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2025年1月15日水曜日

James Cotton / 3 Harp Boogie


 長い間、聴いていなかったのですが、アルバム名から James Cotton、Billy Boy Arnold、Paul Butterfield の三人のハーピストが全曲に参加しているアルバムだと思っていましたが、ホーンが入っている曲と、アコギとハープのみの曲があるようで全てに三人が参加ではないようでどうやら違います。マイナーなアルバムのせいか、解説しているサイトも、ほぼ皆無で長い英語のライナーノーツを読んでいくと最後の方に、異なる二つのソースでできていると書いてあり解説ありましたが、どの曲がそれに該当するかは書いてありません。(聴いたらわかるだろってことですね。おそらく)
The tracks that comprise this disc hail from two highly disparate sources. The acoustic material was recorded circa 1962-63 by producer Norman Dayron in a setting that was very informal by any standards—an apartment on Chicago's South Side. It places Cotton smack dab in the sympathetic company of brash youngbloods Paul Butterfield and Elvin Bishop and relative veteran Billy Boy Arnold, whose old Vee-Jay catalog was about to receive a shot in the arm from the Yardbirds.
 この聴きどころは、やはり3人のハープが聴ける acoustic material で、Norman Dayron のシカゴのアパートで録音したとのこと。ここで、この三人が録音とは仲良き事、素晴らしいと言いたいところで、所持音源の検索しましたが、このアルバム以外では Billy Boy Arnold が参加しているものは、ありませんでした。
 調べてみると Arnold は、1935年イリノイ州シカゴ生まれ。Sonny Boy WilliamsonⅠ に大きな影響を受けてクラブでの音楽活動を開始、1953年で初録音し Bo Diddley のバンドにも在籍。代表曲は1955年 I Wish You Would とのこと。James Cotton も1935年生まれ、Paul Butterfield は1942年生まれでこの時代のブルース業界では後輩になります。ちなみにこの音源録音時1963年は、コットン、アーノルドは28歳、バターフィールドは19歳で白人の若いブルースマンが先輩の黒人大御所と演奏していますが自身のバンド Paul Butterfield Blues Band 同年に結成しています。 写真掲載しときます。James Cotton, Billy Boy Arnold, Paul Butterfield の順です。



 それでは、改めて聴いてレビューです。Jelly Jelly ブルース・ピアノのイントロから始まる典型的なブルースで、コード進行と歌メロは Stormy Monday 等で使われているものと同じですね。ブルースとはそう言うもんです。ジャケットが古臭いですが、録音は結構良いです。エレクトリック・マテリアルと書かれているホーンも入った気持ち良いブルースですが、気になるのは、後半4分ぐらいのところから入ってくるホーンはトランペットのようなんですが、ミュージシャンのクレジットはトロンボーンのお二人。トランペットのような発音をしているのか、楽器を持ち換えているのか、違うミュージシャンが参加しているのか。 South Side Boogie 2、3曲目はアコースティック・マテリアルです。シカゴのサウス・サイドのアパートでの録音と書いてあるので、それがこのセッションの名前になっています。Elvin Bishop のアコースティックでのブギーなギターのノリが素晴らしい。やっぱり名手です。それに合わせて3人がハープを被せてきて最高のセッションです。So Glad You're Mine 先のブギーは楽器のみですが、これは歌ものになります。ボーカルは御大 James Cotton です。年齢を重ねたかのような28歳に聞こえない声質は、この時点から。Good Time Charly ここでエレクトリック・マテリアルに戻ってきますが、一気ににぎやかな音になるので、音量を上げて聴いていたらビックリするかと思いますので気を付けて。Diggin' My Potatoes コットンの他のアルバムでもよく聞いているナンバーですが、アコースティックのみの演奏もオツなものがあります。テンポはバンドでやっている時と余り変わりない早めです。短くて残念。There's Something On Your Mind そしてエレクトリック・マテリアルです。やはりビックリします。スタジオ録音ですが語り部分が長くて気持ち入ってるのがビンビンきます。V-Ford Blues  車のフォードがテーマのブルースですね。Mose Allison のバージョンを聴いたことがありますが全く印象が違います。コットン氏にかかると曲が似通ってくるのかもしれません。Turn On Your Love Light またもやフル・ボリュームのソウル・タイプの演奏にビックリします。こういったノリの演奏は珍しいかもしれません。Dolly Put The Kettle On 最後はアコースティック・マテリアルからの録音で、延々と続くセッションを連想させるよう1分46分でフェイドアウトの終わり方が余韻を残します。
 アコースティックとエレクトリックの落差がありすぎて、聴きながらビックリするアルバムでした。三人のハーピストのアパートでのセッションが素晴らしいので世に出したかったけど、尺が足りなかった結果この構成?のような気がします🎶

