大学のジャズ研時代にジャコを知って最初に購入した思い出の詰まったアルバムです。ソロデビューアルバムで、邦題は「ジャコパストリアスの肖像」。音楽史に永遠に残ると思われるジャコですが、本人の意思によって制作されたスタジオ・アルバムは Word Of Mouth とこの2作品のみしかありません。ベーシストのみならず世界中のミュージシャンに影響を与えているのに、たった2枚しか制作していないのは、ジャコを知れば知るほど、彼の素行によるものが原因であると推測できますがビックリです。
さて、このアルバムは1976年の発売で、ジャコは Weather Report に参加し、同年発売の Black Market に参加しています。 Blood,Sweat & Tearsのアルバム紹介でもとり上げてiいますが、このデビューアルバムの録音にあたっては、このアルバムのプロデューサーにも名を連ねている Blood,Sweat & Tears のドラマー Bobby Colomby が、ジャコの奥さんのトレイシーをナンパして翌日にからかい半分でジャコの演奏を聞いたら驚いたところから始まっています。ジャコの奥さんのナンパがきっかけとはいえ、大きなプロジェクトに発展させていて Come On, Come Over のボーカルにサム&デイブ、ホーンセクションにサンボーンとブレッカー・ブラザーズの顔ぶれと、かなり精力的にレコーディングメンバーも集めています。 さらにはハービー・ハンコックも全面的に参加でジャコを絶賛していたとのこと。
「Donna Lee」ジャズを嗜む人であれば必ずや通る Charlie Parker の名曲で、この長くて難解なテーマを普通はサックスとかのメロディー楽器で演奏するのが常ですが、フレットレス・ベースのみのソロでテーマのみを弾ききって、世界中にインパクトを与えてしまった名演です。私自身も、この演奏を聴かなければこの曲のテーマを弾くことはしていなかったと思います。ジャコとは関係ありませんが、Donna Lee最速選手権「ギター類の部 という動画はギタリストの方は、かなり楽しめます。
「Come On, Come Over」これはボーカルに Sam & Dave、ホーン部隊に Brecker 兄弟、サックスに David Sanborn、コンガに Don Alias という夢のような人選で録音されています。高校を卒業後に Cochran's Circuit Riders でソウル・バンドのベースマンとして活動していた素地からソウル曲のレパートリーは、彼のベースがジャズだけではなくソウル系の強力なグルーブからも発展していることがよくわかります。そんなことを思いながら聞き返していますが、インパクト抜群で、ソウル曲として最高に楽しめる内容で4分弱の録音では物足りなくて、もっと聞いていたい。
「 Kuru / Speak Like A Child」聴き直して、さらにこのレビューを書くことになって気づきましたが、Herbie Hancock の Speak Like A Child に、ジャコが新たに「Kuru」という部分を付け足しています。原曲を感じさせないので新曲のようなものになっています。冒頭から炸裂するベースのリフはジャコの参加する様々な曲にも使用される発明品で、どんな曲もグルーブさせる魔力を持ち、驚異のスピードで叩きだされる単純に聴こえる難関フレーズです。ストリングのアレンジもジャコが行っているとのことで新人のソロデビューでは、やはり異質でしょ
「Portrait Of Tracy」フレットレス・ベースでハーモニックスを使用している一人ソロ作品で、ベースで全てのピッチでハーモニックスを使用してしかもリズムを崩さないのは激ムズのようです。Tracy はジャコの最初の奥様です。
オーバーダブしているのかをAIに聞いてみたら、ジャコ・パストリアスの「Portrait of Tracy」は、オーバーダブを使わずに演奏されています。ジャコ自身が明言しており、多くの人がエフェクトや電子機器を使っていると思いがちですが、実際にはすべて手だけで演奏されています。特に「Continuum」という曲については、曲全体を2回弾き、2人の人が歌っているような音にしたと語っていますが、録音の際に片方のトラックは聞いておらず、全てを記憶して演奏したという驚異的なエピソードがあります。これは、ジャコ・パストリアスの超絶技巧と音楽性を象徴するものです。と言う自信満々の回答が返ってきましたのでファクトチェックはしません。ハーモニクスの難しさだけではない超難問曲のようです。
「Opus Pocus」ジャコの愛する楽器 steel drums が花形に据えられた楽曲ですが、サックスの Wayne Shorter も良い味だしてます。でもメインはジャコのベースです。改めて聴くと録音のバランスも良いことに気づきます。
「Okonkolé Y Trompa」ピコピコと機械のループのようなベース音で、トレーニングが曲になったのかなと昔思っていましたが、聴けばアフリカンなワールド・ミュージックでスピリチュアルな楽曲。タイトルはアフリカ系の言葉かと思いましたが、スペイン語で「オコンコレとホルン」という意味だそうで意味は無い造語とのこと。
「 (Used To Be A) Cha-Cha」曲名からはチャチャチャでも取り入れたラテンかなと想像する人が多いかと思いますが、格闘技のような猛者たちの技が連発する躍動感あふれる楽曲です。ジャコのベースラインは Kuru / Speak Like A Child でも、登場するものと似ているフレーズで、これもジャコの様々なセッションで色々な曲に流用されるパターンです。ギターでやってみて、単純に聴こえますが高速で弾いて特に指弾きではリズムを支えるのが難しい。
