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2024年11月8日金曜日

David Sanborn / Upfront


 2024年5月12日に亡くなってしまい78歳とのことですが、長い間演奏を楽しませていただき、ありがとうございました。
 さて前作 Another Hand では、ジャズ方面へ行ってしまい、個人的には残念と思っていましたが、いったんR&Bベースの方向へ戻ってきたのが嬉しかったアルバムです。本来のスタンスは R&B と思いたいのですが、この後プロデューサーを変えながら様々な方向性の音楽を追求していかれるので、そこらへんをファンとしては楽しんでいきたいと思っております。
 アルバムのジャケットは Stephen Byram のデザインによるアートワークで、アートディレクター、イラストレーターとして抽象的なイラストを音楽アルバムのジャケットに多く採用されているようです。サンボーンや楽器の写真はLynn Goldsmith, Robert Lewis の作品かと思います。具材が新聞紙のフランスパンのサンドイッチが紐で縛られているのは、どなたの作品なのでしょうか。なかなか凡人には理解しかねる感じがします。

 

 インターネット・ラジオなどでも数多くの追悼特集が流され、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で元々は人気がなかったサンボーンも結構いいじゃないと皆さん面白がって聴いて、亡くなってから良さがわかった人も多いようです。私も聴き直して更にほれ込みたいと思います。Snakes マーカスの持ち込み曲です。いかにもマーカスらしい楽曲で、聴きなれたサンボーン節とよく合うミドル・テンポのフュージョンナンバーです。Benny もマーカスのスローテンポの持ち込み曲で、これもサンボーン用の曲って感じで、さすが付き合いが長いだけあります。ベースは途中から参加ですが音量が大き過ぎるような気もします。 Crossfire はサンボーンとマーカスの共作でアップ・テンポのフュージョンに戻ります。おそらく鋭い方の音にギターは Chris Bruce と思われます。ハイラムはリズムギターに回っているようです。更に、マーカスのベースはピック弾きでしょうか、いつもと違います。Full House これもサンボーンとマーカスの共作のミドル・テンポのフュージョンです。リズムにはラテンっぽいリズムもと入れているのですが、何回か聴いていると、JBのサウンドにも似ているところがあるような気がしてきます。クラプトンがギターで、後半でソロを弾いていますがクラプトンっぽくは無いかもしれません。Soul Serenade キング・カーティスとルーサー・ディクソンのインスト・ソウルです。Richard Tee、Cornell Dupree の黄金コンビが参加でなでるように柔らかなタッチのソウルになっています。選曲はサンボーンなのか。それとも、このコンビを呼ぶにあたって本人たちにリクエストを聴いたのか。プロデューサー、マーカスのセンスなのか。気になります。 サンボーンのサックスが良く歌っていて気落ち好い曲です。Hey カラッとした曲調で軽いノリのファンク・フュージョンです。このノリは A Change Of Heart のあたりに回帰しますね。嬉しいです。Bang Bang この曲はインターネット・ラジオの追悼特集でどなたかが流してました。メチャクチャ、ハッピーな演奏で何か聴いてて目頭が熱くなりました。Alcazar ラス前でムーディーな曲になります。ここまで聴いてきてアルト・サックスの表現者としては、やはりサンボーンは群を抜いているのがわかります。Ramblin' 最後に持ってくるのが Ornette Coleman ですが、限りなくファンク一発バージョンになってまして最高にスリリングでカッコ良い演奏です。
 ジャケットが難解なのを除けば、単純にかっこよい、わかりやすいアルバムですね🎶

alto sax : David Sanborn, Stan Harrison (7)
sopranino sax : David Sanborn (1, 8)
piano : Ricky Peterson (7)
keyboards : Marcus Miller (1 to 4, 6, 8)
organ (hammond B-3) : Richard Tee (5), Ricky Peterson (1 to 4, 6, 8, 9)
guitar : Chris Bruce (3, 4), Cornell Dupree (5), Eric Clapton (4), Hiram Bullock (3), Marcus Miller (1, 8), William "Spaceman" Patterson (1, 3, 4, 6 to 9)
bass guitar : Marcus Miller
drums : Steve Jordan (1 to 6, 8, 9)
percussion : Don Alias (1, 3, 4, 6 to 8), Nana Vasconcelos (8)

saxello : John Purcell (1, 8)
tenor sax : Arno Hecht (5), John Purcell (3, 4, 6), Lenny Pickett (7)
baritone sax : Crispin Cioe (5)
alto flute : John Purcell (2)
trumpet : Earl Gardner (7), Herb Robertson (9), Laurie Frink (7), Hollywood Paul Litteral (5), Randy Brecker (3, 4)
trombone : Art Baron (7), Bob Funk (5), Dave Bargeron (2, 4, 6, 7)
bass clarinet : Marcus Miller (1, 3, 4, 6, 8)
tuba : Dave Bargeron (2)

arranged by  Marcus Miller (9)
arranged by (horns) : Lenny Pickett (3), Marcus Miller (2 to 4, 6), Uptown Horns (5)

artwork, design : Stephen Byram
photography by : Lynn Goldsmith, Robert Lewis

producer : Marcus Miller
recorded at Power Station, Electric Lady Studios, Camel Island

