ジョニ・ミッチェルが1979年9月にカリフォルニアのサンタバーバラで行なったコンサートの模様を収録したライヴ作で、故ジャコ・パストリアスを初めとするドンアライアス、マイケルブレッカー、パットメセニー、ライルメイズというジャズファンからしたら聞き逃せないメンバーによる作品です。目当てとしてはジャコの作品収集の一環としての購入なのでジョニファンには申し訳ないですがジャコファン目線で記述すると、ジョニとジャコのコラボは1976年の「Hejira」1977年の「Don't Juan's Reckless Daughter」1979年「Mingus」があり、ジャコとのコラボ作としては最終作となります。パット・メセニーとのコラボは1975年にドイツで録音されたパット・メセニーのデビュー作 Bright Size Life から始まっています。
ジャコ目線で追ってしまいましたが、これだけの凄腕を集めると誰かがジョニよりも目立ってしまったりしまうものですが、メンバーに最高のパフォーマンスをさせつつ従えて自分のパフォーマンスを最高レベルに見せてしまうことができるのは格が違います。ジャコついでに書いてしまうとビル・ミルコスキー作の「ジャコパストリアスの肖像」で大概の人はジャコはユーモアがあって素晴らしい男だったと褒めていますが、ジョニだけは「傲慢で挑戦的」とインタビューに答えています。でも「たいていの人は彼には耐えられなかったけど私は彼と一緒にやっていきたいと思った」とも答えています。ドラッグに溺れた後のジャコとはほぼ付き合いがなく最後に会ったニューヨークのバーでは表情がなくて虚ろな目をしたジャコがいて名前を読んだら抱き合ったと語っています。正直にでも言葉を選んだインタビューで、きっと素晴らしい女性であることをうかがわせる内容でした。
この音源も聞いたことはあったんですが、ジャンルレスに聴く人を惹きつけるボーカルはいつまでも心を打ち新鮮な気持ちで聴くたびに新鮮な気持ちになれます。レビューしていきましょう。In France They Kiss on Main Street ジャコの音が、やけにでかいですが、しっかりとしたグルーブでボーカルの邪魔をしないところや盛り上げ方も良し、カントリー調にもこんなに相性が良いのかと最初から飛ばしてきます。Edith and the Kingpin イントロだけジャコがしゃしゃり出てきます。静と動の対比が素晴らしくジョニの透き通った歌声が素敵です。そして名曲ですな Coyote ジャカジャカのギターはジョニでメセニーのギターがキラキラとしてドン・エイリアスのコンガが効果的です。Goodbye Pork Pie Hat はミンガスとの楽曲でジャズ期の作品です。このメンバーだからこその演奏は、とても聴きやすいし、自由に音階を泳ぐように歌うボーカルもまた良し。ジャコのランニング・ベースからのおかずの入れ方も天才的です。Amelia も良い曲ですよねえ。ジョニの弾き語りでしょうか。ギターも上手し。続いて Pat's Solo でクセのあるギター・ソロです。個人技もお後よろしいようで楽しいコンサートです。そして待ってました Hejira です。ベース、Saxのソロ、も含めエレクトリックなジャズがバンド一体となって展開されます。ジョニは Weather Report をバックバンドにしたかったそうですが、同等の効果が実現されているようです。そしてDreamland は楽しいナンバーです。そして Band Introduction でのメンバー紹介。パットメセニーはパット・マルティーニか。Furry Sings the Blues で、熱くなった観客を少々冷やしながら聴かせます。Why Do Fools Fall in Love? はロックンロールでイントロで少し流れたヤツですね。素晴らしいハーモニーと選曲です。Shadows and Light ここでこのアルバムのタイトル曲です。大きな会場でこのハーモニーを聴くと観客は感激で震えたに違いありません。そして、また楽しいライブですからジャコが少し遊び心でサービスし、ジョニが貫録の歌で God Must Be a Boogie Man。そして最後は Woodstock です。最後は派手にかますことはせずに、歌を聴いてもらう曲にするのも泣けますね。名盤です。
行きつけの「おでんバー」には、このアルバムのLPが置いてあり、CDと聞き比べたらLPのほうが臨場感が格段にあったので少し悔しい思いをしております🎶
vocals, electric guitar : Joni Mitchell
keyboards : Lyle Mays
lead guitar : Pat Metheny
electric bass : Jaco Pastorius
drums : Don Alias
sax : Michael Brecker
vocals : The Persuasions
Recorded & filmed live at the Santa Barbara Bowl, Santa Barbara, California, USA on September 9, 1979, using the remote facilities of Record Plant Mobile, Los Angeles.
1. Introduction
2. In France They Kiss on Main Street / Joni Mitchell
3. Edith and the Kingpin / Joni Mitchell
4. Coyote / Joni Mitchell
5. Goodbye Pork Pie Hat / Charles Mingus, Joni Mitchell
6. Dry Cleaner from des Moines / Charles Mingus, Joni Mitchell
7. Amelia / Joni Mitchell
8. Pat's Solo / Pat Metheny
9. Hejira / Joni Mitchell
10. Dreamland / Joni Mitchell
11. Band Introduction
12. Furry Sings the Blues / Joni Mitchell
13. Why Do Fools Fall in Love? / Frank Lymon, Morris Levy
14. Shadows and Light / Joni Mitchell
15. God Must Be a Boogie Man / Joni Mitchell
16. Woodstock / Joni Mitchell