2021年8月29日日曜日

本日のCD Eric Dolphy At The Five Spot Vol2

 

 独特の感性のあるマルチ管楽器奏者の Eric Dolphy のライブ録音で1961年7月に録音されたもの。Vol1では New Jazz/Prestige で1964年に発売され、このVol2は Prestige からのみ発売されています。このライブでは Eric Dolphy はフルートとバスクラを演奏しています。アルバム名は Eric Dolphy ですが、バンドは Booker Little をトランペットに迎えた双頭クインテット。私によくあるパターンでVol1は未だ聴いておりません。この At The Five Spot  Vol2 はかなり尖っているだけに Vol1 はどのようなことになってしまっているのか非常に気になるところです。
 さてニューヨークの Five Spot と言えば私の手持ちのアルバムの中ではモンクの Misterioso があります。このカフェは当時の先鋭的なジャズ・ミュージシャンがよく出演するお店だったようです。元々はマンハッタン南部のバワリー通りにあった「バワリーカフェ」という見すぼらしいバーだったそうです。ところが1955年に店の上を通っていた鉄道が無くなったことにより雰囲気が一転し周辺に画家や詩人の卵が済むようになり 店の名前も Five Spot に改名し、そのたまり場だった店には現代アートを好む人たちがたむろするようになったため、出演するミュージシャンもモンク、ドルフィー、セシルテイラー、オーネットコールマン、コルトレーン、チャールス・ミンガスと先鋭的な人たちが多かったようです。
 そのような背景があっての Five Spot でのこの録音ですが、リトルはこの録音から3か月後に亡くなってしまいます。リトルは本作を含め数枚の音源が残っているのみの人で、このアルバムでは躍動する激しい一面と哀愁のあるメロディアスなトランペットが印象的で名前だけは知っていましたが今回で気になるトランぺッターの一人になりました。
 アルバムには2曲が収録されているのみで1曲20分弱という長尺ですが、これは聴き飽きない長尺で、Like Someone In Love のラストテーマまで聞き終わると充実感はあります。
 1曲目は Aggression のタイトルですがその名の通り攻撃力がかなりあります。最初にこれを聴いたのは仕事で疲れきった週末の行きつけ「おでんバー」でしたが、気力が萎えている時には少々疲れるぐらいの気合が入っている曲でした。ドルフィーはフレーズが速いし、ハーモニーとビートから脱却する「前衛的」な演奏となります。ドラムの Eddie Blackwell はイントロから鋭角的にハイハットを入れてきて、途中はひたすら裏箔を入れる体育会的な根性が入った演奏。そしてリトルの早いけれども調性のあるトランペットでバランスがとられているような感じです。
 2曲目はスタンド―ドの Like Someone In Love でリトル特に好きだった曲のようです。始まりのテーマ部分のルパートでは、リトルがメロディを丁寧に吹き、ドルフィーのフルートで、ベースのリチャード・デイビスが弓弾きで好き勝手に自由にやってしまいます。しかし、時折三人がかみ合う時がありその時に!?とかみ合ったことに驚きが生まれます。そこからは一転ドルフィーはまじめにフルートで、曲に合わせたアドリブをとりますが、やはりそこはドルフィーです、長くやればドルフィーらしさがでてきます。
 書く方にも熱が入るVol2で、私以外の皆さんはVol1を聴いておられましたが、こっちの方が強烈だったのは間違いないようでVol1の感想は余り聴くことはできませんでした。

flute, bass clarinet : Eric Dolphyt
trumpet : Booker Little
piano : Mal Waldron
bass : Richard Davis
drums : Eddie Blackwell

recorded by : Rudy Van Gelder
recorded July 16, 1961.

1. Aggression
2. Like Someone In Love




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