1. Snakes (Marcus Miller)
2. Benny (Marcus Miller)
3. Crossfire (David Sanborn, Marcus Miller)
4. Full House (David Sanborn, Marcus Miller)
5. Soul Serenade (Curtis Ousley, Luther Dixon)
6. Hey (David Sanborn, Marcus Miller, Ricky Peterson, Steve Jordan, William S. Patterson)
7. Bang Bang (Jaime Sabater, Joe Cuba)
8. Alcazar (David Sanborn, Marcus Miller)
9. Ramblin' (Ornette Coleman)

▶ Benny




  

2024年10月6日日曜日

David Sanborn / Back Street


 サンボーンの通算8作目の、1983年作品。プロデュースは Marcus Miller, Michael Colina, Ray Bardani の3人のアルバム参加ミュージシャン。いつもそうですが、ほぼセルフ・プロデュースは無く、プロデューサーによってアルバムの方向性を変えていくのがサンボーンの手法のようです。
 基本的には、プロデュースの3人によってプログラムされたサウンドですが、サンボーンのサックスの魅力をを最大限に引き出しアダルトに、シンプルに聞かせてくれる作りとなっています。プログラムされたではありますが、A Change Of Heart のような派手さは無いのが特徴でしょうか。


  それでは、大好きなサンボーンの Back Street をレビューします。I Told U So ハイラムとのポップでロックなコラボ楽曲です。若干ナンパな気もしますが売れ線の曲は、とても心地よいです。When You Smile at Me ほぼ、打ち込みのバッキングにサンボーンがサックスをのせたメローな楽曲でロングトーンのサックス・ソロの部分が痺れます。Believer こちらは、かなりナンパな感じがするマーカス提供らしい楽曲です。ここらへんのイズムが A Change Of Heart に引き継がれていますね。ボーカル部分は不要との声もあるかと思いますが、それも含めてマーカスです。Backstreet プロデュースはしないものの、今回のアルバムにサンボーンは積極的に楽曲を提供しています。これはアルバムのタイトル曲でもあり、楽曲としては良く練られた曲です。Tear For Crystal A サンボーン、マーカスの共作のバラードです。聴き直していると一番出来が良いとも思えてきました。Bums Cathedral これも次回以降につながる楽曲で、アレンジがナンパで良いです。Blue Beach ブルースと言う名前のレゲエナンバーです。これも捨てがたい良曲ですね。Neither One of Us 最後は雰囲気のある曲で締めですね。カバー曲で Jim Weatherly のポップスですが全く違う雰囲気で仕上げていて、違う曲に聞こえます。サンボーンのセンスの良さが光ります。
 派手さは無いけど、アルバムとしての曲のバランスよくサンボーン好きにとってはたまらないです🎶🎷

alto , soprano sax : David Sanborn
bass (fender, fretless, moog) , piano (rhodes) , synthsizer (jupiter-8) , guitar (solo, rhythm, electric, acoustic), steel drums, percussion,effects (vocoder), chair, tympani: Marcus Miller
bass (moog) , piano (fender rhodes), guitar (solo, rhythm, electric) : Hiram Bullock (1)
synthesizer (obx-a, jupiter-8), piano (acoustic), effects (vocoder) : Michael Colina (1,2,4,6)
drums : Steve Gadd (1,4)
congas, percussion : Ralph MacDonald (2,7)
backing vocals : Barry Johnson (3), Luther Vandross (1), Marcus Miller (1), Tawatha Agee (1), Yvonne Lewis (1)
backing vocals, arranged by : Marcus Miller (1,3)

art direction : Simon Levy
artwork (back cover illustration) : Desiree Rohr
Artwork (front cover collage) : Lou Beach

producer : Marcus Miller, Michael Colina, Ray Bardani
This album is dedicated to Jonathan Sanborn.

1. I Told U So (David Sanborn, Hiram Bullock)
2. When You Smile at Me (David Sanborn)
3. Believer (Marcus Miller)
4. Backstreet (David Sanborn)
5. Tear For Crystal, A (David Sanborn, Marcus Miller)
6. Bums Cathedral (David Sanborn, Michael Colina)
7. Blue Beach (David Sanborn, Marcus Miller)
8. Neither One of Us (Jim Weatherly)

I Told U So



Blue Beach


  

2024年7月19日金曜日

David Sanborn / Heart To Heart


 David Sanbornのリーダー作は、ほぼコンプリートしているのですが、前作1977年の「Promise Me the Moon」だけは持っていません。気づいていたのですが、聴く前にサンボーンは、2024年5月12日に亡くなってしまいました。78歳とのことで楽しませていただきありがとうございました。
 前作を聴いていないので前々作 Sanborn と比較すると、前々作は少しソウルっぽくて泥臭いウンドで、まだ時代を感じさせる古めのアレンジに対して、フュージョン全盛時代の都会的な垢ぬけたサンボーンに変化する手前といった感じです。このような作風はメンバーやプロデューサーによるところが大きいと思いますが、プロデューサーは Sanborn は Phil Ramone、本作は John Simon となり、とても暖かい音のアルバムです。音作りはソウル寄りのジャズに近い曲が多いようで、当然、プロデューサーの意図であると思いますが、stuffのメンバーの Steve Gadd, Richard Tee の参加、そのソウル魂に加えて Herb Bushler のズンズンと低く響くベースとリズムがこのサウンドにさせているのでしょう。ソウル寄りフュージョンではありますが、決してstuff 軍団に乗っ取られているわけではありません


