2021年4月27日火曜日

ふがいない僕は空を見た 窪美澄

 

 最近読む本が官能小説もどきが多いんです。選んでいるわけではないんですが古本屋で本の題名を見て買うとそちら系の小説にあたります。この本も生々しい性描写から始まるので、またまた困惑しました。しかし主人公の性描写の後には、かかわる登場人物から見た出来事が展開されていくと本の中にいた自分の世界観がくるっと変わります。
 セックスの快楽に溺れていたように見えるのだが、それなりの苦悩を抱えながらもこんなことになってしまう。人間とは不思議なものです。
 コスプレ・セックスが知れ渡ってしまい大変なことになる斎藤くんですが、その助産婦をされている母親がたくましく頼もしい。この事件以外は斎藤君は純粋で優しく倫理観もある。それだけに読んでいても理解できず共感できない。この共感できないところが面白さにつながっているような気がします。
 生きるということは痛みが伴ったり、喜びがあったりいろんなことがあり、色々な考え方がある。本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また’11年、同書で山本周五郎賞を受賞。映画化もされているようです。

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