1964年ニューヨークのリンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールで行われたチャリティーコンサートの模様を収録したライブ盤です。このライブはバラードを「My Funny Valentine」に高速バップは「Four & More」に収録され「静」と「動」として対をなす傑作とされています。
この日の演奏の緊張感についての談話がライナーノーツに掲載されています。
【Miles 談】このコンサートは、NAACP(全米黒人地位向上協会)などの公民権運動団体の支援を目的としたベネフィット・コンサートで、Miles がメンバーにノーギャラでの出演を直前に伝えたため、怒りに満ちたメンバーが凄まじいテンションで演奏に臨んだ。【Ron Carter】毎晩、うまくいくとは限らないので熱くならない夜はなかった。クールではいられなかったんだ。なにがあろうとも、緊張感と集中力をもって演奏していた。【Herbie Hancock】女性の権利とかベトナム戦争、公民権運動、ゲイの権利といった人権問題をきっかけとして起こった急激な時代の変化が、自分たちの音楽も自然と影響され、常に新しい世界を切り開き、自分達で答えを出すことを望まれていたからだ。
と、親方は被害妄想気味ですが、労働者側は志が高かった発言をしています。昔のことは美化してしまった気もしますが、今日の労働はギャラなしと言ったら全員無言だったことかなと予想します。
また、ライナーノーツにロン・カーターへの後インタビューが書いてあります。
「Four & More」は数か月オフの後の公演でリハーサルは無し。5千~1万のレパートリーの中から出来上がっていたセット・リストに従って15~20曲を毎晩演奏した。この録音の日と同じセット・リストでその前の晩も同じ曲を演奏していたので曲がどんどん発展していった。
レパートリーが5千~1万って、覚えているんだとすれば「記憶力がバグってる」と思ったら、George Coleman のインタビューでは「ライブでは譜面を前に演奏した」と書いてありました。でも、それだけの譜面管理は大変なこと。
「So What」速さの話になってしまいますが確かに早い。同じMiles 録音で Kind Of Blue (1959) では亀のようで曲が全く違うように聴こえます。同年10月のドイツのライブ Tourin' 1964 では、当たり前ですが同様の高速バージョンです。たぶんこの録音以降で他のミュージシャンでも So What の高速演奏が出てきたようにも見受けられます。速ければければいいってもんでは無いとは思いますが、速ければスリリングにはなります。
「Walkin'」こちらもオリジナルは歩く速さだったのですがジョギングを通り越して短距離走ぐらいのイメージなので曲が違って聞こえます。ドラムソロはさすがにテンポ無視ですが、終われば George Coleman が直ぐに走り始める感じです。
「Joshua」Miles のアルバム Seven Steps To Heaven (1963) でこのメンバーで初収録、また同年10月のドイツのライブ Tourin' 1964 でもこのメンバーで演奏されています。もともとが速いテンポのスイングですが、最速は本作 Four & More で一番、緊張感があってスリリングですが Tourin' 1964 の方が、数々の演奏をしてこなれてきた感じがします。
「Go-Go (Theme And Announcement)」
「Four」Miles のアルバム Blue Haze (1954) が初録音で、当然このアルバムで高速にチューンナップされていますが、原曲の良さが一番高速で演奏することで引き立てられた曲であるように思います。親分のマイルスの先頭を切ったソロも最初からハイトーンかまして気合が入ってる感じがします。そういえばタイトルも Four & More ですから、解説は見当たりませんが、この曲から始まり続いているみたいな意味合いもあるんでしょうか。
「There Is No Greater Love」超高速ではない唯一のスタンダード曲で、今回聴き比べもしながら、緊張感を持って聴いてきたので、これが流れてホッしました。
「Go-Go (Theme And Announcement)」
前回、聴いたときは18歳の Tony Williams に焦点を合わせて聴いていました。テクニックと迫力でバスドラのドコドコ言わせつつの繊細なシンバルワークで、高速リズムキープをしていたかと思えば、瞬間で自在にテンポを変えてメンバーに伝えていく仕事っぷりは痛快です。また、George Coleman のストレートな演奏スタイルもこのスリリングさを引き立てていると感じます。今回は速度に焦点を合わせて聴いたのですが、その意味では Ron Carter が一番の体力勝負かと思います。お疲れ様です。
時代が変わると高速バップをものともしない超人ミュージシャンは続々と現れてきていますが、その源流はこのアルバムにもあるかもしれないですね🎶
trumpet : Miles Davis
piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Tony Williams
tenor sax : George Coleman
producer : Teo Macero
recorded live in concert at the Philharmonic Hall of Lincoln Center for the Performing Arts in New York City on February 12, 1964.


















