2026年9月9日水曜日

The Jazz Messengers / At The Cafe Bohemia Volume 1

 


 メッセンジャーズのライブレコーディングで、1955年11月23日のニューヨークのカフェ・ボヘミアでの演奏です。オリジナルはBlueNote1507番で、6曲入りでしたが、CD再発で3曲の追加されています。このライブは2枚のアルバムとなって発売されているため volume1 となっています。volume2  を先に聴いて感銘を受けたため、前後しますが探し出して購入したものです。 
 さて聴きながらライナーノーツを拝見すると Cafe Bohemia について詳しく書かれています。1955~56年ニューヨークの 15Barrow Steet は様々なジャズ・クラブがある熱い場所で、当初お店はオーナーJimmy Garofoloの「The Pied Piper」というストリップ・クラブだったそうです。しかし1955年の初めごろに Charles Parker を含むミュージシャンたちがジャムりはじめ、3月にジャズ・クラブとしてオープニするときに出演予定だったのですが残念ながら Parker は急死してしまい参加できなかったようです。その後 6月にOscarPettifordが「Bohemia After Dark」という企画で Cannon Ball  Adderley とビッグバンドをやってセンセーションを巻き起こしています。更にその数か月後 Miles の初期クインテットの演奏拠点にもなっています。などなど


「Announcement by Art Blakey」"Yes sir, as the saying goes, 'If you feel like you want to cough, go ahead and cough'—we're here to have a good time. ... Music helps wash away the dust of everyday life. This is jazz. It’s an American music. It’s a contribution from the American people to the world."
「Soft Winds」Benny Goodman が1940年に作曲したジャズ・スタンダード。わかりやすく短いテーマのブルースで、各メンバー自由にソロをとり Art Blakey はソロの途中で、もっと盛り上がれとリズムを変えて煽りながら曲に緩急をつけます。微妙に速度も変えて煽ってて、特に Horace Silver のソロの時は、他のメンバーの微妙な感じより速くしてて仲の良さが伺えます。このアルバム最長の12分34秒の熱演。
「The Theme」ジャズ・セットの終わりやセット間の休憩に入る際に演奏される「クローザー」として機能の曲ですから、当日のセットリストの曲順はアルバム通りではないことと思われます。
「Minor's Holiday」アップテンポなマイナー・キーのスウィングで緻密なアレンジの Kenny Dorham の作曲。自身のアルバム Afro-Cuban (1955) からの持ち込みです。録音は数か月しか違わないのでホットなプロモーションもあるのかと思いましたが、ベースが Oscar Pettiford から、Doug Watkins に変わっているだけで録音メンバーは同じです。先陣を切る作曲者 Kenny Dorham の超速トランペットがカッコ良いです。Hank Mobley のソロ開始してからモコモコしていると Art Blakey がシンバルでカンカンカンの催促でしょうか。やっぱり Art Blakey って凄いですね。熱演だなあ。
「Alone Together」ここでバラードきました。Dorham 休憩してます。
「Prince Albert」Jerome Kern の All the Things You Are のコード進行に基づいた Kenny Dorham のコントラファクトで、このアルバムが初演とのことです。蛇足ですが このアルバムの翌年に Kenny Dorham は Cafe Bohemia  の録音出してます。'Round About Midnight At The Cafe Bohemia (1956) この曲はやってませんが
「Lady Bird」1939年頃に Tadd Dameron 作曲のスタンダード。Tadd Dameron turnaround ってコード進行が有名らしい(CM7 E♭7 A♭M7 D♭7 CM7)
「What's New?」これも古い1939年に発表されたポピュラーソング。Doug Watkins のベースメインで管楽器お休みです。
「Deciphering the Message」アップテンポなスウィングで、Art Blakey がドラムロールでガンガン入れながら牽引していきます。Hank Mobley 作曲で、最初のソロは当然サックスから素晴らしいソロを展開し Art Blakey のカンカンカンは無し。その後の Kenny Dorham がまた凄いし、Horace Silver も気合が入ってて全体的に体力勝負みたいな感じがまた良いです。エンディングに入ると皆さんホッとしてるんじゃないかと思います。


このレタリングだけのジャケットって意外とカッコ良いんですよね。デザインは John Hermansader 氏とのことで、1951年に Blue Note が10インチLPのリリースを開始する準備段階でアルバムカバーアートの制作を依頼され、その後1950年代半ばまで同社で活躍。同じくカバーアートで印象に残る Reid Miles と同期っぽいです🎶🥁

drums : Art Blakey
piano : Horace Silver
tenor sax : Hank Mobley
trumpet : Kenny Dorham
bass : Doug Watkins

producer : Alfred Lion
recorded at Cafe Bohemia, NYC、 November 23, 1955.
design (cover) : John Hermansader

