タイトル曲の「Back To The World」は、ベトナムに出兵している兵士たちがアメリカに帰還する歌で、その社会性に大きな注目が集まったニューソウル全盛期のカーティスの全米R&Bチャートで1位に輝いたヒット作です。
さてそのタイトル曲はこのアルバムの1曲目から、強力なメッセージを込めて歌われています。曲自体はストリングスとホーン・アレンジに乗せたカーティスのファルセット、壮大な世界が広がるゆったりとしたフィリーソウルな曲でありますが「Let me tell ya son / The war was never won」「I’ve been beaten up and robbed / Soldier boy ain`t got no job / Back in the world」と比喩もなしのストレートな歌詞。曲のエンディングに入っている飛行機の音はベトナムからアメリカへ帰還する飛行機の音ですね。Marvin Gaye「What's Going On」に呼応しているとも目にしますが、ここら辺はどこかでまた。
そしてもう一曲 If I Were Only a Child Again」も軽快な楽曲にも関わらずストレートなメッセージです。「If I were only a child again / And have the ability to understand / I'd speak for little people from the date of birth / And ask the grown ups, when will there be peace on earth? / Grown ups, when will there be peace on earth? / Brother, when will there be peace on earth? / Only, only, only a child」
ベトナム戦争を巡って世界各国で大規模な反戦運動が起こっていて、このアルバムが発売された1973年は、パリ協定を経てリチャード・ニクソン大統領は派遣したアメリカ軍を撤退させた年です。私も小学生で、細かな内容は覚えていませんがテレビでベトナム戦争のニュースや問題が報じられていたことは覚えています。アルバムのセールス的なヒットというレコード会社の戦略とは無関係に、このカーティスのストレートなベトナム帰還兵をモチーフにしたアルバムは当時まさにこの出来事に対峙していたアメリカ国民に共感を呼んだり嘆いたり様々な感情を引き起こしたことは想像できます。
普段は私は歌詞の意味など深く読みこまず曲を塊でとらえて好みの判断をするタイプのリスナーです。しかしこのアルバムでは 歌詞を見ながら、Curtisメッセージを感じ取ることができて、またこの人が好きになりました。とはいっても軽快なソウルアルバムと思って聞き始めたのが、聴きごたえ以上のかなり濃くて重いアルバムでビックリでもありました。
written by, producer : Curtis Mayfield
1. Back To The World
2. Future Shock
3. Right On For The Darkness
4. Future Song (Love A Good Woman, Love A Good Man)
5. If I Were Only A Child Again
6. Can’t Say Nothin’
7. Keep On Trippin’
0 件のコメント:
コメントを投稿