2025年1月10日金曜日

Roy Hargrove / Approaching Standards

 

 Roy Hargrove (ロイ・ハーグローブ) が1990年のデビューから1993年までにNOVUSレーベルで発売した4枚のアルバムから、スタンダード・ナンバーばかりを選んだコンピものの1994年発売です。1995年からはVerve Records に移籍なので移籍前のひと稼ぎですね。
 私がロイを最初に聴いたのは、アフロキューバン系のラテン寄り1997年の Habana 。ストレートで美しい響きのトランペットとラテンは非常によくマッチしていて、他のアルバムも聴いても良かったので、その後にジャズ・ヒップホップに転向するRHファクターも聴いてきて、逆戻りで初期の頃も聴いてみたいと手を広げています。
 時代によって芸風がだいぶ違うのも興味深く、すべての音源を聴いているわけではないですが、初期のロイのトランペットの音は印象が薄めに感じていました。このアルバムも、やはり線が細い印象で、ジャズ特有の黒っぽいものが希薄なようで、それがロイの特徴のようです。他人の評価も気になるところであり検索しましたが、日本人のレビューはあまり見当たらりません。海外レビューでは賛否両論の論戦が見受けられるようで独特のこの線の細さはジャズ・ファンの議論を呼ぶ作品のようで、アルバムの10曲のうち7曲を占めているバラードが多いアルバムなのも、そんな物議をかもす要因なのかもしれません。


 それでは、線が細いと先に書いてしまったアルバムですが再度聴きながらレビューしてみましょう。Easy To Remember いきなりトランペットから始まりますが、ビブラート少なめの直球でやっぱり清々しい。1935年の映画ミシシッピの為に書かれた曲です。Ruby My Dear は、Antonio Hart のアルト・サックスから入ります。テナーっぽいネチっとした音色に続いて、ロイのとトランペットは品行方正そのもの。同じ繰り返しがしつこい気もしますが、この対比はこれで面白いかもしれません。Whisper Not メッセンジャーズっぽいアレンジでカチッとしてて終始冷静な演奏です。ここでアルバムは変わり、少し柔らかくなります。What's New ロイの音も柔らかくなっていますが演奏自体は、こっちの方が面白味があるような気がします。September In The Rain やはりメンツが変わると演奏が変わります。角が取れた音になりスイング感が増しています。惜しくらくは冒険的なアドリブが無いとこですね。You Don't Know What Love Is シリアスな響きの曲は刑事ドラマでかかかりそうです。Antonio Hart のアルトは、ほぼこのアルバムで知ったのが最初かと思いますが、クセが強いですね。End Of A Love Affair ここらへんで、ロイの音にお腹がいっぱいになってくる感じです。テンポも似たような感じなので抑揚がアルバムの中でないんですよね。オムニバスなのでしょうがないですけど。Things We Did Last Summer 少しドラマチックな展開かと思えばスローなスタンダードでした。トロンボーンの Ku-Umba Frank Lacy が参加で少しだけ味を変えていますが本質は同じですが、曲はかなり良いですね。最後2曲はライブアルバムからです。Everything I Have Is Yours / Dedicated To You 本質は同じですけどライブ感あります。でもドライブ感は全くない曲です。管のアンサンブルで雰囲気は変わっているので良し。My Shining Hour やっと最後まで到達です。これもライブで心して聴かないでもくつろげる感じが良いですね。アルバムの真ん中へんに味変で入れてほしいとこだけど、バランス悪いですか。
 最初に聴いたのは酒を飲みながらで、強めのカーティスフラーの古いものを先にかけてから、これを聴いたら物足りなく感じたのですが、単体で聴けば物足りないというよりは清々しいイメージ。休みの日に珈琲を飲みながら朝を迎えるならバッチリ合うのではないでしょうか?(と酎ハイを飲みながら、再度聴きながら割と悪くはないと思いながら今書いています)🎶🎺

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove 
piano : John Hicks (1,2,3), Stephen Scott (4,5,6,7), Marc Anthony Cary (8,9,10)
bass : Scott Colley (1,2,3), Christian McBride (4,5,6,7), Rodney Whitaker (8,9,10)
drums : Al Foster (1,2,3), Billy Higgins (4,5,6,7), Gregory Hutchinson (8,9,10)
alto sax : Antonio Hart (1,2,3,4,5,6,7,8)
trombone : Ku-Umba Frank Lacy (8)
trombone: Andre Hayward (9)
soprano tenor sax : Ron Blake (9,10)

This is a compilation recorded from 1989 to 1993.

Diamond In The Rough 1990 (1,2,3)
Public Eye 1991 (4,5,6,7)
The Vibe 1992 (8)
Of Kindred Souls 1993 (9,10)

1. Easy To Remember (Richard Rodgers, Lorenz Hart)
2. Ruby My Dear (Thelonious Monk)
3. Whisper Not (Benny Golson)
4. What's New (Bob Haggart, Johnny Burke)
5. September In The Rain (Harry Warren, Al Dubin)
6. You Don't Know What Love Is (Don Raye, Gene DePaul)
7. End Of A Love Affair (Edward C. Redding)
8. Things We Did Last Summer (Jule Styne, Sammy Cahn)
9. Everything I Have Is Yours / Dedicated To You (Burton Lane, Sammy Cahn
, Harold Adamson, Saul Chaplin, Hy Zaret)
10. My Shining Hour (Harold Arlen, Johnny Mercer)




  

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