2023年1月14日土曜日

Rachael & Vilray

 

 私の音源は主として中古レコード屋で調達しているのですが、たまには新品を見ておこうと思ってタワレコなどは定期的にチェックすることにしています。しかし世の中音源をわざわざ買いに行く人はもう少なくなっているようで店舗はどんどん縮小していて寂しい限りです。アメリカのタワレコは相当数が閉店しているのはかなり前に、記事で見ていたがその波も私の愛用している新宿のタワレコにも訪れているようで、最盛期は4フロアあったと思うのだが今は2フロアとなってしまっていて、いつ行っても人はまばらであります。まあ今は流行りの曲はダウンロードするのが主流だろうし試聴もネットできるのでダウンロードでなくともネット通販で購入するほうが多くなったんでしょうね。しかしながら私としては「今日はパチンコで勝ったから2万円分買うぞ」と意気込んでレコード屋を歩いて回るのはそれぞれの店の店員さんのクセ(個性)あふれる推しが見れるのが好きなところでありますので実店舗もなくならないでいて欲しいと思う今日この頃です。


 そこでパチンコで勝った金を握りしめ中古でない新品も買ってもいいかなとタワレコを訪れたところ、タワレコのロングセラーとして紹介されていたのがこの一枚です。この日はタワレコとディスク・ユニオンをハシゴして疲れてしまったのでツタヤの中古コーナーには行かずに、いつもの「おでんバー」に直行です。早い時間の到着ですのでマスター以外誰もいませんので遠慮なしに買ってきたばかりのCDの20枚程度を自慢げにバサバサと広げこの日は4枚ぐらいを店でかけさせて頂きました。
 このアルバムを変える時には、マスターにタワレコ・ロングセラーの売り文句につられて買ったことは伝えていました。楽しそうに聴いているし反応としては悪くはなかったので私も気分を良くしてライナーノーツは無いかと見てみますが輸入盤なので日本語解説もなく参加ミュージシャンが曲別に書かれているぐらいのものでした。そして一体いつの発売なのだろうと裏面の小さな文字を見てビックリの2019年発売でした。マスターに「これいつ頃の録音と思います?」と聴くと「1950年ぐらいの録音かとは思うけど音が良いから65年ぐらい?」との返事。私だけではなく皆さんそう思うのは当然でしょう。発売から3年のロングセラーだった訳です。いやビックリでした。
 さて前置きがかなり長くなりましたがレビューです。Without a Thought for My heart トレモロのかかったギター、ピアノ、ベースをバックに Rachael Price がささやくように歌いと少し枯れたような声になり色っぽくてうっとりとさせられます。これに似合うのはブランデーでしょう。Do Friends Fall in Love? では、Vilray とのデュオになり、ラグタイム調で戦前にタイムスリップです。Rachael Price は1曲目より声を大きく出しているので少し艶っぽい声質になっています。ソロが口笛であるのもほんわかさせてくれました。Alone at Last では、クラリネット、テナー、トロンボーンが参加したレイジーな曲です。クラリネットが良い仕事し過ぎです。Treat Me Better は再び Vilray とのデュオとなりますが、交互に歌う Vilray はジャケットの写真よりもずっと男前な歌声でスイングって良いなと思わせてくれます。Nosotros は、キューバのペドロ・ジュンコが43年に書いた曲で、スペイン語で歌われていてスパニッシュ・ギターのリズムとスペイン語でグッと雰囲気が変わります。恐れ入りました。At Your Mother's House は、アップテンポで昔こんなスタンダードがあったのかと思わせてくれる曲で、今後この曲がスタンダードとしてジャズ・ボーカリストに歌われる可能性も感じます。古くてカッコ良い典型。 I Can't Go to Sleep は Vilray のギター1曲目に使われたトレモロ仕掛けのレトロな雰囲気が気持ち良い曲でハワイアンっぽい。 I Love the Way You're Breaking My Heart はトランペットの使い方が映画時代の曲ような雰囲気で Rachael Price はノリノリで世界に浸っています。The Laundromat Swing はフォーク調のテンポ良い曲でライブで近くで聴きたい楽しい曲ですね。Go On Shining はピアニスト Jon Batiste がフューチャーされたナンバーで右手だけで高いキーをコロコロ鳴らしていて可愛い楽曲にこれが合っているのもセンスの良さ Let's Make Love on This Plane は正調なジャズで今までの楽しい曲よりも少し格調高い店で酒でも飲む際に流れているようなナンバー。 There's No True Love でラストになります。寂しいけど暖かなメロディーが閉店をお知らせしますというアナウンスをバックに流れている感じでしょうか。
 ジャケットの白黒の写真と同様に小さな店でミニ・コンサートをお酒を飲みながら聴けたら楽しい音楽であり「まるでどこかの中古レコード屋の片隅でずっと眠って忘れ去られていたような、懐かしくも普遍的な魅力溢れるジャズ・ヴォーカル・プロジェクトである」と書かれていたことに同感!!

vocals : Rachael Price
vocals, guitar, written-by : Vilray
piano : Akie Bermiss
drums : Jason Berger

producer : Dan Knobler

1. Without A Thought For My Heart
2. Do Friends Fall In Love?
3. Alone At Last
4. Treat Me Better
5. Nosotros
6. At Your Mother's House
7. I Can't Go To Sleep
8. I Love The Way You're Breaking My Heart
9. The Laundromat Swing
10. Go On Shining
11. Let's Make Love On This Plane
12. There's No True Love





  

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