① Acoustic Material Recorded in Chicago 1963, Produced by Norman Dayron
2, 3, 5, 7, 9 (determined by listening)
harmonica, vocals: James Cotton 
harmonica: Paul Butterfield 
harmonica: Billy Boy Arnold
guitar: Elvin Bishop

② Electric Material Recorded in Chicago 1967, Produced by Barry Goldberg, Michael Bloomfield and Norman Dayron
1, 4, 6, 8 (determined by listening)
harmonica, vocals: James Cotton 
guitar: Luther Tucker 
piano: Alberto Gianquinto 
bass, vocal: Robert Anderson 
drums: Sam Lay Tenor 
sax: Delbert L. Hill Baritone 
sax: McKinley Easton 
trombone: Louis E. Satterfield 
trombone: John M. Watson

producer : Michael Bloomfield

1. Jelly Jelly
2. South Side Boogie
3. So Glad You're Mine
4. Good Time Charly
5. Diggin' My Potatoes
6. There's Something On Your Mind
7. V-Ford Blues
8. Turn On Your Love Light
9. Dolly Put The Kettle On





  

2025年1月12日日曜日

Stevie Ray Vaughan And Double Trouble / Texas Flood

 

 このアルバムは1983年に Epic Records から発売された Stevie Ray Vaughan and Double Trouble のデビューアルバムです。タイトル曲の Texas Flood は、ブルース・マンの Larry Davis の1958年の曲のカバーとなっており、カバー曲は4曲、オリジナルは5曲が収録されています。デビューは1873年ですが、1975年前身となるバンド「トリプル・スレット・レヴュー」を結成し、Double Trouble として活動を始めたのは1978年なので、下積み8年の活動歴ですから実力は聴いての通りで、既に完成されたバンド形態となっています。
 このアルバムからのシングルカットは「Love Struck Baby」「Pride and Joy」の2枚で、「Love Struck Baby」のミュージック・ビデオは、MTV の1983年のレギュラーローテーションとなる人気でした。デビューのきっかけは、アルバム発売の前の年1982年に、Vaughan and Double Trouble は Montreux Jazz Festival で演奏したのがきっかけで、2日の録音でオーバーダブ無しでこのアルバムは録音されています。


 それでは久しぶりに聴いて懐かしみながらレビューしていきます。Pride And Joy こちらは、イメージそのままでSRVが右手を回しながらかき鳴らしているのが想像できます。ジャズでいえばスイング感に当たるものが非常によく出ています。Texas Flood 大好きなテキサス・フラッドはイントロ長めが最高なブルースです。ギターの音は硬質に設定してジャキジャキさせながらも粘っこい。Tell Me バッキングのリフの跳ね方が大袈裟でなのが、天才的です。Testify 機関銃のようなリフでジミヘンコード、曲芸のような低音から高音までなめるように弾かれる全編ソロのインスト・ブルース・ロックです。Rude Mood さらに煽るように軽めの音のギターでトレモロのようなブルース・ギターが途切れないこれもインスト。機関車のように、走り続けるのもSRVの特徴でしたね。Mary Had A Little Lamb ミドル・テンポに戻ると、すごくゆっくり感じます。アルバムの最後に持ってきても良い落ち着いた曲です。Dirty Pool ミドルから更にスローなブルースになります。スローでもマンドリンのような手法で常に音符の数が多く、ロングトーンでの泣きのギターは似合いません。I'm Cryin' 粘っこいギターに戻ってきました。古き良き古典ブルースのようですがSRVのオリジナル。Lenny ブルースだけではなく器用にギターを操る名手です。これもインストですがフュージョン・ギターのようです。
 とにかくグイグイと迫ってくる手クセがバリバリのギターが魅力の Stevie Ray Vaughan And Double Trouble のデビューアルバム、これも久しぶりに聴いてレビューしていきます。Love Struck Baby 久しぶりに聴いたらギターの音はイメージより軽めでした。ライブはもっと重め? Jhonny B Good を現代風のギターにした感じです。


guitar, vocals : Stevie Ray Vaughan
bass : Tommy Shannon
drums : Chris "Whipper" Layton

executive-producer : John Hammond
producer : Double Trouble, Richard Mullen, Stevie Ray Vaughan
recorded at: Down Town Studio, Los Angeles, CA; Riverside Sound, Austin, Texas.

