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2024年12月22日日曜日

Jaco Pastorius Big Band / Word Of Mouth Revisited

 

 1987年に他界した Jaco のトリビュートで、ゲスト・ベーシストを起用した Jacoのいない Jaco Pastorius Big Band (Word Of Mouth Big Band) の、2003年の3月、4月のライブを収録したアルバムです。ただ Wiggle Waggle の1曲だけは、ジャコの過去の演奏した録音テープにバンドが合わせて演奏した録音となっているのと、Punk Jazz Revisited を演奏する Marcus Miller は、ビッグバンドに参加せず自身で、いつものスラップを多用した自身の色を強く押し出している作品をレコーディングし、最後の曲として提供しています。またライブの演奏のほか、生前のジャコのボイスを散りばめているのもこの作品の特徴です。
 私の所有している、この盤は紙ジャケなのですが、参加ミュージシャンのコメントや、プロデューサーの Peter Graves とアレンジの Larry Warrilow の各曲のコメントが記載されたライナー・ノーツを読みながらアルバムを聴くのも楽しみです。(ただ手書きの文章の部分は英語圏でない私には読解に時間がかかり非常に読みづらい)

 

 さてレビューしていきます。Jaco Speaks は聞き取れないので割愛します。Havona ジャコ作曲で Weather Report の Heavy Weather に収録のベースラインを主体とした楽曲で、ベーシストは Jimmy Haslip で、かなりの再現度でもありジャコよりも正確な発音なのでは無いかとも思ってしまいます。ビッグバンドにも非常にマッチする曲です。Teen Town これも Weather Report の Heavy Weather の収録曲で、ジャコのライブ音源に高確率で演奏される名曲です。ベースは Victor Wooten で、ジャコに負けない自由度の高い演奏は気合十分です。Punk Jazz ベースは Richard Bona で絶妙なタイム感でのベースで、しっかりとビッグ・バンドがグルーブしていると思います。Barbary Coast ジャコの最初の Weather Report への参加アルバム Black Market の収録曲でエンターテイメント性あふれる演奏で、ベースは Gerald Veasley です。Killing Me Softly は Roberta Flack の1973年のヒット曲で、ジャコの若い時にアレンジした譜面を使っての録音のようで、ピりついた雰囲気の無い演奏で、ベースは Jeff Carswell。(Used To Be A) Cha Cha ジャコのファーストアルバム Jaco Pastorius での収録曲です。このアルバム制作のプロジェクトのテーマの一つとしてジャコが余り演奏していない曲を収録することがあり、それに合致する最適な曲として選ばれたとのこと。ベースは Victor Bailey です。 Wiggle Waggle この曲は Herbie Hancock / Fat Albert Rotunda の1曲目に収録されていた楽曲で、メキシコの Sanibel Island でのギグのジャコの演奏に合わせて、ビッグバンドが演奏しています。元曲のベースのリフはもっとジャズ・ファンクですが、ここではジャコの得意のベースのリフパターンにして、この曲にぴったりとマッチしています。Continuum ジャコのアレンジと書いてありますので存命時にアレンジして書いた譜面を使ったものと思われますが、ほぼ Jimmy Haslip の独自のインスピレーションでのソロで構成されています。Elegant People ジャコの愛した Wayne Shorter の楽曲です。Holiday For Pans でレコーディングしたとライナーノーツに書いてあり、アレンジはジャコ本人の表記ですので Holiday For Pans の時のアレンジを使っているとは思いますが、楽器の編成なども異なるため違うアレンジに聞こえます。ベースは Gerald Veasley です。Opus Pocus ジャコの作曲で息子の David Pastorius がベースを弾いっています。曲はいかにもジャコらしいフレーズのベースラインの楽曲です。Domingo これもジャコのアレンジとの表記がしてあります。スリリングなビッグバンドの演奏であり、ベースの Victor Bailey の正確な指さばきが更にグルーブを引き出しています。Forgotten Love ファーストアルバム Jaco Pastorius の収録曲で Herbie Hancock がピアノを弾いてストリングスが印象的でしたが、ここでは管楽器をバックに Christian McBride がフレットレスで、郷愁を誘うソロを展開します。Punk Jazz Revisited 最初に聴いた時には Marcus Miller が我を張った演奏の曲を提供しているとの印象しかなかったのですが、ジャコの肉声の録音があったり、様々な趣向が凝らされているこのアルバムを、完成させるスパイスになっていると今は思います。それにこの楽曲を入れるのは最後しかないですね。


