2023年5月7日日曜日

Nina Simone / Here Comes The Sun

 

 Nina Simone は、これが2枚目のアルバム。1枚目は1967年のソウル系の Silk & Soul で、今回はポップなところをカバーしている1971年のアルバムです。唯一無比、印象的な渋声ヴォーカルで、ジャズ、フォーク、ブルース、R&B、ゴスペル までジャンルレスに歌いこなす方で、いつもの「おでんバー」でジャズとかも聴いたことがあるんですけど、もっか私の所有音源はソウル系のみです。


 レビューしてみます。タイトル曲は1曲目の Here Comes The Sun で、ビートルズが1969年に発表したジョージ・ハリスン作の名曲のカバーです。ワザとでしょうか?あまり歌いこんでいないようなイントロで、音程もフラフラしているような気がします。ピアノはニーナが弾いているとのことで、バックのバンドの演奏は素晴らしい。Just Like A Woman は、ロバータ・フラッグも歌っていたボブ・ディランのヒット作。これは歌いこんでいるようで情感豊かに歌い上げています。イントロのニーナのピアノも良し。オルガンがバックに入り、ゴスペル調のフォーク。中盤のドラム・ロールが要らないかな。O-O-H Child は、ゴスペル調のラテン・ロックになっています。単調なメロディーですがニーナの良さは出ている楽曲です。印象的で、これは昔ラジオとかで聴いたことある記憶があります。Mr Bojangles は、1曲目との力の入れ方に明らかな格差をつけて、ニーナがグッと感情をこめて歌い上げています。ソウルに属するのかもしれませんがフォーク調に聞こえる歌い方も良い。New World Coming はスピリチュアルな曲で、新しい世界が素晴らしい世界が待っているという自由を求める黒人の願いが込められた歌で、アメリカ全土の黒人が投票権を持つことによって生まれる解放への希望が込められています。Angel Of The Morning は、ぶっとい迫力がある声で、可愛らしく歌っています。ジェイムス・テイラーのヒット曲。How Long Must I Wander は、ニーナの力強いピアノで始まる弾き語り。しんみりとします。このアルバムでピークに達する高揚感があります。そして最後はシナトラ My Way で締めくくりです。良い曲なんでニーナが歌って悪い訳がない。せわしないバックの早いボンゴで意表を突かれますが、これはありだな。アレンジはかなり凝っていますので、たまにやる行きつけ「おでんバー」で開催されるマイウェイ大会(どのアーチストのマイ・ウェイが良いか、インパクトがあるか、見つけてきた youTube を流して競います)にエントリーしときます。
 正直言って、時代の流れに合わせたヒット曲のカバーをアルバムタイトルに持ってくる商業色豊かなアルバム制作の姿勢がチープなアルバム感を出してしまっています。アルバムを真面目に制作していたのに、後で企画会議でヒットした Here Comes The Sun を入れて売り上げを増やそうとして企画倒れになったみたいな感じかなあ🎵

piano, vocal : Nina Simone
guitar : Al Shackman
bass : Gene Taylor
drum : Ray Lucas
backing vocals : Howard Roberts
harp : Corky Hale
conductor : Harold Wheeler
leader (orchestra, assembled by) : Kermit Moore

producer : Harold Wheeler, Nat Shapiro
arranged by : Harold Wheeler, Nina Simone
recorded in RCA's Studio B, New York City

1. Here Comes The Sun
2. Just Like A Woman
3. O-O-H Child
4. Mr Bojangles
5. New World Coming
6. Angel Of The Morning
7. How Long Must I Wander
8. My Way





  

