2023年4月2日日曜日

Keith Jarrett / Death And The Flower

 

 いつもの「おでんバー」では、マスターが定期的に Keith Jarrett(キース・ジャレット)や 明田川荘之 を連日かけまくっている時がある。店の口開けに行くとマスターが一人ノリノリで、これ一昨日もきいてたなと思うのです。別にモンクはありませんし私が余り聴かないタイプのピアニストだったので興味深く聴かせていただいておりました。すると人間不思議なもので、耳馴れすると心地よくなってきます。と言うことでキースのアルバムは未開封、未聴のものが何枚かあります。ケルン・コンサートも未開封です。


 で、そのうちの一枚 Death And The Flower 「生と死の幻想」を聴くことしました。持っていって、ビニールを爪で破いているとマスターは、これレコードもあるよ、とのことですが確かこの時は他のお客も多かったので、聴き比べはしていません。
 まずはタイトルも強烈ですが、ジャケ写のバラがハードボイルド的で骨太な中身を想像しました。邦題(曲名)に関しては直訳で「死と花」だけでインパクトのある題材が「生と死の幻想」となっているのは、かなりの落差があります。その元となっているのは、ジャケットの中に掲載されている、キースの詩であることは明白ですがどうでしょうか。「We live between birth and  Death    ・・・ 私たちは生(誕生)と死の間を生きている/あるいはそのように自分自身を納得させている/本当は自らの生の絶え間ない瞬間に、生まれつつあると同時に、死につつもあるのだ/私たちはもっと花のように努めるべきである/彼らにとっては毎日が生の体験であり、死の体験であるから/それだけに私たちは花のように生きるための覚悟を持たなければならないだろう」生まれたから死はやがて訪れる。生まれたから花のようにパッと咲いて後は散るのみ。いや花が咲いたら種が出来て生を遺すことが出来はず。でもこのジャケットのバラは切り花だから子孫は残せない。なんてことを思いながらアルバムを再度聴いていきます。
 バンドの構成は、ピアノ、テナーサックス、ベース、ドラム、パーカッション。知っているのはベースの Charlie haden、ドラムの Paul Motian ぐらいです。Charlie haden 以外は全員がパーカッションも演奏しています。タイトル曲の Death And The Flower アフリカンな雰囲気のパーカッションで始まり、大地の中に一人立って風景をながめているかのようなイントロはこれから何かが起こるぞと言う想像を掻き立てる。そしてヘイデンのエキゾチックな音階のベースになり、ゆっくりと進行する。?ベースはオーバーダビングしているようです。曲は何も無いように見える風景からゆっくりと植物が成長していくような展開です。デューイ・レッドマンのだるそうなサックスもムーディ(フリージャズ系の方のようです)全員がヒートアップした演奏になだれ込む後半は少しポップな雰囲気にもなったりしながら綺麗に花が散るようなラストはドラマチックな展開でベタに良いです。22分の大作。Prayer は、クラシックのような静かなピアノの出だしが美しく自然の中で植物が芽吹いて、ゆらゆら揺れ動いているような曲で移動できない植物はユラユラと揺れながら何かを祈っているような感じがします。キースとチャーリーのデュオで、テーマに自然に寄り添いながら即興される美しい旋律は心地よい。最後に Great Bird はパーカッシブなサウンドに、デューイ・レッドマンのサックスが溶け込みまた一つの風景が展開されます。ソプラノ・サックスはキースがオーバーダブで吹きこんでいます。適度なフリー加減が素敵で芸術は爆発だ的なフリーでない美しきアドリブを盛り込んだ演奏がまた心地よい。
 キースは最近聴き始めた感じですが、本作は独特のオリジナリティを感じる大作で心して聴いた方が楽しめるアルバムですね🎵
 今、改めて思いましたが、大作なのにこのアルバムではキースの唸り声は無いなあ。

piano, soprano sax, drum (osi drum), percussion, flute (wood), composed by : Keith Jarrett
tenor sax, percussion : Dewey Redman
bass : Charlie Haden
drums, percussion : Paul Motian
percussion : Guilherme Franco

producer : Ed Michel

recorded October 9 and 10, 1974, at Generation Sound Studios, New York City.

1.Death And The Flower
2.Prayer
3.Great Bird


▶ Prayer



  

2023年4月1日土曜日

Miles Davis / Gemini

 

 1969年のライブなのに、何故かジャケットにはデカデカとMONOの印刷。恥ずかしながら、このレビューを書くまで気づいていませんでした。プロデューサーの名前がクレジットされておらず、Original Recording by Joker Tonverlag Ag とあるので、この人がライブ会場で録音したものか?と、どうやらブートものらしいです。しかし発売元は NIPPON CROWN Co. Ltd なのでブートが正式盤に昇格したものっぽい。ググってみると実はこのライブ録音は1969年11月3日パリではなく、1969年10月27日のローマコンサートであるとかも発見しました。ブート・レグなので、そこらへんは盤への印刷が間違っていることは十分にありうることかと想像はできます。


