1961年録音のドナルド・バードのメンバーがかなり贅沢なリーダー作です。ピアノがHerbie Hancock、サックスは Wayne Shorter、ベースは、Butch Warren(ブッチ・ウォレン)で、私所有の音源では、このアルバム関連ではハンコックの初ソロアルバムにHerbie Hancock / Takin' Off(1962)、ハンコックとの別の共作 Donald Byrd & Herbie Hancock / Royal Flush(1961)、に参加、他、Thelonious Monk / The Classic Quartet(1963)、Thelonious Monk / It's Monk's Time(1964)なんかもあります。ドラムの Billy Higgins は、様々なシーンで見かけますが、Herbie Hancock / Takin' Off(1962)、 Donald Byrd & Herbie Hancock / Royal Flush(1961) には、やはり参加のこの時期の鉄板メンツです。
アルバムの全体的な印象としては、ジャズ・ロックを開発したと言われる Lee Morgan の The Sidewinder(1963)を先取りしているような感じです。8ビートを入れただけでジャズ・ロックってのも少し違和感がありますが、その仕掛人として、Sidewinder にリズムの要として Billy Higgins が参加していたのにも、流れがあることを勝手に聴きながら考察してます。
このアルバムは2025年に Disk Union で中古購入のもので、しばらく家で寝かせてから、いつもの行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に持って行きましたが、Donald Byrd には結構渋いマスターも上々の反応を見せてくれたのが、ちょっと嬉しい感じです。マスターは、Herbie Hancock にも渋い反応が時々あります。
ということで、全曲レビューしときます。Pentecostal Feeling タイトルの Pentecostal は、ライナーノーツに子供の頃に通っていた教会のイメージの作品とのことで、地名かと思っていたら、アメリカのプロテスタント教会の一派であるとのこと。非常に明るいイメージでの曲でバードは楽しい子供時代をここで過ごしていたことが伺えます。ハンコックのピアノも、ジャズよりもレイチャールズ的なニュアンスを意識しているしゴスペル的なものも感じます。2曲目の Night Flower はハンコックからの楽曲提供のジャズ・バラード。聴いていると自然なコードワークに聞こえますが、演奏者は次にどんなコードがくるのか予想できないパターンらしいです。そう言われると一音づつに付けられたコードがクルクルと変化しているような気もします。Nai Nai 明るい曲が来ます。リーダーのソロも高音域で軽やかにコロコロする奴で実に快調です、次いでショーターのソロもゆったり目からドンドンと音を詰め込んでいきハンコックへの受け渡し部分は少し中途半端かと思いますが、上々のソロ、正調な響きが楽しい。French Spice 作品としては、シカゴの女性コーラス・グループの為にバードが書いた作品で、イントロはソロりとテーマからリズムが躍るタイプの曲になり、創作ダンスにコーラス・グループは使っていたらしい。Free Form アルバムのテーマ曲で音楽的な創作テーマが盛り込まれていて、このアルバムでの中で異色の音楽性の作品です。テーマがはっきりした楽曲ではないと思っていましたが、解説によると1回目、2回目のテーマは同じ音程で進行しているが、開始は別の音からスタートしているとのこと、なるほどそれでインプロ作品に聞こえるわけです。音は12音を使った音階と思いきや2回のテーマをつなげると12音になるらしい。Billy Higginsn のドラムにもリズムは指定せず、メロディーにもリズムはつけなかったとも書いてあります。何が書いてあるかの判別が楽器をやっていない方にはさっぱりわからないですね。つまりはテーマの部分だけ2回で12音使うことがルールでリズムを指定しない、つまりトランペットとサックスで同じ音程をお互いの音を聴きながら次の音が予測はできるので、完全にインプロではない。ソロはさすがに12音の制限はしていないと思われますので最初だけ、ちょっとルールは付けた、ほぼインプロなのですかね。いずれにしろ、最後のテーマ曲は、緊張感がありエネルギーは感じます。
聴けばスルメのアルバムのうちに入るかと思いますが、最後の曲が、やはりこの曲のメインテーマ、そこに持って行くまでにリハーサルのように普通の楽曲を演奏しているわけです。もしかしたら最後の曲以外は全部おまけのような存在かもしれない、等と色々な想像ができます。考えると奥が深いような気もしますが、実は何も考えない散漫な曲の羅列の可能性もあるかと思うと、やはり面白いです。つまり1曲を聴くのではなくすべてを順番に聴いて最後に???と考えると不思議な感覚が味わえる。うんスルメかな🎶
trumpet : Donald Byrd
piano : Herbie Hancock
bass : Butch Warren
drums : Billy Higgins
tenor sax : Wayne Shorter
producer : Alfred Lion
recorded by Rudy Van Gelder
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
recorded on December 11, 1961.
photography by (cover photo), deesign : Reid Miles
1. Pentecostal Feeling / Donald Byrd
2. Night Flower / Herbie Hancock
3. Nai Nai / Donald Byrd
4. French Spice / Donald Byrd
5. Free Form / Donald Byrd
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