2022年12月30日金曜日

Masao Nakajima Quartet / KEMO・SABE

 

 最近忙しかったり、腰が痛かったりして出歩いて音源を見に行くこともしていなかったので、久しぶりに新宿を徘徊してみた。徘徊と言ってもお決まりのディスク・ユニオンとタワレコのハシゴで気が向けばツタヤに行くぐらいです。ディスク・ユニオンは相変わらずでしたが中古販売フロアのソウル系の品揃えが少し縮小気味。中古販売フロアで10枚ほど見繕ってレジに預けると丁寧に包装をはがしタグを外す可愛い店員さん。しかし急にトイレに行きたくなってきて私は若干イライラです。この店の中には客用のトイレは無いはずなので緊急事態です。早く会計をお願いしますと心の中で叫び、店員さんも落ち着きのない私の動作を見て袋に入れますか?いやその時間がもったいないので直接自分の鞄に入れて会計を済ませます。近くのパチンコ屋に駆け込んでギリギリ、セーフでした。思うのですが本屋とレコード屋に入ると急にしたくなる事が多いような気がします。
 まったく本作のピアニスト中島政雄には関係のない話でした。事前にこの人を知らず店頭で気になってのこの日の2件目タワレコでの購入です。


 さてこの中島正雄というピアニストの名前は初耳なのでググって見ます。があまり詳しい情報はありません。断片的ですが70年代に西城秀樹のバンマスをされていたそうで、その後アメリカへ渡り、帰国後にこのアルバムを発表されたとのこと。これぐらいしか見つからないのでCDの文字が極小のライナーノーツを見てみます。まずは生まれは1950年で16歳から自由が丘のファイブスポットで鈴木勲のセッションに加わってプロ活動を開始。1973年、23歳でグレンミラーのジャパンツアーに参加し、その後2か月渡米。1977年には約1年間ニューヨーク生活をしているとのこと。現在はジャズ界からクラシック音楽界に移り、今国内外のオーケストラの指揮者としてご活躍しておられるキャリアの持ち主。このアルバムは1973年4月4日にテイチク杉並スタジオでの録音で今は無きユピテル・レコード というレーベルからのリリースです。
 冒頭曲の Kemo-Sabe はキモサベと読むらしく西海岸でバンドを組んでいた時のキーボード奏者 マイク・ノック から日本に帰ったときに演奏してほしいとプレゼントされた曲とのこと。躍動的な曲で本田俊之のサックスから入りピアノも快調に飛ばし、ドラムのドナルド・ベイリーの細かな刻みも気持ちよいです。Beloved Diane は中島のオリジナルでダイアンは恋人の名前で月の名前を意味するバラード。確かに静かな夜に月を眺めているような感覚の曲です。Tell Me A Bedtime Story はハービー・ハンコックの作品でフルートによる清涼感がある作品となっています。Third Plane はロン・カーターの作品でボサ・ノバとのリズムとフォービートが交互に繰り返されるテーマはコミカルで楽しくベース・ソロも楽しめるつくりになっています。Moments Notice はコルトレーンのブルー・トレインからの作品で、メンバーの気合が伝わる渾身の1曲ではないでしょうか。My Love は、ボブ・ジェイムス作品で本田のサックス無しのトリオ演奏となっていますが格調高い演奏で、おそらく思い入れもかなりある感情のこもったピアノ演奏でした。
 繊細で洗練された演奏で、最近気になる和ジャズという感覚から言えばアルバムの作りは和ジャズではあるけど、感覚的には洋に属する作品でしょうか。和ジャズの名盤復刻とのことで中々のものでした。

piano : Masao Nakajima(中島政雄)
bass : Osamu Kawakami(河上修)
drums : Donald Bailey
flute, alto sax, soprano sax : Toshiyuki Honda(本田俊之)

producer : Tadao Shimo

recorded on 4 April 1979

1.Kemo-Sabe
2.Beloved Diane
3.Tell Me A Bedtime Story
4.Third Plane
5.Moments Notice
6.My Love



▶ My Love


  

0 件のコメント:

コメントを投稿