 そして購入して、しばらく家で温めてから、いつもの「おでんバー」で初聴きとなります。Bitches BrewAgharta なんかは、時折爆音でかける店なので遠慮なしにかけさせて頂きました。何しろ1曲表示45分なので、どんなものか興味津々です。ファンクものかと思っていたら、フリージャズ的な感じで自由な音の流れの中をマイルスや他のメンバーが徘徊しながらその場に応じて演奏していき、フリージャズ、4ビート、8ビートなど多彩な変化を魅せます。この手の音楽は、聴き手の体調や聴くタイミングで印象が変わることが多いとは思いますが、この時には音のエネルギーの発散具合が微妙にかみ合わず、不完全燃焼のような気持ちになってしまいました。マスターは、聴き終わると「なんだろうな、少し暗めだね」とのシンプルな表現でした。すると横で黙って聴いていた常連さんの一人が「いやこれは気に入ったな。貸してくだせえ」とのこと。快く貸出です。返却時もベタ褒めでした。なので再度聴き直してみると、初回に聴いた時よりも中盤の盛り上がりがなど初回の印象よりもエネルギッシュで悪くない感じがするので人間の感性は不思議なものです。
 アルバムタイトルの Gemini とはふたご座のこと、またアルバムのジャケットの中には警官に取り押さえられる若者が写っています。1969年のライブであることからすると1968年のチェコスロバキアの変革運動「プラハの春」とかをオマージュするものなのだろうか?ジャケットは数種あるようで、ブートなのでマイルスの意図はここにはないはずですが、制作者の意図も気になります。ライナー・ノーツは一応日本語でついているものの、マイルスの音楽史感についてしか書かれていないのでよくわからないので、どこかで見つけたらこのレビューに書き足そうと思います🎵

trumpet : Miles Davis 
tenor/soprano sax : Wayne Shorter
electric piano : Chick Corea
bass : Dave Holland 
drums : Jack Dejohnette

recorded live in Paris, Novenber 3, 1969

1. Gemini
Bitches Brew ~ Miles Runs The Voodoo Down ~ Agitation ~ I Fall In Love Too Easil ~ Sanctuary 

Gemini



  

2023年3月31日金曜日

James Brown / Live At The Apolo


 James Brown (JB) の1962年アポロ・シアターでのライブ。ここで、既にあのエンターテイメントが確立されていることがわかる名盤です。ポップ・チャートの2位まで上昇し66週にわたって同チャートのトップ10位圏内に留まり、JBのアルバムの中でもポップ・チャートで最も好成績だった作品です。それほどコレクターな訳ではありませんが、JBの作品はと段々とリズムとパフォーマンス重視となってきているような気がしますが、この作品は非常にソウルを感じるJB29歳の作品です。おそらく今の日本ではJBは硬派なオヤジがウイスキー片手に楽しむような音楽となっているのに、この音源ではJBはアイドルだったのかと思うほどにアポロ・シアターが女子の悲鳴で溢れていて当時の人気っぷりがわかります。私のJBのイメージは脂ぎった汗かきのオジサンのイメージですが、当時の若き日のJBの写真では確かに当時は脂ぎっている感じではなくカッコいいですね。


 さて、このアルバムですが、オープニング・ファンファーレでMCによる“煽り”は Are You Ready For Star Time!! そこから観客もハイテンションです。そして傑作「I'll Go Crazy」で幕開けし、シャウトしながら客を更に煽ります。「Try Me」は、後の演奏より昔のソウルという感じで中々好感。そして客のギャルたちのギャーという叫び声で熱狂がわかります。「Think」も、高速でたたみかけクラッピング入り(これは後入れかな)「I Don't Mind」ではしんみりと歌い上げ観客のボルテージを下げときます。でも、きっとサビのシャウトで失神しそうな女の子はいるに違いありません。そして「Lost Someone」のイントロでは、延々とループするテーマで、JBのシャウトで徐々に観客の熱が帯びていき、上げて下げて歌ではじっくりと聴かせる最高の演出、「Please Please Please , You've Got The Power」のメドレー、Please Please Please は既に7年前にR&Bチャートのトップ5の名曲です。そして Night Train でクロージングですが、いかにもショーの終わりを感じさせるダンサブルな曲。とにもかくにもこのアルバムではステージの演奏の他、観客席の熱狂ぶりも録音されていて、聴くものもそのステージが想像できる名盤です🎵

lead vocals : James Brown
baritone/bass vocals (and keyboards on "Lost Someone") : Bobby Byrd
first tenor vocals : Bobby Bennett
second tenor vocals : Lloyd Stallworth
【Famous Flames】
music director, trumpet : Lewis Hamlin
bass : Hubert Perry
drums : Clayton Fillyau
guitar, road manager : Les Buie
organ, MC : Lucas "Fats" Gonder
tenor sax : Clifford MacMillan, St. Clair Pinckney
tenor sax, baritone sax : Al "Brisco" Clark
alto saxophone : William Burgess
trombone : Dickie Wells
trumpet : Roscoe Patrick, Teddy Washington

