ラベル CD BLUES の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル CD BLUES の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年2月21日金曜日

James Cotton / High Compression


 1984年 Alligator Records に入ったコットンが録音した唯一の作品です。と思っていたら、その後2010年 Giant 2013年 Cotton Mouth Man というアルバムが Alligator Records から発売されていることを、これを書いて発見したので、James Cotton マニアとしては、どこかで入手せねばなりません。Giant をチラッと見たらコットンは歌っておらず、ハーモニカのみの録音なので古い録音の焼き直しではなさそうです。
 気を取り直して、ウォークマンに入れていた音源も見返しながらデータ化した音源を整理していると、何故かデータ名が全く違うアルバム名になっていたり、違う曲の名前が登録されていたりしています。おそらく2、3年前にデータのバック・アップをした時に保管場所を間違えてデータ交換した時のバグだなと思いつつ整理していたら、3. 23 Hours Too Long の曲名が 24 Hours になっています。??と思って原盤のCDをチェックすると、なんと原盤のCDの登録データ自体が 24 Hours です。たまに発見すると、おそらくエラー・コインを発見した時と同じような気分が味わえますが、確かCDのデータ・エラーは価値がなかったので、一人で楽しんでおきます。でかいエラーは確か Beatles で、アルバムまるごと違うアルバムの曲名になっていたなんてこともありました。が、これは入力ミスか? 23 Hours Too Long 「23時間は長すぎる」だね。そうだ、だったら曲名を「24時間」にしたらどう思います?って感じのバイト・テロのような気もします。長くなりましたが誰にも自慢できないネタが一つ増えました。


 バンドはオーソドックスなシカゴ・スタイル、ファンク・ブルース・スタイルの両方がアルバムの中でミックスされている感じで、適度に荒々しく、田舎っぽいけどサウンドは芋くさくはありません。The James Cotton Chicago Blues All-Stars、The James Cotton Band と二つのバンドでの録音がミックスされていて、前者の方がオーソドックスなシカゴ・ブルース。後者はブラスも入っているのもありファンク・ブルースタイプに大別されるかと思えます。
 百回くらいは聞き返しているかと思いますが、細かく注意しながら聴いてはいないので、新鮮な気持ちで再度聴きながらレビューです。Diggin' My Potatoes 定番ブルースで、3 Harp Boogie では、アコースティック・ギターのシンプルな演奏でしたが、ノリ良しの迫力あるバージョンに進化しています。Ying Yang 若干、跳ねすぎている感じはしますが良い演奏であることは確か。笑い声も交えてオジサンはご機嫌な演奏です。23 Hours Too Long ザ・ド・ブルースなタメがたっぷり入ってます。前談ではエラーのことを書いてしまいましたが、実は深刻な歌で「赤ちゃん」と「お母さん」を虐待したら出て行ってしまって23時間は長すぎるって内容で、100万ドル持ってたら払うなんてことも言ってますが、かなりやばいアル中かなんかの匂いがプンプンするブルース。No More Doggin' 暗くなったところで陽気なブルースに戻ります。もうあなたと浮気しないわって歌なんですけどね。No Cuttin' Loose タイトな演奏でブラスも入っていて刺激的です。ベース・ラインがファンキーです。 Ain't Doin' Too Bad 都会的なバックの演奏にオジサンのだみ声が最高です。Michael Coleman のギターは、賢こそうなフレーズで、ダメな人も多いかと思いますが、私これが結構いけます。Sunny Road 今度のギターは Magic Slim のイントロからです。正統派のブルースギターで、外れたことは余りやりませんし、しつこいですが、これがこの人の魅力でこれも良い。Superharp コットンおじさんが、かなり楽しそうで頑張ってます。ハープの長いフレーズの後の、息継ぎ音も臨場感たっぷりです。Superharpって自分のことですよね。Easy Loving ハッピーな感じのブルースですね。おそらく歌詞の中身は軽そうなオヤジの戯言のような気がします。High Compression アルバム・タイトル曲が最後の気合を入れてるパターンです。ボーカル無しのハープがたっぷり堪能できてブギーなギターも良いです。
 曲調がバラバラでまとまりがないなんて気もしますが、やっぱり何回聴いても良いアルバムで構成なんかどうでも良いです。曲が良いんですよね。愛すべきブルースマンは2017年3月16日に肺炎のため入院先の病院で亡くなりました。御年81歳。ありがとうございました🎶

The James Cotton Chicago Blues All-Stars (1, 3, 4, 7,10)
harmonica, vocals : James Cotton
piano : Pinetop Perkins
guitar : Magic Slim
Bass : Aron Burton
drums : Robert Covington

