1964年ニューヨークのリンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールで行われた2公演の一部で、このライブはバラードを「My Funny Valentine」に高速バップは「Four & More」の2枚に収録され「静」と「動」として対をなす傑作とされています。
先に書いてしまったようにこのアルバムは「動」。それも息をつく暇もないほどの超高速のバップ。しかもハービー・ハンコックもロン・カーターも異常なこのスピードにも余裕を持っていることを感じられるのがまた凄いところ(ここら辺は聴く人によって感じる印象は違うと思いますが)
ライナーノーツにロン・カーターへの後インタビューが書いてあります。(「Four & More」は数か月オフの後の公演でリハーサルは無し。5千~1万のレパートリーの中から出来上がっていたセット・リストに従って15~20曲を毎晩演奏した。この録音の日と同じセット・リストでその前の晩も同じ曲を演奏していたので曲がどんどん発展していった)なるほどと思いたいところですが、ちょっと待ったです。レパートリーが5千~1万って要するに譜面さえあればどんな曲でもできるってことですよね。覚えているんだとすれば「おかしい人たち」と思ったら、ジョージ・コールマンのインタビューでは「ライブでは譜面を前に演奏した」と書いてありホッとしたような残念なような。
そして、ここでの主役は18歳のトニー・ウィリアムスでしょうか、テクニックと迫力でバスドラのドコドコ言わせつつの繊細なシンバルワークで、高速リズムキープをしていたかと思えば、瞬間で自在にテンポを変えてメンバーに伝えていく仕事っぷりは痛快です。また、ジョージ・コールマンのストレートな演奏スタイルもこのスリリングさを引き立てていると感じ好きですね。速さについてばかり書いてきましたが、早いからこそ50年代からやってきた定番曲がまた違った曲に聞こえるようなスリリングさになっていたり、演奏者の感性がそのまま流れるように出てきたりしているのでスピード狂も良いものです。
trumpet : Miles Davis
tenor sax : George Coleman
piano : Herbie Hancock
drums : Tony Williams
producer : Teo Macero
recorded live in concert at the Philharmonic Hall of Lincoln Center for the Performing Arts in New York City on February 12, 1964.
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