2026年6月1日月曜日

Eric Dolphy At The Five Spot Vol1

 

 Prestige から発売されていた Vol2 を先に聴いて、その独特の感性と尖り具合を更に聴いてみたいと本盤 Vol1 は探して購入しました。このライブでは Eric Dolphy はフルートとバスクラを演奏しています。アルバム名は Eric Dolphy ですが、バンドは Booker Little をトランペットに迎えた双頭クインテット。
 録音されたニューヨークの Five Spot と言えば、当時の先鋭的なジャズ・ミュージシャンがよく出演するお店。元々はマンハッタン南部のバワリー通りにあった「バワリーカフェ」という見すぼらしいバーだったそうです。ところが1955年に店の上を通っていた鉄道が無くなったことにより雰囲気が一転し周辺に画家や詩人の卵が済むようになり 店の名前も Five Spot に改名し、そのたまり場だった店には現代アートを好む人たちがたむろするようになったため、出演するミュージシャンもモンク、ドルフィー、セシルテイラー、オーネットコールマン、コルトレーン、チャールス・ミンガスと先鋭的な人たちが多かったようです。
 そのような背景があっての Five Spot でのこの録音ですが、Eric Dolphy は、この録音の3年後に Berlin で無念の客死、Booker Little に至っては僅か 4ヶ月後に、尿毒症により23歳の若さで亡くなっています。また Little は本作を含め数枚の音源が残っているのみの人なので、この作品は二人の演奏を収めた貴重なドキュメントとして価値ある作品とされているようです。
 また本盤のライナーノーツの原盤の英文には、Joe Goldberg氏の解説の一文に Booker Little のインタビューで「不協和音が多ければ多いほど音は大きく響き、まるでホーンの数が増えたように聞こえる。不協和音の可能性に興味がある」の記述は非常に興味がそそられ、そこらへんにも注意して聴いてみるとなるほどと思う部分がありました。
"I'm particularly interested in the possibilities of dissonance. If it's a consonant sound it's going to sound smaller. The more dissonance, the bigger the sound. It sounds like more horns; in fact, you can't always tell how many there are. And your shadings can be more varied. Dissonance is a tool to achieve these things." 


「 Fire Waltz」長めの静寂、ピアノの試し弾きの音が聞こえてからイントロがピアノで開始されます。これからライブが始まる緊張感が伝える録音演出も良いです。そしてブレークの後にテーマは、アルトサックスとトランペットを含むリズムセクションがそれに答えます。それにしてもアルトの音なのに太くてコクがあり、低音から高音まで使った猛烈なアプローチ、様々なサックスの演奏テクをこれでもかと織り交ぜながら最初から全開です。昔はこの隙間の無い音のアプローチとか狂ったような羅列が苦手だったんですが、今は自然に聴けるのが不思議です。一方トランペットソロは、最初は音数少な目で徐々にアグレッシブに行くやつです。ソロの途中から Eric Dolphy が下降するコードのバッキングのルート音をサックスで鳴らします。何かと思って、ここの前後を聴き直すとピアノのバッキングのコードとリズムが、トランペットのソロが進むにつれてテーマから少しづつ変えてきていたのを元に戻そうとしていたようです。この後 Mal Waldron はバッキングを元に戻してきます。面白い。そしてピアノソロになりますが、闘争本能剥き出しのサックスとトランペットに対し、実に聞きやすい冷静なプレイ。ここら辺の対比も良いです。
「Bee Vamp」早いテンポのハードバップで Booker Little 作品なので主導権はトランペット。知的でスイング感、スピード感が良くダイナミック、こんな活舌の良いトランペットは私好みです。Eric Dolphy はテーマでは、バスクラでメロディとリズムセクションを交互にアンサンブル、トランペットの長尺の後はアルト同様に物凄い音圧で、そしてアルトと同様に高音から低音までの音域を縦横無尽にコントロール。低音楽器のバカテクって、それだけである意味感動です。そしてピアノソロはリズムに身を任せながら構築していきます。リズムに身を任せすぎて途中危ういところもあるような気はしますが、狂ったような管楽器の名手たちのゴリゴリさと一緒にしてはいけない。危うい時に多分ベースが助け船だしてますよね。うーん楽しい。
「The Prophet」結論、これが一番楽しかったです。何が楽しいかってライナーノーツに書いてあった Booker Little の「不協和音の可能性に興味がある」の実践です。テーマ部分では明らかにテナーとの不協和音をトランペットが意識的に出しています。当然不協和音ですから聴いていて気持ちの良いものではありませんが、明らかに考えて考えての不協和音にたどり着いているのが見えた時にテスト問題が解けた時のような感覚がありました。しかしソロ部分ではLittle は品行方正、 Dolphy はアウトなフレーズも含めてエネルギーを出しまくっています。演奏者の主義によるとは思いますが、アウトなフレーズとか、フリーキーな演奏は不協和音とは全く違う次元の話しなんですね。不協和音と常人には作れないアクセントを徹底的に考え抜いて作っていたのは Monk が第一人者と思っていますが、考え方は似ているんでしょうが、Monk の方が、不快感ではなく不思議感にしているのが凄いところなんだな、なんて考えながら聴いています。
「Bee Vamp (Alternate Take)」 2曲目のオリジナル・テイクよりも演奏時間が短くテンポはほぼ同じですが重めのプレイです。、幾分グルーブが重く聴こえるプレイです。録音は July 16, 1961 と書いてありますから、当日のいくつかのステージ全部を録音して2曲目をアルバムには採用したということですね。確かに全体的な充実感はオリジナル・テイクの方があります。

