フランスの Disques Vogueレーベルに1954年に残した作品です。モンクは Blue Noteで2作品を録音し 1952年に Prestige に移籍し、この1954年に2作品を発表しています。モンクは、Salon International du Jazz なるジャズ祭に出演でフランスに行きフェスが終わった6月7日にラジオ用にこの作品は録音されていたのですが、 Prestige と契約していたため直ぐに発売されることはなく後にLPでリリースされたとのこと。ちなみにこの作品の録音前に行ったフェスでの演奏はフランスのミュージシャンとのトリオで、腕は良かったらしいが相性はあまりよくなかったらしいです。
つまり、当時 Prestige での契約条件は良くなかったこと、ニューヨークでの酒場での演奏をするための キャバレー・カード も無かったこと等からフランスへの出稼ぎに行ってこの名作が録音されたわけでファンとしては嬉しい限り。ジャケットはオリジナルのものからは変更されているようですが、CDの方はラッパーがピアノ弾いてるみたいなジャケ写で私としては下の元のジャケ写が好み。そしてよく見ると、このジャケットのスペルは【THEOLONIOUS】!となっています。それも上下です。Vogueレーベルの担当者は発売後に、どこで気づいたのだろうか、その時の焦り具合が気になります。
モンクのソロ作品と言えば、1957年の Himself、1957年 Alone In San Francisco、 1965年 Solo Monk があり。最初のソロ作品は、この1954年のこのPiano Solo On Vogue。
録音した時代によってモンクのモンクらしさは異なります。私的にはモンク自身そのものが滲み出ており、独特の世界エッセンスが色濃くでて一人フランスで尖がった演奏をしているこのソロ作品がかなり好きです。素朴な演奏ですがじっくり聞くと味わいがドンドンでてくる作品です。
それではこの作品を再度聴きながらレビューです。 'Round About Midnight 1944年モンク作曲で、モンクの作曲した作品の中でスタンダードとして最もよく演奏されている曲と思います。この時点で作曲してから10年経っているのかと思いながら聴くと、迷い箸のような音の模索は無くこの演奏は完成されているなと感じます。Evidence これもモンク作。テーマのメロディ自体がバッキングのような個性的な楽曲です。モンク独特の不協和音が適度にちりばめられていて1拍ベース音を先に入れて独特のリズム感が生まれています。Smoke Gets In Your Eyes これはJerome Kernの名スタンダードで、出だしは原曲に忠実にしながら段々とモンク節をちりばめていく演奏は素晴らしい。有名スタンダードをとりあえず選曲してアルバムに入れている感じは全くなくモンクの曲のように収められています。Well You Needn't モンク作曲で自身の作品でも数多く演奏されている名曲で、ユーモラスに感じてしまうメロディーが特徴的な曲でソロで弾かれると、また良いですね。Reflections これもモンク作品ですね。優雅なメロディーで正統派な感じがする曲で、モンク作品の中では比較的モンク臭さが少ない曲かと思います。このアルバムの演奏でも割合と滑らかで平坦な演奏の部類に属する感じでゴージャス感があります。We See もモンク作品です。テーマの音のばらけ具合が丁度良くモンクらしさが出る。曲も良いがモンクの演奏もかなりのもの。聴き直して再確認です。Eronel これもモンクです。エレガントなメロディーの中の狂気のような感じでしょうか。正統派のコードの流れに少しづつ違和感が入ってくるのが気もち良いですね。クセになります。Off Minor これも良い曲ですよね。モンク作品です。モンクは楽々弾いていますが、こういった曲を頭の中に入れてインプロビゼーションしていくのって大変そうだなって思いながら聴いてます。Hackensack モンクの作品ですが、テーマは Well You Needn't と被っていますね。どういった事情なのか調べるのは面倒になってきたんで置いときます。
これはいつでも聴けるお気に入りの場所に保存しておきます。
1.'Round About Midnight
2. Evidence
3. Smoke Gets In Your Eyes
4. Well You Needn't
5. Reflections
6. We See
7. Eronel
8. Off Minor
【Bonus】
9. Hackensack
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