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2024年3月22日金曜日

James Cotton / Deep In The Blues


  2017年3月16日に亡くなったJames Cotton の 1995年録音のアルバムです。御大の歌声は、だいぶ苦しそうに聴こえます。喉頭癌で手術を受けられてから歌えなくなったので録音ですね。苦しそうな、かすれた歌声ですが、これがまた渋い味つけになっています。基本的にはホーン部隊を従えた若い頃のファンク・ブルースが大好きなのですが、このアルバムはドラムレスのアコースティック。ずっと聴き続けてきた激しいファンク・ブルースが信条の御大の、こんなブルースを聴いていると、しんみりとしてしまうものがあります。と書くと悲しみに溢れたアルバムのように感じるかもしれませんが、ファンクブ・ルースのオヤジのキレのあるハープは健在、しゃがれ声がさらに掠れていますが、ファルセットも出せます。
 ジャズ業界から Charlie Haden の応援も嬉しいし、1949年生まれのブルースの権威 Joe Louis Walker がアコースティックで参加とメンバーも話題となっています。


 それでは、改めて聴きながらレビューです。Down At Your Buryin' ギターは Joe Louis Walker でブルースですがフォークっぽい弾き方ですね。御大の語りかけるようなボーカルとキメのフーフーのファルセットが気持ち良い。All Walks Of Life 典型的なブルースですね。テンポは少しアップです。こういったアコースティック・ブルースだと Charlie Haden のアコースティック・ベースがバンドを引っ張るように活躍します。You Got My Nose  Open 古典的なイントロが嬉しいです。ベースレスの超シンプル。Dealin' With The Devil アコースティックで少しにぎやかなナンバーです。御大の盛り上げパターンのハーブのお決まりフレーズも連発で、大満足です。Strange Things Happen ピアノが入ったブギですね。こんなセッションに参加できるようにブギ・ピアノを練習再開しようと思わせてくれるほどシンプルに古典的で楽しいピアノです。Country Boy ロックンロール・タイプの跳ねるヤツですね。これは楽しい。Vineyard Blues ナショナルのスティール・ギター独奏です。レコーディングの合間にやったヤツが出来が良かったのでアルバムに入れた感じでしょうか。スティールギターも10年くらい触ってないかもしれないです。たまには弾こうと思います。 Worried Life Blues は、格調高い感じでギターレスのピアノ、ベースでの演奏となっています。ベースがズンズンきます。Two Trains Runnin' ではフォーキーな感じのセッションですね。ライナーノーツにはスティールギターのクレジットは無いので普通のアコースティックをボトルネックでオープンチューニングしているのでしょうか。そこが気になります。 Ozark Mountain Railroad どこの山の曲なんでしょう?調べてみればアメリカ中部の高原とあります。Charlie Haden のソロですがジャズ的ではなくアコースティック・ベースでフォーキーな曲になっていますが、唱歌のようなメロディーも出てくるので原曲ありでしょうかググってもわかりませんでした。Sad Letter 伝統のブルースです。マディーウォーターズの曲ですね。もともとは、この人のバンドのハーピストであったので、思い出の曲でしょうね。Play With Your Poddle ノリの良いブルース。プードルと遊ぶ歌なんてブルースらしいおバカな歌詞なんでしょうね。楽しい曲です。Blues In My Sleep スローブルースでドーン。って感じです。歌無しのゆったりインストで皆さんの余裕たっぷりの演奏が楽しめます。Everybody's Fishin' 締めは御大らしくハッピーな攻めのブルース曲です。やはりここでも御大の盛り上げハープのフレーズ連発です。これでなくては。ギターソロも、いつもよりサービス多めです。良いですな・・
 心底末永く愛聴させていただく一枚です🎵

vocals, harmonica : James Cotton
acoustic guitar : Joe Louis Walker ( 1, 2, 4, 6, 9, 11 to 14)
steel guitar (national) : Joe Louis Walker (7)
guitar : Joe Louis Walker (3)
piano : Dave Maxwell (5, 8, 13)
bass : Charlie Haden (1, 2, 4, 6, 9 to 14)

producer – John Snyder

performed on August 14 & 15, 1995 at Conway Recording Studios, Los Angeles, CA.