2023年5月6日土曜日

Baha Men / I Like What I Like


 1977年に結成されたバハマ出身のグループ Baha Men のメジャーデビュー3作目です。結成当時は High Voltage というバンド名でバハマのナイトクラブやホテルなどで活動しアルバムは自主制作でした。その後1991年に、自主制作テープが、アトランティク・レコードの目に留まり子会社のビッグ・ビートと契約しバンドは Baha Men に改名。そして翌年の1992年に、Junkanoo でメジャーデビューし1994年に、Kalik 1997年には本アルバム I Like What I Like をリリース。1998年にはポリグラムにレーベル移動し Doong Spank を発表、2000年は Who Let the Dogs Out? のリメイクで大ヒットし「ベスト・ダンス・レコーディング部門」でグラミー賞を受賞したがメジャーデビュー後は割と短命に終わってしまいました。


 購入動機としては関西在住時代に行っていた寝屋川のレゲエ・フェスの予習で購入していたものです。レゲエ・バンドという認識で購入していたんですがカリビアン・ビートのポップスという感じです。KC & The Sunshine Band の That's The Way (I Like It) なんかのカバーはレゲエはあまり感じません。ここらへんのビートだと先日レビューの Magnum Band より、はるかに日本人にも受け入れやすい感じです。とにかく陽気に気分を盛り上げていこう!と一貫した曲作りですねえ🎵

That's The Way I Get Down
Beautiful Girl
あたりが良く流れていたような気がします

1. Love Really Hurts
2. That's The Way I Get Down
3. Follow The Sun
4. I Like What I Like
5. Windee
6. Beautiful Girl
7. Only Lonely
8. Heart
9. Jump In
10. Living On Sunshine
11. Bounce
12. Gotta Move On





  

2023年5月5日金曜日

Cannonball Adderley / Somethin' Else

 

 このアルバムを録音したのは1958年3月9日、その5日前にマイルスは、Milestones(Columbia)を録音を完了しています。1958年2月4日、3月9日 の2回の録音でした。それまでのクインテット(5人編成)に Cannonball Adderley を加えることによりセクステット(6人編成)し新しい試みに着手し、マイルスを起点にしたジャズの歴史が大きく転換した時期でもあり、同時期のマイルスをメンバーに加えた演奏として人気の名盤となっている古典的名作です。Blue Note は、当時ミュージシャンに事前リハーサルを求めていたが、このアルバムはマイルスが参加していたので当日の簡単な打ち合わせだけで録音が行われたとのことです。選曲はキャノンボールに一任、Somethin' Else はマイルスの書下ろしとなっています。共演ミュージシャンはキャノンボールとアルフレッド・ライオンの人選のようです。マイルスはメンバーとして参加ではありますが、Columbia と契約していたマイルスは、Blue Note からリーダー名義の作品を出すわけにはいかず、実質上のリーダーはマイルスだったとも言われています。


 そのような謂れのアルバムをレビューします。1曲目はマイルスも良く演奏しているAutumn Leaves ですが、イントロが独特で全く違う曲のようです。これはマイルスが愛聴していたアーマッド・ジャマルのイントロがそのまま採用されているとのこと。エンディングもテーマと違った形にしていて凝って作りの作品となっています。Love For Sale については、キャノン・ボールの可愛らしくユーモラスとも思えるサックス・ソロが印象的で、続くマイルスのミュート・トランペットも軽快なメロディで始まるが、おっと引きつられてはいかんと渋い演奏に戻るような気がします。続いてはアルバムテーマの Somethin' Else はマイルス提供です。シンプルなブルース・テーマで始まりますがコード進行が不思議な感じです。One For Daddy-O はオーソドックスなミドルテンポのブルース。まずはキャノンボールのソロですが流れるところと聴かせるところのレトロ感と緩急が良い、マイルスはクールに日常的に吹いている感じです。熱くないのが良いところですかね。そしてハンク・ジョーンズの短めピアノ・ソロ、キャノン・ボール、マイルスのアンニュイなソロ、ピアノでテーマとなります。このエンディングはあっさりで、最後にマイルの声(何と言っているのか?)ラストの Dancing In The Dark はマイルス参加せずにキャノン・ボールのみ。マイルスのアイデアらしい。
 テクニック云々よりも、力強さが伝わってくるアルバムでわかりやすいジャズ・アルバムです。でかい音で酒を飲みながら聴きたいやつです🎵

alto sax : Julian "Cannonball" Adderley
trumpet : Miles Davis
piano : Hank Jones
bass : Sam Jones
drums : Art Blakey

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

recorded on March 9, 1958.