1. Announcement by Art Blakey
2. Soft Winds / Benny Goodman
3. The Theme / Kenny Dorham
4. Minor's Holiday / Kenny Dorham
5. Alone Together / Howard DietzArthur Schwartz
6. Prince Albert / Kenny Dorham, Jerome Kern
7. Lady Bird / Tadd Dameron
8. What's New? / Johnny Burke, Bob Haggart
9. Deciphering the Message / Hank Mobley






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2026年9月8日火曜日

Jaco Pastorius / The Birthday Concert

 

 Jaco Pastorius 30歳の誕生日。1981年12月1日のバースデイ・ギグ。場所はフロリダ州 フォートローダーデールにあるナイトクラブ「 Mr. Pip's 」で750人ぐらいの規模のそこそこ大箱。この日のギグは満員で最初は夜8時に始まって、2回目は午前3時にショーが終了しました。
 1981年は、自身のセカンドソロアルバム Word of Mouth (1981) が発売された年であり、このアルバムもその主要メンバーが揃っての Jaco Pastorius Band + Peter Graves Orchestra で、小編成版 Word of Mouth Big Band という形となっています。といっても結構な人数のバンドになっています。プロデューサーは Peter Erskine が務めていて、後の Jaco の転落などを一切感じさせない幸せいっぱいのギグです。


 共演する Peter Graves Orchestra は良く知らないのですが、松下佳男氏のライナーノーツに軽くふれてあります。「ジャコはメジャー・デビューする前の1973年から2年間、フロリダのピーター・グレイヴス・ビッグ・バンドのリズム・セクションで活躍し、そのサウンドを革新性に満ちあふれたものに変貌させた。ジャコがそのバンドで過ごした時期は、ベースの定義を塗り替え、彼のその後の偉大な歩みにおける最初のステップとなった。」
 
Soul Intro / The Chicken ジャコの代名詞ともいえるでしょう。私が学生時代のジャズ研でのセッション大会では必ず演奏されていた思い出深いナンバー。ジャズ好きにもファンク好きにも、初心者にもやさしい名曲です。
Continuum ソロデビュー作 Jaco Pastorius (1976) にも入っていたジャコの名曲で、ビッグバンドでもコンボでも Jaco のギグで演奏される定番。そういえば学生時代テンポ無視で必死にコピーしていたベーシストもいたっけな。
Invitation 同名の映画(1952年公開)のテーマ曲で、作曲はB.Kaper。ブラス部隊が嬉々として演奏していて特には Michael Brecker のソロがわかりやすく興奮し、コンガの細かなリズムの扇動も気持ちよい。Peter Erskine はロックっぽい。
Three Views of a Secret Weather Report の Night Passage にも収録されていたり、ソロでもよく演奏されていたりしますが、ビッグ・バンド形式のこのヴァージョンは自由でおおらかでゴージャス。若干荒いところも魅力。
Liberty City これも Jaco のテーマ曲的なファンキーでソウルフル。、フロリダらしい明るさとスウィング感に溢れた曲だ。Othello Molineaux のスチールパンがやっぱり似合う。
Punk Jazz Weather Report の Mr Gone にも収録されている。全然パンクっぽくない絶妙にブラス・アンサンブルが混ざり合い、きれいに整いすぎない勢いと、強いグルーヴ感が魅力。
Happy Birthday ありきたりだが、ほほえましい。そりゃ嬉しいでしょうし皆が幸せ。
Reza TV「野生の王国」に、インスパイアーされて書いたJaco の曲。アフリカなワールドミュージックっぽい感じとメロディが広がっていけるテーマなんかは天才的。
Domingo Jaco がC.C.ライダーズにいた時(1972年)に書いた曲で、ソウルな魂が根底にあります。まとまって突っ走るブラスと伴走しながら追い打ちをかける Jaco 感が気持ち良い。
Amerika / traditinal 原曲は America, The Beautiful というスタンダード。ここでの Jaco は冷静。ハーモニーを大切に短くまとめた歌い上げかたが好印象。

曲目はいつものヤツのオンパレードで、音質も良いわけではないですが心あたたまるライブ感がなんど聴いても、とても心地良いです🎶

【The Word of Mouth Sextet】
electoric bass : Jaco Pastorius
drums : Peter Erskine
tenor sax : Michael Brecker
tenor soprano sax, bass clarinet : Bobby Mintzer 
percussion : Don Alias
steel drums : Othello Molineaux

【Guest Musicians】
steel drums : Paul Hornmuller
congas : Robert Thomas, Jr. 
percussion : Oscar Salas

