラードになっています。
「On The Alamo」1922年に発表されたジャズ・スタンダードの名曲で、流れるようなメロディが美しい曲です。このメンバーでの演奏がそうなのか、選曲がそうなのか、メロディーが美しめの曲がスラっと演奏されてサラっと終わる感じですね。
「Too Close For Comfort」1956年ミュージカル Mr. Wonderful のために書き下ろされたポピュラーソングです。Henri Renaud のピアノソロが長めにとられていますが、可もなく不可もなくな感じでもう少し突っ込んで欲しかった。
「A Flat Blues」ブルースで一服。1曲目と同様に、ドラムの Jean Louis Viale のブラシワークのカッコ良さにが気になります。
「You Go Top My Head」1938年に出版されたポピュラーソングでエレガントで物憂げ。やっぱり選曲でこっち系が好きなようです。Henri Renaud の型にはまったようなピアノソロが悪くないけど気になります。Sims はさすが安定感があります。
「Savoy」1942年頃にラッキー・ミリンダー楽団によって録音されたダンスナンバー。やはり軽く踊れる感じが好みのようです。最後にピアノ、ドラムにも注意して聴いてたんですが、やはり Henri Renaud は型にはまったようなピアノソロ、Jean Louis Viale のブラシワークは何故かブルース曲の方が良い。

 マスターが言われるほどの「つまらなさ」は感じないですが、切り口がだいたい一緒な感じに退屈さは感じるかもしれません。作業などをするときにかけ流して聴くのに適しているタイプでもあり、酒でも飲みながら Zoot Sims でも聴くかって思ったら、ビール飲んで聞くよりはワインをゆっくりって感じです。ずっとエロい、サックスの印象でしたが久しぶりに聴くとそうでもない🎶

tenor sax : Zoot Sims
piano : Henri Renaud
bass : Bob Whitlock
drums : Jean Louis Viale

producer : Alan Douglas
recorded at “BLUE NOTE” PARIS, December 1961

1. Zoot's Blues / Zoot Sims
2. Spring Can Really Hang You Up The Most / Tommy Wolf, Fran Landesman
3. Once In A While / Michael Edwards, Bud Green
4. These Foolish Things / Harry Link, Jack Strachey, Eric Maschwitz
5. On The Alamo / Isham Jones, Gilbert Keyes (Gus Kahn), Joe Lyons
6. Too Close For Comfort / Jerry Bock, Larry Holofcener, George David Weiss
7. A Flat Blues / Zoot Sims
8. You Go Top My Head / J. Fred Coots, Haven Gillespie
9. Savoy / Bill Doggett, Lucky Millinder




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2026年6月8日月曜日

Thelonious Monk / The Unique


 Prestige から Riverside へ移籍して Thelonious Monk Plays Duke Ellington に次ぐ2作目。Prestige でのレコードは売上不振だったのですが、 Ellington 作品のトリビュート、今回のスタンダードの録音で Riverside に移籍後のセールスは順調になります。Monk に馴染みのある曲のカバーを録音させることで、消費者の関心を広げようとする Riverside 側の戦略は当たったわけで、今後付き合いが深くなるプロデューサーの Orrin Keepnews 氏が優秀なビジネスマンであったことが伺い知れます。
 深堀りしていくと面白い記述も見つかりました。このアルバムのジャケットは切手風で特徴がありジャズファンには「切手のモンク」と呼ばれていますが、Riverside はこのデザインの切手を実際に印刷して販売したのですが「偽切手」が出回って、アメリカ郵便公社が使用禁止令を出す事態となったとのこと、話題づくりとしては成功で、さすが Orrin Keepnews 氏。


