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2024年3月30日土曜日

David Sanborn / Here & Gone


 ギラギラしたフュージョンではなくムーディなサウンド、ジャズというよりはブルース系4ビートやビッグ・バンド風のサウンドを基調としたアルバムです。注目は、参加ミュージシャンで、ギターは Russell Malone、Derek Trucks、ボーカル、ギターで Eric Clapton、ドラムは全面 Steve Gadd の人気アーチストが華を添えています。そっちに注目しがちですが、もちろんサンボーン節のサックスは健在で、フュージョン時代のように尖らず、わかりやすい R&B 色が強いので、とても聴きやすいアルバムとなっています。
 プロデュースは30年ぶりの David Sanborn(メロウ・サンボーン 巨匠 Phil Ramone で、1959年、レコーディング・スタジオ「A&Rレコーディング」を立ち上げ、革新的な技術を積極的に用いるレコーディング・エンジニア、音楽プロデューサー。4トラックレコーダー、映画の光学式サラウンド音声、デジタル録音技術などがあり、A&Rスタジオでは初の一般販売用コンパクトディスク(CD)が製作されたそうです。
 

 それでは、ご機嫌なアルバムを再試聴しながらレビューをしていきます。St. Louis Blues は、W C Handy による名曲で、ムーディにググっと渋い演奏です。リラックスしたビッグバンドの演奏をバックに、自然体のいつものサンボーン節がたっぷりで素晴らしい。次はBrother Ray で、ギターの Derek Trucks が前面に押し出された作品で、もう既にギターと言う楽器の音を飛び越えた演奏で控えめではあるのに注目して聴いてしまいます。ある音域ではサックスの音色と寄り添うかのように、むせび泣くギターは極上です。次いではクラプトンの登場で I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town。ジャジーなブルース演奏にボーカルは聴きなれた、あの声です。ギターはプリンとしながらギラっとしたノーマルなストラトの音でオブリガード主体でボソボソ弾いているのがまた渋い。バックの演奏でギターでひたすら4ツを刻んでいるのが Russell Malone かと思うとこれはまたゴージャス。Basin Street Blues ここからはサンボーンが主役となります。前の2曲はどうしてもギターとボーカルに注目してしまいますので、ナチュラルにサックスの音が楽しめるのですがバックの演奏も途中で拍をずらして前にのせたビートにしたり聴き飽きない仕掛けがにくい。Stoney Lonesome も、普通にビッグバンドなのですがソリスト・サンボーンが、するっと吹いている感じが凄く自然です。Russell Malone のギターソロも短いですが、いぶし銀です。 I Believe It To My Soul は、Ray Charles の楽曲で Joss Stone のボーカルが迫力あります。どんな貫録のある黒人のオバちゃんかと思って検索してみたら白人の綺麗な女性でしたので若干驚き。What Will I Tell My Heart は Irving Gordon, Jack Lawrence, Peter Tinturin によるスタンダード。R&B が濃くなってきたのでジャズ方向に修正です。Ella Fitzgerald が歌ってたバージョンも好きです。Please Send Me Someone To Love は Percy Mayfield のブルースナンバーです。ここらへんはサンボーンのサックスとしっくりときますね。しかしなんてことない曲でもサックスを聴いてこの人とわかるサンボーン節は凄い。I've Got News For You はボーカルに Sam Moore で大団円の楽曲。
 いや、ゴージャスでエンターテイメント性に優れるアルバムで楽しいアルバムです。たまに聴くよりは、もう少しヘビロテにしたいと改めて思い、保管は良く聴く棚に移動します🎵

alto sax : David Sanborn
electric piano , organ : Gil Goldstein (1 to 4, 6, 8)
organ : Ricky Peterson (2, 6, 8, 9)
guitar : Russell Malone、Derek Trucks(2), Eric Clapton(3)
bass : Christian McBride
drums : Steve Gadd
baritone sax : Howard Johnson (3)
tenor sax : Lou Marini
trombone : Mike Davis
trumpet : Keyon Harrold, Lew Soloff (1, 4, 6, 9), Wallace Roney (1)
bass clarinet : Charles Pillow (1 to 4, 6, 9), John Moses (5, 7, 8)
pro-tools programming : Dean Sharenow
vocals : Eric Clapton(3), Joss Stone(6), Sam Moore(8)

producer : Phil Ramone

recorded at Legacy Recording Studios and Hiatus Studios (New York City, New York); Studio 835 (Los Angeles, California)

