2025年1月31日金曜日

The Eric Byrd Trio

 


 タワー・レコードの店頭で試聴して購入したこと、既に話題になっていたアルバムであったことは記憶しています。このアルバムはオーディオ試聴用に最適とも思われます(私の家には大したオーディオはありませんが)1曲目のプレイに勢い、躍動感があってグルーヴィーで迷わずカゴに入れました。彼らのホームページによると、トリオは、ワシントンDCを本拠に演奏活動を行っており、バンド名のとおりリーダーはEric Byrd(エリック・バード)ですがが、一つのユニットとして活動をしています。
 ピアノ・トリオというものは、やや難解なもの、静か過ぎるものが多いですが、この一枚は、聴きやすくてちょうど良い塩梅です。全般的に棄て曲がなく、とても素敵でが、特に最後の曲のラップとの融合は、賛否がわかれるところかとは思います。試みとしては現代を生きるジャズアルバムとしては有りかと思いますが、この路線の試みは、この一枚だけのようです。


 それでは、レビューしていきます。Taken By Force 怒涛の王道サウンドの洪水と言う感じです。大袈裟な感じが良いです。Another Time Another Place 可愛らしい曲で、シンプルに良いです。このバンドの何が良いって聞かれると極めて標準的で気負いが無いところですかね。Fall Of Night ちょいと熱めのラテンですね。Eric Byrd の作曲です。Goldie 今のところ交互に熱めの曲と静かめの曲が決ます。こちらは静か目の曲で弓弾きベースがイントロと最初のテーマです。暗いジャズ喫茶で目を閉じながらウトウトしながら聴いたら気持ち良いヤツです。Under A Blanket Of Blue 交互にくる派手な曲と思ったらイントロだけでした。お手軽ジャズって感じですね。Maybe Baby ノスタルジックなブルース・テーマで心地よい曲です。歌物でも良さそうな感じですね。The Chant 少し騒がしくなります。難しいことなく、わかりやすくて聴きやすい。When You Are Smiling ピアノ・バラードです。モコモコしてますが、このバンドの良いところがでてます。A Wmc Autumn 静かにスタートしますが段々と盛り上がる王道です。ややライトな現代風。Jazz Thing 毛色をかけてきましたね。ラップ入れてます。Epilogue : Blessed Assurance ピアノによるエピローグです。
 やや焦点が定まらない嫌いはありますが、勢いがよく爽快なピアノ・トリオの演奏が楽しめます🎶

piano : Eric Byrd
bass : Bhagwan Khalsa
drums : Alphonso Young Jr.

recorded at Foxhaven Studios, Olney MD

1. Taken By Force (Eric Byrd)
2. Another Time Another Place (Benny Carter)
3. Fall Of Night (Eric Byrd)
4. Goldie (Eric Byrd)
5. Under A Blanket Of Blue (Neiburg)
6. Maybe Baby (Eric Byrd)
7. The Chant (Victor Feldman)
8. When You Are Smiling (Fisher)
9. A Wmc Autumn (Eric Byrd)
10. Jazz Thing (Cool Cool Jazz)  (Eric Byrd, D-Rhyme, Raphael Taylor)
11. Epilogue : Blessed Assurance





  

2025年1月30日木曜日

Tower Of Power / Back On The Street

 

 1979年の10作目でサウンドは、16ビートのファンクからポップな方向にかなりの方向転換をしています。思えば、この時代は空前のディスコブーム(今ではクラブと呼ばれる)で、第1次ディスコブーム (1975~76)、第2次は (1977~1979)となっており、John Travolta(ジョン・トラボルタ)主演、Bee Geez のディスコ・サウンドによる Saturday Night Fever(サタデー・ナイト・フィーバー)が流行り、Kool & the Gang(クール&ギャング)、KC and the Sunshine Band(KC&サンシャイン・バンド)などが、一世を風靡し、1977年にAWFの「Fantasy」「Jupiter」79年は「「After the Love Has Gone「Boogie Wonderland」などが大ヒットしていた時代です。頑なにタイトなファンク、R&Bを演奏していた Tower Of Power にも、こういった影響があることが、かなり感じられます。