1. Autumn Leaves
2. Love For Sale
3. Somethin' Else
4. One For Daddy-O
5. Dancing In The Dark
6. Bangoon
7. Autumn Leaves (altered take)





  

2023年4月30日日曜日

Junior Mance / Softly as in a Morning Sunrise

 

 「限定生産」enja Real Jazz Classics シリーズの一枚。1994年にミュンヘンでベテラン・リズム隊との録音とのことで、御歳66歳の晩年の作品です。リーダー作として所有しているのは1959年の初リーダー作 Junior でした。最初の作品は全体に優しく軽めなタッチの印象でしたが、この晩年の作品ではファンキー・タイプのグルービィなピアノとタッチは結構変わっています。マンスは、このあと2015年まで作品を発表し続け引退し、2021年の1月17日に92歳でアルツハイマー病を患い転倒した時に脳出血を起こし翌月にマンハッタンの自宅で亡くなられています。
 1928年にイリノイ州生まれで、ピアノは10歳でプロとしてブルースを演奏していて、キャリアの本格的スタートは1951年に入隊してからのこと。駐在先のケンタッキー州の基地のクラブでキャノンボール・アダレイと出会ってバンドでピアノを演奏したことがきっかけとのこと。1953年に除隊してクラブで演奏し、ディジー・ガレスピーのバンドに参加したほか、バディ・ガイやチャーリー・パーカー、デクスター・ゴードンらと共演。その後はダイナ・ワシントンとレコーディングやツアーを行い、1956年にはサム・ジョーンズやジミー・コブとキャノンボール・アダレイのバンドに参加。1959年に初リーダー作の Junior をリリース。1990年から2009年にかけて、1年おきに日本で開催された「100 Gold Fingers Piano Playhouse」という秋吉敏子やモンティ・アレキサンダー、ケニー・バロンらが参加するオールスター・ジャズ・ピアニスト10人によるコンサートに出演。80年代後半から2011年まで、The New Schoolで教鞭を執り、ジャズを教えていたとのこと。


 昨日、いつもの「おでんバー」で飲んでいたら Enja レーベルの話になったので、少し記述しておきます。設立者はマティアス・ヴィンケルマンとホルスト・ウェーバー。マル・ウォルドロンの大ファンで、そのリリースをしたいと誕生した経緯があります。(最近レビューした「プラハの春」のマル・ウォルドロンです)ヨーロッパ独特の選曲のクセがあるレーベルですね。またレーベル運営当初から、山下洋輔、日野皓正などの日本人アーチストも多くリリースしています。
 さてレビューです。タイトル曲 Softly As In A Morning Sunrise は、ゴージャスな感じのピアノ・イントロからスローに始まるテーマ。アーシーなピアノソロ、ベース・ソロでエンドテーマとなります。タイトで跳ねるようなベースのリズムがカッコイイ。エンディングの大袈裟な感じも良いです。The Man From Potters Crossing ミディアム・テンポのブルースですが、これもまたベースがカッコ良し。Jimmy Woode って良いですね。ベースとピアノがユニゾンで最初と最後にテーマ。Sunset And The Mocking Bird も非常にアーシーさが出ているピアノがわかりやすくカッコ良く拡大展開も、また良くて小粋です。Broadway では、原曲のハッピーな雰囲気を活かしてテンポよく進行。熟練されたトリオの演奏は安心・安定ですね。Blues For Blackey は、ブルースマーチを意識したようなテーマで50~60年代のファンキー・ジャズ風が手練れのミュージシャンを感じさせます。そして私の大好きな曲 Gee Baby, Ain't I Good To You です。スローにブルージーにピアノがリードする仕上がり。また私の Gee Baby, Ain't I Good To You リストに良い演奏が加わりました。Lady Bird はタッド・ダメロン作のバップ・ナンバー。ドラムとの交換小節がトラディショナルな感じですね。Wee も、バップ・ナンバーで、マンスのバップ魂が小気味よくエンディングがまた良しのマンス作。Sunday Go To Meetin' は、ゴスペル調でノリの良いピアノで、アメリカの日曜の教会って、こんな感じなんだろうなあ。Inside Out はベースのウッディが楽曲提供で、バンドの自由な演奏に、このトリオの為に書いたんだろうなと思えます。C.C. Rider は、ライブのアフター・アワーズ的な曲で締めくくりの感じが出ています。こういうアルバムの作り方好きです。
 リズム隊が非常に優秀で、ベースのしなやかさ、堅実なドラムがとてつもない安定感を生み出しています。選曲も小粋なスタンダード曲が中心で趣味が良しマンスのピアノも小気味よく、まとまっていてクセも無く冒険も無いものの、安定の素敵なピアノ・トリオを感じます🎵