「Forgotten Love」ピアノをジャコが弾いて、ベースは Homer Mensch, Richard Davis の二人が弾いているシンフォニックな曲です。この曲にも大勢のストリングスが入っていますが、アレンジは Michael Gibbs でジャコではありません。短い曲ですが、人が多ければ製作費もかかるものですから、このアルバムが売れると判断してのレコード会社とプロデューサーの意気込みも伺えます。
アルバム全体もR&B、ジャズ、レゲエ、ラテン、シンフォニックと様々な曲でジャコを見せながらもまとまりのあるアルバムとしています。何百回もこのアルバムを聴いていますが、改めて最後の Forgotten Love など、プレイヤーとしてだけでなく、コンポーザーとして素晴らしい人であると再認識です。追伸 この時のジャコは酒もドラッグもやらない人でした🎶
released : Late April 1976
recorded : October 1975
studio : Camp Colomby Studios, Columbia Recording Studios C&B, New York City
producer : Bobby Colomby
1. Donna Lee / Charlie Parker
bass : Jaco Pastorius
congas : Don Alias
2. Come On, Come Over / Bob Herzog
bass : Jaco Pastorius
vocals : Sam & Dave
keyboards : Herbie Hancock
drums : Narada Michael Walden
congas : Don Alias
alto sax, soloist : David Sanborn
tenor sax : Michael Brecker
baritone sax : Howard Johnson
trumpet : Randy Brecker, Ron Tooley
bass trombone : Peter Graves
3. Continuum / Jaco Pastorius
bass : Jaco Pastorius
electric piano : Alex Darqui, Herbie Hancock
drums : Lenny White
bells : Don Alias
4. Kuru, Speak Like A Child / Herbie Hancock
bass : Jaco Pastorius
piano : Herbie Hancock
drums : Bobby Economou
congas, bongos : Don Alias
conductor : Michael Gibbs
violin : Harold Kohon, Harry Cykman, Harry Lookofsky, Joe Malin, Paul Gershman
どんな方たちなのかと言えば、1990年に矢部直、フランス出身の Raphael Sebbag、松浦俊夫の三人で創設された日本の Acid Jazz のプロジェクトが United Future Organization = U.F.O.です。2002年に松浦俊夫が脱退していますが、このアルバムの1993年は、未だ在籍中です。
「The Sixth Sense」 あまりよくわかっていないので間違っていたらすいませんが、おそらく Galliano の曲をサンプリングしてキーボードや他の生楽器を加えて創っているのでしょう か、それでボーカルが Galliano になっているのかと思うんですが。 Galliano では What Color Our Flag というアルバムを持っているのですが普段は好んで聴かないラップもの。なんで買ったんだろうと今まで不思議に思っていたんですが、ここで Galliano が参加してたんで購入したのかもしれないと何か納得。
「On Est Ensemble Sans Se Parler-L.O.V.E. 」これは、かなり印象的でした。ラップと言うよりは フランス語?のポエトリーリーディングとサンプリングで新しい。わたくし自身は、楽器をやっているので、演奏性のある曲が好きなんですが、これは楽曲全体のまとまりとかが良いんでしょうね。大好きです。最後のハーモニカでの締めくくりも良しですね。
「Vinyl Junkie」これは 生楽器主体でやっているノリ良し系の Acid Jazz で、私がPCでループ音源とギター等を重ねて作る時にかなり影響を受けた曲です。ジャズ的でありながらヒップホップ系のリズムが楽しめます。
「I'll Bet You Thought I'd Never Find You」次いでインド系ワールドミュージックが入ってからの、ヒップホップ系になり、フルートが出てきたと思ったらボサノバ系ボーカル。多分ボーカルの名前がクレジットされていないので Jon Hendricks のサンプリングだと思います。最後のスキャットの作り込みもやってくれてます。渋すぎる。
「Poetry And All That Jazz」 ポエトリーリーディングとヒップホップの融合パーカッションが効果的にリズムトラックに入ってフルートが怪しくフィルインの怪しさが漂います。
「Be Here Now」歪んだファズトーンはトランペット?、そして無機的なドラム、エロさを感じるテナーのサンプリングの組み合わせで、怪しく淡々と音が流れる。これも嫌いではない。
