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2021年1月14日木曜日

哀しくなるな ジャコ・パストリアスの肖像

 

ジャコ・パストリアスの肖像 ビル・ミルコウスキー著 湯浅恵子訳

私もジャコ・ファンではあるので
そこそこ知っていたつもりだったが、今更ながらこの著作を読んでみた

ジャコの35年の短い歴史について書かれた本で
彼の音楽的な才能と成功
波乱に満ちたドラッグによる終焉までが細かく書かれている

ちょうど、ビレリ・ラグレーンとの共演アルバムを聞きながら
以前書いたレビューを再校していたら、
どうも私が知っているジャコのドラッグによる破綻の時期と
この録音の時期が同時期であるため、府に落ちなかった

同時にこの本を読んでいるのだが未だ全部は読んでいなくて
ようやく半分を超えたところで
ちょうど、そこのところで最後の復活チャンスの入退院
ビレリ・ラグレーンとの共演の記述の箇所でした

なるほど、この時期にも関わらず
何故ビレリ・ラグレーンとの録音を残せたのかは理解できた

しかし読み終えていないのに、
哀しい結末にドンドン向かうジャコの状態に
アルバムを聞きながら、無性に悲しい気持ちになってきました

読み終えてから、また再度その生涯を思いながら
、彼の作品を聴き直そうと思っています

2021年1月3日日曜日

下山事件(シモヤマケース) 森達也

 

著者の本については「放送禁止歌」を前に読んだことがあり
この本は単なる歌の話ではなく時代や体制を切る話であった

私自身この話は全く知らなかったので、この本を読んでの
再発見などは当然ないがこの本についても史実を暴く本ではなかった

単なる昭和24年の初代国鉄総裁の下山定則の自殺、他殺のン関する
下山事件についての時代背景なども含めて取材結果をまとめたものであり
政治、権力により事実は曲げられることが出来ることが
時代や権力を背景としたその構造を書かれている

史実が明らかになった話でも無く、結論はでないと踏んで
事件の話と、自分の報道を取り巻く環境などについても書かれているのでしょう

昔の日本はこうであったと言うよりは
現代でもこのような環境下では人は
殺人でさえも小さいことに見えてしまう怖さがあるのかと思い知らされる

現代の日本でさえも、政治の世界では事実が
曲げられてことは当然あるだろうし
ましてや、日本以外の国でも現在進行形だろう

読後何を思うか改めて書いてみると
住んでいる環境によるが人間は怖いとも思えてくる

2020年12月21日月曜日

ブラザー・サン・シスター・ムーン 恩田陸

 

蜜蜂と遠雷」の描写でとても気に入った作者ですが他を読んでませんでした

作者の自伝的小説とのことで、やはり音楽をやってられたんですね

小説家、ジャズバンド、映画監督と3人の若者がの群像小説
共通しているのは皆が最終的に職業が表現者となること
小さい頃の不思議な記憶が将来に影響を与えたのかは不明ですが
読み終えた後にそんなことも想像しました

私にはジャズ研での大学時代のくだりが
自分の大学時代ともリンクしてとても共感しながら読めました

小説としてはそれぞれの人生の関連性とかが希薄なので
つまらないと感じる人もるのかもしれません

私的には、ジャズ研エピソードだけで
印象がグンと引きあがったので
意味を読み取ると言うよりも、
空気感を感じる小説で良いのではないかと
おそらく少数派の◎をつけときます

大学時代は金は無かったけど時間はあった
音楽に没頭する暇もあった
懐かしいなあ
2年後くらいにまた読もう♪

2020年12月5日土曜日

伊坂幸太郎 AX

 

主人公の兜は殺し屋だが家では妻に頭が上がらない
なかなか面白い設定だが
会社ではスーパーマンのサラリーマンが家では
妻に頭が上がらないのと仕事が変わっただけとも思える

ここら辺の伊坂マジックの意外性は、時間軸と場面のすり替えでも発生
途中で兜が死んでしまうのでどうなる? 