1. St. Louis Blues
2. Brother Ray featuring : Derek Trucks
3. I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town featuring : Eric Clapton
4. Basin Street Blues
5. Stoney Lonesome
6. I Believe It To My Soul  featuring : Joss Stone
7. What Will I Tell My Heart
8. Please Send Me Someone To Love
9. I've Got News For You featuring : Sam Moore





  

2023年11月3日金曜日

David Sanborn / Pearls


 1995年のエレクトラ・レーベルからのリリースです。優美なストリングスを入れてサンボーンが「サックスで歌い上げる」ゴージャスでドラマチックなアルバム。サンボーンが吹くサックスという楽器が放つ音の説得力、力強さが感じられます。
 音楽CDではありますが、ジョニー・マンデルの編曲をバックに大きな映像が流れ、その真ん中にサンボーンが立ちながら、ゆったりとサックスを吹いているような音楽を聴いていて何かが見えてくるような気持になります。


 アルバム全体はカバー曲で構成されています。 Willow Weep For Me 1932年に Ann Ronell が作詞・作曲した邦題「柳よ泣いておくれ」というポピュラー・ミュージック。オーケストラをバックでポップな味わいです。今までのサンボーンは、どこに行ってしまったのか?最初に聴いた時には結構戸惑いました。しかし、サックスの鳴き方は、いつものサンボーンのようであります。Try A Little Tenderness  も1932年、Jimmy Campbell, Reg Connelly,  Harry M. Woods によってつくられた曲で後に Frank Sinatra のデビューアルバムに収録され1966年の Otis Redding のカバーで有名になった曲です。目を閉じれば、映像が見えるような音楽です。王道の安定した旋律ですが素晴らしい出来栄え。そして大スタンダード Smoke Gets In Your Eyes です。やっぱり一番グッと胸にくる演奏でサンボーンって良いなあと素直に思える出来栄えです。ひねりはあまりないので、サックスの教則本に収録しても良いぐらいの品行方正な録音かと思います。Pearls これが主題です。Sade Adu、Andrew Hale と言う人の作曲らしいです。全く知りませんが奥行きの深い曲です。For All We Know は、ボーカル入りです。歌は Oleta Adams というソウル・ジャズ・ゴスペルを歌う方です。For all we know. We may never meet again. Before you go Make this moment sweet again 二度と会えないかもしれないことを知っていると、最後の二人の夜をゆっくりと過ごす歌です。かなり歳をとった歌声でこんな曲を聴くと何か昔話を聴いているような感じですね。Come Rain Or Come Shine は、Harold Arlen 作曲、Johnny Mercer 作詞の1946年のポピュラーソング。Billie Holiday、Sarah Ella Fitzgerald、Judy Garland などの女性シンガー、Ray Charles、Bill Evans、Frank Sinatra、などなどでも聴けますし Art Blakey Moanin' なんかにも収録されています。This Masquerade は、Leon Russell による名曲です。ジョージ・ベンソンの方が聞き覚え有ります。Everything Must Change Randy Crawford これも1976年にリリース Benard Ighner が作曲した曲で様々なアーチストにカバーされている名曲。歌よりも説得力を感じます。Superstar これはLeon Russell 作、カーペンターズで有名な曲ですね。Nobody Does It Better Carly Simon が1977年に映画『007 私を愛したスパイ』の主題歌として発表した楽曲。懐かしいですね。
 とにかくテクニックがあるサックス奏者の楽曲を聴かせるのではなく、その曲の心を伝えるような強烈なサックスです。おそらくギター弾きの私よりもサックス奏者の方には「たまらない魅力あり」の一枚だと思います🎵

