2023年12月22日金曜日

Donald Byrd / Blue Breakbeats

 

 こんなマイナーなコンピが楽しい。Donald Byrd の1972年~1976年のファンク・サイドの楽曲を集めています。いつもの音楽好きの集う「おでんバー」のマスターも、これを聴きながらノリノリで調理していました。
 私、ジャズ・フュージョンの聴き始めは、サックス系のものが多かったのですが、最近はトランペット作品を好んで聴くことが多く Donald Byrd は、かなり聴きこんできました。きっかけは多分 Black Byrd あたりのファンク系作品かと思います。Donald Byrd 自身は1955年から、リーダーとしてハード・バップ作品を発表し続け1970年代は本コンピにも記載されている Mizell 兄弟とともにファンク・ロックのスタイルを取り入れた作品を残しています。下記の全5枚のアルバムの中から選ばれた楽曲ですが全てを持っていないのが悔しいところ。

track 1 recorded in 1976. Originally issued on Caricatures
tracks 2 and 4 recorded in 1973. Originally issued on Street Lady
tracks 3 and 6 recorded in 1975. Originally issued on Places And Spaces
track 5 recorded in 1967. Originally issued on Slow Drag
track 7 recorded in 1972. Originally issued on BlackByrd


 Dance Band はボーカル入りの思いっきりのファンク・ナンバーで、重いベースに乗せたグルーブとパリピ的なコーラスが楽しい。Lansana's Priestess は、ボーカル無しのインスト・ソウルナンバーでフルートが大活躍のです。ピアノの Jerry Peters、ドラムの Harvey Mason、ギターは David T. Walker、パーカッション Stephanie Spruill が固定メンツの本気が嬉しい。Wind Parade は、アーバン・ソウル的な楽曲で、曲を追うごとにサウンドが進化しているアルバム構成にジャズ・ファンクに対するマニアな愛を感じます。Miss Kane は、サウンドがアシッド・ジャズって感じに進化します。シンセ・サウンドがチープで活きの良いフルートが時代を感じます。もう少しダサいと嬉しいんですけどキレイにキメてくれてます。Jelly Roll は、8ビートのジャズ・ブルースでピアノ、ベース、ドラム+2管のシンプル構成です。ブルーノートだとこうなるんですよね。ジャズから脱却する過程。You And Music で、またソウル系に戻りますがファルセットのボーカル入りでまた時代が逆行します。Love's So Far Away は、やはり完成された集大成のようなサウンドになっています。ピアノには Joe Sample も参加。
 コンピの中も、B級だと思いますが個人的には非常に楽しいアルバムでした🎵

1. Dance Band (1976 Caricatures)
trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
backing vocals : Donald Byrd, Fonce Mizell, Larry Mizell, Theresa Mitchell, Vernessa Mitchell
keyboards : Jerry Peters, Patrice Rushen, Skip Scarborough
guitar : Bernard Taylor, David T. Walker, John Rowin
bass : James Jameson 
drums : Harvey Mason
percussion : Mayuto Correa, Stephanie Spruill
horns : Ernie Watts, Fonce Mizell, Gary Bartz, George Bohanon, Oscar Brashear

producer: Larry Mizell & Fonce Mizell

2. Lansana's Priestess (1973 Street Lady)
trumpet : Donald Byrd, Fonce Mizell
flugelhorn : Donald Byrd
piano : Jerry Peters
electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters
synthesizer (arp synthesizer) : Freddie Perren
electric bass : Chuck Rainey
guitar : David T. Walker
drums : Harvey Mason
congas : King Errisson
percussion : Stephanie Spruill
clavinet : Fonce Mizell
flute : Roger Glenn

producer : Larry Mizell

3. Wind Parade (1975 Places And Spaces)
trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
backing vocals : Kay Haith, Larry Mizell & Fonce Mizell
piano (acoustic) : Larry Mizell
electric piano (fender rhodes) : Skip Scarborough
clavinet, trumpet : Fonce Mizell
electric bass (fender) : Chuck Rainey
guitar : Craig McMullen, John Rowin
drums : Harvey Mason
congas : King Errison
congas, percussion : Mayuto Correa
whistle : James Carter
tenor sax : Tyree Glenn, Jr.
trombone : George Bohannon
trumpet : Raymond Brown