「 Liza (All the Clouds'll Roll Away)」1929年発表のガーシュインナンバー。Monk では繰り返し演奏されるお気に入り曲なのでしょう。わたくし手持ちのMonk アルバムでは、曲の解釈が、この盤とほぼ同じような演奏で Monk(1964) にも録音されています。テーマの最初の部分が強調して繰り返され、そのメロディーにソロ中も何回も帰ってくるのですが、この盤では帰り方を何回も色々な方法で試しながら演奏している感じで、そうやっているうちに Art Blakey が、ソロをとり、Monk は最後に満足そうなエンディングをつけています。3分14秒と短いけど良いです。
「Memories of You」1930年 Eubie Blake 作曲のバラード。このアルバムではソロで演奏されています。こちらは、手持ちのアルバムでは It's Monk's Time (1964)  に同様にソロピアノで収録されています。原曲のテーマを崩さずに、ひたすら繰り返す形態でタイミングやコードのデフォルメは極少で、この曲のテーマ自体を、気に入ってとても大切にしている感じが伝わります。 
「Honeysuckle Rose」1929年の Fats Waller 作曲のスタンダード。手持ちのアルバムでは、Monk's Mood (1999) に入ってたと思ったらベスト盤でしたので同じ録音でした。この曲も、やはりテーマの繰り返し多めですが、前の2曲に比べて創作領域を多めにとっていて、タイミング、アクセントでのデフォルメは、やはり極少。ただコード、和音での Monk 流の調理はかなりされていて、曲を細部まで習熟理解しているんだなと思いました。
「Darn That Dream」1939年 James Van Heusen 作曲のスタンダード。Solo Monk (1965) にも収録されています。優雅に朗々と語る様な弾きっぷりで創作領域多めです。
「Tea for Two」滑り台を遊んで降りてきては、また登って降りてみたいな遊び心のある Tea for Two です。やはりテーマが基本にあって大事に繰り返すんですけど、この曲に限って言えば印象的なテーマより、滑り台を遊んで降りてくるようなコードに重きを置いて演奏しているようです。楽しいです。
「You Are Too Beautiful 」1933年の Richard Rodgers 作曲のスタンダード。テンポは一定なんですが、和音にテンションを入れてリズムにうねりを創り出していて、テンションの入れ方は少しづつ計算して変えているように感じます。
「Just You, Just Me」1929年発表のジャズ・スタンダードで、Monkの名曲「Evidence」は、このコード進行をもとに作られたそうです。他の曲に比べて右手のタイミングを複雑に入れてる気がします。他の曲はテーマを大切に繰り返しているけど、この曲は直ぐにアドリブに入っていくのも少し違います。LIve At The It Club (1964)  Monk(1964) に収録されていますが、テンポやテーマの解釈方法などは似た感じで演奏されています。

 自作曲の収録が信条の Monk のイメージがあったので、Orrin Keepnews 氏の戦略があったので1951年にキャバレーカードを没収されライブで稼ぐことが出来なかったため、基本オリジナル曲が信条の Monk ですから背に腹は替えられない部分が多分にあったのかとも思って聴き始めたのですが、そんなことは全くないであろう Monk の「この曲が大好き感」が感じられる演奏ばかりでした🎶

piano : Thelonious Monk
bass : Oscar Pettiford
drums : Art Blakey

producer : Bill Grauer, Orrin Keepnews
recorded at : Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey ; March 17 and April 3, 1956
record company : Bill Grauer Productions

1. Liza (All the Clouds'll Roll Away) / George & Ira Gershwin, Gus Kahn
2. Memories of You / Eubie Blake, Andy Razaf
3. Honeysuckle Rose / Fats Waller, Andy Razaf
4. Darn That Dream / James Van Heusen, Eddie DeLange
5. Tea for Two / Vincent Youmans, Irving Caesar
6. You Are Too Beautiful / Richard Rodgers, Lorenz Hart
7. Just You, Just Me / Jesse Greer, Raymond Klages

▶  Liza



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2026年6月6日土曜日

David Sanborn / A Change Of Heart


 これが発売された1987年は未だ学生でした。当時のライブアンダー・ザ・スカイにサンボーンが出演するので、大学のジャズ研メンツで朝から会場に行って芝生で陣取ってたら、リハまで見れたという、ゆる~い時代でした。当時はスマホが無かったので撮影も録音もできなかったので権利関係やセキュリティが厳しくなかったんでしょう。本番では Hiram Bullock が、会場の観客席に乱入して弾きまくり、楽しいライブであったことを覚えています。 




「Chicago Song」
「Imogene」
「High Roller」
「Tintin」
「Breaking Point」
「A Change of Heart」
「Summer」
「The Dream」

というような時代なので、これは聴き込みました
シカゴ・ソング、チェンジ・オブ・ハートあたりが売れ線ですが、
ブレーキング・ポイントのこのギターのバッキングとソロに
憧れを抱いてコピーしてた懐かしの愛聴盤です


recoeded at : RPM Sound Studios, Power Station, Right Track Recording, Sound Ideas Studios, Unique Recording, Blue Rock Studio, Flying Monkey Productions, New York and Bossa Nova Hotel, Yamaha Research & Development Studio, Schnee Studio, Los Angeles.