1. Love Struck Baby (S. R. Vaughan)
2. Pride And Joy (S. R. Vaughan)
3. Texas Flood (J. W. Scott, L. C. Davis)
4. Tell Me (C. Burnett)
5. Testify (D. Taylor, G. Clinton)
6. Rude Mood (S. R. Vaughan)
7. Mary Had A Little Lamb (B. Guy)
8. Dirty Pool (D. Bramhall, S. R. Vaughan)
9. I'm Cryin' (S. R. Vaughan)
10. Lenny (S. R. Vaughan)



▶ Lenny


  

2025年1月6日月曜日

Crage Erickson / Roadhouse Stomp!


 Stevie Ray Vaughan系の、ビックリするほど鋭どくて素直にカッコ良いブルース・ロックです。多分 Stevie Ray Vaughan の音源を探していてレコード屋で出会ったのかと思います。音はものすごくカッコ良くて、多分レイボーンと比較されることも多い人かと思いますが驚くほどマイナーなアーチストで、ググってもあまり情報が出てこないのも、この人の特徴です。 このアルバムの他 Big Highway も良かったです。
 略歴についても資料不足だったのですが- Pop Music. Legend Music -さんに記述ありました。アイオワ州セダー・ラピッズ育ちのギタリストです。父はレコード店を経営していて、手伝いをしている時にギターを覚え、13歳になるとバンドを組んで地元で演奏していました。1990年の初期にブルーズ・ブリュー( Blues Bureau )と契約し、1992年に初アルバム「Roadhouse Stomp」を出し、翌1993年には「Retro Blues Express」を出しました。その他は2001年「Shine」などがあります。なるほど。
 発売は Shrapne Records で、アメリカのヘヴィメタルを中心に扱うインディーズ・レーベルから発売されています。このレーベル1982年には、17歳の Yngwie Malmsteen を発掘し当時所属の Steeler に加入させたが、イングウェイは直ぐに脱退して、以降はこのレーベルからのアルバム発売は無し(Steeler は懐かしいです。高校生の頃にカセットで聴いてました)1990年頃から、ヘビー・メタル・シーンそのものが廃れてきたとのこと。やはり、レーベル自体がインディーズであることと、時代により宣伝力が無かったことで世に広く認知されなかったのではないかと推測します。


 それでは、素晴らし過ぎるギタープレイが魅力のアルバムを聴きながらレビューです。Heartbreak Train 激しいブギー・ロックで、ZZ TOP を鋭くヘビーにした感じです。楽曲としてはオーソドックスですが、曲が進んだところでの転調で聴き手を飽きさせない仕掛けがしてあります。Blues Avenue まるで SRV じゃないかと言われればその通りのジミヘン・コードを使用したブルース・ロックです。Overtime シャカシャカとしたカッティングから始まるファンク気味ロックで、これもSRV 仕様ですね。注目のギターも素晴らしいですがベース、ドラムのコンビネーションも素晴らしくギターが遊べるのは、このリズム隊がしっかりしているから。 The Loneliest Hour しっとり系ブルースで、他の曲もそうですが常にギターがオブリガードしてて鳴りっぱなしで、これでもかって感じがしつこくて、これが好きな人にはたまらんですね。River Song ギターがワウワウしてるブルース・ロックで、曲としては少し中だるみ気味ですかね。Catch That Plane テンポ早めのロックですが、今までよりもブルースが強めでスライドでのソロも飛びだして勢いがあります。Midnight Highway こちらは ZZ TOP 寄りのブギです。これは私の好物かもしれません。The Storm コーラスのかかったギターリフで少し硬質な音に変えてきてます。基本的に似通ったつくりの曲が多いので良いのではないでしょうか。Tearin' It Up 高速ブギです。これは単純にかっこよい。Van Halen にアイデアのヒントあるような楽曲です。Starry Sea メロディアスなロックで曲の構成としては、このアルバムの収録曲の中ではつくりこんだ曲です。Tell Me The Truth はアルバムの最後らしくヘビーでキャッチーです。
 オーソドックスなフレーズではありますが、これでもかと繰り出されるギター・サウンドで丁寧に組み立てている感じがとても好印象です。デビュー作って、それまでに貯めてきたエッセンスが詰まった曲が多いのが良いですね🎶🎸

guitar, vocals : Craig Erickson
bass : John Onder
drums : Atma Anur
hammond B-3 organ : Mark Robertson

producer : Mike Varney
recorded at Prairie Sun Recording Studios
all songs written by Craig Erickson

1. Heartbreak Train
2. Blues Avenue
3. Overtime
4. The Loneliest Hour
5. River Song
6. Catch That Plane
7. Midnight Highway
8. The Storm
9. Tearin' It Up
10. Starry Sea
11. Tell Me The Truth





  

2025年1月3日金曜日

James Cotton And His Big Band / Live From Chicago Mr Superharp Himself !


