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2024年3月23日土曜日

The Soulciety Funky Family


 London-Humburgを拠点とするレーベル Soulciety のクオリティ高めののコンピレーション。1990年代初頭のJazzy Hip Hop〜Jazz Funk~Acid Jazz音源が収録されています。本盤は、ドイツからの輸入ものです。マニアックな選曲で、素晴らしい完成度のコンピに仕上がっています。いつ購入したのか全く覚えていないのですが、1993年は発売なので、おそらくその付近で購入しているはず。本盤の他、赤青黄と合計4種シリーズで発売されているようで中古屋で見つけたら是非購入したいと思いつつ、既に30年が経過しているようです。私は基本、現物を中古CD屋などで視認してから購入する古いタイプの人間ですがコイツに関してはネット購入でないと揃いそうにありません。
 サイケを狙ったのかと思いますが、私には近未来的、ホラー的に見えるジャケットも好きなのですが、ライナーノーツなど何もない厚紙ジャケット製なのでプロデューサー、デザイン等のクレジットは一切なく費用も一切かけていないのが潔く増々興味がわくコンピです。

 

 それでは、ずっと聴き続けている愛聴盤でありながら、ほぼアーティスト情報について調べてこなかったアルバムを再試聴します。Venus Drops / Rad. は、アメリカのシンガーソングライターのRad(Rose Ann Dimalanta)の1993年のアルバムからの出品。懐メロではなくリアルなアーティストの曲を収録しているようです。オールド・アメリカンなムードが漂うが楽曲はとても素晴らしい。T.O.P.のホーンがアルバイトで参加している模様。 I Like It Like That / The JB Horns ほぼアーティスト情報について知らないと前述しましたが、The JB Horns自体は知っていました。暴君JBに反乱を起こしてバンドをやめてしまった Maceo Parker が主宰のバンドですね。暴君と仲たがいしたものの音楽的な資産は持って行って、しっかりこれで飯の種です。Love T.K.O. / The Human Body これも1993年発売のアルバムからの作品。The Human Body は、1980年代にZappに参加していた Roger Troutman のバンドで、なるほど楽曲にはメジャー感があります。I Wanna Dance / M'Blu Et Moi は、素晴らしくB級な楽曲がとても良いです。ワザと気持ち悪い音をぶつけるサックスのユニゾン?のアイデアが凄く斬新で、対比してアーバンでクールなベースとドラムの対比も良いです。Come My Way / Rad. これで2曲目の Rad. は完成された Jazz Funk サウンドで、Rad.のボーカルの完成度の高さが驚きで、この楽曲に関して言えばファズ・ギターのイカレ具合が適度にマッチ。 Sayin' It And Doin' It Is Two Different Things / PFunk-Ness はバンドのネーミングからするとPFunk好きな集団のように思えますが、サウンドはスマートさのある Acid Jazz で工夫も何もないストレートな録音。South Carolina  / Bus People Express は、いかれた雰囲気のボーカルのエレクトロ・ファンクです。系統としてはBlack Stupid 系です。2分25秒の短い曲です。Don't Throw Your Love In The Garbage Can / Vicki Anderson バンドの音は最新ですが、ボーカルの Vicki Anderson は声質と音の揺れ方からしてかなりの高齢を感じます。1972年の作品のボーカル部分だけを切り取って作った作品のようですが、ボーカルの切り取りで音質が劣化して高齢を感じる声になっているのと、バンド自体はデジタルにテンポを刻んでいるのですが当時のバンドではリズムが微妙に揺れているのでしょう。元録音には感じられない揺れが発生しているのが高齢感に拍車をかけているのでは?いや、作品としては文句なく良いのですが気になりました。Sunshine / Bobby Byrd ゴスペル基調のワールド系ソウル。バックボーカルに Carleen Anderson, Rad., Vicki Anderson が参加とありますので、このアルバムへの特別録音か元曲ありのリミックス版と思われます。リミックスとしたら、かなり凝っていますね。Bobby Byrd は、JBを発掘した歌手でもあるゴスペル・ソウル界の大御所。1934-2007 ですから、このアルバム1993年で60歳と言うことは未だ現役でもやれてそうだけど Rad.のバックボーカル参加が怪しいので後から被せのリミックスとも思えます。
 聞き流しているより色々なことを思いながら聴けたので再度聴いて楽しさ倍増でした。いや素晴らしいコンピを持っていたもんだと自分を褒めようと思います🎵

1.  Venus Drops / Rad.
vocals, organ, grand Piano : Rad.
guitar : Ray Obiedo
guitar : Roger Troutman
bass : Bobby Vega
congas : Michael Spiro
drums : David Garibaldi
horns : Tower Of Power Horn Section