【Peter Graves Orchestra】
trumpet : Kenneth Faulk , Brett Murphey , Melton Mustafa ,Brian O'Flaherty Peter french horn : Gordon , Jerry Peel , Steve Roitstein 
trombone : Russ Freeland, Mike Katz 
trombone , tuba : David Bargeron
bass trombone : Peter Graves 
sax , woodwinds : Dan Bonsanti, Neal Bonsanti, Gary Lindsay
bariton sax : Randy Emerick

producer : Peter Erskine
recorded December 1, 1981, at Mr. Pip's, Ft. Lauderdale, Florida

1. Soul Intro ・ The Chicken Pastorius, Alfred Ellis
2. Continuum / Pastorius
3. Invitation / Kaper
4. Three Views of a Secret / Pastorius
5. Liberty City / Pastorius / Pastorius
6. Punk Jazz / Pastorius
7. Happy Birthday / Pastorius / M. Hill, P. Hill
arranged by, adapted by : Larry Warrilow
8. Reza / Pastorius
9. Domingo / Pastorius
10. Band Intros
11. Amerika / traditinal
arranged by, adapted by : Pastorius








Reza



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2026年9月7日月曜日

Keb'Mo' / Just Like You


 わたくしが好んで聴く伝統のブルース・スタイルは「色、金、酒」がテーマになることが多く、少々下品な歌詞であったり、ほぼ中身の無い言葉の繰り返しであったりします。しかしこの Keb'Mo' は、Just Like You では「誰からも愛されていなくても、自分自身を愛することを忘れてはいけない」と歌います。ブルース・マンなので、デルタ・ブルースのスタイルを基本としていますが、フォーク、ロック、ジャズ、ポップ、カントリーなどを取り入れ、暑苦しくない優しく知的な曲が信条のブルース・マンです。


「That's Not Love」愛はそんなに苦しいものではないはずだ と歌うブルース。昔から使われているギターのリフを使ってはいるがライトでカラッとした使い方です。
「Perpetual Blues Machine」不幸製造機(perpetual blues machine)と相手の不誠実さに気づき別れを告げる大人の失恋 を歌ったシカゴスタイルの弾き語りブルース。歌詞無しでインストでやってもカッコ良さそうです。
「More Than One Way Home」自身の故郷であるカリフォルニア州コンプトンの思い出を描いたストーリー・ソング。スリーコードのブルースではなくポップなサウンドです。
「I'm on Your Side」私はあなたの味方だ(I'm on your side)と歌う、AOR的なサウンドを取り入れたブルース
「Just like You」 Bonnie Raitt とJackson Brown をボーカルに迎えた、ブルース形式から離れたアルバムタイトル曲。
「You Can Love Yourself」人生の困難に直面して「もう終わりだ」と感じている人に対し、(いつか自分を愛せる)場所に辿り着けると語りかける弾き語りブルース
「Dangerous Mood」王道のブルース進行で古き良きブルース・スタイルで B.B.King スタイルのオブリガード、Muddy Waters の Hoochie Coochie Man のフレーズを使ったりしてて、ブルースファンは喜んじゃいます。
「The Action」フォーク・ブルースってタイプですかね。かっこつけるのはやめて、二人の関係を次のステージに進めるための具体的な(アクション)を起こそう。
「Hand It Over」ゴスペル+ブルースでこうなります。もし悩みが解決せず、夜も眠れないほど不安なら、跪いて祈り、すべてを委ねなさい(Hand it over)カッコ良い
「Standin' at the Station」ブルース・ロックもあります。駅に立ち、去りゆく列車を止めようとする姿
「Momma, Where's My Daddy? 」色・酒・金は出てきませんが、パパはどこへ行ったの?古いタイプのブルースっぽい感じの渋い弾き語りです
「Last Fair Deal Gone Down」1936年のRobert Johnson 作品です。確かに原曲はフォークブルースっぽいメロディーしてます。Keb'Mo' がリメイクすると爽やか。
「 Lullaby Baby Blues」温かく穏やかな子守唄