 それでは、何百回と聴いてきたアルバムのレビューをしてみましょう。Solo フォーク調のイントロで始まる穏やかで温かい響きの曲です。Don Grolnick はこういった曲をエレピで弾かせると、自己主張せせずに曲に溶け込み、且つ美しく、他のパートを引き立てる演奏です。David Spinozza のアコースティックギターも効果的です。この人もサンボーンのバンドで良い仕事してます。サンボーンばかりで注目してたんですが、私の所有音源でサンボーン以外のの David Spinozza 参加のアルバムを見てみたら、Rod Stewart / As Times Goes By..The Great American Song ⅡThe Brecker Brothers / DetenteDonny Hathaway / Extension Of A ManRoberta Flack & Donny Hathaway など、ソウル、フュージョン系はなるほどですが、Rod Stewart は意外でした。Short Visit 出だしは Herb Bushler のシンプルな低いベースラインから始まるスローテンポのソウル調の楽曲ですが、このベースラインの伸ばした音符を微妙に♭にずらすところが素敵。また、プロデューサーの John Simon による楽曲です。Gil Evans のアレンジによるホーン部隊の厚みのあるオケも最高です。ギターの Hiram Bullock は未だ、この頃も目立たないようにカッティングしてます。あのコーラスかけたクリーントーンが後半に着目すると聴けます。Theme From "Love Is Not Enough" エレピで Richard Tee が参加となり、Steve Gadd が叩いているんで、やはり stuff っぽさが少々。Lotus Blossom フュージョン時代のサンボーンの名物みたいな曲で Don Grolnick 作曲です。テーマのメロディーやはかない曲の感じが大好きな曲ですが、David Spinozza のボサノバを取り入れたギターのバッキングも素晴らしい。一旦曲が盛り上がって、ブレイクした部分からこのギターが始まると静かに野に咲く花が見えるような気がします。Heba サイケな響きのするイントロが印象的な David Sanborn が作曲。これはソウルっぽさは全くありません。テーマ部分はサンボーンの独特なアルトの吹き方が非常にマッチする作りです。Hugh McCracken のスライドギターがブルース風ではなく中東的な感じで、ここら辺も怪しい雰囲気に非常にマッチ。Sunrise Gospel この曲に関しては stuff 軍団に乗っ取られているのですが、そこが良いんですね。最初のほのぼのした雰囲気が段々とソウルのリズムに変化していくのですがジリジリとしか変化しません。ためて、ためて最後にダンス系になるところで精神が解放されます。また David Spinozza の曲の途中のギターのバッキングがレゲエ的なところがありますが、このバッキングは私の大好きな Smile で使われているのと同じであることを今回発見しました。いや楽しい。Anywhere I Wander で最後になりますが、このアルバム以降で見られるサンボーン・フュージョンにつながる出来栄えであるところが、また次のアルバムを楽しみにさせてくれる楽曲になっています。
 ホントに何百回も聴いているアルバムですが飽きません。これは私のCD棚の良く聴く場所に再度戻しておきます🎶

alto sax : David Sanborn
【additional horns】
trumpet : Randy Brecker
tenor sax : Michael Brecker
tromborne : Sam Burtis
【additional percussion】
Ralph MacDonald
producer : John Simon

 1. Solo (Tony Jaffe)
piano : Don Grolnick
acoustic guitar : David Spinozza
electric guitar : Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
vibraphone : Mike Mainieri
recorded at Rosebud Recording Studio 1-18-78
 2. Short Visit (John Simon)
piano : Don Grolnick
guitar : Hiram Bullock
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
french horn : Jon Clark
percussion : Warren Smith
clavinet, synthesizer, french Horn : Pete Levin
soprano sax, alto sax : Arthur Blythe
tenor sax, flute : George Adams
trombone : Tom Malone
trumpet : Jon Faddis, Lou Soloff
tuba : Howard Johnson
arranged by : Gil Evans
recorded at A&R Studios 1-19-78
 3. Theme From 'Love Is Not Enough' (Coleridge-Taylor Perkinson)
electric piano : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
recorded at A&R Studios 1-20-78
 4. Lotus Blossom (Don Grolnick)
piano : Don Grolnick
acoustic guitar : David Spinozza
electric guitar : Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
vibraphone : Mike Mainieri
recorded at Rosebud Recording Studio 1-18-78
 5. Heba (David Sanborn)
piano, organ : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza
slide Guitar : Hugh McCracken
bass : Anthony Jackson
drums : Steve Gadd
recorded at Rosebud Recording Studio 1-17-78
 6. Sunrise Gospel (Herb Bushler)
piano, organ : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
tambourine : Warren Smith
recorded at Rosebud Recording Studio 1-17-78
 7. Anywhere I Wander (Frank Loesser)
piano : Richard Tee
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
arranged by : Coleridge-Taylor Perkinson
recorded at A&R Studios 1-20-78





  

2024年4月26日金曜日

David Sanborn / Hideaway


 タイトルの「Hideaway」は日本語で「隠れ家」の意。私が最も好きなライブ・アルバム Straight to the Heart でも演奏されていて学生の時にライブの方を先に聴きこんでいます。社会人になってからこのアルバムを購入してよりソウル的であり、短いリバーブのエフェクト処理されていたオリジナルは不思議な感覚でした。
 改めてメンバーを見てみましたが主題曲だけ、私の大好きなギタリスト Hiram Bullock が参加していますが未だロック小僧の自己主張は少な目で、アルバム全体では David Spinozza がギターを弾いています。またベースの Marcus Miller は2曲目のバラードにだけ参加、全体では Neil Jason が起用されています。パーカッションは、この後もサウンドの核となる Ralph MacDonald、ドラムは Steve Gadd、キーボードは Don Grolnick で、プロデューサーも務めています。この後のフュージョン時代のサンボーンの核となるメンバーが、チラホラしていること、マーカスばかりが印象にありますが、実はキーボードの Don Grolnick がサンボーンサウンドに重要な役割を果たしてくることがわかります。