alto sax : David Sanborn
keyboards : Don Grolnick (1, 4 to 9),  Kenny Barron (2,3) , Oleta Adams (10)
acoustic bass : Christian McBride (1 to 8)
electric bass : Marcus Miller (10)
fretless bass : Mark Egan (9)
drums : Steve Gadd
percussion : Don Alias
orchestrated By : Johnny Mandel (9)
vocals : Oleta Adams (10)

producer : Johnny Mandel, Tommy LiPuma

1. Willow Weep For Me
2. Try A Little Tenderness
3. Smoke Gets In Your Eyes
4. Pearls
5. For All We Know
6. Come Rain Or Come Shine
7. This Masquerade
8. Everything Must Change
9. Superstar
10. Nobody Does It Better


▶ Pearls



  

2023年9月29日金曜日

David Sanborn


 Taking Off に続くサンボーン2枚目は自身の名前がアルバム名。邦題は「メロー・サンボーン」となっています。サウンド的には、それほどメローではなくファンク、ソウル系が色濃い作品となっています。発売は当然、Warner Records で、プロデューサーは レコーディング・エンジニア、ミュージシャン、作曲家の Phil Ramone で、どちらかと言えばポップス、ロック、ブルース系の方のようです。私のサンボーン遍歴はマーカス色が濃くなって洗練されたサウンドになっていた頃の Straight to The Heart で始まり、次いで A Change Of Heart から始まっているので、このソウル色の強い、このアルバムは結構新鮮に聴けました。マーカスはいませんが Hiram Bullock は、このアルバムから参加しています。注意して聴いていましたが、この頃は未だ自己主張は少な目で、あのクリーントーンのギターの音ではありません。名曲「Smile」はボーカル入りで、このアルバムが原点というのも忘れてはいけない点ですね。サンボーンと言えば色男のイメージですが、ジャケットの裏写真は指名手配犯のような目つきの悪さです。


 さて、レビューです。レトロ・ファンクのようなサウンドで始まるのは Indio です。改めて聴き直すとファズを少し効かせたバッキング・ギターから、サビでの裏の取り方がトリッキーなカッティング・ギターなどハイラムは中々手の込んだギターを主張控えめにやっています。サンボーンのサックスはこの頃から完成されたサウンドと構成ですが少し黒さが濃いでしょうか。そして、あの名曲 Smile です。作曲者は C. Perkinson と言う方の作品で、元曲を探してみましたが残念ながら見つかりません。Mamacita は、歌物でもおかしくない完全にファンクです。昔風のエレピがカッコイイですね。Herbs は年代物の感じがするワウを効かせたギターが印象的。サックスとはもる女性のバッキング・ボーカルも昔風。力強いドラムとベースに合わせて歌うサンボーンのサックスも心地よし。Concrete Boogie も、ミドルテンポのソウル・パターン。アルトの音でしゃくるような音でのサンボーンのサックスはソロを吹きまくらなくても魅力的です。I Do It For Your Love ここで Richard Tee が登場です。短めの2分51秒は、サンボーンとのデュオのバラードとなっておりノリノリ・ナンバーでは無いところがやってくれますね。Sophisticated Squaw は、ファンク・ナンバーに戻ります。最後の 7th Ave とこの曲は、ドラムの Victor Lewis の作曲となっています。7th Ave では最後のギターソロがハイラムらしからぬテクニカルで軽めの音で珍しい。
 大好きなサンボーンの軌跡の一枚であり、黒さを前面に出した作風は良しです🎵
 
sax, flute : David Sanborn
keyboards : Rosalinda DeLeon (1-5,7-8)、Richard Tee (6)
guitar : Hiram Bullock
bass : Herb Bushler
drums : Victor Lewis
percussion : Jumma Santos

produced by Phil Ramone

This album is dedicated to Jonathan Sanborn.
Recorded at A&R Studios, N.Y.C.