The James Cotton Band (2, 5, 6, 8, 9)
harmonica, vocals : James Cotton
keyboards : Eddie Harsch
guitar : Michael Coleman
Bass : Noel Neal
drums : Ray Allison
tenor sax : Douglas Fagen
trombone : Johnny Cotton
trumpet : Danny Fields

producer : Bruce Iglauer, James Cotton

1. Diggin' My Potatoes / Robert Brown
2. Ying Yang / Steve Miller
3. 23 Hours Too Long / Eddie Boyd
4. No More Doggin' / Rosco Gordon
5. No Cuttin' Loose / Jack Daniels, Johnny Moore, Renee Marks 
6. Ain't Doin' Too Bad / Deadric Malone
7. Sunny Road / Roosevelt Sykes
8. Superharp / James Cotton, Larry Williams 
9. Easy Loving / Jesse Stone
10. High Compression / James Cotton

▶ Diggin' My Potatoes




  

2025年2月18日火曜日

Lazy Lester / Harp & Soul


 レイジー・レスターはルイジアナ生まれのブルース・ハーピストで、このアルバムはユルい雰囲気のロッキン・ブルースやカントリー・ブルース。ルイジアナあたりのこの地方のブルースには独特な味があり、この手のブルースは「スワンプ・ブルース」と呼ばれてます。
 本作は長い間ブランクのあった彼の復帰作です。1933年生まれで本名は Leslie Johnson。1950年代の半ば頃から、地元ルイジアナのブルース・ファンの間で注目を集めるようになった。ある日ライトニン・スリムとのセッションでレギュラーのハーピストの代理を務めたことがきっかけとなりソロ作をレコーディング。その際プロデューサーのジェイ・ミラーは彼のリラックスした演奏スタイルから、彼のステージ・ネームを「Lazy Lester」と名付けてプロのキャリアはスタートします。彼はセッション・プレイヤーとして、スリム・ハーポやジョニー・ウィンターといったアーティストたちの作品にも引っ張りだこで、ジョニー・ウィンターの1961年の初期のセッションにその名を刻んでいます。
 しかし彼は1960年代以降は、人種分離や差別に挫折、また作曲によるロイヤリティをジェイ・ミラーに搾取され、音楽業界に懐疑的になり20年間ほどは肉体労働などに従事して過ごしていました。そういった訳で一度現場から離れるも、後年になってからザ・キンクスによる「I’m A Lover, Not A Fighter」のカバーやファビュラス・サンダーバーズなどのバンドが彼の楽曲をカヴァーしたことで、キング・スネイクやアリゲーターといったレーベルが再び注目され、再び活動を再開し1988年に本アルバム「Harp & Soul」を発表となりました。


 演奏スタイルとしては、お気楽で舌っ足らずな発音の歌い方で、コブシを効かせた歌い方はせずにお気楽な感じです。ハープも当然上手いんですが決して技巧派ではなく、長い間ブルースをやってきた年輪を感じさせる音が好感です。ギター・ソロも、かなりカッコ良いタイプです。
 それではレビューしていきます。I Done Gone Over It シャカシャカと軽快なリズムのドラムのロック・ブルースです。ライトで気負わないリラックスした演奏は、このバンドの円熟味を感じます。Take Me In Your Arms 2曲目はバラードで、ゆったりとしたラブソングのようです。レスターのブルース・ハープも、ほのぼのとしていて草原の中でオジサンが気持ちよく歌っているかのよう。I'm Your Man ブルースマンが良くやる名曲です。ズシズシくるリズムですが、マディ・ウォーターズとかより、やはり軽量。重いヤツが好きな人には物足りないかも。でも演奏はうまい。Patrol Wagon Blues 伝統的なパターンのブルースですね。patrol wagon とは囚人を運ぶ護送車。なるほどそういう歌なので、のんきな感じは少な目です。Dark End Of The Street フォーク・ブルースっていうんですかね。ほのぼのっぽい曲調です。Raining In My Heart 続く曲も前曲と似たような曲調です。田舎っぽくて古き良きアメリカって感じが良い。ギターの音色がキュンときます。Bye Bye Baby 大好きなブギーです。ノリ良しですが他のブルースレジェンドより迫力は少な目の軽量級は否めない。Bloodstains On The Wall ほのぼのブルースですが、少し悪ぶって歌ってますね。良いですよ。Alligator Shuffle 曲名通りのシャッフル・ブギー。インストで、かなりカッコ良い。Five Long Years ゆっくり目のゆったりブルース。本来はこの人向きではないような気もしますが、良い出来で気に入りました。
 ホンワカ系のノスタルジックな曲の方が、この人の持ち味は出るような気がします。バンドの演奏とのバランスは非常に良いですが、個人的にはガシガシしたブルースの方が好きかも🎶

