2026年6月3日水曜日

Jaco Pastorius / Rare Collection


 音楽誌「ADLIB」の編集長の松下佳男が監修・選曲。ジャコのサイドメンとして参加した曲をまとめたコンピレーションです。制作にあたり、他にも数多くの音源があり収録したかったが、レーベルを超える壁は厚く収録できなかった曲が多数あるとのこと。
 他にもこのアルバムの収録の3曲をカット、新たに5曲を加え、Jaco の生誕50年、没後15年の特別企画として2001年にリリースされた「50thアニヴァーサリー・エディション」なる
ものが発売されています。コレクターの宿命としては、いずれ購入はすると思います。


「Dreamland」1979年に Michel Colombier がリリースしたフュージョン・スーパー・セッション・アルバム。オーケストラも参加しているムーディで壮大なバラードで Jaco のフレットレスがメインに据えられて、中身的には深いんだろうが音像がぼやけているような録音なのが私には残念。 Larry Carlton のギター・ソロはさすがプロフェッショナル。
「I Can Dig It Baby」は Jaco のプロとしてのファースト・レコーディングといわれています。1974年のレコーディングでジャコは、まだ22歳の頃。オープニングのハーモニクスは、この時代からやっていたんだなと思い、よくある普通のベースラインで弾いている箇所と Jaco 独特の、あのベースラインと使い分けてグルーブを創り出しているのが、聴いてとれます。R&Bがもジャコの大きなバックグラウンドの一つがわかります。でも以降の R&B で、この Jaco の発明品のフレーズを使った曲を聞いたことが無いのを見ると、このフレーズ「アク」が強いんだろうな。
「The One Thing」 強力なパーカッションとリズム。Jaco はスピーディなベースで対応するが、いつもの手癖フレーズはあまり見せず自己主張していないのがレア度高いかもしれません。曲があまりにも強力で、そこまで発展できなかったのか。でも、これは凄く良い。
「Spiral」Bob Mintzerとのセッションは結構多いはずで、このセッションでは ベースは Tom Barney との双頭で、Jaco はソロ楽器として参加しているようです。また Weather Report の曲も、アレンジには採用されていて何か親近感がわきます。
「Nativity」はプログレッシブなパーカッション・メインの楽曲だが、フリーな曲なので Jaco も、いつものフレーズのオンパレードで攻めるが、Airto のパーカッションと対比的にフレーズを使ったり、ミステリアスな魅力があります。
「Portrait Of Sal La Rosa」ではレアなアコースティック・プレイが聴けます。フロリダ時代、Jaco に音楽の手ほどきをしたのが、Ira Sullivan でありましたが、自身のグループではアコースティック・ベースしか認めないという考えを持っていましたが、ジャコの革新的な演奏に感銘を受け、彼をバンドに採用した良き理解者でした。
「Ant Steps On An Elephant’s Toe 」ドイツのジャズ・トロンボーン奏者のAlbert Mangelsdorff の1976年ベルリン・ジャズ・フェスティバルに出演のセッションの録音で音質は良くないが興味深い演奏です。ユーモラスで不安定なトロンボーンと Jaco のリラックスした楽しそうなジャムで、ベース・ソロでは、お得意の Liberty City のフレーズが使われています。
「Mood Swings」は、Mike Stern の Upside Downside の曲で、ガチガチの Mike Stern節に、絶好調の Jaco のベースが暴れる大好きなヤツです。録音は1986年で、Jaco は翌年に亡くなるので、Jaco の精神状態は最悪なはずと思いますが他流試合では最高に近い演奏です。
「The Hope」何か聴いていて曲がキラキラしている。私はそんなに趣味ではないタイプのボーカルなのだが Flora Purim も良い。Jaco のベースは楽曲を包み込むように豊かで、私の大好きな Sanborn とのユニゾンにゾクッときます。松下佳男編集長もライナーノーツで書いてますがマサにラストを飾るのにぴったりの選曲です。