1. Opening Fanfare
2. I'll Go Crazy
3. Try Me
4. Instrumental Bridge1
5. Think
6. Instrumental Bridge2
7. I Don't Mind
8. Instrumental Bridge3
9. Lost Someone Pt.1 
10. Medley(Please Please Please , You've Got The Power)
11. Night Train


▶ Think



  

2023年3月26日日曜日

Red Garland / Soul Junction

 

 最近意識して未だ聴きこんでいないピアニスト作品を開拓するようにしています。知っているけどアルバムを持っていなかったので、Red Garland(レッド・ガーランド)を何枚か買い込んでストックしながら聴いています。いつもの「おでんバー」に持って行くと、おおこれね、レコードもあるよと言ってマスターが探し始めますがレコード棚は暗く、枚数も結構あるため見つかりません。とりあえず私のツマミを優先してもらうためにレコードは探さないでも良いですよとのこととします。CDとレコードを聴き比べると大差がない場合、レコードの音の臨場感に驚かされる場合の二パターンが多く、CDの方が良い場合はレコード盤が古くて状態が悪い場合はたまにある程度のような気がします。私はレコード・プレイヤーを持っていないので全てCD音源ですのでレコード盤の方が圧倒的に良い場合かなり悔しい思いをすることがあります。ただですねえ、CD持って行って聞き比べないと記憶だけでは判別しにくいのがこの聴き比べです。などと語ってしまいましたが、この盤は聴き比べていませんのでそのうち聴いてみようと思います。


 さてこの録音、メンバーを見るだけで、よだれが出る人も多いであろう1957年作品。ガーランドは1957~1959年にかけて膨大なアルバムを残しています。1956年にマイルス・クインテットに在籍して Round About Midnight 1957年には、わずか2回のセッションからの音源が、Workin'、 Steamin'Relakin'Cookin' となり、コルトレーン・バンドにも加わっています。このアルバムの録音も一夜のセッションが、All Morning Long, Soul Junction の2枚のアルバムとして発売されています。但し All Morning Long は、直ぐに1958年の販売され本番は三年近く以上経った1960年暮れのリリースとなっています。
 さて、曲のレビューです。タイトル曲は Soul Junction、いきなりの15分を超える長尺のガーランドオリジナル。ガーランドのソロが延々と続きます。ルーズな弾き方のブルースで典型的なフレーズが安心感あり、ジャズ・ブルースの教科書にできそうな安定の演奏。後半でやっとコルトレーン、バードが登場しますがガーランド同様にゆったりとしたソロ展開です。Woody'N You はディジー・ガレスピーがオリジナル。ガーランドが20歳の頃に初めて聴いたモダン・チューンの思い出の曲とのことで、菅の二人がフューチャーされています。バードの気合の入ったトランペットが気持ちよく響き渡り、コルトレーンもギアが入り、延々と続くのかと思いきやガーランドの流れるようなフレーズのソロに突入。1曲目との落差がとても気持ちよく響きます。うーんカッコイイ。Birk's Works もガレスピの作曲です。ここもテーマ部分は、高らかに鳴るホーン隊に重厚感あります。そしてガーランドのコロコロとした音使いながら甘いシングル・トーンのソロに始まりブロック・コードで盛り上げる定番の展開が硬派な感じです。コルトレーンが控えめなのは1曲目だけだったようですがこの曲は若干抑え気味のソロでバードに引き継ぎ、またガーランドに戻ります。カクテル・ピアニストと言われることもあるようですが、全くそのようなことの無い存在感のある演奏です。そしてデュークエリントンの書いたバラードの I've Got It Bad では、ゴロゴロとした硬派のピアノからロマンチックなタッチのピアノに変わり、バードの正確な音さばきながらどこか優しい音色に聞きほれ、情緒豊かなコルトレーンに酔いしれます。最後は Hallelujah
 で、Vincent Youmans という方の曲でアグレッシブに飛ばします。テイラーが力強いドラムで引っ張りながらのフロントの三人を盛り上げるのが実に良い。総合的にコルトレーン、ドナルド・バードの演奏も絶好調でガーランドだけが主役のアルバムではない各人のソロが引き立つつくりになっています。

piano : Red Garland
tenor sax : John Coltrane
trumpet : Donald Byrd
bass : George Joyner
drums : Art Taylor

producer : Bob Weinstock

recorded at November 15, 1957, Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey

1. Soul Junction
2. Woody'N You
3. Birk's Works
4. I've Got It Bad (And That Ain't Good) 
5. Hallelujah





  

2023年3月25日土曜日

Bobbi Humphrey / Satin Doll

 

