生前のリーダーアルバムの録音が少なくて、もはや発掘音源のほうが多くなってしまいました。お馴染み発掘音源の Resonance からの発売で Word Of Mouth Big Band の、1982年6月27日NY、クール・ジャズ・フェスティヴァルの演奏14曲を全て収録しています。音源は米国の公共ラジオ局NPR(National Public Radio)で、「Jazz Alive」という番組のために収録されたものです。実際には番組で放送されなかった40分間も含めての完全版だとのこと。
会場の拍手や歓声もからもお客さんも大満足のライブなのは間違いなく、この音源の存在を知ったプロデューサーは、2011年から5年かけて作品化したとのこと。チビチビ小出しで発売して被った曲を含めて購入させて金儲けではなく、最初から全てをCD化するところはGood!と評価したい。
1982年は Jaco が精神的な問題を抱え始める直前の、ミュージシャン・作曲家・アレンジャーとして最も充実していた時期の一つ。また24 チャンネル録音であるのでハイクオリティな状態の録音でのクリアな音質。更にジャコの状態も良く音の粒立ちが良く、お遊びの入れ方などもセンス良し。これが Jaco だなと思える内容で、この日の演奏が日の目を見たのは嬉しい限り。
「Invitation」観客の緊張感も伝わる静寂の中からチューニングを確かめるジャコ。そこから圧倒的ハイスピードで開始されると直ぐに最高潮になります。ビッグバンドですので、もちろん統制のとれた演奏なのですが、自由度の高い統制を感じます。Jaco のベースは、ちっちゃな音の粒が細かく弾けとぶような感じがします。
「Soul Intro/ The Chicken」お馴染み Jaco が1976年にウェザー・リポートに加入する前、南フロリダのサーキットで活動していた初期のバンドで演奏していたファンク・ナンバー、いつものアレンジで、ビッグバンドの全員が高揚しているのがわかる Soul Intro からの The Chicken は安心感があり、Randy Brecker のエフェクトをかけたトランペットが何といっても素敵。私のジャズ研時代もライブの最後は楽器を持っている全員での大合奏が定番でした。
「Donna Lee」導入部分の David Bargeron のチューバ・ソロがとにかく非凡。楽曲開始後も最初のソロから David Bargeron の大活躍の長尺ソロはアイデアに満ち溢れ新しく素晴らしい。次いでのソロはシンセ奏者がいないのにと思ったら、Bob Mintzer のエレクトリック・クラリネット、負けじと Randy Brecker のエフェクトをかけたトランペットが再発進と聴きどころも満載。Jaco の有名な Donna Lee 演奏はデビューアルバムの完全独奏ですが、このライブでのソロのアドリブも名演で Donna Lee 愛に溢れています。最後の全員ユニゾンも圧巻。
「Three Views to a Secret」ここで Toots Thielemans の登場で観客が沸き、お馴染みの曲をしんみりと演奏します。いつ聴いても愛らしいワルツナンバーです。ただ違うのが、いつも淡々とした Toots Thielemans が、時として熱いんじゃないかと思うのですが。最高っです。
「 Liberty City」自由を感じる旋律、情熱的なリズムこのビッグバンドの凱旋歌でもあり、楽しい演奏で、Toots Thielemans のソロになると、皆お辞儀をして下がるようにいなくなり、後から大挙して押しかけてきて踊りまくる様な演奏です。曲名は Jaco が若い頃によく通ったマイアミの地区にちなんでおり、そこは1968年の共和党全国大会中に人種暴動が起きた場所。
「Sophisticated Lady」 Jaco の珍しくやり過ぎない独奏をイントロに、Toots と Jaco のデュオ演奏で、ノスタルジックな音色にブルージーな味付けもある Toots との、このコラボはある意味このライブのハイライトにもなっているような気がします。ヤンヤ👏
「Bluesette」Toots の代表的なワルツ・メロディを、本人 Toots とスチールパンの Othello Molineaux が主役で演奏します。Don Alias のパーカッションが入り何か南国とワルツのドッキング。キュンときます。
「 I Shot the Sheriff」Jaco のコンボなどでも聞かれる Bob Marley の名曲が、Othello Molineaux が主役で演奏となりますが、まだ Toots も参加してきます。Jaco は控えめに裏でレゲエのリズムを刻みますが、新解釈っぽいアレンジで新しい曲を聴いているような感覚になります。
「Okonkolé y Trompa」無伴奏のバタおよびコンガ・ソロが10分。Don Alias の迫力に圧倒されながら聴いていると入り込んでしまいますが、完全に入り込んだところからチューバの音色で曲が始まると何か眠っているところを静かに起こされる感じがします。Jaco は超絶速度のベースでハーモニクスでパーカッションです。