piano : Junior Mance
bass : Jimmy Woode
drums : Bob Durham

producer : Horst Weber

recorded July 21st 1994 at Trixi Studio, Munich

1. Softly As In A Morning Sunrise
2. The Man From Potters Crossing
3. Sunset And The Mocking Bird
4. Broadway
5. Blues For Blackey
6. Gee Baby, Ain't I Good To You
7. Lady Bird
8. Wee
9. Sunday Go To Meetin'
10. Inside Out
11. C.C. Rider





  

2023年4月29日土曜日

Judas Priest / Priest Live


 昔はロック小僧だったのでこんなんも久しぶりに聴いてみようかと、歳とったヤジオが久しぶりに購入したアルバムです。1986年ワールドツアー「Fuel For Life Tour」のダラス公演とアトランタ公演の音源王道のHM (ヘビメタ)?です。
 今の若いメタル・ファンには物足りないかもしれないけど、適度に早くてヘビーです。HR (ハード・ロック)からHM (ヘビメタ)へ業界が変わっていった頃の良い雰囲気があります。HRとHMの違いについては、ブルース・ロックから少しブルース色を抜いたディストーションを激しくかけたロックがを HR (ハード・ロック)、そこから進化した全くブルースを感じさせないロックを HM (ヘビメタ) と私は認識しています。この言葉はどうやって生まれたのかと言えば、レコード会社、音楽評論家が進化し始めたロックをジャンル的に差別化して売上げを伸ばしたいと考えての造語に違いないですが、そこを掘り下げたい人は、体系的に・辞書的な定義・リズム、ギター、歌詞テーマから掘り下げて論じている METALGATE というサイトが参考になりました。


 今では超メジャーとなっている彼らですが、今とは全く違うメンバーで1969年に結成し、イギリスでデビュー。しかし1980年ごろまでは契約上違う仕事をしなければ食べられないほど財政状態が悪かったらしいです。本アルバムの演奏と上の写真のメンバーはおそらく違うはずですが、ボーカルの Rob Halford だけは変わっていないのはわかります、2016年のBABYMETALとの共演はしっかりチェックしてましたから・・
 レジェンドになったんだねえ🎵


lead vocals : Rob Halford
lead guitar : Glenn Tipton, K. K. Downing
bass guitar : Ian Hill
drums : Dave Holland

recorded during the Judas Priest World Tour 1986.

1. Out In The Cold
2. Heading Out To The Highway
3. Metal Gods
4. Breaking The Law
5. Love Bites
6. Some Heads Are Gonna Roll
7. The Sentinel
8. Private Property
9. Rock You All Around The World
10. Electric Eye
11. Turbo Lover
12. Freewheel Burning
13. Parental Guidance
14. Living After Midnight
15. You've Got Another Thing Comin'





  

2023年4月28日金曜日

The Jazz Funk Masters featuring Lonnie Smith / Live Jam!


