2021年5月2日日曜日

本日のCD Jaco Pastorius ♪ Word Of Mouth


 これはジャコがウェザー・リポートに在籍中の1980年に録音したジャコ自身がリーダーとしては2作目のソロ・アルバム。
 このアルバム制作にはいろいろと裏話(今となっては表ですが)があります。このアルバム「Word Of Mouth」の制作の契約発売のレーベルはワーナー・ブラザーズ。1枚目のデビュー作「Jaco Pastorius(ジャコパストリアスの肖像)」はエピック。当時加入していたしていたウェザー・リポートのレーベルであるコロムビアにはこのジャコのソロ制作の印象は裏切り行為のように映り印象は当然良くなかった。
 制作では、ロサンゼルス交響楽団から31人を雇って「John And Mary」「Three Views Of A Secret」に9,000ドルかけたが、ボツにしてその中から7人を選んで9回のオーバーダブで63人編成に仕上げなおしたり、ニューヨーク、ロサンゼルス、フロリダとあちこちで録音しオーバーダブで仕上げるなど予定した予算を大幅にオーバーしたとのことで、制作サイドにはかなりの迷惑をかけているようで、雑誌インタビュー記事などからは、このアルバムの制作の構想はかなりの前からあったことは間違いないですが、ウェザー・リポート加入での名声と成功、ドラッグと酒に侵されたジャコの正常な金銭感覚は失われてたようです。
 発売の結果は評論家の間では評判は良く日本ではゴールド・ディスクを獲得。しかしアメリカでは5万枚の売り上げだけで終わり、ワーナーの目論見は大誤算となったとのこと。
 録音内容としては秩序のあるフリージャズのようなCrisisで幕開けするこのアルバムは、聴いていると何かの情景が浮かびそうな美しさ、幻想的であり、せつなさもあり荒々しさもある素晴らしい作品ですが、ワーナーとしてはウェザー・リポート級の売り上げを期待していたのでしょう。十分良いアルバムではありますが、ジャズ・ビッグバンドの形式では購入層もウェザー・リポートで取り込んでいたアメリカのロック世代の若年層には響かなかったということ。ジャコの衝動的な計画性のない録音はいただけないですが、ワーナーにもその期待は外れてもしょうがないだろうとは思いますね。
 
1. Crisis
2. 3 Views Of A Secret
3. Liberty City
4. Chromatic Fantasy
5. Blackbird
6. Word Of Mouth
7. John And Mary





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