2023年4月30日日曜日

Junior Mance / Softly as in a Morning Sunrise

 

 「限定生産」enja Real Jazz Classics シリーズの一枚。1994年にミュンヘンでベテラン・リズム隊との録音とのことで、御歳66歳の晩年の作品です。リーダー作として所有しているのは1959年の初リーダー作 Junior でした。最初の作品は全体に優しく軽めなタッチの印象でしたが、この晩年の作品ではファンキー・タイプのグルービィなピアノとタッチは結構変わっています。マンスは、このあと2015年まで作品を発表し続け引退し、2021年の1月17日に92歳でアルツハイマー病を患い転倒した時に脳出血を起こし翌月にマンハッタンの自宅で亡くなられています。
 1928年にイリノイ州生まれで、ピアノは10歳でプロとしてブルースを演奏していて、キャリアの本格的スタートは1951年に入隊してからのこと。駐在先のケンタッキー州の基地のクラブでキャノンボール・アダレイと出会ってバンドでピアノを演奏したことがきっかけとのこと。1953年に除隊してクラブで演奏し、ディジー・ガレスピーのバンドに参加したほか、バディ・ガイやチャーリー・パーカー、デクスター・ゴードンらと共演。その後はダイナ・ワシントンとレコーディングやツアーを行い、1956年にはサム・ジョーンズやジミー・コブとキャノンボール・アダレイのバンドに参加。1959年に初リーダー作の Junior をリリース。1990年から2009年にかけて、1年おきに日本で開催された「100 Gold Fingers Piano Playhouse」という秋吉敏子やモンティ・アレキサンダー、ケニー・バロンらが参加するオールスター・ジャズ・ピアニスト10人によるコンサートに出演。80年代後半から2011年まで、The New Schoolで教鞭を執り、ジャズを教えていたとのこと。


 昨日、いつもの「おでんバー」で飲んでいたら Enja レーベルの話になったので、少し記述しておきます。設立者はマティアス・ヴィンケルマンとホルスト・ウェーバー。マル・ウォルドロンの大ファンで、そのリリースをしたいと誕生した経緯があります。(最近レビューした「プラハの春」のマル・ウォルドロンです)ヨーロッパ独特の選曲のクセがあるレーベルですね。またレーベル運営当初から、山下洋輔、日野皓正などの日本人アーチストも多くリリースしています。
 さてレビューです。タイトル曲 Softly As In A Morning Sunrise は、ゴージャスな感じのピアノ・イントロからスローに始まるテーマ。アーシーなピアノソロ、ベース・ソロでエンドテーマとなります。タイトで跳ねるようなベースのリズムがカッコイイ。エンディングの大袈裟な感じも良いです。The Man From Potters Crossing ミディアム・テンポのブルースですが、これもまたベースがカッコ良し。Jimmy Woode って良いですね。ベースとピアノがユニゾンで最初と最後にテーマ。Sunset And The Mocking Bird も非常にアーシーさが出ているピアノがわかりやすくカッコ良く拡大展開も、また良くて小粋です。Broadway では、原曲のハッピーな雰囲気を活かしてテンポよく進行。熟練されたトリオの演奏は安心・安定ですね。Blues For Blackey は、ブルースマーチを意識したようなテーマで50~60年代のファンキー・ジャズ風が手練れのミュージシャンを感じさせます。そして私の大好きな曲 Gee Baby, Ain't I Good To You です。スローにブルージーにピアノがリードする仕上がり。また私の Gee Baby, Ain't I Good To You リストに良い演奏が加わりました。Lady Bird はタッド・ダメロン作のバップ・ナンバー。ドラムとの交換小節がトラディショナルな感じですね。Wee も、バップ・ナンバーで、マンスのバップ魂が小気味よくエンディングがまた良しのマンス作。Sunday Go To Meetin' は、ゴスペル調でノリの良いピアノで、アメリカの日曜の教会って、こんな感じなんだろうなあ。Inside Out はベースのウッディが楽曲提供で、バンドの自由な演奏に、このトリオの為に書いたんだろうなと思えます。C.C. Rider は、ライブのアフター・アワーズ的な曲で締めくくりの感じが出ています。こういうアルバムの作り方好きです。
 リズム隊が非常に優秀で、ベースのしなやかさ、堅実なドラムがとてつもない安定感を生み出しています。選曲も小粋なスタンダード曲が中心で趣味が良しマンスのピアノも小気味よく、まとまっていてクセも無く冒険も無いものの、安定の素敵なピアノ・トリオを感じます🎵

piano : Junior Mance
bass : Jimmy Woode
drums : Bob Durham

producer : Horst Weber

recorded July 21st 1994 at Trixi Studio, Munich

1. Softly As In A Morning Sunrise
2. The Man From Potters Crossing
3. Sunset And The Mocking Bird
4. Broadway
5. Blues For Blackey
6. Gee Baby, Ain't I Good To You
7. Lady Bird
8. Wee
9. Sunday Go To Meetin'
10. Inside Out
11. C.C. Rider





  

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