 「ブルース・ハープ」と「だみ声」が素敵な、私がシカゴ・ブルースで最も好きなアーチストです。Sonny Boy Williamson II から9歳の時に手ほどきを受け、1957年に Muddy Waters のバンドで Little Walter の後任のハーピストとして頭角を現し、1967年からソロでの活動がメインとなっています。James Cotton を聴いたのは、たぶんFMラジオでブルース特集をやっていた時にカセットで録音したのが最初だったと思います。当時はロック小僧だったので、ホーンの入ったビッグバンドを聴くことはなくバンド・サウンドや、ブルース。ハープの表現力が新繊に聞こえた記憶が曖昧ながらあります。
 そうやって、ファンになってしまってレコード屋で見かける度に揃えて何枚目にこのアルバムにたどり着いたのかはよくわかりませんが、これは 1986年のライブ録音で、James Cotton のキャリアとしては中盤、アブラギッシュ感満載の演奏の、シカゴの Biddy Mulligan's でのライブです。Biddy Mulligan's は、現在も存続しているアイリッシュ・バーです。(同一の店だと思っています)


 それでは聴き続けてきた熱いライブを再度聴きながらレビューします。Here I Am (Knocking At Your Door) 煽るオープニングの紹介でから始まるブギーで、タイトなリズム隊+ホーン部隊でキメが多め、ボーカル、ハープがしっかりメインの録音。Michael Coleman の基本ノーマルの軽い歪みのギターの音も、カッコ良いです。Part Time Love ディスコチックなベースリフでポップな印象があるものの、しっかりブルースしてて2曲目も上げてきます。ホーンが入るビッグバンド形式は音が厚くて聴きごたえ十分。Just To Be With You バラードまでいかないスローテンポのブルースで Muddy Waters でも有名な曲です。しんみりとしてますが、On a ship that's made of paper, I will sail the seven seas, Fight a shark with a toothpick 紙の船に乗って爪楊枝でサメと戦うぜとシュール。Hard Headed 1曲だけ前の曲でしんみりさせて、またジャンプしてきます。たたみかけるようなボーカルでグイグイと来るところがやっぱり素敵です。When It Rains It Pours タイトなリズムのブルース。雨が降る時はガンガン降るぜ、悪いことも連続するけど、良いこともいっぱいあるぜ と前向きソング。Cross Your Heart 伝統的ブルースを少しモダンなアレンジで演奏していて曲が進めば進むほど盛り上がります。Come Back, Baby ここでバラードがきます。哀愁のコード進行がしみじみと来て、ブルースハープが、このしんみりさに拍車をかけて聞き惚れます。Born In Chicago そしてバラードの次はあげるのが基本です。まさにシカゴ・ブルース。曲中ブレイク前のワーオの叫び声も興奮です。The Midnight Creeper ブルースハープの為のブルース James Cotton 本人の曲で、最高です。
 ホーンの入ったバンドで、グイグイと引っ張るタイトなリズム隊。アレンジは若干モダンンな感じで、ひたすら脂ギッシュでもないとこがこのアルバムの魅力でしょうか。ライナーノーツはペラペラですが、何百回聴いても中身は重厚なブルースのカッコ良い名盤です🎶

harmonica, vocals : James Cotton
piano : Eddie Harsch
bass : Noel Neal
drums  Ray "Killer" Allison
guitar : Michael Coleman
tenor sax : Douglas Fagen
trombone : Johnny Cotton
trumpet : Danny ''Boney'' Fields

producer : Bruce Iglauer
recorded by : Timothy Powell
recorded live, February 1-3, 1986 at Biddy Mulligan's, Chicago, Illinois

1. Here I Am (Knocking At Your Door)  (John Watkins)
2. Part Time Love (Clay Hammond)
3. Just To Be With You (Bernie Roth)
4. Hard Headed (Albert Atkins, Osee Anderson)
5. When It Rains It Pours (Bobby Patterson)
6. Cross Your Heart (Sonny Boy Williamson)
7. Come Back, Baby (Walter Davis)
8. Born In Chicago (Nick Gravenites)
9. The Midnight Creeper (James Cotton)





  