2. I Like It Like That / The JB Horns
vocals : Jaye Ella Ruth
spoken words : Laura Jane Mazda
backing vocals, alto sax : Maceo Parker
backing vocals, tenor sax : Pee Wee Ellis
backing vocals, trombone : Fred Wesley
bass : Graham Silbiger
drums : Crispin Taylor
percussion : Jeff Scantlebury

3. Love T.K.O. / The Human Body
vocals, backing vocals : Bobby Glover
backing vocals : Shirley Murdock
drum programming : Lester Troutman
guitar : Rick Bray
keyboards, bBacking vocals : Dale DeGroat
bass, guitar, backing vocals : Roger Troutman

4. I Wanna Dance / M'Blu Et Moi
alto sax : Detlef Raschke, Matthias Gruber
tenor sax : Birdy Jessel
guitar : Hinrich Dageför
keyboards, percussion : Max Wulf
bass : Sören Böhme
drums : Mathias Trippner

5. Come My Way / Rad.
vocals, organ, grand Piano : Rad.
guitar : Ray Obiedo
guitar : Roger Troutman
bass : Bobby Vega
congas : Michael Spiro
drums : David Garibaldi
horns : Tower Of Power Horn Section

6. Sayin' It And Doin' It Is Two Different Things / PFunk-Ness
guitar : Bruno Speight
organ : Bart Anderson
bass : Jerry Preston
drums : Tony Byrd

7. South Carolina  / Bus People Express
guitar, organ, vocals : J.J.
congas, bass, vocals : Bo
drums, vocals : Muggy

8. Don't Throw Your Love In The Garbage Can / Vicki Anderson
vocals :  Vicki Anderson
horns : The Soulciety Horns
keyboards : Bart Anderson
guitar  Bruno Speight
bass : Jerry Preston
drums : Tony Byrd

9. Sunshine / Bobby Byrd
vocals : Bobby Byrd 
backing vocals : Carleen Anderson, Rad., Vicki Anderson
keyboards, backing vocals : Bart Anderson
guitar : Bruno Speight
bass, backing vocals : Jerry Preston
drums : Tony Byrd
horns : Tower Of Power Horn Section






  

2024年3月15日金曜日

Third Coast Kings


 2007年秋に結成され2010年のEPデビュー、そして最初のアルバム制作が2012年の本作となります。出身は、モータウンを筆頭に数多くのソウル、ファンクの名作を生み出したソウル・ミュージックの聖地、ミシガン州デトロイト。完全にJBの影響を受けているホーンセクションは超強力で、60年代70年代ファンクの美味しいところばかりを取り入れたサウンドは独自の個性はなくとも文句なしに楽しい。The Baker Brothers(ベイカー・ブラザーズ)やThe New Mastersounds(ニュー・マスター・サウンズ)に肩を並べる実力のあるバンドで、日本だけだとは思いますが、ファンのことは「サコキン」と呼ばれているらしい。


 先に書きましたが、このバンド実にベタベタな「でぃーぷ・ソウル・ファンク」で、これは大好物であります。アルバムにはインストもあり、ボーカルものもありでボーカルものは女性シンガー Michelle “The Belle” Camilleri と Sean Ike の二人。ライブとかの写真では、Sean Ike しか写っていないので Michelle “The Belle” Camilleri はゲストかと思われますが、2014年のアルバムにも参加していたのでライブには同行しないメンバーなんでしょうか。他で活動をしていたりしないのかと検索もしましたが、レコーディングはこの Third Coast Kings しかヒットしませんでしたので多分正式メンバーと思われます。
 1曲目の Come On はインストナンバーで、ライブのオープニングでボーカルが登場する前に使われそうな単純なリフで盛り上がる曲です。Give Me Your Love では、Michelle“The Belle”Camilleri のパワフル・ボーカルがメイン。Cop It Proper はギターの印象的なリフがカッコイイ、ニュー・マスター・サウンズ系のインスト・ファンク。Emcee Marie でやっとボーカルの Sean Ike が登場のミドル・テンポ、曲が進行するにしたがって熱く歌い上げるのが印象的、Crush It はホーン部隊の不思議なアンサンブルが魅力的なジャズ・ファンクのインスト。Tonic Stride では軽めのギターカッティングで始まるファンクで、再度登場の Michelle “The Belle” Camilleri のボーカルはどすも聴いててやっぱり聴いてて気持ち良い。Roughneck ではボーカルは Sean Ike に交代、曲調もあるんですがクレージー健さんに似ているような歌い方ですかね。Gold Brick は、ブラス中心に作曲としたことがわかるインスト。Spicy Brown はタイトル通りの曲調と歌い方。そして On The Reel でニュー・マスター・サウンズ風に戻り Case Quarter のワウをかけたギターの単音リフは大好きなパターンです。締めくくりは Summalove は少しメローになって締めくくりです。
 いやあ楽しいバンドです。しかしながら、公式ページ Third Coast Kings.com を見てみましたが2017年からライブも休止しているようで既に活動は終わっているようです。残念🎵


