2025年4月6日日曜日

渡辺香津美 Kazumi Watanabe / Dogatana


 2024年2月27日、渡辺香津美氏は、軽井沢の自宅で脳幹出血によって倒れ救急搬送されました。同年の12月17日に10月17日に自宅に戻って治療に専念していることを、谷川公子氏の note ギタリスト渡辺香津美の今〜その3 で報告されています。その時点では要介護認定5、右目の瞬き、左手の指先だけが、かすかに動く程度であるとのこと。今はどこまで良くなられているのかはわかりません。我々は香津美氏の作ってくれた非常に多くの作品を楽しむことが出来ます。谷川公子氏の note はそこで止まってしまっているのですが、介護はかなり大変なことと思い、もうギターは弾かなくて良いので、回復された便りがどこかで見れれば嬉しいと願っております。


 1981年リリースのアコーステック・ギターによる作品。タイトル Dogatana には、どんな意味があるのか?と思い、参加ミュージシャンの頭文字の羅列かなと思いましたが全く違います。日本人ミュージシャンも多く参加しているので、日本字らしく刀の名前かなと思い、ひらがな検索すると、💡土刀ではありませんか? 正解は「渡辺」の漢字から、そ「氵」と「辶」を取ったら「度刀」になる。これを読むと「どがたな」=「DOGATANA」となる。なるほど。
 アルバムをレビューしときましょう。Nuevo Espresso イントロは Mike Mainieri のビブラホンから始まるジャズで、渡辺香津美のギターは Adamas の Ovation です。当時のこのギターを使っていたミュージシャンも多く、私も欲しかったのですが、かなりお値段で断念した記憶があります。何が違うかと言えば、ボディの素材で、ヘリコプターの会社で新しく開発した羽根の素材が、ヘリコプターの羽根には向かなかった振動の多い素材をギターに応用したもので1979年あたりから普及し始めた表が木、裏がカーボングラファイトという素材を使った丸いラウンドバッグエレアコ・ギターです。


 話がそれましたが、2曲目は Loosey Goosey 石田長生、山岸潤史との、ジャカジャカ・ギター・セッションで、全員がオベーションを使っています。プロ・ギタリストの皆さんのAdamas 愛が伝わるセッションで、とにかくこのギターを使って弾きまくるのが、楽しくてしょうがないのが伝わります。生ギターだけど少しペシャっとした音が速弾き時にお互いのギターの音を邪魔しないし、思いっきりストロークしても鳴りが平均的なので、やはり独特です。チャーと石田長生の Baho を思い出します。 Ti-Fa-Let 渡辺香津美の一人多重録音作品で、幻想的な曲です。アリアのカスタム・メイドのベースとギターのダブル・ネックを使っていると書いてありますが、演奏の主体はシンセで、どこにギターが入っているのかは非常にわかりにくいです。Island フルートの David Liebman とのセッションで、ギターの持つ和音の響きを活かした演奏で、繊細で透明感のある世界を作っています。Diana この曲はWayne Shorter の Native Dancer のカバーのようで、この曲をギター一本で演奏しようと思うのがマニアック。Waterfall - Autumn ピアノの Warren Bernhardt デュオで、先のギターひとりの世界観も良いのだが、もう一人違う楽器との共演によって広い世界観のある曲になる対比も良いです。Please Don't Bundle Me 次の一騎打ちはギターの Larry Coryell になりました。ピアノやフルートとの共演では繊細な世界観を表現していたのが、ギタリスト同士になるとギターの上手い悪ガキのような演奏になるのは、また面白いところ。Haru No Tsurara ドラムとベースが加わって、今回渡辺香津美氏が使ったギター、シンセ類の楽器が総動員で爽やかなフュージョン・サウンドで、広がる展開の大曲」に思えますが、熱が入ってきたとこで、フェイドアウト。続きが気になる余韻の演出です。
 ギターマニアな側面が目立ち、楽曲もバラバラに思えますが、楽器愛とともに共演者の個性を引き出すための様々な音楽性を持った曲を散りばめているアルバムでした。やっぱり日本の誇る天才ギタリストの実力は半端でないことを実感🎶

produced by 渡辺香津美 Kazumi Watanabe
Recorded & Mixed by Scott Litt & James Farber at Power Station, New York, Spring~Fall 1981

1. Nuevo Espresso / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
vibraphone : Mike Mainieri
2. Loosey Goosey / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas 12strings) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
guitar (Obation Adamas) : Osamu Ishida-石田長生
guitar (Obation Adamas) : June Yamagishi-山岸潤史
3. Ti-Fa-Let / Kazumi Watanabe
Aria Custom Made Double Neck Guitar & Bass 
Roland MC-4, Arp Odessey, Propbet 5 : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
4. Island / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
alto flute : David Liebman
5. Diana / Wayne Shorter
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
6. Waterfall - Autumn / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
piano : Warren Bernhardt
7. Please Don't Bundle Me / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas) : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
guitar (Obation Adamas) :  Larry Coryell
8. Haru No Tsurara / Kazumi Watanabe
guitar (Obation Adamas, Electric guitar, Aria Double Neck) Roland MC-4, Arp Odessey, Propbet 1,Propbet 5 : Kazumi Watanabe-渡辺香津美
upright Bass : Nobuyoshi Ino-井野信義
drums : Hideo Yamaki-山木秀夫




  

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