なかなか、マニア心をくすぐるコンピで、ファンとしては楽しめる内容でありました🎶

1. Dreamland / Michel Colombier
piano (fender rhodes) : Michel Colombier
guitar : Larry Carlton
synthsizer : Michael Boddicker
bass : Jaco Pastorius
drums : Steve Gadd
percussion : Airto Moreira
London Symphony Orchestra
1979 at Devonshire Sound Studios, LA & Music Centre, Wembley, England
(MICHEL COLOMBIER)
2. I Can Dig It Baby / Little Beaver
vocals, guitar, bass : Willie "Little Beaver" Hale
keyboads : Latimore "Timmy" Thomas
bass : Nelson "Jocko" Padron aka Jaco Pastorius
drums, percussion : Robert Ferguson
percussion : Glen "Zeke" Holms, Willie Clarke
backing vocals : Betty Wright
Rec. 1974 at Criteria Recording Studios, Miami
(PARTY DOWN)
3. The One Thing / Manolo Badrena
vocals, keuboards,percussion : Manolo Badrena
bass : Jaco Pastorius, Abe Laboriel
guitar : Carlos Rios
violin : Alfredo De La Fe
trumpet, torombone : Gary Gazaway
synthesaizer, tambalin : Hugo Fattoruso
Rec. 1979, A&M Recording Studios, Hollywood
(MANOLO)
4. Spiral / Bob Mintzer
tenor sax, clarinet, flute : Bob Mintzer
trumpet : Randy Brecker, Lew Soloff, Alan Rubin
trombone : Tom Malone, Alan Raph
electric guitar : Bill Washer
piano : Don Grolnick
bass : Jaco Pastorius, Tom Barney
drums : Peter Erskine
Rec. 1982 at R.P.M. Studio, New York
(SOURCE)
5. Nativity / Airto Moreira
percussion : Airto Moreira
guitar : Charles Johnson
bass : Jaco Pastorius
keyboads : Hugo Fattoruso
Rec. July/August at Paramount Studios, Hollywood
(I'M FINE HOW ARE YOU)
6. Portrait Of Sal La Rosa / Ira Sullivan
flute, chorus : Ira Sullivan
electric guitar : Joe Diorio
acoustic bass guitar : Jaco Pastorius
drums : Steve Bagby
percussion : Don Alias
Rec. December 13, 1975 at Criteria Recording Studios, Miami
(IRA SULLIVAN)
7. Ant Steps On An Elephant’s Toe / Albert Mangelsdorff, Jaco Pastorius, Alphonse Mouzon
trombone : Albert Mangelsdorff
bass : Jaco Pastorius
drums : Alphonse Mouzon
Rec. live at the Berlin Jazz Days November 6, 1976 at the Berlin Philharmonic 
(TRILOGUE)
8. Mood Swings / Mike Stern
guitar : Mike Stern
tenor sax : Bob Berg
bass : Jaco Pastorius
drums : Steve Jordan
Rec. March/April, 1986 at R.P.M. Sound Studios, New York
(UPSIDE DOWNSIDE)
9. The Hope / Flora Purim
vocals : Flora Purim
alto sax : David Sanborn
guitar : Lee Ritenour 
piano : Michel Colombier 
keyboads : David Foster
bass-melody : Jaco Pastorius
bass-rhythm : Dennis Belfield
drums : Harvey Mason
percussion : Airto Moreira
London Symphony Orchestra Rec. March, 1978 at Conway Recording Studio, Hollywood & CTS Center, Wembley, England 
(EVERYDAY EVERYNIGHT)

▶  I Can Dig It Baby / Little Beaver


定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

2026年6月2日火曜日

Ben Harper ‎ / The Will To Live


 購入のきっかけは、Bill Withers の Use Me を youTube で探していたらスタジオで録音している映像を見て(もう見つからないんですが)、なんだこの人は?てなって、Faded のだるそうな歌い方とスライド・ギターに出会い、札幌のタワレコへ探しに行って即購入でした。
 そんなこのアルバムは1997年リリースの 3rdアルバム。フォークを基盤としながらも、生の楽器とエレキ系の楽器のダイナミクスをうまく引き出した音づくりで、ロック、ブルース、R&Bなど多様な音楽性をミックスさせたサウンドで生々しく力強い印象。ボーカルは声を張り上げることは無いのですが、妙な迫力で、オーガニック・ブルースとも言われているようです。また Ben Harper は普通のギターも弾きますが、ワイゼンボーンという膝の上に置いて弾くスライド・ギターを使用することも有名です。素朴な楽器に見えますが、ガンガンに歪ませて弾かれることの方が多いあれです。