 プロデュースは、以前聴いたアルバム 1973年 Blacks And Blues と同じ Chuck Davis, Larry Mizell で、このアルバムは1974年の発売となります。路線は基本的に同じですが、前作よりあか抜けた感じはします。この手のジャズ・ファンクの場合、思い切りダサいとか黒すぎるぐらいのアルバムが好みなのですが Larry Mizell プロデュースは中途半端に売れ線な感じです。このぐらいであれば前作よりこっちの方が好みかもしれません。
 アルバムの写真の女の子は彼女のお子様の女の子リッチ・リン。ジャケ写裏面は黄色のお揃いの服での幸せなそうな一枚。このアルバムのタイトルは Satin Doll、つまりデューク・エリントンの曲。エリントンは本作の制作前に亡くなり同時期に娘さんが生まれたとのことでこの作品は両者に捧げられたとのこと。なるほど普通フルート奏者のソロアルバムで Satin Doll のタイトルならジャズファンクは想像しにくいのはそのような訳ですか。


 主役の Bobbi Humphrey については1950年テキサス州生まれのジャズ・フルート奏者、マイゼル兄弟はボーカル、アレンジ、プロデュースを担当しております。マイゼル兄弟作品は、アルバム一曲目にがつんとした曲をもってくるのが特徴で、このアルバムも1曲目の New York Times が素晴らしい。先にも書いたようにエリントンへのオマージュですから、Satin Doll という曲を入れるのに意味があるのはわかりますがタイトルで2曲目の Satin Doll よりも1曲目の方がインパクトがあるのはどうなんだろうか?という気もします。San Francisco Lights はバラードで、メロー・グルーブと言うよりはダレ気味か? 一転してLadies Day はタイトなソウル系のジャズ・グルーブ。ボビのフルート・ソロの録音レベルが少し低いのが気になりますが、演奏自体はうまくはまっています。この曲を聴いて、ジャズ・ファンクやりたくなるフルート奏者もいるんではないでしょうか。続くFun House はゴリゴリ系ファンクの元祖みたいなスラップ・ベースが良い。P funk のギターが、きれいな音のフルートに置き換わるとこんな感じって感じでしょうか。My Little Girl は怪しい系のジャズ・ファンクで、ここら辺がもっと怪しいと嬉しいんですが、テーマで響く女性のコーラスがなんとも怪しいです。こういった曲ではフルートが効いてきます。Rain Again は、嵐の効果音から始まる。重めのメロー・ソウルのような出だし。これに歌メロがついてボーカルが入れば成立するんですが、ボーカル無しのカラオケのメロー・ソウルっぽくて、つまらんと言う人は多そうですが、このダサさは私的には「あり」で、最後は You Are The Sunshine Of My Life は言わずと知れた Stevie Wonder のカバー。ここら辺はレコードのセールスを気にしてる感じの選曲とアレンジと思いきや、ボビは Stevie Wonder と親交をがあり、このジャケ写の娘の洗礼で代父を務めているとのことで、この曲は Stevie Wonder へのお礼みたいなもののようです。あとベースでは、前作とも Chuck Rainey も参加を見逃してました。聴きなれない人には、全部似たような響きとテイストに聞こえてしまいそうなアルバムなのですが、前作や Donald Byrd のジャズ・ファンク期が好きな人には是非聞いていただきたい🎵

flute, vocals : Bobbi Humphrey
backing vocals, arranged by (background vocal arrangements) : Fonce Mizell, Freddie Perren, Larry Mizell
electric piano (fender rhodes) : Fonce Mizell, Larry Mizell
piano, keyboards : Jerry Peters
synthesizer (arp synthesizer) : Larry Mizell
synthesizer (moog synthesizer) : Don Preston
guitar : John Rowin, Melvin "Wah Wah" Ragin*
bass (electric) : Chuck Rainey
drums : Harvey Mason
congas : King Errisson
percussion : Roger Sainte, Stephany Spruill*
trumpet : Jerry Peters
trumpet, clavinet : Fonce Mizell

produced by Larry Mizell and Chuck Davis for Sky High Productions, Inc.

1. New York Times
2. Satin Doll
3. San Francisco Lights
4. Ladies Day
5. Fun House
6. My Little Girl
7. Rain Again
8. You Are The Sunshine Of My Life





  

2023年3月24日金曜日

山下達郎 / On The Street Corner 2


 On The Street Corner 1 が発売されたのは1980年で、当時私が中学生の頃で山下達郎ファンク時代の「ボンバー」とか「タクシードラーバー」とかを好んで聴いていました。On The Street Corner 1 は、レコードとカセットで発売を開始し1986年にCDで再販となったようで、確かに私の記憶もカセットで聴いていました。一枚目の On The Street Coner 1 はかなり衝撃的で、声だけの多重録音でこのような広がりが出せるのに興味を持ち自分でもアカペラの宅録をしたこともあります。
 この第二作はステージで披露するために制作された楽曲が大部分を占めていて一作目より選曲と編曲の幅を拡げています。またアルバム制作にあたってはテクノロジーの進歩で繊細なテンポの設定が出来るようになり The Four Freshmen のような、より複雑なコーラス・スタイルも取り上げられています。その結果、作品のコンセプトであった1950年代アメリカン・ストリート・コーナー・ミュージック、あるいはドゥーワップの範疇から更に幅を広げた作品となっています。続作が発売されているとのことなので引き続き収集は続けたいとは思っております。


