いつもの「おでんバー」に行くと、NHKのラジオ番組がジャズ・トゥナイトがかかっていることがあります。番組の案内役は、音楽家の大友良英氏でホントにほれ込んでいるアーチスト音楽をかけている時には、明らかに言葉の勢いと量が違ってまた熱量が半端なく面白く聞かせていただいております。
その「おでんバー」である日かけていたジャズ・トゥナイト。2021年4月24日放送分では日本人のジャズ・ピアニスト秋吉敏子の特集でした。秋吉敏子は名前は聞いたことがありましたが、大友良英氏の推薦版だけあって中々の濃い内容でありました。1929年の満州生まれのピアニストで、小学校からピアノを習い始め1950年代から活躍されていたピアニストとかの解説はマスターから聞き、かかっていた曲は非常にモダンで繊細なタッチのピアノでスイング感がありながらも随所にクラシックっぽい素養がある知的な演奏であることがインプットされて、後半は日本の民謡とのコラボ作品では日曜の「題名のない音楽会」でよくこういうのあるよねとか言いながら聴いておりました。
そして、いつも「おでんバー」に行く前に、ジャズの品揃えはほぼ壊滅状態の中古ショップで秋吉敏子を発見してしまいました。先週初めて聞いたところでこれは「縁」であると買わせていただいたのが本アルバム。
パッケージを開けて聴き始めると録音は1993年なのでだいぶ晩年の作品にも関わらず、流れるような手さばきのピアノの正統派を聴いてとれるトランペット、テナーの2本のフロントラインに3リズムの典型的な編成コンボによるビ・バップです。かっこいいですが1993年での録音ということはお幾つであるのかを考えると「時が止まっているんじゃないか」などと、マスターと談笑しながら楽しく聞かせていただきました。しかし彼女の2018年のライブを収録したアルバムが発売されているとのことを見て、2019年時点で90歳でなお現役活動を続けられていることを知りました。1993年なんて、そのひと昔前の録音は驚くに値するものでもありません。タイトル曲のマイルスのDIGは、こなれたピアノソロ以降はトランペットとテナー、ドラムのフォーバース、スリリングですがどこに飛んで行ってしまうかのようなことはなく安定感抜群。その他、JJジョンソンのバラード Lament 。Lazy Day、Haliquin、Uptown Stroll は秋吉敏子のオリジナルです。ラジオで知ってからのご縁ですがこうやって知って感じることができるのも、また楽しいものです。
Wikiでは本名の表記は「龝吉 敏子」と難しい漢字のほうでした。それとライナーノーツには、多分あえて御年は記載されていなかったですね。
piano : Toshiko Akiyoshi
bass : Peter Washington
drums : Kenny Washington
tenor sax : Walt Weiskopf
trumpet : Conte Candoli
producer : Tetsuya Iwasaki
recorded at Sound On Sound Recording Inc. on March 22nd, 23rd & 24th 1993.
1. Dig
2. Lament
3. Lazy Day
4. Haliquin Tears
5. Uptown Stroll
6. Morning Of The Carnival
7. La Mucura