1. Chicago Song / Marcus Miller
backing vocals : Mark Stevens
drums : Steve Ferrone
keyboards, bass, rhythm guitar : Marcus Miller
lead guitar : Hiram Bullock
synthesizer : Bernard Wright
producer : Marcus Miller
2. Imogene / Marcus Miller
drums : Steve Gadd
electric piano : Don Grolnick
keyboards, bass : Marcus Miller
synthesizer : Rob Mounsey
producer : Marcus Miller
3. High Roller / David Sanborn, Michael Colina
bass : Marcus Miller
percussion, drums : Mino Cinelu
piano : Mac Rebennack
slide guitar, rhythm guitar : Hugh McCracken
synthesizer : John Mahoney
producer : Michael Colina
4. Tintin / Philippe Saisse
contrabass : Anthony Jackson
drums : Mickey Curry
guitar : Nicky Moroch
keyboards, synthesizer : Philippe Saisse
producer : Philippe Saisse
5. Breaking Point / Michael Colina
bass : Marcus Miller
lead guitar : Hiram Bullock
percussion, drums  : Mino Cinelu
synthesizer : John Mahoney
synthesizer : Michael Colina
producer : Michael Colina
6. A Change Of Heart / David Sanborn, Michael Colina
bass : Marcus Miller
guitar : Nicky Moroch
percussion : Mino Cinelu
Steinerphone EWI : Michael Brecker
synthesizer  : John Mahoney
producer : Michael Colina
7. Summer / Ronnie Foster
acoustic guitar, guitar : Carlos Rios
drums : John Robinson
Lead guitar : Hiram Bullock
percussion : Paulinho Da Costa
synthesizer : Ronnie Foster
producer : Ronnie Foster
8. The Dream / Michael Sembello
keyboards : Randy Waldman
synthesizer, backing vocals : Michael Sembello
synclavier programming : Casey Young: 
producer : Michael Colina

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2026年6月5日金曜日

Joe Pass / Summer Nights



 聴くまえに、色々と気になります。アルバムタイトルはサマーナイトですが、邦題は「ジャンゴに捧ぐ」になっています。これには説明がありました。
 ジャンゴ作品を整理していたもう一人のギタリスト John Pisano が参加したアルバムなので、この邦題となったとのこと。なるほど「Anouman」「Douce Ambience」「Belleville」はジャンゴ作品で、曲にも「For Django」が収録されています。ただ1964年に「For Django」のタイトルのアルバムも作成されていて、この邦題、紛らわしいですね。でも、これは日本の制作サイドの話。
 原盤ですが、英語でのアルバム名は「Summer Nights」1曲目のタイトル曲の曲名は「 Summer Night」で「S」はありません。うーん。どうみても誤植だと思いますが、どうでも良いかもしれない事に気づいてしまいました。これについての説明は見当たりませんでした。