1. Down At Your Buryin'
2. All Walks Of Life
3. You Got My Nose Open
4. Dealin' With The Devil
5. Strange Things Happen
6. Country Boy
7. Vineyard Blues
8. Worried Life Blues
9. Two Trains Runnin'
10. Ozark Mountain Railroad
11. Sad Letter
12. Play With Your Poddle
13. Blues In My Sleep
14. Everybody's Fishin'





  

2024年2月16日金曜日

Yuji Hamaguchi / Going Home


 札幌時代にソロ・ブルース・ギターにのめり込むきっかけとなった濱口祐自。このアルバムはタワレコで初ネット購入したものです。当時、一緒に頼んでいた Blind Blak(ブラインド・ブレイク)が入荷する気配がなく中々届かず、しびれを切らし単独配送に変更して届いたと記録してます。ネット購入より探して買う方が確実で早いパターンもありますが、販売店舗は、閉店、規模縮小されていますので、CD購入の少数派としては寂しい現象です。
 さてこのアルバム、濱口祐自氏のセカンド・アルバムで久保田麻琴が録音/ミックス/プロデュース、細野晴臣、伊藤大地も参加しています。前回のアルバム 濱口祐自 フロム・カツウラ よりライブ感があって、より私の好きな録音です。繊細なフィンガーピッキングと、ここぞという時の粋なフレージングは強烈です。
 当時アコースティック・ギターマガジンでスコアが掲載されていた Mississippi Blues も、録音されていて運命も感じます。私の演奏動画はこちら ➡ Mississippi Blues (muu)
 

 それでは、レビューしていきましょう。Happy Birthday,Mr. Cameraman 氏のフォーク・ブルースっぽい1分10秒のオリジナルです。このアルバムの収録時の撮影カメラマンへのお祝いなのでしょうか。スピードのあるフィンガー・ピッキングが良いですね。Welcome Pickin’~Caravan 氏の定番であるキャラバンは、youtubeに様々なバージョンが公開されています。それと練習パターンをつなげた構成になっているようです。Spring Power これも氏による楽曲で、田舎の春の風景を描いているようなメロディー。Wakinotani 曲名は那智勝浦の地名ですので、この地で弾き続けてきたブルースに地名を付けたものと思われます。この曲も様々なテンポやアレンジのバージョンが youtube に公開されていますのでアルバムで聴く前にチェックしていました。Lucky Train~Freight Train~My Grandfather’s Clock フォークブルースの古典をイントロにして大きな古時計につなげています。おそらくライブではこんな楽しいアレンジがいっぱいなのでしょう。Amaging Grace Slide トラディショナル・ソングのアメグレです。きっと何千回も弾いてきているんでしょうね。いわずもがなの説得感のある演奏。Hangover Shuffle シャッフルのブルースです。ノリ良く弾いているのでボトルネックがバキバキと効果音になっています。The Entertainer フィンガーピッキングで教則本に掲載され、ギタリストの皆さんが通る名曲です。これも名曲です。Thank You,Mississippi は、John Hurt の曲ですね。お手本になります。このような曲を弾かせたら氏は天下一品の世界に通用するギタリストでしょう。Shibinawa Blues この曲名も地名だろうかと検索したけど出てきませんでした。典型的なブルースですが日本的なメロディーラインです。内田勘太郎の即興ブルースもこんな曲調がありますね。Tokyo Summit もはや曲名は何でも良いのでしょう。東京サミットの時にやっていたブルースですね。わかりやすくて、定番のブルース・パターンならではの魅力です。Short Time Minor これも2分9秒の小曲です。マイナーのブルースの練習曲なのですかね。氏の教則ビデオにもカッコ良いと思ったパターンをドンドン複雑に発展させる練習法が掲載されていました。Great Dream From Heaven バハマのギタリスト、ジョセフ・スペンス Joseph Spence の曲でライが・クーダーでも有名な曲です。Gymnopedies No.1 エリック・サティですね。これもライブで良く演奏されているみたいです。氏はブルースマンでありますが、ギターの響きを引き出すギタリストなので様々な引き出しがあります。同一アルバムにあると雑多な感じもしますが、これもまた魅力。Mississippi Blues 大好きな古典ブルースで、低音減とアルペジオの組み合わせが少しばかり変則的なのが面白いブルースです。氏は様々なパターンに変えて弾いているのがまた非凡です。Arigato,Tokie Robinson 誰なんだろうTokie Robinson?曲は「遠きなんとかに日は落ちて~」の下校の時にかかっていた曲ですね4.しあわせ 氏が歌っています。朝が来て昼が来て、潮が引きといった歌詞で、ほのぼのと歌われています。あちらのブルースの歌詞はこんな感じのたわいもない歌詞が多いですよね。自然体です。
 57歳からメジャーになった和のブルース・マン。いや音楽も生き方も、カッコ良い方です。好きなギターを片手に生きている。味のあるこのアルバム愛聴してます🎵

