2025年4月9日水曜日

Jimmy Smith / Crazy Baby

 

 Jimmy Smith については、1957年から1962年までのアルバム7枚分を集めた Jimmy Smith Vol3 Seven Classic Albums を持っていて、極めて品行方正な内容でしたので、ファンキーなオルガン奏者と言われている割に、ジャズ・オルガンの第一人者って、こんな演奏なのかと思っていました。しかし黒さ100%で粘着性が高くジャズというよりは、超ド・ジャズ・ファンクの Jimmy Smith Live ! Root Down を再度聴いて、ファンクな Jimmy Smith が無いかと中古屋で見ていたら、車の宣伝のようなジャケットに、タイトルは「クレージー」です。これはファンクっぽいヤツに違いないと2025年に入ってから購入しました。


 メンバーは、ベースレスのトリオで、ギターの Quentin Warren は所有音源ではお初。ドラムの Donald Bailey は、Jimmy Smith Vol3 Seven Classic Albums と、日本人ピアニスト 中島政雄 Masao Nakajima Quartet / KEMO・SABE(1979)に参加していました。
 それでは全曲レビューです。「When Johnny Comes Marching Home」解説によるとイギリス民謡の 3羽のカラス が下地にあるとのこと。出だしはマーチで勇ましく古臭いです。しかしギターソロが始まってからは、スイングするブルースに転じます。Quentin Warren のギターは所謂ジャズ系で暴れまくるタイプではないようです。バッキングのギターのカッティングもザクザク切り込んでくるタイプではなく大人な感じです。こういったスイングでのオルガンのペダル・ベースによるランニング・ベースは音の減衰が無いまま次の音に移るのがズンズンと前に引っ張られる感じがして気持ち良いです。「Makin' Whoopee」オルガンのスモーキーで擦れた音色と、ブルースハープのウプッという息継ぎのような破裂音のようなコードが入ってくるオルガンが良いです。このパーカッシブな感じがハモンドの出せる魅力の一つですね。これが高速で展開されるファンク曲でやられると、私の大好きなパターンになります。曲名の Whoopee は宴会でのバカ騒ぎのこと。「Night in Tunisia」は、ジャズファンなら誰もが知るスタンダード。特徴はなんといっても最初から繰り出される、Donald Bailey と Jimmy Smith の3連符連打でしょうか。Quentin Warren は、このバカ騒ぎのような3連には参加していない?と思いますが、もしかしたら3連フレーズの最後の少しだけタイミングずらした高音3連はギターかもしれないと期待してましたが、曲のラストで Jimmy Smith だけになった時にオルガンの音であることが判明。ギターソロは相変わらず品行方正です。「Sonnymoon for Two」Sonny Rollinsの作品の渋めのブルースで、淡々としてます。段々と盛り上げていく典型的なパターンですが、淡々と盛り上げていきます。「Mack the Knife」解説には「サキ・コロ」でおなじみの<モリタート>と書いてありますが、なんのこっちゃわかりません。調べて見れば Sonny Rollins / Saxophone Colossu (1956) の ④曲目 Moritat のことらしい。ネットが無い時代ならわからないところです。Makin' Whoopee で使っていたスモーキーな音と、ウっと言うコード音で、繰り返しフレーズの連符の部分がとても良いです。ドラムのブラシ・ワークが渋く、派手さはないけどスイング感を出しています。気が付けばギターは、またお休みと思ってたら最後のフェイド・アウト部分で爆音で鳴らさないと気付けない程度にコードを鳴らしていたようです。「What's New?」1939年に書かれたスタンダード。音圧強めなのにエレガントさがあります。「Alfredo」プロデューサーの Alfred Lion に捧げたスミスのオリジナルですが、曲名の o が、誤植なのか意味があるのか?オリジナルでは、この曲が最後なのでアルバムの締めがプロデューサー名とは、よくプロデューサーもOKしたもんです。💡だから o を付けて少しだけ控えめにしたのか?な。「If I Should Lose You」おまけですが、結構いい味出してますしアルバムのまとまりは崩さない演奏です。「When Lights Are Low」ベニーカーター作曲の1936年作品で、ハッピーな曲調で、これは軽くおまけって感じです。
 気になっていたカバー写真は、Reid Miles でした。Sonny Clark / Cool Struttin' (1958)  の女性のヒール足ジャケ、Eric Dolphy / Out To Lunch! (1964) のレストランの変な時計写真ジャケなんかが印象深いですが、ミュージシャンの人物画像も多数のアルバムに掲載している人です。カバー写真で期待するほどのファンク度は少ないですが、ソウルフルでジャズで良いアルバムでした。1960年より後のアルバムに期待してもう少し研究していきたいと思います🎶

organ : Jimmy Smith
guitar : Quentin Warren
drums : Donald Bailey

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder
recorded at the Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on January 4, 1960.
songs 8 and 9 are cd bonus tracks.
photography by (cover photo) : Francis Wolff

1. When Johnny Comes Marching Home / Louis Lambert
2. Makin' Whoopee / Gus Kahn, Walter Donaldson
3. A Night In Tunesia / Dizzy Gillespie, Frank Paparelli
4. Sonnymoon For Two / Sonny Rollins
5. Mack The Knife / Bertolt Brecht, Kurt Weill, Marc Blitzstein
6. What's New / Bob Haggart, Johnny Burke
7. Alfredo / Jimmy Smith
8. If I Should Lose You / Leo Robin, Ralph Rainger
9. When Lights Are Low / Benny Carter, Spencer Williams 






  

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