 こういったレア盤を見つけると何か心躍るものがあります。1992年5月12日に高円寺のJIROKICHI にて収録された吾妻光良、梅津和時のセッションに緊急参加のジャズ・ファンク界の誇るハモンド・オルガン奏者 Lonnie Smith をフューチャーしたセッションです。
 Lonnie Smith と言えば、ターバン姿と白熱の鍵盤さばきがトレードマーク。ジミー・スミスやラリー・ヤングなど伝説的名手のスピリットを継承しながら、今日のオルガン・ジャズを描き続ける名匠です。2021年9月28日に肺疾患の肺線維症のため、フロリダ州フォート・ローダデールの自宅で79歳で逝去されています。


 アルバムの情報としてはCDのライナー・ノーツが頼りで、栗山太郎という方がピーター・バラカンさんのラジオ放送向けに宛てた手紙がもとになっています。さてこのライブ Lonnie Smith が参加する雑誌などの告知が一切ないライブだったそうで、1部終了後2部の途中で Lonnie Smith が到着して参加、3部ではメンバーが変わって Lonnie Smith が主役になった編成で登場。ハモンドとレスリースピーカーから大音量で響き渡った瞬間に鳥肌がたったそうです。1曲目の Slouchin' は、BlueNote 時代のアルバム Think! 等で有名な曲で、これは予定通りの演奏だったものの、その後は自分のやりたい曲を弾き始めるのでメンバーはついてゆくのが大変だったとか。曲順は、Willow Weep For Me、Milestone、Satin Doll でその後はブルース・ジャムだったそうです。このアルバムでは、Willow Weep For Me は残念ながら収録されていません。アルバムでは演奏曲順と収録曲順は異なるようで、2曲目は Satin Doll で、これはメンバーも演奏はしやすい曲でしょう。3曲目 Skin Games 4曲目 Blue Turban はロニーのオリジナルとなっているのですが、これが手紙に書かれていた即興のブルース・ジャムにあたるような感じがします。Skin Games では、吾妻光良 のギターは比較的クリーンな音でジャズ・ブルースっぽい感じですが、Blue Turban はスローなブルースですが、ほぼR&Bのギタリストになりきっています。後半は激しい歪みを加えて盛り上がる大団円が嬉しい。そして最後は Milestone ですが、気合が入りすぎているのか、テーマ部分のホーンが走り気味になってロニーがそれを抑えながら弾く部分もあったりするのがライブって感じで良いです。全体としても、くどいメンバーの熱い演奏が最高で強烈な印象です。JIROKICHI は、それほど広くないライブハウスですので、この大迫力ライブが直ぐ近くで見れてお客さんは幸せだったに違いない🎵

organ : Lonnie Smith
guitar : 吾妻光良 Mitsuyoshi Azuma
drums : 佐野康夫 Yasuo Sano
alto sax : 梅津和時 Kazutoki Umezu
tenor sax : 片山広明 Hiroaki Katayama

producer : Isao Washizu

live recorded at Koenji "Jirokichi", may 12, 1992.

1. Slouchin'
2. Satin Doll
3. Skin Games
4. Blue Turban
5. Milestones





  

2023年4月23日日曜日

Buddy Rich / Just Sings

 