 曲ごとにベーシストだけ変わるので、色々なアーチストが録音したものを集めたようなトリビュートとは違い、曲の良さを引き出し、ジャコの基本的なベースラインの魅力を各ベーシストが、それぞれに表現していることでアルバムとしての統一感があります。
 故ジャコが雑誌インタビューで、「ジャコパストリアスの肖像」では ベーシスト としてプレイに重点を置いて制作し、Word Of Mouth Big Band ではコンポーザーとして重点を置いているのでベース・プレイは基礎的な部分を弾くことだけで良いと語っています。そういった意味でも、この Word Of Mouth Big Band の録音は、故ジャコ が異なるベースプレイヤーをゲストとして呼んで録音したようなものとも思えます。
 基本的にはジャコのベース・ラインを各ベーシストが弾くので、技量の違いや解釈の違いも聴きどころであると思いますが、誰の演奏が良い悪いは、このアルバムではどうでも良いところ。ただ Wiggle Waggle のベースを聴いているとジャコのベースのグルーブは、やはり特別なものがあるんだなと納得させられるものもあり、このテイクを入れたのも絶妙であると感心してしまいます🎶

voice : Jaco Pastorius (1, 4, 6, 9, 12, 14, 17, 20), Peter Graves (17)

【Jaco Pastorius Big Band】
conductor : Peter Graves
alto soprano sax, flute, piccolo flute : Billy Ross
tenor alto sax, clarinet, flute : Gary Keller
tenor soprano sax, clarinet : Ed Calle
baritone sax, bass clarinet, flute : Mike Brignola
trumpet, flugelhorn : Jason Carder, Jeff Kievit, Ken Faulk
trombone : Dana Teboe
bass trombone : Craig Gosnell (5, 10, 18), John Kricker
piano, keyboards : Michael Levine
drums : Mark Griffith
guitar, koto (synth) : Randy Bernsen

recorded live March & April 2003
executive-producer : Dave Love
producer : Michael J. Hurzon, Peter Graves
producer, recorded by : Marcus Miller (21)

1. Jaco Speaks
2. Havona (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Jimmy Haslip
3. Teen Town (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Victor Wooten
4. Jaco Speaks
5. Punk Jazz (Jaco Pastorius)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Richard Bona
tenor sax : Mike Scaglione
6. Jaco Speaks
7. Barbary Coast (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Gerald Veasley
8. Killing Me Softly (Charles Fox, Norman Gimbel)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Jeff Carswell
9. Jaco Speaks
10. (Used To Be A) Cha Cha (Jaco Pastorius)
arranged by : Dan Bonsanti
bass : Victor Bailey
11. Wiggle Waggle (Herbie Hancock)
arranged by : Stan Webb
bass : Jaco Pastorius
12. Jaco Speaks
13. Continuum (Jaco Pastorius)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Jimmy Haslip
14. Jaco Speaks
15. Elegant People (Wayne Shorter)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Gerald Veasley
drums (hand drums) : Bobby Thomas Jr.
16. Opus Pocus (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : David Pastorius
marimba : Gary Mayone
17. Peter & Jaco Speaks
18. Domingo (Jaco Pastorius)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Victor Bailey
19. Forgotten Love (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Christian McBride
flute : Mike Scaglione
20. Jaco Speaks
21. Punk Jazz Revisited (Jaco Pastorius, Marcus Miller)
arranged by : Marcus Miller
bass, bass clarinet, drums, clavinet, soprano sax, scratches :– Marcus Miller
soprano sax : Roger Byman
trumpet : Michael "Patches" Stewart

Havona




  

2024年10月25日金曜日

Jaco Pastourius / Live In New York City Vol Three


 録音は1985年の Vol.One と同じメンバーによる第三弾で、おそらく11月か12月のセブンス・アベニューでの1週間ほどのギグのはずです。ちなみに Vol.Two は、Hiram Bullock,  Kenwood Dennard のトリオでの演奏となっています。ジャコの死後に発掘された音源で現在までにシリーズは調べてみたら7まで発売らしい(えええ)ジャケ写違いのダブりとか気にして後で確認して買い揃えなければ。
 さて、1982年にウェザー・リポートを脱退ごろから麻薬とアルコール依存が強まっていました。ですから1985年の頃のジャコはかなり荒れていて、ベースを持たずにギグに現れて15分間ピアノを弾くとか、ベースを最大音量にして10分間フィードバックさせたり、州の開催する学生たちのための音楽プログラムに酔っぱらって裸足で途登場し騒動を起こすなどの奇行があったようです。しかし同年9月にはフィラデルフィアの病院に入院し、リチウム系鎮痛剤で興奮を抑制する治療を行い、12月のギグを迎え、ここでのジャコは別人のように控えめであったそうです。