やはり私はこのパターンの伊坂作品が読みたい





2020年11月24日火曜日

憂鬱と官能を教えた学校(上)調律・調整および旋律・和声 菊地成孔+大谷能生


東京大学のアルバート・アイラー」はかなり面白かったので
この人の著書を読み進めようとネット購入した本作

かなり難解な表現と繰り返しが多く
途中で訳がわからなくなりながらも読み終えました

巻末の対談で著者はの神経症的傾向が書かれていて
本人も自覚し、文中の著者の独断と偏見は時間とともに変わるので
現在進行形では違うことを言っているようなこともある
しかしこれを書いていた時はこう思っていたで良いので
改訂などで記述の変更削除はせずに、このまま出版し続けるとのこと

これでもっとジャズがうまくなりたいとか思うのは断念して
ヨーロッパ系文学の訳本を読んだような気分になって
内容はあまり噛み締めずに
読み進めることに重きをおいて時々振り返る
みたいな読み方をすればよいのではないでしょうか

そもそも、音楽とは何か?音とは何か?
現代の楽譜表記は学問として発達し、
商業的に音楽の再現をするためのものであり
もしかしたら、私たちの音楽(音階)に対する感性は
体制に訓練されてしまった洗脳かもしれない

続編で下巻があったので、怖いもの見たさに
今取り寄せ中

2020年11月10日火曜日

きりこについて 西加奈子

 

最初はどこか遠いところから「きりこ」を眺めているようでよそよそしい

「きりこ」自体「ぶす」であるが
女王様のような扱われ方で「ぶす」という概念を持たずに大きくなれた
決して「ぶす」は問題ではなくた単なる人間が作った概念
と思っていたら、残念ながら不可避な「問題」となる

「今 ここ」「体は容(い)れ物に過ぎず」
「うちは、容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな。」
「今まで、うちが経験してきたうちの人生すべてで、うち、なんやな!」
そうなんだよね

ラムセス2世!の存在も頼もしい
人間の問題は彼らには関係ない

色んな人に読んで欲しい



2020年11月4日水曜日

キラキラ共和国 小川糸


ツバキ文具店」の続編です。
ツバキ文具店で代書店を継いだ鳩子が、ミツローさんと入籍して
連れ子のQPちゃんと3人での生活を始めていきます
ミツローさんの亡くなった前妻とQPちゃんへの思いもホロっときます
もちろん代書業ということで関わる様々な人たちとの交流生き方
物事の捉え方、料理の仕方全てが丁寧に書かれていて
人生のエピソードがホッコリと描かれているのも安心

読んでいると自然と惹きこまれる
手紙の実物が掲載されその手書き文字がまた良い
自分の字は読みにくいのではずかしい限りです

この本読むよりは「ツバキ文具店」を読んでからの方が
感動具合は増しますので買うならセットで


2020年11月3日火曜日

東京大学のアルバート・アイラー 菊地成孔 大谷熊生

 

本論からすぐに脱線する語り口も巧妙なエッセイ的で
ジャズ系うんちく書籍の中でも面白い部類
(好き嫌いはあるとは思いますが・・)

十二音平均律、バークリー・メソッド、MIDI
について、歴史的背景もジャズ・プレイヤーならではの
菊地理論が面白く理解できました

「バップ、ビバップは、当初チャイニーズミュージックと呼ばれ
馬鹿にされていた。が、
人気を伸ばすにつれ、アメリカのメディアは、
モダンジャズ、クールジャズと名前を与えた」
なんてとこもフムフム

本編は「歴史篇」で「キーワード篇」も追加でネット購入して
未だ読んでいません

行きつけの「おでんジャズ・バー」のマスターに
キーワード篇読んでみる?と聞いたところ
歴史篇は面白かったけど、音楽を演奏しないジャズファンには歴史篇が限界
とのことでした。そうなのか

現在は著者の別書「憂鬱と官能を教えた学校 上」を読み始めています
未だ途中ですが、講義内容は被っており、こちらの方を読んでから
東京大学のアルバート・アイラーでも良いのかも知れません

音源を聴きながらの講義は、受講者を惹きつけたことは間違いなく
再読しながら音源も聞いてみたいとは思っています
エラク時間はかかると思いますが・・・

2020年11月2日月曜日

革命前夜 須賀しのぶ

 