「Summer Night」1936年の映画 Sing Me a Love Song で使われたポピュラーソング。2本のギターでバッキング、ソロが交互に交換されます。最初は Joe Pass で、いつもの流暢なフレーズが途切れなく、次いでジャカジャカしてから細めの音で John Pisano の自然体なソロ。やっぱりギターアルバムは好きだな
「Anouman」神妙な出だしで Django ナンバー。亡くなる数ヶ月前の1953年のセッションで録音された曲です。わたくし余りDjango Reinhardt は知らないのですが、こんなメランコリックな曲も書かれているんですね。
「Douce Ambience」Django ナンバー続きます。やはりギター二人だとお気軽セッションのような雰囲気があって楽しい。フレーズの終わりにギターを強く弾いてピチって音が快感。そう私の Django のイメージはこんな感じの曲です。
「For Django」Joe Pass が、故人を思って独奏します。指弾きの音が限りなく優しい。
「D-Joe」 今度は John Pisano の独奏です。と思ったら伴奏ついてるようです。まさか一人でオーバーダブは無いでしょうから伴奏は Joe Pass でしょう。「D」と「Joe」だから二人のことをイメージした曲で、ふーんブルースなんだ。
「I Got Rhythm」ビパップの進行の一つとして多用されるリズム・チェンジの発明品のような曲です。これを演奏すると、どんなに冷静なミュージシャンも熱くなれる。もちろん、これも良いですねえ。
「E-Blue Eyes」熱い曲の後はクールダウンでブルース。最初のソロは John Pisano ?ですかね。いや作曲者は Joe Pass だから違うな。最後のコードソロがカッコ良し。
「Belleville」1942年、第二次世界大戦下のフランス・パリにて Django によって書かれた曲です。タイトル名は町の名前とのこと。ギターを活かすようなリズムが素敵で、力強いピッキングでバリバリとギターを弾き倒す感じです。
「In My Solitude」1934年の Ellington ナンバーです。女性ボーカリストのカバーが多い、せつないメロディー。「孤独が私を包み込み、絶望へと追いやる」という失恋や孤独がテーマ。
「Tears」Django ナンバーです。優しいメロディーの中にハードボイルドを感じます。
「In A Sentimental Mood」著名な Ellington ナンバー。テーマに入る前のイントロの作り方が凄く良いです。繊細な音の流れをいつまでも聴いていたい気にさせますが2分50秒で短く完結。4分ぐらいは欲しかった。
「Them There Eyes」そりゃ最後はお祭り的な明るいスイングです。このジャカジャカ加減は Django テーマのアルバムの最後に相応しいと思います。

最後にライナーノーツを読んでいたら
Fernando Valley. Mr. Pass asked that it be mentioned. There was another nice family touch. The acoustic guitar Joe uses here is a 1940s Epiphone that belongs to John Pisano's father, Americo J. Pisano, age 83, would like everyone to know that.
Joe が使っているアコースティック・ギターは、John Pisano の父親であるアAmerico J. Pisano(当時83歳)が所有する1940年代の Epiphone とのこと
最近ピアノばっかり弾いててギターを弾いていないかもしれないので、もうちょっとギター頑張ろうって気になりました🎶

acoustic guitar, electric guitar : Joe Pass
acoustic guitar : John Pisano
bass : Jim Hughart
drums : Colin Bailey

produced by ERIC MILLER
recorded and mixed at Group IV Recording, Hollywood, CA ; December 1989. 

1. Summer Night / Harry Warren, Al Dubin
2. Anouman / Django Reinhardt
3. Douce Ambience / Django Reinhardt
4. For Django / Joe Pass
5. D-Joe / John Pisano
6. I Got Rhythm / Ira Gershwin, George Gershwin
7. E-Blue Eyes / Joe Pass
8. Belleville / Django Reinhardt
9. In My Solitude / Duke Ellington, Eddie DeLange, Irving Mills
10. Tears / Django Reinhardt
11. In A Sentimental Mood / Duke Ellington, Manny Kurtz, Irving Mills
12. Them There Eyes / Maceo Pinkard, Doris Tauber, William Tracey




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2026年6月4日木曜日

Barney Kessel / Seven Classic Albums


 ジャズギターの巨匠ですが名前は知りながらも、何となくスルーしてきてしまったお方なので、お買い得シリーズ Seven Classic Albums を購入したものです。でも購入時は、それほど惹かれるものは無かったのですが、久しぶりに引っ張り出して聴いてみます。
 まずは、おさらいデス
 1945年(22歳)からミュージシャンとして活動するが、リーダーアルバムは1952年録音、1955年リリースの Swing Guitars で、初期は人気ミュージシャンのレコーディングに参加しながらも名前がクレジットされない The Wrecking Crew と呼ばれた60年代 LAセッション集団の一人。だった。ビ・バップ・フレーズを弾きこなす一方、豪放磊落なブルース・フィーリングもあり、和音でギターソロをとる、いわゆるブロック・コードの第一人者としても著名。
 初リーダーアルバム発表後はオスカー・ピーターソン・コンボに参加し、1953年から1961年まで、コンテンポラリー・レコードに多数の録音を行い、1970年代以降は Herb Ellis、Charlie Byrd と The Great Guitars を結成してレコーディングやツアーで活動。1992年に脳卒中で倒れてからは2004年サンディエゴで80歳で亡くなっています。
 そういえば The Great Guitars の方は、やたらギターが上手い爺さんの集団がいると思って、前から注目してました。The Great Guitars - Barney Kessel, Charlie Byrd, Herb Ellis - 'Lover' • World of Jazz