1. Indio
2. Smile
3. Mamacita
4. Herbs
5. Concrete Boogie
6. I Do It For Your Love
7. Sophisticated Squaw
8. 7th Ave.

Indio

Smile



  

2023年8月5日土曜日

David Sanborn / Another Hand


 この Elektra から発売のサンボーンはいつもと少し違い、また違った魅力と実力を再発見できるアルバムです。と今は言えるが、発売当時いつものフュージョン・サウンドからの路線変更に若干戸惑って、あまり聴きこんできませんでした。しかし今は、耳がすっかりジャズの路線に慣れてきてしまっているので、冒頭2発の First Song、Monica Jane は、Bill Frisell のストレンジな世界観がたっぷりの演奏も楽しむ余裕があります。


 3曲目 Come To Me, Nina の作曲は、ピアノの Terry Adams でピアノが美しいバラードに仕上がっています。虹色に光っているような曲です。次いで Hobbies の作曲もピアノの Terry Adams ですが、今度はラテン・ポップス調でありながら、少しづつアウトするフレーズを入れて曲全体にインパクトを与えているナイス・アイデアな楽曲で、サンボーンのサックスも、きっちり楽しげなフレーズが盛り込んであります。そしてマーカスの Another Hand は、;Thriller Miller と書いてあり、これは何を指すのかよくわかりません。アルバム名ではないようですし Mulgrew Miller と関係があるのか?2005年のジャパン・ツアーは Thriller Miller の題名でしたが・・とよくわかりませんが、楽曲はマーカスの、いつもの奴ではなく、抽象的なジャズです。アルバムのテーマでもあります。Jesus は、Bill Frisell がアコースティック・ギターで参加している牧歌的な曲で、難解なジャズっぽいところは無くわかりやすい感じです。Weird From One Step Beyond も前曲の精神を受けついているような曲で、ブツブツと曲が配置されていた感じに何か統一感をもたらしています。Cee は サンボーンと Terry Adams の共作で比較的今までのサンボーンに近いサウンドで聴きやすい感じがしますが、このアルバムでは異色な曲と思って書いてたら終わりました。2分26秒とかなり短い。Prayers For Charlie From The Devil At Four O'clock / The Lonely From The Twilight Zone は最初の短いイントロ部分はフリーっぽい感じで、途中からクラシックっぽいところが2曲合体している3部構成と思いや途中で個人のソロ=フリーのような流れ。これもサンボーンでは新しい試みで、前回聴いた時はつまらなかったのですが、完全に好みでは無いですが今の私は割と好きなタイプです。そして最後は、Dukes & Counts でマーカスの出番となります。こちらはマーカスっぽくない古臭い進行のポップスで、マーカスの懐の深さとサンボーンのサックスが」良くマッチしています。
 各楽曲は良いところがありますが、アルバムを通して聴くと脈絡が無い印象を受けました。聴くほどに味が出てくるアルバムのようではありますので繰り返して聴きこんでてみたいと思います🎵

producer : Hal Willner (1 to 4, 6 to 9), Marcus Miller (5, 10)

recorded at Master Sound Astoria, Astoria, NY (1-3, 6-7, 9-10)
recorded at Power Studio, New York (Tracks : 4, 5, 8)

1. First Song
alto sax : David Sanborn
guitar : Bill Frisell 
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron

2. Monica Jane
alto sax : David Sanborn
tenor sax: Lenny Pickett 
trombone : Art Baron
guitar : Bill Frisell 
organ : Leon Pendarvis
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

3. Come To Me, Nina
alto sax : David Sanborn
piano : Terry Adams
guitar : Marc Ribot
bass : Greg Cohen
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