 ロッコの、プクプク・ベースは聴けずチョッパーはけしからんとか、TOPらしくないとか、過渡期とか、巷では言われていますが、別に私も悪いと思っている訳ではありません。これもTOPの一つの側面と理解してます。
 しかし、サウンドの変化はプロデュースの仕方で変わったものであることは明白です。本作では Michael McKinney, Richard Evans, Emilio Castillo がプロデューサーに名を連ねており、前作の Steve Cropperように外部からプロデューサーを招きつつ、南部から北部へ音作りを変えて都会さを狙ったものと思われます。
 ホントいろいろとネガティブな書いてしまいましたが、本意ではありません。気を取り直して1曲目から聞いていきます。Rock Baby 確かにTOPっぽくないファンクサウンドです。悪くはないけどTOPファンから求められているサウンドでは無いかも。Our Love これはモータウン的なソウルですね。ノスタルジックなメローディーも良い。TOPらしくは無いですがこれもあり。Heaven Must Have Made You  これも少し毛色が違いますが楽曲的にはTOPにあるやつではあります。でもアレンジが丸い感じですね。いつものTOPなら、もっと尖ってるところがあります。And You Know It ここでいつものTOPになります。3曲目までとは、別のバンドみたいです。Nowhere to Run JBっぽいヤツですがスラップ・ベースが気になっちゃいますね。Something Calls Me あー昔のディスコですね。悪くはないですが短調ですかねえ。It Takes Two これも昔のディスコではありますが、チョッパーも気にはありますが、、曲は好いです。好みです。In Due Time どこかで聞いたことあるイントロです。フュージョン系のどっかのバンドですね。本編に入るとありがちなソウルナンバーになります。Just Make A Move TOP のサウンドになります。そうこの細かいヤツがいいんですよね。
 レーベル側の意向か、またはエミリオのアイディアかは分からないですが、いつものサウンドへの期待感を持って購入すると・・やられたって感じ・・は、やはり否めない。あ!ネガティブだ🎶

lead and backing vocals : Michael Jeffries
organ, synthesizer, acoustic piano, backing vocals, clavinet, Moog synthesizer, Fender Rhodes, Minimoog : Chester Thompson  
synthesizer, alto soprano tenor sax, backing vocals : Lenny Pickett 
guitar : Danny Hoefer
bass, backing vocals : Vito San Filippo 
synthesizer, drum, Syndrum : David Garibaldi
tenor saxophone, backing vocals : Emilio Castillo
baritone saxophone, backing vocals : Stephen "Doc" Kupka
trumpet, flugelhorn, backing vocals : Greg Adams
trombone, trumpet, flugelhorn, piccolo, bass trombone, backing vocals, piccolo 
trumpet : Mic Gillette

producer : Emilio Castillo, McKinley Jackson (1 to 3, 5), Richard Evans (4, 6 to 8), Tower Of Power

1.Rock Baby (Crockett, Michael Jeffries) 
2 Our Love (Clifford Coulter, McGee)
3. Heaven Must Have Made You  (Geoffrey Leib)
4. And You Know It (Emilio Castillo, Kupka)
5. Nowhere to Run (Lamont Dozier, Eddie Holland, Brian Holland)
5. Something Calls Me (Lenny Pickett)
6. It Takes Two (To Make It Happen) (Emilio Castillo, David Garibaldi, Michael Jeffries, Thompson)
7. In Due Time (Crockett, Jeffries)
8. Just Make A Move (And Be Yourself)  (Thompson) 





  

2025年1月29日水曜日

Tony Rémy / Boof!


 これは1994年の発売当時に新品購入したもので、当時、ジャズ・ファンク、アシッド・ジャズを聴き始めたぐらいの時で、ブラコン系にジャズ的なギターをトッピングしたギター・ジャズ・ファンクの新しい音にワクワクしたことを覚えております。
 1962年生まれのジャマイカ系イギリス人の現役ギタリストで、ピアノ、サックス、フルートなどもこなすマルチミュージシャン。名前の Remyの e の上には点がついている Tony Rémy が正しい表記のようです。1980年代半ばにフルート奏者の Phillip Bent のバンドに参加、またワールド ミュージック指向のバンド Lateraly Thinking を結成、1990 年代初頭にはJason Rebello のカルテットにも参加し、GRP Recordsとレコーディング契約を結び、エグゼクティブ・プロデューサーに Dave Grusin を迎えてこのアルバムの発売となっていますが、GRP ではこのアルバムのみの録音です。多分アルバム名の Boof! は、彼の「あだな」か「本名」かのようですが、少し調べてみただけでは、わからなかったので、いつか深堀しときます。