guitar, vocals : 濱口祐自
drums : 伊藤大地 (2,4,5,7,11)
bass : 細野晴臣 (4,7)
bass : 久保田麻琴 (11)

recorded by Makoto kubota and Yoshiaki Kondo at GOK sound

1. Happy Birthday,Mr. Cameraman(Hamaguchi)
2. Welcome Pickin’~Caravan(Hamaguchi~Ellington/Tizol)
3. Spring Power(Hamaguchi)
4. Wakinotani(Hamaguchi)
5. Lucky Train~Freight Train~My Grandfather’s Clock(Hamaguchi~Cotten~Work)
6. Amaging Grace Slide(Trad.)
7. Hangover Shuffle(Hamaguchi)
8. The Entertainer(Joplin)
9. Thank You,Mississippi John Hurt(Hamaguchi)
10. Shibinawa Blues(Hamaguchi)
11. Tokyo Summit(Hamaguchi)
12. Short Time Minor(Hamaguchi)
13. Great Dream From Heaven(Spence)
14. Gymnopedies No.1(Satie)
15. Mississippi Blues(Brown)
16.  Arigato,Tokie Robinson(Hamaguchi)
17. しあわせ(Hamaguchi)

▶ Caravan





  

2023年12月24日日曜日

Professor Longhair / Rock'n Roll Gumbo


 私の中のニューオリンズのブギウギ・ピアノと言えば、この人となってしまいました。生まれはボガルーサという町で後にニューオリンズに移り住んだそうで1918年生まれ1980年72歳で没されています。ニューオリンズと言えば、ブルース、ブギウギ、ジャズ、アフリカンなどの音楽が存在しますが、基礎となるのはセカンド・ライン・リズム(ビート)と言われるこのリズム。少し勉強したんですがこのセカンド・ラインは、ジャズ・フューネラルというニューオーリンズ独特の葬儀のパレードから生まれたもので、墓地までは重々しい雰囲気でのブラス・バンドでのパレードを行いながらも、帰路は賑やかで活気のある曲を演奏します。先頭を歩く人はファースト・ラインで故人の縁者。セカンドラインは故人と関係ない人たちで構成され音楽に合わせて踊り、ハンカチを振り、色とりどりの傘を掲げてパレードを盛り上げるといった様相で、このセカンド・ラインで演奏されるリズムがプロフェッサーの音楽の基礎となっています。
 プロフェッサーのアルバムを聴いていると、かなり一辺倒の楽曲で作風はほぼ変化しないのでツマラナイと思った時期もありましたが、こんなことを知ってここまで徹底していると、そこが味となってくるようです。聴く人によっては演歌やブルースはみな同じに聞こえるのと同じことのようで、聴き続けることで心地よくなるものも世の中にはあるものと同じことですね。


 この、プロフェッサーは、近所で捨てらていた壊れたピアノを拾ってハンマーを使ってピアノを修理しながら、ピアノを習得。音楽キャリアとしては最初はギタリストだったんですが、ブギウギ・ピアノの方がモテそうだとピアニストに変更したと伝記には書いてあるようです。そのほか、途中音楽の仕事はなかなかなくて、プロのギャンブラーで生計を立てていたとは以前どこかで書いておりますが、どこか歌い方が胡散臭いのもこの人。伝記を額面通りに受け取ってよいのかどこまで本当なのか迷うとこではあります。そんな売れなかった時期から1974年に「再発見」されて作ったこのアルバムは、どこまでも自分の路線を崩さない教授の頑固さと味があります。(どのアルバムも平均してこのテンションではありますが)歌えるブギウギ・ピアノを目指そうとする人は是非🎵

piano, vocals : Professor Longhair
guitar, violin : Clarence "Gatemouth" Brown
bass : Julius Farmer
drums : Shiba
congas : Alfred "Uganda" Roberts
tenor sax, baritone sax : Jerry Jumonville
trumpet : Steve Madaio

producer : Philippe Rault

1. Mardi Gras in New Orleans 
2. Hey Now Baby 
3. Junco Partner
4. Meet Me Tomorrow Night 
5. Doin' It 
6. How Long Has That Train Been Gone 
7. Tipitina 
8. Rockin' Pneumonia 
9. Jambalaya (On the Bayou) 
10. Mean Ol' World 
11. Stag-O-Lee 
12. Mess Around 
13. Rum and Coke 
14. (They Call Me) Dr. Professor Longhair