 長い間愛聴してきましたが、参加ミュージシャンなどを、じっくり見て聴いてくることも無かったです。レビューです。Hideaway 少しレトロで野暮ったいアレンジが魅力です。サンボーンがキーボードを弾いて Don Grolnick がクラビを担当してました。時代を感じますが歴史的名作と言われたのは、この曲があったからでしょう。ハイラムのギターは全く目立たないのにも感動。Carly's Song の Carly's はCarly Siom(カーリー・サイモン)のことで、楽曲にバックグラウンドボーカルで参加している James Taylor(ジェームス・テイラー)の当時の奥様とのこと。調べてみると結婚は1973年~1983年だったので、このアルバムのリリースの1980年当時は未だご夫婦の時代。作曲はサンボーンで James Taylor は参加していませんでした。今まで聴いてきたけど、そんな謂れがある曲とは理解していませんでした。とても美しい曲でストリングスの入ったサウンドです。レトロなアレンジとは思いますが時代を感じる古さは無いですね。Anything You Want これは昔のフュージョン風ですね。サックスに、かかった深めのリバーブと David Spinozza のチャカポコ・ギター、クラビ・サウンドが古臭さを醸し出しています。The Seduction (Love Theme) いかにもサンボーンらしい楽曲の広がり、ギターの Jeff Mironov はロック系の人かと思ったら1970年代に活躍したセッション・ギタリストとのことでビッグバンドなどにも参加しているジャズ系ミュージシャンでした。Lisa サンボーンの InsideStraight to the Heart にも収録されている派手さは無いがお馴染みの曲です。少しづつ印象が違います。このアルバムが一番野暮ったい印象だったのですが改めて聴き直すと、そうでも無い。でも個人的には Inside が一番良いかもしれないです。If You Would Be Mine ポップス的な楽曲ですがこれは昔風の時代を感じる音ですかね。サンボーン特有の煽りがいっぱい出てきて楽しいです。Creeper 怪しい感じのベースラインとテーマが独特の多重録のサックスのテーマが魅力。アーシーな雰囲気があって、このアルバムの中でも印象的な曲で、これが出てくると Hideaway だってなります。インパクトは一番あります。Again An Again 締めの曲はソウル要素の入ったこの曲です。なんとなく The Gadd Gang あたりの匂いも感じる曲で、Steve Gadd が叩いているんだなあと主張がある曲ですね。
 全体的にメロディアスな曲が多く、レトロ感溢れるサウンドが、この時代のフュージョン・ファンにはたまらんです。やっぱりサンボーン🎵

producer : Michael Colina

recorded at Celebration Recording Studio, Inc., NYC & Minot Sound, White Plains, N.Y.

1. Hideaway
alto sax, soprano sax, tenor sax,  electric piano, fender rhodes : David Sanborn
clavinet : Don Grolnick
synthesizer : Michael Colina
guitar : Hiram Bullock
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
congas, percussion : Ralph MacDonald
percussion : Ray Bardani

2. Carly's Song
alto sax : David Sanborn
backing vocals : Arnold McCuller, David Lasley, James Taylor
fender rhodes : Don Grolnick
bass : Marcus Miller
drums : Rick Marotta
percussion : Ralph MacDonald
vibraphone , marimba : Michael Manieri
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry

3. Anything You Want
alto sax : David Sanborn
clavinet : Don Grolnick
synthesizer : Michael Colina
congas : Jody Linscott
guitar : David Spinozza
Bass : Neil Jason
Drums : Steve Gadd
cowbell, tambourine : Ray Bardani


4. The Seduction (Love Theme)
alto sax : David Sanborn
backing vocals : Bette Sussman, Naimy Hackett
piano : Michael Colina
electric piano : Paul Shaffer
guitar : Jeff Mironov
electric guitar : David Spinozza
Bass : Neil Jason
drums : Buddy Williams, Steve Gadd
tambourine : Ray Bardani
congas : Jody Linscott
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry

5. Lisa
alto sax, electric piano: David Sanborn
synthesizer : Michael Colina
acoustic guitar : David Spinozza
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
cowbell : Jody Linscott
cymbal, Triangle : Ralph MacDonald
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry


6. If You Would Be Mine
alto sax : David Sanborn
electric piano : Michael Colina, Rob Mounsey
acoustic guitar : David Spinozza
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
congas : Ralph MacDonald
percussion : Ray Bardani

7. Creeper
alto sax, soprano sax, organ: David Sanborn
electric piano : Don Grolnick
synthesizer : Michael Colina
bass : John Evans, Michael Colina
guitar : Danny Kortchmar, Waddy Wachtel
drums : Rick Marotta
congas : Jody Linscott
cymbal : Ray Bardani

8. Again An Again
alto sax : David Sanborn
synthesizer : Michael Colina
electric guitar : David Spinozza
bass : Neil Jason
drums : Steve Gadd
percussion, tambourine : Ray Bardani
congas : Jody Linscott
piano : Don Grolnick
cello : Julian Fifer
Violin : Benjamin Hudson, Carol Zeavin, Guillermo Figueroa , How Liang-Ping , Joanna Jenner, Ronnie Bauch, Ruth Waterman, William Henry