 私的には、かなり好きなサウンドなのですが、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では受け入れられそうにないサウンドなので、そこに持ち込みはしないで1人で聴いております。それでは大好きなサウンドをレビューします。 Glide ダンサブルなプログラミンサウンドのボーカルものです。Boof! タイトル曲で打ち込み基本ですがパーカッションの複雑なリズムへの絡みなど非常に凝った作りで不思議な浮遊感もあるサウンドで大好きな曲です。 Mercy Mercy Me (The Ecology) アコースティック・ギターで、透明感のあるサウンドが心地よいです。コーラスで Mercy Mercy Me がバックで鳴り続け頭にこびりつきます。Different People ここはボーカルものかと思いきや Maysa Leak がボーカルを器のよ うに使った楽曲になっていますので明確な歌詞つきのボーカルではありません。Reginald Miller 一度聴くと耳にこびりつく、イントロのデジタルなパーカッション。無機質であるが印象的なギターでのテーマメロディー。ありそうな曲ではあるんですが凄く印象的な楽曲です。段々ん盛り上がっていって大団円になるのが、ありがちなパターンですがある程度のところでクールダウンしながらの反復。なんかモヤモヤさせる手法ですね。Fewtcha Funk うーん。これはマーカス的ですね。このアルバムの中にあっては少しチープで安易な感じもします。Geraldine きちんとギタリストのイントロから安定のギターフュージョンになっています。素晴らしい。Our Love Grows ところどころで出てくるボーコーダー使いの安易なマーカス的楽曲です。やってる方が楽しいのかもしれません。Tro ああ、これも良い曲です。きちっとギターフュージョンです。変拍子っぽい流れが心地よい響きになります。Hazel's Dream 最後はナイロン弦のアコースティックな楽曲です。心洗われる夢心地なサウンドは締めくくりに良いようで、しっかりアルバムを締めてくれます。
 かなり丁寧に作られたアルバムであり、楽曲や曲順の構成なども大好きな一枚です(おでんバーでは嫌われるのは必至ですが)
 またインコグのギタリスト Bluey とのダブル名義アルバム First Protocol と言うアルバムの発売を発見しましたので、購入リストに入れときます🎶
 
guitar programmings, vocoader : Tony Remy
keyboards, mini-moog : Jason Rebello
vocals : Cleveland Watkiss, Maysa Leak, Lennocx Cameron (1)
bass : Nick Cohen
drums : Peter Lewinson
percussion : Karl Van Den Bossche

producer, arranged by Tony Rémy
executive producer : Dave Grusin, Larry Rosen
recorded at Protocol Studios

1. Glide
2. Boof!
3. Mercy Mercy Me (The Ecology)
4. Different People
5. Reginald Miller
6. Fewtcha Funk
7. Geraldine
8. Our Love Grows
9. "Tro"
10. Hazel's Dream
11. It's Been A Long Time
12. Return Of The Pork Pie

Boof!




  

Great Voice of Harlem



 タワレコで Gregory Porter の棚を見ていたら、見慣れぬ白いジャケのCDがありましたので、中身のチェックはせずに購入しました。
 アルバムの出だしは、作曲は Gregory Porter の Moaning から始まりますが、違う人の声が?よく見てみたら、ボーカリスト三人の名義のセッション・アルバムでした。Gregory Porter(一番右)、Mansur Scott(左から3番目)、Donald Smith(左から2番目) の三人のボーカリストの競演です。