「My Foolish Dream」これは元ネタが検索で出てきました。 Archie Shepp の Song For Mozambique でスピリチュアルなヤツです。歌部分は Monday 満ちる で原曲と声質も似ていました。とても粋な曲です
Hanoi Rocks は、神戸の三宮の高架下を徘徊してた時に、安物ワゴンセールかなんかで購入したと思われる All Those Wasted Years は、記憶していたのですが、私のコレクションに、このアルバムがあることはすっかり忘れてました。Hanoi Rocks のファンでは無いので、 All Those Wasted Years と同時購入では無いとは思うんですが、これは記憶にない発見です。
前後しましたが Michael Monroe は は1981~1985年に流行したロックンロール・バンド Hanoi Rocks のボーカリストです。Hanoi Rocks のサウンドは粗目で、リズム乱れ勝ち、ギターはノリ重視のグシャグシャ系のイメージで、ギター馬鹿の私が Hanoi Rocks のギタリストの名前を憶えていないので、かなり ボーカルの Michael Monroe に人気が偏っていたと思います。 と書いたところでググってみると、このソロ・アルバムには、Hanoi Rocks から Nasty Suicide がギターで参加していました。
さて忘れ去っていたアルバムですが、改めて聴いてみるとサウンドはロックンロール系ですが Hanoi Rocks よりはすっきりしているイメージで、1曲目の Dead, Jail Or Rock 'N' Roll だけは、耳が覚えていました。またボーカルは、なんとなくRolling Stones の Mick Jagger の歌い方、声質が似ているような気がします。コーラスの入れ方もストーンズに似てるような・・好みまではいかないけど嫌いではないです。
アルバムの中で気に入ったのは、ロックンロール系を感じる Dead, Jail Or Rock 'N' Roll, パンク系を感じる Not Fakin' It の2曲。が、聴く前に想像していたより、意外とちゃんとカッコいい曲でした🎶
vocals, harmonica : Michael Monroe
backing vocals : Gennaro , Holly Vincent, Kim Lesley, Little Steven, Nicole Hart , The Monroettes
keyboards : Ed Roynesdal
piano : Ed Roynesdal , Ian Hunter
guitar : Jimmy Ripp , Phil Grande , Nasty Suicide
bass : John Regan , Kenny Aaronson
drums : Anton Fig , Thommy Price
sax : Mark Rivera
shaker : Michael Monroe
tambourine : Sue Hadjopoulos
producer, art direction : Michael Monroe
1. Dead, Jail Or Rock 'N' Roll / Little Steven, Michael Monroe, Nasty Suicide
2. While You Were Looking At Me / Little Steven
3. She's No Angel / Gary Holton lyrics by : Michael Monroe, Stiv Bators
4. All Night With The Lights On / Danny Lewis, Michael Monroe, Phil Grande
5. Not Fakin' It / Dan McCafferty, Darrell Sweet, Manny Charlton, Pete Agnew
6. Shakedown / Michael Monroe, Phil Grande
7. Man With No Eyes / Michael Monroe, Phil Grande
8. Love Is Thicker Than Blood / Martin Briley, Michael Monroe
9. Smoke Screen / Little Steven, Michael Monroe, Nasty Suicide
1975年6月20日のカナダ・バンクーバーでの完全未発表ライヴ音源で2021年の6月18日に日本先行リリースされたものです。日本は Bill Evans 信者が多いとか、日本人はダウンロードではなくCD購入派が多いとか聞きます。当然、日本人である私は見かけた瞬間にCDで購入しました。
ライブの会場は、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーの Oil Can Harry's という1968年に設立されたクラブ。このクラブでのライブをラジオで放送された音源で、オリジナル音源が所有者が2回変わってのリリースとのこと。録音状態は良いのに、ステージから比較的少し離れた席で聴いているようなマイク位置で、音量をあげないと臨場感に乏しいところが少し惜しいところでしょうか。そこがライブ盤の良いところかもしれないし、未発表音源なんだから、古びたラジオのような状態の録音のものでもファンやコレクターに響く十分なレベルです。
