2023年3月3日金曜日

Miles Davis / Live Evil


 1950~60年代前半ぐらいの品行方正なジャズをやっていたマイルスの方がどちらかと言えば好みではあるんですが、Bitches Brew が最初に購入したマイルスのアルバムでした。カッコいいことやってるんだなという認識はありましたが、興味はそれほどなくマイルス自体は自分は好きではないという意識がありましたが、色々な年代のアルバムを聴いているうちに、これは奥が深いかもしれないと思い始め、現時点での音源所有枚数は38タイトルで1人のアーチストでは最大の音源数を所有するようになってしまいました。人は変わるもんで自分でもビックリです。
 これは自分はマイルスは好きではないんだと自覚している段階でタワレコでウロウロしていてジャケットが目につき、帯を見たら「ここでのキース・ジャレットの演奏は本当に凄まじい」に煽られて思わずレジに行ってしまった作品であります。


 気になるジャケットデザインのモチーフはコンセプトはインドで描かれているのは「シヴァ神」(1曲目のタイトルでもありますね)それで、シタールが使われていたりギターが John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)な訳です。ファンクに彩られた大傑作と帯にある通り、Michael Henderson(マイケル・ヘンダーソン)のベースのファンク要素がかなり強め。ほとばしるエネルギーは感じるけど多少聴いてて疲れるアルバムかなあというのが最初に聴いたころの感想で、好きに暴れろと言わんばかりの皆さんのソロに若干チープさを感じていました。が、このタイプのアルバムは聴いているうちに印象が変わるもので、チープだと感じていたものが、今回聴き直すと独創的に感じたことを表現する手段としてフォーマットが使われ楽器の持つパワーをリズムと電気的な力で増幅させている素晴らしい演奏に感じてきました。結局 Bitches Brew と比較し てどっちが好みと思っていたことは、どうでもよいことで、楽しみ方は色々あるということですね。
 先に総評を書いてしまいましたが曲のレビューです。Sivad は Davis の逆さ読みで1970年の Get Up With It の楽曲 Directions と Honky Tonk を Teo Macero が編集合体させた作品で、Milesのワウ・トランペットがギターのような唸りを上げ邪悪なムード。ちなみにLive-Evil も Live のスペルを反対に書くと Evil で、このアルバム全体も交互に「静と動」が表現されるコンセプトとなっています。ということで Little Church は、Hermeto Pascoal作の静の作品で、不思議感漂う3分間となります。Medley: Gemini/Double Image そしてGemini 、Joe Zawinul作の Double Image のメドレーとなっていますが、レビューは未だ書いてありませんが Gemini は聴いたばかり、どこが使われているのかは実は未だ私にはわかっていません。静と動の繰り返しと書きましたが静が続いています。What I Say は、HendersonとDeJohnetteのリズム隊がきっちりかみ合った動の部分になります。今は気になりませんが多分ここら辺の8ビートのドラムが私には雑に聞こえていたんですかね。Keith Jarrettのキーボードも暴れています。Milesもプレイで応えますが、ここら辺が今はオッとなるんですが聴きなれていないうちは雑に聞こえていたのもわかる気がします。ラストはDeJohnetteの圧巻のドラムはファンクではなくロック。Nem Um Talvez は、またもHermeto Pascoal 作の静の4分作品。なるほど、この人は静の役割なんですね。
 と、ここで1枚目CDは終わり、2枚目 Selim は Hermeto Pascoal 作の2分。タイトルは Miles の逆綴りで、ここまでくると相反性を示すアートよりも駄洒落感あります。Funky Tonk は、そうです動になり、Miles のワウをかけた電化マイルスのトランペットでブラックな感じ満載で、McLaughlin のカオスなギター、Jarrett のとりとめの無い独奏状態のエレピ・ソロが不思議感を出しながら、コードス・トロークのギターが入ったりで不思議感満載になりファンクで終了。この良さが前回聴いた時は理解できませんでした。最後は Inamorata and Narration by Conrad Roberts で動のハイテンション。基本ファンク路線で、Miles のワウ・トランペットは、結構前に出て仕事しています。おそらく観客は大興奮でしょう。

2CDで1971年発売で、1970年12月19日のセラー・ドアで行われたライブ。コロムビア・レコードのスタジオB録音が収録されています。

trumpet : Miles Davis
guitar : John McLaughlin (except 2-1 2-2)
percussion : Airto Moreira
drums : Jack DeJohnette

producer : Teo Macero

【Disc1】
1. Sivad
bass : Michael Henderson
piano : Keith Jarrett
sax : Gary Bartz

2. Little Church
bass : Dave Holland
keyboards : Chick Corea, Herbie Hancock, Keith Jarrett
sax : Steve Grossman
electric piano, whistling : H. Pascoal

3. Medley: Gemini / Double Image
bass : Dave Holland
drums : Billy Cobham
keyboards : Chick Corea, Joe Zawinul
sax : Wayne Shorter
sitar : Khalil Balakrishna

4. What I Say
bass : Michael Henderson
piano : Keith Jarrett
sax : Gary Bartz

5. Nem Um Talvez
bass : Ron Carter
keyboards : Chick Corea, Herbie Hancock, Keith Jarrett
sax : Steve Grossman
voice : Hermeto Pascoal

【Disc2】
1. Selim
bass : Ron Carter
keyboards : Chick Corea, Herbie Hancock, Keith Jarrett
sax : Steve Grossman
voice  Hermeto Pascoal

2. Funky Tonk
bass : Michael Henderson
piano : Keith Jarrett
sax : Gary Bartz

3. Inamorata And Narration
bass : Michael Henderson
piano : Keith Jarrett
sax : Gary Bartz



Sivad


Selim


  

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