 結論、総じてコードワークがわかりやすくて明快なので、共演するミュージシャンがリラックスして演奏できるのだろうなと想像でき、ギターの弦は鉄弦の音ですが、ぶっとくてピッキングが強めなので一層太い音がでて曖昧さがなく、音色的にも管楽器にも負けないギターが結構良い。ただアルバムとして4枚組を連続して聴くと、チト疲れるかも🎶

●Disc1
【Let's Cook 1957】
 リーダー作としては6作目でミディアムテンポのスイングが多くゆったりとしてギターも歌います。ブルージーな感じを意識しているのでしょうか?チョーキングを、かなり多用していますが昔風。
1. Let's Cook
2. Time Remembered
3. Just In Time
4. Tiger Rag
5. Jersey Bounce
【Kessel Plays Carmen 1958】
これは8作目のアルバムで1曲目からLet's Cookとは打って変わって速いテンポのスイング
ギターの弾き方や音が違うので、思わず驚く変身ぶりです。1年しか違わないのにソロだけではなくカッティングも違うのは興味深い聴きどころ
6. Swinging the Toreador
7. A Pad on the Edge of Town
8. If You Dig Me
9. Free as a Bird
10. Viva El Toro!
11. Flowersville

●Disc2
【Kessel Plays Carmen--Cont. 1958】
1. Carmen's Cool
2. Like, There Is No Place Like
3. The Gipsy's Hip
【Some Like It Hot 1959
4. Some Like It Hot
5. I Wanna Be Loved By You
6. Stairway To The Stars
7. Sweet Sue
8. Runnin' Wild
9. Sweet Georgia Brown
10. Down Among The Sheltering Palm
11. Sugar Blues
12. I'm Thru With Love
13. By The Beautiful Sea
【The Poll Winners--Exploring The Scene 1957
14. Little Susie
15. The Duke
16. So What
17. Misty
18.  Doodlin'
19. The Golden Striker

●Disc3
【The Poll Winners--Exploring The Scene--Cont. 1957】
1. Li'l Darlin'
2. The Blessing
3. This Here
【Barney Kessel's Swingin' Party 1963】
4. Bluesology
5. Lover Man
6. Joy Spring
7. Now's The Time
8. Miss Memphis
9. New Rhumba
【Workin' Out 1961】
ニュールンバ、ペダルポイントあたりがスピード感あってよいです。ギターの音色も変わりLet's Cook の時よりも張りがあって詰まった感じが少ない感じに変わってきています。
10. Good Li'l Man
11. Summertime
12. Spanish Scenery

●Disc4
【Workin' Out--Cont. 1961】
1. When Johnny Comes Marching Home
2. New Rhumba
3. My Man's Gone Now
4. My Funny Valentine
5. Pedal Point
【Bossa Nova 1962】
最後はボサノバ1962年です。スタンダード、ディキシーランド、カウボーイ・ソングなど
様々なレパートリーがあり、オルガンが入ったビッグバンド編成ですがポップな感じのするアルバム。
6. Love For Sale
7. A String Of Pearls
8. They Can't Take That Away From Me
9. Summertime
10. You Came A Long Way From St. Louis
11. Muscrat Ramble
12. Heartaches
13. It Ain't Necessarily So
14. Ja Da
15. Sweet Georgia Brown
16. Tumbling Tumbleweeds
17. Bye Bye Blues





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2026年6月3日水曜日

Jaco Pastorius / Rare Collection


 音楽誌「ADLIB」の編集長の松下佳男が監修・選曲。ジャコのサイドメンとして参加した曲をまとめたコンピレーションです。制作にあたり、他にも数多くの音源があり収録したかったが、レーベルを超える壁は厚く収録できなかった曲が多数あるとのこと。
 他にもこのアルバムの収録の3曲をカット、新たに5曲を加え、Jaco の生誕50年、没後15年の特別企画として2001年にリリースされた「50thアニヴァーサリー・エディション」なる
ものが発売されています。コレクターの宿命としては、いずれ購入はすると思います。