 それでは最近聴いていなかったので、再度聴きながらレビューしていきます。Bass & Percussion Intro. ひたすらベースのハーモニクスとパーカッションのセッション。パーカッションはトランペットの Jerry Gonzalez です。Continuum 様々なバージョンを聴いている曲です。フレットレス・ベースの音色を活かした曲です。ハイラムのギターと、Michael Gerber のピアノで幻想的な世界をサポートしています。専用機材での録音ではないので少し音的には残念です。N.Y.C. Groove, No.2 このセッションシリーズの裏テーマです。最後はソウル風セッションで、ライブハウスならではのノリですね。Teen Town ハイラムはこの曲を得意としているようです。少し遅めのリズムでの演奏です。少し重めの演奏ですが演奏内容としては、かなり充実しているかと思います。Alfie ベース・ハーモニクスから入るロマンティックな演奏で基本ピアノとのデュオがメイン、ボーカルは Michael Gerber 素敵な演奏ですが、音が遠いのがこれも残念ですが、ライブハウスらしくて、これも良い。Why I Sing The Blues ジャコの大好きなブルースですね。ボーカルは本人がとっています。これはボーカルが遠くて録音としては丁度良いかな。Promise Land これは、シンセの Delmar Brown がメインの演奏と思っていたらハイラムが割り込んできます。 Delmar Brown がソウルフルなボーカルを気持ちよさそうにとっています。和気あいあいのステージですね。If You Could See Me Now こんなジャズセッションも聴けるのは、このライブハウスのこのメンツならではでしょう。締めはコルトレーンで Naima ですね。ジャコの練習曲でもあったのでしょう。ベースソロでの演奏で、曲としての完成度は今一ですがファンとしては楽しい一曲です。
 実際ここでの演奏は落ち着いたテンポとタイム感、バンド・メンバーとの高揚した演奏ではあるものの、ジャコは終始、冷静なプレイをしていると思います。惜しくも録音の状態は良いとは言えなく、下馬評では精彩に欠くとは言われているものの、後期のジャコの演奏としては、かなりの良い状態での演奏であると言えると個人的に思います。ついでに言えば、私が大好きな常にハイなはずのお祭り男のハイラムも、珍しく控えめの演奏で適度です。彼も、また多くの記載は無いので誠かどうかはわからない薬物の噂がも言われていますが、リチウムでも飲んでいたのでしょうか? 
 そう思いながら聴き直していると良い演奏ではありますが、音は鳴っているのに崩壊の手前の不気味な静けさのような演奏であるとも思えてきます🎶


bass : Jaco Pastorius
piano : Michael Gerber
synthesizer : Delmar Brown
guitar : Hiram Bullock
drums : Kenwood Dennard
saxophone : Alex Foster, Butch Thomas
trumpet, congas : Jerry Gonzalez

producer : Neil Weiss
recorded in November 1985 in New York City

1. Bass & Percussion Intro.
2. Continuum (Jaco Pastorius)
3. N.Y.C. Groove, No.2
4. Teen Town (Jaco Pastorius)
5. Alfie  (Burt Bacharach)  / vocals : Michael Gerber
6. Why I Sing The Blues (B.B. King) / vocals : Jaco Pastorius
7. Promise Land / vocals : Delmar Brown
8. If You Could See Me Now  (Tadd Dameron)
9. Naima  (John Coltrane) 



▶ Alfie


  