4. Hobbies
alto sax : David Sanborn
vocals : Syd Straw
piano : Terry Adams
guitar : Al Anderson
bass : Greg Cohen
drums : Steve Jordan
percussion : Don Alias

5. Another Hand
alto sax : David Sanborn
piano : Mulgrew Miller
bass : Marcus Miller
drums : Jack DeJohnette 

6. Jesus
alto sax : David Sanborn
vocals : Syd Straw
guitar : Bill Frisell 
guitar :  Dave Tronzo
guitar : Marc Ribot
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

7. Weird From One Step Beyond
alto sax : David Sanborn
piano : Terry Adams
guitar : Bill Frisell 
guitar :  Dave Tronzo
guitar : Marc Ribot
bass : Greg Cohen
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

8. Cee
alto sax : David Sanborn
piano : Terry Adams
guitar :  Dave Tronzo
guitar : Marc Ribot
bass : Greg Cohen
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

9. Prayers For Charlie From The Devil At Four O'clock 
/ The Lonely From The Twilight Zone
alto sax : David Sanborn
guitar : Bill Frisell 
guitar : Marc Ribot
clarinet, bass Clarinet :Lenny Pickett
trombone, bass Trombone : Art Baron 
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

10. Dukes & Counts
alto sax : David Sanborn
piano : Mulgrew Miller
bass : Marcus Miller
drums : Jack DeJohnette 





  

2023年2月3日金曜日

David Sanborn / Straight to The Heart


 サンボーンを最初に知ったのがこのアルバムで、大学時代にジャズ研の先輩から「この曲をやれるメンツ集めてるんだけど」と渡された曲が、このアルバムの Smile でした。先輩は大学に入学してからサンボーンに惚れてアルトサックスを始め、多摩川のほとりで夜な夜な練習して完全コピーを完了してからのお誘いで、周囲からは Mr.Sanborn をささやかれるほどで、ライブをするごとに女性ファンが増えるといった実力者でした。数年前に同窓会でお会いしたところ、今はサラリーマンをしながらジャズ・フュージョン・ロックを問わず音楽優先の勤務時間が許される生活をなさっているとのことでサックスは一生のお友達になっているようです。
 スタジオでの地獄の特訓は、歌えなければ楽器で表現できるわけもない理論から楽器触らずに各パートを声で出して歌うことから始まり、このアルバムの音は全て覚えているほど聴きこんでいます。おかげで、すっかり洗脳されてしまい無人島に一枚だけ持って行けるんだったら私はこのアルバムを選びます。


 さてこのアルバム、サンボーン、マーカスはもちろんのこと今は亡きハイラムも最高の演奏で、キーボードのドン・グロルニック、ブレッカー・ブラザーズ、ドラムのバディ・ウィリアムス、名アルバムでは必ず参加している印象のあるパーカッションのラルフ・マクドナルドなどが出演で贅沢の極みの絶好調期の理屈抜きで楽しめるライブ・アルバムとなっています。
 それではアルバムの紹介です。Hideaway すべてが完璧なイントロ、売れ線のフュージョンのどこが悪い。かっこよすぎで最初の曲から全開に素晴らしい。ギターのハイラムのソロもロックで素晴らしい。今のフュージョンはやたら早弾きして難しいことをやりますが、ハイラムは早弾きはせずに、フレーズをつなげて展開するのが上手いのです。基本的にロックですがバッキングのクリーンなギターの音色も素晴らしい。 Straight To The Heart は、バンド全体がこの曲を大事に演奏しているのがわかります。タイトル曲でもあるよにサンボーンが一番感情を込めたサックスを吹いているのがこの曲でしょうか。Run For Cover ライブ映像ではこの曲が一番多いように感じます。ベーシストでスラップをやる人はこの曲を練習局にする人が多いようです。マーカスの静かなベース・ソロから始まるこの曲はマーカスの非凡な音楽性を思い知らされる名曲です。Smile 私はこの曲が全てのエッセンスが詰まっていて曲の表情も多彩で最高であると思っていますが世の中的にはそうでもないのかも知れません。別で発売されているビデオ Love & Happiness で見ることのできる2回目のギターソロのハイラムの弾けっぷりも最高です。今でもこの曲は全部歌えます。Lisa はライブでの休息を入れるバラードです。サンボーンのアルトが歌うように聴く人の心をつかむ曲。Love & Happiness これも学生時代のサンボーン・バンドのテーマの一つ。ボーカルものですが盛り上がります。ビデオ Love & Happiness では、これから始まります。Lotus Blossom も名曲です。これは Heart To Heart に収録されているスタジオテイクの方も良かった記憶があります。One Hundred Ways はポップなフュージョン・ナンバーで夕暮れを思わせるしんみりとしたテーマが魅力的な曲でコーラスも入っているのですが凄く良い。フュージョン曲でコーラスが入ったりするとダサくなる曲が多いのですがサンボーンのサックスが肉声のような役割を果たしているのと、やっぱりマーカスのセンスが良いのでしょう。
 何百回聴いても色あせない素晴らしいアルバムです。今夜の就寝時の子守歌はこのアルバムにします。