聴きどころいっぱいあり過ぎのブルースでありながらポップな音楽で、どブルース好きのヤジオにも刺さってくるのが Keb'Mo' です🎶🎸

producer : John Porter

1. That's Not Love / Georgina Graper, Kevin Moore
vocals, guitar, harmonica : Keb'Mo'
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums : Laval Belle
percussion : Munyungo Jackson
backing Vocals : Jackie Farris
backing Vocals : Jean McClain
2. Perpetual Blues Machine / Georgina Graper, Kevin Moore
vocals, guitar, harmonica : Keb'Mo'
3. More Than One Way Home / John Lewis Parker, Kevin Moore
vocals, guitar, harmonica : Keb'Mo'
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums : Laval Belle
percussion : Munyungo Jackson
backing Vocals : Jackie Farris
backing Vocals : Jean McClain
4. I'm on Your Side / Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo'
keyboards : Tommy Eyre
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums : Laval Belle
5. Just like You / Candy Parton, Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo'
vocals : Bonnie Raitt
vocals : Jackson Brown
keyboards : Tommy Eyre
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums: Ricky Fataar
percussion : Munyungo Jackson
6. You Can Love Yourself / Kevin Moore
vocals, guitar, harmonica : Keb'Mo'
7. Dangerous Mood / Candy Parton, Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo'
keyboards : Tommy Eyre
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums : Laval Belle
8. The Action / Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo'
keyboards : Tommy Eyre
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums: Ricky Fataar
percussion : Munyungo Jackson
backing Vocals : Jackie Farris
backing Vocals : Jean McClain
9. Hand It Over / Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo'
11strings guitar : Tommy Eyre
dobro : John Porter
bass : James "Hutch" Hutchinson
drums : Laval Belle
trumpet : Darrell Leonard
trombone : Jim Pricce
clarinet : Jim Gordon
10. Standin' at the Station / Phil Ramocon, Kevin Moore
vocals, guitar, harmonica : Keb'Mo'
keyboards : Tommy Eyre
bass : James "Hutch" Hutchinson 
drums : Laval Belle
harmonica : Larry David
11. Momma, Where's My Daddy?  / Lori Barth, Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo'
12. Last Fair Deal Gone Down / Robert Johnson
vocals, guitar : Keb'Mo'
dobro : John Porter
bass : James "Hutch" Hutchinson 
drums : Laval Belle
trumpet : Darrell Leonard 
trombone : Jim Pric
clarinet : Jim Gordon
13. Lullaby Baby Blues / Georgina Graper, Kevin Moore
vocals, guitar : Keb'Mo' 


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2026年9月6日日曜日

Weather Report / This is This


 通算16枚目の最後のアルバムにして、最後は、ほぼ Zawinul のやりたいことだけが詰まったアルバム。ゲスト参加の Carlos Santana も含めてミュージシャンの個性を殺した演奏がかえって聴きどころになっているのではないでしょうか。
 バンドは1985年のアルバム Sportin' Life のリリース時点で実質的に活動を休止しており(このアルバムは入手していませんでしたので、また中古探しにいきます)、リーダーのJosef Zawinul とWayne Shorter もそれぞれのソロ活動に移行しており、まあアクが強すぎる親玉のもと、解散は必然的だったと思えます。故に Wayne Shorter の楽曲が収録されていない唯一のアルバムでもあります。
 しかし実質的な活動停止はしていたものの、レコード会社(CBS/Sony)との契約上、もう1枚アルバムを制作する義務が残っていたため、最終作として急遽制作・リリースされたアルバムとなり、まあ Josef Zawinul のソロアルバムと考えても良い状態ではあり、セッション集や過渡期的な色合いが強い作品かと思われます。


 小川隆夫によるライナーノーツの解説には、パーカッションの Mino Cinelu へのインタビューで、Josef Zawinul に急に呼び出されてレコーディングを開始したこと、いつもは自分の録音が無い時でもスタジオにいた Wayne Shorter がいないことに驚いていること、なども掲載されています。アク強い親玉は状況説明も面倒なので、とにかくメンバーを呼び出して業務的にアルバム制作を開始したことがわかります。何があったか聞くのも、おっかない感じなのでしょうか。
 なお Josef Zawinul はバンドを継続させたかったようなのだが、Wayne Shorter がバンド名を使うことを拒否したため、Zawinul はその後「Weather Update」名義で活動を始めますが直ぐに終了しています。この活動ではでは Shorter の代わりとなるサックスはおらず、ギターに John Scofield を迎えての活動となっています。そこで小川隆夫の John Scofield へのインタビューもまた興味深い。This is This の楽曲は、Carlos Santana が実際の収録に参加しているのだが、もともとは 日本に滞在していたJohn Scofield に譜面を送っていて、John Scofield は日本にいるうちに全部で7ページもある難曲をマスターするのに四苦八苦しているよとのこと。そうだったんですね。時間の折り合いがつかずに Santana になったのか?、新たなバンドの名前でもめている Shorter  に、そのギタリストである John Scofield に最後のアルバムの参加を告げるのにさすがに気が引けたのか? なんてとこも気になるところであります。

