2024年5月31日金曜日

Shelly Manne & Bill Evans Feat. Monty Budwig / Empathy

 


 整然としたトラッドな内容で悪くもないが、楽しくも無いと最初に思っていましたが、再度聴いていると、意外と中毒性があるかもしれません。相変わらず中古で購入です。購入時の帯には「アルバム・タイトルそのままに、三者がお互いに感情を移入しあった、滋味溢れる名盤です」とあり楽しみにしてました。しかし行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では Bill Evans は好まれていないので、持って行くのを後回しにしていたため、かなり寝かせての試聴でした。持ち込み試聴の結果、好きではないとは言われなかったが、興味は示されなかったので、まあまあの反応。ちなみに、以前に持ち込んだ Bill Evans / A Simple Matter Of Conviction でも、似たような反応で、このアルバムはドラマーが Shelly Manne で同じ、ベースは Eddie Gomez でしたので、Bill Evans 嫌いに Shelly Manne の組み合わせは緩和する傾向にあるようですが、Bill Evans と Shelly Manne の録音はこの2枚しかないようです。ちなみにこのアルバムは1961年に盟友のベーシスト Scott LaFaro を交通事故で亡くした失意の Evans が Riverside から Verve にレーベル移籍してからの第一作で Interplay の次の録音となっています。


 それでは意外と中毒性があるかもしれないと思い始めたアルバムを再度聴きながらのレビューです。The Washington Twist 1962年のブロードウェイ・ミュージカル Mr President の主題曲とのことで流行りを直ぐに取り入れたもので古典スタンダードでは無いようです。Evans は右手のシングルノートで軽やかにメロディーにより陰鬱な感じはしません。 Danny Boy は、アイルランド民謡で Evans の美しい演奏と魅力が堪能できる3分44秒の小作品の名演と思います。イントロから引きこまれます。LaFaro への鎮魂歌のようにも想像をかき立てられます。Let's Go Back to the Waltz  1曲目と同じ Irving Berlin による作品で同ミュージカルに使われた曲です。ゆったりワルツとアップテンポを組み合わせた楽曲でバンドとしてのインタープレイが堪能できます。これも4分34秒と短め。With a Song in My Heart 1952年映画『わが心に歌えば』(With a Song in My Heart)の主題歌で Richard Rodgers の作品。Manne Budwig のコンビが快適なリズムを作ってインタープレイがとても良いと思います。後半で Evans が活躍してきます。Goodbye は、物憂げな出だしですが、このトリオを象徴する内面的な美しさを表現した作品で Gordon Jenkins の有名なスタンダード。I Believe in You 1961年のミュージカル How To Succeed In Business Without Even Trying 努力しないで出世する方法 の主題歌で Frank Loesser 作品。割と流行りの作品をとりれた選曲です。リズミカルでありながら繊細な Evans のピアノが映える作品で、これもこのトリオならではの演奏のような気がしますし、静かに陰として終わるようなイメージの Bill Evans 作品よりも、この爽やかさで終了するのはとても印象が良いです。
 面白みに欠けるような気もしたが、よくよく聞いてみると演奏や構成など、味がある録音かと思います🎵

piano : Bill Evans
bass : Monty Budwig
drums : Shelly Manne

producer : Creed Taylor

recorded in New York, Aug. 14, 1962. 

1. The Washington Twist  (Irving Berlin)
2. Danny Boy  (Frederick Weatherly) 
3. Let's Go Back to the Waltz  (Irving Berlin)
4. With a Song in My Heart (Richard Rodgers, Lorenz Hart)
5. Goodbye  (Gordon Jenkins)
6. I Believe in You (Frank Loesser)





  

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