2024年12月30日月曜日

憂歌団 ベスト


 1970年に大阪市立工芸高等学校の高校生時代に、木村充揮、内田勘太郎で結成し、1975年に「おそうじオバチャン」でデビュー。日本にブルース・ブームを起こしましたが「おそうじオバチャン」の歌詞は差別的だと放送禁止になります。
 1976年には、Sleepy John Estes の前座とバックバンドを努め。1980年には Muddy Waters とのジョイント、1988年にはシカゴのブルース・フェスティバルに出演と精力的な活動を続けますが、1998年バンドは冬眠します。2012年ドラムの島田和夫氏が自殺。2013年に再結成し同年に〜島田和夫祭り〜を開催しています。また、木村充揮、内田勘太郎の二人は「憂歌兄弟」として活動もしています。


 雑誌で読んだのですが、メジャー契約成立したら契約金が入り、みんな飲んだくれて仕事をしなかったとか。熱烈なファンでは無かったのですが、歌は知っていますし youTube でライブなども楽しく見させていただいておりました。日本語で歌詞がダイレクトに伝わりますし、木村充揮(きむらあつき)のしゃがれた声とタイム感は他にはありませんし、内田勘太郎のラグ・タイムを基本としたブルース・ギターも素晴らしい。私自身がスライドとラグ・タイムを練習していた時には、教則DVDなどでお世話になり、今では相当好きなバンドとなっています。
 ライナー・ノーツを見ていて気付いたのですが、作詞・作曲で 木村秀勝 となっているので、ボーカルの木村さんの兄弟?かと思ったら作詞作曲は「秀勝」バンド活動は「充揮」としていて、意外と細かいとこにこだわってはるようです。また作詞には、沖てる夫氏の名前も、かなり出てきます。1951年愛知県生まれ。フリー紙編集のほか、コピーライター、作詞家、構成作家など、いわゆる書くこと全般を職業とする。作詞については憂歌団の『おそうじオバチャン』『嫌んなった』『10ドルの恋』をはじめ多数の作品がある。鍼灸師でもある。また 尾関真氏は名古屋で尾関真ブラザーズで活動していたブルースマンとのことで、憂歌団はザ関西のイメージですが名古屋方面の方ともかかわりが深いようです。一方スティーリンについては、ザ大阪のブルースマン上田正樹氏とサウス・トゥ・サウスを組んでいたギタリストの有山淳司氏も名を連ねています。ラグ・タイム系の方ですね。石坂まさを氏の方は、藤圭子のデビュー作「新宿の女」の作詞家で本名「澤ノ井龍」だが、気狂い龍二との渾名が付くほどの激しい方だったとのこと。
 歌でギターで人生が語れる、日本のブルースの中心にいる、ほんまもんの和製ブルース・マンですね。ここには週rくされていない「胸が痛い」なんかは私のカラオケの十八番です🎶🎸

vocal , guitar : 木村充揮(秀勝)
guitar : 内田勘太郎
bass : 花岡献治
drums : 島田和夫

1. 嫌んなった (詩 沖てる夫, 曲 憂歌団)
2. おそうじオバチャン (詩 木村秀勝, 曲 憂歌団)
3. 10$の恋 (詩 沖てる夫, 曲 内田勘太郎)
4. 出直しブルース (詩 沖てる夫, 曲 内田勘太郎)
5. 金持ちのオッサン (作詞、作曲 尾関真)
6. 当れ! 宝くじ  (作詞、作曲 木村秀勝)
7. パチンコ~ランラン・ブルース (作詞、作曲 木村秀勝)
8. イコマ《女町エレジー》(作詞、作曲 石坂まさを)
9. ケツに火がついた  (詩 沖てる夫, 曲 内田勘太郎)
10. どてらい女  (詩 沖てる夫, 曲 内田勘太郎)
11. 俺の村では俺も人気者 (作詞、作曲 尾関真)
12. はんか街のはんぱ女 (詩 沖てる夫, 曲 憂歌団)
13. ボクサー (作詞、作曲 木村秀勝)
14. スティーリン (作詞 有山淳司, 内田勘太郎 作曲 Gus Canon)





  

2024年11月24日日曜日

Blind Boy Fuller / East Coast Piedmont Style

 