 Miles の「Bitches Brew」に参加したミュージシャン達が、「Retun to Forever」「Weather Report」などに分化、複雑化、宇宙化してきた変遷の一つの最終形。
バカテク電化フリー・ジャズが炸裂と思っていたら全部楽譜通りらしい恐ろしさの「Update」、メロディーが美しい「 I'll Never Forget You」などが聴きどころ。Josef Zawinulの権力志向と音楽性にばかり目が行ってしまうが、アルバムとしては中々の出来と思います🎶

keyboards : Josef Zawinul
sax : Wayne Shorter
bass : Victor Bailey
drums : Omar Hakim (6), Peter Erskine
percussion, vocals : Mino Cinelu

Guest
guitar : Carlos Santana (1, 5)
vocals : Colleen Coil, Darryl Phinnessee, Marva Barnes, D. Siedah Garrett

producer : Josef Zawinul
recorded at The Sound Castle, Los Angeles, California

1. This Is This / Josef Zawinul
2. Face the Face / Josef Zawinul
3. I'll Never Forget You (Dedicated to the Memory of My Parents) / Josef Zawinul
4. Jungle Stuff Part I (Album Version) / Mino Cinelu
5. Man with the Copper Fingers / Josef Zawinul
6. Consequently (Album Version) / Victor Bailey
7. Update / Josef Zawinul
8. China Blues / Josef Zawinul




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2026年9月5日土曜日

Count Basie Zoot Sims / Basie & Zoot


 1975年当時、すでにベテランの域に入っていたBasie & Zoot のリラックスした演奏です。「職人たちが楽しんで演奏している小編成のセッション」で、お手本のような演奏ができてしまった魔法の一枚で、ビッグバンドのリーダーとしての印象が強い Basie が、少人数のコンボでリラックスして弾きまくる姿を堪能できる一枚です。ストラト・ピアノやオルガンまで披露していて、特にオルガン演奏は、非常にファンキーで温かみのあります。また Zoot のテナーサックスは、ベイシーの正確なリズムに完璧にフィットしています。どの曲でも流れるようなフレーズと心地よいトーンで、聴き手を幸せな気分にさせてくれます。
 ジャケットは、セッション現場に吸殻がてんこ盛りの灰皿になり、くたびれた普段着でのp二人の姿が写っている写真。もうちょっと良い写真は無かったのかとは思ってしまいます。写真はプロデューサーでもある Norman Granz が撮ったものが使われています。発売は Pablo Records で、1973年に Norman Granz が設立したジャズ・レコード・レーベル。つまりジャケ写は社長の選択でもあるんでしょうがないですか。


「I Never Knew」1925年に書かれたポピュラーソング・ジャズのスタンダード・ナンバーです。 Count Basie Orchestraでも、繰り返し多数録音されていますが、本作は最速に近いスピードでのグイグイ、ときて陽キャ全開です。初っ端から嬉しいです。
「It's Only A Paper Moon」最速スピードからスピードダウンして、Basie のピアノが跳ねて、軽快にスキップしているような、当時だったら若い男女がこの曲に合わせて楽しく踊れるんだろうなって思います。
「Blues For Nat Cole」曲名でわかる Nat King Cole・キング・コールに捧げられた曲、Basie のリズムに強打するピアノのリズムに、全員が呼応してこれも踊る様なスイング。ラストの可愛らしさを感じるピアニッシモな終わり方もイケてます。打鍵の一つずつのリズムが、やっぱり素晴らしい。
「Captain Bligh」テンポダウンのバラード風ブルースきました。Bligh って何だろうと思ったら、1789年のバウンティ号の反乱で知られる英国海軍士官 William Bligh のことのようで、トンガからティモールまで約6,700kmをボートでの大航海して生還した方のようです。航海の荒々しさよりも、ゆっくりボートで漂っていることが連想されるブルースです。
「Honeysuckle Rose」1929年のオフ・ブロードウェイ・レビュー Load of Coal のために書き下ろされ、ソフト・シューズ・ダンス(タップダンスの一種で、靴底に金具を付けていない革底の靴で踊るスタイル)のナンバーとして紹介されたとのこと。ソフト・シューズ・ダンス初めて知りました。なるほどタップダンスか、細かなリズムと音を刻む Basie のピアノに先導されて踊れといわんばかりの Zoot の横揺れが気持ち良い。
「Hardav」心静かに聴くスロー・ブルース、シンプル。av ってなんだろう。
「Mean To Me」1929年に制作されたシート・ミュージック。古き良きを思わせるスイングで強打はなしで気負いのないピアノに Zoot も素材に対しての余裕のサックスを優しくブローで対応。熱いばかりがジャズでは無い。
「I Surrender, Dear」最後は Basie のオルガンが登場します。ライナーノーツによればBasie にオルガンの仕組みを教え、Honeysuckle Rose の作者である Fats Waller だそうだ。