vocals : Michelle "The Belle" Camilleri (2,6), Sean Ike (4,7,9)
guitar : Andy Filisko
bass :  Nate Ayers (1 to 7, 9, 10, 12), Steve Barker ( 8, 11)
drums : James "Gemstone" Keovongsak
congas : Nick Ayers (4, 7, 9, 10)
tambourine : Michelle Camilleri (3), Nick Ayers (9)
alto sax : Brian Einstein Lassiter (1, 3, 6, 8, 9)
baritone sax : Brian Einstein Lassiter ( 2, 4 to 8, 10 to 12)
tenor : Alec Cooper (1, 2, 4 to 12)
trumpet : Ryan Dolan
trombone : Terry Kimura (1, 3 to 5, 7 to 12)

recorded at Case Quarter, Detroit, MI in 2011.

1. Come On
2. Give Me Your Love
3. Cop It Proper
4. Emcee Marie
5. Crush It
6. Tonic Stride
7. Roughneck
8. Gold Brick
9. Spicy Brown
10. On The Reel
11. Case Quarter
12. Summalove





  

2024年3月8日金曜日

Carl Sherlock Homes Investigation / Investigation No1


 札幌の中古レコード屋で、店主の書いた帯のおすすめ文句につられて買って、大当たりでした。フィラデルフィア出身でギタリスト/ヴォーカリストとして活躍したCarl Sherlock Holmesが、Curtis R. Statenのレーベル名門シグマ・サウンドで録音したアルバムで、レア・グルーブの復刻版としてCD化された作品とのこと。まあマイナー・レーベルからの発売なので爆発ヒットでもあるはずもなく、発売は1974年だから私は当時9歳ですので、その頃にラジオなんてのも聞いているはずもない。
 ですが、このクオリティは恐るべきアメリカの70年代。一枚しかアルバムを出していないが最高のグループは星の数ほどあります。お金はナンボあっても足りませぬ。


 それでは久しぶりに聴きながらレビューしてみましょう。Investigation 意外と少ないパターンのタイトル曲が先頭ですね。良くできたインスト・ファンク・ナンバーですが、売れ線風のサウンドの中に FUNK. INC っぽい初期の三流アシッド・ジャズ風のギターリフとブラスがとても良いです。Close to You そしてコーラスにリバーブがガンガンにかかったメロー・ソウルですが少しセールスを意識したんでしょうか?元曲はカーペンターズです。三流だけど演奏は一流ですね。よく研究されています。Black Bag も、1曲目と同様のインスト・ファンクです。これは Eddie Roberts' West Coast Sounds / It's About Time でもカバーされているナンバーで、ギラギラのギター・リフが印象的です。Think It Over そして交互にきます。メロー・ソウルのリバーブがガンガンのコーラス。フィラデルフィアのソウルは確かにこのパターンが多いですね。Modesa フルートで始まるラテン・ソウルも適度にマイナーで悪くない。Your Game これは正統派のソウルかと思いきや、聴いたことがあるコード使い。ライナーノーツを見れば、マービン・ゲイの「What's Goin On」を引用したとあるが、引用した面影は少々でした。Get Down Philly Town フィラデルフィアの町はフィリー・タウンと言うんですね。でもフィリー・ソウルよりは、ディスコチックなスライのサウンド。It Ain't Right は、ミドルテンポのファンクで、良い意味で古臭くて好感。ここら辺がこのバンドの良い持ち味っぽいですね。The Pot's Hot これも前曲の流れを汲むファンク・ナンバーだがインストです。エフェクトでファズを過剰にかけてしまったギターも少し前の音のレトロサウンド。
 久しぶりに聴いたので、頭に残っていた印象より、三流ジャズ・ファンクに近いサウンドは私の好物です🎵

lead vocals, lead guitar : Carl "Sherlock" Holmes
backing vocals : Jimmy Reynolds

organ : Sly
piano : John Hammond
guitar : Chubby Brown
bass : Chico Green
bass, backing vocals : Jimmy Towns
congas : Peachie, Cupit
drums, backing vocals : Charles "Hoppy" Harris
alto sax : Ray Wright
flute, baritone sax : John Daves
tenor sax : Art Grant, Middy Middleton
vibraphone : Dicke

producer, liner notes : Curtis R. State

recorded at Sigma Sound Studio Philadelphia, PA.

