2023年1月5日木曜日

Bill Evans / Alone



 いきつけの「おでんバー」はジャズ・バーではないのですがジャズ好きが多いのです。好みは皆様分かれるところがあり、Bill Evans(ビル・エバンス)の音源も一応おいてありますが滅多にかかることはなく、店では評価は低めに設定されています。でも私がジャズピアノってのも良いもんだなと思わせてくれたのはビル・エバンスを聴いたのがきっかけでもあり店に音源を持って行って聴くことは滅多にありませんが、たまには聴きますし音源もそれなりに集めていますし、「ビル・エヴァンスについていくつかの事柄」という分厚い本も読まさせていただきました。若い頃は、音楽とは聴くものであり、その背景なんかを語るジャズ好きは余り好みでは無かったのですが、いつの頃からか時代背景を調べながらの聴くと聴いている音とは別の背景がアルバム・タイトルや曲名からも読み取れたりすることにも面白いなと思うようになってきて、若い頃にめんどくさいヤツと思っていたウンチクジジイになりつつある今日この頃です。


 さてこのアルバムですが、1968年9月23日、10月8日、21日のニューヨーク、ウェブスター・ホールの録音です。グラミー賞受賞のピアノソロの作品で、非常に芸術性の高さを感じる作品です。1968年録音にしては音質がイマイチといった批評も見ますがピアノ一本なのに、ずっと世界に引き込んでくれる演奏そのものは実に素晴らしい作品です。むしろ音質が少し悪い方が聴いているほうに想像力を掻き立ててくれるのではないでしょうか。
 リリカルという形容詞がよく使われるビル・エバンスですが、このアルバムはまさにその形容詞がしっくりくる一枚で、ピアノのみでならの繊細さとダイナミクスが表現されていると感じます。
 アルバムの1曲目は、Here's That Rainy Day はいきなりエヴァンスの美しいリリカルなピアノの世界で、深く静かですが、これで心はわしづかみにされ、さあ正座して電気消して目をつむってこのアルバムを聴こうかなって気にさせてくれますが正座は苦手なのでしません。A Time For Love では、時折音の密度を少なくし、静寂をもたらすことで、余韻と抒情が生まれています。Midnight Mood は軽快なスイングで夜のイメージよりも爽快な朝の方が似合いそうなイメージで作曲はジョー・ザビヌルとのことで意外な感じです。On A Clear Day (You Can See Forever)  はブロードウェイ・ミュージカルの曲で、きれいなメロディーで軽やかでありながら力強くピアノを鳴らしながら弾ききっています。Never Let Me Go はこのアルバムで一番の長尺の14分で、頭は静かに、そして徐々に饒舌になってくる感情のこもった展開が印象的です。残りの2曲 Medley: All The Things You Are/ Midnight Mood、はオリジナルのは無いボーナス・トラックで A Time For Love はオリジナル収録の別テイクです。A Time For Love についてはオリジナルの方が感情が大きく入り別テイクは静かにメロディーを確かめるような演奏でした。
 深く静かに、自分の心の中を見つめながらピアノの鍵盤をさぐるような感じがとても好き。心の揺れをスウィングするピアノの表現は何度聴いても素晴らしいですし好きな人の方が多いアルバムですね🎵

piano : Bill Evans

producer : Helen Keane
recorded on October 21, 1968; except A2 recorded October 8

1. Here's That Rainy Day
2. A Time For Love
3. Midnight Mood
4. On A Clear Day (You Can See Forever)
5. Never Let Me Go
6. Medley: All The Things You Are / Midnight Mood
7. A Time For Love





  

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