 ライナーノーツはアートブレイキーのピアノ奏者でも知られるBenny Green が書いていますが、全体的に抽象的な周りくどいインテリ的な文章が私には難解でした。ですが、アルバムの選曲としては Basie Zoot が若かりし頃にジャズ界でやっと頭角を現し始めた頃の1925年から1934年の間に発表されたもので構成されていて、彼らはその音楽を現代に今運び続けているのだ、ぐらいは。と言うところは理解できました。

 ワンホーン構成なので、ホント足取り軽やかで軽快でワクワクする。聴いていて本当に楽しいスイング🎶

piano, organ : Count Basie
tenor sax : Zoot Sims
bass : John Heard
drums : Louis Bellson

producer : Norman Granz
recorded April 9, 1975, Studio RCA Studio, New York
art direction : Phil Carroll 
design : Gilles Margerin 
photography : Norman Granz

1. I Never Knew / Ted Fio Rito, Gus Kahn
2. It's Only A Paper Moon / Harold Arlen, Yip Harburg, Billy Rose
3. Blues For Nat Cole / Count Basie, Zoot Sims
4. Captain Bligh / Count Basie, Zoot Sims
5. Honeysuckle Rose / Andy Razaf, Fats Waller
6. Hardav / Count Basie, Zoot Sims
7. Mean To Me / Fred Emil Ahlert, Roy Turk
8. I Surrender, Dear /  Harry Barris, Gordon Clifford





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2026年9月3日木曜日

Twin Cities Funk & Soul


 レアグルーヴ系レーベル Secret Stash Records から、Lost R&B Grooves From Mineapolice / St. Paul 1964~1979のロスト・ソウル・オムニバスで渾身の21曲入りです。ツイン・シティとは、プリンスを生んだミネアポリス、そしてセントポールを指します。
 札幌在住の時に当時近所にあった BEAVERS BOOKS で購入したアルバムです。基本的に古本屋なのですが、ソウル・ファンク系の中古盤が充実していて、店主のいるレジには帯を書かれるのを待っているCDが山積みでした。その帯の売り文句が実に的確で知らないアーチストでも購入しやすい。良い盤は決して安くない品揃えで、この盤も決して安くはない価格で販売されていました。
 収録アーチストの名前も未だによくわかりませんが、愛聴盤として聴き続けていて、ファンク・ソウル系に明るくない人にも評判は良いので、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に、たま~に持って行ってかけています。ただ収録曲は総じて「粋」で「パワー」が溢れていますので、雰囲気を見てかけるように心がけてはいます。


 盤の音を聴いていると、当時の勢いと意気込みが伝わってくるものばかりで、この時代のソウル・バンドの層の厚さと熱さには改めて聴きいるばかりですが、今回は今まで読んでこなかった、小さな文字の20ページに及ぶ、英文ライナーノーツも読み解き、このオムニバスを編集したレコード会社も相当熱い思いを込めて制作されたものだと改めて認識です。

イントロダクション要約
1960年代から70年代にかけて、ミネソタ州ツインシティの音楽シーンは劇的な変化を遂げました。その土台には1920年代から続く活発なジャズシーンがあり、南部から移住してきたR&Bの先駆者たちがブルースやゴスペルの経験を持ち込んだことで、独自の発展が始まりました。
 当初、このシーンは主に黒人コミュニティ内で完結しており、地域やクラブによってジャズ、シカゴ・ブルース、ソウルなど、演奏されるスタイルが明確に分かれていました。特にセントポールからは、より粗削りで現代のファンクに近いサウンドが登場し、多くのミュージシャンが複数のジャンルを横断しながら腕を磨きました。
1970年代に入ると、多様なスタイルが融合し、シンセサイザーやディスコの要素を取り入れた独自のフュージョン・サウンドへと進化します。本プロジェクトは、1980年代以降の成功の影に隠れがちな、この時代の才能ある音楽家たちの功績を再発見し、敬意を表することを目的としています。