この Vol1 を踏まえて、Vol2 を聴けば、更に深く面白くなると思いますが、真剣に読み過ぎて聴きすぎて疲れましたので、また今度にします🎶

alto sax, bass clarinet : Eric Dolphy
trumpet : Booker Little
piano : Mal Waldron
bass : Richard Davis
drums : Ed Blackwell

producer : Esmond Edwards
recorded : July 16, 1961, New York.

1. Fire Waltz / Mal Waldron
2. Bee Vamp / Booker Little
3. The Prophet / Eric Dolphy
4. Bee Vamp (Alternate Take) / Booker Little




定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

2026年5月31日日曜日

Maceo Parker / Soul Food Cooking With Maceo


 ファンクの伝説である Maceo Parker が、2020年に77歳にして発表したスカッとしたスタジオ・アルバム。ファンク・ミュージックの生きるレジェンドは芸風は変えずに、ひたすらファンク!です。御大のボーカルは、若干の声の揺れに「歳」は感じてしまうものの、昔ながらのアレンジとキレのサックス。「オールドスクールなファンク」それに、ニューオーリンズのリズム「セカンド・ライン」のニュアンスも随所にブレンドされています。


「Cross the Track」アルバム James Brown's Funky People / Maceo & the Macks のセルフカバーです。オリジナルよりテンポが若干遅めで、重めのグルーブ感が狙いかと思いますが、私的には気持ち良い速さの一歩手前。
「Just Kissed My Baby」時代的には、かつての 盟友ということになるでしょうか。The Meters のカバーで、本家に James Brown 要素を加えた感じ。1970年に給料未払いで JB's ごと脱退したことはあったものの、ずっと出入りしていた訳でJBサウンドが身体にしみついているんでしょうね。
「Yes We Can Can」 Allen Toussaint 作曲  The Pointer Sisters カバーで大ヒットの名曲の更にカバー。カッコ良いですなあ。
「M.A.C.E.O.」 これは Maceo のオリジナル曲のリメイクのインスト。これぞファンクの貫録の77歳まで吹き続けてきたテナーを堪能。
「Hard Times」 ジャズスタンダードにもなっている David "Fathead" Newmanのカバーで、当時David "Fathead" Newman が所属していたRay Charles のバンドメンバーと共に録音された曲のカバーで、温かみのあり郷愁を誘うメロディー。古き良きを感じます。
「Rock Steady」 Aretha Franklinの「Young, Gifted and Black」に収録されている曲のカバー。御大もJB風の煽りを入れながらファンク!がいいんじゃないでしょうか。途中の Erica Falls との Steady, Rock の掛け合いも痺れます。
「Compared to What」本家 Les McCann & Eddie Harris のライブも最高なんですよね。静かに静かに少しづつ煽っておいてサビで一挙に爆発系の元祖です。御大の方が少し落ち着きながら煽ってる感じがします。一挙爆発の仕掛けだけでなく、ワンコードで押し続けてコードチェンジするとこで、緊張をドンドン膨らませるのも、この楽曲の仕掛けの一つですね。
「Right Place, Wrong Time」これも80年代ファンクの発明的ファンクの一つ Dr. John のカバー。Dr. John の方は、Sly系の原型を感じますが、失礼ですが、枯れてきているからでしょうか、御大の方からは Sly は感じません。
「Other Side of the Pillow」ぐっと若手の Prince のカバーになります。Prince の方は演奏スタイルがブルース系弾き語りバージョンなどもあります。御大はニューオリンズ「セカンド・ライン」スタイルを選択されているようです。ムーディで良いです。
「Grazing in the Grass」  Hugh Masekela のカバーで、原曲はアシッドジャズの入り口みたいな感じがしました。


