2025年4月28日月曜日

John Coltrane / Coltrane Plays The Blues

 
 こちらは1962年 Atlantic Records からの発売。1960年10月に録音した演奏の一部を収録したアルバムです。1960年10月21日、24日と26日に行われた録音セッションは Coltrane のレギュラーカルテットの初のレコーディングでしたが、多数の曲を録音していて、このとき録音された演奏の一部は、Coltrane Jazz (1961)My Favorite Things (1961) に収録されており、現在続けて聴いてレビューしてきています。そして最後には Coltrane's Sound (1964) の発売となるのが、このセッションの録音を使ったアルバムの発表の流れです。このアルバムのブルースに関してwikiに、詳しい掲載がありました。
ブルースは一般にAAB形式で構成され、Bの部分のコード進行はV→IV→I(いわゆる541ブルース)、またジャズにおけるブルースではBの部分のコード進行としてII→V→I(キーがCならばDm7→G7→C7、いわゆる251ブルース)となることが多い。本アルバムの前半のタイトルが"Blues To"で始まる曲はいわゆる従来型の541ブルースか251ブルースである。これに対してアルバムの後半のタイトルが"Mr."で始まる曲はAAB形式ではあるものの、541や251のような形式ではなく自由な形式が採用されている。こういったブルースに乗って行われるコルトレーンのソロも、十分に間(休符)をとってモーダルに歌い上げており、かつて特徴としたシーツ・オブ・サウンドは完全になりを潜めている。・・・なるほど
 なお、Atlantic Records からは、Giant Steps のリリースを皮切りに、1960年10月の録音を中心に5枚のアルバムをリリースし、Impulse! へと移籍します。英語版の wiki には、このアルバムの曲は Coltrane の意見や承諾なしに Impulse! への移籍が決定してから Atlantic Records が勝手に発売したと書いてあります。つまりはケンカ別れなんですかね。プロデューサーは、一連のアルバムは Nesuhi Ertegun となっています。


 Coltrane は演奏をしただけで、この作品の監修には関わっていないのは、意外でしたが、コンセプトが非常に明快であり、演奏も Coltrane 初心者に聴きやすいのは、プロデューサーの Nesuhi Ertegun が優秀な人物であったことと思われます。先にも書きましたが、"Blues To"で始まる曲はいわゆる従来型の541ブルースか251ブルース、"Mr."で始まる曲はAAB形式ではあるものの、541や251のような形式ではなく自由な形式、A面 "Blues To"、B面 "Mr." です。
 それでは全曲レビューしていきます。「Blues To Elvin」このアルバムの中でこの曲だけが Elvin Jones 作曲で、イントロは McCoy Tyner のブルージーなピアノで、サックスがテーマの標準構成。音数を詰め込まないのが Coltrane風ではないと思ってしまうのは、これまで聴いてきて耳が毒されているからか。「Blues To Bechet」Coltrane 作曲のブルースでベシェとは、ソプラノサックスの先駆的奏者 Sidney Bechet のことであり、Coltrane はこのアルバムではこの2曲目だけソプラノを吹いています。1953年が最後の録音で、1959年に62歳にパリで亡くなっていますので、共演はしていないものと思われます。「Blues To You」ユーが誰なのかはわかりませんが、やはりブルーナンバーはメンバー全員がリラックスできるのか、スイング感が非常に心地よい演奏です。「Mr. Day」 B面に変わって、自由形式のブルースになります。と言っても漫然と聴いている分には形式なんて気になりません。イントロは、まずはベースから次にドラムが入り、サックスのテーマが入ってくるとパッと花が咲きます。テーマのメロディは非常に単純で直ぐにソロに移ります。跳ねるようなリズムで Coltrane が吹きまくるパターンですが無理やり音を入れてくるのではなく、気分のまままに気持ちよい程度のしつこさでした。McCoy Tyner のピアノも余り考えずに自由に弾いている感じが好感です。「Mr. Syms」ゆったりとしたテンポでジャズって感じが楽しめる曲になっています。最初の McCoy Tyner のピアノのソロがバックの演奏のスイング感に、微妙にずらして入れるスイングなテンポが合わさると違う波が重なり合って二つの波にユラユラするようなところが良かったです。「Mr. Knight」 ハードバップのスタイルで、スウィンギーなナンバーで、ベースのイントロでテンポを形作ってピアノがコードで形を作って、Coltrane が曲にメロディーを放り込んできます。ソロに入る前の動機づけのような単純なテーマで流れに乗ったフレージングをの音を楽しむような作りになっています。その後でじっくりと料理するような McCoy Tyner のピアノが、また素晴らしい。
 ジャズのブルースは、かしこまった演奏も多いですが、こちらはお気楽なセッションが多く、かと言ってカジュアル過ぎず、聴きながら作業するのにも良い感じで繰り返し聴いても飽きない名盤です🎶🎷

soprano sax (2), tenor Sax : John Coltrane
bass : Steve Davis
drums : Elvin Jones
piano : McCoy Tyner

producer : Nesuhi Ertegun
Recorded October 24, 1960.

1. Blues To Elvin / Elvin Jones
2. Blues To Bechet / John Coltrane
3. Blues To You / John Coltrane
4. Mr. Day / John Coltrane
5. Mr. Syms / John Coltrane
6. Mr. Knight / John Coltrane


▶ Mr. Day



  

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