 聴き直しながらライナーノーツを見ていると、今まで音しか聴いてこなかったので気づいてこなかった衝撃的な写真が2枚掲載されています。「生への意志(The Will To Live)」を逆説的に表現するために写真家による既存のアート作品から引用されています。
象の死体の写真 : 写真家 Peter Beard の作品で、アフリカの自然や野生動物、特に人口爆発や環境破壊によって餓死していく象の姿を長年記録してきたことで知られています。
牛(家畜)の死体の写真 : 写真家 Richard Misrach の「Desert Cantos」シリーズの一枚(Dead Animals #1)です。米軍の核実験や環境汚染の影響が疑われる砂漠に、家畜の死骸が打ち捨てられている光景を捉えたものです。

 あえて無残な「死」のイメージを提示することで、タイトルである『The Will To Live(生きんとする意志)』の力強さを強調する意図があります。死が蔓延する世界の中で、いかにして生を見出すか The Will To Live という問いかけをして、政治、人種差別、貧困、そして死といった重いテーマを扱いつつ、それでもなお生きようとする「意志」を歌っています。


 いつものように聴きながらのレビューを掲載にしようかと思いましたが、聴きながらのライナーノーツが余りにも衝撃的だったので画像の調査に時間がかかってしまいました。
 やはりレコードでないCDと言えどもアルバムは、じっくりと見ながら聞きこむと、ジャズにしろロックにしろメッセージ性、アート性に気づきがありますし、そのようなものが無いにしろ時代背景を考察すると、よりその音像に近づけるような気がします。
 今の時代は音楽はダウンロードが主流ですが、音を聴いているだけではわからないものを知る楽しみが現物のアルバムにはありますので、これからも探求が楽しみです🎶🎸

Ben Harper & The Innocent Criminals
guitar, lap steel guitar (weissenborns), baglama (saz), vocals : Ben Harper
bass : Juan Nelson
drums : Dean Butterworth

backing vocals : Agnes Baddoo (6), Amy Piatt (6 to 8), Juan Nelson (11)
cello : Emily Wright (4)
classical guitar (nylon string guitar) : Alan Anderson (1)
double bass : Louis Allen (4)
fiddle : Patrick Brayer (10, 12)
guitar : Alan Anderson (5)
mandolin : Patrick Brayer (8)
percussion : Rock Deadrick (2, 5, 11)

producer : J.P. Plunier
photography by (cover photo) : Annalisa
photography by (dead animals #1) : Richard Misrach
photography by (dead elephant photo) : Peter Beard
photography by (desert photos) : JP Plunier

1. Faded
2. Homeless Child
3. Number Three
4. Roses From My Friends
5. Jah Works
6. I Wanna Be Ready
7. The Will To Live
8. Ashes
9. Widow Of A Living Man
10. Glory & Consequence
11. Mama's Trippin'
12. I Shall Not Walk Alone

▶ Faded



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2026年6月1日月曜日

Eric Dolphy At The Five Spot Vol1

 

 Prestige から発売されていた Vol2 を先に聴いて、その独特の感性と尖り具合を更に聴いてみたいと本盤 Vol1 は探して購入しました。このライブでは Eric Dolphy はフルートとバスクラを演奏しています。アルバム名は Eric Dolphy ですが、バンドは Booker Little をトランペットに迎えた双頭クインテット。
 録音されたニューヨークの Five Spot と言えば、当時の先鋭的なジャズ・ミュージシャンがよく出演するお店。元々はマンハッタン南部のバワリー通りにあった「バワリーカフェ」という見すぼらしいバーだったそうです。ところが1955年に店の上を通っていた鉄道が無くなったことにより雰囲気が一転し周辺に画家や詩人の卵が済むようになり 店の名前も Five Spot に改名し、そのたまり場だった店には現代アートを好む人たちがたむろするようになったため、出演するミュージシャンもモンク、ドルフィー、セシルテイラー、オーネットコールマン、コルトレーン、チャールス・ミンガスと先鋭的な人たちが多かったようです。
 そのような背景があっての Five Spot でのこの録音ですが、Eric Dolphy は、この録音の3年後に Berlin で無念の客死、Booker Little に至っては僅か 4ヶ月後に、尿毒症により23歳の若さで亡くなっています。また Little は本作を含め数枚の音源が残っているのみの人なので、この作品は二人の演奏を収めた貴重なドキュメントとして価値ある作品とされているようです。
 また本盤のライナーノーツの原盤の英文には、Joe Goldberg氏の解説の一文に Booker Little のインタビューで「不協和音が多ければ多いほど音は大きく響き、まるでホーンの数が増えたように聞こえる。不協和音の可能性に興味がある」の記述は非常に興味がそそられ、そこらへんにも注意して聴いてみるとなるほどと思う部分がありました。
"I'm particularly interested in the possibilities of dissonance. If it's a consonant sound it's going to sound smaller. The more dissonance, the bigger the sound. It sounds like more horns; in fact, you can't always tell how many there are. And your shadings can be more varied. Dissonance is a tool to achieve these things." 