alto sax : David Sanborn
keyboards : Don Grolnick
guitar, backing vocals : Hiram Bullock
bass, synthesizer : Marcus Miller
drums, backing vocals : Buddy Williams
percussion : "Crusher" Bennett (2), Michael White (5) (6), Ralph MacDonald (3, 8)
horns : Jon Faddis, Michael Brecker, Randy Brecker (8)
lead vocals : Hamish Stuart (6)
backing vocals : Frank Floyd, Lani Groves, Vivian Cherry, Marcus Miller (8)

producer : Marcus Miller

1. Hideaway
2. Straight To The Heart
3. Run For Cover
4. Smile
5. Lisa
6. Love & Happiness
7. Lotus Blossom
8. One Hundred Ways


▶ Smile



  

2022年12月24日土曜日

David Sanborn / Song From The Night Before


 David Sanbornは、1975年に最初のソロアルバム Taking Off から24枚のアルバムをリリースし、グラミー賞を6回受賞、8枚のゴールドアルバムと1枚のプラチナを獲得してきました。キャリアの最初は Paul Butterfield(ポール・バターフライフィールド)共演で、以降スティービー・ワンダー、ストーンズなど様々なミュージシャンと共演し数えきれないほどのミュージシャンと交流してきました。そして マーカスとの出会いでファンク・フュージョン・サウンドを牽引し、1991年の Another Hand ではメローなジャズ路線、1992年 Upfront では再びファンク路線にと音楽性は様々に変化します。

 
 この1996年の作品 Song From The Night Before はフュージョン系サウンドですが、ポップ系のサウンドから少しメローになってきています。プロデューサーがキーボードの Ricky Peterson になったことで、元気印のマーカスからアダルト路線にサウンドを変わり、バラエティよく曲を配置しバランスもよくうまくまとめていると感じます。しかし明確な方向性はあまり感じられないので、アルバムとしては落ち着いた味わいと言えばそうなんですが、私にとっては、やや地味との印象を受けてしまいます。
 このアルバムの曲は大きく3タイプに分類できます。アダルト・フュージョン系で Relativity、D.S.P.、Spooky、Rumpelstiltskin。ひと昔前っぽいフュージョン Listen Here、Southern Exposure、サンボーンをゆっくり聴く、Rikke、Missing You、Infant Eyes など。私はマーカス時代のファンク・フュージョン路線から大ファンになりました。若干おとなしめのこのアルバムは嫌いではないけど印象は薄め。プログラミング主体で軽めのせいもあるかもしれません。

alto sax : David Sanborn
keyboards bass and drum programming : Ricky Peterson
programming, guitar : Paul Peterson
guitar : Dean Brown, Philip Upchurch
percussion : Don Alias

