2022年3月4日金曜日

Thelonious Monk / It's Monk's Time

 

 米国雑誌「TIME」表紙に1964年2月28日号の表紙となったことを記念に制作されたアルバムです。なのでタイトルは It's Monk's Time となっています。「TIME」表紙になったジャズミュージシャンは最初は Dave Brubeck 1954年11月8日号 で、この時も Brubeck Time というアルバムが発売されています。モンクは2人目のミュージシャンです。この掲載ですが元々は、マイルス・デイビスを表紙にする依頼があったがマイルスは「TIME」を白人に偏りすぎている雑誌だとして拒否したため、レコード会社の窓口だった Teo Macero がモンクを推挙したとのこと。1964年と言えばアメリカは人種差別を禁止する公民権法が可決された時であったことからして、この号は黒人のミュージシャンである必要性があったんですかね。


 そのような経緯があって制作されたアルバムなので、軽めの内容にする必要があったのか、60年代のモンクは明るく活快な方向へ転じていたのでそうなのかは、前後聴き比べてみる必要があるとは思いますが、非常に明るくモンク節が楽しめると同時に親しみの持てるポップ感も感じる内容になっています。またソロ・ピアノとカルテットの曲が収録されているので、その点でも楽しめる内容ですが初期のモンクが好きな人にはポップ過ぎて物足りないかもしれません。最初にモンクを聴いて少しづつ理解するよりも最初にこれを聴いていれば一発で好きになったかもしれないです。
  一曲目の Lulu's Back in Town はピアノ・ソロで、ほのぼのするラグタイム調の明るい曲でこれをモンク節を入れてコミカルにインパクトある演奏に仕上がています。途中からモンクもノッてきて唸ってます。そしてソロが長いイントロのようになってカルテットの安定した息の合った演奏が始まります。テーマ部分のベースが不安定に落ちていくようなところがたまりません。Memories Of You は、しっとりとしたタメのあるモンクのソロ・ピアノから始まり、これは終始モンクのみ。最後のピアノのトリルがシャレオツです。その他 いつものBrake's Sake なんかは聴いてて安心感あり。Nice Work If You Can Get It は、またもやラグタイムのようなピアノ・ソロ演奏で唸ってます。モンクノッてます。Shuffle Boil で、またモンクらしい演奏は良いですな。ラグタイム調のスライドピアノのようなものが入っているのもこのアルバムの特徴ですね。
 明るくて聴いてて気持ち良いんですが、この間夜寝るときに、このアルバムを睡眠剤代わりに小さな音でかけていたら夜中に何か恐ろしい夢を見てうなされて起きてしまいました。睡眠誘導には向かないようですね🎵

piano : Thelonious Monk
bass : Butch Warren
drums : Ben Riley
tenor sax : Charlie Rouse

producer : Teo Macero

recorded 1964 in New York City on:
January 29th (5, 8), 30th (3, 7), February 10th (1, 4), March 9th (2, 6, 9).

1. Lulu's Back In Town
2. Memories Of You
3. Stuffy Turkey
4. Brake's Sake
5. Nice Work If You Can Get It (Take 3)
6. Shuffle Boil (Retake)
【Bonus Tracks】
7. Epistrophy (Take 1)
8. Nice Work If You Can Get It (Take 2)
9. Shuffle Boil (Take 5)





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