「 Fire Waltz」長めの静寂、ピアノの試し弾きの音が聞こえてからイントロがピアノで開始されます。これからライブが始まる緊張感が伝える録音演出も良いです。そしてブレークの後にテーマは、アルトサックスとトランペットを含むリズムセクションがそれに答えます。それにしてもアルトの音なのに太くてコクがあり、低音から高音まで使った猛烈なアプローチ、様々なサックスの演奏テクをこれでもかと織り交ぜながら最初から全開です。昔はこの隙間の無い音のアプローチとか狂ったような羅列が苦手だったんですが、今は自然に聴けるのが不思議です。一方トランペットソロは、最初は音数少な目で徐々にアグレッシブに行くやつです。ソロの途中から Eric Dolphy が下降するコードのバッキングのルート音をサックスで鳴らします。何かと思って、ここの前後を聴き直すとピアノのバッキングのコードとリズムが、トランペットのソロが進むにつれてテーマから少しづつ変えてきていたのを元に戻そうとしていたようです。この後 Mal Waldron はバッキングを元に戻してきます。面白い。そしてピアノソロになりますが、闘争本能剥き出しのサックスとトランペットに対し、実に聞きやすい冷静なプレイ。ここら辺の対比も良いです。
「Bee Vamp」早いテンポのハードバップで Booker Little 作品なので主導権はトランペット。知的でスイング感、スピード感が良くダイナミック、こんな活舌の良いトランペットは私好みです。Eric Dolphy はテーマでは、バスクラでメロディとリズムセクションを交互にアンサンブル、トランペットの長尺の後はアルト同様に物凄い音圧で、そしてアルトと同様に高音から低音までの音域を縦横無尽にコントロール。低音楽器のバカテクって、それだけである意味感動です。そしてピアノソロはリズムに身を任せながら構築していきます。リズムに身を任せすぎて途中危ういところもあるような気はしますが、狂ったような管楽器の名手たちのゴリゴリさと一緒にしてはいけない。危うい時に多分ベースが助け船だしてますよね。うーん楽しい。
「The Prophet」結論、これが一番楽しかったです。何が楽しいかってライナーノーツに書いてあった Booker Little の「不協和音の可能性に興味がある」の実践です。テーマ部分では明らかにテナーとの不協和音をトランペットが意識的に出しています。当然不協和音ですから聴いていて気持ちの良いものではありませんが、明らかに考えて考えての不協和音にたどり着いているのが見えた時にテスト問題が解けた時のような感覚がありました。しかしソロ部分ではLittle は品行方正、 Dolphy はアウトなフレーズも含めてエネルギーを出しまくっています。演奏者の主義によるとは思いますが、アウトなフレーズとか、フリーキーな演奏は不協和音とは全く違う次元の話しなんですね。不協和音と常人には作れないアクセントを徹底的に考え抜いて作っていたのは Monk が第一人者と思っていますが、考え方は似ているんでしょうが、Monk の方が、不快感ではなく不思議感にしているのが凄いところなんだな、なんて考えながら聴いています。
「Bee Vamp (Alternate Take)」 2曲目のオリジナル・テイクよりも演奏時間が短くテンポはほぼ同じですが重めのプレイです。、幾分グルーブが重く聴こえるプレイです。録音は July 16, 1961 と書いてありますから、当日のいくつかのステージ全部を録音して2曲目をアルバムには採用したということですね。確かに全体的な充実感はオリジナル・テイクの方があります。

この Vol1 を踏まえて、Vol2 を聴けば、更に深く面白くなると思いますが、真剣に読み過ぎて聴きすぎて疲れましたので、また今度にします🎶

alto sax, bass clarinet : Eric Dolphy
trumpet : Booker Little
piano : Mal Waldron
bass : Richard Davis
drums : Ed Blackwell

producer : Esmond Edwards
recorded : July 16, 1961, New York.