「Dreamland」1979年に Michel Colombier がリリースしたフュージョン・スーパー・セッション・アルバム。オーケストラも参加しているムーディで壮大なバラードで Jaco のフレットレスがメインに据えられて、中身的には深いんだろうが音像がぼやけているような録音なのが私には残念。 Larry Carlton のギター・ソロはさすがプロフェッショナル。
「I Can Dig It Baby」は Jaco のプロとしてのファースト・レコーディングといわれています。1974年のレコーディングでジャコは、まだ22歳の頃。オープニングのハーモニクスは、この時代からやっていたんだなと思い、よくある普通のベースラインで弾いている箇所と Jaco 独特の、あのベースラインと使い分けてグルーブを創り出しているのが、聴いてとれます。R&Bがもジャコの大きなバックグラウンドの一つがわかります。でも以降の R&B で、この Jaco の発明品のフレーズを使った曲を聞いたことが無いのを見ると、このフレーズ「アク」が強いんだろうな。
「The One Thing」 強力なパーカッションとリズム。Jaco はスピーディなベースで対応するが、いつもの手癖フレーズはあまり見せず自己主張していないのがレア度高いかもしれません。曲があまりにも強力で、そこまで発展できなかったのか。でも、これは凄く良い。
「Spiral」Bob Mintzerとのセッションは結構多いはずで、このセッションでは ベースは Tom Barney との双頭で、Jaco はソロ楽器として参加しているようです。また Weather Report の曲も、アレンジには採用されていて何か親近感がわきます。
「Nativity」はプログレッシブなパーカッション・メインの楽曲だが、フリーな曲なので Jaco も、いつものフレーズのオンパレードで攻めるが、Airto のパーカッションと対比的にフレーズを使ったり、ミステリアスな魅力があります。
「Portrait Of Sal La Rosa」ではレアなアコースティック・プレイが聴けます。フロリダ時代、Jaco に音楽の手ほどきをしたのが、Ira Sullivan でありましたが、自身のグループではアコースティック・ベースしか認めないという考えを持っていましたが、ジャコの革新的な演奏に感銘を受け、彼をバンドに採用した良き理解者でした。
「Ant Steps On An Elephant’s Toe 」ドイツのジャズ・トロンボーン奏者のAlbert Mangelsdorff の1976年ベルリン・ジャズ・フェスティバルに出演のセッションの録音で音質は良くないが興味深い演奏です。ユーモラスで不安定なトロンボーンと Jaco のリラックスした楽しそうなジャムで、ベース・ソロでは、お得意の Liberty City のフレーズが使われています。
「Mood Swings」は、Mike Stern の Upside Downside の曲で、ガチガチの Mike Stern節に、絶好調の Jaco のベースが暴れる大好きなヤツです。録音は1986年で、Jaco は翌年に亡くなるので、Jaco の精神状態は最悪なはずと思いますが他流試合では最高に近い演奏です。
「The Hope」何か聴いていて曲がキラキラしている。私はそんなに趣味ではないタイプのボーカルなのだが Flora Purim も良い。Jaco のベースは楽曲を包み込むように豊かで、私の大好きな Sanborn とのユニゾンにゾクッときます。松下佳男編集長もライナーノーツで書いてますがマサにラストを飾るのにぴったりの選曲です。