 中身はジャズ&ソウルで、Gregory Porter は主としてジャズ系スタンダード、他の二人はソウル、ファンク色の強いジャズで、Gil Scott-Heron 風のポエトリー・リーディング的な曲もあったりします。三人名義ですが、そこは Gregory Porter が歌うことで、このアルバムはグッと引き締まっていることを感じました。
 それでは、レビューしていきましょう。Moaning ボーカルは Gregory Porter で、メッセンジャーズの Moaning で、ボーカル物で聴くのは、これが初だと思いますが結構良いです。ズシッっとした重量級のボーカルと演奏でスイングしてます。Intro~Peace 短いイントロから続く Peace は Mansur Scott(上の写真では右から2番目) が、最初のボーカルをとります。マイクが近くて感情がやたらこもって興奮している感じで宗教的な感じもしますが、続くGregory Porter(右から一番目) で安定感を取戻します。?? Donald Smith はどこだ?Expansions こんどこそ Donald Smith(左から2番目)がボーカルです。細面の割に太い声で、ローズのピアノもこの人でソウルフルな楽曲で良い感じです。Somewhere Over The Rainbow 怪しげなイントロからはじまる Over The Rainbow で Gregory Porter がボーカルで安定の表現力です。Doing Hard Time は、Gregory Porter によくあるアレンジのイントロから始まりますが Mansur Scott のボーカルで、Peace の怪しい感じより興奮してしゃべりまくるオジサンになっています。語気が強いなあ。Stella By Starlight そしてスタンダードは、またもや Mansur Scott のボーカルですが、やっぱり怖いですね。感情はり過ぎのボーカルで、この曲を包み込むのは面白い試みではあります。Watermelon Man は、なかなかアバンギャルドで素敵です。お気に入りの曲に追加しときました。My One And Only Love 絶対、普通ではないだろうと予測しましたが、やはりドロドロのアレンジで来ています。Donald Smith は、やはりブットい声で朗々と歌い上げています。こんな感じで愛をささやかれると怖いですが・・。Days Of Wine And Roses は期待を込めて聴きます。Mansur Scott の上ずった声もこれには合ってます。なかなか良かった。Mona Lisa これは Gregory Porter の定番ですね。悪かろうはずがない。Song For My Father は、ホレス・シルバーの曲ですね。カッコ良いアレンジです。Mansur Scott のボーカルです。段々中毒的に、この上ずった歌い方になれてきました。
  演奏をしているバンドは「Paul Zauner's Blue Brass」という聞きなれないバンドですが、適度にジャジーで、かっちりし過ぎていないくて、ジャム的なサウンドに魅力があります🎶

vocal : Gregory Porter , Mansur Scott , Donald Smith (fender rhodes)
Paul Zauner's Blue Brass
trombone : Paul Zauner
trumpet, flugel horn : Barney Girlinger
alto sax, bass clarinet : Klaus Dickbauer
tenor sax, alto flue : Klemans Pliem
piano : Martin Reiter
bass : Wolffram Derschmidt
drums : Howard Curtis

producer : Paul Zauner

recorded July 2012 and August 2012
recorded at Acustic Art Studios Stockerau, Sounddesign

1. Moaning / Gregory Porter
2. Intro Peace / Mansur Scott
3. Peace / Mansur Scott, Gregory Porter, Donald Smith
4. Expansions / Donald Smith
5. Somewhere Over The Rainbow / Gregory Porter
6. Doing Hard Time / Mansur Scott 
7. Stella By Starlight / Mansur Scott
8. Watermelon Man / Donald Smith Intro Mansur Scott
9. My One And Only Love / Donald Smith 
10. Days Of Wine And Roses / Mansur Scott
11. Mona Lisa / Gregory Porter
12. Song For My Father / Mansur Scott





  

2025年1月28日火曜日

Cortijo y su Combo con Ismael Rivera / Quitate De La Via, Perico

 

 本作は2020年のリマスターの日本語解説付きで、帯からのこの作品の紹介は「絶頂期のコルティーホ楽団&イスマエル・リベーラの、1961年発表の ヘマ/ルンバ 第4作。全員一丸となって放たれるボンバやプレーナといった黒いリズムは圧巻の一言。荒々しく突進するビートがとにかくすごい」まさにその通りで、これだけでこの作品の解説は済んでしまいそうな的確なコメントです。