 改めて原曲も調べながら聴き直していると、盟友たちとの思いで、ソウル・ファンクへ感謝なんかも含めての作品であるのかなと感じました🎶

vocals, alto sax : Maceo Parker
trumpet : Ashlin Parker
trombone : Marl Mullins
trombone : Steve Sigmund
tenor sax, bariton sax : Jason Mingledorff
organ, piano, synthesyzer : Ivan Neville
guitar : Derwin "Big D" Perkins
bass : Tony Hall
drums, percussion : Nikki Glapie
congas : Angelamia Bachemin (7, 8, 10)
backing vocals : Erica Falls
extra voice on"Cross The Track"Maceo : DJ Soul Sister.Tishi.La Shaun. Ziggy. Nikki

producer : Eli Wolf

1. Cross The Track / Maceo Parker Jr.
2. Just Kissed My Baby / Art Neville, George Porter, Jr., Joseph Modeliste, Leo Nocentelli
3. Yes We Can Can / Allen Toussaint
4. M A C E O / Kellum, Odum, Williams, Davis, Rasberry, Maceo Parker, Melvin Parker, Griffith
5. Hard Times / Paul F. Mitchell
6. Rock Steady / Aretha Franklin
7. Compared To What / Eugene McDaniels
8. Right Place Wrong Time / Mac Rebennack
9. Other Side Of The Pillow / Prince Rogers Nelson
10 Grazing In The Grass / Harry Elston, Philemon Hou

Just Kissed My Baby

Hard Times

Rock Steady

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ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL 吉田ルイ


 先日 DiskUnion のジャズ館に久しぶりに行ったら、レジ前にピカピカのこの本がいっぱい置いてありました。名著は売れ続けるんだなと嬉しく思います。

 音楽を聴くだけであった私が、音楽の時代背景も考えながら聴くようになったきっかけの名著です。私自身は、この本を読むまで1960年代のアメリカの人種差別問題について何となく知っていましたが、深く興味を持つこともありませんでした。しかし、リアルにこの時期にハーレムに女性一人で住んで感じたことを描写する本書を読んでから、音楽との時代の密接な関わりに興味が出てきて、聴いているだけではわからない音楽に隠されているメッセージも知りたいと思うようになり、本ブログの記述でも、その音楽にある時代背景も書きながら考察することが増えました。

 吉田ルイ子さんは北海道生まれのフォトジャーナリストで、この本は1962年に渡米され、ニューヨークのハーレムに10年住んで1971年に帰国されるまでと、ちょうど60年代をアメリカの黒人ゲットーで過ごした記録です。1963年ケネディ暗殺、1964年ハーレムの暴動、1965年マルコムX暗殺、1966年ブラックパンサー設立、1968年マーチンルーサーキング牧師暗殺、1969年ウッドストック・・・まあ、すごい時期にハーレムに住まわれていました。
 1972年に帰国して写真展「ハーレム Black is beautiful」を開催して、この本も「ハーレムの熱い日々」も出版されました。私はそれを47年後の2019年に古本屋で見つけて読んでみたわけです。別に音楽論を語ってわけでもなく人種差別に対する政治的なメッセージがあるわけでもなく、淡々と描かれているルポルタージュなのですが、さらりとカメラ目線と自身の目線で、人間をとらえています。

 ちなみに過ごされた「ゲットー」とは、黒人やヒスパニックの密集居住地のことで、この場合ハーレムに事を指します。Donny Hathaway が The Ghetto という曲で歌っていたりします。 「ブラックパンサー」は、アニメのルパン三世ででてくる宝石や黒ヒョウで、単語だけ知ってはいたのですが、この本で書かれているブラックパンサーは、黒人が居住するゲットーを警察官から自衛するために結成された組織名でした。毛沢東主義にかなり強く影響を受けており、これがハーレムの人の本を読むきっかけになったことあるとかのエピソードが書かれています。ブラックパンサーは日本のゲットーとも連絡を取っていたことも知り、ここで少し詳しくなりました。(この本を読むまで毛沢東主義は中国国内だけのことだと思っていました)
 そして音楽的なエピソードでも、興味深いことも書かれています。
「ウェインショーターはハーレムに住んでいて著者と知り合いでお子様の名前はミヤ子ちゃん」「住んでいればチャーリーミンガスに普通に会える」「アート・ブレイキーは売れてからも、金持ちのパーティーで演奏したがニグロとして差別的な扱いを受けていた。しかし、これは本人も容認していた」つまりアート・ブレイキーが日本好きであったのは、日本では差別を浮けることも無く名ドラマーとして尊敬されていたこともあるのでしょうか。確か日本人の奥さんもいらっしゃったはず。

