2026年6月1日月曜日

Eric Dolphy At The Five Spot Vol1

 

 Prestige から発売されていた Vol2 を先に聴いて、その独特の感性と尖り具合を更に聴いてみたいと本盤 Vol1 は探して購入しました。このライブでは Eric Dolphy はフルートとバスクラを演奏しています。アルバム名は Eric Dolphy ですが、バンドは Booker Little をトランペットに迎えた双頭クインテット。
 録音されたニューヨークの Five Spot と言えば、当時の先鋭的なジャズ・ミュージシャンがよく出演するお店。元々はマンハッタン南部のバワリー通りにあった「バワリーカフェ」という見すぼらしいバーだったそうです。ところが1955年に店の上を通っていた鉄道が無くなったことにより雰囲気が一転し周辺に画家や詩人の卵が済むようになり 店の名前も Five Spot に改名し、そのたまり場だった店には現代アートを好む人たちがたむろするようになったため、出演するミュージシャンもモンク、ドルフィー、セシルテイラー、オーネットコールマン、コルトレーン、チャールス・ミンガスと先鋭的な人たちが多かったようです。
 そのような背景があっての Five Spot でのこの録音ですが、Eric Dolphy は、この録音の3年後に Berlin で無念の客死、Booker Little に至っては僅か 4ヶ月後に、尿毒症により23歳の若さで亡くなっています。また Little は本作を含め数枚の音源が残っているのみの人なので、この作品は二人の演奏を収めた貴重なドキュメントとして価値ある作品とされているようです。
 また本盤のライナーノーツの原盤の英文には、Joe Goldberg氏の解説の一文に Booker Little のインタビューで「不協和音が多ければ多いほど音は大きく響き、まるでホーンの数が増えたように聞こえる。不協和音の可能性に興味がある」の記述は非常に興味がそそられ、そこらへんにも注意して聴いてみるとなるほどと思う部分がありました。
"I'm particularly interested in the possibilities of dissonance. If it's a consonant sound it's going to sound smaller. The more dissonance, the bigger the sound. It sounds like more horns; in fact, you can't always tell how many there are. And your shadings can be more varied. Dissonance is a tool to achieve these things." 


「 Fire Waltz」長めの静寂、ピアノの試し弾きの音が聞こえてからイントロがピアノで開始されます。これからライブが始まる緊張感が伝える録音演出も良いです。そしてブレークの後にテーマは、アルトサックスとトランペットを含むリズムセクションがそれに答えます。それにしてもアルトの音なのに太くてコクがあり、低音から高音まで使った猛烈なアプローチ、様々なサックスの演奏テクをこれでもかと織り交ぜながら最初から全開です。昔はこの隙間の無い音のアプローチとか狂ったような羅列が苦手だったんですが、今は自然に聴けるのが不思議です。一方トランペットソロは、最初は音数少な目で徐々にアグレッシブに行くやつです。ソロの途中から Eric Dolphy が下降するコードのバッキングのルート音をサックスで鳴らします。何かと思って、ここの前後を聴き直すとピアノのバッキングのコードとリズムが、トランペットのソロが進むにつれてテーマから少しづつ変えてきていたのを元に戻そうとしていたようです。この後 Mal Waldron はバッキングを元に戻してきます。面白い。そしてピアノソロになりますが、闘争本能剥き出しのサックスとトランペットに対し、実に聞きやすい冷静なプレイ。ここら辺の対比も良いです。
「Bee Vamp」早いテンポのハードバップで Booker Little 作品なので主導権はトランペット。知的でスイング感、スピード感が良くダイナミック、こんな活舌の良いトランペットは私好みです。Eric Dolphy はテーマでは、バスクラでメロディとリズムセクションを交互にアンサンブル、トランペットの長尺の後はアルト同様に物凄い音圧で、そしてアルトと同様に高音から低音までの音域を縦横無尽にコントロール。低音楽器のバカテクって、それだけである意味感動です。そしてピアノソロはリズムに身を任せながら構築していきます。リズムに身を任せすぎて途中危ういところもあるような気はしますが、狂ったような管楽器の名手たちのゴリゴリさと一緒にしてはいけない。危うい時に多分ベースが助け船だしてますよね。うーん楽しい。
「The Prophet」結論、これが一番楽しかったです。何が楽しいかってライナーノーツに書いてあった Booker Little の「不協和音の可能性に興味がある」の実践です。テーマ部分では明らかにテナーとの不協和音をトランペットが意識的に出しています。当然不協和音ですから聴いていて気持ちの良いものではありませんが、明らかに考えて考えての不協和音にたどり着いているのが見えた時にテスト問題が解けた時のような感覚がありました。しかしソロ部分ではLittle は品行方正、 Dolphy はアウトなフレーズも含めてエネルギーを出しまくっています。演奏者の主義によるとは思いますが、アウトなフレーズとか、フリーキーな演奏は不協和音とは全く違う次元の話しなんですね。不協和音と常人には作れないアクセントを徹底的に考え抜いて作っていたのは Monk が第一人者と思っていますが、考え方は似ているんでしょうが、Monk の方が、不快感ではなく不思議感にしているのが凄いところなんだな、なんて考えながら聴いています。
「Bee Vamp (Alternate Take)」 2曲目のオリジナル・テイクよりも演奏時間が短くテンポはほぼ同じですが重めのプレイです。、幾分グルーブが重く聴こえるプレイです。録音は July 16, 1961 と書いてありますから、当日のいくつかのステージ全部を録音して2曲目をアルバムには採用したということですね。確かに全体的な充実感はオリジナル・テイクの方があります。

この Vol1 を踏まえて、Vol2 を聴けば、更に深く面白くなると思いますが、真剣に読み過ぎて聴きすぎて疲れましたので、また今度にします🎶

alto sax, bass clarinet : Eric Dolphy
trumpet : Booker Little
piano : Mal Waldron
bass : Richard Davis
drums : Ed Blackwell

producer : Esmond Edwards
recorded : July 16, 1961, New York.

1. Fire Waltz / Mal Waldron
2. Bee Vamp / Booker Little
3. The Prophet / Eric Dolphy
4. Bee Vamp (Alternate Take) / Booker Little




定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

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