2023年12月17日日曜日

Billy Branch / Satisfy Me


 ほのぼのしながらもひたすら気持ち良いリズムを刻むドラムとベース。ソウル・テイストが入った力強いボーカル、ビリーブランチは歌ってブルースハープも心地よく吹く。これが気持ちよい。これぞ現代のシカゴ・ブルースってサウンドは、特別にテクニックを見せつけているわけでも無いのですが聞いていて飽きないですし、こんなバンドをやりたくなってしまいます。
 10歳のとき、彼はロサンゼルスで最初のハーモニカを購入しすぐに簡単な曲やメロディーを演奏し始めたそうです。しかしブルースマンによくある小さな時からライブハウスに出てプロで活躍というような経歴ではなく彼はイリノイ大学に通うために1969年にシカゴに戻り、イリノイ大学シカゴ校で理学士号を取得して卒業。プロとしてのスタートは1974年頃でピアニストの Jimmy Walker と一緒にやったのが最初と語っています。その後、Willie Dixon のバンド Chicago Blues All-Stars に Carey Bell の後任として5年間いて、1977年に自身のバンド、Sons of Blues を結成。ちなみにこのバンド、ギターにLurrie Bell は(Carey Bellの息子)、ベースに Freddie Dixon(Willie Dixonの息子)と、どこまでもブルース・ファミリーです。その後は1982年「Chicagos Young Blues Generation」でデビュー。その後も1984年「Where's My Money」1992年「Mississippi Flashback」などを発表。企画物では1990年ジェームス・コットンやジュニア・ウェルズとの「Harp Attack」に参加し、サポートでも150を超えるアーチストのアルバムに参加しています。


 それではレビューしましょう。It's A Crazy Mixed Up World は Willie Dixon の作品で、オールド・ファッションなブルース作品で昔の映画でも見ている気分の軽快な楽曲です。ブルース・ハープも明るく跳ねるように吹いています。Pay Or Stay は Teenie Hodges, Earl Radall のジャンプ・ブルースです。重厚感のあるリズム隊のどっしりとしたビートは大好きなパターンです。コーラスもついて豪華な仕様です。Kissin' My Love は Bill Withers 作品のソウル・タイプ。でもアレンジは、もっと最近のアーバン・ソウル風になっているのがお洒落で、ここら辺が現代のブルース・マンって感じがします。(Hey baby) Your Looking Real Good は、J.J. Cale 作品で、カントリーが入った曲調にジャマイカンなテイストがそのまま持ち込まれています。Satisfy Me は主題曲で作曲は Billy Earl McClelland なるセッション・ギタリスト、コンポーザーがメインで活躍していた方の作品、ライトなブルース・ロックといった感じです。続けて Highway Blues も Billy Earl McClelland 作品。こちらはロック色が強いブルース・ロックです。ハープ奏者よりはギタリストが好みそうな曲調です。 One Chance With You は Walter Jacobs=Little Walter作品です。エンターテイメント色が強いブルースです。王道の昔のブルースで落ち着きます。最後にマイクにチュッチュの音は本家でもやっているんですかね。Heart In Your Life は Bill Withers をレゲエ調にしています。ここまで聴いてきて何となく Eric Clapton っぽい作品の作り方の影響があるような気がします。Son Of Juke これは本人作。このアルバムで唯一のオリジナルです。作品と言ってもボーカル無しのセッションに曲名を付けただけですが、生き生きブルース・ハープがとても印象に残ります。Same Thing は Willie Dixon でこの作品」で2回目です。Muddy の系譜のザ・ブルースです。Boogie Man はLeon Russell, Chuck Blackwell 作品ですね。アルバムを引き締めている楽曲です。王道は気持ち良い。Goin' Down は Don Nix で、ブルース・ロックのセッションの定番です。ギターソロがいかにもなブルース・ギターでかっこよいですね。ここ一番の出番なので気持ちだけで弾ききっている感じです。
 ブルース一辺倒でもなくて少し都会的な仕上がりのアルバム🎵

vocals, harmonica : Billy Branch
vocals : Alisa Peebles Yarbrough(3)
guitar : Carl Weathersby, Kip Bacque 
bass : George Porter, Jr., Nick Lewis
drums, cowbell, cabasa, wood Block : Herman Ernest III
congas, shaker, guiro, cabasa, triangle : Tracy C'Vello

producer : John Snyder

recorded October 24-27 November and mixed December 4-6, 1995 at Dockside studios, Maurice, Louisiana.

