2025年4月19日土曜日

Wes Montgomery / Down Here On The Ground

 

 A&M Records でのウェスの作品です。プロデューサーが、白人リスナーへのセールス的な音楽のビジョンの才能を持っていたと言われる Creed Taylor(クリード・テイラー)です。ウェスの Creed Taylor プロデュース作品としては、私の所有音源では A Day In The Life(1967)Road Song (1968)、そしてこの作品 Down Here on the Ground(1968)の3部作の、イージー・リスニング路線で、オーケストラも入れた大人数の編成の作品が連なります。ウェスは全く譜面が読めない人だったので、このような録音の場合は、ウェスにコンボで好きに演奏させてから、その録音にビッグ・バンドをオーバーダブするという方法がとられたとのことを見たことがありますので、おそらくこの録音も、そのような手法で作られたものと思われます。私的には、音源では A Day In The Life(1967)Road Song (1968) の、こうしたの商業的な作り方とコンセプトの音は、あまり好きでは無かったのですが、2枚も持っていたのでもう一枚も聴いてみなければと思っての意識を持った購入です。
 

 他の A&M Records 2作のほうが有名ではありますが、この作品は少しテイストが違い、イージー・リスニング路線ではあるもののとはテイストが違います。ストリングスは入っているものの人数は少なく、ピアノ Herbie Hancock、ベース  Ron Carter、ドラム drums  Grady Tate のコンビネーションが浮き出てくるようになっており、オーケストラで過度の装飾をしたような2作より地味ではあるものの、私の好みでした。


 結論を先に書いてしまいましたが、全曲レビューします。Wind Song 元曲は The Tijuana Brass の曲となっていますが、原曲が見つかりませんでした。もう少し調べて見ると For Carlos が改名されて、Wind Song になったものがあり、それがこのアルバムらしいです。やっと原曲にたどり着き聴いてみると本アルバムと、ほぼ同じような8ビートのアレンジ。しかし、ここ不可解なことが見受けられます。Paul Francis Webster は作詞家でありますが、本アルバムにも原曲にも歌詞は見当たりませんし、原曲の作詞作曲者にも Paul Francis Webster の名前はありません。単なる誤植なのか、もしやこの曲にボーカルをつけようとして作詞を依頼していた?1曲目からかなり脱線しましたので次。 Georgia On My Mind 聴きなれた曲でもあり元曲が良いせいか、結構この演奏は好きな感じです。Ray Charles が作曲者かと思っていましたが、Hoagy Carmichael, Stuart Gorrell が作詞作曲です。ストリングスも、あまり気にならい程度の軽めが良いです。 The Other Man's Grass Is Always Greener テーマ部分は全部オクターブ奏法で、ギターソロになると単音も入れながら、この作品の中では最もジャズ的。Down Here On The Ground 映画「暴力教室」のテーマ曲で4ビートのスローナンバー。これも、テーマはオクターブ奏法で、ソロ部分もオクターブで弾ききっています。プロデューサーの用意した曲を単に演奏しているだけのような感じで、アルバムのタイトル曲ですがこのアルバムで一番出来が良いからタイトルにしたんでは無く、メジャーな曲だからタイトルにしんではないかなと思います。Up And At It はAABA形式のゆったりとしたブルースでウェスのオリジナル。セッション向きの作りでひたすらウェスが頑張ってるだけの感じです。Goin' On To Detroit これもウェスの作品です。ウェス自身はインディアナポリス出身でデトロイトとの関係はと言えばこのアルバム制作の同年1968年にデトロイト市立大学が創立され、その記念なのか、ピープル・イン・ジャズというTV番組でインタヴュー交えての演奏でがあるため、その印象で作曲したものと思われます。I Say A Little Prayer For You 映画「幸せはパリで」の挿入歌で Dionne Warwick のヒット曲です、これもヒット曲の安直な焼き直しでオクターブ奏法のオンパレードですが出来はかなり良いです。テーマ曲にするんだったら、こっちの方が良かったんじゃないか。 When I Look In Your Eyes 映画「ドリトル先生の不思議な旅」の主題歌です。ストリングスをバックに展開?しないうちに終わります。Know It All (Quem Diz Que Sabe) バリエーションとしてでしょうか、ボサノバです。オクターブはあまり使わずのシングル・ノートでのソロプレイが、オクターブに聴き飽きた耳に新鮮です。が軽いなあ。Theme From The Fox これも映画音楽で「女狐」のテーマでサウンド・トラックのようなアレンジで、Creed Taylor の満足感はあるんでしょう。
  A&M Records 三作の中では、一番売れていないようですが、その中で私はこれが一番好かったです。イージーリスニングで所業的に成功したと称賛され、当時の音楽ファンは日常生活の中で流行りの音楽を違ったアレンジで聴ける分には良かったんでしょう。しかし、その後の世界でウェスの演奏を有難く聴きたい私にとっては安直だなあ、ウェスの録音の中では、どうしてもこの三作は聴く頻度は落ちるかな🎶

Stuart Gorrell American banker.
Born in Knox, Indiana, September 17, 1901 and died in August 10, 1963 who wrote the lyrics for 'Georgia On My Mind', his most well known song.
Gorrell became a banker and never wrote another lyric in his life.

guitar : Wes Montgomery
piano : Herbie Hancock
bass :  Ron Carter
drums : Grady Tate
percussion : Bobby Rosengarden, Ray Barretto
vibraphone : Mike Mainieri
violin : Gene Orloff, Raoul Poliakin
viola : Emanuel Vardi
cello : George Ricci
flute, oboe : George Marge, Hubert Laws, Romeo Penque

arranged by, conductor : Don Sebesky (1 to 3, 5 to 7, 9), Eumir Deodato (4, 8)
producer : Creed Taylor
recorded December 20, 1967 – January 26, 1968,  Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

1. Wind Song / Herb Alpert, John Pisano, Nick Ceroli, Paul Francis Webster
2. Georgia On My Mind / Hoagy Carmichael, Stuart Gorrell
3. The Other Man's Grass Is Always Greener / Jackie Trent, Tony Hatch
4. Down Here On The Ground / Gale Garnett, Lalo Schifrin
5. Up And At It / Wes Montgomery
6. Goin' On To Detroit / Wes Montgomery
7. I Say A Little Prayer For You / Bacharach And David
8. When I Look In Your Eyes / Leslie Briccusse
9. Know It All (Quem Diz Que Sabe) / João Donato, Paulo Sérgio Valle
10. Theme From The Fox / Lalo Schifrin



  

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