 ちなみにこのシリーズは第5弾まで発売されています。

 コルティーホ楽団(Cortijo y su Combo)は、パーカッション奏者のラファエル・コルティーホ(1928年生まれ)率いる楽団で、イスマエル・リベーラ(Ismael Rivera)は1931年のプエルトリコのサントルセ生まれの歌手。イスマエルは、幼い頃は靴磨きとして働き家のサポートのために学校へは満足に行けず16歳の時には、レンガ職人として働き始めてラファエル・コルティージョと一緒に歌ったり遊んだりして過ごし1948年ぐらいでは共演していたようです。その後1952年にアメリカ陸軍に入隊しましたが英語力が不足で除隊。サントルセに戻ってからは歌手活動を開始し売れ始め、1954年にはコルティーホのグループに加入。


 この二人の生まれのプエルトリコは通称で正式には、(Estado Libre Asociado de Puerto Rico)プエルトリコ自治連邦区、カリブ海北東に位置するアメリカ合衆国の自治区です。古くはスペイン植民地時代を経て、第二次キューバ独立戦争でプエルトリコでも反乱が起きて1897年にスペイン合意の元自治区となり、同年に起きたアメリカ合衆国とスペイン帝国の間で起きた米西戦争によってアメリカ合衆国の領土となりました。ということでプエルトリコは母国語はスペイン語なわけで、この土地のラテン音楽で、アメリカのニューヨークで一発あてようと進出してサルサが誕生する訳ですね。最後は「はしょり」ましたがなるほど勉強です。
 学生時代は勉学の「歴史」は暗記物の代名詞として嫌いでしたが、歳をとってから音楽を聴きながらこんなことにも興味を持って聴いています。人間の作る音楽というものは、歴史・戦争との相関は理解した方が深くなるような気がします🎶

1. Perico (guaracha)
2. Bomba Carambomba (bomba)
3. El Chivo (charanga)
4. Si Te Contara (bolero)
5. El Trompo (plena)
6. Cortijito (son montuno)
7. Piedras En Mi Camino (ritmo cangui)
8. Caramelo Santo (bomba)
9. Plena Española (plena)
10. Ensillala (guaracha)
11. El Pajaro Chogui (guaganco)
12. El Carnaval (popurri)
13. Druma Cuyi (ritmo oriza)

▶ Perico




  

2025年1月27日月曜日

Sonny Boy Williamson / Real Folk Blues


 Sonny Boy Williamson は1912年ミシシッピ生まれの、エレクトリック・ブルースの草分けでデルタ・ブルースの普及委員ですから、このアルバムは、Folk Blues ばかりなのかと思ったらそうでもないです。この人の芸名には「Ⅱ」がつきます。本名は Aleck Miller で、先に成功していた Sonny Boy Williamson I (John Lee Curtis "Sonny Boy" Williamson) にあやかって2世を名乗っています。でも本家よりも売れて名を馳せたのは、この Sonny Boy Williamson Ⅱ の方でしょう。独学でハーモニカを学び、他にギター、ドラムスも学んだと言われ、プランテーションで生まれ、実は生年月日は諸説あるようです。1930年代頃から、ミシシッピ州とアーカンソー州を一帯を放浪し、その過程でエルモア・ジェームス、ブラインド・レモン・ジェファーソン、ロバート・ロックウッド・ジュニアらブルースマンと出会い、当時は、リトル・ボーイ・ブルーという芸名で活動していたのですが、ラジオ局のブルース番組に出演する頃に Sonny Boy Williamson Ⅱと名乗り始めたそうです。