producer : Larry Mizell & Fonce Mizell

4. Miss Kane (1973 Street Lady)
trumpet : Donald Byrd, Fonce Mizell
flugelhorn : Donald Byrd
piano : Jerry Peters
electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters
synthesizer (arp synthesizer) : Freddie Perren
electric bass : Chuck Rainey
guitar : David T. Walker
drums : Harvey Mason
congas : King Errisson
percussion : Stephanie Spruill
clavinet : Fonce Mizell
flute : Roger Glenn

producer : Larry Mizell

5. Jelly Roll (1967 Slow Drag)
trumpet : Donald Byrd
piano : Cedar Walton
bass : Walter Booker
drums, vocals : Billy Higgins
alto sax : Sonny Red

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

6. You And Music (1975 Places And Spaces)
trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
backing vocals : Kay Haith, Larry Mizell & Fonce Mizell
piano (acoustic) : Larry Mizell
electric piano (fender rhodes) : Skip Scarborough
clavinet, trumpet : Fonce Mizell
electric bass (fender) : Chuck Rainey
guitar : Craig McMullen, John Rowin
drums : Harvey Mason
congas : King Errison
congas, percussion : Mayuto Correa
whistle : James Carter
tenor sax : Tyree Glenn, Jr.
trombone : George Bohannon
trumpet : Raymond Brown

7. Love's So Far Away (1972 BlackByrd)
trumpet, flugelhorn, trumpet (electric), vocals : Donald Byrd
trumpet, vocals : Fonce Mizell
vocals : Larry Mizell
piano, electric Piano : Joe Sample
synthesizer, vocals, electric piano : Freddie Perren
guitar : David T. Walke
bass : Chuck Rainey
flute, sax : Roger Glenn
percussion : Stephanie Spruill

producer : Larry Mizell





  

2023年12月17日日曜日

Billy Branch / Satisfy Me


 ほのぼのしながらもひたすら気持ち良いリズムを刻むドラムとベース。ソウル・テイストが入った力強いボーカル、ビリーブランチは歌ってブルースハープも心地よく吹く。これが気持ちよい。これぞ現代のシカゴ・ブルースってサウンドは、特別にテクニックを見せつけているわけでも無いのですが聞いていて飽きないですし、こんなバンドをやりたくなってしまいます。
 10歳のとき、彼はロサンゼルスで最初のハーモニカを購入しすぐに簡単な曲やメロディーを演奏し始めたそうです。しかしブルースマンによくある小さな時からライブハウスに出てプロで活躍というような経歴ではなく彼はイリノイ大学に通うために1969年にシカゴに戻り、イリノイ大学シカゴ校で理学士号を取得して卒業。プロとしてのスタートは1974年頃でピアニストの Jimmy Walker と一緒にやったのが最初と語っています。その後、Willie Dixon のバンド Chicago Blues All-Stars に Carey Bell の後任として5年間いて、1977年に自身のバンド、Sons of Blues を結成。ちなみにこのバンド、ギターにLurrie Bell は(Carey Bellの息子)、ベースに Freddie Dixon(Willie Dixonの息子)と、どこまでもブルース・ファミリーです。その後は1982年「Chicagos Young Blues Generation」でデビュー。その後も1984年「Where's My Money」1992年「Mississippi Flashback」などを発表。企画物では1990年ジェームス・コットンやジュニア・ウェルズとの「Harp Attack」に参加し、サポートでも150を超えるアーチストのアルバムに参加しています。