 1991年に Columbia から発売されたアルバムで、1935年にBlind Boy Fuller が Reverend Gary Davis とニューヨークに録音旅行に行った時に4日間で12曲録音したもののうち11曲と、その後4年間で録音したセッション9曲で構成されたアルバムです。
 なので、Blind Gary Davis 名義でありますが、Reverend Gary Davis との共演アルバムでもあり勉強用の音源でもあります。Blind Boy Fuller は、内田十紀夫のブルース教則本で知ったブルースマンで、曲はさんざん聴いてギターでも弾いていましたが、原曲を聴いたのはに出会ったのは、このアルバムが実は初めてです。
 戦前ブルースの多くは、独特の小節構成のため、ストレートに理解しにくい曲が多いので Reverend Gary Davis なんかも、ずっと聴いていると正直かなり飽きがきます。しかしReverend Gary Davis からギターの手ほどきを受けたとのことでなるほどその影響を感じますが、師匠よりもはるかに聴きやすいです。
 人物紹介が前後しますが、ブラインド・ボーイ・フラーは本名はフルトン・アレンで、1907年の生まれ。1925年に14歳の女性と知り合い結婚し、その後に目が悪くなりだして
1929年に視力が失われ失業して生活のために歌い始めたとのこと。
 ギターの音は安っぽくはないけど、普通のアコースティックと音が違います。昔のブルースアルバムによくある、安っぽい鉄弦の使用のせいか?と思っていたら、ジャケット写真にもあるナショナルのスチール・ボディのギターを使用しているとのことでした。
 アルバム・タイトルの「East Coast Piedmont Style」で Piedmont とは、アメリカの南東部バージニア州からノースカロライナ州、ジョージア州にまたがる地域を指しています。
産業は農業が主体で赤土の土壌で割と貧乏な土地柄とのことですが、お国柄(地域柄)のせいか、明るい曲調ではなんか幸せそうな感じがするのが、 East Coast Piedmont Style のようです。デルタ・ブルースと比較して軽く明るいノリの曲が多いようですね。
 気になったのは Rag, Mama, Rag で、The Band に同名の曲が2曲目にあるのですがRobbie Robertson のオリジナルとされていたので、ホントか?と思いながら両方を聴き直してみました。ほぼ同じ名前の違う曲であるもので間違いないようです。あとは10曲目の Sweet Honey Hole は子供の教育に悪いオジサン向けですね。昔のブルースにはよくあるパターンですが、かなり直接的です。あと Big Leg Woman Gets My Pay の My hook's in the water and my cork's on top がよくわかりません。おそらく下品なヤツかとはおみますが、脈絡としては〇春宿でボッタクられた的な感じなのかとは思いますが気になります。
 勉強用のアルバムでもあり20曲は収録曲は、聞き飽きるタイプのCDですので、全曲レビューはやめときます🎶🎸

vocals, guitar : Blind Boy Fuller

1. Rag, Mama, Rag
guitar : Blind Gary Davis
washboard : Bull City Red
2. Baby You Gotta Change Your Mind
guitar: Blind Gary Davis
washboard : Bull City Red
3. My Brown Skin Sugar Plum
4. I'm A Rattlesnakin' Daddy
guitar : unknown
5. I'm Climbin' On Top Of The Hill
guitar : Unknown Artist
6. Baby, I Don't Have To Worry ('Cause That Stuff Is Here)
7. Looking For My Woman
8. Ain't It A Cryin' Shame?
9. Walking My Troubles Away
10. Sweet Honey Hole
washboard : Bull City Red
11. Somebody's Been Playing With That Thing
12. Log Cabin Blues
13. Keep Away From My Woman
14. Cat Man Blues
15. Untrue Blues
washboard : Bull City Red
16. Black And Tan
17. Big Leg Woman Gets My Pay
washboard : Oh Red
18. You've Got Something There
washboard : Oh Red
19. I'm A Stranger Here
harmonica : Sonny Terry
20. Evil Hearted Woman





  

2024年11月22日金曜日

Larkin Poe / Peach

 

 私がこのバンドを知ったのは youTube の動画が最初で、2020年のはじめの頃でした。特に気にいたのは Preachin' Blues で、繰り返し聴いていたところ、12月に新宿タワレコを訪れたところ、なんと Larkin Poe のコーナーが出来ていたので購入となりました。
 この二人は、ジョージア州アトランタ出身で、現在はナッシュビルを活動拠点とする姉妹のブルース・ロック・バンドで、姉妹の名前は
 【Rebecca Lovell】lead vocals, electric guitar, acoustic guitar, mandolin, banjo, violin, piano; drum programming, bass and arrangements

 【Megan Lovell】 harmony vocals, lap steel, Dobro

 いとこの祖父である Edgar Allan Poe に、ちなんでの Larkin Poe のバンド名で、アルバム名の Peach は出身がジョージアの名産のピーチであることからで、アトランタは古くはStanding Peach Tree と呼ばれネイティブ・アメリカンの村もあったそうです。この姉妹の活動履歴は長く、2005年にはブルーグラス系バンド The Lovell Sisters を3姉妹で結成し、いったん解散し、2010年に Larkin Poe として活動再開し、その後5枚のEPと2枚の共同制作盤を出し2013年に RH Music と契約し、初アルバム「KIN」を発表。そして2016年Reskinned、2017年で、この Peach の発売となった訳で、堂々たる演奏からも既にベテランの域を感じます。