1. It's A Crazy Mixed Up World
2. Pay Or Stay
3. Kissin' My Love
4. (Hey baby) Your Looking Real Good
5. Satisfy Me
6. Highway Blues
7. One Chance With You
8. Heart In Your Life
9. Son Of Juke
10. Same Thing
11. Boogie Man
12. Goin' Down





  

2023年11月24日金曜日

James Cotton / Baby, Don't You Tear My Clothes


 2017年3月16日に亡くなりました御大 James Cotton(ジェイムス・コットン)の最後のアルバム。喉頭ガン手術を受けてから、歌えなくなってしまったためブルースハープだけ吹いておられます。とびっきりのジャケットの笑顔がまぶしいです。
 マディ・ウォーターズのバンドにリトル・ウォルターの後任として正式参加は1957年。マディのバンドには在籍1966年まで、そして1967年 Cut You Loose! (Vanguard)でソロデビュー。以降コンスタントにアルバムを作り続けて本作まで多分合計20枚。
 James Cotton を最初に聴いたのは、大学時代でブルースと言えば BBキング、マディ・ウォーターズだと思っていた私に ブルース・ハープのカ訪ッコよさ、シカゴ・ブルースという伝統芸、ジャンプ・ブルースという熱いブルースを教えてくれた、私にとってブルースを深く掘り下げてくれたの先生のような人で、訃報を聴いた時にはお疲れさまでしたと手を合わせたのを覚えています。


 このアルバムで、御大はもう歌えないのでボーカルものは ゲストによる客演です。御大のブルース・ハープも超ロングトーンやブレスなしの大技とかもなく、ゆったりとしたプレイで最後を飾っています。タイトル曲 Baby, Don't You Tear My Clothes は Lightnin' Hopkins(ライトニン・ホプキンス)の曲です。ボーカルは Bobby Rush。この人もファンク・タイプのブルースを歌う人で、ビル・クリントンが大統領に就任したとき、彼は James Joseph Brown と一緒に、ホワイトハウスでも演奏、2007年には中国で初めてのブルース・マンとして公演し、このアルバムの発売と同じ2017年に自己のアルバムでグラミー賞を受賞の人です。他、Dave Alvin が歌う Stealin', Stealin' , Doc And Merle Watson の弾き語り How Long Blues はコットンとハープでほのぼの、最後の Friends のハープを聴くとコットンのブルース人生がこれで終了したのかと感無量のハープ演奏です。

harmonica : James Cotton
piano : David Maxwell
guitar : Derek O'Brien
bass : Noel Neal
drums : Per Hanson

producer : Randy Labbe

1. Coach's Better Days
2. Baby, Don't You Tear My Clothes / vocals : Bobby Rush
3. When You Got a Good Friend / vocals, piano : Marcia Ball
4. Stealin', Stealin'  / harmony vocals, tambourine : Chris Gaffney vocals, guitar : Dave Alvin
5. Key to the Highway / vocals : Odetta
6. I Almost Lost My Mind
7. Rainin' in My Heart / vocals, accordion : C.J. Chenier
8. Bring It on Home to Me / vocals : Jim Lauderdale
9. Muleskinner Blues / vocals, guitar : Peter Rowan
10. How Long Blues / vocals, guitar : Doc And Merle Watson
11. Mississippi Blues / vocals, guitar : Rory Block
12. Blues for Jacklyn
13. Friends



▶ Friends


  

2023年11月17日金曜日

Luther Allison / Songs From The Road


 これは私が札幌在住時代にブルースに再燃していた時に購入したもので Luther Allison は知らずにDVDもついていて、お勧めコーナーにあったので購入したものですね。知らなかったけど聴いてみて観てみてかなりの満足作品でした。
 Luther Allison は、1939年アリゾナ州メイフラワー生まれ。50年頃にシカゴに移り、間もなく活動を開始。1969年に Love Me Mama で遅咲きデビューして以来、1997年まで Buddy Guy、Otis Rush、Magic Sam、Freddie King らと共に第一線で活躍し続けた伝説のシカゴ・ブルース・ギタリストです。1979年にはヨーロッパに移住しましたが、90年代アメリカに戻り1997年8月に58歳で肺癌により死去しています。