 それではレビューしましょう。It's A Crazy Mixed Up World は Willie Dixon の作品で、オールド・ファッションなブルース作品で昔の映画でも見ている気分の軽快な楽曲です。ブルース・ハープも明るく跳ねるように吹いています。Pay Or Stay は Teenie Hodges, Earl Radall のジャンプ・ブルースです。重厚感のあるリズム隊のどっしりとしたビートは大好きなパターンです。コーラスもついて豪華な仕様です。Kissin' My Love は Bill Withers 作品のソウル・タイプ。でもアレンジは、もっと最近のアーバン・ソウル風になっているのがお洒落で、ここら辺が現代のブルース・マンって感じがします。(Hey baby) Your Looking Real Good は、J.J. Cale 作品で、カントリーが入った曲調にジャマイカンなテイストがそのまま持ち込まれています。Satisfy Me は主題曲で作曲は Billy Earl McClelland なるセッション・ギタリスト、コンポーザーがメインで活躍していた方の作品、ライトなブルース・ロックといった感じです。続けて Highway Blues も Billy Earl McClelland 作品。こちらはロック色が強いブルース・ロックです。ハープ奏者よりはギタリストが好みそうな曲調です。 One Chance With You は Walter Jacobs=Little Walter作品です。エンターテイメント色が強いブルースです。王道の昔のブルースで落ち着きます。最後にマイクにチュッチュの音は本家でもやっているんですかね。Heart In Your Life は Bill Withers をレゲエ調にしています。ここまで聴いてきて何となく Eric Clapton っぽい作品の作り方の影響があるような気がします。Son Of Juke これは本人作。このアルバムで唯一のオリジナルです。作品と言ってもボーカル無しのセッションに曲名を付けただけですが、生き生きブルース・ハープがとても印象に残ります。Same Thing は Willie Dixon でこの作品」で2回目です。Muddy の系譜のザ・ブルースです。Boogie Man はLeon Russell, Chuck Blackwell 作品ですね。アルバムを引き締めている楽曲です。王道は気持ち良い。Goin' Down は Don Nix で、ブルース・ロックのセッションの定番です。ギターソロがいかにもなブルース・ギターでかっこよいですね。ここ一番の出番なので気持ちだけで弾ききっている感じです。
 ブルース一辺倒でもなくて少し都会的な仕上がりのアルバム🎵

vocals, harmonica : Billy Branch
vocals : Alisa Peebles Yarbrough(3)
guitar : Carl Weathersby, Kip Bacque 
bass : George Porter, Jr., Nick Lewis
drums, cowbell, cabasa, wood Block : Herman Ernest III
congas, shaker, guiro, cabasa, triangle : Tracy C'Vello

producer : John Snyder

recorded October 24-27 November and mixed December 4-6, 1995 at Dockside studios, Maurice, Louisiana.

1. It's A Crazy Mixed Up World
2. Pay Or Stay
3. Kissin' My Love
4. (Hey baby) Your Looking Real Good
5. Satisfy Me
6. Highway Blues
7. One Chance With You
8. Heart In Your Life
9. Son Of Juke
10. Same Thing
11. Boogie Man
12. Goin' Down





  

2023年12月16日土曜日

Frankie Goes To Hollywood / Welcom To The Pleasuredome


 このアルバムを聴いた時にはとんでもない才能が現れたと思ってましたし、これだけの音楽性がありながら、まさかの一発屋になってしまうとは思いませんでした。この手のシンセサウンドのロックは当時ニューウェイブって呼ばれてて、私は全く聴いてなかったんですけどこのアルバムは大爆発のヒットだったのでさすがにかなり耳にしていましたので、中古CD屋で見つけたときにあまりの懐かしさに思わず購入してしまいました。
 アート・オブ・ノイズやバグルズ、イエスといったプログレ・バンドをプロデュースしたTrevor Horn(トレバー・ホーン)が、ダンス音楽の世代に向けてプログラミングを取り入れて作った作品です。コンピューターの発達した現代では楽器のできないミュージシャンも多数存在しますが、このアルバム発売当時の1984年はアップルがMacintoshを発表NECはPC9801でMS-DOS、5インチのフロッピーでグラフィックがやっと8色になった時代でした。当然ディスプレイはブラウン管でした。


 音楽界ではサンプラーが発達しはじめた頃で1983年にはイエスが、フェアライトCMIというサンプラーでオーケストラ・ヒットを使用した楽曲「ロンリー・ハート」を発表、1981年にはイエロー・マジック・オーケストラがサンプラーLMD-649を使用したアルバム「テクノデリック」を発売しています。ここらへん調べていると楽しい。