なかなか、マニア心をくすぐるコンピで、ファンとしては楽しめる内容でありました🎶

1. Dreamland / Michel Colombier
piano (fender rhodes) : Michel Colombier
guitar : Larry Carlton
synthsizer : Michael Boddicker
bass : Jaco Pastorius
drums : Steve Gadd
percussion : Airto Moreira
London Symphony Orchestra
1979 at Devonshire Sound Studios, LA & Music Centre, Wembley, England
(MICHEL COLOMBIER)
2. I Can Dig It Baby / Little Beaver
vocals, guitar, bass : Willie "Little Beaver" Hale
keyboads : Latimore "Timmy" Thomas
bass : Nelson "Jocko" Padron aka Jaco Pastorius
drums, percussion : Robert Ferguson
percussion : Glen "Zeke" Holms, Willie Clarke
backing vocals : Betty Wright
Rec. 1974 at Criteria Recording Studios, Miami
(PARTY DOWN)
3. The One Thing / Manolo Badrena
vocals, keuboards,percussion : Manolo Badrena
bass : Jaco Pastorius, Abe Laboriel
guitar : Carlos Rios
violin : Alfredo De La Fe
trumpet, torombone : Gary Gazaway
synthesaizer, tambalin : Hugo Fattoruso
Rec. 1979, A&M Recording Studios, Hollywood
(MANOLO)
4. Spiral / Bob Mintzer
tenor sax, clarinet, flute : Bob Mintzer
trumpet : Randy Brecker, Lew Soloff, Alan Rubin
trombone : Tom Malone, Alan Raph
electric guitar : Bill Washer
piano : Don Grolnick
bass : Jaco Pastorius, Tom Barney
drums : Peter Erskine
Rec. 1982 at R.P.M. Studio, New York
(SOURCE)
5. Nativity / Airto Moreira
percussion : Airto Moreira
guitar : Charles Johnson
bass : Jaco Pastorius
keyboads : Hugo Fattoruso
Rec. July/August at Paramount Studios, Hollywood
(I'M FINE HOW ARE YOU)
6. Portrait Of Sal La Rosa / Ira Sullivan
flute, chorus : Ira Sullivan
electric guitar : Joe Diorio
acoustic bass guitar : Jaco Pastorius
drums : Steve Bagby
percussion : Don Alias
Rec. December 13, 1975 at Criteria Recording Studios, Miami
(IRA SULLIVAN)
7. Ant Steps On An Elephant’s Toe / Albert Mangelsdorff, Jaco Pastorius, Alphonse Mouzon
trombone : Albert Mangelsdorff
bass : Jaco Pastorius
drums : Alphonse Mouzon
Rec. live at the Berlin Jazz Days November 6, 1976 at the Berlin Philharmonic 
(TRILOGUE)
8. Mood Swings / Mike Stern
guitar : Mike Stern
tenor sax : Bob Berg
bass : Jaco Pastorius
drums : Steve Jordan
Rec. March/April, 1986 at R.P.M. Sound Studios, New York
(UPSIDE DOWNSIDE)
9. The Hope / Flora Purim
vocals : Flora Purim
alto sax : David Sanborn
guitar : Lee Ritenour 
piano : Michel Colombier 
keyboads : David Foster
bass-melody : Jaco Pastorius
bass-rhythm : Dennis Belfield
drums : Harvey Mason
percussion : Airto Moreira
London Symphony Orchestra Rec. March, 1978 at Conway Recording Studio, Hollywood & CTS Center, Wembley, England 
(EVERYDAY EVERYNIGHT)

▶  I Can Dig It Baby / Little Beaver


定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

2026年6月1日月曜日

Eric Dolphy At The Five Spot Vol1

 

 Prestige から発売されていた Vol2 を先に聴いて、その独特の感性と尖り具合を更に聴いてみたいと本盤 Vol1 は探して購入しました。このライブでは Eric Dolphy はフルートとバスクラを演奏しています。アルバム名は Eric Dolphy ですが、バンドは Booker Little をトランペットに迎えた双頭クインテット。
 録音されたニューヨークの Five Spot と言えば、当時の先鋭的なジャズ・ミュージシャンがよく出演するお店。元々はマンハッタン南部のバワリー通りにあった「バワリーカフェ」という見すぼらしいバーだったそうです。ところが1955年に店の上を通っていた鉄道が無くなったことにより雰囲気が一転し周辺に画家や詩人の卵が済むようになり 店の名前も Five Spot に改名し、そのたまり場だった店には現代アートを好む人たちがたむろするようになったため、出演するミュージシャンもモンク、ドルフィー、セシルテイラー、オーネットコールマン、コルトレーン、チャールス・ミンガスと先鋭的な人たちが多かったようです。
 そのような背景があっての Five Spot でのこの録音ですが、Eric Dolphy は、この録音の3年後に Berlin で無念の客死、Booker Little に至っては僅か 4ヶ月後に、尿毒症により23歳の若さで亡くなっています。また Little は本作を含め数枚の音源が残っているのみの人なので、この作品は二人の演奏を収めた貴重なドキュメントとして価値ある作品とされているようです。
 また本盤のライナーノーツの原盤の英文には、Joe Goldberg氏の解説の一文に Booker Little のインタビューで「不協和音が多ければ多いほど音は大きく響き、まるでホーンの数が増えたように聞こえる。不協和音の可能性に興味がある」の記述は非常に興味がそそられ、そこらへんにも注意して聴いてみるとなるほどと思う部分がありました。
"I'm particularly interested in the possibilities of dissonance. If it's a consonant sound it's going to sound smaller. The more dissonance, the bigger the sound. It sounds like more horns; in fact, you can't always tell how many there are. And your shadings can be more varied. Dissonance is a tool to achieve these things." 