1. Fire Waltz / Mal Waldron
2. Bee Vamp / Booker Little
3. The Prophet / Eric Dolphy
4. Bee Vamp (Alternate Take) / Booker Little




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2026年5月31日日曜日

Maceo Parker / Soul Food Cooking With Maceo


 ファンクの伝説である Maceo Parker が、2020年に77歳にして発表したスカッとしたスタジオ・アルバム。ファンク・ミュージックの生きるレジェンドは芸風は変えずに、ひたすらファンク!です。御大のボーカルは、若干の声の揺れに「歳」は感じてしまうものの、昔ながらのアレンジとキレのサックス。「オールドスクールなファンク」それに、ニューオーリンズのリズム「セカンド・ライン」のニュアンスも随所にブレンドされています。


「Cross the Track」アルバム James Brown's Funky People / Maceo & the Macks のセルフカバーです。オリジナルよりテンポが若干遅めで、重めのグルーブ感が狙いかと思いますが、私的には気持ち良い速さの一歩手前。
「Just Kissed My Baby」時代的には、かつての 盟友ということになるでしょうか。The Meters のカバーで、本家に James Brown 要素を加えた感じ。1970年に給料未払いで JB's ごと脱退したことはあったものの、ずっと出入りしていた訳でJBサウンドが身体にしみついているんでしょうね。
「Yes We Can Can」 Allen Toussaint 作曲  The Pointer Sisters カバーで大ヒットの名曲の更にカバー。カッコ良いですなあ。
「M.A.C.E.O.」 これは Maceo のオリジナル曲のリメイクのインスト。これぞファンクの貫録の77歳まで吹き続けてきたテナーを堪能。
「Hard Times」 ジャズスタンダードにもなっている David "Fathead" Newmanのカバーで、当時David "Fathead" Newman が所属していたRay Charles のバンドメンバーと共に録音された曲のカバーで、温かみのあり郷愁を誘うメロディー。古き良きを感じます。
「Rock Steady」 Aretha Franklinの「Young, Gifted and Black」に収録されている曲のカバー。御大もJB風の煽りを入れながらファンク!がいいんじゃないでしょうか。途中の Erica Falls との Steady, Rock の掛け合いも痺れます。
「Compared to What」本家 Les McCann & Eddie Harris のライブも最高なんですよね。静かに静かに少しづつ煽っておいてサビで一挙に爆発系の元祖です。御大の方が少し落ち着きながら煽ってる感じがします。一挙爆発の仕掛けだけでなく、ワンコードで押し続けてコードチェンジするとこで、緊張をドンドン膨らませるのも、この楽曲の仕掛けの一つですね。
「Right Place, Wrong Time」これも80年代ファンクの発明的ファンクの一つ Dr. John のカバー。Dr. John の方は、Sly系の原型を感じますが、失礼ですが、枯れてきているからでしょうか、御大の方からは Sly は感じません。
「Other Side of the Pillow」ぐっと若手の Prince のカバーになります。Prince の方は演奏スタイルがブルース系弾き語りバージョンなどもあります。御大はニューオリンズ「セカンド・ライン」スタイルを選択されているようです。ムーディで良いです。
「Grazing in the Grass」  Hugh Masekela のカバーで、原曲はアシッドジャズの入り口みたいな感じがしました。


 改めて原曲も調べながら聴き直していると、盟友たちとの思いで、ソウル・ファンクへ感謝なんかも含めての作品であるのかなと感じました🎶

vocals, alto sax : Maceo Parker
trumpet : Ashlin Parker
trombone : Marl Mullins
trombone : Steve Sigmund
tenor sax, bariton sax : Jason Mingledorff
organ, piano, synthesyzer : Ivan Neville
guitar : Derwin "Big D" Perkins
bass : Tony Hall
drums, percussion : Nikki Glapie
congas : Angelamia Bachemin (7, 8, 10)
backing vocals : Erica Falls
extra voice on"Cross The Track"Maceo : DJ Soul Sister.Tishi.La Shaun. Ziggy. Nikki