 そんな時代に、テクノロジーの進歩によってサンプリング、打ち込みでここまでの見事な「擬似プログレ」を作れたわけです。その技術的、芸術的に高度なアルバムで、歌詞にSM行為が描写されたり排尿音などが入っているが問題ともなり多くの国で放送禁止となりました。Two Tribes は米ソ冷戦と核戦争の危機について歌われていたりします。このアルバムでは扱われているところがパンク的。ニューウェイブですがプログレ的要素、思想的にはパンクなどが入り混じり革新的でありながら退廃的。、ゲイであることをカミングアウトしたり、話題性が先行したショー的な要素が強かったような気もします。ちなみにスティーブハウなんかも参加してたりします。リラックスのドラムはジョン・ボーナムのサンプリング。


lead vocals : Holly Johnson
backing vocals : Paul Rutherford
guitar : Brian Nash
bass guitar : Mark O'Toole
drums : Peter Gill

additional personnel
keyboards, programming, software : J. J. Jeczalik
keyboards : Andy Richards
percussion : Luís Jardim
keyboards, string arrangement on "The Power of Love" : Anne Dudley 
guitar : Stephen Lipson
acoustic guitar (on "Welcome to the Pleasuredome") : Steve Howe
backing vocals, bass guitar : Trevor Horn

producer : Trevor Horn

1. The World Is My Oyster (Including Well, Snatch Of Fury)
2. Welcome To The Pleasuredome
3. Relax
4. War
5. Two Tribes
6. Including The Last Voice
7. Born To Run
8. Happy Hi
9. Wish(The Lads Were Here)
10. Including The Ballad Of 32
11. Krisco Kisses
12. Black Night White Light
13. The Only Star In Heaven
14. The Power Of Love
15. Bang





  

2023年12月15日金曜日

Herbie Hancock / Inventions & Dimensions

 

 リーダーアルバムは、Takin' Off(1962年)、My Point of View(1963年)Miles Davisに次ぐ1963年の3作目。この年にハンコックは Eric Dolphy と共演し、Miles Davis のグループにも抜擢され 1968年まで在籍する訳ですから、この年からジャズ界のメインストリームを歩き始めた年になります。
 聴かず嫌いだったハンコックを聴き始めたら初期作品の面白さにハマってきたのですが、この時期のハンコックはやはり脂の乗りが良い。後期の演奏やマイルスバンドへの参加でもわかるように守備範囲は広く、ハンコックの好奇心や創造力の広げ方は他の追随を許さないですね。ジャズが革新的な発展を遂げている時期を感じられます。
 メンバーはピアノ、ベース、ドラム、ラテンパーカッションという、管楽器がいなくて、打楽器がふたりという特殊な編成でリズムを大切にするための布陣ですが、演奏自体はマイルスのバンドに繋がるジャズの方向性が感じられて地味に良いアルバムです。


 それでは、レビューです。Succotash は最初からガツンとやってくれます。3拍子のポリリズムに無機的なリフです。現代音音楽を聴いているようでもありアフリカンな音楽を聴いているようでもあり、これは作曲、編曲とも考えぬいて作っているのか?内省的な表現なのか?ピアノ、ベース、ドラムが規則的にバラバラに進行してつじつまが合って、またほどけていく。ガーンときました。Triangle こちらはストレートなジャズですが、ピアノの音使いはモード的で、異次元の世界的な展開で後半のパーカッションがとても好印象。Jack Rabbit は、ラテンのスリリングさを持った後のクラブ・ジャズ、アシッド・ジャズにも通ずる曲です。カバーしているアーティストも多いらしい。Mimosa は、とてもエレガントな曲で、コンガとピアノのマッチングが面白い。Jump Ahead は、ストレートなバップになりますが、非常にスタイリッシュな印象を受けます。そして Mimosa (alternate take) はボーナス・トラックです。
 本アルバムは譜面なしでの録音であったとのことでハービーの頭に浮かんだ主題がそれぞれのメンバーの感性によって色付けされているようで実にユニーク。1963年の録音では先進的過ぎて理解されずらかったかもしれない音のクオリティで、今の時代のアシッド・ジャズ的な香りがプンプンしますが、ハービーは寄り道しただけで、この方向では走り続けなかったようです🎵

piano, all Compositions : Herbie Hancock
bass : Paul Chambers
congas, bongos : Osvaldo 'Chihuahua' Martinez
drums, timbales : Willie Bobo

producer : Alfred Lion

recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on August 30, 1963

1. Succotash
2. Triangle
3. Jack Rabbit
4. Mimosa
5. A Jump Ahead
6. Mimosa (alternate take)




▶ Mimosa


  

2023年12月10日日曜日

Stan Getz / Stan Getz Plays

 