1. Investigation
2. Close to You
3. Black Bag
4. Think It Over
5. Modesa
6. Your Game
7. Get Down Philly Town
8. It Ain't Right
9. The Pot's Hot





  


2024年3月1日金曜日

Soulive / No Place Like Soul


 オルガン・ファンクのイメージ、ジャム・バンド/クラブ・ジャズがこのバンドの代名詞と思っていたのが、通算7作目で路線変更。ジャズ・ファンクっぽさは無くなりアグレッシブに・・・ボーカル加入によって力強さが加わったファンク・ロックになりました。
 賛否両論あるのは当然かなと思いながら、インストやライブ音源の曲を申し訳ない程度に残したのは旧来のファンへの気遣いかもしれないが、振り切っていないなあ、等々思いながら聴いています。しかし別のバンドと思えば、なかなかよい味を出しているアルバムだと思います。またこのサウンド、世界的なメジャーになっても、おかしくないと思えるが今いち売れていない、私の好きなスウェーデンのアーチスト。Paulo Mendonca / 11PM を思い出させてくれるサウンドでもあります(つまり、売れないってことか?残念ながら)
 

  それではレビューです。Waterfall は、スライのノリの完全ファンクです。力強い Toussaint(トゥーサン)のボーカルで、いつもと違う雰囲気がしょっぱなから漂います。この新メンバーのトゥーサンは、ボストンを中心に活動していたソウルシンガーで、イーストコーストのツアー中にリーダーのクラズノーと知り合いソウライブのツアーに参加し今回正式メンバーとなったようです。Don't Tell Me は、前述した Paulo Mendonca の楽曲と似たテイストのファンクロックです。リフのため方とシンコペーションの取り方が全くそれで大好きです。Mary は出だしがアコースティックですが、このベースラインは、やはり Paulo Mendonca ですね。ボーカルのメロディーラインまでも似ています。絶対ツアー中に Paulo Mendonca をかけまくっていたに違いありません。Comfort ここら辺でソウライブらしさを出さないとパクリに終始することになりますね。と思っていたら変えてきました。が少々インパクトが弱い楽曲です。Callin' で、またベースとドラムの入れ方が Paulo Mendonca に戻りましたが曲自体はレゲエも感じさせるポップな曲調です。うーん違うバンドみたい。Outrage は、レイボーン風のブルース・ロックのインストです。ここら辺はブルース・ロック好きなバンドの定番のようなものですから何も言うまい。Morning Light レゲエに寄せてきましたね。と思いましたがそうでも無い。少しイモっぽいかな。でもアルバムのアクセントになってます。Never Know は、爽やかです。フォーク・ソウルっぽいです。おそらくここら辺は新ボーカルの持ち味なんでしょう。これはかなり変化球で良いです。Yeah Yeah では、従来のソウライブっぽい感じとスライが混在したような感じです。ありですね。If This World Was A Song これは完全にレゲエ寄せです。One Of Those Days は、ロックなギターリフからファンクを交互に行き来します。大好きです。Bubble は、実験的な変則インスト・ロックですが、ここら辺はソウライブの良いところっぽいような気がします。 Kim では、スローなソウル・ファンク・ロックな一面です。良いですね。少しだけ Paulo Mendonca がいますが。そしてラスト2曲は【Japanese Bonus Tracks】 Steppin'、Azucar は従来のファン向けのサービスのライブ音源、
 今までのゴリっとしたオルガン・ファンクではないけど新しく発見したバンドと思って聴けば、かなりのクオリティなアルバムです🎵

lead vocals : Toussaint
guitar  Eric Krasno
bass : Neal Evans
drums : Alan Evans
keyboards : Neal Evans

producer : Stewart Lerman
recorded by : Stewart Lerman (1 to 11)

1. Waterfall
2. Don't Tell Me
3. Mary
4. Comfort
5. Callin'
6. Outrage
7. Morning Light
8. Never Know
9. Yeah Yeah
10. If This World Was A Song
11. One Of Those Days
12. Bubble
13. Kim
【Japanese Bonus Tracks】
14. Steppin'
15. Azucar





  

2024年2月11日日曜日

Marvin Gaye / I Want You

 

 別格の風格、余裕とエロさを見せつけてくれる Marvin Gaye の 1976年アルバムです。代表作として思い浮かぶのは、まず What's Goin On(1971) で、数の多くのアーチストにカバーされる名作で、ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞いての反戦歌がテーマとなった強力なメッセージ性のあるアルバムです。それに対しこのアルバムは前作 Let's Get It On(1973)の発表して以来、恋人とゆっくりと暮らしていたところに、所属するモータウンかアルバムを作るよう催促されたため、急きょ製作したアルバムで、このような背景からか、全体的にメロウで気だるいような雰囲気が漂うエロさを醸し出しています。
 購入最初の試聴は、当然のいつもの音楽好きの集う「おでんバー」でした。商業主義的な音楽は、あまり好んで聴かないタイプの人が多い場所ですがコイツは聴く人の心をつかんだようです。好んで聴いてはいなかったでしょうが世代的にはドンピシャですからねえ。耳馴れもあると思います。