 私の愛好する音楽は、ジャズ、ブルース、ソウル、ファンクなど黒人ミュージシャンの演奏するものが大半を占めます。しかしその黒人ミュージシャンの音楽が発展してきた中には哀しい事実も歴史にはあります。

BLACK IS BEAUTIFUL
 このタイトルを見るといつも思い浮かべるのは、Esperanza Spalding(かなり好きです)のBLACK GOLD です。最後にBLACKのみんなを指さす彼女に泣けてきて、この本の中で描かれているハーレムの生活オーバーラップします。

 この本を読んでから、種問題に関する本などを読む機会も増え、同じ人種問題のルポではありますが白人のグレース・ハルセルの書いた「黒い性・白い性 Black / White SEX」なんかも難解ではありますが、セックスの角度から歴史観点からの宗教、黒人から見た白人、白人から見た黒人、などが書かれており実際に黒人と結婚して本を書かれたかたでした。(黒人と結婚したから本を書いたのではなく、本を書くために結婚したような匂いも読んでいて漂います)

  2024年5月31日に吉田ルイさんは永眠されました。89歳で胆管がんだったそうです。

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2026年5月30日土曜日

The Best Of Punk Rock / VOL.1


 Priority Records ‎なるレーベルから出ているパンク・ロックのオムニバスです。懐かしのパンクロックのヒット曲が集められていて VOL.3 まで出ているようですが、中古屋で見つけて購入しただけなんで他はもってません。さすがに最近のパンク・ロック・バンドの新譜を買うことは滅多になくなり、今聴いているのは、ジャズやソウル、ファンクが主体になっていますが、歳をとってもパンクだって聴きたくなる時もあります。


 懐かしのバンド名がずらりと並んでいるので、私は少年時代を思い出したりするんですが、今の若いパンク小僧たちは、果たしてこれらの古典を知っていたりするのでしょうか。気になるところでもあります。現代のパンクはもっと激しい歪みだったり、超高速だったりして、コアなファン層に受けるのが特徴のように思いますが、ここらへんの時代のものは、今聞くとキャッチーなメロディであったりポップ風なアレンジであったりと、一般の人も十分聞けるような、きっちりと商業音楽だったんだなと感じます。
 この頃は、こんな音楽を聴いてるヤツは少しイカレてる風な感じだったんですけどね。
 The Clash、The Ramones、The Jam、The Stranglers、The Damned、The Buzzcocks、The Vibrators までずらっと名前が並んでいますが、10バンド中8個が「The」がついていて Wire、999の2バンドだけが「The」なしだったんだと気づいちゃいました。

  

「The Clash / Train In Vain)」こんなポップだったっけ
「The Ramones / Rockaway Beach」FMで流れたのをカセットで録音してたヤツです
「The Jam / In The City」ジャキジャキ、グシャっとして、かっくいいっすね
「The Stranglers / Meninblack」サイケデリック・パンクへと旅立つ
「The Damned / Born To Kill 」このいい加減でエネルギーだけな感じが好き
「The Buzzcocks / I Don't Know What To Do With My Life」 ピストルズ崩れのフワフワ感
「The Vibrators / Whips And Furs」チープで良いじゃねえかな
「Wire / Ex Lion Tamer」当時は、この歌い方あんま好きじゃなかったけど懐かし
「999 / Homicide」アマチュアっぽさ全開が好感


 サウンドが良くて必ずしもうまくないところが、当時のロック少年にこれなら俺にもできるかも?と夢を見させてくれたのも良かったのかも知れないな🎶

1. The Clash / Train In Vain (Stand By Me)
2. The Ramones / Rockaway Beach
3. The Jam / In The City
4. The Stranglers / Meninblack
5. The Damned / Born To Kill (Live)
6. The Buzzcocks / I Don't Know What To Do With My Life (Live)
7. The Vibrators / Whips And Furs
8. Wire / Ex Lion Tamer
10. 999 / Homicide (Live)




