2021年8月1日日曜日

ビル・エヴァンスについていくつかの事柄 中山康樹

 


 今では楽器を問わずにジャズを聴き続ける人になってしまったんですが、十数年前まではギター音楽にしか興味は無くピアニストなんて聞いていませんでした。しかし行きつけのバーの常連さんでビル・エヴァンスが好きな人がいて、かなりの頻度でかけられていたのでいつの間にか私も聴くようになっていました。今ではビル・エヴァンスのみならず、モンク、ホレス・シルヴァー、デイヴ・ブルーベック、オスカー・ピーターソンと様々なピアニストの演奏を楽しんでいますが、入門はやはりこの人でした。

 神経質そうにカメラに目を向ける写真ばかりで、繊細な演奏が多いため内向的な方と思っていましたが、実は活快なかただったとありイメージは作られるものであると改めて思いました。また最初から売れていたわけではなく、売れるために様々なビジネス的努力があったこと、ヤクの代金を稼ぐために結構、銭ゲバっぽい人だったことなんかも見えて実に興味深く読まさせていただきました。また当時のレコード業界はアルバムが売れたら次の発売のレコードには予算がついて高額なミュージシャンも雇えるが、次でセールスに失敗するとまた予算が付かないのでトリオ演奏が多くなるとか、レコーディングしてお金を稼がねばならないのでアルバムを発売せずともまず録音、それで未発表音源も後に相当だされたりする事情が見えたり、稼ぐためにはどんなアルバムを出していかねばならないのか、ビル・エヴァンスは戦略を考えていたとか(つまりは芸術性だけを考えて仕事をしていたわけではない)とかアルバムを聴いて、ライナーノーツを読んでいるだけではわからないことが書いてありました。

 実は本人が没作品にしたかった作品が、後に出てしまっていることも書かれているのでそこら辺の事情なども読み返しながら今後のエヴァンスを聴いていけば、また音源への興味は深まるに違いありません。

 ハードカバーの分厚い本ですが、何回か同じことが書かれているのは?な部分もあり

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