producer : Eli Wolf

1. Cross The Track / Maceo Parker Jr.
2. Just Kissed My Baby / Art Neville, George Porter, Jr., Joseph Modeliste, Leo Nocentelli
3. Yes We Can Can / Allen Toussaint
4. M A C E O / Kellum, Odum, Williams, Davis, Rasberry, Maceo Parker, Melvin Parker, Griffith
5. Hard Times / Paul F. Mitchell
6. Rock Steady / Aretha Franklin
7. Compared To What / Eugene McDaniels
8. Right Place Wrong Time / Mac Rebennack
9. Other Side Of The Pillow / Prince Rogers Nelson
10 Grazing In The Grass / Harry Elston, Philemon Hou

Just Kissed My Baby

Hard Times

Rock Steady

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ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL 吉田ルイ


 先日 DiskUnion のジャズ館に久しぶりに行ったら、レジ前にピカピカのこの本がいっぱい置いてありました。名著は売れ続けるんだなと嬉しく思います。

 音楽を聴くだけであった私が、音楽の時代背景も考えながら聴くようになったきっかけの名著です。私自身は、この本を読むまで1960年代のアメリカの人種差別問題について何となく知っていましたが、深く興味を持つこともありませんでした。しかし、リアルにこの時期にハーレムに女性一人で住んで感じたことを描写する本書を読んでから、音楽との時代の密接な関わりに興味が出てきて、聴いているだけではわからない音楽に隠されているメッセージも知りたいと思うようになり、本ブログの記述でも、その音楽にある時代背景も書きながら考察することが増えました。

 吉田ルイ子さんは北海道生まれのフォトジャーナリストで、この本は1962年に渡米され、ニューヨークのハーレムに10年住んで1971年に帰国されるまでと、ちょうど60年代をアメリカの黒人ゲットーで過ごした記録です。1963年ケネディ暗殺、1964年ハーレムの暴動、1965年マルコムX暗殺、1966年ブラックパンサー設立、1968年マーチンルーサーキング牧師暗殺、1969年ウッドストック・・・まあ、すごい時期にハーレムに住まわれていました。
 1972年に帰国して写真展「ハーレム Black is beautiful」を開催して、この本も「ハーレムの熱い日々」も出版されました。私はそれを47年後の2019年に古本屋で見つけて読んでみたわけです。別に音楽論を語ってわけでもなく人種差別に対する政治的なメッセージがあるわけでもなく、淡々と描かれているルポルタージュなのですが、さらりとカメラ目線と自身の目線で、人間をとらえています。

 ちなみに過ごされた「ゲットー」とは、黒人やヒスパニックの密集居住地のことで、この場合ハーレムに事を指します。Donny Hathaway が The Ghetto という曲で歌っていたりします。 「ブラックパンサー」は、アニメのルパン三世ででてくる宝石や黒ヒョウで、単語だけ知ってはいたのですが、この本で書かれているブラックパンサーは、黒人が居住するゲットーを警察官から自衛するために結成された組織名でした。毛沢東主義にかなり強く影響を受けており、これがハーレムの人の本を読むきっかけになったことあるとかのエピソードが書かれています。ブラックパンサーは日本のゲットーとも連絡を取っていたことも知り、ここで少し詳しくなりました。(この本を読むまで毛沢東主義は中国国内だけのことだと思っていました)
 そして音楽的なエピソードでも、興味深いことも書かれています。
「ウェインショーターはハーレムに住んでいて著者と知り合いでお子様の名前はミヤ子ちゃん」「住んでいればチャーリーミンガスに普通に会える」「アート・ブレイキーは売れてからも、金持ちのパーティーで演奏したがニグロとして差別的な扱いを受けていた。しかし、これは本人も容認していた」つまりアート・ブレイキーが日本好きであったのは、日本では差別を浮けることも無く名ドラマーとして尊敬されていたこともあるのでしょうか。確か日本人の奥さんもいらっしゃったはず。

 私の愛好する音楽は、ジャズ、ブルース、ソウル、ファンクなど黒人ミュージシャンの演奏するものが大半を占めます。しかしその黒人ミュージシャンの音楽が発展してきた中には哀しい事実も歴史にはあります。

BLACK IS BEAUTIFUL
 このタイトルを見るといつも思い浮かべるのは、Esperanza Spalding(かなり好きです)のBLACK GOLD です。最後にBLACKのみんなを指さす彼女に泣けてきて、この本の中で描かれているハーレムの生活オーバーラップします。

