2021年9月20日月曜日

本日のCD Erroll Garner ♪ Plays Misty

 

 今は世界中の人に演奏されるスタンダード Misty 初演が収録されているアルバムです。この曲はのエロル・ガーナーによって1954年に作曲されました。飛行機で移動中に唐突に魅力的なメロディが浮かんで、楽譜が書けなかったために忘れないように反復してホテルにタクシーで急行してテープ・レコーダーに録音した曲です。曲名は本人ではなく友人から「霧のようにぼんやりとしている」と名付けられたそうで、確かに強力なメロディーでは無いのですが、なんとなく頭に残るのがこの曲の良いところかもしれないですね。
 この初演では最初の8小節はオクターブでテーマが弾かれ左手は4拍刻みのコード伴奏。続く8小節では合間にごく簡単なフェイクが挿入され、サビの前でやっとアルペジオが挿入される。サビの後半も基本的にはテーマの演奏でストップ・タイムを使用しながらエンディングとなりアドリブの部分はない。名演というよりはエロル・ガーナーの記憶に留めるための小作品のような録音ですが、アルバムタイトルであり1曲目に冠されています。時間的制約もありますがアドリブ部分は短くてもあります。
 ライナーノーツによると彼は「芸術家としてのジャズピアノ」の評価は眼中になく「ジャズはエンターテイメントである」という信念であったとのことが書いてあり、聞く人が楽しければ良いという観点からすれば Misty は楽曲の素晴らしさだけ伝えられれば曲の形式や評論家に評価されるアドリブなんかはなくても別に構わなかったのかと考えましたが、他の曲もこの時代の録音だけにほぼ全曲が約3分にまとめられております。つまりは Misty はテーマがスローテンポのバラードで長かったのでアドリブを入れる時間がなかった方が正解のような気もします。
 このアルバムを購入してからの初めて封を開けて聴いたのは、やはりいつもの「おでんバー」です。今日はこれを聴こうと思って持っていったら、あまり見慣れないお客さんが4人おられました。近くのライブ・ハウスでのライブ終了後の打ち上げを終わったメンバーさんが盛り上がり、チャーリー・パーカー大会となっていました。それなりにこちらも楽しんで聞いていましたが、かなり長い間かけられていたチャーリー・パーカーも飽きてきたなと思ったところで、このアルバムをかけると静かになって皆さん退散されました。ただ単に購入してきた「Misty」の原曲を聴きたかっただけなんですが、他の常連さんには「やり手の撃退手法でしたね」と褒められました。皆さん飽きてたけど言えなかったようです。
 しかしその後の常連さんのエロル・ガーナーの評価も、大げさな装飾音の多い表現でアドリブに面白みがないなどの評価でした。その時にはジャズを聴きこんだ人の評価はそんなもんかなあと軽く受け止めながら何回か聴きなおしてこれを書いています。改めて聴くと先ほど書いた3分にまとめらている楽曲が中心なのですから、起承転結のある長いアドリブが入れられるわけもなく、楽曲のテーマを効果的に客に印象付ける要素として、ビハインド・ザ・ビートや、装飾の多用やトレモロ、タイミングをずらす奏法などは基本的にわかりやすくて効果的な手法だったと思っています。したがって常連さんの言われることも、納得。あとは好みの問題です。私的には Misty に満足し、収録されているエロル・ガーナー作曲のFrantonality は、スリム・ゲイラードとかでも聴いたことがあり当時の大道芸的なミュージシャンでは、こんなコメディ的メロディも受けていたのかとか、ガレスピの3分連続攻撃よりエロル・ガーナーの方が聞いてて飽きないよなあとか、結構楽しみながら聴いています。

1. Misty
2. Exactly Like You
3. You Are My Sunshine
4. What Is This Thing Called Love
5. Frantonality
6. Again
7. Where Or When
8. Love In Bloom
9. Through A Long And Sleepless Night
10. That Old Feeling





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