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2026年5月29日金曜日

Twin Cities Funk & Soul


 レアグルーヴ系レーベル Secret Stash Records から、Lost R&B Grooves From Mineapolice / St. Paul 1964~1979のロスト・ソウル・オムニバスで渾身の21曲入りです。ツイン・シティとは、プリンスを生んだミネアポリス、そしてセントポールを指します。
 札幌在住の時に当時近所にあった BEAVERS BOOKS で購入したアルバムです。基本的に古本屋なのですが、ソウル・ファンク系の中古盤が充実していて、店主のいるレジには帯を書かれるのを待っているCDが山積みでした。その帯の売り文句が実に的確で知らないアーチストでも購入しやすい。良い盤は決して安くない品揃えで、この盤も決して安くはない価格で販売されていました。
 収録アーチストの名前も未だによくわかりませんが、愛聴盤として聴き続けていて、ファンク・ソウル系に明るくない人にも評判は良いので、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に、たま~に持って行ってかけています。ただ収録曲は総じて「粋」で「パワー」が溢れていますので、雰囲気を見てかけるように心がけてはいます。


 盤の音を聴いていると、当時の勢いと意気込みが伝わってくるものばかりで、この時代のソウル・バンドの層の厚さと熱さには改めて聴きいるばかりですが、今回は今まで読んでこなかった、小さな文字の20ページに及ぶ、英文ライナーノーツも読み解き、このオムニバスを編集したレコード会社も相当熱い思いを込めて制作されたものだと改めて認識です。

イントロダクション要約
1960年代から70年代にかけて、ミネソタ州ツインシティの音楽シーンは劇的な変化を遂げました。その土台には1920年代から続く活発なジャズシーンがあり、南部から移住してきたR&Bの先駆者たちがブルースやゴスペルの経験を持ち込んだことで、独自の発展が始まりました。
 当初、このシーンは主に黒人コミュニティ内で完結しており、地域やクラブによってジャズ、シカゴ・ブルース、ソウルなど、演奏されるスタイルが明確に分かれていました。特にセントポールからは、より粗削りで現代のファンクに近いサウンドが登場し、多くのミュージシャンが複数のジャンルを横断しながら腕を磨きました。
1970年代に入ると、多様なスタイルが融合し、シンセサイザーやディスコの要素を取り入れた独自のフュージョン・サウンドへと進化します。本プロジェクトは、1980年代以降の成功の影に隠れがちな、この時代の才能ある音楽家たちの功績を再発見し、敬意を表することを目的としています。

 なるほど、これに続いてミュージシャンや当時のレコード会社の説明などが、その活躍内容と時代背景とともに詳しく説明されていました。
 ちなみに、ライナーノーツには書いてありませんでしたが、1960年のミネソタ州およびミネアポリスの人種構成についてですが、ミネアポリスの総人口は約482,872人でしたが、そのうち非白人(主にアフリカ系アメリカ人)の割合は、なんと、わずか約3%(約14,000人)に過ぎず、法律による明文化された隔離(ジム・クロウ法)は南部ほど厳格なではありませんでしたが、事実上の住居制限(Redlining)による人種隔離が存在していました。
 またライナーノーツに記述がある「黒人バンドは郊外のバーに限られていた」のくだりは、当時の都市部におけるエンターテインメント施設のブッキングにおける暗黙の排除を反映しています。そのタブーに対する Dave Brady And The Starsのような黒人メンバーと白人メンバーが共存することで、当時の保守的なクラブシーンの障壁を打ち破り、生のR&Bを幅広い観客層に届けた重要な橋渡し役であったことも重要な記述と伺えます。


 アメリカの音楽には、戦争・人種差別・麻薬などの背景がついて回ります。ここら辺を頭に置いてライナーノーツでのバンドの華やかな経歴紹介などを読み進めると、また深いんですよね(ん~~疲れた)🎶

1. All Day Long / The Valdons
2. Sock-A-Poo-Poo '69 (Part 1) / Maurice McKinnes & The Champions
3. Work Your Flapper (Part 1) / Jackie Harris & The Champions
4. She's A Whole Lot's A Woman / Mojo And His "Chi 4"
5. Ridin' High / Dave Brady And The Stars
6. I Ain't Gonna Cheat On You No More / Willie Walker
7. Save Me / Wanda Davis
8. Get Funky, Sweat A Little Bit / Jackie Harris & The Exciters
9. There Goes My Used To Be / Wee Willie Walker
10. Take Care / Wanda Davis
11. Sweet Smell Of Perfume / Maurice McKinnes & The Champions 
12. Baby, Baby I Need You / Dave Brady And The Stars
13. Love Me, Leave Me / The Valdons
14. Dipstick / Willie And The Bumblebees
15. Rusty McDusty / Morris Wilson 
16. Thieves In The Funkhouse / Band Of Thieves 
17. You Can Be / The Prophets Of Peace 
18. Saxophone Disco / Morris Wilson
19. Honey From The Bee / Willie And The Bumblebees
20. The Max / The Prophets Of Peace
21. Get Up / The Lewis Connection 




