2022年3月15日火曜日

Herbie Hancock / Head Hunters

 

 ジャズ・ピアニストとしてのハンコックよりも、この時期のファンキー・フュージョン路線が私の学生時代のハンコックのイメージです。最近になってハンコックのアコースティック時代の作品を聴いていてこのアルバムを聴いて「そうそう、これなんだよね」って感じですね。
 未だ聴いていないんですが、エレクトリック路線としては、この前の作品の Fat Albert Rotunda で取り入れてはいたようで、この Head Hunters は、音楽的にも一歩踏み出した契機の作品とのことです。購入のきっかけとしては、このアルバムに学生時代の思い入れがあったわけではなく、この録音から派生したバンドの The Headhunters / Survival Of The Fittest を先日聴いて中々のものだったことからこれはマストで聴いとかなければならないアルバムと思ってのことです。


   元祖のこのアルバムの方がファンク・R&Bの取り入れ方としては直接的に響く感じがして、良い意味で都会的な古臭さがあって楽しいですね。Wikiでは「ジャズ・ファンの枠を超えて反響を呼び記録的に売上げるとともに大きな名声を獲得したが、当時のジャズ・ファンからは、ハービーも堕落したなど非難を受けることもあった」などの記述もありました。ゆるく路線変更を試みていく人が多い中、おそらくがらりと作風を変えたあまりの路線変更に拒絶反応が起こった人も多くいたようですね。ストレートなジャズを期待して購入したらなんだこれは?ってとこでしょうか。いやジャケを見たら方針変更は明確なんですから、小難しいことを言いたがるジャズ・リスナーがファンクを下に見ていたことによるハンコック離脱への批判と言ったところなんですかね。まあ今ハンコックを何枚か聴いていてアコースティック時代を聴いていた人たちががっかりする気持ちもわからんでもないです。
 収録曲の冒頭 Chameleon は、気持ちの良い16ビートのベースに乗せてハービーのシンセがシンセサウンドで宇宙的な広がりを見せる気持ち良いジャズ・ファンクを聴かせてくれる。Watermelon Man は、ハービーが初のリーダー・アルバム Takin' Off (1962年)で発表した楽曲で、これをジャズ・ファンクのアレンジで再演したもの。この名曲をここまでファンクへの進化を見せたカバーは類を見ないのではないでしょうか。イントロのパーカッションソロから、あの Watermelon Man にさりげなく発展させるとは、このメンバーならではの名演です。3曲目 Sly は、当然ファンクのヒーローである Sly Stone を意味する楽曲の、ブラック・ファンク でこのタイプのフュージョン・ファンクはハマるものがあります。Vein Melter コマーシャルな楽曲ではないものの、ずっしりとして怪しげで力が入っています。これもこのメンバーならではの楽曲です。
 ハービーはソウルやR&Bはバカげた音楽だと思っていて、絶対にやらないと決めていたらしい。しかし心のどこかに惹かれるものがあり、このアルバムでそのドアを開けてみたとのことです。徐々にファンクっぽくなるミュージシャンはいますが、こんなに急な扉の開け方をする人は中々いません。👏ですね🎵

clavinet (hohner D6), electric piano (fender rhodes), pipe, synthesizer(arp odyssey, arp soloist) :  Herbie Hancock
electric bass, ,marimbula : Paul Jackson
drums : Harvey Mason
agogô, cabasa, congas, percussion(beer bottle, gankoqui), slit drum(log drum), shekere, surdo, tambourine, vocals (hindewho), balafon : Bill Summers
soprano sax, tenor sax, saxello, bass clarinet, alto flute : Bennie Maupin

producer : David Rubinson, Herbie Hancock
recorded by : Dane Butcher, John Vieira

recorded at Wally Heider Studios, San Francisco and at Different Fur Trading Co., San Francisco.

1. Chameleon
2. Watermelon Man
3. Sly
4. Vein Melter



▶ Sly


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