2021年11月10日水曜日

本日のCD Bill Evans with Jerermy Steig ♪ What's New

 

 何となく手にしたBill Evans (ビル・エバンス)とフルートの Jerermy Steig (ジェレミー・スタイグ)のセッションですが、いつものビル・エバンスと違う。繊細でリリカルな演奏が信条のビル・エバンスがジェレミー・スタイグのアグレッシブなフルートの音色に触発されて熱めの演奏を繰り広げています。もちろん静の感じがする作品が多いわけですが Portrait In Jazz のような動の作品も聴いてきたのでびっくりする訳でもありませんが、こんな作品を聴いた時がこれまた何かを発見したようで楽しい気分になります。
 こんな演奏になった起爆剤は、当然ジェレミー・スタイグのフルートのスタイルによるもので、思いっきり呼気を吹き付けて尺八のようなこすれ具合です。フルートの音色とともに楽器から大量に漏れていく、呼気の音、大きな息継ぎの呼吸音なんかもインパクトは大きく、フレーズもロングトーンは少なく勢いで押す紋切り型。当然ビル・エバンスもこの音に対応するべくパッションが溢れるフレーズになり、タッチも力強くなります。そして浮遊感のあるテンポ感ではなく、きっちりとした拍になってきます。きっとジャズに一家言あるオジサンと聴いてたら、これがジャズの面白いとこなんだと言われるんでしょうが、私の行きつけの音楽好きが多めのバーはビル・エバンス否定派が多いので多分これは持っていきません(いや敢えてこれなら否定派に聴かせても良いかなという感じはしますが)
  ちなみにスタイグがなぜこのような吹き方になったかというと1962年に交通事故に遭い顔面右側不随、片耳が聞こえなくなったため特殊なマウスピースを使用することが原因とのこと。エバンスがスタイグに出会ったのは1964年フロリダのデイトナビーチで演奏していたと言います。つまり結構大きい後遺症だったはずなのに2年でリハビリしてミュージシャンとして働いていたということでこれも凄い。てっきりやり手プロデューサーのヘレン・キーンの仕掛けかと思いましたが、1968年にスタイグのアパートがビレッジ・バンガード、トップ・オブ・ザ・ゲートに近かったことからエバンス・トリオとのセッションに加わったのが縁とのこと。


 調べていたらフルートとアートのオフィシャルサイト「His Flute Music and Art」を発見しまし多才な方だったのが伺えます。
 印象に残る1曲目の Straight No Chaser はソロ部分に入ったフルートの辻斬りのような斬新さに心を奪われながら軽快なドラムとゴメスのソロも見事で緊張感溢れる演奏です。のブラシ捌きといい、聴いていて実に気持ちのよい演奏です!Lover Man については落ち着いた曲だけにフルートのエモーショナルな部分が際立ちます。Autumn Leaves ではアップテンポにしている珍しい演奏で、エディ・ゴメスのソロが注目。そして Spartacus Love Theme 美しい進行とメロディの繰り返しの曲でパッション溢れる曲が多いアルバムの中で一番動きの少ない楽曲なのに何か熱いものを感じさせるのが凄い。フルートも一番動きが少ない演奏なのに何か太いものを感じるすばらしい演奏。そのほか、聴いていてハッとするのは最後の So What でのフルート吹きながら聞こえる声、呻き声(うめき声)かと思っていたら、最高潮に達したところでかなりハッキリとした声でフルートとはハモっています。ものすごい気迫が感じられましたね。

piano : Bill Evans
flute : Leremy Steig
bass : Eddy Gomez
drums : Marty Morell

producer : Helen Keane
recorded at Webster Hall, N.Y.C.,on Jan.30, Feb. 3,4,5, and Mar.11,1969

1. Straight No Chaser
2. Lover Man
3. What's New
4. Autumn Leaves
5. Time Out For Chris
6. Spartacus Love Theme
7. So What





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