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2026年5月28日木曜日

Count Basie Zoot Sims / Basie & Zoot


 1975年当時、すでにベテランの域に入っていたBasie & Zoot のリラックスした演奏です。「職人たちが楽しんで演奏している小編成のセッション」で、お手本のような演奏ができてしまった魔法の一枚で、ビッグバンドのリーダーとしての印象が強い Basie が、少人数のコンボでリラックスして弾きまくる姿を堪能できる一枚です。ストラト・ピアノやオルガンまで披露していて、特にオルガン演奏は、非常にファンキーで温かみのあります。また Zoot のテナーサックスは、ベイシーの正確なリズムに完璧にフィットしています。どの曲でも流れるようなフレーズと心地よいトーンで、聴き手を幸せな気分にさせてくれます。
 ジャケットは、セッション現場に吸殻がてんこ盛りの灰皿になり、くたびれた普段着でのp二人の姿が写っている写真。もうちょっと良い写真は無かったのかとは思ってしまいます。写真はプロデューサーでもある Norman Granz が撮ったものが使われています。発売は Pablo Records で、1973年に Norman Granz が設立したジャズ・レコード・レーベル。つまりジャケ写は社長の選択でもあるんでしょうがないですか。


「I Never Knew」1925年に書かれたポピュラーソング・ジャズのスタンダード・ナンバーです。 Count Basie Orchestraでも、繰り返し多数録音されていますが、本作は最速に近いスピードでのグイグイ、ときて陽キャ全開です。初っ端から嬉しいです。
「It's Only A Paper Moon」最速スピードからスピードダウンして、Basie のピアノが跳ねて、軽快にスキップしているような、当時だったら若い男女がこの曲に合わせて楽しく踊れるんだろうなって思います。
「Blues For Nat Cole」曲名でわかる Nat King Cole・キング・コールに捧げられた曲、Basie のリズムに強打するピアノのリズムに、全員が呼応してこれも踊る様なスイング。ラストの可愛らしさを感じるピアニッシモな終わり方もイケてます。打鍵の一つずつのリズムが、やっぱり素晴らしい。
「Captain Bligh」テンポダウンのバラード風ブルースきました。Bligh って何だろうと思ったら、1789年のバウンティ号の反乱で知られる英国海軍士官 William Bligh のことのようで、トンガからティモールまで約6,700kmをボートでの大航海して生還した方のようです。航海の荒々しさよりも、ゆっくりボートで漂っていることが連想されるブルースです。
「Honeysuckle Rose」1929年のオフ・ブロードウェイ・レビュー Load of Coal のために書き下ろされ、ソフト・シューズ・ダンス(タップダンスの一種で、靴底に金具を付けていない革底の靴で踊るスタイル)のナンバーとして紹介されたとのこと。ソフト・シューズ・ダンス初めて知りました。なるほどタップダンスか、細かなリズムと音を刻む Basie のピアノに先導されて踊れといわんばかりの Zoot の横揺れが気持ち良い。
「Hardav」心静かに聴くスロー・ブルース、シンプルな Basie Zoot の演奏。av ってなんだろう。
「Mean To Me」1929年に制作されたシート・ミュージック。古き良きを思わせるスイングで強打はなしで気負いのないピアノに Zoot も素材に対しての余裕のサックスを優しくブローで対応。熱いばかりがジャズでは無い。
「I Surrender, Dear」最後は Basie のオルガンが登場します。ライナーノーツによればBasie にオルガンの仕組みを教え、Honeysuckle Rose の作者である Fats Waller だそうだ。

 ライナーノーツはアートブレイキーのピアノ奏者でも知られるBenny Green が書いていますが、全体的に抽象的な周りくどいインテリ的な文章が私には難解でした。ですが、アルバムの選曲としては Basie Zoot が若かりし頃にジャズ界でやっと頭角を現し始めた頃の1925年から1934年の間に発表されたもので構成されていて、彼らはその音楽を現代に今運び続けているのだ、ぐらいは。と言うところは理解できました。

