2024年11月29日金曜日

秋吉敏子 / DIG

 

 
 いつもの「おでんバー」に行くと、NHKのラジオ番組がジャズ・トゥナイトがかかっていることがあります。番組の案内役は、音楽家の大友良英氏でホントにほれ込んでいるアーチストの音楽をかけている時は、明らかに言葉の勢いと量が違ってまた熱量が半端なく面白く聞かせていただいております。
 その「おでんバー」である日かけていたジャズ・トゥナイト。2021年4月24日放送分では日本人のジャズ・ピアニスト秋吉敏子の特集でした。秋吉敏子は名前は聞いたことがありましたが、大友良英氏の推薦版だけあって中々の濃い内容でありました。1929年の満州生まれのピアニストで、小学校からピアノを習い始め1950年代から活躍されていたピアニストとかの解説はマスターから聞き、かかっていた曲は非常にモダンで繊細なタッチのピアノでスイング感がありながらも随所にクラシックっぽい素養がある知的な演奏であることがインプットされて、後半は日本の民謡とのコラボ作品では日曜の「題名のない音楽会」でよくこういうのあるよねとか言いながら聴いておりました。
 そして、いつも「おでんバー」に行く前に、ジャズの品揃えはほぼ壊滅状態の中古ショップで秋吉敏子を発見してしまいました。先週初めて聞いたところでこれは「縁」であると買わせていただいたのが本アルバム。


 パッケージを開けて聴き始めると、録音は1993年なので晩年の作品にも関わらず流れるような手さばきのピアノで、バンドアンサンブルは正統派を聴いてとれるトランペット、テナーの2本のフロントラインに3リズムの典型的な編成コンボによるビ・バップです。かっこ良いのは素晴らしいのですが、1993年での録音ということは、1923年生まれの彼女が、お幾つであるのかを考えると「時が止まっているんじゃないか」などと、マスターと談笑しながら楽しく聞かせていただきました。しかし2018年のライブを収録したアルバムで、2019年時点で90歳でなお現役活動を続けられていることを知り更に驚きです。このアルバムの1993年なんて驚くに値するものでもなかった訳です。
 タイトル曲のマイルスの DIG は、こなれたピアノソロ以降はトランペットとテナー、ドラムのフォーバースです。スリリングですがどこに飛んで行ってしまうかのようなことはなく安定感抜群。その他、JJジョンソンのバラード Lament 。Lazy Day、Haliquin、Uptown Stroll は秋吉敏子のオリジナルです。インターネット・ラジオで知ってからのご縁ですがこうやって知って感じることができるのも、また楽しいものです。
 Wiki では本名の表記は「龝吉 敏子」と難しい漢字のほうでした。それとライナーノーツには、あえて御年は記載されていなかったですね。娘さんもミュージシャンの「Monday満ちる」も忘れてはいかんです🎶🎹



piano : Toshiko Akiyoshi
bass : Peter Washington
drums : Kenny Washington
tenor sax : Walt Weiskopf
trumpet : Conte Candoli

producer : Tetsuya Iwasaki
recorded at Sound On Sound Recording Inc. on March 22nd, 23rd & 24th 1993.

1. Dig (M.Davis)
2. Lament (J.J.Johnson)
3. Lazy Day (T.Akiyoshi)
4. Haliquin Tears (T.Akiyoshi)
5. Uptown Stroll (T.Akiyoshi)
6. Morning Of The Carnival (L.Bonfa)
7. La Mucura (Cuban Traditional)


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