 この本を読んでから、種問題に関する本などを読む機会も増え、同じ人種問題のルポではありますが白人のグレース・ハルセルの書いた「黒い性・白い性 Black / White SEX」なんかも難解ではありますが、セックスの角度から歴史観点からの宗教、黒人から見た白人、白人から見た黒人、などが書かれており実際に黒人と結婚して本を書かれたかたでした。(黒人と結婚したから本を書いたのではなく、本を書くために結婚したような匂いも読んでいて漂います)

  2024年5月31日に吉田ルイさんは永眠されました。89歳で胆管がんだったそうです。

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2026年5月30日土曜日

The Best Of Punk Rock / VOL.1


 Priority Records ‎なるレーベルから出ているパンク・ロックのオムニバスです。懐かしのパンクロックのヒット曲が集められていて VOL.3 まで出ているようですが、中古屋で見つけて購入しただけなんで他はもってません。さすがに最近のパンク・ロック・バンドの新譜を買うことは滅多になくなり、今聴いているのは、ジャズやソウル、ファンクが主体になっていますが、歳をとってもパンクだって聴きたくなる時もあります。


 懐かしのバンド名がずらりと並んでいるので、私は少年時代を思い出したりするんですが、今の若いパンク小僧たちは、果たしてこれらの古典を知っていたりするのでしょうか。気になるところでもあります。現代のパンクはもっと激しい歪みだったり、超高速だったりして、コアなファン層に受けるのが特徴のように思いますが、ここらへんの時代のものは、今聞くとキャッチーなメロディであったりポップ風なアレンジであったりと、一般の人も十分聞けるような、きっちりと商業音楽だったんだなと感じます。
 この頃は、こんな音楽を聴いてるヤツは少しイカレてる風な感じだったんですけどね。
 The Clash、The Ramones、The Jam、The Stranglers、The Damned、The Buzzcocks、The Vibrators までずらっと名前が並んでいますが、10バンド中8個が「The」がついていて Wire、999の2バンドだけが「The」なしだったんだと気づいちゃいました。

  

「The Clash / Train In Vain)」こんなポップだったっけ
「The Ramones / Rockaway Beach」FMで流れたのをカセットで録音してたヤツです
「The Jam / In The City」ジャキジャキ、グシャっとして、かっくいいっすね
「The Stranglers / Meninblack」サイケデリック・パンクへと旅立つ
「The Damned / Born To Kill 」このいい加減でエネルギーだけな感じが好き
「The Buzzcocks / I Don't Know What To Do With My Life」 ピストルズ崩れのフワフワ感
「The Vibrators / Whips And Furs」チープで良いじゃねえかな
「Wire / Ex Lion Tamer」当時は、この歌い方あんま好きじゃなかったけど懐かし
「999 / Homicide」アマチュアっぽさ全開が好感


 サウンドが良くて必ずしもうまくないところが、当時のロック少年にこれなら俺にもできるかも?と夢を見させてくれたのも良かったのかも知れないな🎶

1. The Clash / Train In Vain (Stand By Me)
2. The Ramones / Rockaway Beach
3. The Jam / In The City
4. The Stranglers / Meninblack
5. The Damned / Born To Kill (Live)
6. The Buzzcocks / I Don't Know What To Do With My Life (Live)
7. The Vibrators / Whips And Furs
8. Wire / Ex Lion Tamer
10. 999 / Homicide (Live)




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2026年5月29日金曜日

Twin Cities Funk & Soul


 レアグルーヴ系レーベル Secret Stash Records から、Lost R&B Grooves From Mineapolice / St. Paul 1964~1979のロスト・ソウル・オムニバスで渾身の21曲入りです。ツイン・シティとは、プリンスを生んだミネアポリス、そしてセントポールを指します。
 札幌在住の時に当時近所にあった BEAVERS BOOKS で購入したアルバムです。基本的に古本屋なのですが、ソウル・ファンク系の中古盤が充実していて、店主のいるレジには帯を書かれるのを待っているCDが山積みでした。その帯の売り文句が実に的確で知らないアーチストでも購入しやすい。良い盤は決して安くない品揃えで、この盤も決して安くはない価格で販売されていました。
 収録アーチストの名前も未だによくわかりませんが、愛聴盤として聴き続けていて、ファンク・ソウル系に明るくない人にも評判は良いので、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に、たま~に持って行ってかけています。ただ収録曲は総じて「粋」で「パワー」が溢れていますので、雰囲気を見てかけるように心がけてはいます。


