時代によって、アルバムによって Monk のピアノは重かったりスムースだったりするのだが、久しぶりに聴いてみると、このソロ・アルバムの Monk は、独特の間やフレーズのひっかかりが非常に少なくて違和感がある。「聴きやすい」という方もいるとは思うが、このアルバムだけ買い忘れていたファンが何も知らずにこれを聴いたら、3曲目くらいまでは、どこぞの Monk 好き白人ピアニストの録音かと思うのではないかくらいの落差があると感じます。
そう思って最初のソロ・ピアノのアルバム Himself (1957) を聴きなおしてみても明らかに違う。Himself のほうが硬質で緊張感があり、フレーズごとに確かめるように、間やフレーズのひっかかり、和音をぶつける作業をしている。
ライナーノーツなどで、そこら辺に触れていないか読み返してみたが、日本語版の熊谷 美広の評には「スタジオのように使用時間を気にしないでいい雰囲気、そして周りに気兼ねする人がいない“アローン”な状態が、モンクにとっても心地よいコンディションだったようで、モンクもののびのびとしたプレイを聴かせている。この作品は、リラックスして、ノビノビと、そして自由的にプレイするモンクのピアノが心地いいソロ・アルバムだ。私たちも、自由で、開放的な気分で聴きたい」といたった記述で違和感までいかないようだ。
オリジナルの Orrin Keepnews 氏では「To what extent all these varieties of aloneness are reflected on the LP is an open question. What is clear is that Monk is in a predominately lyrical and introspective mood, with quiet emphasis on the blues and also with flashes of his characteristic wry humor. 」ぐらいしかしか記述がない。つまり抒情的で内省的なムード、ブルースへの静かな強調、特有の皮肉でユーモラスな閃きを見せているといつもの Monk でも形容しそうな表現しか使っていません。(aloneness の要因としては、1957年初頭よりも彼が遥かに大きな「有名人」となったこと、見知らぬ街での録音となったこと、手術から回復中の妻をロサンゼルスに残して来たこと、などがあるようです)
私的には大事件のように思えたのだが、amazon のレビューでも「地味な作品」「幾分リラックスしていいですね」世間的には Monk の一面ぐらいの感覚なのかもしれません。でも「妙にこどくさが浮かび上がる」の評もあり、もしかしたら Orrin Keepnews 氏 の記述の「aloneness are reflected」の一つに、この演奏上の孤独が表されているのかもしれません。
ちなみにこのアルバムは Orrin Keepnews 氏が、サンフランシスコで、Cannonball Adderley Quintet のライヴ・レコーディングの仕事に行っていた時に、Thelonious Monk も同じくサンフランシスコでライヴをやっていることを知って、ここでのレコーディングを思いついたのだが、ライブの他のメンバーがサンフランシスコの地元のミュージシャンだったためレコーディングメンバーがいない。そうだソロ作品 Himself (1957) の続きを録ろうと思い立ったのだが、適当なスタジオが見つからず、集会所のステージを2日間借りてレコーディングしたんだそうだ。
何かが書いてないかと必死に細かい文字の英語を解読しながらネット検索しながらアルバムを聴いていたら2回転ぐらいしてしまった。なんかどっぷりと疲れたが、こうやって聴くピアノ・ソロも良いもんである🎶🎹
piano : Thelonious Monk
producer : Orrin Keepnews
recorded in San Francisco, Fugazi Hall, October 21 and 22, 1959.
1. Blue Monk / Thelonious Monk
2. Ruby, My Dear / Thelonious Monk
3. Round Lights / Thelonious Monk
4. Everything Happens To Me / Matt Dennis
5. You Took The Words Right Out Of My Heart / Robin-Rainger
6. Bluehawk / Thelonious Monk
7. Pannonica / Thelonious Monk
8. Remember / Irving Berlin
9. There's Danger In Your Eyes, Cherie / Richman-Meskill-Wendling
10. Reflections / Thelonious Monk
【Bonus】
11. There's Danger In Your Eyes, Cherie / Pete Wendling, Jack Meskill, Harry Richman
▶ Bluehawk
▶ Remember