 私がジャズを全く聴いていなかった中学生時代に、FMラジオから、たまたま録音したビッグ・バンドの迫力にビックリして更にバカテクのドラムにびっくりしてこの人の名前を記憶していました。大学時代にビッグ・バンドにも参加したものの、ハマることは無かったのですっかり Buddy Rich(バディ・リッチ)の名前を忘れていました。最近になってからバディ・リッチをたまに購入したのが、this one's for Basie (1956)Big Swing Face (1967)となり、これが3枚目の1957年の作品となります。
 演奏は細かでスピーディでなフレーズを正確に叩いて長時間持続が可能な人で、ハイテンションで崩れないグルーブ感が持ち味です。1917年9月30日、ニューヨーク州ブルックリン生まれで、1歳よりドラムスティックを持ち11歳でバンドリーダーとしても活動を始める天才です。1937年からジョー・マーサラ楽団に加入し、スウィング・ジャズ・バンドで活動し、1950年代はハリー・ジェイムス楽団、カウント・ベイシー楽団等もゲストとして演奏され、1966年に自楽団を結成し1970年代にはファンク色の強い演奏もされ1987年4月2日、ロサンゼルスで死去されています。


 さて本アルバムを聴き始めると、いつもの激しめのビッグ・バンドと何か違う。というより、ギターがイントロのドラムレスです。CDの帯を見直すと「名ドラマー、バディ・リッチがなんとヴォーカルに専念した珍しいアルバム。超一流のミュージシャンをバックに本職顔負けの渋い歌声を聴かせる楽しい作品」「世界初CD化」とあります。なるほど!ですが、バディ・リッチが叩いている曲も一曲ぐらいあるだろうと思ったら、なんとゼロでした。
 バディ・リッチのアルバムでドラムを叩くのは大変緊張することであろうと察しますが、その役は Alvin Stoller が努めています。1925年生まれで1940~1950年代で活躍されていたドラマーで、私の所有する音源に参加されている作品はありませんでした。Mitch Miller というポピュラー・ミュージックの choral conductor おそらく(コーラスの指揮者、アレンジャー)の方とのレコーディング作品 The Yellow Rose of Texas が最も有名な作品とのことでドラミングは控えめなサポート役に徹しています。Howard Roberts は1929年生まれで1950年代には Sonny Stitt、Dexter Gordon、Buddy DeFranco 1960年代は自身のカルテットでアルバムを制作していたギタリストで、中々渋いギターです。Paul Smith は1922年生まれで Les Paul、Tommy Dorsey らと共演し 1958~1978年は Ella Fitzgerald のサポートもしていたピアニストで、コロコロとしたリズム感のある演奏でバンドを締めています。そしてバンドの要としてこのアルバムをぐっと聴きやすくしているベースの Joe Mondragon は1920年ニュー・メキシコ生まれの結構売れっ子のスタジオ・ミュージシャンだったそうです。
 そして今回のドラムを叩かないシンガーとなった Buddy Rich は、意外と良い喉をしています。確かに本職のシンガーのような歌いっぷりですが、全体的に抑揚が少な目で曲による変化が少ないため少し単調に聴こえます。ここら辺がCD化されずにいて、マニアのためにやっとCD化した理由でしょうか。そしてもう一つこの企画の大きな理由が想像されるのは1956年 Pacific Jazz Records から発売された Chet Baker / Sings のヒットでしょう。Verve も、このヒットに続けと売れっ子で歌の上手かった Buddy Rich に、この企画を持ち掛けたことは容易に想像ができます🎵

vocals : Buddy Rich
piano : Paul Smith
guitar : Howard Roberts
bass : Joe Mondragon
drums : Alvin Stoller
tenor sax : Ben Webster
trumpet : Harry Edison

1. Cathy
2. Between the Devil and the Deep Blue Sea
3. It's All Right With Me
4. Over the Rainbow
5. You Took Advantage of Me
6. Can't We Be Friends
7. It's Only A Paper Moon
8. Melancholy Baby
9. Cheek to Cheek
10. It Don't Mean A Thing (If it Ain't Got That Swing)
11. I Hadn't Anyone 'Til You
12. That Old Feeling

▶ Cathy




  

2023年4月22日土曜日

Eagles / Best Selection



 ホテル・カリフォルニアが流行ったのは1976年。私が未だ小学生の時で、流行っていた瞬間にリアルタイムで聴いていることはなく、中学生になってからFMラジオでのオンエアやなどでカセットテープに録音して聴いていた記憶があります。その頃はFMでイーグルス特集が頻繁にあったので、イーグルスのみでテープが何巻になっていました。