harmonica, vocals : Lazy Lester
piano : Lucky Peterson, Teo Leyasmeyer
bass : Bob Greenlee
guitar : Ernie Lancaster, Kenny Neal, Pete Carr, Robert "Town Crier" Thomas
Kenny Neal
drums : Denny Best, , Floyd Miles
Washboard : Fred Reif

producer : Bob Greenlee

1. I Done Gone Over It / Jones, Blackwood
2. Take Me In Your Arms / Johnson
3. I'm Your Man / Mc Daniel
4. Patrol Wagon Blues / Miller
5. Dark End Of The Street / Penn & Moman
6. Raining In My Heart / Moore & West
7. Bye Bye Baby / Johnson & West
8. Bloodstains On The Wall / Patt
9. Alligator Shuffle /  Johnson
10. Five Long Years / Boyd





  

2025年2月15日土曜日

Ragtime Crazy / The Best Of Ragtime Blues Guitar


 ラグタイム・ブルース・ギターがわんさかです。全22曲の充実のクレイジーな1枚です。超有名どころは、ブラインド・ボーイフラー、ブラインド・ブレイク、チャーリー・パットンなど含め、チキンウイルスン&スキーターヒントン、ベイレスローズ、ウイリーウォーカー、ブラインドウイリーマクテル、カーリーヴィーヴァー、シルベスターウィーバー、カーヴァーボーイズ、などなど知らない人もいっぱい居ます。
 ラグタイムは、もともとピアノ中心の音楽であり、ベース音の流れとメロディーをギター一台で表現するのは大変です。それを同時に弾く曲芸のような演奏を6弦しかないギターで発展させたのがラグタイム・ギターなのです。
 もともと私もラグタイムを聴いていたわけではありません。趣味のギターでアコースティック・ブルースでもやろうかと、日本人フィンガーピッカーのバイブルと思われる内田十紀夫の教則本で練習していたら、先人の話と練習曲がわんさかでてきます。しかし原曲はちっとも聴いていないと、たまに戦前ブルースやラグタイムのアルバムを勉強用に購入しています。ただ惹きつけられるものが、どれほどあるかと言えば原曲よりは現代人のギタリストが youtube 等で演奏されている動画の方に感動を覚える方が多いです。

Country Blues Guitar 打田十紀夫
 
 
Ragtime Guitar 打田十紀夫

 改めて、この時代のギターを聴くと、結構ストローク気味に弾きながら当てる弦を変えながらラフに弾いていると思われるものも多いように感じます。現代に近い細かい芸を披露してくれるのは、Bayless Rose、Curley Weaver、William Moore あたり。Blind Blake は歌も含め、現代に近く録音もきちっとしてます。Blind Boy Fuller はエンターテイメント性も高い。さすが名手です。
 慣れてくれば即興でもできるようになると、教則本やプロは書いていますが、私にはまだまだ即興は遠い世界であります🎶

1. Rag,Mama,Rag - Blind Boy Fuller
2. Piccolo Rag - Blind Boy Fuller
3. Jitterbug Rag - Blind Boy Fuller
4. D.C.Rag - Chicken Wilson & Skeeter Hinton
5. Jamestown Exhibition - Bayless Rose
6. Black Dog Blues - Bayless Rose
7. South Carolina Rag - Willie Walker
8. Mama,Let Me Scoop For You - Blind Willie McTell
9. Georgia Rag - Blind Willie McTell
10. Tricks Ain't Walking No More - Curley Weaver
11. I'm Busy And You Can't Come In - Sylvester Weaver
12. Guiter Rag - Sylvester Weaver
13. Wang Wang Harmonica Blues - Carver Boys(feat.Joshua White)
14. Shake It And Break It (But Don't Let It Fall Mama) - Charley Patton
15. Barbershop Rag - William Moore
16. One Way Gal - William Moore
17. Ragtime Crazy - William Moore
18. Ragtime Millionaire - William Moore
19. Blind Arthur's Breakdown - Blind Blake
20. Diddie Wa Diddie - Blind Blake
21. Dry Bone Shuffle - Blind Blake
22. Shake It Baby - Blind Boy Fuller





  

2025年2月11日火曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Trouble / Soul To Soul