 ワンホーン構成なので、ホント足取り軽やかで軽快でワクワクするスイングは、聴いていて本当に楽しい🎶

piano, organ : Count Basie
tenor sax : Zoot Sims
bass : John Heard
drums : Louis Bellson

producer : Norman Granz
recorded April 9, 1975, Studio RCA Studio, New York
art direction : Phil Carroll 
design : Gilles Margerin 
photography : Norman Granz

1. I Never Knew / Ted Fio Rito, Gus Kahn
2. It's Only A Paper Moon / Harold Arlen, Yip Harburg, Billy Rose
3. Blues For Nat Cole / Count Basie, Zoot Sims
4. Captain Bligh / Count Basie, Zoot Sims
5. Honeysuckle Rose / Andy Razaf, Fats Waller
6. Hardav / Count Basie, Zoot Sims
7. Mean To Me / Fred Emil Ahlert, Roy Turk
8. I Surrender, Dear /  Harry Barris, Gordon Clifford




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2026年5月27日水曜日

The Modern Jazz Quartet / Blues On Bach

 

 ジャズは色々な音楽を取り入れてきた音楽なので、ファンクよりもあればロックよりもあり、近年は当然ヒップ・ホップまであります、ジャンル分けではアシッドやらスムースやらジャズと名がつくジャンルは更に訳がわからんことになっています。
 MJQ は1952年結成のクラシックの影響を感じさせてくれる少々格式が高そうな存在です。私はクラシック経験と言えば「小学校、中学校の授業でのレコード感傷」と「中高生の時のホールでのクラシック鑑賞」ぐらいで、あまりワクワクすることはなく眠気を誘引するものでした。大人になっても札幌転勤時代に飲み仲間の女の子が年末の市民の第九コンサートに参加するというので聴きに行きましたが9割熟睡してしまいました。しかしそんな私も最近は雑多に音楽を楽しむことができる人間に進化してきたので、MJQならノープロブレムです。


 クラシック的といっても、MIQは管楽器は使わない Milt Jackson のビブラフォンを中心にしたクールな室内音楽的ジャズ集団。ですが、このアルバムのコンセプトは「バッハ」と「ブルース」なので、主役はビブラフォンより、やはりピアノということになるでしょう。ピアノの John Lewis は Dizzy Gillespie の楽団でデビュー。以降 Charlie Parker や Miles Davis などと共演し、1952年に、Gillespie楽団出身者を集めて、このMJQを結成。音楽的にはビバップに影響を受けながらも、クラシックの室内楽を思わせる端正かつユニークな音楽性を確立しています。ヌーヴェルヴァーグとジャズの関わりにおいて先駆者的存在となったり、晩年はバッハの作品を発表もし、このアルバムでもハープシコードもプレイしています。


 前述のように録音自体は 1972年カーネギーホールでのスペシャルコンサートのものですが、本アルバムはそのコンサートの第2部プログラム、他の演奏は Last Concert (1973) に収録されています。コンセプトとしては、クラシックの音楽的手法をジャズに取り入れることを考えていたルイスの音楽的思考が反映されていて、ジョン・ルイスの弾くハープシコードによるバッハの曲とBulues in でコードネームのブルース演奏が交互に淡々と演奏されます。
 そう思いながら繰り返し聴いていると、バッハと交互に聴くことにより、襟を正したいつもの特徴の様式美を更に聴く側に意識させ、その束縛された様式の中でミルト・ジャクソンがブルージーなフィーリングのヴィブラフォンプレイをすることにより、聞く側もほっとできるという心理的なアプローチも意図されているような気もしてきます。
 特には、誰もが聞き覚えのある Precious Joy のメロディがビブラホンで奏でられ、ハープシコードとが終わってから、ビブラフォンで Blues in C Minor に続く流れが、一番盛り上がるところかと思います。ブルースのテーマの出だしが何か聞いたことがあると思っていたら You`d be so nice to come home to ですね。

ちなみに、ベースとなったオリジナルの曲名などをまとめてみました
タイトルベースとなった要素 / キー
1Regret?コラール前奏曲 BWV 619
2Blues In B Flatオリジナル・ブルース(Key: B♭)
3Rise Up In The Morningカンタータ第140番「目覚めよと呼ぶ声あり」
4Blues In A Minorオリジナル・ブルース(Key: Am)
5Precious Joyカンタータ第147番「主よ、人の望みの喜びよ」
6Blues In C Minorオリジナル・ブルース(Key: Cm)
7Don't Stop This TrainJ.P.ケルナーのフーガ(かつてバッハ作とされたBWV 591)
8Blues In H (B)オリジナル・ブルース(Key: H=B)
9Tears From The Childrenオリジナル曲(終曲)