 中学に上がりたての頃なんて洋ロックに初めて触れたので、ホテル・カリフォルニア以外はヘビーなロックのような記憶があったのですが、改めて聴くとカントリー・ロックの要素が強かったので人間の記憶は経年で変わるものと改めて感じます。これは社会人になりたてぐらいの時に改めてイーグルスを聴きたいと思ったので、全部アルバムを買わんでも良いかととりあえずベストを購入したものです。
 しかし、このベストには私が好きだった曲が入っていなかったので、どの曲だったかずっとモヤモヤしていて、アルバムを6枚組そのままライナーノーツ無しでパックした廉価版パックを購入して探し出したのが、The Long Run に収録の Heartache Tonight でした。その廉価版のパックに入っていたアルバムも列記しておきます。

1. Take It Easy
2. Peaceful, Easy Feeling
3. Desperado
4. Already Gone
5. On The Border
6. One Of These Nights
7. Lyin' Eyes
8. Hotel California
9. Life In The Fast Lane
10. Wasted Time
11. Victim Of Love
12. Pretty Maids All In A Row
13. Try And Love Again
14. Is It True
15. Good Day In Hell
16. After The Thrill Is Gone





  

2023年4月21日金曜日

Magnum Band / La Seule Difference


 ファンクに凝っていて、ジャケ買いに果敢に挑戦していた若いころにジャケットに写るメンバーの写真を見て、そのカラフルさにてっきりアース系なんかのサウンドが聞けるのではないか?と想像しながら購入したら全く違うラテンだったという落ちがあるアルバムです。最も今これを聴き直しながらアルバムタイトルを見ていたら英語圏でないことぐらいわかっただろうにファンクではなさそうだぐらい推測できたとも思うのですが、ジャケ買いなんでタイトルなんて見るわけもなし、基本的にジャンルにこだわることはなく聴くタイプなので全く問題はなし。
 ラテンと言ってもカリブ系のデジタルな楽器を駆使したラテンやレゲエが収録されています。あまり私にはなじみがないんですが海外系のバーとかでよくかかっているヤツで全世界的にはこっちの方が標準サウンドなのでしょうか。アジア系、ヨーロッパ系問わず、お酒があって踊れるようなところでは好まれるようで、この手の音を聴いても血が騒がないのは、私のような日本人だけで少し感覚が違うんであろうことを感じます。


 このバンドに関する日本語のサイトは見つからないのですが海外サイトで断片的に記述はありました。ハイチのバンドであり、リーダーのギター Dadou Pasquet は、その筋の中では伝説的なギタリストということまでは発見。確かにクリーンなストラト系シングル・コイルのギターでレゲエのリズムもしっかりとこなしながらかなり細かな決めフレーズ、楽曲によってはスパニッシュなフレーズを入れたりと印象的なギターです。ギタリストがリーダーのラテンバンドってあまり無いので、そこらへんもレアな感じです。
 楽曲で印象に残るのは、Ki Mele'm で、坂本九の「スキヤキ」「見上げてごらん星空を」のメロディーが最初の方に少しだけ出てくるのですが、メドレーなんでしょうか?ドンドン曲調やメロディーは変わってゆき後半には全くでてこない8分の大作です。

leader, lead vocals, chorus, guitar : Dadou Pasquet
lead vocals, chorus, percussion : Yvon Mondesir
Keyboards : Chris Fletcher
bass : Nasser Chery
chorus : Carlos Pasquet
congas : Varnel Pierre
cowbell : Ernest Gabriel
drums : Tico Pasquet
sax : Bob Curtis
trombone : Rom Warfel
trumpet : G. Veilleux

1. Pike Devan (Zouke)
2. Way To Heaven (Gran Chimin)
3. Ki Mele'm
4. Courage
5. Pa Pale La