 1965年に心臓発作で他界されますが、亡くなった直後に発売された The Real Folk Blues (1965) と、その2年後に発売された More Real Folk Blues (1967) を合体させたカップリング盤がこのアルバムとなっています。
 アルバムのジャケット・デザインは安っぽいなと思っていたのですが、死後のアルバムの発売を思うとこの写真は追悼していたのかと、また見る目が変わります。
 それでは One Way Out ギターに Robert Lockwood, Jr., Luther Tucker が参加しているマンボのリズムを取り入れた曲で、ドスの効いた声で軽快に歌っています。Too Young To Die 本人オリジナルのブルース。声のふるわせ方や歌い方はプレスリーとかでも使っている歌唱法で、少し粋ってる感じも良い感じです。Trust My Baby 少しジジイっぽい歌い方で雰囲気はバッチリなスローブルースです。ウワンウワンと唸るハープもカッコ良い。Checkin' Up On My Baby また歌い方を変えていて、酒やけしたようなダミ声が印象的です。古典的なブルースでもっと聴きたいのに2分ちょっきりは寂しい。Sad To Be Alone ロック・ブルースで少し艶のある歌いかに変えています。Robert Lockwood, Jr.のギターも素晴らしい。 Got To Move ここら辺になると、ほぼ日本の演歌と同じですね。同じタイプのブルースですが、このワンパターンが心地よい。ゆったりとした曲に合わせてハープソロも長めのプレスリータイプの歌い方。Bring It On Home べ~~いべ~。から始まる余裕の大人な雰囲気。ギターに Matt Murphy 参加。 Down Child また声が違いますね。器用です。高めのハーブがブイブイ鳴りまくります。テンションは高め。Peach Tree 桃の木はブルースの題材になりやすいものでもあるようです。これも明るいタイプの曲ですね。手持ちのパターンが多くて器用だと改めて思います。 Dissatisfied 古典的なパターンのブルースです。満足できねえぜと力入ってます。That's All I Want ベースの Willie Dixon 作曲で、にぎやかに演奏されています。Too Old To Think     最後はしっとりと。Luther Tucker が、ボン、ボンと遊んでいたりピアノ含め各自思い思いに好き勝手やってます。良きかな。
 アンプを通さない生Harpですが、パワーでグイグイ押してきます。二日酔いのブルースマンみたいな声もありますが、意外と若々しい系の歌声もあったりして、やっぱり容姿のイメージと反比例🎶

voval, harp : Sonny Boy Williamson
recorded in Chicago on September 1, 1957 (10), January 30, 1960 (5), April 14, 1960 (4), June 1960 (9), September 15, 1960 (3 & 8), December 14, 1960 (2), September 8, 1961 (11 & 12), January 11, 1963 (6 & 7) and April 30, 1964 (1).


1. One Way Out (Elmore James, Marshall Sheron, Sonny Boy Williamson) 
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
2. Too Young To Die (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass, vocals : Willie Dixon
drums : Odie Payne
3. Trust My Baby (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
drums : Fred Below
4. Checkin' Up On My Baby (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
electric bass : Willie Dixon
drums: Fred Below
5. Sad To Be Alone (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
6. Got To Move (Sonny Boy Williamson)
organ : Lafayette Leake
guitar : Matt Murphy
electric bass : Milton Rector
drums : Al Duncan
7. Bring It On Home (Willie Dixon)
organ : Lafayette Leake
guitar : Matt Murphy]
electric bass : Milton Rector
drums : Al Duncan
8. Down Child (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
drums : Fred Below
9. Peach Tree (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Eddie King Milton, Luther Tucker
drums : Fred Below
10. Dissatisfied (Sonny Boy Williamson)
piano : Otis Spann
guitar : Luther Tucker, Robert Lockwood, Jr.
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
11. That's All I Want (Willie Dixon)
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
12. Too Old To Think (Sonny Boy Williamson)
piano : Lafayette Leake
guitar : Robert Lockwood, Jr.
bass guitar : Luther Tucker
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below





  

2025年1月26日日曜日

Guitar Slim / The Things That I Used To Do

 

