2024年8月9日金曜日

Rachael & Vilray / I Love A Love Song!

 

 古き良きJazzが聴ける。それも現代の録音で、さらには新曲で。Rachael Price(レイチェル・プライス)とギタリストの Vilray(ヴィルレイ)のグッド・オールド・タイミーなデュオによる、古き良き音楽へのリスペクトを感じさせるサウンドです。前作 Rachael & Vilray (2019) が大当たりだったので、この新作が出て直ぐに購入しましたので、これは中古ではありません。
 Rachael Price の経歴を調べて見ると、1985年オーストラリア生まれテネシー育ちのシンガー。もともとの出発点は Lake Street Dive というボーダーレスでノンジャンルなマルチ・ミュージシャンバンドのボーカル。基本アコースティックな楽器を中心のレイドバックしたロック・サウンドで人気のバンドで、ジャズではありません。
 ギタリストの Vilray は、Lake Street Dive のメンバーの Mike "McDuck" Olson, Mike Calabrese とともにバンドを結成していたギタリストで、ボーカルとギターだけのソロ・アーティストとして活動していて Rachael と知り合いではあったとのことですが共演はせず。そして2015年にブルックリンのBar Below Ryeで1930~1940年代のトラディショナルなジャズを聴いていたRachael とのセッションがきっかけで、このコンビが始まったらしい。
 このアルバムは Vilray によるオリジナル楽曲と、Benny Goodman の Ella Jane Fitzgerald、 Petula Clark、Sarah Vaughan なども取り上げたHarry Revel & Mark Gordon のスタンダード・ナンバー「Goodnight My Love」が収録されています。前作同様に、1930年代~1940年代のテイストでスタジオ・ライブ形式でレコーディングしています。古くて新しい暖かで洗練されたサウンドは素晴らしいの一言。


 それでは聴く誰をも魅了するであろうこのアルバムのレビューです。 Any Little Time 言葉の話すリズムを考えて作られたとのこと。Little の t とTime の t は発音が異なり、ソフトな Little の t から、強いアクセントの Time の t に移るときに音楽的な躍動が生まれると感じての作曲とのこと。確かに躍動感はがある曲でボーカルがあることで良さが発揮される曲に感じますし、そう思って聴くと Little Time 以外にもリズミカルな歌詞の音の流れがあるようにも感じる。遊び心溢れるハッピーな曲です。Vilray のソフトな味のボーカルです。 Even in the Evenin'  2曲目で Rachael のボーカルのバラードです。昔のミュージカル映画のスタンダードなんじゃないかと思わせる曲で Vilray の作曲、Rachael の表現力に改めて感心します。Is a Good Man Real?  さらに Rachael のボーカルは冴えてくる。力強い毅然とした歌いっぷりです。曲としては上流社会にいて男性の行動はそれがカッコ良いのかといかぶる内容のようで歌詞の世界でも昔の映画を見ているような内容のようです。もっと英語が直ぐに聞き取れればもっとこの曲は楽しく聴けることかと思われます。Just Two 曲自体は単純な作りに思えますがシンプルなメロディに、男性ボーカルのハモリに Rachael の軽いレスポンスで実に聴きやすく耳に残る曲です。Why Do I? ダンサブルな曲調にクラリネットがまた昔の映画風で歌いながら軽く踊っている姿が想像できます。I'm Not Ready これも1950年代でよく聞くタイプのアレンジを効果的に用いている曲です。Rachael の歌での問いに対して、男性陣が She’s not ready と呼応するのが楽しいです。楽団員も皆役者ぞろいのソロ展開も良い。Join Me in a Dream 静かでとても優しい曲です。Larry Goldings の楽器のceleste はこのイントロとエンディングのオルゴールのような音の楽器で実物は小型のアップライト・ピアノのような形態です。Hate is the Basis (of Love)  往年のベテランシンガーが、共演しているような余裕と華やかさがあります。Larry Goldings のピアノもサラリと跳ねるようなソロが良い。A Love Song, Played Slow 2020年のパンデミックの初期に作った曲だそうですが、ビクトリア王朝時代ぐらいの恋人たちの様子を歌ったものとのこと。Vilray のボーカルです。Just Me This Year 幸せな独り者、解放されたもの、自由を謳歌しながら新年に向けて弾みをつけている人たちを祝うホリデイ・ソングとのこと。今度は Rachael のボーカルです。交互に歌われていますが本当に良き古き時代にタイムスリップしたかのように錯覚させてくれる役者です。I've Drawn Your Face イントロはまたオルゴールのような celeste 始まる Rachael のボーカル。ゆっくり四つを刻むギターの音も暖かい。このプロジェクトの初期に作った曲とのこと。ずっと眠れずに寝返りを打ちながら、もう二度と会わないとわかっている恋人のことを思いながら天井を見ていることが歌われているとのこと。最後になります。Goodnight My Love は、Harry Revel & Mark Gordonによる作品で、このアルバムで唯一のスタンダードとのこと。Vilray にとって、この類の曲の最初の入り口となった高校生時代に聴きこんだ曲とのこと。Rachael & Vilray の掛け合いで歌われる曲は勿論素晴らしい、アメリカのラブソングです。
 何回聴いても軽く聴けるポップスのような内容ながらオールド・タイプ。でも新しいという不思議なバンドです。Rachael の表現力も驚くものがありますが、Vilray と言う人はとてつもないオッサンは愛すべきマニアな作曲家でありボーカリストでありギタリストであることにも驚きます。私のヘビロテの棚行きは決定です🎶

vocals : Rachael Price
guitar : Vilray
bass : David Piltch
drums : Joe La Barbera
piano, organ, celeste : Larry Goldings
horn arrangement, alto sax, clarinet : Jacob Zimmerman (1, 4, 6, 7, 10)
tenor sax, clarinet : Nate Ketner (1, 7, 10)
trumpet Jim Ziegler (1 to 9, 11, 12)
trombone : Dan Barrett (1 to 9, 11, 12)
trombone : Joey Sellers (10)

written by : Harry Revel (12), Mack Gordon (12), Vilray (1 to 11)

recorded by, producer : Dan Knobler

recorded April 14-27, 2022 at United Recording in Los Angeles, CA
All songs were written by Vilray except for the 1930’s classic “Goodnight My Love,” which was written by Mack Gordon and Harry Revel.

1. Any Little Time (Vilray)
2. Even in the Evenin'  (Vilray)
3. Is a Good Man Real?  (Vilray)
4. Just Two (Vilray)
5. Why Do I?  (Vilray)
6. I'm Not Ready (Vilray)
7. Join Me in a Dream (Vilray)
8. Hate is the Basis (of Love)  (Vilray)
9. A Love Song, Played Slow (Vilray)
10. Just Me This Year (Vilray)
11. I've Drawn Your Face (Vilray)
12. Goodnight My Love (Harry Revel & Mark Gordon)





  

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