 さてレビューです。 Cancel My Check は、最初から王道のハード系のブルース。ボーカルの吠え方も良し、ギターの歪み方良し、ブレイクした時の客の興奮した歓声からも興奮のライブ状況が伝わります。Living In The House Of The Blues 作曲は williams とあるが、どのウイリアムズ参加はわかりませんでした王道スロー・ブルース。What Have I Done Wrong スローを挟んでジャンプ・ブルース系に戻ってきました。作者不明となってますブルースのスタンダードですね。特に難しい仕掛けは無く長めのギターソロが嬉しいヤツです。Will It Ever Change ドラムから入るイントロがカッコ良い。オルガンのバッキングも良いですね。You Can, You Can これもオルガンが活躍の王道ブルース。これも工夫無しのストレートなブルース進行。歌詞とテンポだけが変わっているかのような同じパターンがこのパターンのブルースの醍醐味です。There Comes A Time 少し雰囲気変わります。ひたすら同じパターンを繰り返し4分間、サビっぽいコードにたまに移りますが基本全て同じ。日本人には中々できないパターンの曲の構成です。(Watching You) Cherry Red Wine きました泣きのバラードって感じです。Low Down And Dirty 盛り上がるパターンですね。スライド・ギターでマンネリから脱出ですが、好きにやっていただけたら、こちらも楽しめます。ちょっとロックっぽいアレンジは良い。It Hurts Me Too ライブも終わりに近づいてきましたって感じの選曲です。スローで思いっきり貯めてから爆発する力強いボーカルが良い。Serious 最後は力強いエレピで始まるマイナー・ブルースとなります。締めはパーティのような曲なのかと思えば意外な展開。
 ブルースはワンパターンでも良い。斬新な曲作りよりもブルースをやり続けてきた人の表現力があれば、それで成立ということの典型です。ワンパターンでも飽きることなく楽しめるアルバムです。シックなギターは魅力的でエネルギッシュな演奏は、とても後1か月後に病死する人の演奏とは思えません🎵

vocals, guitar : Luther Allison
keyboards : Mike Vlahakis
guitar : James Solberg
bass : Ken Faltinson
drums : Rob Stupka

producer : Pierre Touchette

recorded at Festival International De Jazz De Montreal

【CD】
1. Cancel My Check
2. Living In The House Of The Blues
3. What Have I Done Wrong
4. Will It Ever Change
5. You Can, You Can
6. There Comes A Time
7. (Watching You) Cherry Red Wine
8. Low Down And Dirty
9. It Hurts Me Too
10. Serious

【DVD】
1. Cancel My Check
2. Living In The House Of The Blues
3. You Can, You Can
4. (Watching You) Cherry Red Wine
5. Low Down And Dirty
6. It Hurts Me Too
7. Move From The Hood



▶ Serious


  

2023年11月10日金曜日

James Cotton Band / Live At Electric Lady


 機関車のようでタイトで骨太なリズム隊で、実に油ギッシュなライブ。1974年に Buddh から発売の 100% Cotton と同時期の未発表ライブで、Sequel から1992年にCDで発売。この100% Cotton から、ギターに Matt Murphy ドラムに Ken Johnson ベース Charles Calmese サックス Little Bo の強力メンバーで、James Cotton Band としてファンク・ブルースのサウンドを確立しています。


 さて、レビューです。Back At The Chicken Shack これは、1960年録音のジャズ・オルガニスト Jimmy Smith による1960年の録音が元曲です。元祖はもっとスロー・テンポのブルースで Kenny Burrell がギターを弾き、Stanley Turrentine が サックスを吹いています。しかし、こちらの方が数倍カッコ良い出来栄えインスト作品。Off The Wall 1953年の Little Walter の作です。これも高速ブギーで最高のハープを聴かせてくれるインスト作品。 Rocket 88 は、James Cotton の十八番のナンバー。 1951年の Jackie Brenston and his Delta Cats が最初の録音。Don't Start Me Talking は Sonny Boy Williamson II の作品で、2分33秒と短くまとめられたブルース。Georgia Swing は、少し曲調を変えたブルースで Matt Murphy のソロがギラギラした音で良いですね。作者は不明のようです。One More Mile は、コットンのオリジナル。短いMCが入ってから始まります。これも十八番ナンバーですが、このアルバムのバージョンは素晴らしい。I Got My Mojo Working 1956年Preston "Red" Foster の作品ですが、Muddy Waters で有名になった曲ですね。この高速ファンク・ブルースでやると違った曲に聞こえるぐらいの出来栄え。How Long Can A Fool Go Wrong テンポはやっと落ちた普通のレベルになりました。コットン作品。シンプルな音使いですが、コットンのハープが冴えます。ブレークしてのお客さんのノリノリの反応からも興奮もののライブが伺えうらやましい限り。Blow Wind Blow これも十八番の一つですね。Little Walter 作品でズドンズドンと腹に来るベース・ラインが気持ち良い。Mean Ol' World は、スローナンバーで、T-Bone Walker の1942年作品。枯れた音の Matt Murphy のギターリフが、何でもないけど好きです。このような何でもない曲でこそバンドの力がわかります。I Don't Know 1952年 Willie Mabon の作品ですが、Blues Brothers でもヒットした名曲ですね。ブレイクだらけで、これがまた良い。Boogie Thing は Matt Murphy 作となっています。名の通りひたすらブギーで演奏しているほうも興奮するテンポでこれでもかと音の洪水。Stormy Monday Muddy作品かと思っていましたが、T-Bone Walker みたいです。様々なブルースマンに愛される名曲です。Fever は、Eddie Cooley、Otis Blackwellの作曲で、Little Willie John の1956年のデビューアルバムにしてヒット曲らしいです。オールディーズっぽい曲で最後はフェイドアウト。
 ハープもこれでもか!という感じでたたみかけ、迫力あるボーカルに思わず引き込まれ文句なく楽しい。スタジオ盤以上に熱い演奏がブルースはやはりライブだなと思わせてくれ、大満足なアルバム🎵