 まず最初に聴いたときに「なるほど昔のブルースね」と思いながら聞き流していましたが、おそらく興行的(ライブエンターテイメント)なところを意識してる人だなあと興味がわいてきました。
 そして「曲は古臭いけどギターの音は適度にギラギラしてフレーズも現代的なとこもあるなあ」となり「余裕でギター弾いて、わざとたどたどしく弾いたりフレーズとか遊んでるしサービス精神旺盛ですな」そして「このノリは、ピアノのあの人に似てるんじゃね?」などと思い始めます。ピアニストの、あの人はニューオリンズのブルース・ピアニストの「Professor Longhair」です。と思って調べてみるとやはりこの人もニューオリンズを拠点に活動していたギタリストでした。音楽キャリアとしては1951年~1958年の短い間で肺炎で死去しています。Professor Longhair は1949年初レコーディングで1964年ぐらいまでが最盛期で、1975年のポール・マッカートニーが彼をクイーン・メアリー号船上のプライベート・パーティーの演奏「Live On The Queen Mary」あたりで復活の人。やはり活動の盛期は被っています。
 もともとはゴスペル・シンガーで1950年のデビューから後にブルース・シンガーに移行して、ギターとアンプを100メートル以上のコードで繋ぎで、観客の間を演奏して歩くなどのパフォーマンスで人気だったようで、このアルバムには収録されていませんが 「Feeling Sad」を発表、そして1953年に Ray Charles がピアニストして参加し、タイトル曲の「Things That I Used To Do」がリリースされR&Bチャートで14週連続1位の記録の大ヒットとなります。 がカバーするこれを機に大躍進と言いたいところですが、ヒットが出ずにレコード会社の移籍や契約解除が続いたとのことです。でもこの大ヒットしたタイトル曲は、ブルース旧大御所にもカバーされブルース・スタンダードのひとつとなっています。
 と、勉強が終わったところでもう一回タイトル曲を聴くと、これについては「ニューオリンズ」の感じがしないド・ブルース。再度ライナーノーツを見ながら聞き直すとこのアルバムは1953年~1955年の5回の録音の21曲です。


 最初の頃は本格的なブルースですが、段々とエンターテイメント性が増してきて、泥臭さが抜けてきてバックがニュー・オリンズ・サウンドに変化してきてくるのがこのアルバムを聴いていて流れがわかります。わずか2年間の間にかなりの変貌です。時に歪ませたギターで攻めまくったり、ラフに弾き崩したりするスタイルは独自のモノで、酒と女性が大好きそうなオジサンのようなジャケットも良かった。
 「Bad Luck Blues」「Well, I Done Got Over It」「Something To Remember You By」、イントロを失敗したんで、やり直しまで全部録音してしまった「I Got Sumpin' For You」なんかも良かったです🎶

1. The Things I Used To Do
2. Well I Done Got Over It
3. The Story Of My Life
4. A Letter To My Girlfriend
5. Later For You Baby
6. Trouble Don't Last
7. Bad Luck Blues
8. Sufferin' Mind
9. Twenty Fine Lies
10. Our Only Child
11. Stand By Me
12. Guitar Slim
13. Reap What You Sow
14. I Got Sumpin' For You
15. You're Gonna Miss Me
16. Quicksand
17. Think It Over
18. Something To Remember You By
19. You Give Me Nothin' But The Blues
20. Sufferin' Mind (Alt. Take)
21. Reap What You Sow (Alt. Take)





  

2025年1月25日土曜日

The Beatles ‎/ Please Please Me



 ビートルズ初のイギリス盤公式オリジナル・アルバム。1963年3月22日にモノラル盤、4月26日にステレオ盤がそれぞれ発売されています。録音はスタジオ・ライヴ形式で1963年2月11日のノース・ロンドンのアビイ・ロード・スタジオ(EMIレコーディング・スタジオ)にて行なわれています。作業は、午前と午後の2回に加えて夕方のセッションの3回で10時間弱で録音され、シングルで既に発表されていた4曲を除く10曲を原則一発録りで録音し、たった1日でアルバムを完成させています。録音から発売まで約一か月ですから用意も万全だったと思いますが、相当なスピードでの発売です。10時間ですから一発録音でも、当然リハはありですね。収録曲14曲中6曲は、当時のビートルズが好んで演奏していたアメリカのR&B、ロックンロールなどのカバー曲となっています。当日録音の順番などは uDiscover Music というサイトで詳細な解説が掲載されています。

 