 1985年リリースの3作目で、ジャケ写ではストラトを持たずにセミアコ。腰にぶらさげているのは、おそらく日本のお守り。そうなると後ろの小屋はもしかして日本家屋に見えなくも無いが、テキサスの田舎の掘っ立て小屋か?と先に余計なところに目が行きます。
 さて本作は、とにかくどれもこれもパンチが効いていて、エネルギー満タンSRV作品の中でも、もっとも派手な仕上がりで気持ちが良い一枚という印象。サックスとキーボードまで加入して、サウンドを完成させていて、この時期ではギター・エフェクター・アンプなど多様に使いこなしていたようです。
 何より捨て曲が相変わらず無いのも、SRV作品のすごいとこで、ライブ映像ではあまり見られない曲もあったりするマイナー感も、このアルバムの良いとこでもあります。


 それではこのド派手なアルバムを再度聴きながらレビューします。Say What! インスト・ロックですが、テンポ緩めでワウワウを使用した粘るようなギター、キーボードソロなどもあり、バンド感が増しています。弾きまくってもいますが、フィードバックを使ったロングトーンでワウで変化させてくれるところが、また良い。Lookin' Out The Window
テキサス出身の Doyle Bramhall の作品です。本業はドラマーであり、SRVよりも5歳ほど年上でセッションもよくやっていたそうです。息子はギタリストでエリック・クラプトンの作品にも参加しています。曲はシャッフルでホーンを多重録音してバックに厚みを持たせていること、ジャズで言えば4ツを刻むようなギターも印象的です。Look At Little Sister
テンポは、ほぼ Lookin' Out The Window と同じのミドルテンポ。この曲ではピアノが強調されていてロックンロール・ピアノがこれまた効果的にブラスのバッキングとともにマッチ。Ain't Gone Give Up On Love スローなブルースロックで、キーボードがバッキングでギターはエフェクト少な目でオブリーガード。曲が進むにつれて歪みを入れてったり、チャッチャッと刻んで見たりと今聴いてみると細かいところに細工が施してあるのがわかります。Gone Home ジャズサックス奏者の Eddie Harris の楽曲で、SRVもジャズ・ブルースで演奏しています。こうした幅広い素養が他の曲にも実は活きているんでしょう。Change It 再度テキサス出身の Doyle Bramhall 作品で、いかにもテキサスが舞台で打ち合いで始まりそうハードボイルドな感じがカッコ良い。You'll Be Mine 1950年代のシカゴ・ブル―ズ黄金期の巨匠 Willie Dixon の作品で、明るく踊れる感じの跳ねる感じのハッピーな楽曲です。Empty Arms イントロはフランジャーを使っていて、アルバムの中では最も軽めのナンバーです。裏打ちがモロに意識されたバッキングが日本人ではないセンスですね。Come On (Part III)ニューオリンズの巨匠 Earl King の楽曲で、ジミヘンコードを多用したカバー。原曲はジミヘンぽくは無いファンク系ソウルですが、なるほど、これを現代アレンジすればこうなるのはそうですと納得。Life Without You スローなバラードナンバーでバンド演奏ではあるものの弾き語りのような、しみじみとさせてくれる楽曲です。ボーナストラックは Little Wing~Third Stone From The Sun ジミ・ヘンドリックスのインストカバーで、長くても楽しいです。続く Third Stone From The Sun も激しいアーミングとボリュームコントロールで、アーシーなギターがカッコ良すぎです。Slip Slidin' Slim まさにボーナスの短いインストナンバーで、スライド名手ではないけど、やっぱりカッコ良く弾けるんだと脱帽です。
 久しぶりのSRVでしたが、あと100年後も全てのギタリストのヒーローでいられる人なんだろうと思える演奏は、やっぱり楽しい🎶

guitar, vocals : Stevie Ray Vaughan
keyboards : Reese Wynans
bass : Tommy Shannon
drums : Chris "Whipper" Layton
sax : Joe Sublett

executive-producer : John Hammond
producer (produced by) : Richard Mullen, Stevie Ray Vaughan/Double Trouble
recorded at Dallas Sound Labs, Dallas, Texas and Riverside Sound, Austin, Texas

Tracks 1 to 10
rec: 1985

1. Say What! / S.R. Vaughan
2. Lookin' Out The Window / D. Bramhall
3. Look At Little Sister / H. Ballard
4. Ain't Gone 'n' Give Up On Love / S.R. Vaughan
5. Gone Home / E. Harris
6. Change It / D. Bramhall
7. You'll Be Mine / W. Dixon
8. Empty Arms /S.R. Vaughan
9. Come On (Part III) / E. King
10. Life Without You / S.R. Vaughan
【Bonus Tracks】
11. SRV Speaks
12. Little Wing/Third Stone From The Sun
13. Slip Slidin' Slim