 なるほど、これに続いてミュージシャンや当時のレコード会社の説明などが、その活躍内容と時代背景とともに詳しく説明されていました。
 ちなみに、ライナーノーツには書いてありませんでしたが、1960年のミネソタ州およびミネアポリスの人種構成についてですが、ミネアポリスの総人口は約482,872人でしたが、そのうち非白人(主にアフリカ系アメリカ人)の割合は、なんと、わずか約3%(約14,000人)に過ぎず、法律による明文化された隔離(ジム・クロウ法)は南部ほど厳格なではありませんでしたが、事実上の住居制限(Redlining)による人種隔離が存在していました。
 またライナーノーツに記述がある「黒人バンドは郊外のバーに限られていた」のくだりは、当時の都市部におけるエンターテインメント施設のブッキングにおける暗黙の排除を反映しています。そのタブーに対する Dave Brady And The Starsのような黒人メンバーと白人メンバーが共存することで、当時の保守的なクラブシーンの障壁を打ち破り、生のR&Bを幅広い観客層に届けた重要な橋渡し役であったことも重要な記述と伺えます。


 アメリカの音楽には、戦争・人種差別・麻薬などの背景がついて回ります。ここら辺を頭に置いてライナーノーツでのバンドの華やかな経歴紹介などを読み進めると、また深いんですよね(ん~~疲れた)🎶

1. All Day Long / The Valdons
2. Sock-A-Poo-Poo '69 (Part 1) / Maurice McKinnes & The Champions
3. Work Your Flapper (Part 1) / Jackie Harris & The Champions
4. She's A Whole Lot's A Woman / Mojo And His "Chi 4"
5. Ridin' High / Dave Brady And The Stars
6. I Ain't Gonna Cheat On You No More / Willie Walker
7. Save Me / Wanda Davis
8. Get Funky, Sweat A Little Bit / Jackie Harris & The Exciters
9. There Goes My Used To Be / Wee Willie Walker
10. Take Care / Wanda Davis
11. Sweet Smell Of Perfume / Maurice McKinnes & The Champions 
12. Baby, Baby I Need You / Dave Brady And The Stars
13. Love Me, Leave Me / The Valdons
14. Dipstick / Willie And The Bumblebees
15. Rusty McDusty / Morris Wilson
16. Thieves In The Funkhouse / Band Of Thieves 
17. You Can Be / The Prophets Of Peace
18. Saxophone Disco / Morris Wilson
19. Honey From The Bee / Willie And The Bumblebees
20. The Max / The Prophets Of Peace
21. Get Up / The Lewis Connection







▶ Save Me












▶ The Max

▶ Get Up

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2026年9月2日水曜日

The Robert Cray Band / Strong Persuader


 4作目のスタジオ・アルバム。Mercury Records の第一弾でメジャーデビューにあたるアルバムのようです。日本では今いち盛り上がっていなかったと思いますが、アメリカ・オランダ・ニュージーランドでは、かなり売れたアルバムです。
 高地 明氏によるライナーノーツでは、Robert Cray の最も熱いファンは ミック・ジャガー,
エリック・クラプトン、俳優リチャード・ギア、そして自分であると興奮気味で書いておられます。ふーん。


 私はと言えば、どブルースのほうが好きなんで、実はポップな感じのする Robert Cray の魅力はいまいちわかっていません。ライナーノーツでは「自然なファンク感覚の中でされているのだ。型はブルース/ソウル、心はPファンク」なんて形容もされているが、いまいちピンとこない。と昔から思っているのですが、数十年ぶりに聴きなおしてみたら再発見があるかもしれません。
 と聴きなおしてみましたが、いつもの Robert Cray 流ブルースの他、ソウル風な楽曲で、
何を歌っても、その節回しも健在、ギターは、やはり特徴的で、パキパキのエフェクトなし
相変わらずギターの弦が切れそうなほど強いアタックで弾いています。再度聴いてもあまり印象は変わらんかったです。
 改めて聴きながら、ライナーノーツを読んでいくと【クレイ2回目の来日の時に、本人の口から「イギリス人は、もしかしてぼくらのことをポップ・グループとして聞いているのかもしれないな」という言葉が出た】とあります。
 それです。どブルースを期待して聴くから、違うと思ってしまうのです。新たなポップス的なものと思って聴けば・・・印象は・・・変わらんです。
 歳を重ねれば印象も響き具合も変わるのかと思いながら若いころに購入して聴いていたのですが、どブルース好きには、ポップ色が強いかも🎶🎸

guitar, vocals : Robert Cray
bass : Richard Cousins
drums : David Olson
keyboards : Peter Boe
percussion : Lee Spath (3, 6, 9)

horns arranged & played : The Menphis Horns
tenor sax : Andrew Love
trumpet, trombone : Wayne Jackson

producer –:Bruce Bromberg, Dennis Walker
recorded at Sage & Sound, Los Angeles, Haywood's, Los Angeles

1. Smoking Gun
2. I Guess I Showed Her
3. Right Next Door (Because Of Me)
4. Nothin' But A Woman
5. Still Around
6. More Than I Can Stand
7. Foul Play
8. I Wonder
9. Fantasized
10. New Blood
▶ Smoking Gun