 購入したのは日曜で、その帰りには行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で直ぐに聴きました。ファンの前で酷評はしにくいと思われますが、それなりに評判は良かったハズです。それでは Larkin Poe / Peach を再度聴きながらのレビューです。Come On In My Kitchen トラディショナル・ブルースで作者不明なヤツですね。メーガンのスチールギターが最高ですし、レベッカの迫力ボーカルは最初から心わしづかみにされます。Freedom オリジナル・ナンバーで、アレンジは少しデジタルな部分を入れてます。映画とかで使われそうなドラマチックな曲です。Black Betty そしてトラディショナル・ブルースに戻ります。このリズムは大好きなヤツです。いかつくて惚れてしまカッコ良さ以外に何もありません。Look Away スローでダークなブルース・ロックです。オリジナルでこれも少しデジタルなアレンジで、ここら辺はブルースマンでありながら現代のポップスも聴きながら育った世代なんだなあと思います。Preachin' Blues そして惚れ込んだサン・ハウスのブルースです。ブルース好きのオジサンにも十分響くカッコ良さで、ライブハウスで聴いたらどうにかなっちゃいそうです。Cast 'Em Out ブルーグラスもやってたので、ここら辺のルーツ・ミュージックのような楽曲もすんなりです。録音とミキシングでボーカルの近さが感じられるのも良いですね。Pink & Red これもオリジナルで、現代的なロックのアレンジになっています。なるほどトラディショナルとオリジナルで意識的にアレンジを変えているのですね。今更わかりました。John The Revelator ジョンは預言者というトラディショナルです。ドロドロした呪術的なイメージが沸く曲ですね。Wanted Woman / AC/DC やはりオリジナルでデジタルなアレンジも入れてます。パンクっぽくもありますね。Tom Devil やはり最後はトラディショナル・ブルースでアルバムは締めくくりです。
 新世代のブルースを感じて、ワクワクと心が躍ります。きっと私のようなひと昔世代のことも理解しつつ、感性に合う曲を彼女たちの表現があり僅かな差でありながら同じようなルーツ・ミュージックのバンドを引き離している感があります。youTube で自分たちをセルフプロモしながらの活動も現代的ですね。オジサンの心も動かされました🎶🎸

Rebecca Lovell
vocals, electric guitar, acoustic guitar, baritone guitar, banjo, keyboards, drums : 
Megan Lovell
vocals, lap steel guitar, slide guitar, keyboards

producer : Megan Lovell, Rebecca Lovell

1. Come On In My Kitchen (Traditional)
2. Freedom (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
3. Black Betty (Traditional)
4. Look Away (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
5. Preachin' Blues (Son House)
6. Cast 'Em Out (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
7. Pink & Red (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
8. John The Revelator  (Traditional)
9. Wanted Woman AC/DC (Megan Lovell, Rebecca Lovell)
10. Tom Devil  (Traditional)





  

2024年11月16日土曜日

James Cotton Band / Live & On The Move


 もともとは2枚組のアルバムだったものを、CDでは1枚にまとめたライブ録音。19曲で、コットン・ファンにとって、ベスト・ヒットのような曲目構成がうれしいアルバムです。盤によっては Fannie Mae の入っていないものもあるようです。 
 1976年の発売で8枚目となるアルバムで、ギターは Matt Murphyでドラムの Kenny Johnson、ベースの Charles Calmese 、1974年発表のスタジオ録音盤「100% COTTON」と同じメンバーで、このリズム隊から生み出されるファンク・ブルースはなかなか強力。コットンおじさんも36歳の若い時の演奏でエネルギッシュで声も若いです。
 出だしのライブの始まりかたから、いかにもアメリカのエンターテイナーって感じです。盛り上げ方の進行も全てお決まりのパターンのようで、おそらく定番のショーの形式と思われます。


 ライブ会場の Shaboo Inn in Wlllimantic Conn ですが、ボストンから90マイル、ニューヨークから145マイルのアメリカの北西にある New England の1000人規模の大型ライブハウスで、ロックではBoston, Aerosmith, The Cars, Journey, AC/DC ブルースでは、Muddy Waters, BB King, John Lee Hooker, Freddy king, Buddy Guy ジャズでは Miles Davis などもギグっていたようです。1982年の閉店ライブでは、James Cotton もゲストで呼ばれていました。

  