 ということで、このアルバムも再度聴きながらのレビューです。I Want You タイトル曲になりますラブソング。反戦歌の面影はどこにもありません。ひたすら Love ですね。ファルセットを活かしたコーラスの多重録音による空間的な広がりが魅力的な曲です。実にエロい歌いっぷりが素敵です。今聴くと Wham! のようなメロディー感がありますので、あの二人も Marvin Gaye を歌いこんでいたんだろうと聴きながら思ってしまいました。Come Live With Me Angel これも、どっぷりラブソングですね。After The Dance アシッドなイメージのシンセによるインスト曲でリズムはラテン。ラスト曲でボーカル入りが聴けます。Feel All My Love Inside で、またもやラブソングです。I Wanna Be Where You Are なんと1分18秒のフェイドアウト。レコードでは隠しトラックとしてs¥収録されていたとのことですが、後に7インチCDで完全版が発売されています。I Want You (Intro Jam) は次の曲へのイントロして使われています。1曲目の切り抜きではないようなので、おそらく別バージョンを収録した時のバッキングトラックが気に入って使っているのでしょうか。 All The Way Around は、広がりのあるアレンジのソウルナンバー。このサウンドの作り方は多くのソウル・ファンクミュージシャンのお手本ですね。Since I Had You 落ち着いた雰囲気のイントロ。そこからファルセットのコーラス。甘いですね。とてもスイートです。Soon I'll Be Loving You Again 軽めのリズムにのせたノリの良いメロディーライン。これも王道です。そして2回目登場の I Want You (Intro Jam) は1回目より少し長めですが繰り返しのバッキングの編集なので長さだ毛の違い。ラストは After The Dance で締めです。小さコンボで演奏されているような、こじんまりとしたアレンジと濃すぎない軽めの楽曲は心地よいです。
 アルバムを聴きながらライナーノーツを読んでいると、このアルバムの楽曲はダイアナロスの弟 T-Boy Ross とモータウンのお抱えコンポーザー Leon Ware による楽曲で構成されているとのことで、その頃には既に録音を終えていた Leon Ware の I Want You をそのまま譲り受けたアルバムとのことで「他人から譲り受けた作品であるがためマービンの代表作として取り扱われることはない」と書いてありました。理由として他人の作品だからは少々理由付けとしては乱暴な気はしますがメッセージ性のある What's Goin On と真裏の名アルバムでした🎵

vocals : Marvin Gaye
piano, electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters, John Barnes, Sonny Burke
guitar : David T. Walker, Dennis Coffey, Jay Graydon, Melvin "Wah Wah" Watson, Ray Parker 
bass : Chuck Rainey
drums : James Gadson
percussion : Gary Coleman, John "Jack" Arnold
congas, bongos : Bobbye Jean Hall, Eddie "Bongo" Brown Jr.

executive producer : Berry Gordy, Marvin Gaye
producer : T-Boy Ross (3, 6, 7, 9 to 11), Hal Davis (1, 2), Leon Ware

recorded at Motown/Hitsville U.S.A. Recording Studios, Marvin Gaye Studio

1. I Want You 
2. Come Live With Me Angel
3. After The Dance (Instrumental)
4. Feel All My Love Inside
5. I Wanna Be Where You Are
6. I Want You (Intro Jam)
7. All The Way Around
8. Since I Had You
9. Soon I'll Be Loving You Again
10. I Want You (Intro Jam)
11. After The Dance





  

2024年2月4日日曜日

Tower of Power / Bump City


 Emilio Castillo、Stephen Kupkaを中心に Oakland で結成されたファンクバンド
T.O.P. の 1972年リリースのセカンド。T.O.P. は、ベイエリア・ファンクを代表するグループと言われており、ソウルやファンクには、その土地の歴史や風土、気候、文化によって育まれた、その地ならではのサウンドが存在します。
 ベイエリアと呼ばれるのは、カリフォルニア州の北部、サンフランシスコとその対岸のオークランド、東岸のリッチモンドやバークレー、南岸のサン・ノゼ、西岸サン・マテオなどのサンフランシスコ湾岸一帯の地域で、温暖な気候や開放的な雰囲気、白人や黒人にメキシコ系(チカーノ)などが入り混じった文化から生まれたこの地のファンク・バンドは、ファンク/ソウル/ジャズ/ラテン、ロックなどの様々な音楽が溶け込んだハイブリッドで、より開放的なサウンドが多く聴かれ、その代表格としてはサンフランシスコのSly & the Family Stone、Oakland では Tower of Power、派生する Graham Central Station、The Headhunters、Betty Davis、ストックンの The 9th Creation などが存在します。Funkiest Bay Grease : The Sound of Bay Area Funk
 このアルバムについては、サザン・ソウルも取り入れた少々粗いところが魅力で、Tower of PowerBack to Oakland などは、どんどん洗練されていきますね。
 