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2026年9月1日火曜日

The Bill Evans Trio / I Will Say Goodbye


 Fantasy Record 時代の最後を飾るラストのトリオ作品で、没後にリリースされた You Must Believe In Spring (1977) と同じトリオ・メンバーでの録音です。スタジオも同じですが、録音日は異なっています。このアルバムは1980年の1月にリリースで、Evans は同年の9月に亡くなっていますので、ぎりぎり存命の時に発売されています。ですが、発売が 1980年なので、「当時の最新作」というよりは、あとから世に出た「遺された録音」として受け止められやすい一枚でなので、演奏の静けさに少し切なさが重なるのもわかる気がします。


この時期のエヴァンスは、Eddie Gómez と Eliot Zigmund との呼吸がかなり成熟していて、3人の会話のようなアンサンブルがまとまりやすい時期でした。
 この時期の Evans は、1976年にドラムは1968年から一緒にやっていたドラマー Marty Morell が1976年に Eliot Sigmund に交代しました。先に Lee Konitz, Warne Marsh のカルテットで録音が Crosscurrents (1977)、そしてこのアルバムと  You Must Believe In Spring (1977) をベース、ドラムとのトリオで録音しています。ジャンキーであり、肝炎などの病気を患っていた Evans は、繊細で知的、詩的なリリシズム(抒情性)な面のほかに、破壊的内面や、派手ではあるが孤独な側面を見せるようになってきますが、この盤では。ほの暗く、どこか諦念感にも通じる、透明感のある弾き回しを感じます。

I Will Say Goodbye ベースとドラムが前に出すぎず、Bill Evans のフレーズを支えながら、会話のように流れで、ほの暗い透明感があります。
Dolphin Dance Herbie Hancock が Maiden Voyage (1965) のために書いた曲。モーダルな響きと独特の浮遊感が印象的な曲ですが、原曲のモーダルな開放感を和声の余韻を残す方向に自然に置き換えられています。ドラムとベースの下支えによって内省的で落ち着いた印象に変わっています。
Seascape  メロディが出る前から曲の温度が決まっているように海の情景を感じる。これもベース、ドラムの下支えがあってこそのピアノの輪郭が浮き出る一体感のある演奏。
Peau Douce  フランス語のタイトルで、直訳すると「やわらかな肌」という意味。Evans が好んだ、メロディの美しさや音色の繊細さと相性のいいタイトル。音を詰め込みすぎず、短いフレーズの余白で色を出し繊細さの表現に効いています。
I Will Say Goodbye (Take 2)  もともとの Legrand作品で、美しい旋律をトリオでどう深めるかの製作過程として注目して、1曲目と比較して聴いたのだが、どのように表現したものか迷うほどにこちらも良し。
The Opener このアルバムで唯一のオリジナル曲。上品に場を整える感のある作品で、タイトルからすると、1曲目にするつもりで書いたのがアルバムの構成上真ん中になったのか?
Quiet Light  やわらかい青みのある透明感と、形の整った演奏で、派手さより透明感があり、音数を増やすより、残響や間で魅せるタイプですね。
A House Is Not A Home  Burt Bacharach と Hal David が書いた1964年の楽曲で、もともとは映画 The Cardinal のために作られた曲。歌もののメロディをジャズ・トリオらしい繊細な和声感で再解釈。
Nobody Else But Me  メロディがまっすぐで、Evans の細かな和声づけがよく映えていて、静かに気持ちを押し出すタイプです。
Orson's Theme  やわらかい抒情と静かな推進力が同居する曲で、Orson が誰かはよくわかりませんでした。空気を整えるように始まる感じが魅力的で、メロディが終わったあとに残る響きが心地よい。

優雅で繊細で美しい哀愁漂う音色に聞き入ってしまいます。賛否が分かれるようですが、私には、これぞ Bill Evans 的なものを十分感じるので、良盤であると思います🎶🎹

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gomez
drums : Eliot Sigmund

producer : Helen Keane
recorded (May 11, 12, and 13, 1977), mixed, and mastered at Fantasy Studios, Berkeley.

1. I Will Say Goodbye / Michel Legrand
2. Dolphin Dance / Herbie Hancock
3. Seascape / Johnny Mandel
4. Peau Douce / Steve Swallow
5. I Will Say Goodbye (Take 2) / Michel Legrand
6. The Opener / Bill Evans
7. Quiet Light / Earl Zindars
8. A House Is Not A Home / Bacharach-David

【Bonus】
9. Nobody Else But Me / Oscar Hammerstein II/Jerome Kern
10. Orson's Theme / Michel Legrand








定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。