▶ Hideaway


▶ Lisa


  

2024年3月30日土曜日

David Sanborn / Here & Gone


 ギラギラしたフュージョンではなくムーディなサウンド、ジャズというよりはブルース系4ビートやビッグ・バンド風のサウンドを基調としたアルバムです。注目は、参加ミュージシャンで、ギターは Russell Malone、Derek Trucks、ボーカル、ギターで Eric Clapton、ドラムは全面 Steve Gadd の人気アーチストが華を添えています。そっちに注目しがちですが、もちろんサンボーン節のサックスは健在で、フュージョン時代のように尖らず、わかりやすい R&B 色が強いので、とても聴きやすいアルバムとなっています。
 プロデュースは30年ぶりの David Sanborn(メロウ・サンボーン 巨匠 Phil Ramone で、1959年、レコーディング・スタジオ「A&Rレコーディング」を立ち上げ、革新的な技術を積極的に用いるレコーディング・エンジニア、音楽プロデューサー。4トラックレコーダー、映画の光学式サラウンド音声、デジタル録音技術などがあり、A&Rスタジオでは初の一般販売用コンパクトディスク(CD)が製作されたそうです。
 

 それでは、ご機嫌なアルバムを再試聴しながらレビューをしていきます。St. Louis Blues は、W C Handy による名曲で、ムーディにググっと渋い演奏です。リラックスしたビッグバンドの演奏をバックに、自然体のいつものサンボーン節がたっぷりで素晴らしい。次はBrother Ray で、ギターの Derek Trucks が前面に押し出された作品で、もう既にギターと言う楽器の音を飛び越えた演奏で控えめではあるのに注目して聴いてしまいます。ある音域ではサックスの音色と寄り添うかのように、むせび泣くギターは極上です。次いではクラプトンの登場で I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town。ジャジーなブルース演奏にボーカルは聴きなれた、あの声です。ギターはプリンとしながらギラっとしたノーマルなストラトの音でオブリガード主体でボソボソ弾いているのがまた渋い。バックの演奏でギターでひたすら4ツを刻んでいるのが Russell Malone かと思うとこれはまたゴージャス。Basin Street Blues ここからはサンボーンが主役となります。前の2曲はどうしてもギターとボーカルに注目してしまいますので、ナチュラルにサックスの音が楽しめるのですがバックの演奏も途中で拍をずらして前にのせたビートにしたり聴き飽きない仕掛けがにくい。Stoney Lonesome も、普通にビッグバンドなのですがソリスト・サンボーンが、するっと吹いている感じが凄く自然です。Russell Malone のギターソロも短いですが、いぶし銀です。 I Believe It To My Soul は、Ray Charles の楽曲で Joss Stone のボーカルが迫力あります。どんな貫録のある黒人のオバちゃんかと思って検索してみたら白人の綺麗な女性でしたので若干驚き。What Will I Tell My Heart は Irving Gordon, Jack Lawrence, Peter Tinturin によるスタンダード。R&B が濃くなってきたのでジャズ方向に修正です。Ella Fitzgerald が歌ってたバージョンも好きです。Please Send Me Someone To Love は Percy Mayfield のブルースナンバーです。ここらへんはサンボーンのサックスとしっくりときますね。しかしなんてことない曲でもサックスを聴いてこの人とわかるサンボーン節は凄い。I've Got News For You はボーカルに Sam Moore で大団円の楽曲。
 いや、ゴージャスでエンターテイメント性に優れるアルバムで楽しいアルバムです。たまに聴くよりは、もう少しヘビロテにしたいと改めて思い、保管は良く聴く棚に移動します🎵

alto sax : David Sanborn
electric piano , organ : Gil Goldstein (1 to 4, 6, 8)
organ : Ricky Peterson (2, 6, 8, 9)
guitar : Russell Malone、Derek Trucks(2), Eric Clapton(3)
bass : Christian McBride
drums : Steve Gadd
baritone sax : Howard Johnson (3)
tenor sax : Lou Marini
trombone : Mike Davis
trumpet : Keyon Harrold, Lew Soloff (1, 4, 6, 9), Wallace Roney (1)
bass clarinet : Charles Pillow (1 to 4, 6, 9), John Moses (5, 7, 8)
pro-tools programming : Dean Sharenow
vocals : Eric Clapton(3), Joss Stone(6), Sam Moore(8)

producer : Phil Ramone

recorded at Legacy Recording Studios and Hiatus Studios (New York City, New York); Studio 835 (Los Angeles, California)

1. St. Louis Blues
2. Brother Ray featuring : Derek Trucks
3. I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town featuring : Eric Clapton
4. Basin Street Blues
5. Stoney Lonesome
6. I Believe It To My Soul  featuring : Joss Stone
7. What Will I Tell My Heart
8. Please Send Me Someone To Love
9. I've Got News For You featuring : Sam Moore





  

2023年11月3日金曜日

David Sanborn / Pearls


 1995年のエレクトラ・レーベルからのリリースです。優美なストリングスを入れてサンボーンが「サックスで歌い上げる」ゴージャスでドラマチックなアルバム。サンボーンが吹くサックスという楽器が放つ音の説得力、力強さが感じられます。
 音楽CDではありますが、ジョニー・マンデルの編曲をバックに大きな映像が流れ、その真ん中にサンボーンが立ちながら、ゆったりとサックスを吹いているような音楽を聴いていて何かが見えてくるような気持になります。


