2024年7月19日金曜日

David Sanborn / Heart To Heart


 David Sanbornのリーダー作は、ほぼコンプリートしているのですが、前作1977年の「Promise Me the Moon」だけは持っていません。気づいていたのですが、聴く前にサンボーンは、2024年5月12日に亡くなってしまいました。78歳とのことで楽しませていただきありがとうございました。
 前作を聴いていないので前々作 Sanborn と比較すると、前々作は少しソウルっぽくて泥臭いウンドで、まだ時代を感じさせる古めのアレンジに対して、フュージョン全盛時代の都会的な垢ぬけたサンボーンに変化する手前といった感じです。このような作風はメンバーやプロデューサーによるところが大きいと思いますが、プロデューサーは Sanborn は Phil Ramone、本作は John Simon となり、とても暖かい音のアルバムです。音作りはソウル寄りのジャズに近い曲が多いようで、当然、プロデューサーの意図であると思いますが、stuffのメンバーの Steve Gadd, Richard Tee の参加、そのソウル魂に加えて Herb Bushler のズンズンと低く響くベースとリズムがこのサウンドにさせているのでしょう。ソウル寄りフュージョンではありますが、決してstuff 軍団に乗っ取られているわけではありません


 それでは、何百回と聴いてきたアルバムのレビューをしてみましょう。Solo フォーク調のイントロで始まる穏やかで温かい響きの曲です。Don Grolnick はこういった曲をエレピで弾かせると、自己主張せせずに曲に溶け込み、且つ美しく、他のパートを引き立てる演奏です。David Spinozza のアコースティックギターも効果的です。この人もサンボーンのバンドで良い仕事してます。サンボーンばかりで注目してたんですが、私の所有音源でサンボーン以外のの David Spinozza 参加のアルバムを見てみたら、Rod Stewart / As Times Goes By..The Great American Song ⅡThe Brecker Brothers / DetenteDonny Hathaway / Extension Of A ManRoberta Flack & Donny Hathaway など、ソウル、フュージョン系はなるほどですが、Rod Stewart は意外でした。Short Visit 出だしは Herb Bushler のシンプルな低いベースラインから始まるスローテンポのソウル調の楽曲ですが、このベースラインの伸ばした音符を微妙に♭にずらすところが素敵。また、プロデューサーの John Simon による楽曲です。Gil Evans のアレンジによるホーン部隊の厚みのあるオケも最高です。ギターの Hiram Bullock は未だ、この頃も目立たないようにカッティングしてます。あのコーラスかけたクリーントーンが後半に着目すると聴けます。Theme From "Love Is Not Enough" エレピで Richard Tee が参加となり、Steve Gadd が叩いているんで、やはり stuff っぽさが少々。Lotus Blossom フュージョン時代のサンボーンの名物みたいな曲で Don Grolnick 作曲です。テーマのメロディーやはかない曲の感じが大好きな曲ですが、David Spinozza のボサノバを取り入れたギターのバッキングも素晴らしい。一旦曲が盛り上がって、ブレイクした部分からこのギターが始まると静かに野に咲く花が見えるような気がします。Heba サイケな響きのするイントロが印象的な David Sanborn が作曲。これはソウルっぽさは全くありません。テーマ部分はサンボーンの独特なアルトの吹き方が非常にマッチする作りです。Hugh McCracken のスライドギターがブルース風ではなく中東的な感じで、ここら辺も怪しい雰囲気に非常にマッチ。Sunrise Gospel この曲に関しては stuff 軍団に乗っ取られているのですが、そこが良いんですね。最初のほのぼのした雰囲気が段々とソウルのリズムに変化していくのですがジリジリとしか変化しません。ためて、ためて最後にダンス系になるところで精神が解放されます。また David Spinozza の曲の途中のギターのバッキングがレゲエ的なところがありますが、このバッキングは私の大好きな Smile で使われているのと同じであることを今回発見しました。いや楽しい。Anywhere I Wander で最後になりますが、このアルバム以降で見られるサンボーン・フュージョンにつながる出来栄えであるところが、また次のアルバムを楽しみにさせてくれる楽曲になっています。
 ホントに何百回も聴いているアルバムですが飽きません。これは私のCD棚の良く聴く場所に再度戻しておきます🎶

alto sax : David Sanborn
【additional horns】
trumpet : Randy Brecker
tenor sax : Michael Brecker
tromborne : Sam Burtis
【additional percussion】
Ralph MacDonald
producer : John Simon

 1. Solo (Tony Jaffe)
piano : Don Grolnick
acoustic guitar : David Spinozza
electric guitar : Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
vibraphone : Mike Mainieri
recorded at Rosebud Recording Studio 1-18-78
 2. Short Visit (John Simon)
piano : Don Grolnick
guitar : Hiram Bullock
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
french horn : Jon Clark
percussion : Warren Smith
clavinet, synthesizer, french Horn : Pete Levin
soprano sax, alto sax : Arthur Blythe
tenor sax, flute : George Adams
trombone : Tom Malone
trumpet : Jon Faddis, Lou Soloff
tuba : Howard Johnson
arranged by : Gil Evans
recorded at A&R Studios 1-19-78
 3. Theme From 'Love Is Not Enough' (Coleridge-Taylor Perkinson)
electric piano : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
recorded at A&R Studios 1-20-78
 4. Lotus Blossom (Don Grolnick)
piano : Don Grolnick
acoustic guitar : David Spinozza
electric guitar : Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
vibraphone : Mike Mainieri
recorded at Rosebud Recording Studio 1-18-78
 5. Heba (David Sanborn)
piano, organ : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza
slide Guitar : Hugh McCracken
bass : Anthony Jackson
drums : Steve Gadd
recorded at Rosebud Recording Studio 1-17-78
 6. Sunrise Gospel (Herb Bushler)
piano, organ : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
tambourine : Warren Smith
recorded at Rosebud Recording Studio 1-17-78
 7. Anywhere I Wander (Frank Loesser)
piano : Richard Tee
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
arranged by : Coleridge-Taylor Perkinson
recorded at A&R Studios 1-20-78





  

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