harmonica, vocals : James Cotton
bass : Charles Calmese
drums : Ken Johnson
guitar : Matt Murphy
tenor Saxophone : Little Bo

recorded for radio station KQ42 at Electric Lady Studios in New York in late 1975 or early 1976

1. Back At The Chicken Shack
2. Off The Wall
3. Rocket 88
4. Don't Start Me Talking
5. Georgia Swing
6. One More Mile
7. I Got My Mojo Working
8. How Long Can A Fool Go Wrong
9. Blow Wind Blow
10. Mean Ol' World
11. I Don't Know
12. Boogie Thing
13. Stormy Monday
14. Fever






  

2023年9月30日土曜日

Buddy Guy Junior Wells & Junior Mance / Buddy And The Juniors


 ポップスの女性歌手のアルバムか?とも思ってしまうジャケットの中の赤ちゃん3人は、Buddy GuyJunior WellsJunior Mance ですね。この可愛らしいジャケットなのに、中身は泥臭いブルースです。シカゴを代表するブルースマン Buddy Guy、Junior Wells は、ありうる組み合わせですが、ジャズピアニストの Junior Mance が参加とは貴重なアコースティック・ブルース・セッションです。随分昔から持っていたアルバムなのですが、今回聴くまであの Junior Mance とは気づいていませんでしたので、聴き直しは心して聴こうと思います。プロデューサーである Michael Cuscuna は、ライナーノーツに、このレコーディングについて興奮気味に記述してある気がします。そりゃあ Buddy Guy、Junior Wells は当然セッションはあるでしょうが Junior Mance との共演なんて凄いことですから当然でしょう。


 さて、レビューです。オープニングは Talkin' 'Bout Women Obviously ギターとブルースハープの弾き語りブルースです。年代物のアコースティック・ブルースは枯れたギターの音がする場合が多いですが、Buddy のアコギはとてもリッチな音がします。Riffin' も古典的なパターンのブルースで、これもピアノレス。Buddy Blues から Mance のピアノが登場ですが特にジャズっぽいフレーズとかはありません。Hoochie Coochie Man では、ピアノの存在感が増します。リズム隊はいないのに、そうとう躍動感ある演奏になっているのは、しっかりとしたピアノのリードがあってこそと思われます。Five Long Years では、メンバーの演奏も随分と打ち解けた感じの演奏になっています。古典的なパターンに合わせて各自のアドリブが生き生きとしています。Rock Me Mama では、Mance はお休みです。ボーカルは、Wells となって迫力あってカッコ良い。Ain't No Need は、Mance 復活でサビの手前のブレイクでは、Mance がギターと合わせてブレイクしていないのですが、3コーラス目だけは同じブレイクをしているので、ここら辺は、ぶっつけ本番のご愛敬といったところでしょうか。
 数年ぶりに聴きましたが、実に張りがあってドスの効いたアコースティック・ブルースは、今までよりも好印象です。素晴らしいアルバムです🎵

harmonica, vocals : Junior Wells
acoustic guitar, vocals : Buddy Guy
piano : Junior Mance

producer : Michael Cuscuna

recorded at Vanguard Studios, New York City on Dec. 18, 1969

1. Talkin' 'Bout Women Obviously
2. Riffin'
3. Buddy Blues
4. Hoochie Coochie Man
5. Five Long Years
6. Rock Me Mama
7. Ain't No Need




  