Additional Musicians
bass : Will Lee (6)
fretless Bass : Pino Palladino (3)
guitar : Philip Upchurch
additional drums : Steve Jordan

Horn Section
bass clarinet, alto flute : John Purcell
soprano sax, clarinet, flute : George Young
tenor sax, flute : Dave Tofani
trumpet : Randy Brecker

producer : Ricky Peterson

1. Relativity
2. D.S.P.
3. Rikke
4. Listen Here
5. Spooky
6. Missing You
7. Rumpelstiltskin
8. Infant Eyes
9. Southern Exposure


Spooky



  

2021年11月22日月曜日

本日のCD The Gadd Gang


 私のジャズ・フュージョンを聴き始めた頃に聴いていた教科書のようなアルバムです。高校時代には、ロック小僧だった私が腕を磨きたいとジャズ研に入ったは良いがジャズなんて聞いたことが無いし、フュージョンもあまり知らない。最初に組んだコンボでナベサダの曲を練習するもののジャズなんて聞いたことが無いので、その頃はいまいち感性に合わず何か面白そうなバンドが無いか探していた時にドラマーの家に行くとこれが置いてあって、ジャズっぽくソウルやブルースが強く感じられる演奏です。これだ!と思って自分も購入したんですが、実はガッド・ギャングでのコンボを作ることが出来ずに学生生活は終了しました。スタッフよりも先にガッドギャングを聴いていたようにように思います。
 スタッフや数多くのセッションで正確無比な緻密なプレイの Steve Gadd、個性派キーボードのRichard Tee、さりげなくなでるようないぶし銀のギターのCornell Dupree。そして、スタッフではベースは Gordon Edwards でしたがビル・エヴァンス・トリオやマンハッタン・ジャズ・クインテットの Eddie Gomez が加わって結成されたスーパーがつくフュージョン・バンドですね。


 Watching The River Flow はボブ・ディランのカバーでブルージーな4ビートにしてR&Bフィーリングいっぱいに、そしてリラックスした感じの一糸乱れぬ素晴らしいアレンジ。Way Back Home はクルセイダーズのカバーでグルービー。Duke's Lullaby は4分間のドラム・ソロで正確なリズムとバカテクにはやっぱり驚きですね。曲に仕上げてしまうってのも凄い。Honky Tonk / I Can't Stop Loving You はメドレーになっていますが、当時これを聴いてジャズって難しいと思っていたけどこんな感じでなら俺にもできるかもって Way Back Home とこの曲をギター・コピーしましたっけ。思い出しました。いや懐かしくて良いなあ。
 でもこれを、行きつけの店に持って行って聴くと完成されすぎて面白みに欠けるとか思われそうな感じもするなあ。(それがこのバンドの凄いとこなんですけどねえ)

drums : Steve Gadd
guitar : Cornell Dupree
bass : Eddie Gomez
keyboads : Richard Tee

bariton sax : Ronnie Cuber (1, 3, 7)
trumpet : Jon Faddis (7), Lew Soloff
trombone : Barry Rogers (7), David Taylor (7)
tenor sax : Michael Brecker, George Young (7)

1. Watching The River Flow
2. Strength
3. Way Back Home
4. Morning Love
5. Duke's Lullaby
6. Everything You Do
7. Honky Tonk / I Can't Stop Loving You





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2021年5月18日火曜日

本日のCD David Sanborn ♪ Only Everything

 