 アルバム全体はカバー曲で構成されています。 Willow Weep For Me 1932年に Ann Ronell が作詞・作曲した邦題「柳よ泣いておくれ」というポピュラー・ミュージック。オーケストラをバックでポップな味わいです。今までのサンボーンは、どこに行ってしまったのか?最初に聴いた時には結構戸惑いました。しかし、サックスの鳴き方は、いつものサンボーンのようであります。Try A Little Tenderness  も1932年、Jimmy Campbell, Reg Connelly,  Harry M. Woods によってつくられた曲で後に Frank Sinatra のデビューアルバムに収録され1966年の Otis Redding のカバーで有名になった曲です。目を閉じれば、映像が見えるような音楽です。王道の安定した旋律ですが素晴らしい出来栄え。そして大スタンダード Smoke Gets In Your Eyes です。やっぱり一番グッと胸にくる演奏でサンボーンって良いなあと素直に思える出来栄えです。ひねりはあまりないので、サックスの教則本に収録しても良いぐらいの品行方正な録音かと思います。Pearls これが主題です。Sade Adu、Andrew Hale と言う人の作曲らしいです。全く知りませんが奥行きの深い曲です。For All We Know は、ボーカル入りです。歌は Oleta Adams というソウル・ジャズ・ゴスペルを歌う方です。For all we know. We may never meet again. Before you go Make this moment sweet again 二度と会えないかもしれないことを知っていると、最後の二人の夜をゆっくりと過ごす歌です。かなり歳をとった歌声でこんな曲を聴くと何か昔話を聴いているような感じですね。Come Rain Or Come Shine は、Harold Arlen 作曲、Johnny Mercer 作詞の1946年のポピュラーソング。Billie Holiday、Sarah Ella Fitzgerald、Judy Garland などの女性シンガー、Ray Charles、Bill Evans、Frank Sinatra、などなどでも聴けますし Art Blakey Moanin' なんかにも収録されています。This Masquerade は、Leon Russell による名曲です。ジョージ・ベンソンの方が聞き覚え有ります。Everything Must Change Randy Crawford これも1976年にリリース Benard Ighner が作曲した曲で様々なアーチストにカバーされている名曲。歌よりも説得力を感じます。Superstar これはLeon Russell 作、カーペンターズで有名な曲ですね。Nobody Does It Better Carly Simon が1977年に映画『007 私を愛したスパイ』の主題歌として発表した楽曲。懐かしいですね。
 とにかくテクニックがあるサックス奏者の楽曲を聴かせるのではなく、その曲の心を伝えるような強烈なサックスです。おそらくギター弾きの私よりもサックス奏者の方には「たまらない魅力あり」の一枚だと思います🎵

alto sax : David Sanborn
keyboards : Don Grolnick (1, 4 to 9),  Kenny Barron (2,3) , Oleta Adams (10)
acoustic bass : Christian McBride (1 to 8)
electric bass : Marcus Miller (10)
fretless bass : Mark Egan (9)
drums : Steve Gadd
percussion : Don Alias
orchestrated By : Johnny Mandel (9)
vocals : Oleta Adams (10)

producer : Johnny Mandel, Tommy LiPuma

1. Willow Weep For Me
2. Try A Little Tenderness
3. Smoke Gets In Your Eyes
4. Pearls
5. For All We Know
6. Come Rain Or Come Shine
7. This Masquerade
8. Everything Must Change
9. Superstar
10. Nobody Does It Better


▶ Pearls



  

2023年9月29日金曜日

David Sanborn


 Taking Off に続くサンボーン2枚目は自身の名前がアルバム名。邦題は「メロー・サンボーン」となっています。サウンド的には、それほどメローではなくファンク、ソウル系が色濃い作品となっています。発売は当然、Warner Records で、プロデューサーは レコーディング・エンジニア、ミュージシャン、作曲家の Phil Ramone で、どちらかと言えばポップス、ロック、ブルース系の方のようです。私のサンボーン遍歴はマーカス色が濃くなって洗練されたサウンドになっていた頃の Straight to The Heart で始まり、次いで A Change Of Heart から始まっているので、このソウル色の強い、このアルバムは結構新鮮に聴けました。マーカスはいませんが Hiram Bullock は、このアルバムから参加しています。注意して聴いていましたが、この頃は未だ自己主張は少な目で、あのクリーントーンのギターの音ではありません。名曲「Smile」はボーカル入りで、このアルバムが原点というのも忘れてはいけない点ですね。サンボーンと言えば色男のイメージですが、ジャケットの裏写真は指名手配犯のような目つきの悪さです。