 それでは改めて聴いてのレビューです。You Got to Funkifize お馴染みのEmilio Castillo/Stephen Kupka作の文句なしにカッコ良いTOPらしいファンク。ホーンとリズムの絡みがやはり心地よし。What Happened to the World That Day? ソウル色濃く、緩急つけたホーン・アレンジが凝っています。ストリングスも入ってたのを改めて発見。Flash in the Pan 跳ねるリズム隊とイナたい雰囲気の楽曲です。Willie James Fulton のギターカッティングが切れ味良く鋭くて良いですね。Gone (in Memory of Jacqueline Mesquite)」 Skip Mesquite のリード・ボーカルで雰囲気を変えフルートが効果的なメローなナンバーで、こんな曲もあったっけと忘れてました。You Strike My Main Nerve は、センスの良い Rocco のベースが印象的なミドルテンポのリラックスしたファンクで、ソウルフルなホーン部隊も良し。Down to the Nightclub ライブなどでも鉄板のファンク・チューン。これは名曲です。ライブではもっと高速で決めまくるイメージです。You're Still a Young Man メロウなソウル・バラードで、これもライブでの鉄板の名曲。T.O.P. はホーン部隊とリズム隊のキレのある演奏が醍醐味なところがあるが、これは曲として覚えやすい方です。これもT.O.P. なのです。Skating on Thin Ice ナンパな感じがするソウル・ナンバー。楽しい演奏ではありますが普通ですね。ラストは、Of the Earth で、Mesquite のフルートが先導するメロウ&ファンキーなナンバーで、アレンジにはこだわっている感じです。
 Rocco & Garibaldiの強力リズム隊、突き抜けたホーン・アンサンブルで、らしいファンク・グルーヴです。生は2015年の札幌シティ・ジャズ・フェスで見ましたが、よく見るビデオのライブの演出と全く同じで、ン十年も同じ演出でやってる伝統芸にはニヤリ🎵

lead vocal : Rick Stevens
tenor sax, flute, vocal : Skip Mesquite
tenor sax, vocal : Emillio Castillo
trumpet, fluegelhorn, french horn, vocal : Greg Adams
bariton sax , vocal : Stephen Kupka
trumpet , trombone , french horn , vocal : Mic Gillete
guitar , vocal :  Willie James Fulton
drums : David Garibaldi
bass : Francis Rocco Prestia
conga , vocal : BrentByard

producer : Ron Capone, Tower Of Power

1. You Got to Get Funkifize
2. What Happened to the World That Day
3. Flash in the Pan
4. Gone
5. You Strike My Main Nerve
6. Down to the Nightclub
7. You're Still a Young Man
8.Skating on Thin Ice
9.Of the Earth





  

2024年2月3日土曜日

Donny Hathaway / Extension Of A Man


 Donny Hathaway (ダニー・ハザウェイ) で、私が一番好きなのは何と言っても LIVE!で、あまりにも有名なアルバムなので、それしか持っていない、聴いていない人も多いのではないかと思います。しかし、ダニー好きであれば、このアルバムも聞いておいて損はないと思います。このアルバムのタイトルは Extension Of A Man、邦題は「愛と自由を求めて」となっており、相変わらず日本のレコード会社のネーミング努力は凄いものだと感心します。(2曲目のタイトルが Someday We'll All Be Free なので、この訳が Extension Of A Man になっているので、タイトルはこの曲の方がふさわしいと思ってのこととは思いますが、本人の了解はとっているのか?)
 1970年にソロデビューし、この作品の発表の1973年に妄想型統合失調症と診断され音楽活動は停滞します。その後1977年にロバータ・フラックとデュエットで復帰するも1979年1月31日にホテルから転落死。薬害ではなかったようですが、33歳はやはり若すぎる。