「Reza/Giant Steps (Medley)」ワールド・ミュージック、ビッグバンドのダイナミクス、スイング、ロック風の豪快さを融合させた圧倒的 Reza から Coltrane に違和感なく湧き上がってくるようにメドレーで、これも圧巻の演奏。
「Mr. Fonebone」先ほどの Reza/Giant Steps (Medley)」 から個人技大会が終了していたことを忘れていたのをこの曲を聴いて思い出しました。ホーン部隊とスチールパンの驚異的なテーマのシンクロが印象的です。また Bob Mintzer のエレクトロ・バスクラが強烈なうえに、 Randy Brecker もやはり切れてます。Toots も参加し最後のビッグバンドならではのグルーブ感も良しです。
「Bass and Drum Improvisation」そして名物 Jaco のサービスタイムのソロです。Jaco は観客を喜ばせるために、このソロをしていたが次第に長尺になり過激になり問題が生じてきたことも多々あったと何かの文章で読みました。ジミヘンからバッハまで、このソロは適切なのではないでしょうか。Peter Erskine までが長すぎるとどうかなって感じなので長さ的には無難なところです。
「Twins」前曲の Drum Improvisation の最後のオーケストレーションからの続きで大地の「うねり」のようになっていて感動的な幕引きです。
「Fannie Mae」この曲も初期のバンドで演奏していた頃からのファンク・ナンバーでボーカルも披露するエンディングです。楽しんでいたショーもこれで終わりで大団円。
大編成のビッグバンドでダイナミズムを生みながら、参加ミュージシャンの個性を引き出し、各楽器の単独ソロのタイムも贅沢に使ったステージ構成は聴きごたえ十分。まさにジャコは、これをやりたかったんだ。このアルバムは、音楽好きであるが Jaco 嫌いの集う「おでんバー」でかけて反応をみたいです🎶
bass, vocals : Jaco Pastorius
tenor sax, sopranosax, bass clarinet : Bob Mintzer
trumpet : Randy Brecker
steel drums : Othello Molineaux
percussion : Don Alias
drums : Peter Erskine
alto sax : Bob Stein
tenor sax : Lou Marini, Frank Wess
bariton sax : Howard Johnson, Randy Emerick
trumpet : Alan Rubin, Lou Soloff, Jon Faddis, Ron Tooley, Kenny Faulk
trombone : David Taylor, Jim Pugh, Wayne Andre
french horn : John Clark, Peter Gordon
tuba : David Bargeron
Special Guest
harmonica : Toots Thielemans
/ Sophisticated Lady, Three Views of a Secret, Liberty City and Fannie Mae
producer : Zev Feldman
recorded by the Record Plant Mobile Studio truck at the Avery Fisher Hall, New York City, N.Y. on June 27, 1982, as part of George Wein's Kool Jazz Festival.
【Disc 1】
1. Invitation / Bronislaw Kaper
2. Soul Intro, The Chicken / Jaco Pastorius / Pee Wee Ellis
3. Donna Lee / Charlie Parker
4. Three Views to a Secret / Jaco Pastorius
5. Liberty City / Jaco Pastorius
6. Sophisticated Lady / Duke Ellington, Irving Mills, Mitchell Parish
7. Bluesette / Norman Gimbel, Toots Thielemans
【Disc 2】
1. I Shot the Sheriff / Bob Marley
2. Okonkolé y Trompa / Don Alias, Jaco Pastorius
3. Reza, Giant Steps (Medley) / Jaco Pastorius, John Coltrane
4. Mr. Fonebone / Bob Mintzer
5. Bass and Drum Improvisation / Jaco Pastorius, Peter Erskine
6. Twins / Jaco Pastorius
7. Fannie Mae / Buster Brown, Clarence Lewis, Morgan Robinson

























