学生時代にトロンボーン・フュージョンバリバリの向井滋春のコピーバンドを組んでいたことは何度か、このブログで書いていると思いますがバンドを組んでいたことがトロンボーンという楽器の出す音、音使いの魅力を、この時に刷り込まれたんだなあと改めてこのアルバムを聴いて思います。
トロンボーンを吹いたことは無いですが、指使いではない楽器の特性を思うとキレの良いトロンボーンは聴いていて感嘆するものがあります。
このアルバムは、行きつけのおでんバーで私以外に誰も来なかったときにマスターと向井滋春を聴いていて、やはり良いなあとお借りした一枚であります。
このアルバムは1991年1月24日25日に行われた江古田の Buddy でのライブの収録です。録音状態が良く音像も奥行きがあるのだがライナーノーツによると、この会場は広くは無かったらしい。リーダー作としては久しぶり録音のようですが気負いのある録音というよりは、ブラジル音楽をベースにした息の合った演奏は聴いていて安心感があります。アルバム全体としては曲調とは裏腹にノッペリしてしまっている印象がありますが、それほど広くない会場でのライブだったことから間近で見る演奏に向井さんやメンバーの妙技を見れて観客は十分楽しめるめるものだったものと想像されます。
オープニングは、トロンボーンの巨匠JJジョンソンの Lament 向井さんのテーマ・ソロとリーダー・メインで聴かせてくれます。トロンボーンでこの細かな音階の表現はさすがです。 Berlin は向井さんのオリジナルで1980年ベルリンジャズフェスに出演した際にベルリンの壁崩壊の喜びを込めて描いた曲。 Tamagawa Blues ( タマガワ・ブルース ) も向井さんのオリジナルなのはネーミングからわかります。 Forever も向井さんのオリジナルで本気の美しいバラード。Vera Cruz はブラジルの黒人音楽家ミルトン・ナシメントの作品でいかにも向井さんの好みのブラジルテイストのジャズです。 Dindi は、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品で美しいイントロとうっとりとさせるトロンボーンのロングトーンがマッチしています。そして誰もが知るジャズ・スタンダード All The Things You Are はブラス部隊がイキイキと軽々とした演奏でここら辺の曲になるとまさに円熟味が感じられます。Purple Field はブラジルテイストの向井オリジナルですがオリエンタルな音使いも魅力的。. Wedding はアフリカの黒人ピアニスト、ダラー・ブランドの作品。アフリカよりもポップなメロディー・ラインが印象的。ラストは、日本人大好き Recado Bossa Nova です。定番ですよね。このグルングルンと開店するように軽やかな展開は大好きなパターンです。
今回も和ジャズの良さを感じるアルバムでした。演奏的にはえっこれが日本人?というレベルの高さですけど計算されたような外しのない構成は和ジャズならではの楽しみですね。こうゆうのはオジサンになってくると演歌の良さがわかってくるみたいなものと共通する間隔なんでしょうか。
trombone : 向井滋春 Shigeharu Mukai
bass : 古野光昭 Mitsuaki Furuno
drums : 村上寛 Hiroshi Murakami
piano : 福田重男 Shigeo Fukuda
tenor sax : 山口真文 Mabumi Yamaguchi
producer : Genroh Hara
recorded January 24 & 25 1991 @ Buddy, Ekoda Tokyo.
1. Lament
2. Berlin
3. Tamagawa Blues ( タマガワ・ブルース )
4. Forever
5. Vera Cruz
6. Dindi
7. All The Things You Are
8. Purple Field
9. Wedding
10.Recado Bossa Nova
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