2022年3月12日土曜日

土岐英史 feat. 竹田一彦 / Live at "RAG"

 

 2021年6 月に永眠した土岐英史のライブ録音の Live at “RAG" が12 月15 日に発売となりました。ギタリスト竹田一彦を迎えた本作は2020年9月にリリースした The Guitar Man の録音前夜に京都〈Live Spot RAG〉にて行ったギグを収録したライヴ盤となっています。
 竹田一彦は1936年生まれの御年84歳にして現役バリバリのギタリストです。ハンク・ジョーンズやミッキー・ローカーなど、海外のレジェンド達とも共演するなどの戦後日本のジャズの歴史に名を刻む人で、ジム・ホール、ケニー・バレルと歳は同じで進駐軍のラジオ放送でスイング・ジャズを聴きながら腕を磨いたそうでコピーは若い頃しかしなかったそうですが、バレルの影響はかなり感じます。
 本作のプロデュースを行った Days Of Delight の平野暁暁臣氏のライナーノーツの記載によれば「後の世にライブ音源を遺すこと自体に歴史的な意義がある。そう考えてリリースを決めました」とありますので、このライブは録音こそしていたものの音源化する予定は無かったアルバムということが伺えます。


 収録曲は C Minor が The Guitar Man には収録されていませんが、残りの3曲 Everything Happens to Me、On the Trail、The Guitar Man はスタジオ盤とライブの聴き比べを行うことができます。
 土岐氏のサックスと竹田氏のギターの絡みも絶品ですが、オルガンの宮川純、ドラムの奥平真吾とも初顔合わせとは思えないリラックスして息の合った演奏です。特にはオルガンの卓越した技が濃厚でブルージーな味わいに大いに華を添えています。スタジオ盤では終始落ち着いていて、メンバー同士のが音を聴きながらじっくり噛みしめるような演奏でしたがやはりライブでは楽しげな雰囲気が伝わってきます。客が近くで見るコトによって楽しんでもらうという違いなんでしょう。複雑なコード進行や変拍子もなくシンプルな演奏の4曲ですが、見に来ていたお客さんは大満足だったライブであるに違いありません。ライブでの Gee Baby, Ain't I Good to You も聴きたかったですね🎵
「今回のプロジェクトは具体的ななにかを得るためじゃない。むしろなにが生まれるんだろう?っていう感じかな。ただ、もしかしたらもう一度自分自身を見つめ直すきっかけになるかもしれない。ある意味でぼくの原点に帰るようなことだからね」 ―土岐英史

alto sax : 土岐英史 Hidefumi Toki 
guitar : 竹田一彦 Kazuhiko Takeda
organ : 宮川純 Jun Miyakawa
drums : 奥平真吾 Shingo Okudaira

(2020 年3 月5 日京都RAG にてライヴ録音)

1. C Minor (H.Toki)
2. Everything Happens to Me (M.Dennis)
3. On the Trail (F.Grofe)
4. The Guitar Man (H.TOKI)




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