 私、音楽は無節操に聴くタイプのジャズ好きです。聴かず嫌いは後で聴いた時になんでもっと早く聴きこんでおかなかったのかと思うことがしばしばあるものの、何となくフィーリングが合わない人もいます。Stan Getz はアクが強くない上品でクールなサウンドでテナーサックスの高音域を多用したプレイスタイルです。
 そんなクールな印象ですが、人生はこの頃によくある酒とドラッグによる激しい状況のようです。1942年代の15歳の頃には演奏活動に入り16歳で酒浸りになりヘロインもやるようになる。1954年にはモルヒネ欲しさに、シアトルの薬局で武装強盗未遂事件を起こし逮捕となる言う写真や演奏からは想像もつかないアグレッシブなジャンキーぶりで、この録音が終わるころにはギターの Jimmy Raney は Getz の麻薬中毒に嫌気がさしてバンドを脱退したとのことです。このアルバムは、そんな状態の悪い時期の 1952年と1954年の3回の録音を一つのアルバムにまとめたものですが実にソフトで自然でアドリブとスイング感はとても良いバランスです。(良いことは認めまうが、今のところ私にはそれほど響いてはいません。何年後かに聴くと良さがわかるパターンのような気がします)


 このアルバムは、オリジナルは、Clef Records から発売の2枚の10inchLP MGC 137 and MGC 143 の2枚が収録されたもので、それに1988年の再販で Verve Records から発売の MGV 8200、MGN 1034 が加わってできたアルバムのようです。と言うことはオムニバスの形式とは思いますが、単体でも有名なようです。
 それではレビューです。Stella By Starlight は、素晴らしいメロディーですが流れるような感じで演奏は良いけど印象には残りづらいような気がします。教科書っぽいかな。Time On My Hands も、嫌みの無い演奏です。これも上手いんだけど主張は少ないですね。サックス奏者には良いのかな。’Tis Autumn は、まさに秋の様相です。Jimmy Raney ギターも軽くて素晴らしい。これは良いですね。前の2曲に比べると高音の使い方が良いんでしょう。The Way You Look Tonight では、アップテンポになります。少し熱めスイングなのでここら辺は好きな感じ。Lover Come Back To Me もアップテンポの2連続です。3分程度の小曲ですがこれもフレーズの洪水のような演奏が〇。Body & Soul は、何か完成されたものを感じます。早くなくても良いじゃないですか。Stars Fell On Alabama もバラードで高音使いが上手いです。細かなフレーズを詰め込んでくるのは32分音符攻めと言われているようでこの時代の特徴のようです。You Turned The Tables On Me これも甘いですねバラードです。延々と短い曲が続きますが短いのであっというまに流れていきます。Thanks For The Memory も落ち着いた曲です。なんとなくわかってきました。ここら辺が好きな人はこの嫌みの無い聞き流せるパターンがたまらない人達ですね。Hymn Of The Orient ここでアップテンポに戻ります。昔のダンスホールでかかっていたと思われる楽し気な曲でギターソロ短め、ピアノソロ短めは3分以内の制約ではしょうがない。These Foolish Things で、またバラードです。家でレコードを楽しんでいた時代には、このぐらいのライトな感じが丁度良いのかもしれません。How Deep Is The Ocean アップテンポではありますが少し哀愁漂います。Nobody Else But Me も短いが良い曲ではあります。Down By The Sycamore Tree これも良い曲なんですけど、短い曲の連発は疲れますね。I Hadn't Anyone Till You と
With The Wind And The Rain In Your Hair は、さすがにおまけっぽい感じで練習曲のような気もしてきました。
 非常に評価が高いアルバムなのでファンとしては16曲も聴けるのは嬉しいのでしょう。しかしファン出なかったら前半は楽しかったのですが、結構聴ききるにはキツい感じでした。曲順などの構成も含め プロデューサーの Norman Granz も惰性で作ったのかなあと思ってしまいますが・・・🎵

tenor sax : Stan Getz
bass : Bill Crow (1 to 12), Bob Whitlock (13 to 16)
drums : Frank Isola (1 to 12), Max Roach (13 to 16)
guitar : Jimmy Raney (1 to 12)
piano : Duke Jordan (1 to 12), Jimmy Rowles (13 to 16)

producer : Norman Granz
 
Selections 1-8 recorded  in New York City, December 12, 1952
Selections 9-12 recorded in New York City, December 29, 1952
Selections 13-16 recorded in Los Angeles, CA., January 14, 1954 