2024年9月14日土曜日

Jaco Pastorius / Word Of Mouth


 これはジャコがウェザー・リポートに在籍中の1980年に録音したジャコ自身がリーダーとしては2作目のソロ・アルバム。このアルバム制作にはいろいろと裏話(今となっては表ですが)があります。このアルバム「Word Of Mouth」の制作の契約発売のレーベルは Warner Bros(ワーナー・ブラザーズ)1枚目のデビュー作「Jaco Pastorius(ジャコパストリアスの肖像)」は Epic Records (エピック)で、当時加入していたしていた Weather Report(ウェザー・リポート)のレーベルである Columbia(コロムビア)にはこのジャコのソロ制作の印象は裏切り行為のように映り印象は当然良くありませんでした。
 ワーナーは、話題のジャコのアルバム制作なので期待もあり、ロサンゼルス交響楽団から31人を雇って「John And Mary」「Three Views Of A Secret」に9,000ドルかけたが、ボツにしてその中から7人を選んで9回のオーバーダブで63人編成に仕上げなおしたり、ニューヨーク、ロサンゼルス、フロリダとあちこちで録音しオーバーダブで仕上げるなど予定した予算を大幅にオーバーしたとのこと。制作サイドにはかなりの迷惑をかけているようで、雑誌インタビュー記事などからは、このアルバムの制作の構想はかなりの前からあったことは間違いないですが、ウェザー・リポート加入での名声と成功、ドラッグと酒に侵されたジャコの正常な金銭感覚は失われてたようで、制作サイドも翻弄されていたようです。
 発売の結果、評論家の間では評判は良く日本ではゴールド・ディスクを獲得。しかしアメリカでは5万枚の売り上げだけで終わり、ワーナーの目論見は大誤算の結果となりました。



 音楽好きの集う「おでんバー」では評判の悪いジャコですが、自宅では思いっきり聴けますので、久しぶりに聴きながらのレビューです。Crisis 混沌とした楽曲になっていますが、それもそのはず。参加ミュージシャンたちは、互いの音を聴かずにパストリアスのベース・トラックに合わせて演奏したトラックを、ミキシング時に重ね合わせたからです。ある意味フリージャズのようなエネルギーの塊りとなっています。アンサンブルをコラージュしたフリージャズのような熱気のある仕上がりになっている。3 Views of a Secret ジャコの代表曲の一つでもあります。Weather Report でも演奏されていた曲です。Toots Thielemans のハーモニカがとても効果的で印象的です。ジャコがおかしくなってしまってからも、Toots Thielemans は、この曲をあちこちのライブで吹いていてくれているほど気にいってくれているようです。Liberty City このビッグ・バンドでの演奏を念頭に置いて書かれた曲です。ジャコによるホーン・アレンジもしっかりと構想を練ったものです。リズム楽器なしの最初のホーン部隊のイントロはノリよく、イントロが終わるとジャコのフレットレスを活かしたフレーズとパーカッション、ジャコの愛するスチールドラムもしっかりと脇を固めていますし、Toots Thielemans もしっかりとオブリガード。アコースティックピアノは、Herbie Hancock しか弾いていないようなので、このピアノはハンコックですね。今更発見です。Chromatic Fantasy は、バッハのチェロのための練習曲を自身のベース運指の練習曲としていたパストリアスの録音です。左手の運指と右手のピチカートによる壮絶なテクニックで、後半は組曲のように曲が付けられています。Blackbird 学生時代に最後のあるアルペジオのようなベースを猛練習、破壊的なベースソロまでもコピーしようとしていたベーシストがいたのを思いだします。メロディ・パートはToots Thielemans が又も大活躍です。続いてはロックのようなディストーションをかけた Word of Mouth です。最初はジャコのソロで後半からエンディングにかけてはビッグ・バンドによる演奏となります。ジャコはこの前半ソロをファンサービスと思ってやりだすと、いかれてしまう時もあったようで、ドンドン過激な演出になっていったようです。John and Mary は、ジャコの2人の子供の ジョンとメアリーの笑い声や歌声がちりばめられていたり、お父さんの歌声も録音されている曲で、Wayne Shorter のソプラノ・サックスも花を添えています。いかれたオヤジさんでしたが子煩悩ではあったようです。
 録音内容としては秩序のあるフリージャズのような Crisis で幕開けするこのアルバムは、聴いていると情熱的であり、何かの情景が浮かびそうな美しさ、幻想的であり、せつなさもあり荒々しさもある素晴らしい作品ですが、Warner としては Weather Report 級の売り上げを期待していたのでしょう。十分良いアルバムではありますが、ジャズ・ビッグバンドの形式では購入層もウェザー・リポートで取り込んでいたアメリカのロック世代の若年層には響かなかったということ。その意味では音楽性のほかセールスのセンスにも優れた Weather Reort は偉大なバンドであることもわかります🎶

horn & string arrangements, electric bass, synthesizer : Jaco Pastorius
conductor, String Arrangement : Michael Gibbs

