2023年1月8日日曜日

Paul Desmond / From The Hot Afternoon

 

 どのような音楽も雑多に聴いているような気になっていますが、知らないミュージシャンの音源にはなかなか手が伸びないもので、たまに冒険するのがジャケ買いでありジャズなんかでは帯の文言に惹かれて購入する帯買いがあります。このアルバムは後者の方の帯買いにあたります。帯の文言は「デイブ・ブルーベックとの活動でおなじみ、彼独特のリリカルで美しいアルトの音色が、まろやかに聴く人を包む」でした。
 ということでPaul Desmond(ポール・デスモンド)自体には注目して聴いてこなかったので、ほぼ初心者なのですがサイドマンとして私の所蔵音源に辛うじて2枚参加されており、その2枚は The Dave Brubeck Quartet / Jazz at OberlinJim Hall / Concierto 。やはりデイブ・ブルーベックは入っており、私の所有音源の中でも比較的格調が高めのジャズでしょうか。
 ポール・デスモンドは1924年サンフランシスコ生まれで1946年にデイヴ・ブルーベックのバンドでデビュー、その後ジェリー・マリガン、ジム・ホールなどと共演しています。デイブ・ブルーベックとのバンド在籍時にあの名曲5拍子の名曲 Take Five(テイク・ファイヴ)は、ポール・デスモンドの作曲であるとのことも発見。


 本作品は A&M レーベルから1969年の Rudy Van Gelder のスタジオの録音で、ブラジルの代表的作曲家 Milton Nascimento & Edu Lobo(エドゥロボとミルトンナシメント)の作品集であるとのこと。基本的にストリングスを加えたビッグ・バンドで綿密にアレンジしたサウンドに、ポールデスモンドが軽くサックスをのせてアルバムなので、おそらくこの人の真骨頂はもっと別のアルバムも聴きこまないとわからないような気もします。ストリングス・アレンジはDon Sebesky(ドン・セベスキー)
 ゆったりとしたブラジル・テイストでありますが、アレンジも凝っているせいか割とこってりとしています。ムード歌謡のような昭和感のあり昔の喫茶店でかかっていたかのような雰囲気を感じます。
 さてアルバムですが October はストリングスが入ったイントロから始まり映画のテーマ音楽のようなアダルトな曲調にのせて Paul Desmond が肩慣らしで軽くサックスを吹いています。全く脱力な感じ。Round N' Round 軽くリズムを刻むボサノバ・ギターが印象的ですが曲自体はブルースの進行です。Faithful Brother はムーディなブラジル音楽で軽めのアルトサックスとストリングスです。何回か聴きこみましたが、ここで思ったのはどれも3分~4分程度に短くまとめられているのでアルバムとしては聴きやすい。To Say Goodbye では、ボサノバの特徴である「ささやき系ボーカル」が出てきます。そしてムードのあるアルトのソロ。やっぱり昭和を感じるなあ。From The Hot Afternoon では少しテンポ・アップしたボサになります。今までは真夏の深夜薄暗い部屋で濃い珈琲でもすすりながら聴く感じですが、ここら辺は昼間を感じますが、けだるい昼間に少し明るい系のボサノバって感じでしょうか。Circles はサックスに焦点を当てたイントロに透明感のあるボーカルが静かにハモっています。この曲は好いかも。Martha & Romao はミドルテンポですが少しミステリアスでダンサブルな曲です。これはクソ厚い昼下がりに日光を避けた家の中から海を静かに見つめているような感じでしょうか。メロディー的にはボサを外せばポップス的に聞こえます。Catavento は細やかなリズムとパーカッションを使ったアップ・テンポで夜になって軽くカクテルでも飲んで軽くハイな気分になっている感じでこれも良きかな。 Latin Chant は古臭い映画の暗く静かなアダルトな映画のワンシーンと思っていたら、展開で明るいパッとしたガヤガヤした部屋に連れていかれた感じになり、そして疲れてお休みしてから朝になります。アレンジ凄いですね。Crystal Illusions で終了となりますが中東風の音使いで始まり少しポップなボーカルが入っています。正直、刺激が少ないなあと思っていましたがアレンジとかに注目して聴いていると少しイメージ変わりました。

alto sax : Paul Desmond
bass : Ron Carter
keyboards (keyboard instruments) : Patrick Rebillot
guitar : Dorio Ferreira (1 to 5, 8, 9), Edu Lobo (6, 7, 10)
drums : Airto Moreira
percussion : Airto Moreira, Jack Jennings, Stan Webb, Jr.
sax, clarinet, oboe : George Marge, Phil Bodner
trumpet, flugelhorn : Irvin Markovitz, Marvin Stamm
french horn : Jim Buffington
bass trombone : Paul Faulise
flute, alto flute : Don Hammond, Hubert Laws, Stan Webb, Jr.
harp : Margaret Ross
violin : Avram Weiss, Eugene Orloff, George Ockner, Lewis Eley, Matthew Raimondi, Max Pollikoff, Paul Gershman, Raoul Poliakin, Sylvan Shulman
cello : Charles McCracken, George Ricci
vocals : Edu Lobo, Wanda De Sah

arranged by Don Sebesky

producer : Creed Taylor

recorded at Van Gelder Studios June 24, 25; August 13, 14, 1969

1. October
2. Round N' Round
3. Faithful Brother
4. To Say Goodbye
5. From The Hot Afternoon
6. Circles
7. Martha & Romao
8. Catavento
9. Latin Chant
10. Crystal Illusions


▶ October

▶ Circles



  

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