Miles Davis(マイルス)を聴いてきた人たちに衝撃を与える作品の一つに入るアルバムでしょう。実際私も行きつけのおでんバーで、Agharta(アガルタ) Pangea(パンゲア)を聴きその破壊的な音圧に衝撃を受けながら、2枚のCD音源を同時に鳴らすとヘビーなリズムの混沌さが増して、そのエネルギーだけで音楽として成立するフリージャズやノイズ系の音楽に通ずるものと酷似するといったマスターの実験にも付き合ってきた一連の作品です。
今でこそマイルス作品も相当な数を聴くようになった私ですが、ジャズをそれほど好んで聴いていなかった時代からマイルスはラジオやTVなどで耳にすることも多く、それは大衆受けしそうなポップな作品のエレキトリック・マイルスでした。このイメージでマイルスの音楽は固定されていたのですが、エレクトリックに移行する前の歴史を聴いてみようと思い最初に購入したのが Jazz At The Plaza でした。ここら辺は所謂ジャズらしさが聴けて大人になったような気分になりました。そして次に購入したのが Bitches Brew で、聴きながら困惑し当時その良さが理解できず、ここでマイルスはよくわからない、やっぱり真のマイルス好きはこんな作品が好みなのか、私には理解できない世界だ。と暫く私はマイルスから遠ざかってしまいました。
しかしマイルスの 古いアルバムも聴いてみるかと、聴き始めてからはその真面目な演奏ぶりに面白くなってきて、印象は一変しました。時代を追いながら聴けば聴くほど面白く聴けてきます。死刑台のエレベーターなんて小説を読みながら聴いてたら非常につまらなかったんですが、時間を置いて聴いてみると、あれっ良いじゃないですかなんてことも起きます。
そんな聴き方をしているうちに、マイルスって時代を追いながら聴いたら面白いと気付き始めて、またエレクトリック・マイルスに戻ってきたわけで聴いたことはあるけど、持っていないパンゲアもいずれ手に入れないければなりません。
さて、そんなわけで本作はエレクトリック・マイルスの大阪コンサート1975年2月1日午後の部を収録したアルバムでありこんな刺激的な名作が日本のコンサートの収録であるということも嬉しい限りです。同じエレクトリック・マイルスの作品である Bitches Brew、In A Silent Way などはいくつかの録音をつなぎ合わせた手法での作品と言われているのに対しセッションなので当然一発勝負の録音となっていてぶっ飛び具合は中々のもの。
このアルバムの収録時にマイルスは48歳でジャズに一線を画しエレクトリックでファンクな世界に突入、ファンク好きな私にとっては今となってはとっつきやすい録音です。
trumpet, organ : Miles Davis
guitar : Reggie Lucas
guitar, synthesizer, percussion : Pete Cosey
bass (fender) : Michael Henderson
drums : Al Foster
congas, percussion, drum (water drum), drum machine (rhythm box) : Mtume
soprano sax, alto sax, flute : Sonny Fortune
producer : Teo Macero
recorded Feb 1, 1975 at Osaka Festival Hall
1. Prelude
2. Maiysha
3. Interlude / Theme From Jack Johnson
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