 これも相当、聴きこんできたアルバムですが久しぶりに聴きながらレビューします。Cotton Boggie 定番のブギー・ナンバーです。ブルースハープの裏打ちとリズムが、機関車が走るような感じだと思いながらいつも聴いています。いつ聴いてもスカッと気持ち良い。
One More Mile ジャンプ・ブルースですね。キメもばっちりです。All Walks Of Life
ブルース度高めの一曲。のしのしと歩くようなドラミングが相変わらずかっこいいです。Born In The Missouri スローテンポの古典ブルースで、ピアノが相棒として活躍します。
Flip Flop & Fly これも定番で、早めの明るいブギで楽しいです。Flip Flop & Fly I don't care if I die Don't ever leave me, Don't ever say goodby のサビのコーラスもお客さんもノリノリです。サックスソロの最後は、ハエの羽音を真似たギターのシャカシャカもご愛敬です。Mojo は、Got My Mojo Worlin’ ですね。ハイスピードでバンドがきれいにグルーブしています。Roket88 これも大好きな定番です。この早口ボーカルもカッコイイですね。Goodbye My Lady ここでクールダウンの曲です。哀愁のメロディーで男臭く Goodbye My Lady と歌われたら女性はうっとりするのでしょうか。引いてしまうのでしょうか。これも良い曲ですね。I Don’t Know 定番のキメの連発のブルースです。曲の切れ目でベイ~~ベの最後の「ベ」でドラムとタイミングが合うかどうか、遊んでいるようです。ピッタリは1回ですかね。Caldonia シャッフル・ナンバーでコットンおじさんの裏声を使って母親の声真似、早口マシンガンで観客も大喜びですね。Boggie Thing コットンバンドはこのブギが多くて、気分があがります。Goodmorning Lil’ School Girl 田舎のオジサンが女の子に話しかけている曲でしょうか。子供がスキップしているぐらいのテンポでホノボ系シカゴ・ブルースです。Oh, Baby You Don’t have To Go オーソドックス・タイプのブルースです。ここらへんで Charles Calmese のベースの上手さに気づきます。Help Me 昔のタイプのシカゴ・ブルースです。このテンポで、このリズムでグルーブさせるのは結構、難しいかもしれません。Fannie May 曲の解釈は全く異なりますが、ジャコも大好きだったファンク・ナンバーですね。Hot’ n cold メンバーがボーカルをとってコットンが合いの手を入れる楽しい曲です。ライブって感じがします。Tenny Weeny Bit これはJBな感じの曲でコットンにしては珍しいビートですね。歌の表情のつけ方がさすがです。Blow Wind Blow シカゴ・ブルースの定番曲です。コットンバンドでもよく聴きますがこのライブのこれは出来が良いようで満足。How Long Can A Fool Go Wrong ハイトーンのブルース・ハープが印象的なブルースです。キッチリとブルース・ハープのソロを多めにとってテクニックを見せつける曲ですね。いや、オジサンのハープが堪能できる曲です。
 ジェイムス・コットンのライブは楽しいですが、特にこのライブはノリ良く。しゃべり、よく吠える、そしてメンバーがみなで楽しそうです。バンドとしても脂がのっていてテンション高いので聞いているほうもテンションあがります。 このライブの客になりたかった🎶

vocals, harp : James Cotton
keyboards : Mike "Captain Z" Zaitchik
guitar : Matt Murphy
bass : Charles Calmese
drums : Kenny Johnson
sax : George T. Gregory

producer : Al Dotoli
recorded live at Shaboo Inn in Wlllimantic Conn.

1. Cotton Boogie (James Cotton)
2. One More Mile (James Cotton) 
3. All Walks Of Life (James Cotton )
4. Born In Missouri (Willie Cobbs)
5. Flip Flop & Fly (Charles Calhoun, Lou Willie Turner)
6. Mojo (Booker Ervin)
7. Rockett 88 (Jackie Brenston)
8. Goodbye My Lady (Mark Klingman, N.D. Smart II, Todd Rundgren)
9. I Don't Know (Willie Mabon)
10. Caldonia
11. Boogie ThingAll Walks Of Life (Matt Murphy)
12. Good Morning Lil' School Girl
13. Oh Baby You Don't Have To Go (Jimmy Reed)
14. Help Me (J. Watson)
15. Fannie Mae (Bobby Robinson, Buster Brown)
16. Hot 'N Cold (Allen Toussaint)
17. Teeny Weeny Bit (Ian Whitcomb)
18. Blow Wind Blow (Dub Dickerson)
19. How Long Can A Fool Go Wrong (James Cotton)



Mojo