 改めてアルバムを聴きながらレビューします。Amapola は原曲は1922年スペインのJoseph M Lacalle の作品。山下達郎は、映画の Once Upon A Time In America をアレンジの手本としてこの曲を収録したそうで耳に覚えのある人も多いのではないでしょうか。Ten Commandments Of Love は 1952年から1960年に活躍したドゥーワップ・グループThe Moonglows の作品です。第1作の Corner1で、Most Of All が取りあげられていました。曲調が似ているのか前作の収録とも似たアレンジです。グループ名 The Moonglows の名前は素敵です。So Much In Love は The Tymes のカバーで1963年Billboard Hot 100で首位の邦題で「なぎさの誓い」このアルバムでも最も耳に残る楽曲です。Make It Easy On Yourself は、Teddy Randazzo の作曲で、このアルバムのアレンジの元はThe Imperials の有名なシングル Going Out My Head のB面に入っていた曲だそうです。マニアな解説が山下達郎らしい。My Memories Of You 邦題は「あなたの思い出」は、Louis Armstrong, Duke Ellington, Francis Sinatra などのジャズ系ミュージシャンの他、Bette Midlerなどのカバーもされている名曲。Chapel Of Dreams は、The Dubs 1959年のヒット曲。You Make Me Feel Brand New は、Tom Bell の The Stylistics の為に書いた楽曲です。これは私も知っているぐらいだから有名ですね。バリトンとファルセットのリードの組み合わせが普通のグループではありえないと達郎氏の解説ですが、この曲を聴くと何の違和感も感じないのは達郎氏の実力。I Only Have Eyes For You は1934年の映画 Dames の主題歌。曲はメローソウルな感じがしますが、このコーラスの広がり具合は別世界で凄い。Silent Night は誰でも知っている名曲「きよしこの夜」1818年に創られた讃美歌109番。そういえば教会の讃美歌で子供たちと一緒に歌っていた。White Christmas は、1942年の映画、Holiday Inn で Bing Crosby によって歌われた名曲。讃美歌ではありません。
 第一作ほどの衝撃はありませんが、素晴らしいアレンジと広がりで、制作側からするとかなりオタクなアルバムに入るかと思います。楽しいです🎵

1. Amapola
2. Ten Commandments Of Love
3. So Much In Love
4. Make It Easy On Yourself
5. My Memories Of You
6. Chapel Of Dreams
7. You Make Me Feel Brand New
8. I Only Have Eyes For You
9. Silent Night
10. White Christmas





  

2023年3月19日日曜日

Craig Scott Quintet / Introducing

 


 全く Craig Scott Quintet という存在を知らずにタワレコで試聴購入しましたので音は良いのはわかっていました。なので購入後の初聞きを、いつもの「おでんバー」でする時に、どんなアルバムなんだろうと言うドキドキはありませんでした。がマスター及び常連の反応はどうなのか?このタイプは微妙なのがわかっていましたので、そこがドキドキでした。
 今日は何かもってきたのかい?と言われビニールを破いてセットします。音が鳴るとタワレコで聴いた時よりもこの店でかけた方が良い感じです。反応はありませんがマスターがリズムをとる感じでツマミの準備をしているので合格かな。そうこうしているうちにビブラホン好きの常連さんが登場です。反応はこちらも薄いですが、気に入らないと酷評がある人だけにこちらも合格ですね。そうこうしているうちに聴き終わりましたので深くは感想を聴かずに家で聴くことにします。