  

2025年2月7日金曜日

Big Bill Broonzy ‎/ The Anthology

The Anthology (CD, Compilation, Remastered) アルバムカバー

 あの有名な Key to the Highway は Big Bill Broonzy(ビッグ・ビル・ブルーンジー)の曲でした。ミシシッピ州生まれで、本人は1893年と主張していますが、1898年、1903年生まれ説などもあります。この時代は黒人男性が働くのには、実際の年齢に上乗せすることは普通であったことであるため、年齢を高めに申告していたのは事実のようです。生地についてもアーカンソー州レイク・ディックとする説もあるとのことで出身地も舐められないために偽ることも多かったものと想像されます。

 ブルースマンについて、色々見てたら意外だったのが、戦前ブルースの有名人たちの年齢で、下記に、生まれた年を列記すると
チャーリー・パットン          1891年
ビッグ・ビル・ブルーンジー 1893年
サン・ハウス        1902年
スキップ・ジェイムス    1902年
ハウリン・ウルフ      1910年
ロバート・ジョンソン    1911年
エルモア・ジェイムス    1918年
 Robert Johnson(ロバート・ジョンソン)の方が元祖だと思ってたら全くの後輩で、そんな元祖なのに動画なんかも、しっかり残っているのは驚きです。ロバート・ジョンソンなんか音源だけですからね。でも音源を聴いていると Big Bill Broonzy の方がずっと都会的で難解な ロバート・ジョンソンの方が難解な節回しとリズムですから、それはそうだとも理解できます。
 歌の独特の節回しがブルースを感じるとともに演歌っぽいとも感じます。また彼は生涯で300曲以上を作曲したと言われていますが、本アルバムの曲名を見ていると酒、女 がテーマの曲は少ないように感じます。「シカゴブルース界の吟遊詩人」「シカゴブルースの風」とも呼ばれ、若干カントリーの源流の匂いも感じます
 昔のラジオを聴いているようでノスタルジックな気分になれますが、2枚組50曲は疲れるかもしれません🎶

【DISC1】
1. Where the Blues Began
2. Key to the Highway
3. John Henry
4. Big Bill Blues
5. Martha Blues
6. Saturday Evening Blues
7. Glory of Love
8. Backwater Blues
9. Little City Woman
10. You Changed
11. How You Want It Done
12. By Myself
13. Jacqueline - (featuring Washboard Sam)
14. Hollerin' Blues
15. Willie Mae Blues
16. C.C. Rider
17. South Bound Train
18. Mopper's Blues
19. Lonesome
20. Mississippi River Blues
21. Mindin' My Own Business - (featuring Washboard Sam)
22. Never Never
23. Bill Bailey
24. Get Back
25. Careless Love

【DISC2】
1. Whiskey and the Good Time Blues
2. Midnight Special
3. I Know She Will
4. Five Feet Seven
5. Stump Blues
6. Preachin' the Blues
7. Water Coast Blues
8. Lonesome Road Blues - (featuring Washboard Sam)
9. Hey Hey
10. Crawdad
11. Walkin' the Lonesome Road
12. I'm Gonna Move to the Outskirts
13. Shine On, Shine On
14. San Antonio Blues
15. I Don't Want No Woman
16. Diggin' My Potatoes - (featuring Washboard Sam)
17. Tell Me Who
18. Tomorrow
19. Sweet Honey Bee
20. Wee Wee Hours
21. Romance Without Finance - (featuring Washboard Sam)
22. Old Man Blues
23. Make My Get Away
24. I Feel Like Crying
25. Sad Letter Blues






  

2025年1月27日月曜日

Sonny Boy Williamson / Real Folk Blues


 Sonny Boy Williamson は1912年ミシシッピ生まれの、エレクトリック・ブルースの草分けでデルタ・ブルースの普及委員ですから、このアルバムは、Folk Blues ばかりなのかと思ったらそうでもないです。この人の芸名には「Ⅱ」がつきます。本名は Aleck Miller で、先に成功していた Sonny Boy Williamson I (John Lee Curtis "Sonny Boy" Williamson) にあやかって2世を名乗っています。でも本家よりも売れて名を馳せたのは、この Sonny Boy Williamson Ⅱ の方でしょう。独学でハーモニカを学び、他にギター、ドラムスも学んだと言われ、プランテーションで生まれ、実は生年月日は諸説あるようです。1930年代頃から、ミシシッピ州とアーカンソー州を一帯を放浪し、その過程でエルモア・ジェームス、ブラインド・レモン・ジェファーソン、ロバート・ロックウッド・ジュニアらブルースマンと出会い、当時は、リトル・ボーイ・ブルーという芸名で活動していたのですが、ラジオ局のブルース番組に出演する頃に Sonny Boy Williamson Ⅱと名乗り始めたそうです。