 そんな彼の生涯を思いながら改めて聴くと、このアルバムは最後に自身の音楽への情熱を完全に注ぎ切ったメッセージ性も強い作品です。イントロからオーケストラで意表をつかれます。荘厳な I Love The Lord;He Heard My Cry(PartⅠ&Ⅱ) は決意を感じるアルバムの幕開け、このあとに続く Someday We'll All Be Free への導入なんでしょう。差別に怯えずに胸を張って行こうよ、誇りを忘れずに毎日を過ごし楽しいものを愉しいとキチンと言いながら毎日を過ごそうよと娘のライラへの呼びかけ実に深い。この曲はアレサのカバーによって映画 「マルコムX」のサントラにも収録されています。と考えながら次の Flying Easy を聴くと実に爽やかでありますがサビの力強さと、We're flying easy on a breeze の意味は推して図る深いものがあります。Valdez In The Country はインストですがダニーの楽器奏者としての懐の深さが感じられます。Incognite あたりで使われている演奏パターンと同じ感じですね。そして Al Kooperの I Love You More Than You'll Ever Know 原曲では激しいソウルなのだが、ここでは深みのある曲に仕上げています。そして Come Little Children については、軽めのファンクのバックにドスの聴いたボーカルで非常にグルーブ感があります。Love, Love, Love は J R Bailey のカバーでもともと透明感のあるソウルを更にストリングスを加えて広がりのある曲に、The Slums はインスト・ファンク。Magdalena は Danny O'Keefe の異色な曲でチャールストン風の曲調が新しい。そして Leon Ware作 の名曲 I Know It's You でメローに(この曲にはホイットニーのお母さんのCissy Houstonがコーラスで参加ですね)Lord Help Me はこのCDのボーナスのようです。
  LIVE!が一番好きなのは変わりませんが、力を振り絞って作ったことを感じるこのアルバムも結構捨てがたい🎵

piano : Donny Hathaway (5, 6, 10)
electric piano : Donny Hathaway (1 to 9)
guitar : Cornell Dupree (2 to 5, 7), David Spinozza (2, 3, 10), Keith Loving (3, 4, 7)
bass : Willie Weeks (2 to 5, 7, 8)
choirus : Myrna Summers & The Interdenominational Singers (1, 6, 7)
drums : Ray Lucas (2 to 4, 7, 8)
percussion : Ralph MacDonald (3, 4, 7, 9)
trumpet : Marvin Stamm (1, 2, 8, 9)
tuba : Don Butterfield (1, 8, 9)

producer : Arif Mardin

1. I Love the Lord; He Heard My Cry (PartsⅠ&Ⅱ)
bass : Russ Savakus, Stanley Clarke
drums : Grady Tate
conductor : Gene Orloff
violin : Emanuel Green, Harry Lookofsky, Julien Barber, Noel Dacosta, Sanford Allen, Theodore Israel
cello : Charles McCracken, George Ricci, Kermit Moore
clarinet : V. Abato
flute : Hubert Laws
french horn : Jim Buffington, Julius Watkins, Tony Miranda
harp : Gloria Agostini
oboe : H. Schuman
reeds : Romeo Penque, Seldon Powell, William Slapin
trumpet : Ernie Royal, Joe Newman
trombone : Dominick Gravine, Garnett Brown, Paul Faulise, Wayne Andre
2. Someday We'll All Be Free
3. Flying Easy
4. Valdez in the Country
5. I Love You More Than You'll Ever Know
organ : Donny Hathaway
guitar : Hugh McCracken
drums : Fred White
sax : David Newman
6. Come Little Children
bass : Donny Hathaway
guitar : Joseph Bishop, Phil Upchurch
drums : Fred White
clarinet : Seldon Powell
trumpet : Joe Newman
trombone : Garnett Brown
7. Love, Love, Love
8. The Slums
backing vocals : Jimmy Douglass, Mario Medious, Richard Wells, William McCollum
electric guitar : Cornell Dupree
acoustic guitar : Keith Loving
alto sax : Phil Bodner
tenor sax :  Seldon Powell
trombone : Tony Studd
9. Magdalena
piano (tack) : Donny Hathaway
guitar : Hugh McCrackenb
banjo : Hugh McCracken
bass : Gordon Edwards
drums : Grady Tate
clarinet : Phil Bodner, Seldon Powell
trombone : Tony Studd
10. I Know It's You
backing vocals : Cissy Houston, Myrna Smith, Sylvia Shemwell
bass : Stanley Clarke
drums : Rick Marotta
11. Lord Help Me
keyboards : Donny Hathaway





  