【Basic Tracks】
harmonica : Toots Thielemans
drums : Jack DeJohnette, Peter Erskine
acoustic piano : Herbie Hancock
keyboads : Richard Hilton, Tim Devine
lyricon : Tom Scott
percussion : Bruno Castellucci, Don Alias, Robert Thomas, Jr. 
steel drums : Leroy Williams, Othello Molineaux, Paul Horn-Muller
trumpet : Bob Findley, Chuck Findley, David Weiss, Snooky Young)
flugelhorn : Warren Luening
tromborne : Charles Loper, James E. Pugh, Lew McCreary
trombone, tuba : David Bargeron
bass trombone : Bill Reichenbach, David Taylor
french horn : Brad Warnaar, John Clark, Peter Gordon
tuba : Tommy Johnson
tuba, bass horn : Roger Bobo
piccolo, flute : James M. Walker
soprano alto flutre : Hubert Laws
sax : George Young
soprano sax : Wayne Shorter
tenor sax : Michael Brecker
baritone sax : Howard Johnson
basoon : David Breinenthal
【Strings】
conductor : Jules Chaikin
violin, cocert master : Gerald Vinci
violin : Stuart Canin, William Hymanson
viola : Denyse Buffum
double bass : Arni Egilsson, Bruce Bransby
【vocalist】
Alfie Silas, Edie Lehmann, Jim Gilstrap, John & Mary Pastorius, John Lehman, Marti McCall,Myrna Matthews,Petsye Powell,Zedric Turnbough,
【unknown】
Allan Harshman,David Duke,Deborah Sabusawa,Dennis Karmazyn,Harvey Michael,Schaps,Jeff Reynolds,Jerry Hudgins,Mike Butcher,Ray Kelley,Ricky Schultz,Robert Cowart,Russell Schmitt,Simon Levy

1. Crisis (Jaco Pastorius)
2. 3 Views Of A Secret (Jaco Pastorius)
3. Liberty City (Jaco Pastorius)
4. Chromatic Fantasy (Johann Sebastian Bach)
5. Blackbird (Lennon-McCartney)
6. Word Of Mouth (Jaco Pastorius)
7. John And Mary (Jaco Pastorius)

Crisis




  

2024年7月14日日曜日

Jaco Pastorius / The Green Light


 ホテルのバーでジャズを聴きに行ったら、このバンドの演奏が始まってしまったら・・このバンドを知らなかったら度肝を抜かれたに違いありません。ジャコがアイラ・サリバンのバンド Ira Sullivan Quintet に参加していた1973年頃のフロリダはマイアミビーチの The Playboy Plaza Hotel のロビー・バーでのモノラル・カセット録音。なので、この録音のバンドは Ira Sullivan Quintet であるべきですが、あまりに凄い海賊版的録音が発見・発表されたので、名義は Jaco Pastorius になっています。
 マニアによるモノラル・カセット録音なので、音質は良くなくて、テープの保存状態が悪かったのかブツっと音が切れる箇所があります。まあ、その割には各楽器の音は比較的鮮明に聞こえるのが救いです。私はジャコ・マニアの一人なので、とても興味深く聴くことが出来ますが、ジャコの遺族に金が入ってるのかどうかもわからないアルバムを発表するのも、購入するのもどうかと言った発言は、ある意味その通りだとは思い複雑です。権利は Ira Sullivan にもあるのかと思います・・
 参考に、高校を卒業して1970年頃から活動していた Jaco pastorius Wayne Cochran & C C Riders Amelia 1972 リズム的なテクニックの修行をしていたのがわかるジャコが、1973年のこの録音の頃には、ソウルバンドのベースマンからジャズ・プレイヤーに大きく変身、飛躍しているのも驚きです。
 また1975年の録音への Weather Report へのジャコの加入が画期的だと思っていたのに既に、Ira Sullivan Quintet でも革新的な演奏を実現していたことも驚きであり、Joe Zawinuln の発明品であると思っていたサウンドが、実は同時期に色々なところで発生していたということに、見方によってはジャコの加入によってこのサウンドが創られていたとも捉えることができることに面白みを感じてしまいます。