 1965年に心臓発作で他界されますが、亡くなった直後に発売された The Real Folk Blues (1965) と、その2年後に発売された More Real Folk Blues (1967) を合体させたカップリング盤がこのアルバムとなっています。
 アルバムのジャケット・デザインは安っぽいなと思っていたのですが、死後のアルバムの発売を思うとこの写真は追悼していたのかと、また見る目が変わります。
 それでは One Way Out ギターに Robert Lockwood, Jr., Luther Tucker が参加しているマンボのリズムを取り入れた曲で、ドスの効いた声で軽快に歌っています。Too Young To Die 本人オリジナルのブルース。声のふるわせ方や歌い方はプレスリーとかでも使っている歌唱法で、少し粋ってる感じも良い感じです。Trust My Baby 少しジジイっぽい歌い方で雰囲気はバッチリなスローブルースです。ウワンウワンと唸るハープもカッコ良い。Checkin' Up On My Baby また歌い方を変えていて、酒やけしたようなダミ声が印象的です。古典的なブルースでもっと聴きたいのに2分ちょっきりは寂しい。Sad To Be Alone ロック・ブルースで少し艶のある歌いかに変えています。Robert Lockwood, Jr.のギターも素晴らしい。 Got To Move ここら辺になると、ほぼ日本の演歌と同じですね。同じタイプのブルースですが、このワンパターンが心地よい。ゆったりとした曲に合わせてハープソロも長めのプレスリータイプの歌い方。Bring It On Home べ~~いべ~。から始まる余裕の大人な雰囲気。ギターに Matt Murphy 参加。 Down Child また声が違いますね。器用です。高めのハーブがブイブイ鳴りまくります。テンションは高め。Peach Tree 桃の木はブルースの題材になりやすいものでもあるようです。これも明るいタイプの曲ですね。手持ちのパターンが多くて器用だと改めて思います。 Dissatisfied 古典的なパターンのブルースです。満足できねえぜと力入ってます。That's All I Want ベースの Willie Dixon 作曲で、にぎやかに演奏されています。Too Old To Think     最後はしっとりと。Luther Tucker が、ボン、ボンと遊んでいたりピアノ含め各自思い思いに好き勝手やってます。良きかな。
 アンプを通さない生Harpですが、パワーでグイグイ押してきます。二日酔いのブルースマンみたいな声もありますが、意外と若々しい系の歌声もあったりして、やっぱり容姿のイメージと反比例🎶

voval, harp : Sonny Boy Williamson
recorded in Chicago on September 1, 1957 (10), January 30, 1960 (5), April 14, 1960 (4), June 1960 (9), September 15, 1960 (3 & 8), December 14, 1960 (2), September 8, 1961 (11 & 12), January 11, 1963 (6 & 7) and April 30, 1964 (1).


1. One Way Out (Elmore James, Marshall Sheron, Sonny Boy Williamson) 
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
2. Too Young To Die (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass, vocals : Willie Dixon
drums : Odie Payne
3. Trust My Baby (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
drums : Fred Below
4. Checkin' Up On My Baby (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
electric bass : Willie Dixon
drums: Fred Below
5. Sad To Be Alone (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
6. Got To Move (Sonny Boy Williamson)
organ : Lafayette Leake
guitar : Matt Murphy
electric bass : Milton Rector
drums : Al Duncan
7. Bring It On Home (Willie Dixon)
organ : Lafayette Leake
guitar : Matt Murphy]
electric bass : Milton Rector
drums : Al Duncan
8. Down Child (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
drums : Fred Below
9. Peach Tree (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Eddie King Milton, Luther Tucker
drums : Fred Below
10. Dissatisfied (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
11. That's All I Want (Willie Dixon)
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
12. Too Old To Think (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below





  

2025年1月26日日曜日

Guitar Slim / The Things That I Used To Do

 