 デッカに移籍の2010年の2作目。レイ・チャールズ、ハンク・クロフォードへのトリビュートの前作「Here And Gone」に続き、今回も長年の友人のフィル・ラモーンをプロデューサーに迎え、レイ・チャールズ、デビッド ”ファット・ヘッド” ニューマンへのオマージュ作品です。 トリビュート・アルバム発表の翌年の2009年に、サンボーンが幼いころに聞いていたレイ・チャールズ・バンドで活躍していたサックス・プレイヤーのハンク・クロフォード、デビッド ”ファット・ヘッド” ニューマン、リロイ・クーパーが相次いで亡くなっていることからのオマージュとのことです。
 もともとサンボーンは自分はブルース・マンと語っているだけあって、彼らの相次ぐ死は無念なことであったに違いありません。ちなみにレイ・チャールズが亡くなったのはだいぶ前の2004年6月10日のこと。
 したがって今回のアルバムは、2曲目のOnly Everything以外のみサンボーン作曲(ガールフレンドSofiaと孫娘Genevieveのため)であとはカバーとなっています。アルバムのサウンドの核となるのはこの頃のツアーメンバーでもあったオルガンのJoey DeFrancesco(ジョーイ・デフロコ)でハモンドの音色でブルージーかつアーシーなサウンド。1988年にマイルスのアルバムに参加した時に「50年代にどさ周りを積んだかのプレイをする奴だ」と言わしめた人らしいです。ドラムには安定のSteve Gadd(スティーブ・ガッド)が起用。
 このアルバムを買った日に、いつもの行きつけのバーによって酒を飲みながら他のアルバムを聴いていたら不覚にも眠ってしまい、封を開けていたこのアルバムはマスターと常連さんが先に聞いていた。感想は「期待していたサンボーン・サウンドではなく、面白くなかった」でありました。みなさんフロントにサンボーンがバリバリと出てきて吹きまくるファンキーフュージョンを期待していたのだと思いますが、私は最近のサンボーンにそれを期待してはいけないことは十分承知のうえの購入。
 サンボーンを聴きこんでいる「いちファン」としては昔の思い出話を語ってくれているような気楽な気持ちで作ってくれたようなオールド・スクールな渋めジャズで企画ものとしてこれは、強い気持ちで「あり」と断言します。日本版のボーナス2曲ついてますし。

alto sax : David Sanborn
vocals : James Taylor (7), Joss Stone  (4)
organ : Joey DeFrancesco
drums : Steve Gadd
tenor sax : Bob Malach
baritone sax : Frank Basile
trumpet : Tony Kadleck
bass trombone : Mike Davis

arranged by : Gil Goldstein (1,3,4,5,7)
producer : Phil Ramone

1. The Peeper
2. Only Everything (For Genevieve)
3. Hard Times
4. Let The Good Times Roll
5. Baby Won't You Please Come Home
6. You've Changed
7. Hallelujah, I Love Her So
8. Blues In The Night
【Bonus】
9. Sometimes I Feel Like A Motherless Child
10. Davenport Blues





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2021年2月13日土曜日

本日のCD A Tribute To Curtis Mayfield ♪ People Get Ready


様々なアーチストが参加するカーティスのトリビュート・アルバム
1993年リリースですが、カーティスは未だご存命
しかし1990年にカーティスはコンサート会場で照明機器の落下事故で
半身不随となったため、その激励のためのアルバム

アルバムタイトルになっている「People Get Ready」は
アメリカの公民権運動を歌っているとされ
彼が60年代に在籍したインプレッションズのヒット曲で
本作ではサンボーンと息子ジョナサン・サンボーン(bass)がカバー

緑バックのカーティスの写真のジャケットのバージョンもあるようですが
私所有のジャケットのイラストの方が味があるな

1. Um, Um, Um, Um, Um, Um
Don Covay & Angela Strehli
2. He Will Break Your Heart
Delbert McClinton 
3. Choice Of Colours
Jerry Butler
4. People Get Ready
David Sanborn & Jonathan Sanborn
5. Got A Right To Cry
Angela Strehli
6. It`s All Right
Huey Lewis & The News
7. We People Who Are Darker Than Blue
Michael Hill & Vernon Reid
8. I Gotta Keep On Moving
Bunny Wailer
9. You Must Believe Me
Don Covay
10. I'm So Proud
Steve Cropper & Lani Groves
11. Gypsy Woman
Kim Wilson

Um, Um, Um, Um, Um, Um

People Get Ready

It's Alright


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