 このアルバムも数年聴いていなかったので、久しぶりにご対面したら驚いて前置きが長くなりましたのですが再度じっくり聴きながらのレビューです。Ballye De Nina はジャコ作品でプログレッシブで壮大なスケール感があります。既にWeather Report 加入を意識していたのでしょうか。ギターの Joe Diorio もパキパキの音ながらスリリングなギターで盛り上がります。良いんではないでしょうか。Lonely Dreams 少し前ではダメだったとお思いますが Ira Sullivan のソプラノは、好きなタイプかも知れません。このような幻想的な曲にはジャコのフレットレスは素敵な効果をもたらします。モノラル・カセットの割に各楽器の音が分離されているのも素晴らしい(エンジニアの腕もあると思います)Las Olas 再度ジャコのオリジナルになります。この時期で、この作品はやはり Weather Report を意識しているのか、Ira Sullivan のソプラノがそう感じさせるのか。それにしても、この曲でもギターの Joe Diorio が大活躍です。音はもうあまりパキパキしてませんので演奏中に調整が完了したのか。Call it Sunshine, I'm a Rainbow, Dance with Her Father これは注目のギタリスト Joe Diorio の作品。作風としては kenny Burell が意識されているかと思います。コード展開で押してくる感じが、とても馴染みやすいです。この曲では Ira Sullivan はフルートを吹いて最後はソプラノ・サックスで暴れます。同じテーマで長くやり過ぎな気もしますが、ライブで見ていたら飽きないんでしょう。
 最後に気になるギターの Joe Diorio は、Pat Methenyno のバークリーで学んでいた時代の師匠であるとのこと。なるほど凄腕なわけです🎶

bass : Jaco Pastorius
fender rhodes piano : Alex Darqui
guitar : Joe Diorio
trumpet, soprano sax, flute, percussion : Ira Sullivan
drums : Steve Bagby

produced by Bob Bobbing

The Ira Sullivan Quintet recorded live at The Lobby Bar of The Playboy Plaza Hotel in Miami Beach, Florida, (Circa 1973)

1. Ballye De Nina (Jaco Pastorius)
2. Lonely Dreams (Terry Gibbs)
3. Las Olas (Jaco Pastorius)
4. Call it Sunshine, I'm a Rainbow, Dance with Her Father (Joe Diorio)





  

2022年12月25日日曜日

Weather Report / Heavy Weather


 大学に入ってジャズ研に入り、そこで周りのみんなが聴いていたのは David Sanborn(サンボーン)やら Weather Report(ウェザー・リポート)やら、ロックしか聴いてこなかった私は、フュージョンなる音楽はすごいことになっていると当時衝撃を受け、当時もっとも聴いていたアルバムの一つです。何が驚いたかと言えば当時流行っていた The Manhattan Transfer(マントラ)の Birdland を先に聴いていたのでこのアルバムを聴いた時に、これが元バージョンかとマントラのコピーの正確さにも驚いていたのもあってのめりこみました。


 さてこのアルバム Weather Report の通算7枚目の作品となります。録音は1976年でこの年には大ヒットした1月に Black Market を録音し10月には本作を録音しています。この録音の前年にジャコはジョー・ザビヌルと出会いデモテープを渡し、初のソロ・アルバム「ジャコパストリアスの肖像」を録音、パットメセニーの初作品 Bright Size Life にも参加など一挙にジャコの露出が高まってきた頃で、当然このアルバム大ヒットで50万枚を超えるセールスを記録しています。
 冒頭曲 Birdland は、イントロでのジャコのハーモニクスが印象的の曲で、これを聴いた世のベーシストは一度はこのメロディーに挑戦しているに違いありません。これまでプログレッシブな要素が強かった楽曲がこのポップでメロディーが印象的な偉大な曲です。先述したマントラのカバーでは楽器の音色まで肉声で忠実に再現していたとわかった時には、どちらも凄いなと感心しました。。続く A Remark You Made については、抒情的なメロディーに乗せてWayne Shorter のテナーと Jaco の寄り添うようなベースがクルクルと表情を変えるこれも名作。Teen Town は Jaco の楽曲で様々なアルバムに収録されていますが、やはりこのアルバムの曲は全てにおいてバランスがとれています。ライナーノーツ読み返したらこの曲は Jaco がドラムまでも叩いています。そして Harlequin は、Shorter の作曲の幻想的な曲です。アフリカンな歌声とともに始まるパーカッションソロは Rumba Mama。このアルバムのど真ん中にこれをもってくると言うのも非凡な選曲センスです。一転して都会的なフュージョンに仕上げたShorter 作品の Palladium は、コンガによる細かなビートで全員が伸びやかな演奏でジャコの steel drum の演奏もピリッと効いてます。The Juggler は Zawinul 作品でここらへんでいつもの宇宙的なペースに戻ってくる感があります。締めのHavona で Jaco 作品でベースの暴れ方が秀悦です。
 いや何度聞いても凄いアルバムでまさに Weather Report 代表作と言われるだけある迫力がここにあります。