 まず最初に聴いたときに「なるほど昔のブルースね」と思いながら聞き流していましたが、おそらく興行的(ライブエンターテイメント)なところを意識してる人だなあと興味がわいてきました。
 そして「曲は古臭いけどギターの音は適度にギラギラしてフレーズも現代的なとこもあるなあ」となり「余裕でギター弾いて、わざとたどたどしく弾いたりフレーズとか遊んでるしサービス精神旺盛ですな」そして「このノリは、ピアノのあの人に似てるんじゃね?」などと思い始めます。ピアニストの、あの人はニューオリンズのブルース・ピアニストの「Professor Longhair」です。と思って調べてみるとやはりこの人もニューオリンズを拠点に活動していたギタリストでした。音楽キャリアとしては1951年~1958年の短い間で肺炎で死去しています。Professor Longhair は1949年初レコーディングで1964年ぐらいまでが最盛期で、1975年のポール・マッカートニーが彼をクイーン・メアリー号船上のプライベート・パーティーの演奏「Live On The Queen Mary」あたりで復活の人。やはり活動の盛期は被っています。
 もともとはゴスペル・シンガーで1950年のデビューから後にブルース・シンガーに移行して、ギターとアンプを100メートル以上のコードで繋ぎで、観客の間を演奏して歩くなどのパフォーマンスで人気だったようで、このアルバムには収録されていませんが 「Feeling Sad」を発表、そして1953年に Ray Charles がピアニストして参加し、タイトル曲の「Things That I Used To Do」がリリースされR&Bチャートで14週連続1位の記録の大ヒットとなります。 がカバーするこれを機に大躍進と言いたいところですが、ヒットが出ずにレコード会社の移籍や契約解除が続いたとのことです。でもこの大ヒットしたタイトル曲は、ブルース旧大御所にもカバーされブルース・スタンダードのひとつとなっています。
 と、勉強が終わったところでもう一回タイトル曲を聴くと、これについては「ニューオリンズ」の感じがしないド・ブルース。再度ライナーノーツを見ながら聞き直すとこのアルバムは1953年~1955年の5回の録音の21曲です。


 最初の頃は本格的なブルースですが、段々とエンターテイメント性が増してきて、泥臭さが抜けてきてバックがニュー・オリンズ・サウンドに変化してきてくるのがこのアルバムを聴いていて流れがわかります。わずか2年間の間にかなりの変貌です。時に歪ませたギターで攻めまくったり、ラフに弾き崩したりするスタイルは独自のモノで、酒と女性が大好きそうなオジサンのようなジャケットも良かった。
 「Bad Luck Blues」「Well, I Done Got Over It」「Something To Remember You By」、イントロを失敗したんで、やり直しまで全部録音してしまった「I Got Sumpin' For You」なんかも良かったです🎶

1. The Things I Used To Do
2. Well I Done Got Over It
3. The Story Of My Life
4. A Letter To My Girlfriend
5. Later For You Baby
6. Trouble Don't Last
7. Bad Luck Blues
8. Sufferin' Mind
9. Twenty Fine Lies
10. Our Only Child
11. Stand By Me
12. Guitar Slim
13. Reap What You Sow
14. I Got Sumpin' For You
15. You're Gonna Miss Me
16. Quicksand
17. Think It Over
18. Something To Remember You By
19. You Give Me Nothin' But The Blues
20. Sufferin' Mind (Alt. Take)
21. Reap What You Sow (Alt. Take)





  

2025年1月15日水曜日

James Cotton / 3 Harp Boogie


 長い間、聴いていなかったのですが、アルバム名から James Cotton、Billy Boy Arnold、Paul Butterfield の三人のハーピストが全曲に参加しているアルバムだと思っていましたが、ホーンが入っている曲と、アコギとハープのみの曲があるようで全てに三人が参加ではないようでどうやら違います。マイナーなアルバムのせいか、解説しているサイトも、ほぼ皆無で長い英語のライナーノーツを読んでいくと最後の方に、異なる二つのソースでできていると書いてあり解説ありましたが、どの曲がそれに該当するかは書いてありません。(聴いたらわかるだろってことですね。おそらく)
The tracks that comprise this disc hail from two highly disparate sources. The acoustic material was recorded circa 1962-63 by producer Norman Dayron in a setting that was very informal by any standards—an apartment on Chicago's South Side. It places Cotton smack dab in the sympathetic company of brash youngbloods Paul Butterfield and Elvin Bishop and relative veteran Billy Boy Arnold, whose old Vee-Jay catalog was about to receive a shot in the arm from the Yardbirds.
 この聴きどころは、やはり3人のハープが聴ける acoustic material で、Norman Dayron のシカゴのアパートで録音したとのこと。ここで、この三人が録音とは仲良き事、素晴らしいと言いたいところで、所持音源の検索しましたが、このアルバム以外では Billy Boy Arnold が参加しているものは、ありませんでした。
 調べてみると Arnold は、1935年イリノイ州シカゴ生まれ。Sonny Boy WilliamsonⅠ に大きな影響を受けてクラブでの音楽活動を開始、1953年で初録音し Bo Diddley のバンドにも在籍。代表曲は1955年 I Wish You Would とのこと。James Cotton も1935年生まれ、Paul Butterfield は1942年生まれでこの時代のブルース業界では後輩になります。ちなみにこの音源録音時1963年は、コットン、アーノルドは28歳、バターフィールドは19歳で白人の若いブルースマンが先輩の黒人大御所と演奏していますが自身のバンド Paul Butterfield Blues Band 同年に結成しています。 写真掲載しときます。James Cotton, Billy Boy Arnold, Paul Butterfield の順です。