1. Stella By Starlight
2. Time On My Hands
3. 'Tis Autumn
4. The Way You Look Tonight
5. Lover Come Back To Me
6. Body And Soul
7. Stars Fell On Alabama
8. You Turned The Tables On Me
9. Thanks For The Memory
10. Hymn Of The Orient
11. These Foolish Things (Remind Me Of You)
12. How Deep Is The Ocean
13. Nobody Else But Me
14. Down By The Sycamore Tree
15. I Hadn't Anyone Till You
16. With The Wind And The Rain In Your Hair





  

2023年12月9日土曜日

Bryan Adams / On A Day Like Today


 1998年に発表された通算の8枚目アルバムです。当時ブライアンが活動の基盤を置いていたのはカナダではなくイギリスとなっていた時で、このアルバムもイギリスでは11位となったものの、アメリカでは103位と売り上げは低迷でした。しかし飛ばしすぎない落ち着いた印象で、普段着のロックが気持ち良い作品となっています。


 ブライアンが音楽的な思考を改造したら今までの「売れる音楽」ではなくなってしまったという感じがします。人間誰しも変化していくものでありますから、それでしょうがないじゃないかと思いながら聴いています。ブライアン自体、これからあまりヒットには恵まれず、2015年からは、2年に一回ぐらいのマイペースなアルバム制作の間隔になっているようです。
 なにはともあれ、ヒット・メーカーとしての役割はもう卒業で、その時に感じる感性で音楽活動を続けるという姿勢に変更したとも思える音作りのアルバムでもあります。

 Bryan Adams の近況を見てみようと思って調べていたらオフィシャルHPは非常にシンプルなつくりで音楽性と一致した感じでした。でも少し見にくいかな 

Universal Music Japan のページはさすがに見やすい


guitar, bass, piano, vocals:Bryan Adams
keyboards : Phil Western, Robbie Buchanan
organ piano : Dave Pickell, Vince Jones
guitar , bass : Keith Scott
bass:Dave Taylor
drums:Mickey Curry
percussion : Danny Cummings

producer : Bob Rock (1 to 3, 5 to 9, 11, 12, 14), Bryan Adams

recorded at the Warehouse Studio Vancouver, Canada and by the Warehouse Studio Mobile Unit Ocho Rios, Jamaica June - August 1998

1. How Do Ya Feel Tonight
2. C'mon C'mon C'mon
3. Getaway
4. On A Day Like Today
5. Fearless
6. I'm A Liar
7. Cloud Number Nine
8. When You're Gone
9. Inside Out
10. If I Had You
11. Before The Night Is Over
12. I Don't Wanna Live Forever
13. Where Angels Fear To Tread
14. Lie To Me





  

2023年12月8日金曜日

Booker Ervin / The Song Book

 

 The Song Book は、ジャズのスタンダード集のこと。1964年録音の、ワン・ホーン・カルテットによるスタンダード集。タフ・テナーと呼ばれ「お下品」と評されることもある独特な力強いサックスと Flanagan の優美なピアノが Ervin に惑わされることも無く絶妙なコントラストでジャズらしいダイナミックさ、Richard Davisのベースはズンズンと気持ちよくリズム隊の出来は見事。また、Alan Dawsonのドラミングに関する評価の高さがあちらこちらに散見されるのでそれにも着目して聴いてみたい。Booker Ervin の作品は、私は That's It! しか持っていませんので楽しみなところです。