 音的には古めで、ある程度有名なミュージシャンなのかと思いググっても情報は全くと言っていいほど出てきません。辛うじてわかったのはヴィブラフォン奏者 Craig Scott は、2012年ごろ Douglas College Jazz Camp という学校でドラムの講師として働いていたらしい。その学校のコンサートでドラムに座りながらビラフォンを演奏し The Cellar Jazz Club で週末に演奏するようなる。そのライブで Milt Jackson が Ray Brown、Teddy Edwards とレコーディングしたアルバムからアレンジした演奏を行っていて、それが注目を浴びるようになり、このレコーディングが2013年録音2014年7月22日に行われたとのこと。他の録音メンバーも含め所有音源の検索しましたが、一人もヒットしなかったことも珍しいレア音源です。
 さてマイナーではありますが、レビュー参ります。Lunar Blues は Craig Scott のオリジナルです。全体の雰囲気もそうですが50~60年代の古き良きジャズのような感じで素朴なテーマのブルースは聴きやすい。難しいことはしていませんが気負い少な目で演奏を楽しんでいる雰囲気は十分に伝わる演奏です。Groovin' High はチャーリー・パーカーです。ピアノとビブラフォンでテーマをユニゾンしてからのサックス、ビブラフォン、ピアノのソロ回し、ビブラフォンのソロの出だしが少し怪しいところはあったけど、クリアに細かいことはせずに演奏されている教科書ののような演奏です。とにかく聴きやすい。Chart Of My Heart は、B.Newman 作曲の50年代によくあるような楽しいスイング。思わず横揺れになりますし踊れないけど踊りたくなるような演奏はこれも楽しい。毎週末は、このメンバーでライブだったようですから息もぴったり。The Night We Called It A Day は、M.Dennis とあります。ここでバラードが挟まります。ビブラフォンにピッタリのテーマに聞こえます。サックスソロが特に気持ち良いかな。と思っていたらビブラフォンも良いですな。 Corner Table は誰の曲かと思えば、C. Scott のオリジナル。ピアノソロがまたも教科書のような譜わりで、聴きやすいけどアルバムを聴き進めてきて少し物足りない気もしてくる気もします。Head And Shoulders はC.Walton とあります。少しアルバムが単調かなと息もしてきたところで、ピアノソロでモンクっぽいフレーズが出てきたりアルバムのアクセントになっています。Banana Funk はピアノの T.Foster 作曲です。こういう曲名はどこから来るんでしょうか。朝食でバナナ食べてた時に思い浮かんだからでしょうか。現代風のファンク的な要素も入ってきてメンバーの演奏内容もぐっと変化します。やっぱりプロですね。これは良い。Auntie Mame は B.Kaper 作曲で、再び古き西海岸のクール・ジャズっぽい雰囲気で、ライトです。Stolen Moments は、O.Nelson ほんわかしながらも推理小説を読んでいるような少しだけ怪しいところも匂う時代がかった曲です。録音順に曲は並んでいないとは思いますが、耳が慣れてきたのか演奏にエンジンがかかってきた感じはあります。Bossa Nova Do Marilla は R. Evans とあります。曲名でもわかるようにボサノバではありますが、物悲しいタイプのやつですね。テーマの節回しはクラシックっぽいものもあります。ラストは  Ginza Samba V.Guarvaldi です。Ginzaはもしかして銀座ですかね?コミカルな曲です。全体を通してベテランぽくて、チームという感じの演奏で好感の持てるアルバムですが、スリリングさを求める人には物足りないかもしれません。
 
vibraphone : Craig Scott
piano : Tony Foster
tenor sax : Cory Weeds
bass : Russ Botten
drums : Joe Poole

producer : Craig Scott

recorded December 3, 2013 by Dave Sikula at Cory Weeds’ Cellar Jazz Club in Vancouver, BC

■曲目:
1. Lunar Blues
2. Groovin' High
3. Chart Of My Heart
4. The Night We Called It A Day
5. Corner Table
6. Head And Shoulders
7. Banana Funk
8. Auntie Mame
9. Stolen Moments
10.  Bossa Nova Do Marilla
11.  Ginza Samba





  

2023年3月18日土曜日

Mal Waldron Trio / Spring In Prague

 

 Mal Waldron(マル・ウォルドロン)は1925年ニューヨーク生まれのジャズ・ピアニスト、作曲家。ビリー・ホリデイの伴奏者としても知られ、ビリー・ホリデイ死去の5か月前に、アルバム Left Alone(レフト・アローン)を制作しビリーが作詞マルが作曲の Left Alone は、スタンダード・ナンバーとなっています。2002年12月2日ベルギーのブリュッセルで77歳で他界されています。
 「プラハの春」という単語は知っていますが、学生時代に世界史は無視してきたので何が起きたのか、よくわかっていませんので、ググります。
1968年4月に始まった「人間の顔をした社会主義」を掲げるドプチェクの指導の下で展開された、チェコスロヴァキアでの民主化運動。しかし、同1968年夏になると事態は急変、8月20日にソ連のブレジネフ政権は、ワルシャワ条約機構5ヵ国軍を侵攻させて軍事弾圧に踏み切り、市民の抗議の嵐の中をプラハの中心部を制圧、ドプチェクらを連行した。このチェコ事件によってプラハの春は踏みにじられてしまった。しかし、ゴルバチョフは1988年3月の新ベオグラード宣言の中でブレジネフ・ドクトリンの否定、東欧諸国へのソ連の内政不干渉を表明、1989年11月10日にベルリンの壁が破壊され、チェコスロバキアでも、1989年からの「ビロード革命」によって共産党体制は崩壊し自由化を実現した。この民主化運動自体を「プラハの春」と呼ぶこともあれば、チェコ事件を含めた期間の一連の流れを「プラハの春」と呼ぶこともあるらしい。
 このアルバムは1990年にドイツ・ミュンヘンで録音された作品です。その後1989年にベルリンの壁が崩壊し、ルーマニアのチャウシェスク王朝が吹きとび社会主義が崩壊。国内の秘密警察網が整備強化されて国民同士の監視と秘密警察への密告が奨励され、旧東ドイツと並んで東欧で最悪の警察国家となった。チェコがスロバキアと合併していたチェコスロバキアの時代、スターリン的抑圧に対する不満が爆発して、スロバキア人のドプチェク率いる政権が誕生し、自由化・民主化路線が布かれた訳です。1966年以降は、西ドイツのミュンヘンに住んで音楽活動を続けていた マルにとってはとてつもない環境の変化が周りに起きていた訳で、このアルバムは「プラハの春」と呼ばれる1968年の自由化の波という社会的なテーマを取り上げショパンの「革命」で幕を開ける本作が、旧ソ連によって叩き潰された「プラハの春」へのオマージュであるということで背景は、かなり重いアルバムですね。(そんな気はしていましたが調べるまで分かりませんでした)