 それでは、改めて聴いてレビューです。Jelly Jelly ブルース・ピアノのイントロから始まる典型的なブルースで、コード進行と歌メロは Stormy Monday 等で使われているものと同じですね。ブルースとはそう言うもんです。ジャケットが古臭いですが、録音は結構良いです。エレクトリック・マテリアルと書かれているホーンも入った気持ち良いブルースですが、気になるのは、後半4分ぐらいのところから入ってくるホーンはトランペットのようなんですが、ミュージシャンのクレジットはトロンボーンのお二人。トランペットのような発音をしているのか、楽器を持ち換えているのか、違うミュージシャンが参加しているのか。 South Side Boogie 2、3曲目はアコースティック・マテリアルです。シカゴのサウス・サイドのアパートでの録音と書いてあるので、それがこのセッションの名前になっています。Elvin Bishop のアコースティックでのブギーなギターのノリが素晴らしい。やっぱり名手です。それに合わせて3人がハープを被せてきて最高のセッションです。So Glad You're Mine 先のブギーは楽器のみですが、これは歌ものになります。ボーカルは御大 James Cotton です。年齢を重ねたかのような28歳に聞こえない声質は、この時点から。Good Time Charly ここでエレクトリック・マテリアルに戻ってきますが、一気ににぎやかな音になるので、音量を上げて聴いていたらビックリするかと思いますので気を付けて。Diggin' My Potatoes コットンの他のアルバムでもよく聞いているナンバーですが、アコースティックのみの演奏もオツなものがあります。テンポはバンドでやっている時と余り変わりない早めです。短くて残念。There's Something On Your Mind そしてエレクトリック・マテリアルです。やはりビックリします。スタジオ録音ですが語り部分が長くて気持ち入ってるのがビンビンきます。V-Ford Blues  車のフォードがテーマのブルースですね。Mose Allison のバージョンを聴いたことがありますが全く印象が違います。コットン氏にかかると曲が似通ってくるのかもしれません。Turn On Your Love Light またもやフル・ボリュームのソウル・タイプの演奏にビックリします。こういったノリの演奏は珍しいかもしれません。Dolly Put The Kettle On 最後はアコースティック・マテリアルからの録音で、延々と続くセッションを連想させるよう1分46分でフェイドアウトの終わり方が余韻を残します。
 アコースティックとエレクトリックの落差がありすぎて、聴きながらビックリするアルバムでした。三人のハーピストのアパートでのセッションが素晴らしいので世に出したかったけど、尺が足りなかった結果この構成?のような気がします🎶

① Acoustic Material Recorded in Chicago 1963, Produced by Norman Dayron
2, 3, 5, 7, 9 (determined by listening)
harmonica, vocals: James Cotton 
harmonica: Paul Butterfield 
harmonica: Billy Boy Arnold
guitar: Elvin Bishop

② Electric Material Recorded in Chicago 1967, Produced by Barry Goldberg, Michael Bloomfield and Norman Dayron
1, 4, 6, 8 (determined by listening)
harmonica, vocals: James Cotton 
guitar: Luther Tucker 
piano: Alberto Gianquinto 
bass, vocal: Robert Anderson 
drums: Sam Lay Tenor 
sax: Delbert L. Hill Baritone 
sax: McKinley Easton 
trombone: Louis E. Satterfield 
trombone: John M. Watson

producer : Michael Bloomfield

1. Jelly Jelly
2. South Side Boogie
3. So Glad You're Mine
4. Good Time Charly
5. Diggin' My Potatoes
6. There's Something On Your Mind
7. V-Ford Blues
8. Turn On Your Love Light
9. Dolly Put The Kettle On