帯に歴史×音楽×青春と書いてあったので購入
結論から言えば、なかなか面白い
最近読んだ音楽小説の「蜜蜂と遠雷」も良かったが
こちらの方が小説としては完成度が高い気がします

題名が「革命前夜」だけに、読み進めると途中で
ベルリンの壁崩壊とともに演奏するんだろうなと
思っていたら見事に裏切られ、そこがまた良い

冷戦下のドイツが舞台で主人公は東ドイツに留学
平和慣れしてお坊ちゃんのような日本人留学生が
徐々に現地の環境にのまれ精神的に力強くなります

監視社会,社会システム、インテリジェンス,イデオロギー
現代日本では触れられない世界に少しだけ入れました

あとで、また読み返してみたい作品です




2020年10月19日月曜日

フィッシュストーリー 伊坂幸太郎


4個の伊坂ワールドで構成されていて
少しだけインクしているのが絶妙な作品集

動物園のエンジン
サクリファイス
フィッシュストーリー
ポテチ

表題作「フィッシュストーリー」は2009年に
映画化されていますが見ていません
 テンポ良い読み口と「最後のレコーディングに臨んだ売れないロックバンド」
という音楽系の話でもあり引き込まれました
いい曲なんだけど売れていない曲は世の中にたくさんあります
職業とするなら売れないとしょうがないんですよね
「僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、
鯨でさえ逃げ出すに違いない」
ありそうで、なさそうな歌詞ですね

ポテチでの最後の救いは好きだし
「動物園のエンジン」だという永沢さんの設定は
この作品以外でも読んだ気がします(伊坂幸太郎か?な?)
笑いもありながらこみあげる熱いものもあり
絶妙の読み心地でした

2020年5月30日土曜日

陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎


嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女
役に立つような立たないような才能に秀でた者たちが
たまたま出会って銀行強盗をする
そしてどんでん返しが始まる

ハイテンポで、軽快で小粋な読み口で
入門に最適と書かれ、伊坂ブームの起爆剤となったようです

でも軽快な読み口であったにも関わらず、
私には登場人物の会話が頭の中に響かなくて読み進めるのが
少々つらかったので、陽気なシリーズを何作か既に買っていて
今後読むのに直ぐに読んでしまうか
他の作家にしようか迷うところであります

ちょうど、読んでいたのがコロナの自粛時期だったので
もしかしたら心理的に本を読むような心理状態でなかった
可能性もあるかもしれないですが
ここは別作品にしてリセットかなと思っています

唯一楽しめたのは最後の方のどんでん返しで
伊坂作品を読み続けているので、
どんでん返しの出てくるタイミング、パターンが予測できて
くるぞ、くるぞ・・と読み進め
やっぱり、きた!

(前半に出てきた伏線と仕掛けも
読んだ時に後で使われるヤツだとピンとは来ていました)

本や映画で予想がつかない展開、予想を裏切られる展開は
そうきたか!と多少なりとも感動、快感があるものですが
当たると人間の心理としては、俺はわかっていたんだ
と心の中で自分で自分に自慢してしまうところが
自分でわかったのが発見でした

2020年4月19日日曜日

やさしい訴え 小川洋子


書き手が違えばドロドロした話にもなりうる話だ
と思ったのは私だけかな
(途中ドロドロしかけましたけど)

整然として品のあるので、落ち着いて読めますが

夫のDVと浮気が原因で別荘に行ったら
魅力的な男性と、女の目から見ても素敵な女性がいた

設定としては殺人事件でも起きそうです

でもチェンバロ製作という繊細な作業
カリグラフィーも、また繊細な芸術的な作業

静かに、時に湧き上がる感情をぶつけつつ話が進行する
ドロドロな設定なのに美しいものを見た気がする

気になるチェンバロの「やさしい訴え」

震える薫さんと主人公瑠璃子さんが一緒に聞いた
トマス・タリス - エレミアの哀歌


バッハ ゴールドベルク変奏曲よりアリア

バッハ イタリア協奏曲

全世界の音楽を聴きつくすことはできない
muu music webzine

  

