2025年1月4日土曜日

Curtis Fuller / South American Cookin'

 

 1961年作の、Curtis Fullerがサン・パウロ、リオデジャネイロ、ブエノスアイレスに演奏ツアーにいって大成功を収めた記念に吹き込んだアルバムです。録音はツアー終了後のニューヨークで行われたもので「南アメリカにて録音は正しくありません」と、原田和典氏が、日本語解説のライナーノーツに書いてあります。しかし同じページの中で、曲目の下に「Recording Date 1961年、夏 南アメリカにて録音」と原版のライナーノーツを忠実にしたものが掲載されていますので、ライナーノーツの解説を書かれる人と構成、また校正をする人は別々にいて分業化されている状態がわかり面白く拝見しています。
 また、この南米ツアーのリオでの録音はFM盤「Jazz Committee For Latin American African」ケニー・ドーハム「Hot Staff From Brazil」で聴くことができるとのことで、そこらへんも、この録音にどう影響を及ぼしているのか、そのうち聴いてみたいとは思いながら月日が過ぎています。


 この演奏旅行はよほど楽しいものだったのだと想像させてくれるテンション上げ気味の楽しい演奏で、アルバムのジャケットも演奏旅行の料理もうまかったんだろうと想像させてくれる面白いジャケットで、アルバム名は音楽と料理をかけてのネーミングのようです。アルバム録音メンバーは、基本的にこの時のツアー・メンバーと同じですがベースは Ben Tucker からメッセンジャーズの同僚 Jimmy Merritt に変わっています。ちなみにメッセンジャーズは、1961年にカーティス・フラー、フレディ・ハバード、シダー・ウォルトンの三管体制にして Mozaic を録音しています。 Mozaic の録音は10月、このアルバムは8月ですから丁度ブレイキーのバンドで Village Gate に出演していて、まさにテンションはかなり上がっていたに違いありません。
 さてレビューしてみましょう。Hello Young Lovers は、1940~1950年代のミュージカル黄金時代のブロードウェイの人気ミュージカルを製作していた O.Hammerstein, Ⅱ-R.Rodgers の作品で、JJジョンソンの十八番の曲で、モダンの匂いがプンプンする明るい曲です。ピアノソロ以外は最初から最後まで Curtis Fuller が吹きっぱなしなので Zoot Sims の出番は有りません。少し残念。Besame Mucho スペインのピアニスト Consuelo Velázquez Torres の有名な楽曲で、日本でも昔のテレビでよく歌われていたので、ラテン処理されているのですがムード歌謡のように聞こえてしまいます。Zoot Sims は前半少しだけ出番があり、最後のテーマで控えめに絡みます。また最後のテーマに戻る前のドラムがベンチャーズみたいだなと何回聴いても思ってしまいます。Willow Weep For Me は、柳よ泣いておくれ の邦題のブルース・スタンダードでアーチストによる解釈の仕方で結構違いがでる名曲で最近注目して聴いています。これはリラックスしユーモラスな雰囲気で、各メンバーもゆったりとソロを取っています。One Note Samba イントロは Dave Bailey のサンバリズムのドラムから入ります。トロンボーンによく合うメロディーの曲かなと思います。作曲のアントニオ・カルロス・ジョビンのフルネームは Antônio Carlos Brasileiro de Almeida Jobim とメチャクチャ長いですね(曲には関係ありません)ボサノバではありますが、モダン・ジャズとしてのアレンジ処理されていて、米国ジャズメンによるジョビン・カバーでも早く取り入れられた演奏とライナーノーツで開設されており、なるほど以降のお手本のような演奏かと思いました。Wee Dot これも JJジョンソンの十八番の曲とのことで、本アルバムで最も高速でスリリングな演奏です。やっと Zoot Sims が大活躍で、早いパッセージでスイングする最初のソロで、この曲方向性が定まったような気がします。Curtis Fuller のソロも負けじと鋭いフレーズ連発です。Autum Leaves 世界的に有名なスタンダードでで耳慣れたメロディーです。最後に持ってくることで、セッションもこれで終わりだよ的な効果があるような気がします。
 一聴して音楽好きの集う「おでんバー」のマスターも、お気に入り登録してくれたのに私も満足のお勧め盤です🎶

trombone : Curtis Fuller
bass : Jimmy Merritt 
drums : Dave Bailey
piano : Tommy Flanagan
tenor sax : Zoot Sims

producer : Mike Berniker
recorded on August 23, 1961 in NYC.

1. Hello Young Lovers (O.Hammerstein, Ⅱ-R.Rodgers)
2. Besame Mucho (C.Velazpuez)
3. Willow Weep For Me (A.Ronell)
4. One Note Samba (A.C.Jobim, N.Mendoca)
5. Wee Dot (J.Johnson)
6. Autum Leaves (J.Kosma)



▶ Wee Dot


  

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