 それでは全編スタンダードで固めた6曲構成をレビューです。The Lamp Is Low は、強いビートでぐんぐん迫るベースに、小気味よい Flanagan のピアノも長めのソロに大満足、最高にスウィングする Dawson の太鼓は確かに素晴らしい。息をもつかさないスピード感あふれる曲展開です。ドラムの録音状態はかなり良いので細かな表情がよくわかるうえにドラム・ソロが素晴らし過ぎました。最後はフェイドアウトなのかフェイドアウト風なのか?これも面白い。Come Sunday は、アダルトなエリントンの楽曲。しっとりとした演奏で1曲目との対比がグッときます。All The Things You Are 有名なところが出てきました。誰もが耳になじんでいる曲こそ、どのような展開なのか注目ですが、しっかりとこのアルバムの親方の Ervin が奇をてらうことなく実に楽しい進行でバンドを引っ張っていきます。曲中にダレてしまいそうなところで、音使いを変えたりしてスイングするところもお洒落な感じです。ドラミングも超スタンダードに少しづつ変化を与えてくれているかと思ったらフェイド・アウトです。どうやら先ほども風」では無かったようです。Just Friends も、スタンダードなだけに息のぴったりあったスムースな演奏が聴いていて気持ち良い。Yesterdays も言わずもがなの名曲。最近この曲を聴くことが多いような気がしますが、この演奏は結構心に残る感じがします。テナー独特のエロっぽさがありますが、それほど大袈裟なわけでもなくサラッと吹いています。ブットいサックスの後の Flanagan のピアノ・ソロの美しさが際立ちます。どこまでも聴いていたいですが曲には終わりがあるものしょうがない。Our Love Is Here To Stay で最後になりますが、サラッと終わる感じですね。ライブ・ハウスで聴いていて最後に締めくくる感じです。
 ドラムの素晴らしさはわかりましたが皆さん褒め過ぎじゃないのか?トータルで聴きごたえが評価したい。最初にガツンと持ってきて、落として、中盤はお馴染み曲でリラックスして聴いてもらい。最後はハッピーなスイングで仕上げといった構成で非常によくできたアルバムでした🎵

tenor sax : Booker Ervin
piano : Tommy Flanagan
bass : Richard Davis
drums : Alan Dawson

producer, design, photography : Don Schlitten

recorded on February 27, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

1. The Lamp Is Low
2. Come Sunday
3. All The Things You Are
4. Just Friends
5. Yesterdays
6. Our Love Is Here To Stay





  

2023年12月3日日曜日

Kurt Rosenwinkel / Deep Song


 Kurt Rosenwinkel の私の入門は intuit だったんで正統派バップ系ジャズ・ギタリストだと思っていました。しかし実はこのアルバムやScott Kinsey との実験作品みたいなものもあります。Do It 1992 では抽象的な不思議系のフレーズのギタリストでした。
 過去の私ではあまり好んで聞かないタイプのギター・ジャズでしたが今の私では余裕でこのサウンドが楽しめます。知らない音楽を聴くのは楽しいことですが聴くにいたるまでに時間はかかります。聴かないことには良さはわからないのでジャズ誌とかで絶賛されていて気になるものは購入することが多いのは私の良いクセだと思っております。
 最近はフリージャズでもノイズでも受け入れられるように耐性がついてきたので、久しぶりにこのアルバムを聴いても、この程度の抽象的なタイプの音楽では以前の私が感じていたほどの違和感はありません。他にも今まで聞いてこなかったメセニーとかのギター音楽も最近は興味を持って聴けるようになってきたり全く聴いている自分の感性が変わってきていることに改めて自分でも驚きます。


 と思って曲の印象はと言えば、1、2曲目のThe Cloister、Brooklyn Sometimesは不思議系、3、4曲目のThe Cross、If I Should Lose Youは不思議な感じはするものの意外と正統派のジャズ。5曲目の Synthetics 7曲目 Cake はサックスが前面に出たブレッカー風のテーマのアップテンポな楽曲、6曲目の Use Of Light や8曲目の Deep Song などはバラード風で聞かせてくれます。パーツとしては各楽器はジャズしてて、全体的には組み合わせると異次元からやって来たかのようなサウンドに変わるという構造が楽しめる内容。不思議世界ではあるものの、いかにもジャズギターらしい濃密な音色で幅広いスケールの使い方をしています。
 ユニークなフレーズのクセ者ギタリストであることは間違いなく、このアルバムのクォリティーは高いかもしれなく世の中ではこれを傑作というのかもしれません。何回か聴いて耳になれてくるとじっくりと味が出てきます。
 ライナーノーツによるとこの不思議さはアメリカ人であるが、ノルウェー人の血が流れていることに関係があるのでは?とか、小学校の頃にAC/DC、ラッシュにあこがれてギターを始めたとか、やはり最初の入り口はこんな人でもハードロック!だった。

guitar : Kurt Rosenwinkel
bass : Larry Grenadier
drums : Ali Jackson 
piano : Brad Mehldau
tenor Sax : Joshua Redman

producer : Kurt Rosenwinkel

1. The Cloister
2. Brooklyn Sometimes
3. The Cross
4. If I Should Lose You
5. Synthetics
6. Use Of Light
7. Cake
8. Deep Song
9. Gesture [Lester]
10. The Next Step