Joe Zawinul : ARP 2600 (all tracks except 5), Rhodes electric piano (all tracks except 1,5,8) , Yamaha grand piano (1,4,7),  Oberheim polyphonic synthesizer (all tracks except 5,6,7) , vocals (1), melodica (1,3), guitar and tabla (7)
Wayne Shorter : Soprano saxophone (all tracks except 2,5), tenor saxophone (1,2,6)
Jaco Pastorius : Fretless bass (all tracks except 5), mandocello (1,7), vocals (1), drums (3), steel drums (6) 
Alex Acuña : Drums (all tracks except 1,5), congas and tom-toms (5), handclaps(7) 
Manolo Badrena : Tambourine (1) , congas (3,5,6), vocals (4,5), timbales (5),  percussion (6,7)

co-producer : Jaco Pastorius
producer (assistant) : Wayne Shorter
producer (producer/orchestrator) : Zawinul

recorded at Devonshire Sound Studios, North Hollywood, California.

1. Birdland
2. A Remark You Made
3. Teen Town
4. Harlequin
5. Rumba Mama
6. Palladium
7. The Juggler
8. Havona



▶ Havona


  

2022年1月3日月曜日

Jaco Pastorius / Live In Italy


 死後3年の1991年に発売された1986年のイタリア・ローマでのライブ未発表音源。録音はジャコの亡くなるヤク1年前です。メンバーはJaco Pastorius (ジャコ・パストリアス)、Bireli Lagrene (ビレリ・ラグレーン)、Thomas Böröcz (トマス・ボロッチ) のトリオでの演奏。


 ビレリはジャズではなく、ロック・フュージョン系ギタリストになりきってのプレイでディストーションの効いた音色で、1曲目の Improvisation No.1 / Teen Town では ディープ・パープルの Smoke On The Water のリフが出てくるなどの(凡人がマネするとケガする)サービスもあります。選曲も2曲目はボブマーレイの I Shot the Sheriff ラストはジャズ・スタンダードの Satin Doll も出てきて非常に面白い。ビレリの Smoke On The Waterのフレーズのサービスかと思っていたら、一挙にジャコのベースが飛び出してきてジャコの世界になる。そのあたりが他のジャコのライヴ・アルバムと違っていて非常に面白い。



 時期的にはジャコが麻薬治療で入退院の時期で、ここらへんの録音のジャコの演奏には調子の良し悪しに非常にばらつきがあります。このアルバムは比較的ジャコのベースも粒立ち良いことから演奏コンディションは良く、躁の状態の時の演奏で荒い演奏だと思います。このヨーロッパ・ツアー時にスタジオ録音したのはビレリ名義の Stuttgart Aria です。アルバムとしてはこちらの方がチャンとしているかな🎵

bass : Jaco Pastorius
guitar : Bireli Lagrene
drums : Thomas Böröcz

producer : Jan Jankeje

recorded March 1986 in Italy

1. Improvisation, No. 1/Teen Town
2. I Shot the Sheriff
3. Continuum
4. Fannie Mae
5. Black Market
6. Satin Doll





muu music webzine

  





2021年7月3日土曜日

本日のCD Weather Report ♪ 8:30

 