 スリリングなハード・バップ好きには眠くなる要素が多分にあります。特定の曲を単体で聴いて楽しむよりは、本でも読みながら繰り返し聴いていると味が出てくると思いますので、是非アルバムまるごと聴いてほしいです🎶
 
piano and Harpsichord : John Lewis
vibraphone : Milt Jackson
bass : Percy Heath
drums, percussion : Connie Kay

producer : Nesuhi Ertegun
recorded on November 26 & 27, 1973 at Atlantic Recording Studios, New York City.

1. Regret?
2. Blues in B Flat
3. Rise up in the Morning
4. Blues in A Minor
5.  Precious Joy
6.  Blues In C Minor
7. Don't Stop This Train
8. Blues in H (B)
9. Tears from the Children




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2026年5月26日火曜日

Kenny Burrell / Seven Classic Albums

 お買い得アルバムシリーズ「Real Gone Jazz Collection」で、4枚のCDに7枚のアルバムが収められています。このシリーズ何作かもっていて、最初に購入したのは Wes Montgomery で、こちらは8枚のアルバムが収められている Eight Classic Albums となっています。楽器はギターが趣味なんですが、Kenny Burrell を知ったのは社会人になってかなり後の話で、フュージョン志向だったためモロジャズギターは、あまり聴いてこなかったため、勉強のためには聞かねばなるまい、ちまちま揃えるよりお買い得と購入したシリーズになります。


 4枚組ディスクの1枚目「Introducing」 は、25歳の若さでの初リーダー作。メンバーは同郷のピアノの Tommy Flanagan に、ベースは Paul Chambers、ドラムは Kenny Clarke と豪華。Earthy は 6枚目のアルバムで、プレスティッジのオールスター・セッション。渋めの素晴らしいブルース・フィーリングが聴けます。「2Guitars」 は Jimmy Raney と共同名義のツイン・ギターの双頭リーダー作品。メンバーは Donald Byrd、Jackie McLean の2管が加わった異色の編成。 Raney はメロディアス、バレルはいつもブルージーなギターの対比を聴けます。当時のハードバップのスター選手がなので Blue Duke は二人の鋭角的なアドリブ、軽快なナンバーの Dead Heat、Pivot、長尺の This Way など演奏は熱いです。「All Night Long」はPrestige All Stars名義で、All Day Long はリーダー作です。All Night Long では一発目でピアノがフライングして、テーマでホーン部隊がさまようような、愛嬌のあるところも聴けるのが嬉しい。そして、1957年 Prestige から「Kenny Burrell」で、これはブルースだらけ。
 Kenny Burrell は、1958年から Blue Note に移籍しているので、契約上ハードにつくらざるを得なかったのかとは思いますが 1957年 Prestigeで4作もの録音をしている超売れっ子状態で勢い爆発ですね。


 2枚組以上のアルバムって、お買い得だと思って買っちゃうんですけど、面倒なので繰り返し聴かないことが多いんですよねえ🎶🎸

●Disc1
【Introducing】1956
1. This Time The Dream's On Me
2. Fugue 'N Blues
3. Takeela
4. Weaver Of Dreams
5. Delilah
6. Rhythmorama
7. Blues For Skeeter
【Earthy 】1957
8. Earthy
9. What's Not
10. I Wouldn't

●Disc2
【Eathy】1957
1. The Front Line
2. Dayee
【2Guitars】1957
3. Blue Duke 
4. Dead Heat 
5. Pivot 
6. Close Your Eyes 
7. Little Melonae 
8. This Way 
9. Out Of Nowhere 

●Disc3
【All Night Long】1961
1. All Night Long 
2. Boo-lu 
3. Flickers 
4. Li'l Hankie 
【All Day Long】1963
5. All Day Long 
6. Slim Jim 
7. Say Listen 
8. A.T. 

●Disc4
【Kenny Burrell】1957 prestige 7088
1. Don't Cry Baby
2. Drum Boogie
3. Strictly Confidential
4. All Of You
5. Perception
【K.B. Blues】1979
6. Nica's Dream
7. Out For Blood
8. K.B. Blues
9. D.B. Blues
10. K.B. Blues (alternate take)


▶ Dayee


定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。