 録音場所は、西ドイツのミュンヘン。レーベルは「Alfa Jazz」。いかにも日本のレーベルらしい、あからさまな企画盤で、プロデューサーも Tetsuo Hara と日本なところが素晴らしい。力強いピアノが印象的な作品で、出だしがショパンの Revolution のジャズ・バージョン。クラシックの原曲は知らないのですが、きっとやり過ぎなんだろうしピアノで、ばっさり切られるような曲になっています。ピアノをちゃんと勉強した人はあっけにとられることが容易に想像できますので、あえて原曲のクラシックは暫く聴かないことにします。そして East Of The Sun はスタンダードで Brooks Bowman 作曲。これは中々聴きごたえがある演奏でゴツゴツしたマルのピアノにタイトなドラムとブンブンするベースが素晴らしい。Let Us Live - Dedicated To East Germany はマルのオリジナル。アグレッシブなドラム・ソロから始まり、緊迫感のあるインプロが展開されます。少し劇場チックな展開なのがやり過ぎ感もありますが、その後のオリジナリティある展開は結構好きかもしれないです。いや独特です。そして主題である Spring In Prague もマルのオリジナル。どれほど激しい曲なのかと思っていたら、ゆったりとして落ち着いた曲です。先にも書きましたが ”民主化運動自体を「プラハの春」と呼ぶこともあれば、チェコ事件を含めた期間の一連の流れを「プラハの春」と呼ぶこともあるらしい" と言うことであれば、この曲は先の ”民主化運動自体を「プラハの春」と呼ぶ" 考えでの作曲だったのでしょう。ゆったりとした民主化へ向けての流れがこのイメージにあったのかと思います。次いで、On A Clear Day はスタンダード。なるほど革命が起きて、日が昇り、ドイツで生き延びる、そしてプラハの春、ある晴れた日とpらはの春の一連の流れが表現されている。重いですが次の曲は Spring Is Here 美しい風景描写のような世界、最後は We Demand で重々しく幕を閉じます。一瞬光が見えたかのようなプラハの春ですが、戦いと混沌は続くようです。硬質な重いタッチと言われるマルのピアノは、まさにその表現がぴったりで、またパウロ・カルドソのベースもマルに負けない個性的な演奏です。単なる企画ものでは終わらないイージーに聴くというより噛みしめるアルバムでした。重いなあ・・

piano : Mal Waldron
bass : Paulo Cardoso
drums : John Betsch

producer : Tetsuo Hara

recorded At Arco Studios in Munchen Feb. 19 & 20 1990

1. Revolution
2. East Of The Sun
3. Let Us Live - Dedicated To East Germany
4. Spring In Prague
5. On A Clear Day
6. Spring Is Here
7. We Demand




  

2023年3月17日金曜日

Quincy Jones / Q's Jook Joint


 ミュージシャンとしてはトランぺッターしてジャズ界で活躍し1960年代からはプロデューサーとして、ブラックミュージック界、アメリカのポピュラー音楽界の重鎮としてしたQuincy Jones。クインシー・ジョーンズを聴くといつも思うのは、ヒットする音楽をつくる方程式を持っている人ってイメージです。同時に思い浮かぶのが Incognito の Bluey で、同じような方程式を持っている人のイメージ(ブルーイはプレーヤーなので同じではないですか)
 それにしても久しぶりに、このアルバムを聴きます。発売されたのは1995年ですが、発売を待っていてのリアル・タイムで購入ではないはず。いつどこで購入したのかは思い出せないですね。可能性が高いのは札幌在住時代の、ソウル・ファンク系が充実していた中古レコード屋かなあと思ったりしながら聴いております。だとすると2015年ごろだから発売から20年以上経ってからの購入で、私的には新しめの音ですが実際は新しくはないですね。クインシーと言えば「愛のコリーダ」マイケル・ジャクソンの「スリラー」が思い浮かびますがマイケルの若い時との2ショット写真を発見しました。アルバムのジャケ写はマフィア感漂いますが、この写真はお若いですね。懐かしい。