2020年4月5日日曜日

残り全部バケーション 伊坂幸太郎


87


伊坂幸太郎作品にしては展開がありがちであったように思います
つまり異次元の世界の住人であったり、死神は出てきません

登場人物は一般的にいそうな人ですが
少しだけ社会から逸脱している人だけで
若干凡人とは違う思考回路を持っているくらい

他作品のような、常人の思考回路を一か所欠落させるとか
極端な嗜好の持ち主に仕立て上げるとか
いつものヤツではありませんでした

いつかヤバい奴が出てくるだろう
どんでん返しはいつだ?
そんなことを読みながら思っていたら終わっていました

普通でないヤツが最後に普通の人と
同じ思考に近くなったら人間はホッとするもんです
池袋ウエストゲートパークの舞台を
伊坂幸太郎が見たらこうなるんだろうな
というような作品でした

結構良い感想かなと思いますがどうでしょう?

2020年3月14日土曜日

喋々喃々 小川糸


「喋々喃々」聞きなれない言葉です
意味をググってみると、「男女がうちとけて小声で楽しそうに語りあうこと」
なるほど、そういう話でした

主人公の栞はアンティーク着物の販売で生計をたてています
実直な人柄で、少し不便な店舗兼住居のある谷中で粋な暮らしと仕事ぶり
でも途中でいつもと違うことに気づきました
これは恋愛もの? でも相手は妻帯者って、さりげなく書いてあったよな

「アンティーク着物の世界」「美味しい食べ物」「ご近所さんとの日々の生活」
「春一郎さん」「雪道くん」「イッセイさん」

小川糸さんならではの丁寧な描写で淡々と日常の生活と感情が描かれ
恋愛ものと呼べるのかといえば、そうではないと思います
当然、不倫のドロドロはなく、
そこが読者に少しだけフラストレーションを与えるのがニクイ
淡々と、日常の「楽しみ」「ドキドキ感」「失望」が描かれ
読み終わった後は、ほわっとします


2020年3月8日日曜日

マグロは時速160キロで泳ぐ 中村幸昭


海の生物のウンチク本でマグロの本ではありません
結構この手のネタは好きですね
出張の際の暇つぶしに昔読んだやつです

7種類にカテゴリー分けしてあります
第1章 驚異の運動能力の秘密
第2章 おそるべき海のギャングたち
第3章 魚はいかにして愛を語るか
第4章 海獣は海の道化師
第5章 海の個性派たち
第6章 サカナってこんなにおいしかった
第7章 海底に眠る神秘の宝石

サンマ、イワシ、マグロから
アシカ、ラッコ、ジュゴンまで様々な生物の
生態や能力について書いてあります

ネタ的には知っているものも結構ありましたので
いまさらヘエでは無いものも多数あり

2020年3月2日月曜日

山怪 田中康弘


日本の山には何かがいる
何か正体ははっきりとしないが何かがいる

様々な山に暮らす方から聞いた体験談を
ほぼ脚色せずに書かれているようです
(後半には若干、語り口が違う話があり、
これはお年寄りから聞いた話を翻訳したっぽい感じ)

一話づつは非常に短く1~2ページぐらいのものも非常に多く
似たような話はまとめて連続して書かれています
場所や年代が違えど、似たような体験をしているかたは多いようですね
キツネが悪さをする話が基本的には多い印象です
一応、タヌキと蛇が出てきますがそれほど無し

全編、謎の光体「ひとだま」は出てきます
正体は、リンの燃焼・ヤマドリの飛翔・蛍の光・UFO
山奥で密造しているお酒の蔵へ夜な夜な行く人の提灯
何が正解か答えは当然ありません

ただキツネの仕業でだけではなく
何となく感じるのは「お酒」の存在と恐怖心による「幻覚」
あるいは東北の山中には、麻が自生しているとの噂も聞いたことがあり
もしかして野焼きでラリってたりしたりするのかな

動物に限らない第六感の話も出てきます
私自身は現在ありませんが小学生の頃に不思議な体験ありです

熱が出て学校を休んでいて、ずっと寝ていたのにフッと目が覚め
その瞬間に「誰かが死んだかな?」と単純に思いました
熱が下がって学校へ行くと、
中の良かった友達という訳でもないのですが
学校を休んでいたクラス・メイトが
思った時間に脳腫瘍で亡くなっていました
なので私は第6感は「あるんだ!」と信じています
それ以外は全く感じたことは無いんですけどね