2024年1月28日日曜日

The Brand New Heavies / Midnight At The Oasis


 4曲入っていてCDではシングル。全て「midnight at the oasis」のみ様々なリミックス・バージョンが収録されています。やり過ぎ感は大きく感じますが、現代の Acid Jazz では、リミックスで曲を売っていくのはマストのようです。
 さて、ヤジオ世代が若い頃は、レコードが主体で音楽は流通していてビニールでできたでかい円盤をレコード・プレイヤーに針を落として再生して、ジャケットを眺めながら音楽を聴くスタイルが一般的でした。現代では、CDも古い媒体となっているので音楽はストリーミングでダウンロードするのが一般的なようです。
 私的には好みの1曲をダウンロードして聴くよりはアルバムとして購入して、目当てでない曲も含めてアルバムを舐めまわすように聴くのが趣味となっていますが、会社の若い人はCDですら、ほぼ買わずにスマホに気に入った曲だけダウンロードして聴いているのが一般的なようです。音楽の楽しみ方も時代によって変化するものです。私の好んで聴くジャズ、ソウル、ファンク、ブルース系は単体のシングルでのヒットも当然あるもののアルバムを構成する曲の一環として作られているものがほとんどで、現代のポップス等の一曲入魂のようなスタイルとかセールスのやり方は、ヤジオにとって時代の移り変わりを強く感じるものであります。曲の作り方や構成も変わってくるので非常に面白いところです。
 さて、このシングル Radio Version は少し短め、Extended Version は当然長め、Opaz 7" Version はかなりエフェクトかけてうねります。Roger's Brand New Radio Anthem はクラブでかかりそうなリミックス。私は普通に Extended Version が好きです

1. Midnight At The Oasis (Radio Version) 3:48
2. Midnight At The Oasis (Extended Version) 4:56
3. Midnight At The Oasis (Opaz 7" Version) 3:45
4. Midnight At The Oasis (Roger's Brand New Radio Anthem) 4:36





 


  

2024年1月27日土曜日

Graham Central Station / Live In Japan '92


 Sly & the Family Stone ベーシストとしてデビューアルバムの A Whole New Thing(1967) から There's a Riot Goin' On (1971) まで在籍し1972年に脱退、翌年の1973年に自身のこのバンド「GCS」を結成。1970年代は大活躍だったGCSも1979年に解散し、Larry Graham も1980年代は活動は停滞で、1990年代のブラック・ミュージック・リバイバルの流れでGSC復活しました。13年ぶりの再結成は、1992年厚生年金会館のこのライブとなります。
 このGCSの再結成ライブのリード・ボーカルは日本人シンガーのMimiこと宮本典子です。銀座生まれ。生っ粋の江戸っ子で、パフォーマーとしての本格的なデビューは赤坂にあった伝説のディスコ「MUGEN」でダンサー・デビューし、ここでバンドを組んでグッチ祐三、ドラムにはウガンダでファンクバンドを結成し音楽活動を始めたとのこと。日本人歌手として活躍するが、90年に単身での渡米。GCSの再結成ライブのオーディションに合格しこのバンドとともに訪日することとなり、この後も Brothes Johnson のメンバーとして活動しています。
 このアルバムではイントロの「1・2・ガンバッテクダサイ!」から宮本典子の外人ライクな日本語と日本語の歌詞で参戦しています。スライの I want to take you a higher、Get the funk of ma face、Tomorrow なんかもやってくれているのは、Larry Graham のバンドならではの大興奮のサービスでした。


 他メンバーとしては、1975年に弟の Louis Johnson と結成されたファンク・バンド The Brothers Johnson のギターの George Johnson。キーボードでは、GCSにデビューアルバムから全7枚に渡り参加した Robert"butch"Sam。6枚目のアルバムまで参加していたHershall"happiness"Kennedy は、Hot Chocolate というバンドでクラブで演奏していて Larry Graham にプロデュースを依頼したのが縁のキーボードとトランペットを担当。ドラムは サンタナのツアードラマーなどでも活躍する Gayload"flash"Birch など。
 しかし、この再結成以降GCSの活動は続かず、スタジオ・アルバムは録音されず、この出ライブのみのようでお祭り騒ぎに終わり残念・・。単純明快なファンクは古臭くはあるが、やはり魅力的です🎵

bass vocal : Larry Graham
vocal : Noriko"mimi"Miyamoto
guitar vocal : George Johnson
keyboads : Robert"butch"Sam
keyboads,  trumpet : Hershall"happiness"Kennedy
drums : Gayload"flash"Birch

producer : Eiji Nakahira, Larry Graham
recorded live at Koseinenkin Hall on July 6th, 1992.

【Disc1】
1. Entrow
 -Entrow
2. We've Been Waiting
3. Feel The Need
4. Can You Handle It?
5. Freedom
6. Touch Your Heart
7. George's Solo
8. Tomorrow
9. Strawberry Letter #23
10. One In A Million You

【Disc2】
1. Today
2. The Jam
3. Release Yourself
4. Hair
5. I Want To Take You Higher