ライブの7か月前のヨーロッパ・カナダのツアー中にドラマーの Marty Morell が脱退していて、その後のツアーは Eddie Gomez とのデュエットで後半を乗り切り、1975年1月 に Village Vanguard の録音が Bill Evans Trio での初録音となり以降のツアーに参加しています。そして Bill Evans は、1974年に Milestone から Fantasy に移籍し、1975年に入ってからは歌手Tony Bennett との共作など企画色の強い録音が多くなり、1977年以降 Crosscurrents, I Will Say Goodbye, You Must Believe in Spring など Marty Morell の在籍していたころの緻密な演奏とは違った、空間のある演奏の録音を残しています。
「Sareen Jurer」この曲の Bill Evans の最初の録音は1974年でレパートリーに入って1年ほど。作曲者は Earl Zindars で彼が結婚した時に Bill Evans が付添人を務めるほどの知り合いです。クラシック的な響きのイントロで始まり、テーマはゆったりと幻想的でコードもユラユラと揺れるように上下する。その上をBill Evans が彷徨うようにソロをとり Eddie Gomez もリズミカルに緻密にソロと Bill Evans らしい演奏で良い。
「The Two Lonely People」甘いメロディだが物悲しい響きもあるこの曲は Carol Hall からの歌詞を見て作曲されたもので、当時の彼の実生活の心境に近いものとの見方があるようです。曲とは関係は無いのですが、当時 Bill Evans は恋人 Ellaine との不幸で冷え切った関係にあったらしく、作曲し初レコーディングした1971年の翌年に Bill Evans は新しい恋人と付き合い Ellaine は地下鉄に身を投げることになる。そんな話があると知ってこの曲を聴くと題名に付けられた意味なども含めて響きが変わります。
「T.T.T. (Twelve Tone Tune)」Esta Tarde vi Llover 「今日の午後雨が降るのを見た」メキシコが生んだ巨匠、Armando Manzanero アルマンド・マンサネロ氏の1967年作品で、失恋して雨が降るのをボーっと見ているという歌詞の曲です。Morning Glory にも収録されていましたが、こちらの方が激しめでしょうか。雨をボーっと見ているより激しく雨に打たれている感じがします。この曲もベースがカッコ良い。
「Quiet Now」これも Bill Evans が亡くなるまでレパートリーに残り続けたスタンダードで、典型的なイメージ曲です。重層的で美しい曲ですが、感情をこめつつ熱くならならず感傷に流されない演奏です。
「Up With The Lark」晩年のお気に入りだった曲で、1946年に発表されたが、1972年にエヴァンスが発見するまで余り世に知られていなかったようです。音の塊りが躍るようにつながっていくテーマのメロディが印象的で、速めのテンポのワルツしながらスイングしながら軽やかなピアノは聴きやすい。
「How Deep Is The Ocean」ジャズの定番としての長く親しまれている Irving Berlin のスタンダード。イントロから主題に入ってくるとグッとノリが良くなるリズミカルな曲である意味Bill Evans らしくはないけどスリリングさが感じられて楽しい演奏です。
「Blue Serge」トランぺッター Mercer Ellington の曲で、元曲を聴いてみると全く違う明るめの印象の曲で、かなり Bill Evans 流の静かなるリリシズムを加えた曲に変換されています。
「 Nardis」Miles Davis 作曲ですね。Bill Evans は数々のアルバムでこの曲を収録しています。お気に入りの曲なのでイントロのピアノ独奏は長め、Eddie Gomez のアルコのベース・ソロはぶっ飛んで行ってしまっているのが良いです。その後に入ってくるピアノ・ソロはノリが良く熱い感情が見え隠れするのでオッと思えます。
Bill Evans はリハしない人なので、新しいドラマーの Zigmundは、大きな会場ではビビりながら演奏したとの記述を見ましたが、ここでは、とてもリラックスしたい演奏と思って聴いております。
ちなみに Eddie Gomez は Bill Evans との演奏歴が長いので実にメリハリのある素晴らしい演奏で、Bill Evans が自分の世界に入ったソロを続けていると、Eddie Gomez も負けじとベースで違う世界に持って行くのも素晴らしい🎶🎹
当時の時代背景とかオファーからライブの状況までは、ライナーノーツに英語で、びっちり書かれていました。字が細かすぎて読む気になれなかったのですが、スキャンした画像を、AI(Gemini)にテキスト化するプロンプトを入れるだけ。今まではスキャンした画像をネット上にある無料のオンラインOCRでテキスト化して、無数にある誤字脱字、空白のテキストを手作業で埋めていく膨大な作業でやる気が起きなかったのですが、AIで手間が大幅に省けるようになったので、無料で利用できる AI の賢さと便利さに喜んでおります。
「I Love You Sweetheart of All My Dreams」総立ちになってヤンヤの喝采の聴衆に最後おまけプレゼントをピアノ独奏お届けしています。静かにピアノを弾き始めると客はうっとり。1分ほどで直ぐに殴りつけるようにコードを叩いて演奏は終わりますが、この短さでも満足度高し。没入すれば音を聴きながら見ているような感覚になれます。