2024年5月5日日曜日

Alice Clark

 

 株式会社ウルトラ・ヴァイブの販売している「Solid Jazz Giants」シリーズは、まだ聞いていない往年の名盤が安く販売されているので結構愛用足ています。その値段(980円+税)の価格破壊は大歓迎です。そんなシリーズを見ていたら帯に「最強のフリーソウル名盤」の文字を発見で購入してみました。
 直球の感想は、聴いてビックリ、なんで今まで知らなかったのか?と思うほどの名盤でした。何回か聞き直しながらこれを書いていますが、まず最初に感じるのは「素直で澄んだ歌声」「聞く人に訴えかけてくるボーカル」でしたが何回か聴いているうちに「若くて瑞々しい歌声」と感じ、鍛えられて技巧に発達する手前の原石を感じます。当然いきなり上手くなってのレコーディングはあり得ないので、下積みの経験があってそこで鍛えられていることは間違いないのですが若々しくてストレートな歌に色々なことを思わせてくれます。
 ファースト・インプレッションが強烈すぎたのですが、発売された年を見てみると1972年とあります。レーベルは Mainstream Records でジャズやジャズ・ファンク、クロスオーバー作品を多く輩出しているレーベルとのこと。このボーカルを聴いていると比較したくなるのはアレサ・フランクリンで、アレサのデビューは1967年で1972年には既にスーパーが付くスターになっています。男性ボーカルで Donny Hathaway を見てみると、こちらは1970年がデビューアルバム、1972年にはロバータ・フラッグとのアルバムを発売しています。やはりソウルの全盛期であり、この時期には次の才能を発掘しようと多くの録音が行われた時期。アメリカのソウル界の層の厚さがうかがえるとともに、アレサもデビューはコロンビアでしたが売れなくてアトランティックに移籍してから売れたことを思うと、第2のアレサえを狙いにいってその才能は申し分なかったのにレーベルのプロモーション次第で売れる売れないが分かれるところだったとも思えます。
 これだけ現代で評判が良くて、演奏も素晴らしいアルバムにも関わらず演奏メンバーについては詳細なクレジットが無いのも有名。私の今聴いているCDはジャケット裏面しかないので、 Orchstra arranged and Conducted BY Ernie Wilkins , Produced By Bob Shad しか書いてあるのが確認できませんが、ライナー・ノーツでは、ギターは Ted Dunbar(トニーウィリアムスのライフタイムでも活躍したギタリスト)インタビューにより、ソウル系のセッション・ドラマーの Bernard Purdie、ベースは Bob Bushnell  (ルイ・アームストロングなどの作品に参加)、Cornell Dupuree , Gordon Edwards のスタッフメンバー参加していたとか、このベースは Chuck Rainey だろう(聴いてわからんのか)的な論争まで巻き起こっている模様で、どれがホントかは全くわかりません。Cornell Dupuree はそれっぽくもあるような気もしますが・・


 いつもの音楽好きの集う「おでんバー」でも評判が良かったこのアルバムのレビューです。1曲目の I Keep It Hid は Supremes, Linda Ronstadt もカバーの名曲。ソウルなシンプルなイントロから、歌い始める歌声にドキッとします。若い声でありながら丁寧な歌いっぷりです。Looking At Life は、John Kander, Fred Ebb の作曲で、イギリスのボーカリスト Petula Clar のカバーのスロー目のソウル・ナンバー。曲も良いが一生懸命に歌い上げる少女っぽい声に迫力のシャウトが魅力。Don't Wonder Why は、Stevie Wonder の 1970年のNo.1 R&Bヒット Signed, Sealed, Delivered I’m Yours への収録曲。いかにもモータウンの曲ですが、これも歌声に非常にマッチしています。と同時にバックの演奏の厚みも心地よい。カバーで、ここまでボーカリストの印象をクッキリつけてくるのは選曲の良さも感じます。Maybe This Time (From The Motion Picture "Cabaret") は John Kander, Fred Ebb の作曲で、Liza Minnelliの持ち歌で、映画「Cabaret" キャバレー」でも有名な曲です。歌いこんでいますね。少し哀愁のあるメロディーを繰り返しながら少しづつ畳みかけてくる名曲。Never Did I Stop Loving You は Juanita Fleming によるオリジナルと書いてありますが、Charms Of The Arms Of Love、3曲目の Don't Wonder Why の3曲が Sunny のヒットで知られる Bobby Hebb の作曲でもあるらしい。なんかごちゃごちゃしてます。It Takes Too Long To Learn To Live Alone は、Eydie Gormé、Peggy Lee などにも歌われている。Hard Hard Promises は、Bobby Hebb の作曲であるが本人の録音は無いとのことでこのアルバムが初録音。Hey Girl は言わずもがなの選曲( これも含めてDonny Hathaway バージョンが私は一番好きは変わりませんが )
 いやいや改めて楽しすぎる。すっかり愛聴盤になってしまいました。改めて、このアルバムだけしか録音が無いのはもったいない🎵

1. I Keep It Hid
2. Looking At Life
3. Don't Wonder Why
4. Maybe This Time (From The Motion Picture "Cabaret")
5. Never Did I Stop Loving You
6. Charms Of The Arms Of Love
7. Don't You Care
8. It Takes Too Long To Learn To Live Alone
9. Hard Hard Promises
10. Hey Girl


  

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