2023年4月8日土曜日

Freddie Hubbard / Live At Fat Tuesday's

 

 少年時代にインディアナでウェス・モンゴメリーと親交があったとのことで、ウェスは1948年の7月から1950年の1月までライオネル・ハンプトンの楽団に参加、ハバードは1958年にニューヨーク進出してから音楽キャリアは始まる。その後はアート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズに参加しハード・バップの印象が強いのだが、コールマンの Free Jazz 、エリック・ドルフィーの Out to Lunch、ジョン・コルトレーンの Ascension など初期のフリー・ジャズの古典にも参加しています。私がここまでたどり着くのはもうちょっと先かもしれません。1970年代のハービー・ハンコックのV.S.O.P.クインテットに参加し、スムースジャズにも対応していたトランぺッターですがファンク方面には行っていないようです。若い頃は、ヨーロッパ旅行の折に雪山で気分がよくなり、ドラッグを食いまくった挙句トランペットを吹こうとしたところマウスピースが唇に張りつき、ペッターの命ともいえるそれを完全にぶっ壊し引退へ追い込まれたとかいう話もある結構やんちゃな人でもある。そんなことで晩年ハバードは健康状態の悪化、唇の病気で音楽活動から離れた時期もあったが、1990年ごろから復帰し2008年12月29日、心臓発作により70歳で亡くなっています。このアルバムの収録は1991年ですから復帰の時期ということで、唇の調子はおそらく良くない状態のようです。


 聴く人が聞くと Freddie Hubbard(フレディ)のコンディションは良くないので、音色や音域もキツそうでフレージングも良くないとのことで、そこらへんに集中して聴いても最初はよくわからなかったです。そう思って聴くとバンド・メンバーが強力にサポートし、フレディは控えめにトランペットを添えるだけのような演奏です。ですがバンドとしては非常に充実した演奏内容なので、そう思って聴かないとわからないですね。
 アルバム名は Live At Fat Tuesday's の通り、Fat Tuesday's と言うライブ・ハウスでの演奏が2日分2枚に渡って収録されています。Take It To The Ozone は、テーマに続くJavon Jackson(ジャヴォン・ジャクソン)のソロがブリっとしてカッコ良いし、Christian McBride(マクブライド)のベースも決まっている、Benny Green(グリーン)のピアノは力強くかっこよすぎる。Tony Reedus(リーダス)のへげしいドラミングがバンドを燃え上がらせる。そのカチッとしたサウンドの中でフレディのトランペットに注目して聴くと確かに音程の甘さなどは否めないような気がする。フレディの楽曲だが OZONE の曲名は、こんなアグレッシブなイメージではないけどまさか小曽根?なのだろうか。なんてことも思いながら聴いていますがバンド・アンサンブルとしては最高の最初の1曲。かなり心が掴まれます。Egad は Christian McBride の楽曲提供です。何かの頭文字が楽曲名と推測できますが何だろうか?曲は激しめではありますが最初から全開ではありません。ピアノのグリーンの力強い左手は魅力的です。フレディは1曲目よりは長めのソロ展開で頑張っておられますが、往年のがちっとした存在感は無いかもしれない。Phoebe's Samba は Benny Green の作曲のサンバです。イメージ変わってライトなサウンドに。テーマの後にフレディのソロですが、ここは調子が良さそうなソロ展開です。But Beautiful は美しいバラードのスタンダード。小休止のようにリラックスした感じです。結構好きかも。そして One Of A Kind で1枚目のディスクは終了。フレディの楽曲となります。ユニゾンのテーマが気持ち良くソロの出だしはピアノのグリーのリズミカルで激しい展開。そしてハバードのソロ。これまでで一番よく音が出ているかも知れない。そしてテーマに戻りドラムソロは観客が盛り上がりまくりです。ハードバップは良いなあと1枚目は終わります。そして2枚目は楽曲は全てハバードの作曲、C.O.R.E で凛々しくアバンギャルドに立ち上がります。特にテナーの Javon Jackson の突き抜け方が気持ち良いし、左手の力強い Benny Green のピアノがこれまた気持ち良い。フレディのトランペットも気持ちよく高音が突き抜けています。Destiny's Children は、重厚感のある曲で8ビートのドラムにカッコ良いテーマをサックスとトランペットのユニゾン。もぞもぞと地底をはい回るようなベースラインも良い。少しづつ定期的にアウトするのもゾクゾクします。First Light でラスト。最後はフリーのソロをフレディが延々と続けながら、ポップなピアノ・リフではじまます。曲とコード進行はワンパターンで単純ですが各人の技量で聴き飽きることがない19分となっています。
 サイドの素晴らしさだけでも聴く価値はありの一枚です🎵

trumpet, flugelhorn : Freddie Hubbard
piano : Benny Green
bass : Christian McBride
drums : Tony Reedus
tenor sax : Javon Jackson

producer : Joe Delia

recorded live at Fat Tuesday's, New York City, December 6 & 7, 1991.

【Disc 1】
1.Take It To The Ozone
2. Egad
3. Phoebe's Samba
4. But Beautiful
5. One Of A Kind

【Disc 2】
1. C.O.R.E
2. Destiny's Children
3. First Light



▶ C.O.R.E


  

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