 さて、レビューです。レトロ・ファンクのようなサウンドで始まるのは Indio です。改めて聴き直すとファズを少し効かせたバッキング・ギターから、サビでの裏の取り方がトリッキーなカッティング・ギターなどハイラムは中々手の込んだギターを主張控えめにやっています。サンボーンのサックスはこの頃から完成されたサウンドと構成ですが少し黒さが濃いでしょうか。そして、あの名曲 Smile です。作曲者は C. Perkinson と言う方の作品で、元曲を探してみましたが残念ながら見つかりません。Mamacita は、歌物でもおかしくない完全にファンクです。昔風のエレピがカッコイイですね。Herbs は年代物の感じがするワウを効かせたギターが印象的。サックスとはもる女性のバッキング・ボーカルも昔風。力強いドラムとベースに合わせて歌うサンボーンのサックスも心地よし。Concrete Boogie も、ミドルテンポのソウル・パターン。アルトの音でしゃくるような音でのサンボーンのサックスはソロを吹きまくらなくても魅力的です。I Do It For Your Love ここで Richard Tee が登場です。短めの2分51秒は、サンボーンとのデュオのバラードとなっておりノリノリ・ナンバーでは無いところがやってくれますね。Sophisticated Squaw は、ファンク・ナンバーに戻ります。最後の 7th Ave とこの曲は、ドラムの Victor Lewis の作曲となっています。7th Ave では最後のギターソロがハイラムらしからぬテクニカルで軽めの音で珍しい。
 大好きなサンボーンの軌跡の一枚であり、黒さを前面に出した作風は良しです🎵
 
sax, flute : David Sanborn
keyboards : Rosalinda DeLeon (1-5,7-8)、Richard Tee (6)
guitar : Hiram Bullock
bass : Herb Bushler
drums : Victor Lewis
percussion : Jumma Santos

produced by Phil Ramone

This album is dedicated to Jonathan Sanborn.
Recorded at A&R Studios, N.Y.C.

1. Indio
2. Smile
3. Mamacita
4. Herbs
5. Concrete Boogie
6. I Do It For Your Love
7. Sophisticated Squaw
8. 7th Ave.

Indio

Smile



  

2023年8月5日土曜日

David Sanborn / Another Hand


 この Elektra から発売のサンボーンはいつもと少し違い、また違った魅力と実力を再発見できるアルバムです。と今は言えるが、発売当時いつものフュージョン・サウンドからの路線変更に若干戸惑って、あまり聴きこんできませんでした。しかし今は、耳がすっかりジャズの路線に慣れてきてしまっているので、冒頭2発の First Song、Monica Jane は、Bill Frisell のストレンジな世界観がたっぷりの演奏も楽しむ余裕があります。


 3曲目 Come To Me, Nina の作曲は、ピアノの Terry Adams でピアノが美しいバラードに仕上がっています。虹色に光っているような曲です。次いで Hobbies の作曲もピアノの Terry Adams ですが、今度はラテン・ポップス調でありながら、少しづつアウトするフレーズを入れて曲全体にインパクトを与えているナイス・アイデアな楽曲で、サンボーンのサックスも、きっちり楽しげなフレーズが盛り込んであります。そしてマーカスの Another Hand は、;Thriller Miller と書いてあり、これは何を指すのかよくわかりません。アルバム名ではないようですし Mulgrew Miller と関係があるのか?2005年のジャパン・ツアーは Thriller Miller の題名でしたが・・とよくわかりませんが、楽曲はマーカスの、いつもの奴ではなく、抽象的なジャズです。アルバムのテーマでもあります。Jesus は、Bill Frisell がアコースティック・ギターで参加している牧歌的な曲で、難解なジャズっぽいところは無くわかりやすい感じです。Weird From One Step Beyond も前曲の精神を受けついているような曲で、ブツブツと曲が配置されていた感じに何か統一感をもたらしています。Cee は サンボーンと Terry Adams の共作で比較的今までのサンボーンに近いサウンドで聴きやすい感じがしますが、このアルバムでは異色な曲と思って書いてたら終わりました。2分26秒とかなり短い。Prayers For Charlie From The Devil At Four O'clock / The Lonely From The Twilight Zone は最初の短いイントロ部分はフリーっぽい感じで、途中からクラシックっぽいところが2曲合体している3部構成と思いや途中で個人のソロ=フリーのような流れ。これもサンボーンでは新しい試みで、前回聴いた時はつまらなかったのですが、完全に好みでは無いですが今の私は割と好きなタイプです。そして最後は、Dukes & Counts でマーカスの出番となります。こちらはマーカスっぽくない古臭い進行のポップスで、マーカスの懐の深さとサンボーンのサックスが」良くマッチしています。
 各楽曲は良いところがありますが、アルバムを通して聴くと脈絡が無い印象を受けました。聴くほどに味が出てくるアルバムのようではありますので繰り返して聴きこんでてみたいと思います🎵

producer : Hal Willner (1 to 4, 6 to 9), Marcus Miller (5, 10)

recorded at Master Sound Astoria, Astoria, NY (1-3, 6-7, 9-10)
recorded at Power Studio, New York (Tracks : 4, 5, 8)

1. First Song
alto sax : David Sanborn
guitar : Bill Frisell 
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron

2. Monica Jane
alto sax : David Sanborn
tenor sax: Lenny Pickett 
trombone : Art Baron
guitar : Bill Frisell 
organ : Leon Pendarvis
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

3. Come To Me, Nina
alto sax : David Sanborn
piano : Terry Adams
guitar : Marc Ribot
bass : Greg Cohen
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

4. Hobbies
alto sax : David Sanborn
vocals : Syd Straw
piano : Terry Adams
guitar : Al Anderson
bass : Greg Cohen
drums : Steve Jordan
percussion : Don Alias

5. Another Hand
alto sax : David Sanborn
piano : Mulgrew Miller
bass : Marcus Miller
drums : Jack DeJohnette 

6. Jesus
alto sax : David Sanborn
vocals : Syd Straw
guitar : Bill Frisell 
guitar :  Dave Tronzo
guitar : Marc Ribot
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