「 Fire Waltz」長めの静寂、ピアノの試し弾きの音が聞こえてからイントロがピアノで開始されます。これからライブが始まる緊張感が伝える録音演出も良いです。そしてブレークの後にテーマは、アルトサックスとトランペットを含むリズムセクションがそれに答えます。それにしてもアルトの音なのに太くてコクがあり、低音から高音まで使った猛烈なアプローチ、様々なサックスの演奏テクをこれでもかと織り交ぜながら最初から全開です。昔はこの隙間の無い音のアプローチとか狂ったような羅列が苦手だったんですが、今は自然に聴けるのが不思議です。一方トランペットソロは、最初は音数少な目で徐々にアグレッシブに行くやつです。ソロの途中から Eric Dolphy が下降するコードのバッキングのルート音をサックスで鳴らします。何かと思って、ここの前後を聴き直すとピアノのバッキングのコードとリズムが、トランペットのソロが進むにつれてテーマから少しづつ変えてきていたのを元に戻そうとしていたようです。この後 Mal Waldron はバッキングを元に戻してきます。面白い。そしてピアノソロになりますが、闘争本能剥き出しのサックスとトランペットに対し、実に聞きやすい冷静なプレイ。ここら辺の対比も良いです。
「Bee Vamp」早いテンポのハードバップで Booker Little 作品なので主導権はトランペット。知的でスイング感、スピード感が良くダイナミック、こんな活舌の良いトランペットは私好みです。Eric Dolphy はテーマでは、バスクラでメロディとリズムセクションを交互にアンサンブル、トランペットの長尺の後はアルト同様に物凄い音圧で、そしてアルトと同様に高音から低音までの音域を縦横無尽にコントロール。低音楽器のバカテクって、それだけである意味感動です。そしてピアノソロはリズムに身を任せながら構築していきます。リズムに身を任せすぎて途中危ういところもあるような気はしますが、狂ったような管楽器の名手たちのゴリゴリさと一緒にしてはいけない。危うい時に多分ベースが助け船だしてますよね。うーん楽しい。
「The Prophet」結論、これが一番楽しかったです。何が楽しいかってライナーノーツに書いてあった Booker Little の「不協和音の可能性に興味がある」の実践です。テーマ部分では明らかにテナーとの不協和音をトランペットが意識的に出しています。当然不協和音ですから聴いていて気持ちの良いものではありませんが、明らかに考えて考えての不協和音にたどり着いているのが見えた時にテスト問題が解けた時のような感覚がありました。しかしソロ部分ではLittle は品行方正、 Dolphy はアウトなフレーズも含めてエネルギーを出しまくっています。演奏者の主義によるとは思いますが、アウトなフレーズとか、フリーキーな演奏は不協和音とは全く違う次元の話しなんですね。不協和音と常人には作れないアクセントを徹底的に考え抜いて作っていたのは Monk が第一人者と思っていますが、考え方は似ているんでしょうが、Monk の方が、不快感ではなく不思議感にしているのが凄いところなんだな、なんて考えながら聴いています。
「Bee Vamp (Alternate Take)」 2曲目のオリジナル・テイクよりも演奏時間が短くテンポはほぼ同じですが重めのプレイです。、幾分グルーブが重く聴こえるプレイです。録音は July 16, 1961 と書いてありますから、当日のいくつかのステージ全部を録音して2曲目をアルバムには採用したということですね。確かに全体的な充実感はオリジナル・テイクの方があります。

この Vol1 を踏まえて、Vol2 を聴けば、更に深く面白くなると思いますが、真剣に読み過ぎて聴きすぎて疲れましたので、また今度にします🎶

alto sax, bass clarinet : Eric Dolphy
trumpet : Booker Little
piano : Mal Waldron
bass : Richard Davis
drums : Ed Blackwell

producer : Esmond Edwards
recorded : July 16, 1961, New York.

1. Fire Waltz / Mal Waldron
2. Bee Vamp / Booker Little
3. The Prophet / Eric Dolphy
4. Bee Vamp (Alternate Take) / Booker Little




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