2023年7月29日土曜日

内田勘太郎 / Chaki Sings


 ブルースはアメリカから発生した音楽ではありますが、日本人ブルース・マンにも素晴らしい人が多く、内田勘太郎氏も私が大好きな日本人ブルース・マンの一人で、数少ない私の好きな日本人バンドの「憂歌団」のギタリストです。ギター歴は半世紀以上でカルピスの瓶で作った手製のスライド・バーを使ったスライド・ギター、指引きのラグタイムを得意とされています。uchidakantaro.com 
 このアルバムはその内田勘太郎氏の愛機が主役となったアルバムで、ギターの「Chaki」を知らない方は、そんな名前の歌手でもいるのか?と思う方もいるかもしれませんが、日本の京都のコントラバスとかを作っている楽器屋さん「茶器」が、昔作っていたフルアコの名称(型番?)でメーカーの茶器はもう存在していません。ギター・マニアの中では有名な Chaki は、欲しくくても中々売りに出されることが少ない楽器で、以前札幌の中古楽器屋で、このChakiを作っていた職人の息子が製作した「2代目Chaki」があったのですが、これを見かけて購入するか迷っていたら直ぐに店からいなくなってました。迷った理由としては楽器の当たり外れが大きいらしく、鳴らないギターが結構多いとのことを聴いていたからです。このギターは、内田勘太郎氏が弾きこんで弾きこんで、やっとこの音色にたどりついたとのことを良く目にします。


 そんな「Chaki」が主役となったこのアルバム、内田勘太郎氏はソロではゴリゴリのインスト・ブルースのイメージでしたが、このアルバムでは「和」の心がだいぶ入っているブルースを感じます。
 それではレビューです。出だしは、ひき潮 で、スライドは使わずに指弾きで、この楽器の持つ音色が堪能できる曲となっています。そして、ムーンリバー です。曲名のカタカナ表記が和を感じます。ジャズ・ギタリストが弾くと難解な技巧を使ったことになりますが、初心者にも弾けそうなアレンジが何か嬉しい。これも指弾きです。次ぐ スターダスト も指弾きジャズのスタンダード。これもシンプルなアレンジが好感です。青い影 になって、やっとスライドが出てきます。原曲は A Whiter Shade of Pale で、イギリスのロック・バンド、Procol Harum が1967年に発表したデビュー曲で、オルガンのバックが印象的な曲。ちなみに、shade は「影」ではなく「色合い、色調」という意味で「白に近い色調」といった意味になり「青い影」は誤訳のようです。そして、我が心のジョージア は、ジャズ・マンばかりではなくブルース・マンの御用達の曲です。内田勘太郎氏も、今までより、心の赴くままに弾いている印象がします。少し荒ぶった音使いのフレーズも入れてきていますが Chaki は良く応えています。クレイジーデイズ このメロディーも知っているような気がするし検索してもわからないと思っていたら内田勘太郎氏のオリジナルのようです。夏の日の恋 は、1959年の映画「避暑地の出来事」の主題歌とのこと。映画の名前は聞いたことあります。イントロに使われるコードを刻んでいるところはセミの声みたいですね。イフ・アイ・ハッド・ユー は、Nat King Cole が歌ってヒットした曲ですね。ギターインストで聴くと原曲よりノスタルジックに聴こえます。美らフクギの林から は、メロディーから沖縄を感じます。「美ら梅」というところに「フクギの森」という散歩道があるらしいです。良い曲ですね。霧雨 も内田勘太郎氏のオリジナル。音は鳴っているけど静かな曲で歌心があります。谷間のともしび は、1930年のアメリカの When It's Lamp Lighting Time in the Valley ですが、小学生の時に歌ったのかな?耳に残っています。谷間のともしび は倍賞千恵子が日本語でカバーしたものがこの曲名で出されています。家路 は、昭和の人なら良くしっている曲ですね。学校の下校の曲でもあったかな。
 こうやって改めて聴くと、昭和のヤジオ、内田勘太郎の心に残る曲、好きだった曲を、人生をともにしてきた「Chaki」で表現していて、こちらも昭和のヤジオの訳で何か共感するものが多いアルバムですね🎵

1. ひき潮
2. ムーンリバー
3. スターダスト
4. 青い影
5. 我が心のジョージア
6. クレイジーデイズ
7. 夏の日の恋
8. イフ・アイ・ハッド・ユー
9. 美らフクギの林から
10. 霧雨
11. 谷間のともしび
12. 家路

このアルバムはyouTubeで見つからなかったので・・・