 私はストーンズは好きだったのですが、ビートルズは敢えて聴いてきませんでした。しかし、これだけ数多くのカバーもジャズ界でも出されていることだし趣向の違いはあれ悪いわけはない。と恥ずかしくも50歳を超えてからの購入を3枚しております。Please Please Me 1963、Yellow Submarine 1969Magical Mystery Tour 1967
 ほかの2枚はそれほど良くはなかったのですが、このアルバムは知っている曲も多いこともあってか比較的楽しんで聴くことができましたので、再度聴きながらレビューしてみます。I Saw Her Standing There 朝のレコーディングで吹き込まれたとのこと。これはあちこちで聴いてきたロックンロールで、カラッカラの音のギターですがペラペラでは無く、言葉がしっかりとちりばめられています。Misery これも、TVなど様々なメディアで使われてきた歌ですね。「悲惨」という題名ですが悲惨には全く感じない。Anna (Go To Him) オールドタイプのロック・バラードで、ソウルの Arthur Alexander が1962年にリリースし翌年にビートルズがカバーしてヒットです。良い曲を聴き分けてアレンジする才能はビートルズにあったことですね。Chains イントロのハーモニカがアメリカの田舎って感じがします。これもカバーです。Boys 得意とするロックンロールのカバーです。やはり天才ビートルズも先人の曲をしっかりとコピーしながら吸収していたということですな。Ask Me Why これはオリジナルで、ビートルズっぽい音の作り方です。ナンパですが良いですね。Please Please Me タイトル曲です。曲、アレンジ、コーラスと音的には新しくはないと思いますが、全てが印象的で凄い曲であることは認めます。Love Me Do ファンではないけど、これも良い曲で誰もが知っている名メロディーです。P.S. I Love You 知っていますが、こんな牧歌的だったっけと再認識。Baby It's You これもカバーですがオールディーズのカッコ良さが理解されたうえで少しポップなアレンジですね。Do You Want To Know A Secret 印象としては薄い曲ですが、このセッションの1ヶ月後にBilly J. Kramer With The Dakotaが同じアビイ・ロード・スタジオでカバーを録音して、シングルとしてリリースして英チャート1位をものにしています。ビートルズの神通力でしょうか。A Taste Of Honey レニー・ウェルチが1962年に発表したブロードウェイ・ミュージカルのためにボビー・スコットとリック・マーロウが共作したもので時代を感じる作風ですね。ザ・アメリカでカウボーイをイメージしてしまいます。There's A Place 朝のレコーディングで行われたとのことで、ビートルズっぽいポップ・ロック路線ですね。Twist And Shout アイズレー・ブラザーズのカバーですが、ジョン・レノンが風邪をひいていて枯れた声での絶唱もあいまって良い出来です。
 余談ですが、中古で購入したこのCDは日本版で東芝EMIからの発売のもの、ウォークマンに落としたところ、Rubber Soul として認識されてしまいました。よくよく見てみると曲名も Rubber Soul の曲名になっています。売主が中身を間違ったのかと思ってCDのプリントを見ても Please Please Me です。プレスで中身を間違ったのかとも思い曲を確認すると中身は Please Please Me です。どうやらデジタルの曲の署名が間違っているようです。同じ14曲入りなので担当者も気づかなかったと思われます。これもレア盤になるのかと思いながら量産型CDなら同じエラーは相当あるはず。yahoo知恵袋に同じことを考えてる人が質問してました。そんな馬鹿なとのやり取りもありつつ
完璧エラーCDですねー、アナログ盤だと結構値がつくかと思いますがCDだとあまり価値がないかも。でもビートルズ関連はマニアがいますので手離すのであれば画像多く添付してヤフオクでも出品すれば値がつくかもしれません。
レア盤認定は、やはりプレスの多いCDでは無理でしょうな。残念🎶

bass, vocals : Paul McCartney
drums, vocals : Ringo Starr (1 to 7, 10 to 14)
guitar, vocals : George Harrison, John Lennon

producer : George Martin

1. I Saw Her Standing There (McCartney/Lennon)
2. Misery (McCartney/Lennon)
piano : George Martin
3. Anna (Go To Him) (Alexander)
4. Chains (Goffin/King)
vocals : George Harrison
5. Boys (Dixon, Farrell)
vocals : Ringo Starr
6. Ask Me Why (McCartney/Lennon)
7. Please Please Me (McCartney/Lennon)
8. Love Me Do (McCartney/Lennon)
drums : Andy White
9. P.S. I Love You  (McCartney/Lennon)
drums : Andy White
10. Baby It's You (Williams, Bacharach, David)
celesta : George Martin
11. Do You Want To Know A Secret (McCartney/Lennon)
12. A Taste Of Honey (Scott, Marlow)
13. There's A Place (McCartney/Lennon)
14. Twist And Shout (Russell, Medley)