 盤の音を聴いていると、当時の勢いと意気込みが伝わってくるものばかりで、この時代のソウル・バンドの層の厚さと熱さには改めて聴きいるばかりですが、今回は今まで読んでこなかった、小さな文字の20ページに及ぶ、英文ライナーノーツも読み解き、このオムニバスを編集したレコード会社も相当熱い思いを込めて制作されたものだと改めて認識です。

イントロダクション要約
1960年代から70年代にかけて、ミネソタ州ツインシティの音楽シーンは劇的な変化を遂げました。その土台には1920年代から続く活発なジャズシーンがあり、南部から移住してきたR&Bの先駆者たちがブルースやゴスペルの経験を持ち込んだことで、独自の発展が始まりました。
 当初、このシーンは主に黒人コミュニティ内で完結しており、地域やクラブによってジャズ、シカゴ・ブルース、ソウルなど、演奏されるスタイルが明確に分かれていました。特にセントポールからは、より粗削りで現代のファンクに近いサウンドが登場し、多くのミュージシャンが複数のジャンルを横断しながら腕を磨きました。
1970年代に入ると、多様なスタイルが融合し、シンセサイザーやディスコの要素を取り入れた独自のフュージョン・サウンドへと進化します。本プロジェクトは、1980年代以降の成功の影に隠れがちな、この時代の才能ある音楽家たちの功績を再発見し、敬意を表することを目的としています。

 なるほど、これに続いてミュージシャンや当時のレコード会社の説明などが、その活躍内容と時代背景とともに詳しく説明されていました。
 ちなみに、ライナーノーツには書いてありませんでしたが、1960年のミネソタ州およびミネアポリスの人種構成についてですが、ミネアポリスの総人口は約482,872人でしたが、そのうち非白人(主にアフリカ系アメリカ人)の割合は、なんと、わずか約3%(約14,000人)に過ぎず、法律による明文化された隔離(ジム・クロウ法)は南部ほど厳格なではありませんでしたが、事実上の住居制限(Redlining)による人種隔離が存在していました。
 またライナーノーツに記述がある「黒人バンドは郊外のバーに限られていた」のくだりは、当時の都市部におけるエンターテインメント施設のブッキングにおける暗黙の排除を反映しています。そのタブーに対する Dave Brady And The Starsのような黒人メンバーと白人メンバーが共存することで、当時の保守的なクラブシーンの障壁を打ち破り、生のR&Bを幅広い観客層に届けた重要な橋渡し役であったことも重要な記述と伺えます。


 アメリカの音楽には、戦争・人種差別・麻薬などの背景がついて回ります。ここら辺を頭に置いてライナーノーツでのバンドの華やかな経歴紹介などを読み進めると、また深いんですよね(ん~~疲れた)🎶

1. All Day Long / The Valdons
2. Sock-A-Poo-Poo '69 (Part 1) / Maurice McKinnes & The Champions
3. Work Your Flapper (Part 1) / Jackie Harris & The Champions
4. She's A Whole Lot's A Woman / Mojo And His "Chi 4"
5. Ridin' High / Dave Brady And The Stars
6. I Ain't Gonna Cheat On You No More / Willie Walker
7. Save Me / Wanda Davis
8. Get Funky, Sweat A Little Bit / Jackie Harris & The Exciters
9. There Goes My Used To Be / Wee Willie Walker
10. Take Care / Wanda Davis
11. Sweet Smell Of Perfume / Maurice McKinnes & The Champions 
12. Baby, Baby I Need You / Dave Brady And The Stars
13. Love Me, Leave Me / The Valdons
14. Dipstick / Willie And The Bumblebees
15. Rusty McDusty / Morris Wilson 
16. Thieves In The Funkhouse / Band Of Thieves 
17. You Can Be / The Prophets Of Peace 
18. Saxophone Disco / Morris Wilson
19. Honey From The Bee / Willie And The Bumblebees
20. The Max / The Prophets Of Peace
21. Get Up / The Lewis Connection 




定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。