Monk 作品の中でも編成が異色の1960年録音。San Francisco のジャズクラブ Blackhawk クでのライブです。メンバーはブラス部隊が、テナーサックス2人+トランペットのセクステット(6人編成)で、テナーサックスの Harold Land, トランペットの Joe Gordon は、現地San Francisco のミュージシャンのセッションです。
再録版の Orrin Keepnews の書いたライナーノーツにも「実際のところ、これは怪我の功名とも言える録音だった」とヤバい状況だったが結果的に良かったこと、いきさつが書かれています。もともとは Thelonious Monk、Shelly Manne の双頭セクステット・アルバムを Blackhawk で録音する予定が、スタジオ・リハで、相性がいまいちだったとのことで、企画がボツになり、3週間の滞在で New York へ手ぶらで帰るわけにいかないため、もともとセッションに呼ばれていた Harold Land, Joe Gordon はそのまま起用され、The Ornette Coleman Quartet で注目されていた Billy Higgins との共演が実現されることになったとのこと。(ですが、ライナーノーツには、Joe Gordon appears through the courtesy of VEE-JAY Records. つまりJoe Gordon は VEE-JAY Records の意向により参加とのみ書かれています)
1950年代にインディーズの Riverside で批評的には活躍はしていましたが、このあと1961年後半に大手メジャーレーベルである Columbia Records と契約を結びます。1960年前後は、Monk のキャリアにおいて「アンダーグラウンドでカルト的な評価を得ていた鬼才から、世界的なジャズ・ジャイアントへと飛翔した決定的なターニングポイント」にあたる時期で、Orrin Keepnews 氏も結構苦労はしていたのだとわかるエピソードです。
Let's Call This ブルース的要素を含みつつコード進行にヒネリがあり、飛び跳ねてスキップしたり階段を下りてくるような楽しさがあります。アドリブではモチーフの反復とリズムのずらしが感じられます。Monk は練りに練って作曲するイメージがありますがこのタイトルは「この曲の名前どうする」って言われて即興でつけたようなネーミング。いつもの MOnk にトランペットが入ってくるとオっと注目してしまいます。
Four In One 1950年代に録音されたレパートリーです。テーマメロディが短いモチーフを細かく四つ組のように連結していって、フレーズ単位で「四拍ごと」にガクガクと切り替わり、クルっと周るダンスが連続しているような感じがモンク特有のリズムにのった不思議な感覚があります。Joe Gordon のトランペットが明るくスイングしてからのアダルトなテナーソロ、ピアノ・ソロに入ると Monk ワールドに引き込まれ、独特のテーマに戻り大団円。
I'm Getting Sentimental Over You 戦前スウィングのジャズ・スタンダード。元の美しさを残しつつ、リハーモナイズやリズムのずらしによって Monk 流に変えています。管楽器のバッキングのピアノのリズム、コードのずらし方がスイングしつつ、非常に主張が強く感じました。この曲はトランペット、ピアノ、テナーサックスの順のソロです。拍手大き目。
Epistrophy (complete) オリジナルには無かった Epistrophy のコンプリートバージョン。ピアノのバッキングとテーマのパズルのようなイントロがクールです。他の曲と比べるとバンド全体が、何故か堂々としていて安定感があります。録音マイクの近くで、しゃべっているオッサンの声が気になりますが、ライブならではのハプニングの味でしょう。
Evidence これもオリジナルに無い追加のボーナストラック。またもや録音マイクの近くで騒ぐオッサンの声が入ってます。CDでの再編集版なので収録時間が伸びたために、もともとあったテイクの追加なんですが、オリジナルに入ってなかったのは、ここら辺のオッサンの声もあるのでしょうか。2曲続けてオッサンの声が気になりましたが、他の曲に入っているのかもチェックですが、ほかの曲では気になるようなレベルではやはり入ってないようです。
San Francisco Holiday (Worry Later) この盤でデビューの完全な新曲。当初はこの曲に「Classified Information(機密情報)」という仮タイトルを付けていたとのことですが、さらに後にはSan Francisco Holiday というタイトルに改題し、Worry Later は副題になったとのこと。クセのあるテーマですがAABA 形式にうまく収まって自然にスイングしてるように聞こえるメロディが特徴でテーマ自体は分かりやすい感じで、おしゃれな曲の感じの出だしですが最後はぐしゃっとした Monk 流に。
'Round Midnight 定番の名曲。厳かなピアノがイントロでリズムのずらしは無くとも Monk を感じられる名曲です。じっくりと聴いていると静かにワルツを踊っている人が見えるような、整然とした流れが感じられます。最後のテーマのバスドラのドゴンドゴンが謎。
Epistrophy (Closing Theme) コンプリートバージョンもありましたが、セットのオープニングやクロージング・テーマとして演奏されることも多きライヴ盤に登場するお決まり曲。その場合クロージングのほうが多いと思います。「これでセットは終了を伝える合図のような役割で、テーマだけをコンパクトに演奏です。
最初は音が悪いと思いましたが段々と気にならなくなってきて、Monk がノリノリですっ飛ばしているように感じるのは、ドラムの Billy Higgins 効果があるからでしょうか、相性は悪くないと思います。蛇足ですが、いつも帽子をかぶって若干ふくよかなイメージのある Monk 、本ジャケットは痩せていて精悍なアルバム写真です🎶🎹
piano : Thelonious Monk
bass : John Ore
drums : Billy Higgins
tenor sax : Charlie Rouse, Harold Land
trumpet : Joe Gordon
producer, liner notes : Orrin Keepnews
recorded live on April 29, 1960 at The Blackhawk, San Francisco.
1. Let's Call This / Thelonious Monk
2. Four In One / Thelonious Monk
3. I'm Getting Sentimental Over You / George Bassman, Ned Washington
4. Epistrophy (complete) not on original LP) / Thelonious Monk
5. Evidence not on original LP) / Thelonious Monk
4. San Francisco Holiday (Worry Later) / Thelonious Monk
5. 'Round Midnight / Cootie Williams, Thelonious Monk
6. Epistrophy (Closing Theme) / Thelonious Monk
▶ Evidence





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