7. Weird From One Step Beyond
alto sax : David Sanborn
piano : Terry Adams
guitar : Bill Frisell 
guitar :  Dave Tronzo
guitar : Marc Ribot
bass : Greg Cohen
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

8. Cee
alto sax : David Sanborn
piano : Terry Adams
guitar :  Dave Tronzo
guitar : Marc Ribot
bass : Greg Cohen
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

9. Prayers For Charlie From The Devil At Four O'clock 
/ The Lonely From The Twilight Zone
alto sax : David Sanborn
guitar : Bill Frisell 
guitar : Marc Ribot
clarinet, bass Clarinet :Lenny Pickett
trombone, bass Trombone : Art Baron 
bass : Charlie Haden
drums : Joey Baron
percussion : Don Alias

10. Dukes & Counts
alto sax : David Sanborn
piano : Mulgrew Miller
bass : Marcus Miller
drums : Jack DeJohnette 





  

2023年2月3日金曜日

David Sanborn / Straight to The Heart


 サンボーンを最初に知ったのがこのアルバムで、大学時代にジャズ研の先輩から「この曲をやれるメンツ集めてるんだけど」と渡された曲が、このアルバムの Smile でした。先輩は大学に入学してからサンボーンに惚れてアルトサックスを始め、多摩川のほとりで夜な夜な練習して完全コピーを完了してからのお誘いで、周囲からは Mr.Sanborn をささやかれるほどで、ライブをするごとに女性ファンが増えるといった実力者でした。数年前に同窓会でお会いしたところ、今はサラリーマンをしながらジャズ・フュージョン・ロックを問わず音楽優先の勤務時間が許される生活をなさっているとのことでサックスは一生のお友達になっているようです。
 スタジオでの地獄の特訓は、歌えなければ楽器で表現できるわけもない理論から楽器触らずに各パートを声で出して歌うことから始まり、このアルバムの音は全て覚えているほど聴きこんでいます。おかげで、すっかり洗脳されてしまい無人島に一枚だけ持って行けるんだったら私はこのアルバムを選びます。


 さてこのアルバム、サンボーン、マーカスはもちろんのこと今は亡きハイラムも最高の演奏で、キーボードのドン・グロルニック、ブレッカー・ブラザーズ、ドラムのバディ・ウィリアムス、名アルバムでは必ず参加している印象のあるパーカッションのラルフ・マクドナルドなどが出演で贅沢の極みの絶好調期の理屈抜きで楽しめるライブ・アルバムとなっています。
 それではアルバムの紹介です。Hideaway すべてが完璧なイントロ、売れ線のフュージョンのどこが悪い。かっこよすぎで最初の曲から全開に素晴らしい。ギターのハイラムのソロもロックで素晴らしい。今のフュージョンはやたら早弾きして難しいことをやりますが、ハイラムは早弾きはせずに、フレーズをつなげて展開するのが上手いのです。基本的にロックですがバッキングのクリーンなギターの音色も素晴らしい。 Straight To The Heart は、バンド全体がこの曲を大事に演奏しているのがわかります。タイトル曲でもあるよにサンボーンが一番感情を込めたサックスを吹いているのがこの曲でしょうか。Run For Cover ライブ映像ではこの曲が一番多いように感じます。ベーシストでスラップをやる人はこの曲を練習局にする人が多いようです。マーカスの静かなベース・ソロから始まるこの曲はマーカスの非凡な音楽性を思い知らされる名曲です。Smile 私はこの曲が全てのエッセンスが詰まっていて曲の表情も多彩で最高であると思っていますが世の中的にはそうでもないのかも知れません。別で発売されているビデオ Love & Happiness で見ることのできる2回目のギターソロのハイラムの弾けっぷりも最高です。今でもこの曲は全部歌えます。Lisa はライブでの休息を入れるバラードです。サンボーンのアルトが歌うように聴く人の心をつかむ曲。Love & Happiness これも学生時代のサンボーン・バンドのテーマの一つ。ボーカルものですが盛り上がります。ビデオ Love & Happiness では、これから始まります。Lotus Blossom も名曲です。これは Heart To Heart に収録されているスタジオテイクの方も良かった記憶があります。One Hundred Ways はポップなフュージョン・ナンバーで夕暮れを思わせるしんみりとしたテーマが魅力的な曲でコーラスも入っているのですが凄く良い。フュージョン曲でコーラスが入ったりするとダサくなる曲が多いのですがサンボーンのサックスが肉声のような役割を果たしているのと、やっぱりマーカスのセンスが良いのでしょう。
 何百回聴いても色あせない素晴らしいアルバムです。今夜の就寝時の子守歌はこのアルバムにします。

alto sax : David Sanborn
keyboards : Don Grolnick
guitar, backing vocals : Hiram Bullock
bass, synthesizer : Marcus Miller
drums, backing vocals : Buddy Williams
percussion : "Crusher" Bennett (2), Michael White (5) (6), Ralph MacDonald (3, 8)
horns : Jon Faddis, Michael Brecker, Randy Brecker (8)
lead vocals : Hamish Stuart (6)
backing vocals : Frank Floyd, Lani Groves, Vivian Cherry, Marcus Miller (8)

producer : Marcus Miller

1. Hideaway
2. Straight To The Heart
3. Run For Cover
4. Smile
5. Lisa
6. Love & Happiness
7. Lotus Blossom
8. One Hundred Ways


▶ Smile