 1989年に同じように多数のミュージシャン、それも大御所ばかりを集めた Back on The Block の時はグラミー賞などでプロデューサー・オブ・ザイヤーを受賞、それほど当時は勢いがあり、脂ののっていた時期だったと思いますが、それから5年、さすがにあれほどの勢いは感じられませんが、著名ミュージシャンの参加数の多さ、若手の起用もありながら、これだけのアーティストが集えるのは大御所クインシーにしか成し得ないことですし、これも充実の1枚で、甘くて、かっこよい。
 さてアルバムを再度聴き直して参りましょう。ヒット作のリメイクで Jook Joint Intro オープニングはショーに駆け付けるメンバーの慌ただしい様子を演出しているようで、その流れで次の曲 Let the Good Times Roll ビッグ・バンドによるショーの幕開けの演出。挨拶のようにボーカルが変わっていき、Stevie Wonder、U2のBono,、Ray Charlesなどなど。Cool Joe, Mean Joe (Killer Joe) インスト曲で、Keyboard ソロだけで Herbie Hancock 参加。耳覚えがある曲ですが調べてもよくわかりませんでした。同名の映画があるようで常識破りにエロ映画っぽいです。クインシーとはおそらく関係ない?You Put A Move On My Heart もともとイギリスのソウル・シンガー、マイカ・パリによってレコーディングされたもの。ボーカルは当時名前が未だ知られていなかったのカナダ人 Tamia が起用の透明感ある歌声が素晴らしい。Rock With You は Michael Jackson のヒット曲ですね。Brandy が可愛らしく色っぽく歌い、ラップでHeavy D。懐かしい~けど新しくなっちまった。Moody's Mood For Love では、James Moody と Take 6 のしっかりTake6サウンドの甘いハーモニー。Stomp はブラザース・ジョンソンへの提供曲。デッキブラシなどでリズム、サウンドを奏でるグループ Stomp が「Stomp」Chaka Khanがバックでシャウト。Jook Joint Reprise ここで Ray Charles が Funkmaster Flex と共にビッグ・バンドで再度登場と思ったら56秒。Do Nothin' Til You Hear From Me はJazzyな楽曲を Phil Collins が歌い Jerry Hey がトランペット。ヂューク・エリントンの作曲でした。Is It Love That We're Missin' は、現代的なネオ・ソウルで、セクシーな Gloria Estefan と これぞブラックの甘い歌声の Warren Wiebe で間違いなく誰が聴いてもカッコイイヤツです。Heaven's Girl は R.Kelly、Ronald Isley、Aaron Hall に Charlie Wilson のバラードっぽい曲です。楽曲的にはよくあるパターンだけど参加者の実力で極上に引き上げられている感じ。Stuff Like That はファンキー・ビートに Charlie Wilson、Brandy、Chaka Khan が登場。Ray Charles、Charlie Wilson、Brandy、Ashford & Simpson が豪華に花を添えていて、チャラい曲だけど良い曲なんですよね。Slow Jams は SWV、Babyface、Barry White、Portrait でBabyface から始まるバラード。曲の展開の仕方が上手すぎ。At The End Of The Day (Grace) は トーツ・シールマンのハーモニカが美しい。グッときます。Jook Joint Outro で、Barry White、Tamia がエンディング。
 売れ筋の曲に、これぞ売れるブラック・フレイバーを振りかけて、極上のミュージシャンがこぞって参加の、いくら金がかかってるんだかわからない超大作です。

producer : Quincy Jones

1. Jook Joint Intro
featuring : Funkmaster Flex, Queen Latifah, Shaquille O'Neal, Tone Loc
vocals : Barry White, Bono, Brandy, Chaka Khan, Charlie Wilson, Gloria Estefan, James Moody, Patti Austin, Ray Charles, Siedah Garrett, Stevie Wonder
2. Let The Good Times Roll
vocals : Bono, Ray Charles, Stevie Wonder
3. Cool Joe, Mean Joe (Killer Joe)
featuring : Queen Latifah, Tone Loc
vocals : Nancy Wilson
4. You Put A Move On My Heart
vocals : Tamia
5. Rock With You
featuring : Heavy D
vocals : Brandy
6. Moody's Mood For Love
vocals : James Moody, Take 6
7. Stomp
featuring : Coolio, Luniz, Melle Mel, Shaquille O'Neal, Yo-Yo
vocals : Chaka Khan, Charlie Wilson
8. Jook Joint Reprise
featuring : Funkmaster Flex
vocals : Ray Charles
9. Do Nothin' Till You Hear From Me
vocals : Phil Collins
10. Is It Love That We're Missing
vocals : Gloria Estefan, Warren Wiebe
11. Heaven's Girl
producer : R. Kelly
vocals : Aaron Hall, Naomi Campbell, R. Kelly, Ronald Isley
12. Stuff Like That
vocals : Ashford & Simpson, Brandy, Chaka Khan, Charlie Wilson, Ray Charles
13. Slow Jams
vocals : Barry White, Portrait, SWV, babyface
14. At The End Of The Day (Grace)
vocals : Barry White
15. Jook Joint Outro
vocals : Barry White, Tamia