2023年1月7日土曜日

Nina Simone / Silk & Soul

 

 行きつけの「おでんバー」のジャズ・アルバムは聴いたことがある程度で、ほぼ名前だけ知っている程度だったのですがボーカルものも開拓しているので気になってディスク・ユニオンで中古で購入です。確かジャズの棚にあったのですがバリバリにソウルです。
 これを最初に聴いていたのは、行きつけの「おでんバー」でマスターと私の二人だけのまったりとした時で、かけ始めると「ウハっ」と声がでてしまうような迫力のボーカルで、マスターもソウルでも「やっぱりすごいね」の感想。「すごいね」の中身は迫力です。しばらくすると常連のKさんが入ってきて「ソウルですか、なかなか渋いとこですね」しばらくしてから机の上のジャケットを見て「ウヘっ女性ですか?」「ああニーナ・シモン」とかなりの強い反応でした。新しいのを店でかけて、こだわりの強いマスターや常連さんの反応を見るのが楽しみでもありますので、この手のアルバムは中々効果は絶大で愉快です。


 さてあまりよく知らない Nina Simone(ニーナ・シモン)なので経歴をググって見るとアフロアメリカンのジャズ歌手、フォーク、ブルース、R&B、ゴスペル歌手、ピアニスト、公民権活動家、市民運動家とのことで、守備範囲はかなり広いようです。4歳からピアノを弾き始めクラシック音楽のトレーニングで有名なジュリアード音楽院でレッスンを受けたとあり、音楽エリートかと思いきやカーティス音楽学校への進学を試みたが断られる。50年代前半のことであり、黒人であったために差別された疑いがある。とのこと才能があってもこの時代は黒人の方はまだまだ大変な時代ですね。しかし1954年にはアトランティック・シティのアイリッシュ・バーで、ピアノを弾くことになり1957年にベツレヘム・レコードから Nina Simone And Her Friends と言うジャズ・アルバムでデビューからのスタート。
 本アルバムは1967年のレコーディングですから、かなりキャリアを積んだ時点でのアルバムになります。時代的には、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン) が I Never Loved A Man The Way I Love YouAretha Arrives などでヒットを飛ばした頃なので、かなりアレサを意識してのレコード会社も期待のアルバムだったに違いありません。
 他の作品はあまり聴いていないので、よく知らないのですが、このアルバムはいつも彼女よりも明るい異色作であり屈指のSoulアルバムであるとのこと。つまりこれを期待して他のアルバムを購入すると痛い目にあうと言うことですか(それも面白い)
 さてレビューしていくと It Be's That Way Sometime は当然のパワフル・ボーカルでバンドの演奏も時代を反映するホーン入りのソウルがカッコ良い。と思いながらメンバーを見ると Eric Gale(エリック・ゲイル)がギターにいます。ここにも居たかって感じですね。ヒット作には、かなりの確率で登場します。The Look Of Love は、音量抑え気味で渋い感じです(奥村チヨまでがカバーもしているらしい)Go To Hell は、明るく怖い声で、地獄へ行けと命じられてしまいホーン部隊のパンチを効かせたヒット音は銃撃のようです。Love O' Love はゴスペル調に歌い上げます。プロテスト・ソングかとも思いましたがラブ・ソングでもないかな。人類愛みたいな感じでしょうか。Cherish はヒット曲のカバーでマルチ録音での彼女のデュエット・ボーカルが効いているソフトロックでザ・フーとかでも出てきそうなメロディ。I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free はソウルに戻りますが最初はソフトに次第に盛り上がりながら熱を帯びてくる典型的な盛り上がりが素晴らしいパフォーマンス。Turn Me On は、少し古臭いブルースを思わせるクラシック・ソウル・バラード。Turning Point はハープシコードを入れたフォーク調の曲でストレートな歌声が素朴な優しいおばさんが歌っている感じで彼女っぽくはないけど好きですね。Some Say はモータウン風なアレンジの曲でリズミックで楽しい。Consummation は彼女の作品でバッハ風フーガに基づいているけれどソウルフルな愛の歌で聴かせてくれます。
 流して聴いている時には粗野で男性的なイメージがありましたが聴きこんでいくと、きめ細やかに作りこんいる作品と感じることが出来ました。なるほどアルバム名も Silk &  Soul ですか。良い作品です。声は怖いけど・・

piano, vocals : Nina Simone
piano, harpsichord : Ernie Hayes
guitar : Eric Gale, Rudy Stevenson
bass : Gene Taylor
drums : Bernard Purdie
arrangements, conductor : Sammy Lowe 

producer : Danny Davis

recorded june 12, 21, august 25,26, 1967

1. It Be's That Way Sometime
2. The Look Of Love
3. Go To Hell
4. Love O' Love
5. Cherish
6. I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free
7. Turn Me On
8. Turning Point
9. Some Say
10. Consummation





  

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