  Weather Report 通算 10 枚目のアルバム。2CDで構成されていて2枚目 4 ~ 7はスタジオ録音で、他はライブ音源で1978 年8~11月のツアーと記載されていますが メインは11 月 28 日に行われた カリフォルニア州 ロング・ビーチ "ザ・テラス・シアター" のものが通説とされています。
「8:30」のタイトルはライブでは午後8時30分から開演するというこのバンドの習慣から取ったものです。ツアーの際ではバンド4人でで約2時間30分もの間演奏を続けなければならなかったため、他のメンバーに休息のための長尺の個人ソロを取っていたとあり本作に収録の「8:30」は曲というよりはライブの間休憩的ジャムっぽい。またこのツアーは商業的に成功を収めた直近の「Black Market (1976)」「Heavy Weather (1977)」の2作品からの楽曲がメインであることもうれしくBlack Market、Teen Town、Birdlandなどの売れ線を押さえつつ、The Orphan では、西ロスアンジェルス・キリスト教児童合唱団とのスタジオセッションでありジャコはパーカッションを演奏していて、この頃のウェザー・リポートの浮世離れした音楽性がこれまた楽しい。カリプソの Brown Street では、Joe Zawinulの息子Erich Zawinulがジャコと一緒にパーカッションを演奏しているのは親の七光りか?
 これは正規購入したCDで日本語ライナーノーツもしっかりついていて日本人のライターは「告知 天候」なる人物。この黄金期ウェザーリポートを「感覚的無国籍共同体」と書き、ジョー・ザビヌルを「アルチザンよりも大道芸人を志した」※アルチザンはフランス語で職人の意と評し、さらにウェイン・ショーターを「黒人臭さを忘れ去り、独自の瞑想的宇宙に遊び、恐らくUFOを語らせたら矢追純一とタメを張る」などの核心をつき、ジャコは「マイアミで”酒とバカの日々”にうつつをぬかしながらも、ベースの腕前だけは世界一だった」と薬のことは公の評論なので敢えて触れず、「善人というのが取り柄の温和な性格で、細かいことは気にしない西海岸の男といった風情とは裏腹に、仕事は正確で厳しい技を披露する」とピーターアースキンだけは何か愛があるような表現。なかなか才能がある人のようです。

keyboads, sythesizer, percussion, vocoder : Joe Zawinul
soprano tenor sax : Wayne Shorter
bass : Jaco Pastorius
drums : Peter Erskine (disc1 1-6, disc2 6.7), Jaco Pastorius (disc2 4, 5)
percussion : Erich Zawinul (disc2 5)

Recorded live during a worldwide tour, January and February 1979.

【Disc 1】
1. Black Market
2. Scarlet Woman
3. Teen Town
4. A Remark You Made
5. Slang
6. In a Silent Way

【Disc 2】
1. Birdland
2. Thanks for the Memory
3. Medley: Badia / Boogie Woogie Waltz
4. 8:30
5. Brown Street
6. The Orphan
 The Members Of West Los Angels Christian Academy Children Choir
7. Sightseeing





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2021年6月27日日曜日

本日のCD Pat Metheny ♪ Bright Size Life


 1975年にドイツで録音されたパット・メセニーのデビュー作。当時メセニー21歳。ジャコもメセニーもマイアミ大学でジャコ同様に教鞭を執っていて音楽仲間だったことからウェザー・リポート正式加入前年のジャコが24歳で参加しています。この後、ジョニ・ミッチェルのライヴでも2人は共演はしますが、ジャコとメセニーの緊密なプレイは本作だけととても貴重な音源です。
 メセニーの6弦ギターと12弦ギターを使い分けながらのこのアルバムの抒情的演奏は私にも理解しやすい。メセニーのギターはとても抽象的な絵画のようで、ジャコの躍動感ある揺れ動くフレット・ベースと絶妙なリズム感でバンドサウンドがマッチして音像がくっきりとして聴きやすい。メセニーの作品を聴きこんでいるわけではありませんが、私のイメージでは抽象的な絵をぼんやり眺めているような気分になって理解しにくい作品が多いように感じます。
 このアルバムは最後の Round Trip/Broadway Blues だけがオーネットコールマンのカバーで全てメセニーの作曲です。幻想的に進行していたアルバムの最後にカバーを持ってきて、さらに最後の最後はジャコとメセニーのユニゾンはジャコのアイデアでしょうか?心して静かに聞いていたのに最後に聞こえる遊び心に思わずニヤっとしてしまいます。
 パット、そしてジャコの出発点となった歴史的なアルバムで、今後も繰り返し愛聴し続ける宝石のような作品と言えます。正直前回に聴いた時よりはるかに印象に残っています。改めて引っ張り出して聞くことによって思い出す新鮮な発見もまだあるものです🎵

acoustic guitar (6-string), electric guitar (12-string) : Pat Metheny
bass : Jaco Pastorius
drums : Bob Moses

1. Bright Size Life
2. Sirabhorn
3. Unity Village
4. Missouri Uncompromised
5. Midwestern Nights Dream
6. Unquity Road
7. Omaha Celebration
8. Round Trip/Broadway Blues





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