2020年2月25日火曜日

サファイア 湊かなえ



いつものイヤミスが無くて、こんな作風もあるんだなと思ってしまった
不完全燃焼気味の後味の悪さを期待して
読んでいると「あれ!」という感じがして
かえって不完全燃焼になるという不思議さ希望が明らかに見える展開もありました

次の話で何か落とされるんだろう
と思っていても落とされることは無く、意気消沈
湊かなえワールドに、いつのまにかはまっているようです

でも人間の持つイヤな部分、妬み、意地悪、嫉妬などは描かれています

真珠、ルビー、ダイヤモンド、猫目石
ムーンストーン、サファイア、ガーネット

7つの宝石に、意味を持たせた展開で
誰にでもありそうな設定で、タイプの違う物語が楽しめます


2020年2月12日水曜日

i 西加奈子


私いつのまにか「西 加奈子」のファンに
なっているような気がします

「サラバ」の三巻から西加奈子を読み始めましたが
今回の「i」は若干かぶっているような感じではあります
でも、力強い書き手の意思を感じるし
何より考えさせられながら読み進めました

テヘラン生まれカイロ・大阪育ちの作者の生い立ちも
非常に作風や設定に関係しているようです

「この世にiは存在しません」から始まり
アイはシリアからアメリカ人と日本人の母に養子にくる
そしてアメリカでは少し窮屈だったが
日本の学校では自分の居場所が生まれる
親友のジェンダーや恋と妊娠
数学への情熱も中々興味深く読ませてもらった

私は養子ではありませんでしたが、
実の親とは半分血はつながっていませんでした
でも特に深く考えることなく生きてきています
でもなんとなくアイの境遇に共感はします

少し考えすぎるアイに不安感もありましたが
最後には、とても美しく力強く描いてくれたので
モヤモヤも残ることなく読み終えることができました

好き嫌いは分かれると思いますが
色々な人に読んでもらいたい一冊です





2020年1月30日木曜日

バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎

バイバイ、ブラックバード

伊坂幸太郎の2010年に発刊した小説で
もともとは「郵便小説」という形態で発表されていたとのことで
この場合毎回50人が抽選で選ばれて
一話ごとに郵送されたユニークな形式
文庫本の終わりには解説や作者へのインタビューも
掲載されていてファンとしては最後まで興味深く読めました

さて、そんな形式での作品のせいか
最後の章は単独だと?もあるかもしれないですが
6編がそれぞれに独立して読めるし
6編を続けて読むとまた、それも良しという構成です

テイストは他の作品とはまた違いますが
読み終えて回想すると
構成は「伊坂作品」だと、なんとなくわかります

最初の構成があって、引き算をしたりしながら
その中にある程度の伏線を入れる
でも伏線を知らなくても独立して楽しめるのが
「伊坂作品」の特徴かなと私は思っています

登場人物の設定も面白い
5股をかける星野くんだが、いやな奴ではなく純朴
豪快な繭美さんは、血も涙もなく人が困るのを見るのが大好き
限りなく陰湿であるはずが豪快すぎて憎めない

最後のバイクのキックでエンジンはかかったのか、かからなかったのか
続編があれば、読みたいです


2020年1月6日月曜日

山の博物誌 西丸震哉


読み返しの本ですね

高校生の頃は、山岳部(ほぼワンゲル)に属していましたが
単独で山に行くことも多かったので
植物図鑑とか山の本なんかを読んでいました

これは本と図鑑の中間です

「山が好きで山へ入って行く人たちのうちで、
山があるから行くんだというのは、
最低の人種に属する。」

こんな頑固おやじのような始まり方をして
自然と人間の関わり方を主観を交えて紹介しています
サル、キツネ、カマキリ、ケラ、ミジンコ
山の植物、日暮れ、月食

1980年に発刊なので今から40年前
今はヘルニア持ちなんで
一人で登山なんかやる気も起きませんが

若い頃は、こんな本を読んでいたのを思い返しました