2023年4月23日日曜日

Buddy Rich / Just Sings

 

 私がジャズを全く聴いていなかった中学生時代に、FMラジオから、たまたま録音したビッグ・バンドの迫力にビックリして更にバカテクのドラムにびっくりしてこの人の名前を記憶していました。大学時代にビッグ・バンドにも参加したものの、ハマることは無かったのですっかり Buddy Rich(バディ・リッチ)の名前を忘れていました。最近になってからバディ・リッチをたまに購入したのが、this one's for Basie (1956)Big Swing Face (1967)となり、これが3枚目の1957年の作品となります。
 演奏は細かでスピーディでなフレーズを正確に叩いて長時間持続が可能な人で、ハイテンションで崩れないグルーブ感が持ち味です。1917年9月30日、ニューヨーク州ブルックリン生まれで、1歳よりドラムスティックを持ち11歳でバンドリーダーとしても活動を始める天才です。1937年からジョー・マーサラ楽団に加入し、スウィング・ジャズ・バンドで活動し、1950年代はハリー・ジェイムス楽団、カウント・ベイシー楽団等もゲストとして演奏され、1966年に自楽団を結成し1970年代にはファンク色の強い演奏もされ1987年4月2日、ロサンゼルスで死去されています。


 さて本アルバムを聴き始めると、いつもの激しめのビッグ・バンドと何か違う。というより、ギターがイントロのドラムレスです。CDの帯を見直すと「名ドラマー、バディ・リッチがなんとヴォーカルに専念した珍しいアルバム。超一流のミュージシャンをバックに本職顔負けの渋い歌声を聴かせる楽しい作品」「世界初CD化」とあります。なるほど!ですが、バディ・リッチが叩いている曲も一曲ぐらいあるだろうと思ったら、なんとゼロでした。
 バディ・リッチのアルバムでドラムを叩くのは大変緊張することであろうと察しますが、その役は Alvin Stoller が努めています。1925年生まれで1940~1950年代で活躍されていたドラマーで、私の所有する音源に参加されている作品はありませんでした。Mitch Miller というポピュラー・ミュージックの choral conductor おそらく(コーラスの指揮者、アレンジャー)の方とのレコーディング作品 The Yellow Rose of Texas が最も有名な作品とのことでドラミングは控えめなサポート役に徹しています。Howard Roberts は1929年生まれで1950年代には Sonny Stitt、Dexter Gordon、Buddy DeFranco 1960年代は自身のカルテットでアルバムを制作していたギタリストで、中々渋いギターです。Paul Smith は1922年生まれで Les Paul、Tommy Dorsey らと共演し 1958~1978年は Ella Fitzgerald のサポートもしていたピアニストで、コロコロとしたリズム感のある演奏でバンドを締めています。そしてバンドの要としてこのアルバムをぐっと聴きやすくしているベースの Joe Mondragon は1920年ニュー・メキシコ生まれの結構売れっ子のスタジオ・ミュージシャンだったそうです。
 そして今回のドラムを叩かないシンガーとなった Buddy Rich は、意外と良い喉をしています。確かに本職のシンガーのような歌いっぷりですが、全体的に抑揚が少な目で曲による変化が少ないため少し単調に聴こえます。ここら辺がCD化されずにいて、マニアのためにやっとCD化した理由でしょうか。そしてもう一つこの企画の大きな理由が想像されるのは1956年 Pacific Jazz Records から発売された Chet Baker / Sings のヒットでしょう。Verve も、このヒットに続けと売れっ子で歌の上手かった Buddy Rich に、この企画を持ち掛けたことは容易に想像ができます🎵

vocals : Buddy Rich
piano : Paul Smith
guitar : Howard Roberts
bass : Joe Mondragon
drums : Alvin Stoller
tenor sax : Ben Webster
trumpet : Harry Edison

1. Cathy
2. Between the Devil and the Deep Blue Sea
3. It's All Right With Me
4. Over the Rainbow
5. You Took Advantage of Me
6. Can't We Be Friends
7. It's Only A Paper Moon
8. Melancholy Baby
9. Cheek to Cheek
10. It Don't Mean A Thing (If it Ain't Got That Swing)
11. I Hadn't Anyone 'Til You
12. That Old Feeling

▶ Cathy




  

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